JPS6126742Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、灰分（アツシユ）を多量に含む固体
可燃物を燃焼させるに好適なスラグタツプ炉の改
良に関する。

下水汚泥の処理方法として焼却は有望なものの
一つである。そこで、本考案者等は、一つの流動
層で下水汚泥の乾燥と燃焼を図つていた従来の下
水汚泥処理を改め、蒸発、乾燥、燃焼を夫々別の
装置で実施すること、即ち流動層において汚泥を
乾燥させて粉末状の乾燥汚泥を得る一方これを燃
焼させることを考えた。しかし、灰分を多量に含
む固体可燃物例えば微粉炭や乾燥下水汚泥などを
空間燃焼させる場合、フライアツシユの発生を伴
う。このフライアツシユはボイラ伝熱面等に付着
して熱伝導を妨げたり、大気汚染を招く虞がある
ので取除かねばならない。特に、下水汚泥の焼却
の結果発生するアツシユは年々増大するため、こ
れを投棄する場所にも困り新な問題を提起するこ
ととなつた。

一方、焼却によつて得られた灰分は、溶融して
スラグ化すれば、六価クロムの溶出もほとんど見
られずセメントの骨材や断熱材等として安定して
利用できる。このことから、灰分の再利用による
資源の有効利用を図る上で溶融して取出すことが
望まれる。そこで、下水汚泥を焼却する際に生ず
る灰を乾燥状態のまま取出し、これを電気炉、コ
ークス炉あるいはマイクロ波等で溶融して溶融灰
を得ることが従来考えられた。しかし、この方法
は、高価な除去装置を用いて燃焼炉から灰を取出
さなければならないし、灰を再度溶融させるため
多くのエネルギを要する欠点を有する。

斯かる問題点に着目し、本考案者等は、微粉炭
を燃焼させるスラグタツプサイクロン燃焼炉に着
目した。このスラグタツプサイクロン燃焼炉は、
燃焼用空気を旋回させつつ噴射して燃料即ち微粉
炭に強い旋回運動を与えて遠心作用で粗粒と微粒
に分離し、粗粒石炭を壁面内の溶融スラグ膜上に
捕獲させて空気との著しい相対速度の下に燃焼に
必要な滞留時間を与える一方、微粒石炭を浮遊状
態で揮発分とともに極めて短時間で燃焼させるこ
とにより、高い火炉負荷での燃焼を実現させて灰
分の捕集を高率で達成しようとするものである。
したがつて、このスラグタツプ炉にあつては、燃
焼用空気及び燃料の乱れの無い良好な旋回流・渦
流が望まれる。

しかるに、従来のスラグタツプ炉は、内壁に耐
火物のライニングが施されているため、遠心作用
を受けて飛ばされた粗粒可燃物が次々に付着して
凹凸面を形成し炉内の渦流を乱す虞がある。

本考案は、バーナ近傍の炉上流部に溶融灰が堆
積することの無いスラグタツプ炉を提供すること
を目的とし、バーナと隣接する炉の上流部を、内
部のウオータジヤケツトに冷却流体を通して壁面
温度を灰の溶融温度以下に冷却保持する金属製の
内壁で構成し、溶融灰を急冷して付着するものを
妨げたものである。

以下本考案の構成を図面に示す一実施例に基づ
いて詳細に説明する。

本考案に係るスラグタツプ炉の一実施例を中央
縦断面図で示す。このスラグタツプ炉１は、バー
ナ２と隣接する上流部分３に耐火物のライニング
を施していない金属製の内壁４を採用した点に特
徴を有する。この炉上流部３の内壁４は、耐熱性
に富む金属例えばハイニツケルステンレスステイ
ールあるいは熱伝導性にすぐれた銅等によつて構
成され、外壁５との間に流れる冷却流体によつて
灰の溶融温度以下換言すれば灰が付着性を帯びる
温度以下例えば約800℃以下に冷却されている。
冷却流体としては、水あるいは空気もしくは油等
が使用できる。この冷却流体を通過させる内壁４
と外壁５との間の流路即ちウオータジヤケツト６
は、中仕切板７において連通する二重環状室に画
成され、冷却流体導入管から流入した冷却流体を
内壁４に沿つて全周域から上昇させて冷却流体排
出管９から排出するものである。尚、中仕切板７
はスペーサ１０を介して外壁５との間に一定間隔
をあけて外壁５に取付けられている。尚、冷却流
体の供給は、図示しないポンプ等を使つて、外気
を圧送したり水あるいは油等を循環させることに
より行なわれる。

スラグタツプ炉１の上流部３を除く他の部分
は、耐火物１１のライニングで覆われている。こ
の耐火物１１のライニングは、内壁１２と外壁１
３との間の流路１８に流される冷却流体によつて
冷却され、スポーリングを起して崩れぬように配
慮されている。この耐火物ライニング１１の冷却
を図る冷却流体は、上述した金属製内壁４を冷却
するものと同じく、水あるいは空気若しくは油等
が使用可能である。

また、本実施例におけるバーナ２は、旋回器１
４を有し主たる燃焼用空気を旋回させつつ噴射す
るエアノズル１５と、このエアノズル１５の外方
から粉状の固体燃料を噴射する燃料ノズル１６
と、この燃料ノズル１６の更に外方から燃焼用空
気の一部を旋回させつつ噴射する二次エアノズル
１７とを同心上に組合せた三重管構造とされてい
る。このバーナ２にあつては、燃料ノズル１６か
ら搬送空気に乗せて固体燃料が噴射されると共に
その内側から燃焼用空気の大部分を占める多量の
空気が旋回噴射されているため、旋回空気の自由
渦部分で燃料が剪断力を受けて細かく分断されて
速やかに燃焼用空気と混合される。このため、粒
径の細かな固体燃料は自由渦内において空間燃焼
し、粒径の大きな固体燃料は旋回する燃料用空気
によつて激しい加速旋回作用を受けて炉内壁面へ
向けて飛び散る。尚、二次エアノズル１７からは
燃焼用空気の一部例えば10％程度が炉内壁たるラ
イニングの冷却を図るため必要に応じて噴き出さ
れることもある。

而して、斯かる構成のスラグタツプ炉１にあつ
ては、操業中上流部３の流路６に適量の冷却流体
を通して金属製内壁４を灰の溶融温度以下に冷却
して保つ。灰の溶融温度以下に冷却された金属製
内壁４は、向かつてくる粗粒固体燃料が溶融して
いようと未溶融であろうとこれを冷却して粘着性
を無くさせる。依つて炉上流部３の内壁４には溶
融スラグ膜が形成されない。

以上の説明より明らかなように、本考案のスラ
グタツプ炉は、バーナと隣接する炉の上流部を金
属製の内壁で構成し、その内部に冷却流体を流し
て壁面温度を灰の溶融温度以下に冷却するように
したので、燃焼用空気の旋回流に乗つて炉壁まで
飛ばされる固形可燃物が溶融状態であつても、急
冷されて粘着性を失い付着せずに落下する。した
がつて、このスラグタツプ炉にあつては、バーナ
と隣接する炉上流部にスラグ膜の凹凸が形成され
ないため、固体燃料に十分な遠心作用を与える以
前の噴射直後の旋回流を乱すことがない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係るスラグタツプ炉の一実施例
を示す中央縦断面図である。 １……スラグタツプ炉、２……バーナ、３……
炉上流部、４……炉上流部の内壁、６……冷却流
体を通す流路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. バーナと隣接する炉の上流部を、内部のウオー
   タジヤケツトに冷却流体を通して壁面温度を灰の
   溶融温度以下に冷却保持する金属製内壁で構成し
   たことを特徴とするスラグタツプ炉。