JPS6122742Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、素材加工において素材を両側から挾
持固定するチヤツク治具に係り、特に鍛造素材を
加工する際に用いるのに好適なチヤツク治具に関
する。

一般に、例えばＬ形状あるいは十字状をなす鍛
造素材を加工する場合には、対向する一対のチヤ
ツク本体を有するチヤツク治具を用い、前記素材
を両側から挾持固定して行なう方法が採られてい
る。

ところでこの種のチヤツク治具には、一方のチ
ヤツク本体の素材との対向面が平担面に形成され
ているとともに、他方のチヤツク本体の素材との
対向面に素材形状に合わせたＬ形状あるいは十字
状の溝が形成されている構造のものとがあるが、
従来異なる寸法、形状の素材を挾持固定するため
には、溝が設けられたチヤツク本体ごと対応する
溝形状を有するチヤツク本体と交換する必要があ
り、交換作業に多大な時間を要するという欠点が
ある。

また、同一形状の素材であつても二面幅のばら
付き、鍛造時の上型と下型との喰い違い等多少の
寸法誤差があるとともに、素材が変形している場
合もある。そしてこのような場合には、素材形状
に合つた溝を有するチヤツク本体を用いて素材が
がた付いたり芯出しができないことがある。特
に、両方のチヤツク本体に溝が設けられている場
合にはこの傾向が著しい。

このため従来は、段取替え毎にチヤツク本体の
溝部に肉盛りをしたり摺り合わせを行なつている
がこの作業が容易でなく工程上隘路となつてい
る。

本考案は、かかる現況に鑑みなされたもので、
段取替えが簡単にでき、また素材の多少の変形や
ばら付きがあつても肉盛りあるいは摺り合わせを
行なうことなく素材を確実に固定することがき、
また芯出しも容易なチヤツク治具を提供すること
を目的とする。

本考案は、各本体を、本爪と本爪の素材対向部
に着脱可能に取付けられる駒爪とから構成し、段
取替え時には駒爪のみを着脱交換するようにして
段取替えを簡略化し、また駒爪を本爪に対して素
材挾持方向と直角な平面内で移動可能とし、しか
も対向する駒爪の移動方向が互いに直交するよう
にし、素材に変形に変形やばら付きがある場合に
はこれに合わせて駒爪を移動させ、肉盛りや摺り
合わせを行なうことなく素材の固定および芯出し
を容易に行なうことができるようにしたことを特
徴とする。

以下、本考案の第１実施例を第１図ないし第７
図を参照して説明する。

第１図および第２図はロータリ専用機における
チヤツク治具を示すもので、このチヤツク治具
は、対向方向に進退動する一対の本爪１，２各本
爪１，２の対向面にそれぞれ装着され両側からＬ
形管状の鍛造素材Ａを挾持固定する駒爪３，４お
よび各駒爪３，４の鍛造素材Ａとの対向面中央部
に装着される補正ブロツク５，６等から構成され
ている。

前記各本爪１，２は、第３図および第４図に示
すように、図示しないスライド基体に取付けるた
めの４個ずつの取付孔７，８をそれぞれ備えてお
り、各本爪１，２の駒爪３，４との対向面には、
中心線位置で直交する横方向の蟻溝９および縦方
向の蟻溝１０がそれぞれ設けられている。一方、
各本爪１，２に対応する各駒爪３，４の本爪１，
２との対向面には、第１図および第２図に示すよ
うに、各蟻溝９，１０に係合される蟻状突起１
１，１２が一体に設けられ、各駒爪３，４は、各
蟻溝９，１０おび蟻状突起１１，１２の長手方向
にそつて各本爪１，２に対し水平方向または垂直
方向にスライド移動可能となつている。

各蟻溝９，１０と各蟻突起１１，１２との間に
は、両者間の間隙を埋めるキー部材１３が長手方
向に亘つて嵌入され、また各本爪１，２には、先
端が前記各キー部材１３に達するねじ孔１４，１
５が蟻溝９，１０の長手方向にそつて３個ずつ設
けられている。そして、各蟻溝９，１０を係合さ
れた蟻状突起１１，１２は、前記ねじ孔１４，１
５に螺入される止めねじ（図示せず）により前記
キー部材１３を介して押圧され、任意の摺動位置
で板固定されるようになつている。

前記キー部材１３は、第５図および第６図に示
すように断面平行四辺形の棒状をなしており、そ
の前記ねじ孔１４，１５に対向する部位には、図
示しない前記止めねじの先端が嵌入される凹部１
３ａが３箇所に設けられている。そして、前記止
めねじを緩めて駒爪３，４をスライド移動させる
際に、凹部１３ａ内に止めねじの先端が嵌入され
ているキー部材１３が駒爪３，４とともに蟻溝
９，１０内を摺動しないように考慮されている。

前記各駒爪３，４の鍛造素材Ａとの対向面に
は、第１図、第２図および第７図に示すように両
側面が斜面をなす断面台形状のＬ形溝１６，１７
が対向してそれぞれ設けられており、Ｌ字形鍛造
素材（例えばエルボ）Ａは両Ｌ形溝１６，１７に
嵌入された状態で駒爪３，４により両側から挾持
固定されるようになつている。そして、鍛造素材
Ａの多少の寸法誤差は、各Ｌ形溝１６，１７の斜
面をなす両側面により吸収できるようになつてい
る。

これら両駒爪３，４の鍛造素材Ａとの対向面中
央部には、第１図、第２図および第７図に示すよ
うに四隅部の丸穴１８，１９を有する方形穴２
０，２１がそれぞれ設けられており、各方形穴２
０，２１内には前記補正ブロツク５，６が着脱交
換可能に嵌入され、各補正ブロツク５，６は蟻状
突起１１，１２側から補正ブロツクに螺入された
止めねじ２２，２３により固定されている。

前記一方の補正ブロツク５の鍛造素材Ａとの対
向面には、第７図に示すようにＬ形溝１６の斜面
をなす外側の側面の位置よりもやや内側位置に斜
面５ａが設けられ、またＬ形溝１６の底面に対応
する位置にやや浅底の底面５ｂが設けられてい
る。補正ブロツクの面５ｃは駒爪３の表面と同じ
高さにある。

一方、他方の補正ブロツク６は前記補正ブロツ
ク５と対称形状をなしており、その鍛造素材Ａと
に対向面には、第１図および第２図に示すように
前記斜面５ａおよび底面５ｂと同様の斜面６ａお
よび底面６ｂがそれぞれ設けられている。

これら両補正ブロツク５，６は、両Ｌ形溝１
６，１７に対する鍛造素材Ａのがた付き具合、す
なわち鍛造素材Ａの寸法誤差の程度に合わせて複
数種類ある中から適宜選択されて各駒爪３，４に
取着され、各Ｌ形溝１６，１７の両側面のみでは
吸収できない鍛造素材Ａの寸法誤差を有効に吸収
して鍛造素材Ａのがた付きを防止するようになつ
ている。

次に、作用について説明する。

鍛造素材Ａの固定に際しては、まず鍛造素材Ａ
の形状に合つた駒爪３，４を選択し、この駒爪
３，４の方形穴２０，２１内に鍛造素材Ａの寸法
誤差の程度に補正ブロツク５，６を選択して取付
ける。

次いで、この駒爪３，４の蟻状突起１１，１２
を本爪１，２の蟻溝９，１０内に嵌入し、その後
キー部材１３を挿入する。そして両本爪１，２を
接近方向に移動させて両駒爪３，４により鍛造素
材Ａを両側から挾持する。

ここで、両駒爪３，４のＬ形溝１６，１７でう
まく挾持固定できなかつたり、あるいはうまく把
持固定できても鍛造素材Ａが芯ずれしている場合
には、駒爪３を蟻溝９にそつて横方向に水平移動
させるとともに、駒爪４を蟻溝１０にそつて縦方
向に上下動させて調節する。そして調節後、ねじ
孔１４，１５に螺装されてたいる止めねじ（図示
せず）を締付けて駒爪３，４を本爪１，２に固定
する。

全く異なる形状の鍛造素材Ａを挾持する場合に
は、ねじ孔１４，１５の止めねじ（図示せず）を
緩めへ両駒爪３，４を素材形状に合つたものと交
換する。

しかして、全く異なる形状の鍛造素材Ａを挾持
固定する場合でも、従来のものと異なり治具全体
を交換する必要はなく、駒爪３，４のみを交換す
るだけでよいので取替時間を大幅に短縮すること
ができる。本出願人の比較実験によれば、従来の
ものが60ないし70分の取替え時間を要したのに対
し10ないし20分で済み、大幅に短縮できることが
確認された。

また、鍛造素材Ａに寸法誤差や変形がある場合
でも、駒爪３，４を直交方向に移動させるだけで
容易に調整することができ、しかも補正ブロツク
５，６を着脱交換するようにすれば、より正確で
広範囲の調整が可能となる。本出願人の比較実験
によれば、従来調整に３ないし５時間を要してい
たのに対し30ないし60分に短縮できることが確認
された。

また、駒爪３，４を直交方向に相対移動させる
ことにより芯出しも容易となり、従来芯出しに10
ないし30分要していたのを５ないし10分に短縮す
らことが可能となる。芯出し等の際に駒爪３，４
に肉盛りあるいは摺り合わせを施す必要が全くな
い。

第８図ないし第１０図は本考案の第２実施例を
示すもので、前記実施例における駒爪４、補正ブ
ロツク６および止めねじ２３に代えて駒爪２４、
補正ブロツク２６、および止めねじ３３を用いる
ようにしたものである。

すなわち、背面側に蟻状突起１２を有する駒爪
２４の前面側には、両側壁が斜面をなす十字状の
溝２７が設けられているとともに、中央部からや
やずれた位置には隅丸の方形穴３１が設けられて
いる。そしてこの方形穴３１の対角線方向の２箇
所には、第８図に示す止めねじ３３螺入用の雌ね
じ３４が設けられ、方形穴３１内に着脱交換可能
に装着された補正ブロツク２６を止めねじ３３に
より固定できるようになつている。

補正ブロツク２６は、第１０図に示すように円
弧状の斜面２６ａと前記溝２７の底面よりやや浅
底の底面２６ｂとを備えており、前記雌ねじ３４
に対応する部位には、止めねじ３３嵌入用の孔３
５が設けられている。

しかして、第９図に示す駒爪２４の十字状をな
す溝２７には、補正ブロツク２６の斜面２６ａに
より前記実施例の駒爪４と同様のＬ形溝が構成さ
れ、Ｌ形状をなす前記鍛造素材Ａの挾持固定が可
能となる。そして鍛造素材Ａの寸法誤差あるいは
変形は、その程度に合つた補正ブロツク２６を着
脱交換することにより吸収することができる。こ
の場合、補正ブロツク２６は駒爪２４の前面側、
すなわち鍛造素材Ａとの対向面側から着脱交換で
きるので、補正ブロツク２６の着脱交換時毎に駒
爪２４を本爪２から取外す必要がなく便宜であ
る。

また、駒爪２４には十字状をなす溝２７が設け
られているので、全く異なる形状の補正ブロツク
２６を用いれば、鍛造素材Ａが十字状あるいはＴ
形状をなしている場合でも挾持固定することがで
きる。なおこの際には、前記実施例における駒爪
３も駒爪２４と対称形状をなす駒爪を用いる必要
があることは云うまでもない。

以上説明したように、本考案は、対向する一対
の本体の各々を、本爪と、本爪の素材対向部に着
脱可能に取付けられる駒爪とから構成しているの
で、段取替え時には駒爪のみを交換すればよく、
段取替えを大幅に簡略化できる。また、駒爪は本
爪に対して素材挾持方向と直角な平面内で摺動可
能となつており、しかも対向する駒爪の摺動方向
が互いに直交するようになつているので、素材に
寸法誤差あるいは変形があつたり芯ずれがある場
合でも、駒爪をそれぞれ直交する異なる方向に摺
動させることによれ、断面形状が一様でない鍛造
成素材のような被挾持物を、両駒爪が断面形状に
最も適合した状態になるように調製した状態で安
定挾持することができる。そしてこの際、従来必
須であつたり肉盛り、摺り合わせも不要となるの
で大幅な省力化が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例を示すチヤツク治
具の正面図、第２図は第１図の平面図、第３図は
本爪の正面図、第４図は第３図の一部断面平面
図、第５図はキー部材の説明図、第６図は第５図
の左側面図、第７図は一方の駒爪および補正ブロ
ツクを鍛造素材側から見た説明図、第８図は本考
案の第２実施例を示す駒爪および補正ブロツクの
断面図、第９図および第１０図は第８図に示す駒
爪および補正ブロツクを鍛造素材側からそれぞれ
見た説明図である。 １，２……本爪、３，４，２４……駒爪、５，
６，２６……補正ブロツク、５ａ，６ａ，２６ａ
……斜面、５ｂ，６ｂ，２６ｂ……底面、９，１
０……蟻溝、１１，１２……蟻状突起、１３……
キー部材、１６，１７……Ｌ形溝、２０，２１，
３１……方形穴、２７……溝、Ａ……鍛造素材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 対向する一対の本体により鍛造成素材のよう
   な素材を両側から挾持固定するチヤツク治具に
   おいて、前記本体の各々を、本爪と本爪の素材
   対向部に着脱可能に取付けられる駒爪とから構
   成し、かつ駒爪を本爪に対して素材挾持方向と
   直角な平面図で摺動可能とし、しかも、一方の
   本体の駒爪の摺動方向と他方の本体の駒爪の摺
   動方向が直交するようにしたことを特徴とする
   チヤツク治具。 ２ 駒爪が、その素材との対向中央部に、素材形
   状に合わせて着脱交換される補正ブロツクを有
   することを特徴とする実用新案登録請求の範囲
   第１項記載のチヤツク治具。