JPS608208Y2 - ボールねじ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ボールを介してねじ軸に螺合する二つのポ
ールナツトの間に弾性部材を介在させ、ポールナツトの
螺旋溝とねじ軸の螺旋溝とに挾持され転勤自在なるボー
ルに予圧を与えたボールねじ装置に関する。

送りねじとしてボールねじを用い移動台等を精密に移動
させる装置にあっては、ねじ軸のピッチ精度、螺旋溝の
形状精度等が精密であり、又ねじ軸の回転駆動が正確で
なければならないことばもちろんであるがねじ軸とポー
ルナツトのバックラッシュを排除することも必要である
。

ねじ軸とポールナツトのバックラッシュを排除する手段
としては、ボールを介してねじ軸に螺合した二つのポー
ルナツトに互いに対向するキー溝を設けこのキー溝にキ
ーを嵌合させ二つのポールナツトの円周方向の相対回転
を阻止すると共に両ポールナツトの間に所定寸法の間座
を挿着してねじ軸の螺旋溝に対するポールナツトの螺旋
溝の位相を変化させ、ねじ軸の螺旋溝とポールナツトの
螺旋溝との間に配した転勤自在なボールに予圧力を与え
た所謂間座予圧手段が一般に用いられている。

この間座予圧手段により予圧を負荷したボールねじ装置
は、軸方向のどちらの方向から荷重が加わっても支障な
く荷重を支承でき、構造がコンパクトでユニット化され
取扱い易いという利点を有するが、ワイヤカット放電加
工機や半導体加工用ＸＹテーブル等に使用されるボール
ねじ装置では、ボールねじの軸方向荷重は比較的小さい
がボールねじによる送り速度が極低速（０，０２ｍｍ／
ｍ１ｎ）であったり、ねじ軸が小さな揺動運動となる条
件で使用される場合が多く、特にボールねじの作動の良
いことが要求されており、従来の間座予圧手段を具えた
ボールねじでは、ボールねじの回転むらが発生し易いた
め満足な作動特性を得ることができなかった。

間座予圧手段を具えたボールねじ装置の回転トルクむら
を小さくするためには、ボールねじをきわめて精密に製
作する必要があるがボールねじの精度をより精密にすれ
ばするほどボールねじの製造工数が大きくなり、ボール
ねじ装置が高価となるという欠点がある。

このような間座予圧手段を具えたボールねじ装置の前記
欠点を解消したものとしては、間座予圧手段の間座の代
りに二つのボールナツトの間に弾性部材を挿着して二つ
のボールねじナツトの夫々に互いに反対方向の押圧力を
負荷しねじ軸の螺旋溝とポールナツトの螺旋溝との間に
配された転勤自在なボールに予圧力を与えた所謂ばね予
圧手段も提案されている。

このばね圧予圧手段を具えたボールねじ装置は、間座予
圧手段のものに比ベボールねじの回転トルクむらが少い
という利点を有する。

しかし、構造がコンパクトでユニット化され取扱い易い
、ばね予圧手段を具えた従来のボールねじ装置としては
、二つのポールナツトの間に弾性部材である皿ばねを介
在させたものが公知であるが、このものは皿ばねを位置
決めするためポールナツトの端面に皿ばねの外周または
内周を受ける円形の縁を設は皿ばねが使用中ねじ軸と接
触することを防止したものであったので、ポールナツト
の加工工数が大きくなりポールナツトの製作コストが高
くなるという欠点があった。

また、このポールナツトは、間座予圧手段にも共用でき
るものではなかった。

この考案は、前記従来のばね予圧手段を具えたボールね
じ装置の欠点に注目してなされたもので、その目的とす
るところは、回転トルクむらが少く作動が良好なボール
ねじ装置であって、ユニット化され、取扱い易い安価な
ボールねじ装置を提供するにある。

また、この考案の他の目的は、従来の標準化された間座
予圧手段を具えたボールねじ装置の設計を変更すること
なくばね予圧手段を具えたボールねじ装置を得ることに
ある。

この目的を遠戚するため、この考案は、二つのポールナ
ツトの間に外周を切欠いた皿ばね等の弾性部材を介在さ
せ、この弾性部材に設けた切欠を二つのポールナツトの
相対回転を阻止するキーに係合させて弾性部材の位置決
めを行ったものである。

次に、この考案に係る実施例を図面により説明する。

ねじ軸１は、外面に断面円弧状の螺旋溝２を有する軸で
ある。

第１のポールナツト３は、ねじ軸の螺旋溝２と対応する
螺旋溝４を内面に有し、一方の端面にフランジ５を有す
る円筒状部材で、この螺旋溝４とねじ軸の螺旋溝２との
間には多数のボール６が配され、ボール６は螺旋溝２，
４に沿って転勤自在とされている。

このボール６の介在により第１のボー、ルナット３は、
ねじ軸１に対して相対的に螺旋運動可能となっている。

ねじ軸１と第１のポールナツト３の相対運動によりボー
ル６は、螺旋溝２，４に沿って転勤移動し第１のポール
ナツト３に付設したボール循環用ポールナツト７を通っ
て循環可能となっている。

この実施例の第１のポールナツト３は、ボール循環路を
二組有する例が示されており、８は、もう一方のボール
循環路を構成するボール循環用ボールチューブである。

このボール循環用ポールチューブ７．８は、押え金９に
より第１のポールナツト３に固定され、押え金９は、ね
じ１０により第１のポールナツト３に装着されている。

第１のポールナツト３のフランジ５を有する側と反対側
の端部には、端面に達する軸方向のキー溝１１が二つ対
称位置に設けられ、キー溝１１の溝底には、ねじ穴１２
が設けである。

第２のポールナツト１３は、第１のポールナツト３のナ
ツト外面と同じ径寸法のナツト外面を有し、内面にねじ
軸の螺旋溝２と対応する螺旋溝１４を有している。

第２のポールナツトの螺旋溝１４とねじ軸の螺旋溝２と
の間には、多数のボール１５が配され、第２のポールナ
ツト１３は、ボール１５の転勤を介してねじ軸１に対す
る相対螺旋運動を可能とされている。

ねじ軸１と第２のポールナツト１３の相対螺旋運動によ
りボール１５は、螺旋溝２，１４に沿って転勤移動し第
２のポールナツト１３に付設したボール循環用チューブ
１６または１７を通って循環可能となっている。

このボール循環用ポールチューブ１６．１７は、押え金
１８により第２のボールナツト１３に固定され、押え金
１８は、ねじ１９により第２のポールナツト１３に固着
されている。

第２のポールナツト１３の一方の端部には、端面に達す
る軸方向のキー溝２０が二つ対称位置に設けられている
。

この第２のポールナツトのキー溝２０は、第１のポール
ナツトのキー溝１１と深さ、幅が同一となっている。

第１のポールナツト３と第２のポールナツト１３は、所
定の間隔離間され、対向するキー溝１１．２０には、キ
ー２１が嵌合されている。

キー２１は、第１のポールナツト３のキー溝１１に設け
たねじ穴１２に螺合する小ねじ２２により第１のポール
ナツトに固定されている。

キー２１により第２ボールナツト１３は、第１のポール
ナツト３に対して円周方向の相対回転を阻止されている
が、軸方向には相対的に滑動可能となっている。

第１のポールナツト３と第２のポールナツト１３の対向
する端面の間には、ねじ軸１の外径寸法より大きい寸法
の内径を有し、キー２１に係合する切欠２３を外周に設
けた弾性部材である皿ばね２４が２枚背中合せとされ軸
方向の弾性変形を与えた状態で挿着されており、第１の
ポールナツト３と第２のホールナツト１３は、互いに遠
ざかる方向に付勢されている。

皿ばねは、ポールナツトを付勢する弾性部材として専有
するスペースが小さいので望ましいが、ゴム等の弾性部
材を用いることができる。

第１のポールナツト３と第２のポールナツト１３は、キ
ー２１により円周方向の相対回転を阻止されているので
、第１のポールナツトの螺旋溝４と第２のポールナツト
の螺旋溝１４は、相対的に軸方向に変位し第１のポール
ナツトの螺旋溝４または第２のホールナツトの螺旋溝１
４とねじ軸の螺旋溝２との間に介在するボール６．１５
を押圧し、ボール６．１５には予圧力が負荷される。

皿ばね２４に設けた切欠２３は、キー２１と若干の隙間
を有する形状とな腰皿ばね２４が、第１のおよび第２の
ポールナツト３，１３とほぼ同心位置に位置するように
されている。

皿ばねの切欠２３は、キー２１と係合する２個の切欠の
他ポールナツトに加わる力が平均するようにさらに２個
の同じ形状の切欠を設けて４個の切欠を円周方向に等配
としである。

この実施例では、皿ばね２４に４個の切欠２３を設けた
例を示したが、切欠２３の数は、４個にかぎるものでは
ない。

以上のように構成したこの考案のボールねじ装置は、二
つのポールナツトの間に挿着した弾性部材に切欠を設け
、この切欠を二つのポールナツトの相対回転を阻止する
キーと係合させたので、従来のボールねじ装置のように
ポールナツトに弾性部材である皿ばねを位置決めをする
ための円周縁を設けなくても弾性部材のずれによる不具
合が起ることがなく、従来標準化されている間座予圧手
段を有するボールねじ装置の間座の代りに切欠を設けた
弾性部材を挿着すれば、きわめて簡単にばね予圧手段を
有するボールねじ装置を得ることができるという効果を
有する。

また、特殊な形状のポールナツトを用いる必要がないの
で、間座予圧手段またばばね予圧手段を有するボールね
じ装置のポールナツトを共用することができるという効
果も有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案に係るボールねじ装置の実施例の一
部縦断面を有する正面図、第２図は、第１図の部品の正
面図、第３図は、第２図の部品の右側面図である。 １・・・・・・ねじ軸、３・・・・・・第１のポールナ
ツト、６．１５・・・・・・ボール、１１．２０・・・
・・・キー溝、１３・・・・・・第２のポールナツト、
２１・・・・・・キー、２３・・・・・・切欠、２４・
・・・・・皿ばね。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 螺旋溝を外面に有するねじ軸と、該ねじ軸に夫々挿通さ
   れ前記ねじ軸の螺旋溝に対応する螺旋溝を夫々内面に有
   し且つ互いに対向する端面に達する軸方向のキー溝を夫
   々外面に有する第１のボールナツトおよび第２のポール
   ナツトと、該第１のポールナツトの螺旋溝または前記第
   ２のポールナツトの螺旋溝と前記ねじ軸の螺旋溝に夫々
   嵌合し転勤自在な多数のボールと、前記第１のポールナ
   ツトのキー溝および前記第２のボールナツトツキ−溝に
   嵌合し前記第１のポールナツトと前記第２のポールナツ
   トの円周方向の相対回転を阻止するキーと、前記第１の
   ポールナツトと前記第２のポールナツトの互いに対向す
   る端面の間に挿着され前記キーに係合する切欠きを外周
   に有し前記第１のポールナツトと前記第２のポールナツ
   トを互いに反対方向に押圧する弾性部材とを具えたボー
   ルねじ装置。