JPS6037901Y2 - 自動二輪車の前輪懸架装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は前輪の上下動を側面四辺形リンク機構の変形作
動を応用して行わせるようにした自動二輪車の前輪懸架
装置に関する。

自動二輪車の前輪を車体に懸架し路面の凹凸に追従させ
て上下動させる従来の一般的な前輪懸架装置は、摺動自
在な緩衝器を構成するフォークパイプとボトムケースか
らなるフロントフォークによるテレスコ−ピック型であ
るが、特開昭５４−７０５３５号として新らたな懸架装
置が提案されている。

この懸架装置はフロントフォークを上下のアッパーフォ
ークとロアーフォークとて構成し、アッパー、ロアー両
フォークを前後２本で一組を威すアームによって連結す
ることによりこのフロントフォークを側面四辺形リンク
機構としたもので、前輪を支承する前輪車軸は前後２本
のアームとロアーフォークとの枢着部よりも前方に位置
してロアーフォークに設けられている。

又緩衝器が側面四辺形リンク機構の内部に配置されるな
どして四辺形リンク機構を構成する２部材の間に架設さ
れ、この緩衝器は前輪の左右に形成される四辺形リンク
機構別に２個配置されている。

路面の凹凸による前輪の上下動は四辺形リンク機構が変
形作動することによって威され、前輪の上動、これに伴
う四辺形リンク機構の変形作動を緩衝器が緩衝する。

以上の如き構成、作用となっているこの種前輪懸架装置
の利点は、従来よりも前輪の上下動ストロークを大きく
でき、モトクロス等の競技用自動二輪車の前輪懸架装置
として好適すること、前輪の大きな上下動ストロークに
比して緩衝器の伸縮量を小さくでき、従って緩衝器を軽
量、小型化できること等である。

ところで上述のように緩衝器を側面四辺形リンク機構の
内部やこれの近くに配置するのではなく、例えば１個の
緩衝器により左右の四辺形リンク機構の変形作動を緩衝
できるようにアッパーフォークの上部に緩衝器を配置す
ることも可能である。

この場合には四辺形リンク機構と緩衝器とを繋ぐ荷重伝
達手段が必要となるが、この伝達手段を構成する部材に
は四辺形リンク機構の作動荷重、緩衝器の緩衝力が作用
することとなり、荷重に対して最も大きな強度をこの部
材が発揮するように荷重伝達手段を構成することが望ま
れる。

本考案は側面四辺形リンク機構式懸架装置の利点を活か
しつつ上記の如き荷重伝達手段を実現すべく案出された
ものである。

本考案の目的は、側面四辺形リンク機構の変形作動によ
り前輪を上下動させ、前輪の上動による該四辺形リンク
機構の変形作動を緩衝器により緩衝するようにした自動
二輪車の前輪懸架装置において、緩衝器と四辺形リンク
機構とを荷重伝達手段を構成するロンドを介して連結す
るとともに、前輪の上動に伴う四辺形リンク機構の変形
作動によりこのロンドに引張力が作用して緩衝器を圧縮
せしめることができるようにし、ロンドを圧縮ロッドと
した場合よりも強度的に有利であり、四辺形リンク機構
と緩衝器間の荷重伝達を有効に行えるようにした自動二
輪車の前輪懸架装置を提供する処にある。

以下に本考案の好適一実施例を添付図面に基づいて詳述
する。

第１図は本考案に係る装置が適用された自動二輪車１０
の全体側面図で、前輪懸架装置を構成するフロントフォ
ーク１１は上下のアッパーフォーク１２、ロアーフォー
ク１３の組み合せからなる。

アッパーフォーク１２は車体フレーム１４の前端のヘッ
ドパイプ１５部分に左右回動操作自在に枢着保持され、
この回動操作はアッパーフォーク１２に取り付けたバン
ドル１６によって威される。

アッパーフォーク１２は第４図の通り左右のサイドメン
バー１２ａ、１２ｂを備え、ロアーフォーク１３は第３
図の通りサイドメンバー１３ａｉ３ｂと、これらの後端
間を結合するクロスメンバー１３ｃとからなり、図示例
ではロアーフォーク１３はメンバー１３ ａｔ １３
ｂｔ １３ ｃが一体成形された平面Ｕ字形となっ
ている。

第２図の通りアッパーフォーク１２には前後２本のアー
ム１７．１８の上部が軸１７ａ、１８ａで枢着され、ア
ーム１７．１８の下端はロアーフォーク１３に軸１７ｂ
、１８ｂで枢着され、この前後２本で１組を威すアーム
１７．１８の組は第３図の通りアッパー、ロアーの各フ
ォーク１２゜１３のサイトメ７バ１２ ａｔ １２
ｂ、１３ ａ。

１３ｂ別に１組づつ計２組あり、アーム１７，１８の左
右２組によってアッパーフォーク１２とロアーフォーク
１３は連結されている。

これによりアッパーフォーク１２を固定リンクと腰ロア
ーフォーク１３、アーム１７，１８を可動リンクとする
側面四辺形リンク機構１９が構成され、この四辺形リン
ク機構１９は左右に形成される。

ロアーフォーク１３のサイドメンバー１３ａ、１３ｂは
アーム１７，１８の下端を連結した傾斜部１３ｄから前
方へ延びる延出部１３ｅを有し、この延出部１３ｅの先
端に前輪２０を支承する前輪車軸２１が設けられ、車軸
２１は軸１７ｂ、１８ｂによるアーム１７．１８とロア
ーフォーク１３との枢着部よりも前方に位置してロアー
フォーク１３に設けられている。

前後２本のアーム１７．１８のうちいずれか一方、本実
施例では幅広で厚肉とした前側のアーム１７に軸１７ａ
によるアッパーフォーク１２との枢着連結部を越えて上
方に延出する先部１７ｃを一体に形成する。

この延出先部は必ずしも前側のアーム１７に設ける必要
はなく後側のアーム１８に設けてもよい。

第１図の通り緩衝器２２をバンドル１６の前方、具体的
にはフロントフェンダ−２３の上部であってアッパーフ
ォーク１２の上部前面に１個配置し、これにより単一の
緩衝器２２を用いることができて部品点数の削減、重量
の軽減が図られ、更には泥等に付着が防止される。

第４図の通りアッパーフォーク１２の頂部に架設した水
平軸２４に緩衝器２２の上端を前後揺動自在に取り付け
る。

アッパーフォーク１２にはサイドメンバー１２ａ、１２
ｂ毎にクランク手段２５．２５を設け、このクランク手
段２５は、サイドメンバーに左右方向に貫通せしめられ
て回転自在となっている軸部材２６と、アッパ−フォー
ク１２内側面に突出した軸部材２６の軸端に基端が結合
され、前方に延びる第１揺動腕２７と、アッパーフォー
ク１２外側面に突出した軸部材２６の軸端に基端が結合
され、後方へ延びる第２揺動腕２８とからなり、左右の
クランク手段２５．２５の同第１揺動腕２７，２７に架
設した連結軸２９に緩衝器２２の下端を回動自在に枢着
連結する。

第５図はクランク手段２５の分解図を示し、軸部材２６
の両軸端にセレーション、スプライン等の凹凸部２６
ａ、 ２６ ｂを形成し、第１、第２揺動腕２７，２
８の基端にこの凹凸部と対応する内歯を備える孔２７ａ
ｗ２８ａを設け、凹凸部２６ａ、２６ｂと孔２７ａ＊２
８ａを嵌合し、抜は止め用ネジ３０．３１を螺着して軸
部材２６に揺動腕２７，２８を結合する。

第２揺動腕２８の後端にクランク手段２５とともに側面
四辺形リンク機構１９と緩衝器２２間を繋ぐ荷重伝達手
段を構成するロッド３２の後端を軸３２ａで回動自在に
連結し、ロッド３２の下端は前記前側のアーム１７に設
けられた延出先部１７ｃに軸３２ｂで連結する。

このロッド３２は左右の四辺形リンク機構１９，１９、
クランク手段２５．２５毎に設けられる。

ロッド３２の下端はこのようにアーム１７の延出先部１
７ｃに、或は後側のアーム１８に既述の如く延出先部を
設けた場合にはこの延出先部に連結することの他、ロア
ーフォーク１３に連結することも可能であるが、前輪２
０の上動ストロークに対する緩衝器２２の適切な圧縮量
を得るためには本考案のようにアーム１７．１８のいず
れか一方に連結することが好しく、更に具体的には後側
のアーム１８は側面四辺形リンク機構１９が変形作動す
る場合の補助的役割を担うものであるため、ロッド３２
の下端は厚肉で幅広に形成されている前側のアーム１７
に本実施例の通り連結することが好しい。

このようにロッド３２の下端の連結部材を前側のアーム
１７とすることは、側面四辺形リンク１９の変形作動時
における移動量が後側のアーム１８よりも前側のアーム
１７で大きいため、緩衝器２２の圧縮量を必要８得る上
でも効果を発揮する。

又、側面四辺形リンク機構１９の内部には緩衝器２２は
配置されておらず、このリンク機構１９の変形作動を緩
衝器２２の重量を除いて行わせることができ、アッパー
フォーク１２の前面上部に設けられた緩衝器２２から下
部の所謂バネ下荷重の軽減により前輪２０の路面凹凸に
対する追従性を向上させることができ、更にこの緩衝器
２２をフロントフォーク１１の左右回動中心である前記
ヘッドパイプ１５に近づけて配置できるようになり、従
ってハンドル１６操作のさいのフロントフォーク１１の
左右回動慣性モーメントを減少させることができる。

又、緩衝器２２はハンドル１６の周囲が開放された前方
に配置されているため、緩衝器２２の取り付け、取り外
し等のメインテナンス性も向上する。

更に又、左右２本のロッド３２，３２はアッパーフォー
ク１２の側面に沿って延設され、側面四辺形リンク機構
１９から離れた位置に緩衝器２２を配置しても、これら
を繋ぐロッド３２を含めたフロントフォーク１２の幅寸
法を必要最小限に抑えることができる。

路面の凹凸に追従した前輪２０の上下動はアッパーフォ
ーク１２を固定リンクとして側面四辺形リンク機構１９
が変形作動することにより行われ、この変形作動は、第
２図の通り後下方に収束するように配置された前後２本
のアーム１７，１８の延長交叉点Ａを瞬間中心として前
輪支持部材であるロアーフォーク１３が回動変位するこ
とによって威され、ロアーフォーク１３先端の前輪車軸
２１がハンドル回動操作軸Ｂ−Ｂと略々平行であって略
々直線状の線分Ｃ−Ｃに従って上下動する。

前輪２０の上動による四辺形リンク機構１９の変形作動
によりアーム１７は軸１７ａを中心として反時計方向へ
回動腰このアーム１７の先部１７ｃに連結されたロッド
３２が引き下げられる。

即ちロッド３２は引張力が作用する引張ロッドとなる。

クランク手段２５の第１、第２揺動腕２７．２８はロッ
ド３２の引き下げにより時計方向に回動し、これにより
緩衝器２２は圧縮せしめられ、前輪２０の上動、四辺形
リンク機構１９の変形作動に対する緩衝力を発生する。

既述の通りクランク手段２５の第１、第２揺動腕２７，
２８は軸部材２６にセレーション、スプライン等の凹凸
部２６ａ、２６ｂによって結合され、第１、第２揺動腕
２７．２８の取付角度を自由に変更できるようになって
いるため、緩衝器２２の緩衝力特性を路面条件に適合し
たものに任意に設定することができる。

又、クランク手段２５を軸部材２６と２個の揺動腕２７
，２８の別部材の組み合せで構成したため、軸部材２６
には捩り力のみが作用し、揺動腕２７，２８には曲げモ
ーメントのみが作用し、クランク手段を１個のクランク
状部材によって構成した場合の如く複合荷重が１個の部
材に作用するのを回避できる。

以上の実施例では緩衝器２２の上端をアッパーフォーク
１２に取り付けたため、引張ロッド３２の引張作用で緩
衝器２２が圧縮せしめるようにするために荷重伝達方向
を反転できるクランク手段２５をロッド３２と緩衝器２
２との間に介在させたが、緩衝器２２の下端をアッパー
フォーク１２に取り付けた場合にはクランク手段２５は
不要となり、緩衝器の上端にロッド３２を連結すること
によりロッド３２の引張力によって緩衝器２２を圧縮さ
せることができ、本考案はかかる実施例をも含むもので
ある。

以上の説明で明らかな如く本考案によれば、側面四辺形
リンク機構と緩衝器とを繋ぐ荷重伝達手段のロッドを引
張力が作用する引張ロッドとすることができ、ロッドを
強度的に最も大きくして用いることができ、上記荷重伝
達手段の強度、剛性の向上を遠戚できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は自動二輪車の全体側面図、第２図は側面四辺形
リンク機構部分の側面図、第３図はロアーフォーク部分
の斜視図、第４図はアッパーフォーク部分の斜視図、第
５図は第４図におけるクランク手段の分解図である。 尚図面中、１２はアッパーフォーク、１３はロアーフォ
ーク、１７．１８はアーム、１９は側面四辺形リンク機
構、２０は前輪、２１は車軸、２２は緩衝器、３２はロ
ッドである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. アッパーフォークとロアーフォークとを前後２本で１組
   を威すアームによって連結することにより構成した側面
   四辺形リンク機構と、該リンク機構の変形作動を緩衝す
   る緩衝器と、上記前後２本のアームとロアーフォークと
   の枢着部よりも前方にロアーフォークに設けられた前輪
   車軸とからなる自動二輪車の前輪懸架装置において、上
   記前後２本のアームのいずれか一方に該一方のアームド
   アツバ−フォークとの枢着部を越えて上方へ延びる先部
   を設け、該先部にロンドの下端を連結するとともに、該
   ロンドの上端を中間部でアッパーフォークに枢支された
   クランク手段の一端部に連結し、上記緩衝器の上下一端
   部をアッパーフォークに連結し、該緩衝器の上下他端部
   をクランク手段の他端部に連結してなり、前輪の上動に
   よる側面四辺形リンク機構の変形作動により当該ロンド
   に引張力が作用して緩衝器を圧縮せしめるように構成し
   たことを特徴とする自動二輪車の前輪懸架装置。