JPH0818593B2 - 自動二輪車 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は車体中央から前方に延出したアームを前輪を
支持するステアリングアームに連結するようにした自動
二輪車（自動三輪車を含む）に関する。

（従来の技術） 従来のテレスコーピックタイプのフロントフォークを
廃止し、その代り車体中央から前方に延出したアームに
前輪のステアリングアーム（プレート）を連結するよう
にした自動二輪車は特公昭58−49435号として知られて
いる。

この自動二輪車は車体中央のエンジンに連結プレート
を固着し、この連結プレートに前方に延出される上部ア
ーム及び下部アームの基部を揺動自在に枢支し、更に上
部アーム及び下部アームの前端部を前輪のステアリング
プレートに連結したものである。

（発明が解決しようとする問題点） 上述したようにテレスコーピックタイプのフトントフ
ォークを廃止すれば、それだけ車体重心を低くでき、且
つ車体重量を軽減させることができる。

そして、従来例にあっては車体中央のエンジンにアー
ムの基端部を支持すべく、エンジンに連結プレートを固
着し、この連結プレートにアームを枢着しているのであ
るが、アームの枢着部に車体重量が作用するため、連結
プレートのエンジンに対する固着も強固なものとしなけ
ればならず、連結プレート自体の厚みも大とする必要が
ある。

また、連結プレート自体はその面積が小さく、このた
めアームの枢着位置も制限され、その結果アームの形状
を大きく側方に湾曲させて前輪の操舵を逃げるようにし
なければならない。更に連結プレートに緩衝器の一端を
支持する場合にはスペース的な制限が課せられる。逆に
連結プレートの面積を大きくすれば、エンジンに対する
固着強度を高めるため更に連結プレートの重量が増加す
る。

（問題点を解決するための手段） 上記問題点を解決すべく本発明は、請求項１の発明で
は、車体中央のフレームから前方に前部アームを延出
し、この前部アームを前輪のステアリングアームに連結
するようにした自動二輪車において、前記中央のフレー
ムはエンジンとこのエンジンの側面に固着されたサイド
フレームによって構成され、このサイドフレームはルー
プ状をなし、側面から見て前記サイドフレームのループ
内にはクランクケースカバー及びミッションケースカバ
ーが見えるとともに、ループ外にはシリンダヘッド部分
が見える構成とし、前記サイドフレームは前記前部アー
ム及び後部アームの基部が揺動自在に支持されるよう構
成した。

請求項２の発明では、車体中央のフレームから前方に
前部アームを延出し、この前部アームは上部アームと下
部アームとで構成し、前記上部アームと下部アームを前
輪のステアリングアームに連結するようにした自動二輪
車において、前記中央のフレームはエンジンとこのエン
ジンの側面に固着されたサイドフレームによって構成さ
れ、このサイドフレームはループ状をなし、側面から見
て前記サイドフレームのループ内にはクランクケースカ
バー及びミッションケースカバーが見えるとともに、ル
ープ外にはシリンダヘッド部分が見える構成とし、前記
サイドフレームは前記上部アームと下部アーム及び後部
アームの基部が揺動自在に支持されるよう構成した。

（作用） サイドフレームをループ状とすることで軽量化を達成
しつつ、前後及び上下方向からの荷重に対し大きな剛性
を発揮させることができる。又、この高剛性中央フレー
ムに剛性を要する前部アーム基部及び後部アーム基部を
支持させることでフレーム重量を最小限に抑えることが
容易となる。

（実施例） 以下に本発明の実施例を添付図面に基いて説明する。

第１図は本発明に係る自動二輪車の全体側面図、第２
図はサイドフレームとアームとの関係を示す平面図、第
３図はサイドフレームの全体斜視図、第４図は第３図の
Ａ−Ａ線断面図である。

自動二輪車（１）は車体中央にフレーム（２）を配置
している。このフレーム（２）はエンジンユニット
（３）と前後方向を長径とした略だ円形のループ状をな
すサイドフレーム（４）とからなり、エンジンユニット
（３）は前傾する前気筒（5a）と後傾する後気筒（5b）
からなるＶ型エンジン（５）とこのエンジンの後部に設
けられるミッションケース（６）からなり、また左右の
サイドフレーム（４）は鋼板、アルミニウム合金の一体
鋳造品、これら金属と強化繊維との一体鋳造品或いはア
ルミニウム合金板と繊維強化パネルとの積層品によって
構成され、サイドフレーム（４）の大きさはシリンダヘ
ッドの部分を除いたエンジンユニット（３）の側面の略
全面を覆い、サイドフレーム（４）のループ内にはクラ
ンクケースカバー（44）及びミッションケース（６）の
カバーが側方から見える程度のものとし、その断面形状
は第４図に示すように厚肉部（4a）と薄肉部（4b）から
なるＩ型としている。このようにサイドフレーム（４）
の全体形状をループ状とし、断面形状をＩ型とすること
で軽量化を達成しつつ、前後及び上下方向からの荷重に
対し、大きな剛性を発揮する。

そして、サイドフレーム（４）とエンジンユニット
（３）とはノックボルト（７）…を用いて位置決め固着
され、これらノックボルト（７）…のうち所定のものに
ついては他部材（ブラケット等）の取付けにも用い、部
品点数の削減を図っている。

また左右のサイドフレーム（４），（４）間には第２
図及び第３図にも示すようにボルト（8a）を挿通したカ
ラーからなる軸（８），（９）を架設し、前部の軸
（８）にて前部アームのうちの下部アーム（10）の基端
部を揺動自在に支持し、後部の軸（９）にて後部アーム
（11）の基端部を揺動自在に支持している。これら下部
アーム（10）及び後部アーム（11）の基部は二股状若し
くは三角形状をなし、下部アーム（10）の中間部は車体
右側及び上方に湾曲してその先部は前輪（12）のステア
リングアーム（13）の下部に右側から連結され、後部ア
ーム（11）の中間部は車体左側に湾曲してその後端部に
おいて後輪（14）の車軸（15）を回転自在に支承する。
而して下部アーム（10）と後部アーム（11）とは第２図
に示す如く平面視で略Ｓ字状をなす。

またステアリングアーム（13）はその基部に前記下部
アーム（10）との連結ブラケット（13a）及びブレーキ
キャリパ（16）の取付ブラケット（13b）を一体的に形
成するとともに、車体右側に湾曲してその上端部が前輪
（12）のホイール外側まで伸び、この上端部には上部ア
ーム（17）の前端部が連結している。上部アーム（17）
は第２図に示すように左右のメンバ（17a），（17b）か
らなり、右側のメンバ（17a）は右側のサイドフレーム
（４）の上部に、左側メンバ（17b）は左側のサイドフ
レーム（４）の上部にそれぞれノックボルト（７）を介
して揺動自在に支持されている。

一方、サイドフレーム（４）の後部にはブレーキペダ
ル（41）が揺動自在に、またステップ（42）及び後部フ
レーム（18）が固着され、この後部フレーム（18）はシ
ートレール（19）及びクロスフレーム（20）とからな
り、これらシートレール（19）及びクロスフレーム（2
0）はともに後上方に伸び、クロスフレーム（20）の後
端部はシートレール（19）の中間部に連結し、シートレ
ール（19）とクロスフレーム（20）で側面三角形をなす
ようにしている。またサイドフレーム（４）の上部には
ステー（21）を介してアッパレール（22）が設けられ、
このアッパレール（22）の後端部をシートレール（19）
の中間部に連結し、シートレール（19）後半部及びアッ
パレール（22）後半部上にシートを載置固定するように
している。

更に、アッパレール（22）の中間部間にはエアクリー
ナ（23）が支持され、このエアクリーナ（23）で吸入し
た空気を前後の気筒（5a），（5b）間に配置したキャブ
レター（24）に供給するようにしている。尚、エアクリ
ーナ（23）は図示しない燃料タンク下部に形成した凹部
内に配置される。

またアッパレール（22な前部間にはステアリングポス
ト（25）が固設され、このステアリングポスト（25）に
は前方に伸びるブラケット（26）が設けられ、このブラ
ケット（26）にヘッドライト又はフェアリングを取付け
る。そして、ステアリングポスト（25）内にはステアリ
ングステムが挿通され、このステアリングステムの上端
部にハンドル（27）が固着され、ステアリングステムの
下端部にアーム（28）を固着し、このアーム（28）はス
テアリングロッド（29）の前端部を連結し、このステア
リングロッド（29）とサイドフレーム（４）に揺動自在
に支持したアーム（30）とを図示しない軸等を介して連
結し、このアーム（30）先部と前記ステアリングアーム
（13）の中間部をリンクロッド（31）で連結している。
而して、ハンドル（27）を回動操作することで、ステア
リングステムが回転し、この回転がアーム（28）を介し
てステアリングロッド（29）に直線動として伝達され、
この直線動によりアーム（30）が前後方向に揺動し、こ
の揺動によりリンクロッド（31）が前後動し、ステアリ
ングアーム（13）が左右に回動して前輪（12）が転舵さ
れる。

一方、サイドフレーム（４）の前部下部からはブラケ
ット（32）を一体的に垂下し、下部アーム（10）の中間
部からもブラケット（33）を一体的に垂下し、ブラケッ
ト（32），（33）にはそれぞれリンク（34），（35）を
枢支し、リンク（34）の中間部にリンク（35）の先端部
を連結し、リンク（34）の先端部とフレーム（２）との
間にダンパー（36）を設け、これらリンク（34），（3
5）及びダンパー（36）によって構成されるサスペンシ
ョン機構がプログレシブ特性を発揮するようにしてい
る。

また、後部アーム（11）の中間部にはベル型リンク
（37）の一端を枢着し、このベル型リンク（37）の中間
部とフレーム（２）とをリンク（38）で連結し、ベル型
リンク（37）の他端とフレーム（２）に一体的に設けた
ブラケット（39）との間にダンパー（40）を設け、これ
らによって構成される後部サスペンション機構も前部サ
スペンション機構と同様にプログレシブ特性を発揮する
ようにしている。

（発明の効果） 以上に説明した如く本発明によれば、車体中央のフレ
ームから延出したアームをステアリングアームに連結
し、従来のフロントフォークを省略した自動二輪車にお
いて、サイドフレームをループ状とすることで軽量化を
達成しつつ、前後及び上下方向からの荷重に対し大きな
剛性を発揮させることができる。又、この高剛性中央フ
レームに剛性を要する前部アーム基部及び後部アーム基
部を支持させることでフレーム重量を最小限に抑えるこ
とが容易となる。

またサイドフレームをループ状としたことにより、サ
イドフレームの全周に亘って各種部材を取付け支持する
ことができ、しかもその取付け位置の選択範囲が広いの
で、各種部材の配置及び形状に制限を課すことがない等
多くの効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る自動二輪車の全体側面図、第２図
はサイドフレームとアームとの関係を示す平面図、第３
図はサイドフレームの全体斜視図、第４図は第３図のＡ
−Ａ線断面図である。 尚、図面中（２）は車体中央のフレーム、（３）はエン
ジンユニット、（４）はサイドフレーム、（５）はエン
ジン、（10）は下部アーム（前部アーム）、（11）は後
部アーム、（12）は前輪、（13）はステアリングアー
ム、（17）は上部アーム（前部アーム）、（18）は後部
フレーム、（22）はアッパフレーム、（44）はクランク
ケースカバーである。

フロントページの続き (72)発明者 佐久間 勉 埼玉県和光市中央１丁目４番１号 株式会 社本田技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭60−139581（ＪＰ，Ａ) 特開 昭53−142739（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−113785（ＪＰ，Ａ)

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車体中央のフレームから前方に前部アーム
   を延出し、この前部アームを前輪のステアリングアーム
   に連結するようにした自動二輪車において、前記中央の
   フレームはエンジンとこのエンジンの側面に固着された
   サイドフレームによって構成され、このサイドフレーム
   はループ状をなし、側面から見て前記サイドフレームの
   ループ内にはクランクケースカバー及びミッションケー
   スカバーが見えるとともに、ループ外にはシリンダヘッ
   ド部分が見える構成とし、前記サイドフレームは前記前
   部アーム及び後部アームの基部が揺動自在に支持される
   ことを特徴とする自動二輪車。
2. 【請求項２】車体中央のフレームから前方に前部アーム
   を延出し、この前部アームは上部アームと下部アームと
   で構成し、前記上部アームと下部アームを前輪のステア
   リングアームに連結するようにした自動二輪車におい
   て、前記中央のフレームはエンジンとこのエンジンの側
   面に固着されたサイドフレームによって構成され、この
   サイドフレームはループ状をなし、側面から見て前記サ
   イドフレームのループ内にはクランクケースカバー及び
   ミッションケースカバーが見えるとともに、ループ外に
   はシリンダヘッド部分が見える構成とし、前記サイドフ
   レームは前記上部アームと下部アーム及び後部アームの
   基部が揺動自在に支持されることを特徴とする自動二輪
   車。