JPS6037217Y2 - スロ−アウエイ式ボ−ルエンドミル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、スローアウェイ式ホールエンドミルの改良
に関する。

ボールエンドミルを、その回転中心さら外周に至る１ハ
円を形成する切刃の数で分類すると、１つの切刃がｌ／
４円を形成するものと、複数の切刃が回転軌跡として１
７４円を形成するものとに分類することができる。

ここで問題とするスローアウェイ式ボールエンドミルは
後者に関する。

特に後者のものによると、各切刃が互いに離れているか
ら切屑が分断され、従って切削による衝撃を減少するこ
とができるという利点がある。

従来、この種のスローアウェイ式ボールエンドミルとし
ては、第１図から第６図に示すように、工具本体１の先
端部に、工具本体１の回転中心部分を切削する中心切刃
チップ２およびその中心切刃チップ２より外周側を切削
する周辺切刃チップ３が着脱自在に装置されたものが知
られている。

勿論、これら中心および周辺切刃チップ２，３の切刃２
ａ、３ａは、回転軌跡上互いに隣り合う一部が重なるよ
うに配置されている。

なお、周辺切刃チップ３に続くようにして工具本体１の
外周には、複数の外周切刃チップ４が配置されている。

ところがこのものにあっては、第２図に示すように底面
視したとき、中心切刃チップ２の切刃２ａが直線である
ため、その切刃２ａが２次元切削、つまり同時切削を行
なうことになる。

そのため過大な衝撃が発生し、切刃の欠損、特に回転中
心部近傍の切刃が欠損するという欠点がある。

さらに、三角チップを採用していることから、コーナ部
分の強度が弱く、回転中心部近傍の切刃の欠損を助長す
るという問題、またチップ形状が三角形状であることと
相俟ってチップを拘束する側面が円弧状であるため、チ
ップの拘束力が不安定でいわゆる着座性が悪いという問
題がある。

この点、本出願人が先に提案したボールエンドミル（特
願昭５３−１８２６７号）によると、切刃１２ａ、１３
ａを円弧状の滑らかな凸曲線とし、しかも四角チップを
採用しているから、上記諸問題を解消することができる
。

すなわち、このボールエンドミルは第７図から第１０図
に示すように、中心、周辺および外周切刃チップ１２．
１３． １４のそれぞれの配置という点では前述した
ものと同様であるが、底面視したとき、中心および周辺
切刃チップ１２．１３の切刃１２ａｔ １３ａが滑ら
かな凸曲線で形成されている。

従って、切刃１２ａ、１３ａによる切削は回転中心側か
ら外周側へ向けて滑らかに行なわれ、過大な衝撃が生ぜ
ず、切刃の欠損を軽減することができる。

ところで、ボールエンドミルにあっては切刃にって形成
される１ハが真円またはそれに近い精度であることが要
求される。

従って、切刃１２ａ。１３ａを所定の円弧に合致させな
ければならない。

ところが、上記エンドミルによると切刃１２ａ、１３ａ
はその全範囲が凸曲線で形成されているため、切刃２２
ａ＊２３ａを円弧に合致させることが設計、製作上非常
に困難であるという問題がある。

この考案は、上記事情を考慮してなされたもので、切刃
の欠損を軽減することができ、しかも設計、製造が容易
なスローアウェイ式ボールエンドミルを提供することを
目的とする。

以下、この考案の一実施例について第１１図から第２０
図を参照しながら説明する。

この考案のボールエンドミルにあっても、工具本体２１
の先端部に中心切刃チップ２２および周辺カッタ本体２
３が、この周辺切刃チップ２３に続いて外周切刃チップ
２４がそれぞれ締付はホルト２５によって着脱自在に装
着されている。

そして、中心および周辺の切刃チップ２２．２３の各す
くい面２２ ｅ、 ２３ ｅ側には、切刃チップ２２
．２３が装着されるチップポケット底面２６ａ、２７ａ
およびそれぞれのチップポケット底面２６ａ、２７ａか
ら起立するチップポケット側壁２６ｂ、２７ｂによって
囲まれるチップポケット２６．２７が工具本体２１に形
成されてむり、これらチップポケット２６．２７はそれ
ぞれ切屑排出溝２８．２９に連らなっている。

以上の構成は前述した２つの従来例と同様である。

しかし、この考案のスローアウェイ式ホールエンドミル
には、切刃の欠損防止という観点から次のような３つの
構成上の特徴点があり、その３つの特徴の相乗効果とし
て切刃の欠損をより確実に防止し得るようにしている。

すなわち、（４）切削加重が衝撃的に切刃に加わること
を防止するため、少なくとも中心切刃チップ２２の切刃
２２ａの回転中心側だけを凸曲線状としていること、（
Ｂ）切刃２２ ａ、 ２３ ａ自体の強度向上、特に
欠損し易い切刃２２ａ、２３ａのコーナ部の強度向上を
図るため、切刃チップとして略４角形状の切刃チップを
採用していること、（Ｃ）切屑の打出性を良好にするた
めにチツプポケツ）２６，２７の空間を大きくとってい
ること、である。

しかも、（Ｂ）によって切刃の円弧成形が容易になると
いう利点が得られるのである。

そのような特徴点について（４）から（Ｃ）の順に説明
しこの考案を明らかにする。

〔切刃の回転中心側を特徴とする特徴Ａについて〕

この特徴Ａは、種々の実験結果による確認、つまり回転
中心から外周に至る１ハ円を形成する切刃のうち、中心
部付近を切削する切刃のみを凸曲面状とすれば、切削に
よる衝撃を充分に軽減することができるという確認のも
とになされたものである。

すなわち、ボールエンドミルを底面視したとき、中心切
刃チップ２２の切刃２２ａは、回転中心側の滑らかな凸
曲線部２２ｂと、外周側の直線部２２ｃとから構成され
ている。

そしてこの場合、凸曲線部２２ｂが切削開始後、ボール
エンドミルが約９０°回転すると直線部２２ｃが切削を
開始するようになされている。

従って、切刃２２ａによる切削は凸曲線部２２ｂ側から
徐々に直線部２２ｃ側へ移行することになり、これによ
って切削による衝撃を軽減することができ、切刃の欠損
を防止することができ。

〔切刃、特にコーナ部の強度向上を図る特徴Ｂについて〕

多角形状の切刃チップの場合、特にそのコーナ部分の強
度が弱く、欠損し易い。

しかもこの場合、中心切刃チップ２２の切刃２２ａの回
転中心側を凸曲線部２２ｂとしたため、中心切刃チップ
２２の回転中心側の厚さが薄くなり、さらに強度が低下
することが否めない。

その点、この考案では切刃チップの形状を略４角形状と
することにより、切刃の強度向上を図っている。

すなわち中心切刃チップ２２は、すくい面視したとき、
略４角形状で、互いに対向する２つの切刃２２ａ、２２
ａと、これら切刃２２ａ、２２ａに交叉する平行な辺２
２ｂ、２２ｂとを有している。

なお、これらについては周辺切刃チップ２３についても
同様である。

切刃２２ａが円弧曲線であることから、切刃２２ａと辺
２２ｂとは鈍角的に交叉することになり、切刃２２ａの
コーナ部分の強度向上を図ることができる。

また、辺２２ｂが直線であることから、いわゆるキー効
果をより確実に発揮し得、しかも２つの辺２２ｄ、２２
ｄおよび切刃２２ａの３箇所の部分で中心切刃チップ２
２を拘束することになり、従って中心切刃チップ２２の
固定を確実に行なうことができる。

さらに、中心切刃チップ２２を研削成形するとき、２つ
の平行な辺２２ｄが研削の基準となり、その中心切刃チ
ップ２２の製造を容易に行なうことができる。

〔切削排出性を良好にするためにチップポケット空間を広くする特徴Ｃについて〕

切削による衝撃を軽減し、かつカッタ本体２２．２３の
強度を向上させ得た結果、この考案のボールエンドミル
によると、高送り切削が可能になり、加工能率を向上さ
せることができた、しかしその反面、切屑はその厚さが
厚く、かつカール手緩が大きなものとなり、排出性が悪
くなる。

そこで、チップポケット２６．２７としては切屑排出性
が良好であることがまず要望される。

その点、この考案のボールエンドミルによると、中心切
刃チップ２２は１つであるから、工具本体２１の強度を
損なうことなく広くすることができ、それによって切屑
排出性を良好にすることができる。

すなわち、各チップポケット２６．２７はそれぞれのチ
ップポケット底面２６ａ、２７ａが各切刃チップ２２．
２３のすくい面２２ｅ、２３ｅの面積より広くなされて
いる。

つまり、チップポケット底面２６ａ、２７ａとチップポ
ケット側壁２６ｂ、２７ｂとのそれぞれの交線は、各切
刃チップ２２．２３と交わらないよう、各切刃チップ２
２．２３より後方に位置している。

しかも、各チップポケット側壁２６ｂ、２７ｂはそれぞ
れのチップポケット底面２６ａ、２７ａとのなす角がほ
ぼ９０’以上で外方に向かって開くようになされている
。

従って、各切刃チップ２２，２３の切刃２２ ａ、
２３ ａがワークから離れると、切屑はチップポケット
２６．２７外へと、スムースに排出され、切屑による切
刃欠損を防止することができる。

なお、この実施例では周辺切刃チップ２３をも１つとし
たが、ボ・−ルエンドミルの径が大きい場合には、周辺
切刃チップ２３のチップポケット２７を大きくとれるか
ら、その場合には周辺切刃チップ２３を複数にすること
は差し支えない。

以上説明したように、この考案のスローアウェイ式ボー
ルエンドミルによれば、４角形状の切刃チップ２２．２
３を用いているから、切刃自体、特に回転中心部分を切
削する切刃２２ａのコーナ部分の強度を向上することが
でき、また回転中心部分を切削する切刃２３ａの回転中
心側を凸曲線部２３ｂとすることによって、過大な衝撃
を軽減することができ、しかもチップポケット２６，２
７を広くとることによって切屑の排出をスムースに行な
うことができる。

そして、これらの相乗効果によって切刃欠損をより効果
的に防止することができる。

また、凸曲線部２２ｂは回転中心側だけであるから、切
刃チップ２２．２３の設計、製造を容易に行なうことが
できる。

さらに切刃チップ２２．２３が４角形状であるから、そ
の切刃チップ２２．２３の固定を強固になし得、また切
刃２２ａ、２３ａを研削成形するに際し、平行な辺２２
ｂ、２３ｂを研削基準とすることによって切刃２２ａｔ
２３ａの研削成形を容易に行なうことができる等の効果
を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図から第６図は従来のスローアウェイ式ボールエン
ドミルを示す図で、第１図はその側面図、第２図はその
拡大底面祖国、第３図は第２図の一部省略右側面図、第
４図は第２図の一部省略左側面図、第５図は切刃チップ
の平面図、第６図はその側面図、第７図から第１０図は
本出願人が先に提案したスローアウェイ式ボールエンド
ミルを示す図で、第７図はその一部省略側面図、第８図
はその底面祖国、第９図は切刃チップの平面図、第１０
図はその側面図、第１１図から第２０図はこの考案の一
実施例を示す図で、第１１図はその側面図、第１２図は
その拡大底面祖国、第１３図は第１２図の一部省略右側
面図、第１４図は第１２図の一部省略左側面図、第１５
図は中心切刃チップの平面図、第１６図はその側面図、
第１７図は周辺切刃チップの平面図、第１８図はその側
面図、第１９図は第１３図のｘｖｍ−ｘｖｍ線に沿う断
面図、第２０は第１４図のｘｘ−ｘＸ線に沿う断面図で
ある。 ２１・・・・・・工具本体、２２・・・・・・中心切刃
チップ、２３・・・・・・周辺切刃チップ、２２ａ、２
３ａ・・・・・・切刃、２２ｂ・・・・・・凸曲線部、
２２ｃ・・・・・・直線部、２２ｄ、２３ｄ・・・・・
・辺、２２ｅ、２３ｅ・・・・・・すくい面、２６，２
７・・・・・・チップポケット、２６ａ、２７ａ・・・
・・・チップポケット底面、２６ｂ、２７ｂ・・・・・
・チップポケット側壁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 工具本体の先端部に、工具本体の回転中心部分を切削す
   る１つの中心切刃チップおよびその中心切刃チップより
   外周側を切削する１以上の周辺切刃チップが着脱自在に
   装着され、これら周辺および中心切刃チップの切刃は回
   転軌跡上互いに隣り合う一部が重なりかつ工具本体の回
   転中心から外周に至る１７４円を形成するように配置さ
   れており、各切刃チップのすくい面側には、切刃チップ
   が装着されるチップポケット底面とこのチップポケット
   底面から起立するチップポケット側壁とによって囲まれ
   るチップポケットが工具本体に形成され、しかも次のよ
   うな（４）〜（Ｃ）の構成要件を具備していることを特
   徴とするスローアウェイ式ボールエンドミル。 （４）ボールエンドミルを底面視したとき、前記中心お
   よび周辺の切刃チップ２２．２３のうち、少なくとも中
   心切刃チップ２２の切刃２２ａは回転中心側の滑らかな
   凸曲線部２２ｂと外周側の直線部２２ｃとからなること
   。 （Ｂ） 各切刃チップ２２．２３は略４角形状で、互
   いに対向する２つの切刃２２ａ、２２ａ：２３ａ、２３
   ａとこれら切刃２２ａ、２２ａ：２３ａｔ２３ａに交叉
   する平行な辺２２ｄ、２２ｄ：２３ｄ、２３ｄとを有し
   ていること。 （Ｃ） 前記各チップポケット２６．２７は、それぞ
   れのチップポケット底面２６ａ、２７ａが各切刃チップ
   ２２．２３のすくい面２２ｅ＊２３ｅの面積より広く、
   かつそれぞれのチップポケット側壁２６ｂ、２７ｂはチ
   ップポケット底面２６ａ、２７ａとのなす角がほぼ９０
   ’以上で外方に向かって開くようになされていること。