JP2526102Y2 - スローアウェイ式転削工具 - Google Patents

スローアウェイ式転削工具

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JP2526102Y2
JP2526102Y2 JP6198191U JP6198191U JP2526102Y2 JP 2526102 Y2 JP2526102 Y2 JP 2526102Y2 JP 6198191 U JP6198191 U JP 6198191U JP 6198191 U JP6198191 U JP 6198191U JP 2526102 Y2 JP2526102 Y2 JP 2526102Y2
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辰夫 新井
貴宣 斉藤
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、軸線を中心に回転する
工具本体の外周面に複数のスローアウェイチップ(以
下、チップと称する。)が装着されて、その回転軌跡に
おいて連続する切刃列が形成されたフライスやエンドミ
ル等のスローアウェイ式転削工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】このようなスローアウェイ式転削工具と
しては、例えば実開昭58−196019号公報や実開
昭60−22215号公報に記載されたスローアウェイ
式エンドミルが知られている。これらのエンドミルで
は、円柱状の工具本体の外周面に該工具本体の先端から
基端側に向かって、当該工具本体の径方向内側に凹むチ
ップポケットが形成されており、このチップポケットの
工具回転方向前方側を向く面にチップ取付座が形成され
ていて、このチップ取付座にチップが、その切刃(主切
刃)を上記外周面より突出させて装着された構成となっ
ている。ここで上記チップポケットは、工具本体の軸線
方向に沿って連続的に成形されたものであったり、ある
いは上記工具本体外周面に螺旋状に断続的に成形された
ものであったりするが、いずれの場合も上記チップは工
具本体の周方向および軸線方向の少なくともいずれか一
方にずらされて配列されており、これらのチップの上記
切刃によって工具本体外周には、その回転軌跡において
連続する切刃列が形成されている。
【0003】一方、上記チップ取付座に装着されるチッ
プは方形や円形等の平板状に成形されたものであって、
その厚さ方向に直交する二つの端面のうち少なくとも一
方の端面がすくい面とされ、このすくい面の稜辺部、あ
るいは稜縁部に上記切刃が形成されている。そして上記
エンドミルでは、このようなチップがそのすくい面を工
具回転方向前方側に向けた状態で、該チップに上記厚さ
方向に挿通されたクランプネジを上記チップ取付座に螺
着することにより、工具本体に締結・固定されて切削作
業に供される。なお、このような転削工具におけるチッ
プの固定手段としては、例えば実開昭60−14360
8号公報に示されるように、工具本体の外周面に収納凹
部を形成し、この収納凹部にチップを装着してクサビ等
により楔着したようなものも知られている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】ところで、このような
スローアウェイ式転削工具にあって上記切刃列を形成す
る切刃のうち、工具本体の先端に配設される切刃は、通
常当該切刃列において最初にワークの被切削面に喰い付
く部位であるため、これよりも工具本体基端側に配設さ
れる切刃に比べて、切削時に作用する負荷が過大になる
ことは避けられない。そして、このような傾向は切込み
量の大きな切削を行う場合や、硬質材料等を切削する場
合に特に顕著となり、チップを保持する工具本体の先端
部において剛性が不足がちになってしまうという欠点が
あった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本考案は、このような課
題を解決するためになされたもので、請求項1のスロー
アウェイ式転削工具は、工具本体の外周面に、該工具本
体の先端から基端側に向かい複数のチップが上記工具本
体の周方向および軸線方向の少なくともいずれか一方に
互いにずらされて配列され、回転軌跡が連続する切刃列
が形成されて成るスローアウェイ式転削工具において、
上記切刃列にあって工具本体先端に装着される第一のチ
ップと、この第一のチップと同じ切刃列にあって当該第
一のチップに回転軌跡が連続する第二のチップとが上記
工具本体の軸線を該軸線方向視に挟む狭角を、上記第二
のチップと、これら第一および第二のチップが配設され
る切刃列に工具本体の周方向に隣接する切刃列にあって
工具本体先端に装着される他の第一のチップとが上記軸
線を該軸線方向視に挟む狭角より大きく設定したことを
特徴とするものである。
【0006】また、請求項2のスローアウェイ式転削工
具は、請求項1のスローアウェイ式削工具において、
工具本体外周面に配列されるチップのうち、少なくと
も工具本体先端に装着される第一のチップの、上記切
刃列を形成する主切刃に連なり工具回転方向前方側を向
いてすくい面とされる周面に、上記主切刃側から工具本
体の径方向内側に向かって順次、当該チップの工具本体
外周側を向く面に直交する方向に延びるネガすくい面
と、この端面に対して鋭角をなす交差角で交差する方向
に延びるポジすくい面とを形成したことを特徴とするも
のである。さらに、請求項3のスローアウェイ式転削工
具は、上記工具本体外周面に配列されるチップのう
ち、少なくとも上記工具本体先端に装着される第一のチ
ップの、上記切刃列を形成する主切刃に連なり工具回転
方向前方側を向いてすくい面とされる周面を、互いの交
差稜線が上記主切刃に達する凸稜線を描くように交差す
る複数の構成面によって多段面状に形成したことを特徴
とするものである。
【0007】
【作用】このような構成のスローアウェイ式転削工具で
は、上記切刃列を形成するチップのうち工具本体の先端
に装着される第一のチップと、この第一のチップと同じ
切刃列にあって該第一のチップに回転軌跡において連続
する第二のチップと、これら第一および第二のチップの
切刃列に周方向に隣接する切刃列の他の第一のチップと
の間において、これらのチップが工具軸線を該軸線方向
視に挟む狭角が、上記第一のチップと第二のチップとが
挟む狭角が上記第二のチップと他の第一のチップとが挟
む狭角より大きく設定されている。従って、上記第一の
チップと他の第一のチップとの工具回転方向の間隔も、
第一のチップから第二のチップまでの間隔の方が、第二
のチップから他の第一のチップまでの間隔よりも大きく
なることになる。このため、上述したように切削時に過
大な負荷の作用する工具先端のチップの工具回転方向後
方側には、工具本体の周方向に十分な厚さが確保される
ことになり、当該工具先端における剛性の向上を図るこ
とができる。
【0008】また、上記第一のチップの工具回転方向前
方側を向く面に、工具本体の径方向内側に向かって順次
ネガすくい面とポジすくい面とを形成することにより、
この面全体をポジすくい面とした場合に比べて刃先強度
が向上する一方、全体をネガすくい面とした場合に比べ
て切削抵抗を低減せしめることが可能となる。さらに、
この工具回転方向前方側を向く面を、凸稜線を描くよう
に交差する複数の構成面によって多段面状に形成するこ
とにより、第一のチップの主切刃が工具先端側から上記
凸稜線を越えて基端側に向かうに従い、そのアキシャル
レーキ角が正角方向に変化するので、主切刃の刃先強度
を損なうことなく切削抵抗の減少を図ることができる。
【0009】
【実施例】図1ないし図4は、本考案の一実施例である
正面フライスを示すものである。これらの図において工
具本体1は鋼材等から一体に成形された略円盤状の部材
であり、該円盤の中心線を工具軸線Oとしてこの工具軸
線O方向基端側には円板状の取付部1Aが形成され、こ
の取付部1Aから先端側の外周面は該先端側に向かうに
従って一旦拡径した後に縮径するテーパ面とされてい
る。また、この工具本体1の中央部には上記工具軸線O
に同軸に、当該正面フライスを工作機械の主軸端等に装
着する際の取付穴1Bが貫設されており、この取付穴1
Bの基端側の開口部周縁からは上記取付部1Aの基端面
を工具本体1の直径方向に沿ってキー溝1Cが形成され
ている。そして本実施例では、上記工具本体1先端側の
縮径するテーパ面1Dに複数のチップ取付座2…が形成
されており、これらのチップ取付座2…のそれぞれにチ
ップ3が装着されてクランプネジ4により固定されてい
る。
【0010】ここで図5ないし図8は、本実施例におい
て上記チップ取付座2に装着されるチップ3を示すもの
である。このチップ3は超硬合金等を略菱形平板状に成
形してなるものであり、この平板の厚さ方向に直交する
互いに平行な両端面5,6と4つの周面7…との交差稜
線部には、周回り方向に一方の端面5側と他方の端面6
側とに交互に合計4つの副逃げ面8…が形成されてい
る。他方、この副逃げ面8…が形成された側とは反対側
の両端面5,6と周面7との交差稜線部には主切刃9が
形成されており、従って当該主切刃9もチップ3の周回
り方向に、上記一方の端面5側と他方の端面6側とに互
い違いに配置されることになる。さらに上記両端面5,
6がなす菱形の鋭角端C1側にあって、上記主切刃9に
交差する方向に延びる副逃げ面8と、該主切刃9に連な
る周面7との交差稜線部には、当該主切刃9の上記鋭角
端C1側の一端に連なるように副切刃10が形成されて
いる。
【0011】ここで上記各周面7は、互いに鈍角に交差
する2つの構成面11,12によって主切刃9に沿う方
向に一段折れ曲がる多段面状に成形されている。そして
各構成面11,12の交差稜線Lの一端は上記周面7に
連なる主切刃9にまで到達せしめられており、これによ
って主切刃9は当該チップ3の上記鋭角端C1に連なる
第1の主切刃9aと、当該チップ3の鈍角端C2に連な
る第2の主切刃9bとに分割されていて、全体的に一段
屈曲して突出する略「く」の字型に形成されている。ま
た、上記周面7の各構成面11,12には上記主切刃9
に連なる側から当該チップ3の厚さ方向反対側に向かっ
て順次、ネガすくい面11a,12aとポジすくい面1
1b,12bとが形成されている。これらのすくい面の
うち、ネガすくい面11a,12aは、いずれも当該チ
ップ6の上記両端面5,6に対し直交する方向に形成さ
れており、それぞれの上記厚さ方向の幅W1 は互いに等
しく、かつ主切刃9に沿って一定に設定されている。な
お、このネガすくい面11a,12aの幅W1 は、図7
に示すように上記副切刃10のチップ厚さ方向の幅W2
を越えないように、すなわちW1 >W2 となるように設
定されている。
【0012】一方、上記ポジすくい面11b,12bは
主切刃9に対して正角側に傾斜する傾斜面、つまり上記
チップ厚さ方向をネガすくい面11a,12aに連なる
側から離間するに従って当該チップ3の内方に向かうテ
ーパ面とされている。なお本実施例では、図8に示すよ
うに上記周面7を構成する各構成面11,12のうち上
記鋭角端C1側に配設される構成面11のポジすくい面
11bの上記主切刃9に対する傾斜角φ1 が、上記鈍角
端C2側に配設される構成面12のポジすくい面12b
の上記主切刃9に対する傾斜角φ2 よりも大きくなるよ
うに、すなわちφ1>φ2となるように設定されている。
さらに上記副逃げ面8は、これらポジすくい面11b,
12bと上記両端面5,6との交差稜線部が該両端面
5,6に対して45°に切り欠かれて形成された平面で
あり、当該チップ3の上記鋭角端C1側で上記副切刃1
0に連なるとともに、該鋭角端C1側から離間して周面
7を構成する各構成面11,12の交差稜線Lとの交点
を越え、上記鈍角端C2側に向かうに従い漸次縮幅して
該鈍角端C2にてその幅が0となるように設定されてい
る。なお、図中の符号13は当該チップ3を上記チップ
取付座2に固定するための上記クランプネジ4が挿通さ
れる貫通孔である。
【0013】一方、このようなチップ3が装着される上
記チップ取付座2は、それぞれ工具本体1の上記テーパ
面1Dに略垂直に当該工具本体1の径方向内側に凹むよ
うにして形成された取付座底面2aと、この取付座底面
2aから屹立して上記テーパ面1Dに連なる2つの取付
座壁面2b,2bとから構成されており、これら取付座
壁面2bの一方は工具回転方向Tの前方側を向くよう
に、また他方は工具先端側を向くように成形されてい
る。なお、取付座底面2aには上記クランプネジ4が螺
着されるネジ穴2cが形成されている。チップ3はこの
取付座底面2aに上記両端面5,6の一方を密着させた
上で上記鋭角端C1を挟む2つの周面7,7を取付座壁
面2b,2bに当接させてチップ取付座2に装着され
る。さらに上記貫通孔13にクランプネジ4を挿通して
上記ネジ穴2cに螺着することにより、当該チップ3は
上記両端面5,6の他方を工具本体1の径方向外側に向
け、この両端面5,6の他方の面に主切刃9を介して交
差する一の周面7を工具回転方向Tの前方側に向け、さ
らに該主切刃9を上記テーパ面1Dから突出させた状態
で工具本体1に固定されている。なお、上記2つの取付
壁面2b,2bの交差部分にはチップ3の上記鋭角端C
1との干渉を避けるための逃げ部2dが設けられてい
る。また上記ネジ穴2cは、クランプネジ4を螺着して
締め付けた際にチップ3の上記2つの周面7,7が取付
壁面2b,2bに押圧されるように、上記逃げ部2d側
に僅かに偏心せしめられている。このように、上記構成
のチップ3の一の周面7を工具回転方向T前方側を向け
てチップ取付座2にチップ3が装着されることにより、
当該正面フライスでは上記主切刃9に連なる側から工具
本体1の径方向内側に向かって順次、チップ3の工具本
体1外周側を向く面、すなわち当該チップ3の端面5,
6の一方に直交する方向に延びるネガすくい面11a,
12aと、主切刃9に対して正角側に傾斜するポジすく
い面11b,12bとが形成されることになる。また、
これと同時に上記工具回転方向T前方側を向く面が、互
いの交差稜線が上記主切刃9に達する凸稜線Lを描くよ
うに交差する2つの構成面11,12によって多段面状
に形成されることになる。
【0014】そして本実施例では、このようなチップ取
付座2が上記テーパ面1Dの先端側と基端側とに工具本
体1の周方向に沿って交互に形成されており、この先端
側のチップ取付座2Aとこれの工具回転方向T後方側に
位置する基端側のチップ取付座2Bとが対を成してい
る。これら一対のチップ取付座2A,2Bは、上記先端
側のチップ取付座2Aに装着された第一のチップ3Aの
主切刃9Aと、基端側のチップ取付座2Bに装着された
第二のチップ3Bの主切刃9Bとが、その回転軌跡にお
いて互いにオーバーラップして連続するように設定され
ており、これら第一および第二のチップ3A,3Bの主
切刃9A,9Bによって一の切刃列14が構成されるよ
うになっている。また本実施例では、これらのチップ取
付座2A,2Bの工具回転方向T前方側にそれぞれチッ
プポケット15A,15Bが形成されている。これらの
チップポケット15A,15Bは、ともに上記テーパ面
1Dに工具軸線O方向に沿って凹溝状に形成されてお
り、上記第一のチップ3Aが装着されるチップ取付座2
Aの前方のチップポケット15Aは工具本体1の先端面
に開口せしめられてその基端側は閉塞されており、逆に
上記第二のチップ3Bが装着されるチップ取付座2Bの
前方のチップポケット15Bは先端側が閉塞されて基端
側にのみ開口されている。
【0015】さらに本実施例では、この一の切刃列14
の第一のチップ3Aと第二のチップ3Bとが工具軸線O
を該工具軸線O方向視に挟む狭角は、この第二のチップ
3Bと、上記一の切刃列14の工具回転方向T後方側に
位置する他の一の切刃列14の他の第一のチップ3Aと
が工具軸線Oを該工具軸線O方向視に挟む狭角より大き
くなるように設定されている。すなわち、図2に示すよ
うに各チップ取付座2にチップ3が装着された状態で、
工具軸線Oを含み、かつチップ3の主切刃9の工具回転
方向Tの最前端を通る平面Qを想定したとき、一の切刃
列14Aの第一のチップ3Aの主切刃9Aの工具回転方
向T最前端を通る平面Q11と、この一の切刃列14Aの
第二のチップ3Bの主切刃3Bの工具回転方向T最前端
を通る平面Q12とがなす狭角をθ1 とし、この平面Q12
と上記一の切刃列14の工具回転方向T後方側の他の一
の切刃列14Bにある第一のチップ3Aの主切刃9Aの
工具回転方向T最前端を通る平面Q21とがなす狭角をθ
2 とすると、これらの狭角θ1,θ2の間にはθ1>θ2な
る関係が成り立っている。
【0016】なお本実施例では、このような切刃列14
が合計6列形成されており、それぞれの切刃列14は工
具本体1の周方向に等間隔に配設されている。従って、
互いに隣合う2つの切刃列14,14のそれぞれの第一
のチップ3A,3A同志が工具軸線Oを該工具軸線O方
向視に挟む狭角、すなわち上記狭角θ1と狭角θ2との和
は60°に設定される。また、各切刃列14において第
一のチップ3Aと第二のチップ3Bとが工具軸線Oを挟
む上記狭角θ1 は一定とされており、このため互いに隣
合う切刃列14,14のそれぞれの第二のチップ3B,
3Bが工具軸線Oを該工具軸線O方向視に挟む狭角も6
0°に設定されている。さらに、上記第一のチップ3A
の主切刃9Aと第二のチップ3Bの主切刃9Bとの上記
回転軌跡におけるオーバーラップ量Pは、本実施例では
0.1mm〜1.0mmに設定されている。
【0017】このような構成の正面フライスによれば、
まず上述のように一の切刃列14を形成する第一のチッ
プ3Aと第二のチップ3Bとが工具軸線Oを該軸線方向
視に挟む狭角θ1 を、この一の切刃列14の第二のチッ
プ3Bと、当該一の切刃列14の工具回転方向T後方に
位置する他の一の切刃列14における他の第一のチップ
3Aとが工具軸線Oを挟む狭角θ2 よりも大きく設定す
ることによって、上記一の切刃列14において第一のチ
ップ3Aから第二のチップ3Bまでの工具回転方向Tの
間隔を、この第二のチップ3Bから次の切刃列14の第
一のチップ3Aまでの間隔より大きく設定することがで
き、従って第一のチップ3Aの工具回転方向T後方側に
延びて当該第一のチップ3Aを保持する部分の工具本体
1周方向の長さを、第二のチップ3Bの工具回転方向T
後方側に延びる部分の長さより大きくすることが可能と
なる。このため、工具本体1の先端に装着されて過大な
負荷の作用するおそれのある第一のチップ3Aを保持す
る部分に十分な剛性が確保され、これによって切削時の
ビビリや振動の発生を効果的に抑えることが可能とな
り、当該正面フライスによる加工精度の向上を図ること
が可能となる。
【0018】また、上述のような構成のチップ3を、そ
の一の周面7を工具回転方向T前方側に向け、この周面
7に連なる主切刃9を工具本体1の外周面より突出させ
て装着することにより、当該正面フライスには上記主切
刃9から工具本体1の径方向内側に向かって順次、ネガ
すくい面11a,12aとポジすくい面11b,12b
とが形成されることになる。このような構成とすること
により、例えばこの面全体をポジすくい面とした場合に
比べると、刃先先端の角度が大きく設定されるので、そ
の刃先強度の向上をなすことができる。また逆に、上記
工具回転方向T前方側を向く面の全体をネガすくい面と
した場合に比べると、該面の上記径方向内側で径方向す
くい角が正角側に設定されるため、切削時の抵抗を低減
せしめることが可能となる。さらに上述のように、この
工具回転方向T前方側を向くチップ3の一の周面7を凸
稜線Lを描くように交差する複数の構成面11,12に
よって多段面状に形成することにより、当該チップ3の
主切刃9は工具先端側から上記凸稜線Lを越えて基端側
に向かうに従い、そのアキシャルレーキ角が正角方向に
変化することになる。このため、主切刃9の工具先端側
では刃先角が大きくなるため高い刃先強度が確保される
一方、工具基端側ではアキシャルレーキ角が正角側にな
って切削抵抗の減少を図ることが可能となる。
【0019】このように上記構成の正面フライスによれ
ば、上述のような構成のチップ3を装着することによっ
て切削時に切刃に作用する抵抗の低減を図りつつ、高い
刃先強度を維持することが可能となり、切刃の欠損等を
防いで円滑な切削作業を行うことが可能となる。特に、
上記切刃列14にあって工具本体1の先端に装着される
第一のチップ3Aにおいてもその刃先強度の向上が図ら
れることにより、上記狭角θ1を狭角θ2より大きく設定
したことによる効果と相俟って、工具全体としてその先
端における剛性をより一層向上させることが可能とな
る。従って、上述のような過大な負荷が作用する場合で
も、これに十分に対応することが可能となり、特に切込
み量の大きな場合においても円滑な切削を行うことが可
能な工具を提供することができる。
【0020】また本実施例の正面フライスにおいては上
述のように、切刃列14を構成する第一および第二のチ
ップ3A,3Bの工具回転方向T前方に、それぞれ個別
にチップポケット15A,15Bが形成されており、こ
れらのチップポケット15A,15Bのうち工具本体1
の先端側に形成されるチップポケット15Aはその基端
側が閉塞され、逆に工具本体1の基端側に形成されるチ
ップポケット15Bはその先端側が閉塞された構成とな
っている。このため、工具本体1先端のテーパ面1Dを
工具軸線O方向に貫くようなチップポケットが形成され
るのを避けることができ、工具本体1の剛性を十分に確
保しつつ、円滑な切屑の排出を図ることが可能となる。
さらに、このようにチップポケット15A,15Bを工
具本体1の先端側と基端側とに互い違いに、かつその一
方の側が閉塞されるように形成することにより、図2に
示すように上記第一のチップ3Aが装着される工具先端
のチップ取付座2Aの、工具回転方向T前方側を向く取
付座壁面2bから工具回転方向T後方側に、工具本体1
の周方向に延びるリブ状の部分が形成されることにな
る。そして本実施例では、このようなリブ状部が工具本
体1の先端に形成されることにより、上述のように工具
先端の第一のチップ3Aに過大な負荷が作用するような
場合でも工具本体1の剛性を十分に維持することが可能
となり、上記ビビリや振動の発生防止効果をより一層高
めることができるという利点を得ることができる。さら
にまた、上述した従来のエンドミル等においてチップは
その厚さ方向を工具本体の周方向に向けた状態で装着さ
れていたのに対し、本実施例ではチップ3はその厚さ方
向を工具本体1の径方向に沿わせた状態で装着された、
いわゆる縦刃式とされている。このような構成を採るこ
とにより、チップ取付座2を形成するために工具本体1
が切り欠かれる部分を小さくすることでき、上記工具剛
性をより高めることができるという効果をも奏すること
が可能となる。
【0021】なお、以上説明した実施例では本考案をス
ローアウェイ式の正面フライスに用いた場合について説
明したが、本考案はこれ以外にも、例えばエンドミル等
の他のスローアウェイ式の転削工具に用いることも可能
である。また本実施例では一の切刃列14を、第一およ
び第二のチップ3A,3Bの二つのチップによって構成
したが、2つ以上のチップによって構成しても勿論構わ
ない。さらに工具本体1に形成される切刃列14の数に
ついても、工具本体の大きさや切削条件等によって適宜
設定することが可能である。さらにまた、本実施例では
工具本体1の先端側に装着される第一のチップ3Aと基
端側に装着される第二のチップ3Bとを同一のチップと
して説明したが、これらのチップ3A,3Bを切削条件
等によって異なるものとしてもよい。また、本実施例に
おいては各チップ3A,3Bが工具軸線Oを該工具軸線
O方向視に挟む狭角θ1,θ2を、上述のように各チップ
3A,3Bの主切刃9の工具回転方向T最前端を基準と
し、上記工具軸線Oを含み、かつこの主切刃9の工具回
転方向T最前端を通る平面Q同志が挟む狭角としたが、
これ以外の基準の取り方によって上記狭角を設定しても
構わない。例えば、主切刃9の工具回転方向T最前端の
代わりにクランプネジ4やチップ取付座2のネジ穴2c
の位置を基準とすることも可能である。
【0022】ところで、これらの狭角θ1,θ2について
は上述のようにθ1>θ2なる関係が成り立っているか
ら、狭角θ2と狭角θ1との比θ2/θ1は、0<θ2/θ1
<1の範囲内に設定されることになる。しかしながら、
この比θ2/θ1が1にきわめて近い値となると上記第二
のチップ3Bは隣接する2つの切刃列14,14の第一
のチップ3A,3Aの中央に配置されることになり、上
述した本考案の効果が十分に奏功されなくなるおそれが
ある。他方、この比θ2/θ1が0に近い値をとると、互
いに隣接する2つの切刃列14,14において、一方の
切刃列14の第二のチップ3Bが他方の切刃列14の第
一のチップ3Aに近接して装着されることになり、これ
らのチップの間に形成されるべきチップポケットの大き
さが制限される結果となる。このように、上記狭角の比
θ2/θ1が極端に0または1に近い値となると不都合が
生じるため、この比θ2/θ1は工具の大きさや切削条件
等にもよるが、例えば工具直径D(inch)に対して
略1.2D個の切刃列を設けたフライス等においては
0.6〜0.8の範囲に設定されることが望ましい。ま
た、特殊な用途に使用されるフライス等においても上記
比θ2/θ1は最大0.9程度に抑えられるべきである。
【0023】
【考案の効果】以上説明したように本考案によれば、工
具本体の外周面に、該工具本体の先端から基端側に向か
って回転軌跡が連続する切刃列が形成され、この切刃列
にあって工具本体先端に装着される第一のチップと、こ
の第一のチップと同じ切刃列にあって当該第一のチップ
に回転軌跡が連続する第二のチップとが工具本体の軸線
を該軸線方向視に挟む狭角を、上記第二のチップと、こ
れら第一および第二のチップが配設される切刃列に隣接
する他の切刃列にあって工具本体先端に装着される他の
第一のチップとが上記軸線を該軸線方向視に挟む狭角よ
り大きく設定したものであるから、切削作業時に過大な
負荷の作用する工具先端部において上記第一のチップの
工具回転方向後方側に十分な肉厚を確保することが可能
となり、当該工具先端における剛性の向上を図ることが
できる。
【0024】また、この第一のチップの工具回転方向前
方側を向く面に、工具本体の径方向内側に向かって順次
ネガすくい面とポジすくい面とを形成し、さらにこの工
具回転方向前方側を向く面を、凸稜線を描くように交差
する複数の構成面によって多段面状に形成することによ
り、工具先端における刃先強度が確保されるとともにこ
れより工具軸線方向基端側および径方向内側に向かうに
従い、該切刃のアキシャルおよびラジアルレーキ角がと
もに正角側に変化する。このため、切削抵抗の低減を図
りつつ主切刃の刃先強度を保持することが可能となり、
上記工具剛性の向上効果と相俟って工具のビビリや振動
の発生を効果的に抑止することができ、円滑な切削によ
って優れた仕上げ面を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例である正面フライスの縦断面
図である。
【図2】図1に示す実施例の先端面側からの平面図であ
る。
【図3】図1に示す実施例のA方向視の図である。
【図4】図1に示す実施例のB方向視の図である。
【図5】図1に示す実施例に装着されるチップ3の斜視
図である。
【図6】図5に示すチップ3の一端面5側からの平面図
である。
【図7】図6に示すチップ3のC方向視の側面図であ
る。
【図8】図6に示すチップ3のDD断面図である。
【符号の説明】
1 工具本体 1D テーパ面 2 チップ取付座 3 チップ 3A 第一のチップ 3B 第二のチップ 4 クランプネジ 5,6 チップ3の端面 7 チップ3の周面 8 副逃げ面 9 主切刃 10 副切刃 11a,12a ネガすくい面 11b,12b ポジすくい面 14 切刃列 15A,15B チップポケット O 工具軸線 T 工具回転方向 Q 工具軸線Oを含み、かつチップ3の主切刃9の工具
回転方向T最前端を通る平面 θ1 一の切刃列14の第一のチップ3Aと第二のチッ
プ3Bとが、工具軸線Oを該軸線方向視に挟む狭角 θ2 一の切刃列14の第二のチップ3Bと、この切刃
列に隣接する他の一の切刃列の他の第一のチップ3Aと
が、工具軸線Oを該軸線方向視に挟む狭角 L チップ3の凸稜線

Claims (3)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工具本体の外周面に、該工具本体
    先端から基端側に向かい複数のスローアウェイチップ
    A,3Bが上記工具本体の周方向および軸線方向の
    少なくともいずれか一方に互いにずらされて配列され、
    その主切刃9A,9Bによって回転軌跡が連続する切刃
    14が形成されて成るスローアウェイ式転削工具にお
    いて、 上記切刃列14にあって上記工具本体1の先端に装着さ
    れる第一のスローアウェイチップ3Aと、この第一のス
    ローアウェイチップ3Aと同じ切刃列14にあって当該
    第一のスローアウェイチップ3Aに回転軌跡が連続する
    第二のスローアウェイチップ3Bとが上記工具本体
    軸線を該軸線方向視に挟む狭角θ1が、上記第二の
    スローアウェイチップ3Bと、上記第一および第二のス
    ローアウェイチップ3A,3Bが配設される切刃列14
    に上記工具本体の周方向に隣接する切刃列14にあっ
    て上記工具本体1の先端に装着される他の第一のスロー
    アウェイチップ3Aとが上記軸線を該軸線方向視に
    挟む狭角θ2より大きく設定されていることを特徴とす
    るスローアウェイ式転削工具。
  2. 【請求項2】 上記工具本体1の外周面に配列されるス
    ローアウェイチップ3A,3Bのうち、少なくとも上記
    工具本体の先端に装着される第一のスローアウェイチ
    ップ3Aには、上記切刃列14を形成する主切刃に連
    なり工具回転方向Tの前方側を向いてすくい面とされる
    周面7に、上記主切刃側から上記工具本体の径方向
    内側に向かって順次、当該スローアウェイチップの上
    記工具本体1の外周側を向く端面5,6に直交する方向
    に延びるネガすくい面11a,12aと、上記端面5,
    6に対して鋭角をなす交差角φ1,φ2で交差する方向に
    延びるポジすくい面11b,12bとが形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載のスローアウェイ式転削
    工具。
  3. 【請求項3】 上記工具本体1の外周面に配列されるス
    ローアウェイチップ3A,3Bのうち、少なくとも上記
    工具本体1の先端に装着される第一のスローアウェイチ
    ップ3Aの、上記切刃列14を形成する主切刃9Aに連
    なり工具回転方向Tの前方側を向いてすくい面とされる
    周面7が、互いの交差稜線が上記主切刃9Aに達する
    凸稜線を描くように交差する複数の構成面11,12
    よって多段面状に形成されていることを特徴とする請求
    項1または請求項2記載のスローアウェイ式転削工具。
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