JPS6034038Y2 - 繊維束ドラフト装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は繊維束ドラフト装置に関する。

より詳しくは、本考案は、結束紡績等の高速紡績に適す
る繊維束ドラフト装置に関する。

紡績工程において、表面速度の異なる２組以上のローラ
を設置し、その表面速度の差を利用して繊維束を逐次細
化する、いわゆるローラドラフト形式のドラフト装置が
広く用いられている。

このようなドラフト装置では、ローラが回転するとその
周辺に随伴気流が発生腰紡出速度が高速化されると、前
記随伴気流も高速化する。

この高速の随伴気流はニップ点間を移動中の繊維束を乱
し、その結果、特に繊維本数の減少する精紡機などでは
繊維束中の繊維配列が乱されて糸質が低下する。

また随伴気流が繊維束を吹き飛ばし風綿が増加するとい
うトラブルが生ずる。

これらの欠点は、特に、高速回転するフロントローラの
周辺、中でもフロントローラとエプロンとの間で著しい
。

一方、ドラフト装置においては、従来から各種のコレク
タがドラフトローラ間で、特にドラフトローラとエプロ
ンの先端との間で使用されている。

しかし、従来のドラフト装置は随伴気流が問題となるほ
どの高速度では使用されることが少なく、これらコレク
タは、もっばらドラフト装置の繊維引抜き作用によって
繊維束の幅が拡げられることを防ぐために設けられてお
り、したがって、回転ドラフトローラの随伴気流による
繊維束の乱れに対する配慮はされていない。

すなわち、コレクタの形状はし型をしていて一方が開放
されておリ、しかも繊維束進行方向の長さも短い。

したがって、従来のコレクタではローラの随伴気流によ
る繊維束の乱れを防ぐことができない。

特に、いわゆる結束紡績等ではドラフトローラの表面速
度が高速であり、随伴気流の影響も大きいため、従来の
コレクタの欠点がより顕著にあられれる。

前記随伴気流による繊維束の乱れを軽減するたメ、上下
いずれか一方のエプロンをフロントローラ側に突出させ
た装置が、特開昭５６−６８１１８号公報に開示されて
いる。

しかしこの装置を用いても、突出されていない側のエプ
ロンとフロントローラの間から入る気流による繊維束の
乱れを防止できない。

本考案は前記ドラフトローラの随伴気流による乱れから
移動中の繊維束を保護するドラフト装置を提供すること
を目的とする。

本考案の目的は土壁、下壁および左右側壁を具備したコ
レクタをドラフトゾーンに配置し、そのコレクタの土壁
外面および下壁外面の先端を下流側に位置したドラフト
ローラの周面に近接して位置させるとともに、前記ドラ
フトローラの上流側にエプロンを設け、前記コレクタの
上壁および下壁が該エプロンの表面の一部を覆うように
することによって遠戚される。

これにより、ドラフトローラの随伴気流を該上下壁で導
き更にエプロンに沿って流れるようにできる。

その結果随伴気流からの繊維束の保護をより確実にでき
る。

前記コレクタの左右側壁を、前記エプロンの側面の一部
を囲むように形成してもよい。

これによりドラフトゾーンの側方から、特にフロントロ
ーラとエプロンとの間の側方から、ドラフトゾーンに外
部気流が進入することを防ぐのに役立つ。

その結果進入気流からの繊維束の保護を更に確実にする
ことができる。

前記コレクタの前記上壁および下壁に、前記ドラフトロ
ーラの周面に沿う円弧状先端面を形成してもよい。

これにより、円弧状先端面とドラフトローラ間に狭い間
隙の帯域が形成され随伴気流の進入を一層防止でき、繊
維束の保護をより確実にできる。

さらにまた、前記コレクタの前記上壁および下壁が少な
くともそれぞれ別部材に形成され、そして両部材が互い
に回動可能に枢着されていてもよい。

前記コレクタをこのように構成すれば、前記土壁を含む
部材を回動して下壁を含む部材から離すことができる。

したがってトップエプロンの取外しなどを容易に行うこ
とができる。

以下添付図面に示した実施例に基いて本考案を詳細に説
明する。

第１図に示す本考案の繊維束ドラフト装置の一実施例に
おいては、繊維束３０は第１図の右方よリバツクローラ
３７．３８、サードローラ３５゜３６、エプロン３９．
４０を具備したセカンドローラ３３，３４およびフロン
トローラ３１，３２を経て、各ローラ間で逐次ドラフト
されながら第１図の左方へ紡出される。

そしてエプロン３９゜４０とフロントローラ３１，３２
の間にコレクタ１０が配置される。

本実施例におけるコレクタ１０は、第２図に示すように
、変則的な中空の角錐台状形状を有し、上壁２１、下壁
２２、左側壁２３および右側壁２４によって形成されて
いる。

そして繊維束流入側端面１９と繊維束流出側端面１３，
１４との間には中空部１１が設けられている。

前記繊維束流出側端面１３，１４の形状はそれぞれフロ
ントローラ３１，３２の周面に沿う円弧状先端面となっ
ている。

そして第３図に示すように、コレクタ１０の上壁２１お
よび下壁２２の外面の左側先端２１ａ、２２ａがフロン
トローラ３１．３２の周面に近接するよう、コレクタ１
０を設置する。

この結果、コレクタ１０の円弧状先端面（繊維束流出側
端面１３，１４）がフロントローラ３１，３２の周面と
狭い間隙をなして位置することになる。

またコレクタ１０の上壁２１および下壁２２がエプロン
３９．４０の表面の一部を覆うように延び、上下壁の内
外面は鋭角をなして集束している。

さらにまたコレクタ１０の側壁２３．２４もエプロン３
９．４０の側方の一部を囲むように延びている。

その結果コレクタ１０の中空部１１にはエプロン包囲空
間１８が形成される。

エプロン３９゜４０はエプロン包囲空間１８内を上壁２
１．２２の内表面に近接して走行する。

本実施例のコレクタ１０は上下壁２１．２２の外面先端
２１ａ、２２ａをフロントローラ３１゜３２の周面に近
接させて配置しているので、フロントローラ３１，３２
の回転によって発生する随伴気流は、コレクタ１０の上
下壁面の先端２１ａｔ２２ａに遮られ、上下壁２１．２
２に沿って第３図で矢印２５で示す方向に流れる。

したがってフロントローラ３１，３２のニップ点とエプ
ロン３９．４０の先端のニップ点間を移動中の繊維束３
０がフロントローラ３１，３２の随伴気流によって乱さ
れることがない。

またコレクタ１０の上壁２１および下壁２２がエプロン
３９．４０の表面の一部を覆うように延びているので、
上述のように遮られたフロントローラ３１，３２の随伴
気流はコレクタおよびエプロンの外周面に沿って流れる
ことになる。

コレクタの側壁２３．２４がエプロン３９．４０の側方
の一部を囲んでいるので、エプロン３９．４０の移動に
つれて空気流が流入して繊維束を乱すことも防止される
。

第１図から第３図に示した繊維束ドラフト装置は結束紡
績のような、例えば紡績速度が６０ｍ／ｍｉｎ以上の高
速紡績に好ましい。

紡績速度が６０７７Ｌ ／ｍａｎ程度またはそれ以下で
あれば、コレクタのエプロンの表面をおおう長さを第３
図で示した長さより短くしエプロンの先端の極く一部に
かかる程度にしても、移動する繊維束を気流から保護す
ることができる。

第４図に本考案の繊維束ドラフト装置に用いられるコレ
クタの他の実施例を示す。

第４図に示すように、コレクタ１０は少なくとも２個の
部材から形成される。

すなわちコレクタ１０は土壁を含む上方部材１５と下壁
を含む下方部材１６から戊り、繊維流出側端面１３，１
４の近傍に枢着ピン１７が設けられている。

したがって本実施例におけるコレクタは、例えば下方部
材を機台に収着すると、枢着ピン１７を中心として上方
部材１５を、第４図において、上方に回動させることが
できる。

この構成によって、コレクタ１０のフロントローラ３１
，３２あるいはエプロン４０との間隙を縮少しても、必
要に応じてフロントトップローラを取外すことによりト
ップエプロンの取外しが可能となる。

本考案の繊維束ドラフト装置に用いられるコレクタの中
空部の断面形状は四角形に限定されず他の形状でもよい
。

またコレクタの内部表面は繊維との摩擦係数の小さい平
滑な梨地面または鏡面であるとよい。

本考案の繊維束ドラフト装置は前記のように構成されて
いるので、ドラフトローラの随伴気流から繊維束を保護
することができる。

したがって、本考案の繊維束ドラフト装置を用いれば、
紡出中に繊維束中の繊維配列が乱れて糸質の低下をまね
いたり、また風綿が増加するなどのトラブルが発生する
ことがない。

また本考案の繊維束ドラフト装置を結束紡績に用いれば
、結束に寄与する両端部の自由繊維が散失されず、有効
繊維として糸外側を絡合し、糸強力が向上するという効
果が奏される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の繊維束ドラフト装置の一実施例を示す
斜視図であり、第２図は第１図で示した繊維束ドラフト
装置に用いられるコレクタの斜視図であり、第３図は第
１図で示した実施例におけるフロントローラとセカンド
ローラ間の縦断面図であり、第４図はコレクタの上壁お
よび下壁を含む部分を別部材で形成した本考案の繊維束
ドラフト装置のさらに他の実施例に用いられるコレクタ
の斜視図である。 １０・・・・・・コレクタ、１１・・・・・・中空部、
１３．１４・・・・・・繊維束流出側端面、１５・・・
・・・コレクタ上方部材、１６・・・・・・コレクタ下
方部材、１７・・・・・・枢着ピン、１８・・・・・・
エプロン包囲空間、１９・・・・・・繊維束流入側端面
、２０・・・・・・繊維束通路、２１・・・・・・上壁
、２１ａ・・・・・・上壁外面の先端、２２・・・・・
・下壁、２２ａ・・・・・・下壁外面の先端、２３・・
・・・・左側壁、２４・・・・・・右側壁、２５・・・
・・・随伴気流の流れ、３０・・・・・・繊維束、３１
・・・・・・フロントトップローラ、３２・・・・・・
フロントボトムローラ、３３・・・・・・セカンドトッ
プローラ、３４・・・・・・セカンドボトムローラ、３
５・・・・・・サードトップローラ、３６・・・・・・
サードボトムローラ、３７・・・・・・バックトップロ
ーラ、３８・・・・・・バックボトムローラ、３９・・
・・・・トップエプロン、４０・・・・・・ボトムエプ
ロン。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ドラフトゾーンに配置されたコレクタが上壁、下壁
   および左右側壁を具備し、該コレクタの土壁外面および
   下壁外面の先端が下流側に位置するドラフトローラの周
   面に近接位置しているとともに、前記ドラフトローラの
   上流側にエプロンが設けられ、前記コレクタの上壁およ
   び下壁が該エプロンの表面の一部を覆うように延びてい
   ることを特徴とする繊維束ドラフト装置。 ２ 前記上壁および下壁が、前記ドラフトローラの周面
   に沿う円弧状先端面を有している実用新案登録請求の範
   囲第１項に記載の繊維束ドラフト装置。 ３ 前記ドラフトローラの上流側にエプロンが設けられ
   、前記コレクタの左右側壁が該エプロンの側面の一部を
   囲んでいる実用新案登録請求の範囲第１項又は第２項に
   記載の繊維束ドラフト装置。 ４ 少なくとも前記土壁および下壁がそれぞれ別部材に
   形成されており、該両部材が互いに回動可能に枢着され
   ている実用新案登録請求の範囲第１項乃至第３項のいず
   れか１項に記載の繊維束ドラフト装置。