JPS6027566Y2 - 金属連続鋳造装置における冷却剤除去機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は金属連続鋳造装置における冷却剤除去機構の考
案に係り、アルミニウム溶湯の如きを鋳型によって連続
鋳造するに当り、その鋳型から引出された鋳塊表面に対
する冷却剤を除去する作用を長期に亘って適切に得しめ
ることのできる機構を得ようとするものである。

アルミニウムのような金属溶湯から鋳塊を得る手法とし
て鋳型底部から鋳塊を連続的に引出しつつ造塊する連続
鋳造法は従来から知られており、このような方法におい
ては引出された鋳塊の凝固を促進するために水その他の
冷却剤を鋳塊表面に散布することも普通に実施されてい
る。

ところがこのような冷却剤を用いる連続鋳造を実施する
に当ってその鋳造速度を高め、或いは鋳塊組織を改善す
るような目的において鋳型直下で鋳塊表面に供給された
冷却剤を適当な位置で一旦除去することが鋳塊内部にお
ける溶湯域の熱量を利用して鋳造時における割れの発生
その他を防止する上に有利であることが知られており、
このような技術に従った若干の提案がなされている。

ところでこのような従来法によるものは大別してコムの
ワイパーを用いるものと空気吹きつけによるものである
が、これらのものは夫々に不利欠点がある。

即ちゴムのワイパーを用いるものは機構的に簡易で除去
された冷却剤の導出も的確になされ得る利点を有すると
しても、鋳塊表面はなお相当の高温条件下にあることか
ら耐熱性を有するゴムを用いても斯かる鋳塊表面に接触
するワイパーの端部が焼損し、その耐用性が極めて乏し
い不利があり、頻繁にワイパーの交換をなすことが必要
で、又その焼損のため冷却剤の除去が適切になされない
欠点がある。

又空気吹付けによるものは圧縮空気を鋳塊の周面全般に
均等に吹きつけるための配管が複雑化すると共にその空
気流によって拭除された冷却剤の導出排除に関しても特
段の工夫を必要とするのでその構成が煩雑とならざるを
得ない。

本考案は上記したような実情に鑑み検討を重ねて考案さ
れたものであって、その実施態様を添附図面に示すもの
について説明するとタンディシュの如きに設けられた鋳
込み管１１から鋳型１内にアルミニウム溶湯が供給され
、鋳型１には冷却水のような冷却剤が供給されて該鋳型
１を冷却すると共にその底部に形成された吐出口２から
連続的に引出され内部にサンプ（未凝固部）７を有する
鋳塊３の表面に供給され冷却を図るように戊つているこ
とは従来一般的に知られているこの種連続鋳造装置と同
様であるが、このような鋳型１の直下部分に架台４が環
設され、該架台４にゴム製又はシリコーンゴムその他の
ゴム質又はプラスチック質の環状をなした弾性部材５の
外側部分が定着され、その内側端部は鋳塊３の周面に臨
ませられており、しかもこのような弾性部材５の内側端
部に第２，３図をも参照して明かなように複数個に分割
され且つ断面コ字状に形成された金属片６を止着したも
のである。

蓋し上記したような本考案によるときは連続的に引出さ
れた鋳塊３の表面に接触するものは金属片６であるから
高温な鋳塊３に接触して弾性部材５が焼損されることを
有効に防止し、即ち引出された鋳塊面との接摺による損
耗をなからしめると共に金属片６の優れた熱伝導性によ
って鋳塊３から受ける熱量を適当に分散してから弾性部
材５に伝えることとなり、しかもこのワイパーによって
除去された冷却剤が該金属片６の周辺に滞留していて該
金属片６の熱量を適切に除去すること等の事由からして
弾性部月５の焼損を有効に防止することができる。

金属片６は複数個に分割されたも“のであるからゴム質
のような弾性部材５の有する弾性作用は殆んど損われず
鋳塊３の表面に対して緊密な接合状態を形成維持するこ
とができ、各金属片６間から多少冷却剤が漏出してもそ
の量は僅少であってその流速が小であり冷却効果は実質
的に無視し得るのでワイパーによる冷却剤除去メリット
を充分に確保することができる。

１例として直径２０３ｒＭＬのＪＩＳ Ａ６０６３のア
ルミニウム合金ビレットを第１図に示したような連続鋳
造設備で１５゜ｒＩＣＩｎ／ｍｉｎの速度により連続鋳
造するに当り、鋳型１の下面から３０ｗｎの位置に設定
された弾性部材のワイパーでその冷却水を拭除するに当
り単なる天然ゴム、シリコーンゴムを用いた従来のもの
と、本考案により天然ゴムの内側周縁に長さ１５ｗｒＬ
で厚さが０．３１ｒｒｆｎの黄銅板による金属片６を間
隔１ｒＩｒＪｒＬとして配設したワイパーとを用い鋳塊
の再冷却のために鋳塊内サンプ７の底の位置を冷却して
試験した結果は次表の通りである。

なおこの場合の鋳型１に対する注湯直前の温度は６８０
°Ｃであり、又ワイパー位置における鋳塊の表面温度は
１５０〜１８０°Ｃであった。

即ちこの場合の１回の鋳造長さは２３００ｍのものであ
るが、本考案によるものは特別なシリコーンゴムの如き
を用いなくても従来のものの少くとも数倍ないしｍ倍以
上の耐用性を示すものであることが確認され、サンプ深
さを充分に維持した連続鋳造を長期に亘って実施し得る
ことを知った。

以上説明したような本考案によるときは弾性部材によっ
て形成されたワイパーの端部に複数個に分割された金属
片を配設することによりゴム質の如きて形成されたこの
種冷却剤除去機構の耐用性を充分に高め安定した連続鋳
造を円滑に実施し得るものであり、しかもその構造が簡
易で除去された冷却剤の排出の如きも容易である等の作
用効果を有しており実用上その効果の大きい考案である
。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施態様を示すものであって、第１図は
本考案による除去機構を具備した連続鋳造装置の断面図
、第２図は本考案による除去機構の部分的な平面図、第
３図はその切断側面図である。 然してこれらの図面において、１は鋳型、２は吐出口、
３は鋳塊、４は架台、５は弾性部材、６は金属片を示す
ものである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鋳型から引出された鋳塊表面に供給された冷却剤を一旦
   除去するようにしたものにおいて、その冷却剤を除去す
   るための部材が適当な取付部材上に外側を定着された非
   金属質の弾性部材で形成され、該弾性部材の鋳塊表面に
   対する接触位置に複数個に分割された金属片を止着して
   成る金属連続鋳造装置における冷却剤除去機構。