JPS6015011Y2 - ２段減速型減速差動装置のデフロツク装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車両用減速差動装置、特に２段減速型減速差動
装置のデフロック装置に関する。

車両の駆動車軸には周知のように車両旋回時に左右の車
輪の回転速度差を許容して旋回ならしめるための差動装
置が介設されているが、該駆動車軸の片側車輪だけが溝
、ぬかるみ等に陥没した場合等には、前記差動装置の作
用により反対側車輪に比べて負荷トルクの小さい陥没側
の車輪だけが駆動力を伝達されて空転し、反対側車輪に
は駆動力が伝達されないため、このままでは陥没部から
車輪が脱出できず、走行不能におちいる。

乗用車等軽車両では人力で車体を押して車輪を陥没部か
ら脱出させることが可能であるが、トラツク等の大型車
両では人力だけでは到底対処できない。

このため、大型車両では、かかる非常時には差動装置の
サイドギヤに連結される左右のアクスルシャフト（車軸
）の相対回転をロック腰左右両車輪に一体として駆動力
が伝達されるようにして陥没部からの車輪の脱出を可能
ならしめるためのデフロック装置が設けられている。

従来よりかかる差動装置のデフロック装置は種々のもの
がある。

第１図に示したものは一方のアクスルシャフト１の差動
装置２側の端部を分割して形成し、サイドギヤ３にスプ
ライン嵌合する端部シャフト部材１ａとシャフト本体１
ｂとを軸方向移動自由にスプライン嵌合させ、かつ、ピ
ニオンギヤ４をデフケース５に軸支するスパイダシャフ
ト６の中心部にスプライン孔６ａを形成して構成されて
いる。

そしてデフロック時には前記端部シャフト部材１ａを図
示の状態から左方向に移動させてスパイダシャフト６の
スプライン孔６ａに端部シャフト部材１ａのスプライン
を嵌合させると、該スパイダシャフト６とアクスルシャ
フト１との相対回転がロックされ、これに伴なって両側
のサイドギヤ相互即ち左右のアクスルシャフト１．７の
相対回転がロックされる。

しかしながら、このように非常時以外使用することのな
いデフロック装置のためにアクスルシャフトを分割して
スプライン結合する構成では、常時アクスルシャフトの
スプラインに大きなトルクが加わり耐久性に劣る欠点が
あった。

又、第２図に示すように、一方のアクスルシャツ！・１
１にスプライン嵌合したスリーブ１２の大径部に形成し
たスプライン１２ａとデフケース１３のボス部周壁に形
成したスプライン１３ａとをデフロック時嵌合させるこ
とにより、該一方のアクスルシャフト１１とデフケース
１３との相対回転をロックし、これに伴なって左右のア
クスルシャフト１１．１４の相対回転をロックするよう
にしたものもある。

このものは、デフケース１３がアクスルフ１ウジング又
はキャリアカバーに直接軸受けされるタイプの減速差動
装置には適用できるものの、リングギヤの回転をプラネ
タリギヤによって減速してデフケースに伝達する２段減
速型減速差動装置ではその適用は実質的に困難である。

即ち、この種の減速差動装置ではデフケースはりングギ
ャと一体のサポートケース内に収納され、該サポートを
介してアクスルハウジング又はキャリアカバーに軸支さ
れているため、前記デフロック装置の構成を適用しよ・
うとすると、相対回転するデフケースとサポートケース
との間に軸受けを設けてデフケースのボス部周壁を延長
した上でアクスルシャフトとの間にデフロック用のスリ
ーブを設けねばならず、その構造は極めて複雑かつ大型
化してしまうからである。

又、いわゆるデフロック機構とは異なるが左右のサイド
ギヤを夫々アクスルシャフトに対して軸方向移動自由な
りラッチギヤに形成してピニオンギヤと断続可能な構成
としたものもあり、左右いずれかのアクスルシャフトの
みを駆動できるため、例えば、陥没した車輪側のアクス
ルシャフトのクラッチギヤをピニオンギヤと切り離すこ
とにより、他方のアクスルシャフトのみに駆動力を伝達
して陥没部から車輪を脱出させることができる。

しかしながら、この種のものは構造の複雑さに加えて、
片側のアクスルシャフトにのみ駆動力が伝達されるから
、該アクスルシャフトに大きな負荷が加わるため耐久強
度上問題があり、又、良好な操舵安定性が得られない難
点があった。

本考案は、かかる従来の欠点に鑑みなされたもので、ピ
ニオンドライブギヤによって伝達されるリングギヤの回
転をプラネタリギヤで減速して差動装置に伝達する２段
減速型減速装置に適用され、通常走行時の減速差動機能
に悪影響を及ぼすことなく非常時に円滑な作動で良好な
デフロック機能が得られ、かつ、構造の簡単なデフロッ
ク装置を提供するものである。

以下に本考案を図示する実施例に基づいて詳細に説明す
る。

図において、図示しない変速装置の出力軸に推進軸を介
して連結されているピニオンドライブギヤ２１はテーパ
ベアリング２２．２３によりスリーブ２４に軸支され、
該スリーブ２４はキャリアカバー２５の前端部にボルト
２６により取り付けられている。

該ピニオンドライブギヤ２１には、キャリアカバ−２５
後部側壁にサイドベアリング２７．２８を介して軸受さ
れたリングギヤ２９の外歯２９ ａが噛合い、ビニオン
ドライブギヤ２１の回転により、リングギヤ２９が減速
されて回転する。

該リングギヤ２９にボルト３０により一体的に固着され
た左側サポートケース３１の軸受用筒部３１ａには、後
述するデフロック装置の一構成部材となるスリーブ桿３
２が、前記サイドベアリング２７のプリロードを調整す
るためのアジャストナツト３３とスプライン結合して軸
方向移動自由に嵌挿されている。

該スリーブ桿３２のサポートケース３１内側空間に臨む
端部外周壁には筒状のサンギヤ３４の内周壁がスプライ
ン嵌合しキャリアカバー２５に実質的に固定された状態
で組み付けられ、該サンギヤ３４の外周壁に形成された
歯部３４ａと前記リングギヤ２９の内歯２９ｂに噛合う
プラネタリギヤ３５が、デフケース３６の側壁に固定さ
れたシャフト３７にベアリング３８を介して複数個取り
付けられ、リングギヤ２９の回転によりプラネタリギヤ
３５はシャフト３７の回りを自転すると共に、サンギヤ
３４の回りをリングギヤ２９の回転速度より減速された
回転速度で公転する。

前記デフケース３６内にはサンギヤ３４のと同一軸上に
軸受された一対のサイドギヤ３９．４０がこれと直角に
十字状のスパイダシャフト４１に軸支された４個（図中
２個）のピニオンギヤ４２を介して噛合し、該一対のサ
イドギヤ３９．４０に夫々左側車輪及び右側車輪と連結
する図示しないアクスルシャフトの各内側端部が嵌入し
てスプライン結合している。

そして、車両直進走行時にはピニオンギヤ４２はスパイ
ダシャフト４１のまわりに回転せス、シたがって、一対
のサイドギヤ３９．４０はデフケース３６の回転と同期
して回転し、車両旋回時にはピニオンギヤ４２がスパイ
ダシャフト４１のまわりに回転して一対のサイドギヤ３
９，４０の回転速度差を許容することは周知の通りであ
る。

さらに、前記デフケース３６を覆ってリングギヤ２９の
右側面にボルト４９により固定された円筒状の右側サポ
ートケース４３がキャリアカバー２５の後部の一方の側
壁にサイドベアリング２８を介して軸受されている。

該サイドベアリング２８は前記サイドベアリング２７と
同様にアジャストナツト５０によりプリロードを規定さ
れてキャリアカバー２５に取り付けられている。

かかる構成の減速差動装置に本考案に係るデフロック装
置が装着される。

即ち、左側サイドギヤ３９のデフケース３６側壁より外
側に突出するボス部の外周壁にスプライン３９ａが形成
され、該スプライン３９ａに内周壁一端部に形成したス
プライン４４ａが軸方向移動自由に嵌合するクラッチス
リーブ４４を設け、該スリーブ４４の外側端部に形成し
たつば部４４ｂの内周面とサイドギヤ３９の外端面との
間にはリターンスプリング４５を嵌挿し、該クラッチス
リーブ４４を前記スリーブ桿３２の端面に付勢しである
。

さらに、該クラッチスリーブ４４の内側端壁とこれに対
向するデフケース３６の外側壁部分には、夫々クラッチ
スリーブ４４の図示方向の移動によって相互に噛み合う
放射状の歯部４４ｃ、３６ａが形成される。

一方、スリーブ桿３２のキャリアカバー２５から外方に
突出する端部外周壁にはピン４６を介してレバー４７の
一端部が軸支され、該レバー４７の他端部はキャリアカ
バー２５の外壁にピン４８を介して回動自由に軸支され
ている。

該レバー４７の端部は図示しないリンク機構を介して運
転室のデフロック操作桿と連結しである。

かかる構成のデフロック装置において、通常走行時には
レバー４７が図示位置にあり、スプリング４５の付勢力
によりスリーブ桿３２及び隣接するクラッチスリーブ４
４はスリーブ桿３２の大径部フランジ面がサポートケー
ス３１内側壁に当接する左端位置にあってクラッチスリ
ーブ４４の歯部４４ｃとデフケース３６の歯部３６ａと
は離脱しているから、サイドギヤ３９とデフケース３６
との相対回転が許容され、左右アクスルシャフト従って
左右車輪の差動機能が正常に発揮される。

一方、前記した如く、左右いずれかの駆動車輪が溝、ぬ
かるみ等に陥没した場合等の非常時には、運転室内てデ
フロック操作を行なうと、図示しないリンク機構を介し
てレバー４７がピン４８を中心として図示の位置から反
時計回りに揺動する。

するとレバー４７に連結されたスリーブ桿３２が図示右
方向に移動し、該スリーブ桿３２の端面に当接するクラ
ッチスリーブ４４もサイドギヤ３９と一体に回転したま
ま軸方向に移動して該スリーブ４４の歯部４４ｃとデフ
ケース３６側壁の歯部３６ａとが噛み合うため、スリー
ブ４４を介してサイドギヤ３９とデフケース３６とが相
対回転不能にロックされ、これに伴なって左右のアクス
ルシャフト及びこれに連結する左右の車輪が−体となり
同一速度で回転するのである。

ここで、クラッチスリーブ４４及びこれと同心上に直列
して設けられたスリーブ桿３２は軸方向に振れを生じる
ことなく円滑に作動腰 リターンスプリング４５も同心
上に設けられるため、各部材の偏摩耗を防止でき、耐久
性が向上する。

さらに、サンギヤ３４の内側に嵌挿して取り付けられる
スリーブ桿３２は、本来デフロック機構が別部分に設け
られる場合には、サンギヤ３４の基部として一体に形成
される部分を別体にして軸方向移動自由に設けたもので
あるから、極めてコンパクトに構成できる。

以上説明したように本考案に係るデフロック装置によれ
ば、アクスルシャフトを分割する必要がないから耐久強
度的に優れ、通常走行時安定した減速差動機能が得られ
、しかも、極めて簡単かつコンパクトな構成にして円滑
な作動で確実なデフロック機能を発揮することができる
。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の差動装置におけるデフロック装置の一例
を示す断面図、第２図は従来のデフロック装置の別の例
を示す断面図、第３図は本考案に係るデフロック装置の
一実施例を示す断面図、第４図は第３図の要部拡大図で
あ。 ２１・・・・・・ピニオンドライブギヤ、２５・・・・
・・キャリアカバー ２９・・・・・・リングギヤ、３
１・・・・・・左側サポートケース、３２・・・・・・
スリーブ桿、３４・・・・・・サンギヤ、３４ａ・・・
・・・スプライン、３５・・・・・・プラネタリギヤ、
３６・・・・・・デフケース、３６ａ・・・・・・歯部
、３９・・・・・・サイドギヤ、４３・・・・・・右側
サポートケース、４４・・・・・・クラッチスリーブ、
４４ａ・・・・・・スプライン、４４ｃ・・・・・・歯
部、５ ””リターンスフリング、４７・・・・・・レ
バー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジン駆動力を伝達されて回転するピニオンギヤト、
   該ピニオンギヤに噛合して回転するりングギャと、該リ
   ングギヤと同一軸上に配設され回転不能に固定取付され
   る筒状のサンギヤの外歯及びリングギヤの内歯に夫々内
   外周が噛合して自転と共に公転するプラネタリギヤと、
   該プラネタリギヤを軸支しプラネタリギヤの公転によっ
   て回転するデフケースと、該デフケースの外側を覆って
   リングギヤに固定されたサポートケースと、これら各構
   成要素を回転自由に外包するキャリアカバー及びハウジ
   ングと、を備えて構成される２段減速型減速差動装置に
   おいて、前記デフケースと、該デフケースに回転自由に
   軸支され、前記サンギヤに近い側のアクスルシャフトの
   内端部に連結されたサイドギヤとを相対回転不能に係合
   又は切離自由なりラッチスリーブを該サイドギヤのデフ
   ケース外側に突出するボス部に軸方向移動自由にスプラ
   イン係合させて該サイドギヤ連結側のアクスルシャフト
   に嵌挿して設ける一方、クラッチスリーブの内端部とデ
   フケース外側壁とに夫々デフロック時に係合する歯部を
   設け、かつ、クラッチスリーブを常時はデフケースの歯
   部から切り離す方向に付勢するリターンスプリングと、
   該リターンスプリングに付勢されたクラッチスリーブに
   一端面が当接し、前記サンギヤの内側に嵌挿されキャリ
   アカバーに対して軸方向のみ移動自由に取り付けられた
   スリーブ桿と、該スリーブ桿のキャリアカバー又はハウ
   ジングの外部に突出する端部に係合し、スリーブ桿を介
   してクラッチスリーブを軸方向に移動させるリンク機構
   とで構成され、通常走行時には、デフケースとサイドギ
   ヤとの係合を切り離し、デフロック操作時には両者を係
   合させるべくクラッチスリーブを軸方向に移動操作して
   切り換える切換装置を設けたことを特徴とする２段減速
   型減速差動装置のデフロック装置。