JPS6013199B2 - 管楽器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 一般に、合成樹脂製笛は量産に適し、安価で且つ轍性に
富んでいるという長所があるが、物性上軟質で優れた共
鳴音を得難いという欠点がある。

特に、最近は合成樹脂製笛の精度が高まり、歪防止の要
請から笛の肉厚を薄く用いる優向にあるが、肉厚を薄く
すると共鳴音の劣化が顕著に生ずることになる。本発明
は管体の肉厚を薄くした場合でも優れた共鳴音を得るこ
とに成功した合成樹脂製管楽器に関する発明である。

本発明は中空部を有する内・外２重構造の管楽器の管体
に連結用の骨材を形成し、又内管の背面に金属メッキ等
の剛性付与層を施し、この内・外両替体を押鮫着して一
体化させることにより管体の剛性化を計り、以つて英鳴
音を最大限に発揮させ、優れた音色効果を奏する管楽器
を提供するにある。

以下、添符図面を参照しながら、本発明を説明する。

第１図は本発明を実施した笛１の組立断面図であり、２
は歌口、３は本管、４は足部管である。笛１の歌口２、
本管３、及び足部管４はいづれも内管２ｉ，３ｉ及び４
ｉ、並びに外管２ｏ，３ｏ及び４ｏの２重壁構造となっ
ており、内管と外管との間に中空部Ｐが形成されている
。そして、これらの管体は合成樹脂（例えば熱可塑性合
成樹脂）で製造され、内管の肉厚は薄肉で略均一な厚さ
になっている一方、内管背面に連結用の背骨２ｉ′，３
ｉ′及び４ｉ′が内管と一体に成形されている。内管背
面に背骨２ｉ′を一体成形した内管２ｉを有する歌口の
拡大図が第２図に示されており、背面に背骨３ｉ′を一
体成形した内管３ｉを有する本管３の拡大図は第３図に
示されており、その斜視図が第３Ａ図に示されている。
本管の外管斜視図が第３Ｂ図に示されこの外管が第３Ａ
図の内管へ押鉄着され、第３図の如き本管となる。背骨
４ｉ′を一体成形した足都督４の拡大図は第４図に示さ
れている。歌口及び足部管の内・外両替も第３Ａ図及び
第３Ｂ図に示す本管の構成と同様であり、押様着される
と第２図及び第４図の如くなる。第３図に示されるよう
に、本管３の内管背骨３ｉ′及びこれに対応する外管部
分に音孔５が形成されている。第３Ｃ図には、音孔５が
形成された背骨３ｉ′は、後述するように、２重壁構造
のこともあるが、他の背骨と同様であってもよい。外管
３ｏと内管背骨３ｉ′の薮面６′の気密を良好に保ち、
内管３ｉと外管３ｏとが密着隊合して合体する。更に、
管体の剛性度を高めるため、内管３ｉの背面の背骨３ｉ
′間に、ニッケル、銀等の金属メッキの剛性付与層を付
着させる。この剛性付与層は歌口２の内管背骨２ｉ′間
及び足部管４の内管背骨４ｉ′間の面にも付着される。
本管の両端部の結合部分は従来同様、厚い肉厚に成形さ
れるが、冷却硬化時の歪を回避するためその肉厚部７に
切り込み８が施される。内管３ｉに外管３ｏが密着隊合
して合体された本管３の両端部に、第３図及び第３０図
に示す如く金属管９が鉄着され、その一方の端縁は、内
方側に折り曲げる等して第３Ｂ図及び第３Ｄ図に示され
る如き外管３ｏに形成された溝１０内に埋め込まれて係
止される。他方の端緑も同様に、内方側に折り曲げる等
して、第３Ｄ図に示す如く内管３ｉの管壁、図示例では
端面に形成された溝１０ａに埋め込まれて係止される。
この金属管９は結合部分における強度を強め、背骨間に
金属メッキを施したと同機の効果を結合部に与えるため
のものである。このように構成された本発明においては
、一様な薄い肉厚の内管に背骨を一体成形して、この内
管に外管を押競着させて内外両管を一体化させているか
ら、内管が外管により強力に支持されて、管楽器として
十分な剛性が付与されることとなり、従って軟性樹脂素
材に加えて冷却硬化時の歪を回避するため肉厚を薄くし
た場合において生ずる共鳴音の劣下を防ぎ、かくして優
れた共鳴音を発生せしめ、そしてにごりのない清音を発
生させ得るという顕著な作用効果が得られる。

又、背骨間の面に金属メッキ等の剛性付与層を付着させ
る手段を採り得るから背骨を設けたことと相俣つて、管
体の剛性度を一段と増大させ、従って優れた共鳴音を発
生させ得る。更に、本管と歌口及び足部管との間の結合
部に金属管が鉄着されているから、結合部において、背
骨間に金属メッキを施したと同様の作用効果が得られる
。本発明の上記実施例においては、背骨が管軸に沿って
延びる形式のものであったが、第５図に示すように円周
方向の連結用骨材をある間隔のもとで規則的に、又は不
規則に形成した背骨であってもよい。

このような背骨には、点状若しくは面状も含む。更に、
背骨は第６図に示すような斜めに連結した形式の背骨で
あってもよい。第５図においては、本管の内管のみを示
すが、歌口及び足部管も全く同様であり、これらの内管
に対応する外管が押鼓着される。第５図において、内管
は３ｉ５で示し、背骨は３ｉ５′で示す。その他の参照
番号は第３図に示す本管の参照番号と同じである。第６
図においても同様であるが、図中の３ｉ６は内管を示し
、３ｉ６′は背骨を示す。これらの実施例における背骨
はいづれも、内管と一体成形されてなるものであるが、
この背骨と同様の骨部材が外管に一体成形されてもよい
。又、骨部村はその高さが適正になるようにして内管及
び外管に一体成形されてもよい。更に、骨部材が内管及
び外管のいづれか１方又は双方に一体成形される代りに
内管及び外管とは別個に製造され、剛性化の目的を達成
し得るように内管及び外管のいづれか１方又は双方に、
骨部村を通す切欠を設け又は設けずして、鉄着され若し
〈は固定され、然る後に内管に外管を押鉄着してもよい
。尚、外管に骨部材が形成される場合には、肉厚部７に
、骨部村を挿通しうる切欠部が形成されるか又は内管肉
厚以外の肉厚部が外管に形成されてもよい。そして、骨
部材が別個に形成される場合には骨部材を俵着組立てた
後内管肉厚部以外の肉厚部が競着される。これらの背骨
、又は骨部材及び骨部材と一緒に外管に設けられること
のある内管肉厚以外の肉厚部が本発明における骨材を構
成する。上述した骨材においてそこに設けられる音孔は
一重壁構造のものであるが、第３Ｃ図に示されるような
、外壁を欧質材とする内外壁から成る２重壁構造で構成
されても上述したと同じ効果を奏する。又、金属メッキ
厚及び金属管厚を適宜の厚さにすれば、その剛性化が良
好となり、最適の共鳴性が得られる。上述した本発明実
施例においては、管体の剛性化手段が歌口、本管及び足
部管全部に施される場合であったが、これらの内の１つ
又は２つについてのみ施されてもよい。

本発明は堅笛を実施例にして説明したが、その他の管楽
器例えば横笛、尺八、或いは洋管楽器のクラリネット、
オーボエ、バズーン（英）（ファゴット（仏））等にも
応用出来る。

上記の如く、本発明の構成によると、内・外の各管体が
薄肉の軟質樹脂材料で形成されていても、内・外両替体
が骨材により一体化され、必要に応じて金属メッキ、及
び金属管を採用すれば、管体の剛性化が一段と高められ
るから、歪を可吸的に小さくし、精度の高い管体を得る
ことができ、而も共鳴音も格段に優れた良質の管楽器を
提供し得る有益な作用効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を実施した堅笛の組立断面図、第２図は
第１図に示す堅笛の歌口の造面図、第３図は第１図に示
す堅笛の本管の断面図、第３Ａ図は本管の内管の斜視図
、第３８図は本管の外管の斜視図、第３Ｃ図は第３図及
び第３Ａ図の線Ａ−Ａ′に沿ってみた拡大断面図、第３
Ｄ図は第３図の点線円で示す部分の拡大断面図、第４図
は第１図に示す堅笛の足部管の断面図、第５図は本発明
の他の実施例の本管の内管のみを示す図、第５Ａ図は第
５図の線Ａーハに沿ってみた拡大断面図、第５Ｂ図は第
５図の矢印Ｂの方へみた側面図、第６図は本発明の更に
他の実施例の本管の内管のみを示す図である。 １・・・・・・笛、２・・・・・・歌口、３・・・・・
・本管、４・・・・・・足部管、２ｉ，３ｉ及び４ｉ、
並びに３ｉ５及び３ｉ６……内管、２ｏ，３ｏ及び４ｏ
…・・・外管、２ｉ′，３ｉ′及び４ｉ′並びに３ｉ５
′及び３ｉ８′・・・…背骨、９……金属管。 第１図 第２図 第３図 第３Ａ図 第３Ｂ図 第３Ｃ図 第３Ｄ図 第４図 第５図 第５Ａ図 第５Ｂ図 第６図３

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内管と、外管と、前記内管及び外管を連結する骨材
   とから成り、前記内管に外管を押嵌着して中空部を形成
   したことを特徴とする管楽器。 ２ 内管と、外管と、前記内管及び外管を連結する骨材
   と、該骨材間の内管背面に施した金属メツキ等の剛性化
   付与層とから成り、前記内管に外管を押嵌着して中空部
   を形成したることを特徴とする管楽器。 ３ 内管に外管が密着嵌合して合体された管楽器の端部
   に金属管が嵌着し、該金属管の一方の端縁は内側に折り
   曲げて外管に形成した溝に埋め込んで係止し、他方の端
   縁は内側に折り曲げて内管端部に形成した溝に埋め込ん
   で係止して成ることを特徴とする管楽器。