JPS60131999A - 摺動部材及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は耐摩耗性、耐焼付性の優れた摺動部材及びその
製造方法に関する。

従来、摺動部材の用途例として例えばハイシリコンアル
ミニウム合金のシリンダボアとの摺動を行なうピストン
のスカート部等の摺動部材は、耐摩耗性を向上させるた
め、各種表面処理を行なったものを使用している。この
ような表面処理の一つとして、摺動部材素材に鉄・リン
めっき被膜を形成することが知られているが、従来この
種の摺動部材に形成された鉄・リンめっき被膜はりン含
貝が１０−以上の高リン量のものであシ、本発明者らの
検討によれば、高リン量の鉄・リンめっき被膜は耐焼付
性に劣るものであった。また、摺動部材素材に鉄めっき
被膜を形成したものは、鉄めっき被膜の硬度が小さく、
耐摩耗性、耐焼付性が不十分で信頼性が不足していた。

また従来、鉄・リン電気めっき浴としては、２価の鉄イ
オンと次亜リン酸又はその塩とを含み、更にホウ酸や塩
化アンモニウム等を含むもの゛が知られているが、本発
明者らの検討によると、この種のめつき浴を用いて鉄・
リン電気めっきを行なった場合、得られる鉄・リンめっ
き被膜の断面に多数のクラックが生じ、このクラックが
特に機械的性能を要求する応用面では大きな障害となる
ことを知見した。即ち、クラックの発生した鉄・リンめ
っき被膜はそれ自体のじん性が著しく低い上、クサビ（
ノツチ）効果によりめっきが施こされた素材そのものの
しん性を低下させるものであった。

本発明者らは、上記事情に鑑み、耐摩耗性及び耐焼付性
の両者に優れた摺動部材につき鋭意検討を進めた結果、
リン含量が０，１〜９．９チの鉄・リンめっき被膜を形
成した摺動部材が耐摩耗性及び耐焼付性が非常に優れて
いることを知見した。また、この種′の鉄・リンめっき
被膜を形成した摺動部材を得る方法として、２価の鉄イ
オンと次亜リン酸及び／又は次亜リン酸塩とアルミニウ
ムイオンとを含むめっき浴、２価の鉄イオンと亜すン酸
／亜リン酸塩を主成分としためつき浴、或いは、これら
の併用である２価の鉄イオンと次亜リン酸及び／又は次
亜リン酸塩と亜リン酸及び／又は亜リン酸塩とアルミニ
ウムイオンとを含むめっき浴を用いて摺動部材素材をめ
っきした場合、クラックがなく、機械的特性に優れた鉄
・リンめっき被膜を有する摺動部材が得られることを知
見し、本発明をなすに至ったものである。

以下、本発明につき更に詳しく説明する。

本発明に係る摺動部材は、その摺動部分の一部、好まし
くは全部にリン含量が０．１〜９．９％（重量％）の鉄
・リンめっき被膜が形成されてなるものであシ、０．１
〜９．９チのリン含量を有する鉄・リンめっき被膜の形
成により、摺動部材の耐摩耗性及び耐焼付性を向上させ
たものである。この場合、第少ないかもしくは９．９％
よシ多いと耐焼付性が劣るため、本発明の目的を達成し
得ない。なお、リン含量のより好適な範囲は０．７〜６
チ、特に０．７４〜２％である。また、鉄・リンめっき
被膜の膜厚は特に制限されないが、一般的には５〜１５
０μ、特に１０〜５０μとすることが好ましい。なお、
めつき膜厚は耐摩耗性に優れた鉄・リンめっき被膜はど
薄くても十分な耐久性を得ることができる。

鉄・リンめっき被膜が形成される摺動部材素材の材質は
必ずしも限定されないが、通常のピストンの場合ＡＣ８
Ａ−Ｔ６のアルミニウム合金鋳物等が用いられる。

前記鉄・リンめっき被膜が形成された摺動部材を製造す
る方法としては、その素材の材質等に応じた公知の前処
理を施した後、素材に直接又は適宜な下地めっき被膜を
介して公知の鉄・リンめっき浴を用いてめっきを行なう
方法を採用することがズきるが、好ましくは２価の鉄イ
オンと次亜リン酸及び／又は次亜リン酸塩とアルミニウ
ムイオンとを含むめっき浴、２価の鉄イオンと亜すン酸
／亜リン酸塩を主成分としためつき浴、或いは上記両温
の混合浴を用いて摺動部材素材をめっきする方法を採用
することが有効であシ、これらのめつき浴を用いて電気
めっきを施した場合、断面にクラックのない鉄・リンめ
っき被膜が得られ、耐摩耗性を更に向上させることがで
きるものである・即ち、従来は鉄・リンめっき被膜を電
気めっきによシ得る場合、リン供給源として次亜リン酸
や次亜リン酸塩を用いためつき浴を使用しており、この
種のめつき浴は光沢のあるめっき被膜が得られるもので
あるが、その断面を観察するとクラックが多数発生して
いるものであった。しかし、リン供給源として次亜リン
酸や次亜リン酸塩を用いためつき浴にアルミニウムイオ
ンを添加するか、或いは次亜リン酸や次亜リン酸塩の代
シに亜リン酸や亜リン酸塩を使用した場合、鉄・リンめ
っき被膜に対するクラックの生成を防止することができ
、従って摺動部材の製造に好適に使用することができる
ものである。

ここで、２価の鉄イオンと次亜リン酸及び／又は次亜リ
ン酸塩とアルミニウムイオンとを含有するめっき浴につ
いて更に詳述すると、２価の鉄イオンの供給源は特に制
限されないが、例示すると硫酸第１鉄、塩化第１鉄、ス
ルファミン酸第１鉄、ホウフッ化第１鉄などを挙げるこ
とができ、これらの１種を単独で又は２種以上を併用し
て使用することができる。また、２価の鉄イオンの含有
量も必ずしも限定されないが、めっき浴１Ｌ当シ２０〜
８０１とすることが好ましい。

次亜リン酸や次亜リン酸塩は、鉄・リンめっき被膜に対
するリンの供給源として使用されるものであシ、その含
有量は要求する鉄・リンめっき被膜のリン含量等によっ
て相違するが、通常めっき浴１を当り　ＮａＨｔＰＯｚ
　’　２Ｈｔ０　として０．０１〜１５　Ｆ、特に０．
０５〜１０１とすることが好ましい。なお、次亜リン酸
塩としては、次亜リン酸ナトリウム等が使用し得る。こ
の場合、亜リン酸や亜リン酸塩を併用できる。

また、アルミニウムイオンの供給源としては、硫酸アル
ミニウム、塩化アルミニウム、アルミニウムミョウバン
等が挙げられるが、これに制限されるものではない。な
お、これらのアルミニウム化合物はその１種を単独で用
いてもよく、２種以上を併用するようにしてもよい。ま
た、本発明において、アルミニウムイオンの含有量はめ
っき液１を当９０．０５〜５１．特に０．１〜２　Ｆと
することが好ましく、この範囲で良好なりラック発生防
止効果を有する。

更に、上記めっき浴には、必要によシミ導度塩として硫
酸アンモニウム、塩化アンモニウム等ヲ０〜２００　ｆ
／ｌ、特に２０〜１５０　ｔ／ｌ、…緩衝剤としてホウ
酸等を０〜６０　ｆ／ｌ、特に２０〜５０１／ｌ、２価
或いは３価の鉄イオンの錯化剤として酸性フッ化アンモ
ニウム等を０〜２０１／ｌ、特に１〜１０　ｆ／ｌ、ま
た、耐摩耗性を向上させるために、チタン化合物やジル
コニウム化合物を０．１〜３０　ｔ７ｔ、特に０．５〜
２０ｙ７を添加することができる。

なお、めっき浴の…は０．５〜３．５とすることが好ま
しい。

また、２価の鉄イオンと亜リン酸及び／又は亜″リン酸
塩を主成分とするめつき浴は、鉄・リンめっき被膜に対
するリンの供給源として亜′リン酸及び／又は亜リン酸
塩を使用するもので、これによシ上述したようにクラッ
クのない鉄・リンめっき有量は、要求する鉄・リンめっ
き被膜のリン含量等によシ相違し、また亜リン酸や亜リ
ン酸塩のめつき浴に対する溶解度によって制限されるが
、通常めっき浴１Ｌ当り　ＮａＨｔＰＯａ　・２）１１
ｚ０として０．０１〜２０ｆ、特に０．１〜１０１とす
ることが好ましい。

なお、２価の鉄イオン、電導度塩ｉについては上述した
アルミニウム含有浴と同じであシ、またこの亜リン酸浴
にも必要によシアルミニウムイオンを含有させることが
できる。

上述した鉄・リン電気めっき浴を用いて摺動部材素材を
めっきする場合、浴温は室温〜８Ｏ℃、特に３０〜７０
℃とすることができ、また陰極電流密度は０．５〜３０
　Ａ／ｄｔｔ？、、％Ｋ　２〜２０　Ａ／ｄｍ’トする
ことができる。更に、撹拌は必ずしも必要とシナいが、
カソードロッカー、スターラーによる浴撹拌を採用する
こともできる。なお、陽極には一般に鉄板が用いられる
。

ここで、アルミニウムイオン添加効果について、ピスト
ンスカートに上郡己のめつき浴を用いてめっきを行なっ
た場合の結果をもとに更に説明する。

内燃機関のピストンの如く、爆発圧力および慣性力が作
用した状態では弾性変形して作動する摺動部材では、従
来の鉄・リンめっき被膜のように柔軟性が不足している
めっき被膜をピストンスカートに形成した場合、作動中
の母材の弾性変形にめっき被膜が追従できなくなると、
第１段階としてめっき被膜中にクラックが発生する。こ
のクラックは被膜に平行なものと垂直方向のものとがあ
る。

第２段階では、このクラックが進展し、平行なりラック
は表面にまで進むと、めっき被膜からの帝１離になり、
垂直方向のクラックは母材にまで進むと、母材からの剥
離になる。第３段階では、刷１離片がピストンスカート
とシリンダボアとの摺動面間を移動する時に、めっき被
膜を引掻き、スカ−卜の摺動方向に大きな損傷として発
展し、いわゆるビストンスカッフという損傷につながる
。これを防ぐには母材の変形に追従できる程度の柔軟性
を備えためつき被膜に改良すれば良いわけで、このため
には、本発明の場合めっき浴中へのアルミニウムイオン
の添加によって結晶粒を微細化し、伸びを出すようにし
たことで目的を達成した。この効果については、実機試
験でも確認でき、めっき浴中へのアルミニウムイオンの
一添加によって、ビストンスカッフを防止することがで
きた。

次に、次亜リン酸浴と亜リン酸浴の効果について説明を
加えると、めっき浴中への添加−龍とめつき被膜中のリ
ン含量との関係に差があり、第３図から明らかなように
、次亜リン酸浴の方が浴中への添加量が同じ場合にめっ
き被膜中のリン含量が高い。耐焼付性、耐摩耗性からの
最適リン含量は０．７４〜２％なので、最適範囲のめつ
き被膜を安定して得るには、亜リン酸浴の方がよυ良好
であシ、大量生産に適している。

リン含量０．１〜９．９チの鉄・リンめっき被膜が施こ
された摺動部材は、鉄・リンめっき被膜を形成した後、
そのまま使用してもよいが、必要によシ適宜な後処理を
行なった後、使用するようにしてもよい。このような後
処理としては、めっき被膜を例えば２００〜７００℃で
１〜２時間熱処理を行なってめっき被膜の硬度を上げる
方法、めっき被膜を焼入れして硬度を上げる方法、めっ
き被膜に窒化、ホウ化等浸透処理を施す方法、めっき被
膜上に更に潤滑性被膜、例えば錫めっき被膜、鉛めっき
被膜を形成する方法などが挙げられる。

本発明の摺動部材は、耐摩耗性、耐焼付性が良好テあシ
、例えばピストン、ピストンリング、ベアリング、シリ
ンダデア、ピストンロッド、シャフト、シフトフォーク
、キャプレタスロットルバルブ、クラッチハウジング、
ブレーキドラム、クラッチダイヤフラム、スプリング等
として適用されるが、その相手方の部材の材質は必ずし
も制限されない。しかしながら、相手方の部材の材質と
しては特にＡ３９０・Ｔ６ハイシリコンアルミニウム合
金を用いることが好ましく、これＫよシ本発明摺動部材
の効果が一層有効に発揮される。

以下、実施例と比較例を示し、本発明を更に具体的に説
明する。

〔実施例１〕 ＡＣ８Ａ−Ｔ６　アルミニウム合金にて形成されたピス
トン材を使用し、アルミニウム素材への通常の前処理（
亜鉛置換、ストライクめっき）をした後、下記組成の鉄
・リンめっき浴を用いて３０μの鉄・リンめっき被膜（
リン含量１．０％）を形成した。

次に、得られた摺動部材を電解研摩または化学研摩でエ
ツチング処理したＡ３９０・Ｔ６アルミニウム合金シリ
ンダ？ア材と組合せ、後述する摩耗及び焼付試験を行な
った。

Ｆｅ５０＜　”　７ＨｔＯ２５０”；ｉ／１（ＮＨ４）
ｔｓＯ４１００ｔｔ ＮａＨｔＰＯｓ　＠　２Ｈ！Ｏ１ｔｔ ＰＨ２，１ 浴　温　６０℃ Ｄｋ　４　Ａ／ｄｔｒｌ 〔実施例２〕 ＡＣ８Ａ−Ｔ６　アルミニウム合金にて形成されたピス
トン材を使用し、アルミニウム素材への通常の前処理（
亜鉛置換、ストライクめっき）をした後、下記組成の鉄
・リンめっき浴を用いて３０μの鉄・リンめっき被膜（
リン含量４．θ％）を形成した。

次に、得られた摺動部材を電解研摩または化学研摩でエ
ツチング処理したＡ３９０・Ｔ６アルミニウム合金シリ
ンダメア材と組合せ、後述する摩耗及び焼付試験を行な
った。

鉄・リンめっき浴組成及びめっき条件 ＦｅＣ１ｚ　”　４Ｈ２０１６０ｆ／１（ＮＨ４）ｔｓ
Ｏ＋　１００　１ｒ Ｈ８ＢＯ，２０／／ ＮＨ４Ｆ−Ｉ（Ｆ　５　／’ Ａｔｔ　（ＳＯ４）３・１４−１８Ｈｔ０　５　１Ｎａ
ＨｔＰＯｚ　”　Ｈｔｏ　３　ｔｔｐＨ１，４ 浴　温　６０°Ｃ Ｄｋ　４Ａ／ｄｍ” 〔実施例３〕 実施例１のめつき浴にに２　Ｔｉ　Ｆｓ　２．０　？／
Ｌを加えた浴を用いた以外は実施例と同様にして試験を
行なった。

〔比較例１〕 ＡＣ８Ａ−Ｔ６　アルミニウム合金ピストン材とＦｅ１
２のねずみ鋳鉄シリンダボア材とを組合せ、後述する摩
耗及び焼付試験を行なった。

〔比較例２〕 ＡＣ８Ａ−Ｔ６　アルミニウム合金ピストン材と電解研
摩でエツチング処理したＡ３９０・Ｔ６アルミニウム合
金シリンダデア材とを組合せ、後述する摩耗試験を行な
った。

〔比較例３〕 鉄めっき被膜を３０μ形成したＡＣ８Ａ−Ｔ６　のアル
ミニウム合金ピストン材と電解研摩でエツチング処理し
たＡ３９０・Ｔ６アルミニウム合金シリンダがア材とを
組合せ、後述する摩耗及び焼付試験を行なった。

摩耗試験はＬＦＷ−１摩擦摩耗試験機を使用し、すベシ
速度０．３ｍ／ｉ戒、面圧４ｏ０ｋｙ／−の条件で摩耗
深さを評価した。また、焼付試験は機械試験新式摩擦摩
耗試験機を使用し、すベシ速度１　ｍ　／　ｓｅｅの条
件で焼付荷重を評価した。結果を第１表及び第２表に示
す。

第１表

【図面の簡単な説明】

第１図はめつき被膜中のリン含量と摩耗深さとの関係を
示すグラフ、第２図はめつき被膜中のリン含（ｉｔと焼
付き荷重との関係ｒ示すグラフ、第３図はめつき被膜中
のリン含量とめつき浴中の次亜リン酸又は亜リン酸との
関係を示すグラフである。 出願人　トヨタ自動車株式会社 上村工業株式会社 代理人　弁理士　小島隆司

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １、リン含量が０．１〜９．９重量−の鉄・リンめっき
   被膜を形成してなることを特徴とする摺動部材。 ２．２価の鉄イオンと、次亜リン酸及び／又は次亜リン
   酸塩と、アルミニウムイオンとを含有する鉄・リン電気
   めっき浴を用いて摺動部材素材にリン含量が０．１〜９
   ．９重量％の鉄・リンめっき被膜を形成することを特徴
   とする摺動部材の製造方法。 ３．２価の鉄イオンと、亜リン酸及び／又は亜リン酸塩
   とを主成分とする鉄・リン電気めっき浴を用いて摺動部
   材素材にリン含量が０．１〜９．９重量−の鉄・リンめ
   っき被膜を形成することを特徴とする摺動部材の製造方
   法。 ４、　アルミニウムイオンを含有させた亜リン酸及び／
   又は亜リン酸塩を含む鉄・リン電気めつき浴を用いて摺
   動部材素材にリン含号が０．１〜９．９重ｉ％の鉄・リ
   ンめっき被膜を形成することを特徴とする特許請求の範
   囲第３項記載の摺動部材の製造方法。