JPS597485B2 - 上向流移動層式濾過装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は上向流移動層式濾過装置に関し、詳しくは濾過
槽に再生濾材を搬送液と共に供給しても、搬送液の混入
による処理液の品質の低下を招くことなく、高品質の処
理液を得ることができる上向流移動層式濾過装置に関す
る。

上向流移動層式濾過装置においては、懸濁物質（以下、
ＳＳという。

）を捕捉した濾材は、通常、濾過槽下端から抜出され、
洗滌再生後、再使用に供するため、濾過槽上部に搬送さ
れる。

従来、再生濾材を濾過槽に搬送するには、普通、濾過槽
で濾過処理された処理液の一部を用い、エゼクター等に
より固液混相流とする場合が多いが、このようにすれば
、濾材の再生が十分に行なわれていたとしても、尚、濾
材には幾分のＳＳが付着していることは免れず、従って
、再生濾材が固液混相流で濾過槽に搬送される過程で、
濾材に付着していたＳＳが離脱し、搬送液中に移行する
から、この搬送液が濾過槽内で処理液と混じって、処理
液の品質を悪化させる欠点があった。

特に、この欠点は処理液に高度の品質が要求される場合
に致命的である。

本発明は上記問題点を解決するためになされたものであ
って、濱過槽に再生濾材を搬送液と共に供給した際、搬
送液と処理液とが実質的に混じり合わず、従って、処理
液の品質を高度に維持し得る上向流移動層式濾過装置を
提供することを目的とする。

本発明は粒子状濾材を下方に移動させつつ、瀘過槽下部
より被処理液を導入して濾過槽上部より処理液として取
出すようにした上向流移動層式濾過装置において、濾過
槽１の上に搬送されてきた再生濾材とその搬送液とを分
離する分離槽３を併設すると共に、その分離槽下端部３
ａに連続して形成した再生濾材排出用及び抵抗部材とし
ての挿入管６を前記濾過槽１内の濾材層上面２０ａまで
挿入して分離槽３内の再生濾材２を挿入管６を介して濾
過槽１内の濾材層に連続させ、前記分離槽３の略中段部
に再生濾材を搬送液と共に分離槽３に供給する再生濾材
供給口４を、分離槽３の上部に前記搬送液を分離槽３か
ら流出させる搬送液出口５をそれぞれ設け、一方、上記
濾過槽１の上部から処理液を外部に取出す処理液管１０
を濾過槽１より上方で前記搬送液出口５よりもｈｔ（ｈ
ｘ＞０）だけ低い位置で大気圧下に開口１０ａすること
により、該処理液管１０の開口位置における位置水頭と
管１０内での圧損水頭との和が前記分離槽下端部６より
も高く且つ搬送液出口５よりもｈ２（ｈｚ＞Ｏ）だけ低
いレベルＬに相当する位置水頭になるようにすると共に
、該ｈ２に相当する位置水頭が前記レベルＬから挿入管
６下端までの圧損水頭と処理液管１０の圧損水頭との和
よりも低くなるようにしたことを特徴とする。

以下実施例を示す図面に基づいて本発明を詳細に説明す
る。

第１図、第２図に示す装置において、濾過槽１の上端に
、再生濾材２と搬送液とを分離するための分離槽３が併
設され、分離槽３の略中段部には再生濾材を搬送液と共
に固液混相流にて分離槽３に供給する再生瀘材供給口４
が、また、分離槽３の上部には搬送液を流出させる搬送
液出口５がそれぞれ設けられている。

また分離槽３の下端３ａには再生濾材排出用及び抵抗部
材としての挿入管６を連続して垂下形成していろ。

そして挿入管６を濾過槽３内の濾材層２０上面２０ａま
で挿入し、これにより分離槽３内の再生浦材２を挿入管
６を介して濾過槽３内の濾材層２０に連続するようにし
ていろ。

一方、濾過槽１は下端に濾材を抜出すための濾材抜出口
７が設げられ、また下部に被処理液供給口８、上部に処
理液を外部に取出す処理液管１０がそれぞれ設けられて
いる。

また第２図に示す例では濾材層２０に埋設した果液スク
リーン９を用い、該スクリーン９に処理液管１０を接？
している。

処理液管１０は濾過槽１より上方で分離槽３の搬送液出
口５より下方の適当な位置で大気圧下に開口１０ａする
。

この様な装置において、被処理液供給口８からの被処理
液が処理され、それが分離槽３の出口５から排出される
のではなく、処理液管１０かも排出されるための条件は
、第１図を参照して、ＰＨ ３ ＞ＰＨ ２ ＝ ＰＨ
＋Ｐｆ１）０ ・・・・・・・・・（１）で表すこと
ができる。

ここでＰＨ３は出口５におけろ位置水頭、ＰＨ２は分離
槽下端部３ａよりも高く、搬送液出口５よりも低いレベ
ルＬにおける位置水頭、Ｐ旧は処理液管１０の開口１０
ａにおける位置水頭、Ｐｆ１は処理液管１０による圧損
水頭である。

（１）式の意味は被処理液のみが供給口８から導入され
、再生濱材を搬送する搬送液が供給口４から導入されな
い場合に、処理液管１０から処理液が流出する状態で、
分離槽３内での水位が出口５よりも下のレベルＬにある
ことを意味する。

すなわちそのようなレベルＬとなるよう処理液管１０の
開口位置１０ａを定めろわけである。

次に再生濾材供給口４から導入された搬送液が濾過槽１
の方へ行かずに出口５から排出されるための条件は、 ＰＨ３−ＰＨ２＜Ｐｆ ２＋Ｐｆ， ・・・・・
・・・・（２）で表すことができる。

ここでＰＨ３，ＰＨ２，Ｐｆは前記（１）式の場合と同
じである。

Ｐｆ２はレベルＬから挿入管６下端までの圧損水頭であ
る。

前記（１）式より Ｐ −ＰＨＩ ＝Ｐｈ １ ＞Ｐｆ １ ・・・
・・・・・・（１）′Ｈ３ 前記（２）式より ＰＨ３ Ｐｕ２＝Ｐｈ２＜Ｐｆ２＋Ｐｆ１ ・・・・
・・（２）′を導くことができろ。

（１）′式の意味は処理液管１０の圧損水頭Ｐｆがその
開口１０ａ位置から出口５までの高さｈに相当する水頭
ｐｈより小さければよいことである。

すなわち、その様な位置に、開口１０ａ位置を定めれば
よいのである。

（２）′式は高さｈ２に相当する位置水頭Ｐｈ２が、レ
ベルＬにある液が．分離槽３から濾過槽１に入り、さら
に処理管１０から排出されるまでの全圧損水頭Ｐｆ２＋
Ｐｆ，よりも小さければよいという意味である。

この（１）’，（２）′式を総合して定性的にいえば、
分離槽３の挿入管６を抵抗部材として前記Ｐｆ２を大き
くして？き、且つｈ２がＯ以上の小さい値となるよう処
理管１０の高さを定めれば目的が達成できるわけである
。

従って、現実的には操業時の変動を考慮した余裕α（正
の高さ）を見込んで ． ｐ（ｈ１−α）＝Ｐｆ１ すなわち、Ｐｈ，＝Ｐｆ，＋Ｐα（Ｐαは余裕αに相当
する位置水頭）となるよう処理液管１０を出口５から距
離ｈよりさらに少し低い位置で開口１０ａすればよい。

勿論理論的には前記した（１），（２）の式或いは（１
）’ ，（２）’の式の条件を満足するように処理液
管１０の開口１０ａ位置等を設定すればよい。

この様な条件は処理液管１０の圧損、挿入管６０寸法、
分離槽３０寸法、等を考慮することにより、処理液管１
０の開口１０ａ位置を比較的大きな範囲内で設定するこ
とができるものである。

本発明は以上の様な構成としたので、濾過槽１内で処理
液は処理液管１０からのみ外部に排出され、一方、ＳＳ
等を含んで再生濾材供給口４から供給された搬送液は濾
過槽１へ移行することなく搬送液出口５から排出される
。

それ故、本発明は濾過槽１の上に分離槽３を併設した上
向流移動層式濾過装置において、複雑な設備を付加する
ことなく、また占有面積を増大させる様なこともなく、
処理液の品質を高度に保つことができるのである。

なお、集液器９を濾材中に埋没した構造のものは、果液
器９が濾材の膨脹、流動化を抑えて良好な濾材状態を保
持する効果がある。

次に、本発明装置による濾過を実例について説明する。

第１図に示すように、内径６００ｍの濾過槽の上端に内
径３００ｍｍの分離槽を付設し、分離槽の下端部に内径
約５０ｍｍ、長さ６００ｗｒＬの挿入管６を連続して形
成して、この挿入管６を濾過槽１内の濾材層２０上面ま
で挿入した形とする。

分離槽の上部には搬送液流出管１１の一端を開口させて
搬送液出口５とし、また、濱過槽上部の果液スクリーン
から処理液管を一部直立させて上方に導き、搬送液出口
位置よりｈ−２０ｃｒｎ下方の位置でサイフォンブレー
ク管１２に連結し、大気圧下に開口させた。

濾過槽下端の濾材抜出し口より３０分間に１回の割合で
濾材１０ｔを抜出し、その濾材が捕捉したＳＳの約９０
％を洗滌除去し、再生した濾材を同じく３０分を１サイ
クルとして、ＳＳ濃度０．５ｐｐｍの処理液１００ｔを
搬送液に用い、１．５分間で分離槽中段の再生濾材供給
口から分離槽に供給した。

この場合、分離槽に入る搬送液のＳＳ濃度は約２５ｐｐ
ｍであった。

濾過槽下部の被処理液供給口からＳＳ濃度約１０ｐｐｍ
の被処理液を５ ．６ ｍ３／ ｈの流量で濾過槽に供
給したところ、ＳＳ濃度０．５ｐｐｍ の処理液が測
定誤差範囲内で被処理液供給量と同じ流量で得られた。

この場合、処理液管の圧力損失は１５ｃｍ水柱であるか
ら、処理液管開口位置を定めるにあたり５ｃｍの余裕α
を見込んだものである。

仮に、ＳＳ濃度２ ５ ｐ ｐｍの搬送液が全量処理液
と混り合えば、処理液のＳＳ濃度は理論上、ｌｐｐｍ以
上となるから、濾過槽における被処理液のＳＳ除去率が
１００％であっても、搬送水の混入により、全体として
のＳＳ除去率は９０係以下に低下する。

以上により、本発明の装置によれば、ＳＳ濃度２ ５
ｐ ｐｍの搬送液により再生浦材を分離槽に供給しても
、ＳＳ濃度０．５ｐｐｍの処理液が被処理液供給量と同
量得られろことから、処理液と搬送液とが実質的に相互
に殆んど混り合わないことが確認される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明装置の一実施例を示す略縦断面図、第２
図は別の実施例を示す略縦断面図である。 １・・・・・・濾過槽、２・・・・・・再生濾材、３・
・・・・・分離槽、４・・・・・・再生濾材供給口、５
・・・・・・搬送液出口、６・・・・・・挿入管、７・
・・・・・濾材抜出し口、８・・・・・・被処理液供給
口、９・・・・・・集液器、１０・・・・・・処理液管
、１０ａ・・・・・・処理液管開口部、ｈ・・・・・・
処理液を果液位置から処理液管所定開口位置に導く際の
圧力損失にほぼ相当するヘッド差。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 粒子状濾材を下方に移動させつつ、濾過槽下部より
   被処理液を導入して瀘過槽上部より処理液として外部へ
   取出すようにした上向流移動層式濾過装置において、濾
   過槽１の上に、搬送されてきた再生濾材とその搬送液と
   を分離する分離槽３を併設すると共に、その分離槽下端
   部３ａに連続して形成した再生濾材排出用及び抵抗部材
   としての挿入管６を前記濾過槽１内の濾材層２０上面２
   ０ａまで挿入して分離槽３内の再生濾材２を挿入管６を
   介して濾過槽１内の濱材層に連続させ、前記分離槽３の
   略中段部に再生濾材を搬送液と共に分離槽３に供給する
   再生濾材供給口４を、分離槽３の上部に前記搬送液を分
   離槽３から流出させる搬送液出口５をそれぞれ設け、一
   方、上記濾過槽１の上部から処理液を外部に取出す処理
   液管１０を濾過槽１より上方で前記搬送液出口５よりも
   ｈ１（ｈｌ＞Ｏ）だけ低い位置で大気圧下に開口１０ａ
   することにより、該処理液管１０の開口位置におげる位
   置水頭と管１０内での圧損水頭との和が前記分離槽下端
   部３ａよりも高く且つ搬送液出口５よりもｈｚ（ｈｚ＞
   ０）だげ低いレベルＬに相当する位置水頭になるように
   すると共に、該ｈ２に相当する位置水頭が前記レベルＬ
   から挿入管６下端までの圧損水頭と処理液管１０の圧損
   水頭との和よりも低くなるようにしたことを特徴とする
   上向流移動層式濾過装置。