JPS5942528Y2 - エンジンマウンティング装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車等の車両において、エンジンを車体に装
着するためのエンジンマウンティング装置に関する。

一般に、エンジンの振動源としては、クランク軸のトル
ク変動、回転質量のアンバランス力、往復質量の慣性力
、あるいは慣性モーメントの不平衡力、燃焼のバラツキ
による振動などが存在し、これらがクランク軸の曲げ振
動やねじれ振動および車両各部の振動を誘起している。

これらの対策としてはフライホイールの慣性モーメント
を検討するとか、往復質量の慣性力を小さく押えるとか
、あるいはダイナミックダンパを用いて共振時の振幅の
減衰を計るなどの方法が採られているが、これとともに
振動が車体に伝達されるのを絶縁する対策を用いること
も有効な方法である。

このエンジン振動は主としてエンジンを支えているエン
ジンマウンティング装置を介して車体に伝達されている
。

従来、エンジンマウンティング装置は一般にゴムあるい
はバネ等の弾性要素を組み込んだ構造に作られている。

これはエンジンを車体に対して弾性的に支持することに
よりエンジンと車体にある程度の相対的変位を許容し、
これによってエンジンの振動が車体に伝わることを前記
弾性変形によって防止せんとするものである。

例えば、第１図に示すように、エンジンマウンティング
１は平行するアッパプレート２とロアプレート３、およ
びこれらの両プレート間に挿入されたマウンティングゴ
ム４とからなっており、ブラケット（図示しない）を介
してそれぞれシリンダブロック、車体へ連結されている
。

このほか、第２図に示すように、アッパプレート２とロ
アプレート３間に略円筒状のマウンティングゴム４を挿
入して、内部に空気室５を形成し、前記いずれかのプレ
ートにノズル孔６を設け、空気室５の内部を大気と連通
せしめるものなどがある。

しかし第１図に示すエンジンマウンティング１ではマウ
ンティングゴム４のみに依存している。

このためこの種のマウンティングゴム４はエンジンや変
速機の質量を支えるのに必然的にバネ定数を大きくとら
ねばならず、結果として十分な振動絶縁が期待できない
。

また、第２図に示すものは、軸方向に荷重が作用すると
、マウンティングゴム４のバネ特性と中空のマウンティ
ングゴム４の変形により、内部の空気がノズル孔６より
流出入することにより、非常に有効な緩衝および減衰を
行なうことができる。

しかし、この場合、空気室５はノズル孔６より大気に開
放されているため、圧縮および引張り時にノズル孔６を
通過する際の流動抵抗により生じる流動音が大きく、騒
音の一因となっている。

本考案の目的はこれらの欠点を解消し、マウンティング
ゴムによるバネ特性と空気バネの有する減衰力を利用し
た高減衰特性を有するエンジンマウンティング装置を提
供するにある６ 本考案は同心状に配された内筒および外筒の間に弾性体
を介装して内部に大気から隔壁された２つの空気室を形
成し、該雨空気室の間に空気が流通する連通路を設ける
ことにより、マウンティングゴムのバネ特性と空気のバ
ネ特性、および上記雨空気室間を空気が流通する際の空
気減衰を利用して緩衝釦よび防振性能を向上させること
を特徴とする。

次に本考案の一実施例を第３図、第４図を参照しつつ詳
細に説明する。

１１は金属性の外筒、１２は同じく金属性の内筒であり
、それぞれ同心状に一定の間隙をもって配されており、
該内外筒間には弾性体１３が嵌装され、外筒内壁、内筒
外壁および弾性体１３により大気と隔壁された２つの空
気室１４および１５が該外筒１１の半径方向および軸方
向に略対称となるように形成されている。

筐た、該内筒１２に軸通された取付ボルト１６の外周面
の周方向にスリンＮ７を設け、かつ該内筒１２には半径
方向に小孔１８が穿孔され、該スリット１７を介して該
雨空気室１４，１５を連通せしめている。

さらに内筒１２は車体側へ取付ブラケット１９を介して
取り付けられ、一方、外筒１１はエンジンシリンダブロ
ック側べ取付ブラケット（図示しない）を介して取り付
けられている。

もちろん、この取り付は方はこの逆でも可能である。

かかる構成によれば、エンジンの振動あるいは車体の振
動により弾性体１３を介して外筒１１゜内筒１２は相対
的変位をなす。

このとき、空気室１４あるいは１５の一方の容積が減少
したとき、一方の空気室から他方の空気室へ空気が流れ
るのを許容する。

この減少はそれに対応して他方の空気室の容積の増大を
伴ない、それによって空気は圧力を受は収縮した一方の
空気室から、小孔１８、スリット１７を介して膨張した
他方の空気室へ入れられる。

このように、本考案によれば、弾性体１３のバネ特性と
、空気のバネ特性および空気室１４゜１５内部に封入し
である空気がスリット１７、小孔１８を流れる際に流体
の通路面積が制御されることにより生じる流体抵抗によ
りエンジ／振動がより効果的に制御できる。

また、第２図に示した従来のものと比較して空気室が２
室からなっており、スペースが大きくとれるので空気減
衰力を有効に活用できるとともに、スリット、小孔が外
筒壁および弾性体に囲繞されているので、空気が一方の
空気室から他方の空気室へ流出入する際の空気の流動に
よる騒音ができるなどの効果を奏する。

本実施例では、空気による減衰を利用しているが、他の
高減衰性流体を利用することももちろん可能である。

さらに本考案では、内筒および取付ボルトに連通路を形
成しているが、弾性体自身に２つの空気室を連絡する連
通路を設けることも可能である。

しかし、この場合には大きな荷重が作用したとき、連通
路自身も変形して、該連通路を閉鎖してし１うどとが考
えられる。

ｌた、長期間の使用により弾性体の該連通路部分にひび
割れなどが生じやすく、耐久性に問題がある。

本考案によれば、常に一定の流路面積を保つことにより
、設計条件に応じた空気減衰力が得られ、かつ、耐久性
にも富んだエンジンマウンティング装置が得られるので
、より好ましいと考えられる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は従来のエンジンマウンティング装
置を示す断面図、第３図は本考案の一実施例を示す断面
図、第４図は第３図の［Ｖ−ＩＶ断面図である。 １１・・・外筒、１２・・・内筒、１３・・・弾性体、
１４゜１５・・・空気室、１６・・・取付ボルト、１７
・・・スリット、１８・・・小孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 管状の内筒と、該内筒と同心的に配設された外筒と、該
   内外筒間の間隙に嵌装せられて、該間隙を該外筒内壁と
   該内筒外壁とにより半径方向に略対称となるように、２
   つの空間を構成する弾性体と、該内筒に挿通される支持
   軸と該内筒とを貫通する小孔とにより該２空間を連絡せ
   しめる連通路とからなることを特徴とするエンジンマウ
   ンティング装置。