JPS5939152B2 - 表裏異なる輪郭線を有する着せ換え部品の製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、立体的ではあっても比較的扁平に形成された
人形に着用させるかつら等の着せ換え部品の製造方法に
関するもので、写実性、強靭性、着せ換えの容易性等の
特長を具備する、表裏異なる輪郭線を有する着せ換え部
品を容易に製作しうる方法を提供することを目的として
いる。

従来の着せ換え人形用のかつら等の着せ換え部品類の製
造は、布帛を構成したり、合成樹脂を金型成形したりす
るものであり、また簡単な手段としては、表裏２枚の紙
片を周縁において糊剤で接着する方法も採られているが
、前二者はコスト高であるわりに破損しやすいし、後者
は強度が不足し、直ぐに破損してしまう等の欠点があり
、強靭な被成形物を廉価に多量生産する点では満足し得
ないものであった。

本発明は、特許請求の範囲に記載する構成とすることに
より、強靭で、小児が繰り返して着せ換え遊びを行なっ
ても破損等を生ずることなく、しかも平面的でありなが
ら長期にわたる使用に耐え、立体的な印象を与えうる表
裏異なる輪郭線を有する着せ換え部品を、廉価に多量に
供給しうる方法を提供するものである。

以下図示実施例について本発明の詳細な説明する。

第１図は本発明方法によって製作した着せ換え部品たる
かつらの１例の正面図であり、第２図はその背面図であ
って、第３図、第４図はかつら１を製作する本発明方法
を示している。

本発明方法によって製作されたかつら１は、前髪部分２
の下縁３が、後述する後髪部分４の輪郭線１４と共通し
ない輪郭線部分であり、着せ換え用の開口部とされてい
る。

また、前髪部分２と後髪部分４とは共通する輪郭線部分
５と６とにおいて、表裏の柔軟な熱可塑性合成樹脂のシ
ート７゜８が溶着された構成から成るものである。

このかつら１は次のようにして製作される。

すなわち、軟質塩ビシートのごとき柔軟な熱可塑性合成
樹脂の第１の基シート９の表面に、頭髪模様を有するか
つらの正面側模様１０をプリントし、その輪郭線１１通
りの溶断刃部を有する金型により押圧し、高周波誘電加
熱を加え、 輪郭線１１において容易に引きちぎりうる
よう引きちぎり線を刻設する。

また同質の第２の基シート１２に、頭髪模様を有するか
つらの背面側模様１３をプリントする。

この背面側模様１３の輪郭線は符号１４で表示されるも
のであり、該輪郭線１４中の後髪部分４の下縁１５が、
前記かつらの正面側模様１０の輪郭線１１と共通しない
輪郭線部分で、符号６で表示される部分が、正面側模様
１０の輪郭線１１のうめの輪郭線部分５と共通する輪郭
線部分である。

しかる後に背面側模様１３の輪郭線１４通りの溶断刃部
を有する金型により押圧し、高周波誘電加熱を加え、輪
郭線１４において容易に引きちぎりうるように引きちぎ
り線を刻設する。

なお図中符号１６，１７は後述するよう、シート７．８
を溶着させる共通する輪郭線部分５，６の外周に適宜間
隔をおいて刻設した引きちぎり用の引きちぎり線で、前
記輪郭線１１及び１４に刻設したのと同様の方法で形成
されたもので、第１の基シート９と第２の基シート１２
との模様位置を合致させる際の目安として利用されるも
ので、また輪郭線部分５と６とにおいて、シート７と８
とを溶着させた後で、成形されたかつらを各基シートか
ら分離する際、強い分離力の作用のため、溶着部分が剥
離しそうになったとき、剥離以前に引きちぎり線１６．
１７部分が基シートから切り離されうるようにした安全
機能を果たすものでもある。

上述のように、正面側模様１０を施した第１の基シート
９の裏面と、背面側模様１３を施した第２の基シート１
２の裏面とを重ね合わせ、模様位置を合致させたうえで
、共通する輪郭線部分５゜６相当位置にのみ押圧刃部を
有する金型により押圧し、高周波誘電加熱を行ない、該
輪郭線部分５゜６で基シート９，１２、すなわち、シー
ト７と８とを溶着させる。

その際輪郭線部分５，６の外郭線には溶断線が形成され
るようにする。

しかるのち、共通する輪郭線部分５，６を含む全輪郭線
１１．１４に刻設した引きちぎり線において、模様部分
を第１および第２の基シートから分離させることにより
第１図、第２図に示されるごときかつら１が得られるも
のである。

以上の通りの方法によって得られたかつら１は、開口部
をなしている前髪部分の下縁輪郭線３から人形の頭部に
かぶせることにより、人形正面には、かつらの正面側模
様１０を現わすシート７が現われ、人形背面には、かつ
らの背面模様１３を現わすシート８が現われるものであ
る。

本発明方法は、上述のごときかつらに限らず、表裏模様
が異なる輪郭線を有する各種の着せ換え部品に適用しう
ろことは勿論である。

本発明方法は上述のごとき構成であるから、着せ換え用
の開口部を有し、しかも正、背画部に写実的な模様を現
わした表裏具なる輪郭線を有する着せ換え用のかつら等
の着せ換え部品を同一規格で容易に多量生産し得るし、
表裏の異なる輪郭線がどのように複雑な形状であっても
一工程で製作し得る効果を奏する。

また熱可塑性合成樹脂の溶着によって成形するので、製
品を強靭なものたらしめうるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明方法によって製作されたかつらの１例の
正面図、第２図はその背面図、第３図はかつらの正面側
模様を施した第１の基シートの平面図、第４図はかつら
の背面側模様を施した第２の基シートの平面図である。 １・・・・・・かつら（被成形物）、２・・・・・・前
髪部分、３・・・・・・前髪部分の下縁輪郭部、４・・
・・・・後髪部分、５．６・・・・・・共通する輪郭線
部分、９・・・・・・第１の基シート、１０・・・・・
・かつらの正面側模様、１１・・・・・・正面側模様の
輪郭線、１２・・・・・・第２の基シート、１３・・・
・・・かつらの背面側模様、１４・・・・・・背面側模
様の輪郭線、１５・・・・・・後髪部分の下縁輪郭線。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 柔軟な熱可塑性合成樹脂の第１の基シートの表面に
   、着せ換え人形に使用する着せ換え部品たる被成形物の
   輪郭線を有する正面側模様をプリントし、別の同質の第
   ２の基シートの表面に、前記被成形物の正面側模様の輪
   郭線の一部分と共通する輪郭線を有する背面側模様をプ
   リントし、次いで前記第１、第２の各基シートのプリン
   ト模様の輪郭線に引きちぎり用の切断線を刻設したのち
   、前記第１の基シートと第２の基シートとを、各基シー
   トの裏面同士が相接するように、且つ各基シートのプリ
   ント模様のうちの共通する輪郭線同士が合致するように
   重ね合わせ、しかる後に共通する輪郭線部分において前
   記第１の基シートと第２の基シートとを溶着するととも
   に、該溶着部分の外郭線で溶断し、更に第１の基シート
   と第２の基シートのプリント模様の全輪郭線で、前記プ
   リント模様部分を第１および第２の基シートから分離す
   ることを特徴とする表裏異なる輪郭線を有する着せ換え
   部品の製造方法。