JPS593886Y2 - 食品包装用容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は食品包装用容器に関する。

従来から即席食品その他各種食品の包装用容器として、
発泡スチレン樹脂からなるもの、紙から形成されてなる
容器本体の内面に塩化ビニル樹脂からなる層を形成し、
紙の有する印刷適性を利用して美麗な表示印刷を施こし
、また塩化ビニル樹脂の有する耐水性、食品に含有され
る油や酸成分に対する耐性を利用するようになしたもの
が存する。

発泡スチレン樹脂からなる包装用容器は断熱性がすぐれ
、軽量でしかも腰が強い等の利点がある反面、水蒸気や
気体を透過しやすい性質があり、保存中に食品の風味、
品質を損ないやすく、又発泡スチレン中に残存するスチ
レン単量体、エチルベンゼン等の揮発成分の臭気が食品
に移行する欠点が存していた。

又紙から形成されてなる容器本体の内面に塩化ビニル樹
脂からなる層を形成した包装用容器においては、可塑剤
、安定剤が多量に使用されているために添加剤の滲出に
よる人体に対する毒性の問題を生じていた。

本考案は上記の欠点を解消し、容器本体が有する水蒸気
や気体の透過性による食品の風味、品質の低下を防ぎ揮
発性成分の臭気が食品に移行する欠点を防ぎ、又、人体
に対する毒性の問題を生ずることがない、食品包装用容
器を提供することを目的とする。

本考案の要旨は、発泡されているかもしくは発泡されて
いないスチレン樹脂又は紙からなる容器本体１の内面に
、結晶性ポリエチレン樹脂と結晶性ポリプロピレン樹脂
からなる層２、及び結晶性ポリエチレン樹脂からなる層
３が形成され、該結品性ポリエチレン樹脂からなる層３
により容器の内壁面が形成されており、上記容器本体１
の内面と、結晶性ポリエチレン樹脂と結晶性ポリプロピ
レン樹脂からなる層２の間、及び結晶性ポリエチレン樹
脂と結晶性ポリプロピレン樹脂からなる層２と、結晶性
ポリエチレン樹脂からなる層３の間の少なくとも一方に
、気体不透過性の合成樹脂からなる層が形成されてなる
食品包装用容器に存する。

次に本考案の食品包装用容器を図面を参照しながら説明
する。

第１図は本考案の食品包装用容器の一例を示す断面図で
ある。

図中１は容器本体であり、発泡されているかもしくは発
泡されていないスチレン樹脂又は紙からなる。

容器本体１が発泡されているかもしくは発泡されていな
いスチレン樹脂から形成されることにより容器本体１は
剛性が良好で腰の強いものが得られ、しかも容器本体１
の成型性も良好である。

発泡されているスチレン樹脂から形成されている場合は
、軽量性、断熱性においてもすぐれたものとなる。

容器本体１が紙から形成されている場合は、外面は印刷
適性がすぐれており、表示印刷を良好に施こしうる。

しかし容器本体１が発泡されているかもしくは発泡され
ていないスチレン樹脂から形成される場合、又は紙から
形成されている場合には、水蒸気や気体を透過しやすい
性質があり、この容器本体１内に直接食品を入れて保存
する場合、食品の風味、品質を損ない易い。

また前記のスチレン樹脂から形成される場合は、スチレ
ン樹脂中に残存している揮発成分の臭気が食品に移行し
やすく、紙から形成されてる場合は耐水性、耐油性が乏
しいものにしかならない。

このような欠点のないものとするために、容器本体１の
内面に結晶性ポリエチレン樹脂と結晶性ポリプロピレン
樹脂からなる層２、及び結晶性ポリエチレン樹脂からな
る層３が形成され、該結晶性ポリエチレン樹脂からなる
層３により容器の内壁面が形成されており、容器本体１
と層２の間に気体不透過性の合成樹脂からなる層４が形
成されている。

結晶性ポリエチレン樹脂としては、構造中に結晶領域を
相当程度有するエチレンの単独重合体、エチレンと他の
単量体との共重合体のいずれであってもよく、メルトイ
ンデックス（ＡＳＴＭＤ−１２３８）が０．２乃至５．
０ｇ／１０分であって結晶化平衡時の密度が０．９２乃
至０．９７ｇ／画のものが好適である。

結晶性ポリプロピレン樹脂としては、構造中に結晶領域
を相当程度有するプロピレンの単独重合体、プロピレン
と他の単量体との共重合体のいずれで゛あってもよく、
メルトインデックスが０．２乃至０．５ｇ７１０分であ
って結晶化平衡時の密度が０．８９乃至０．９１ｇ／ｃ
ｍ３のものが好適である。

前記の両方の層２，３は、積層シートが真空成型又は圧
空成型により成型されるのが好適である。

そして層２が結晶性ポリエチレン樹脂と結晶性ポリプロ
ピレン樹脂から形成されることにより、積層シートを真
空成型又は圧空成型する場合の溶融温度範囲が単独で樹
脂を使用した場合よりも拡がり成型性が良好になり、全
体に亘り均一な肉厚で深絞りされたものが得られるので
ある。

層２における結晶性ポリエチレン樹脂と結晶性ポリプロ
ピレン樹脂の使用割合は、結晶性ポリエチレン樹脂５乃
至９５重量％及び結晶性ポリプロピレン樹脂９５乃至５
重量％からなるのが好適である。

層２においては、種々の添加剤を樹脂中に添加しておい
てもよい。

層３の結晶性ポリエチレン樹脂は、添加剤を含有しない
ものがよい。

添加剤を含有しないとは、抗酸化剤、安定剤、着色剤、
界面活性剤、充填剤等を含有しないということであり、
添加剤が存するとこれが食品に移行して衛生上問題を生
ずるおそれがあるからである。

該層３が結晶性ポリエチレン樹脂から形成されるのは、
樹脂自体が食品衛生上置も安全な種類であること、低温
での耐衝撃性がすぐれているので例えば食品８を詰めた
ものを冷蔵、冷凍等により保存するような場合における
耐性を高めることができること、又蓋５の内面に同様に
結晶性ポリエチレン樹脂や熱活性型接着剤からなる層６
を形成しておけばこの層５との熱シール性がすぐれたも
のとなること等による。

又積層シートを真空成型又は圧空成型により容器の層２
，３を成形する場合には、シートに層２，３となる部分
を打抜いた後の残部を生ずるが、これを回収して結晶性
ポリエチレン樹脂と結晶性ポリプロピレンとの混合物と
して両便用することができ、この場合に層３を形成する
樹脂としては新たな結晶性ポリエチレン樹脂を使用すれ
ばよいから、層２に回収物を使用しても食品衛生上の問
題を生じないものとすることができる。

これらの層２，３において結晶性のものが使用され、非
品性のものが使用されないのは、非品性のものはいずれ
も軟化温度が低く耐熱性に乏しく、例えば収納物の加熱
殺菌等のために加熱を行なった際に軟化して柔軟となり
熱変形しやすいがらである。

上記気体不透性の合成樹脂としては、例えば塩化ビニリ
チン樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ
アミド樹脂、アクリロニトリル共重合体、ポリビニルア
ルコール樹脂、ポリエステル樹脂等が好適であり、該合
成樹脂は変成されたものであってもよく、又必要ならば
他の樹脂や添加剤が配合されていてもよい。

しがして気体不透性の合成樹脂からなる層４が形成され
ることによって、気体に対する不透過性がほぼ完全なも
のとなり、長期間に亘って食品の風味、品質を損なうこ
とがない密封容器としての使用に適したものが得られる
。

気体不透過性の合成樹脂からなる層４は、上記の例の外
に、例えば層２と層３との間に形成されていてもよい。

７は密封容器としての利用性を高めるために蓋５と層６
との間に形成された気体不透過性の合成樹脂からなる層
である。

又、容器本体１の内面と結晶性ポリエチレン樹脂と結晶
性ポリプロピレン樹脂からなる層２の間においても、結
晶性ポリエチレン樹脂からなる層が形成されていてもよ
い。

このような容器では積層シートとして成型材料を供給し
た場合に巻取っておいても両面の結晶性ポリエチレン樹
脂からなる層が接し合い、食品衛生上の問題を生じない
ものとすることができる。

本考案の食品包装用容器の構成は上述の通りであるから
、人体に対する毒性の問題を生ずることがなく、又水蒸
気や気体の透過による食品の風味、品質の低下を防止す
ることができる。

又、層２、層３及び層４の積層シートは、真空成型又は
圧空成型によって形成するのに適しており、層３によっ
て成形性が良好になり、均一な肉厚で深絞りしやすいも
のとなる。

又層３が容器の内壁面を形成するので、食品衛生上の安
全性が高いのみならず低温での耐衝撃性がすぐれたもの
となり、例えば冷蔵、冷凍等の保存食品容器としてもす
ぐれたものが得られ、更に蓋５との熱シール性がすぐれ
たものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の食品包装用容器の１例を示す断面図で
ある。 １・・・容器本体、２・・・結晶性ポリエチレン樹脂と
結晶性ポリプロピレン樹脂からなる層、３・・・結晶性
ポリエチレン樹脂からなる層、４・・・気体不透過性の
合成樹脂からなる層、５・・・蓋。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 発泡されているかもしくは発泡されていないスチレ
   ン樹脂又は紙からなる容器本体の内面に、結晶性ポリエ
   チレン樹脂と結晶性ポリプロピレン樹脂からなる層、及
   び結晶性ポリエチレン樹脂からなる層が形成され、該結
   晶性ポリエチレン樹脂からなる層により容器の内壁面が
   形成されており、上記容器本体の内面と、結晶性ポリエ
   チレン樹脂と結晶性ポリプロピレン樹脂からなる層の間
   、及び結晶性ポリエチレン樹脂と結晶性ポリプロピレン
   樹脂からなる層と、結晶性ポリエチレン樹脂からなる層
   の間の少なくとも一方に、気体不透過性の合成樹脂から
   なる層が形成されてなる食品包装用容器。 ２ 結晶性ポリエチレン樹脂からなる層が、添加剤を含
   有しない結晶性ポリエチレン樹脂からなる実用新案登録
   請求の範囲第１項記載の食品包装用容器。 ３ 結晶性ポリエチレン樹脂と結晶性ポリプロピレン樹
   脂からなる層が、結晶性ポリエチレン樹脂５乃至９５重
   量％及び結晶性ポリプロピレン樹脂９５乃至５重量％か
   らなる実用新案登録請求の範囲第１項又は第２項記載の
   食品包装用容器。