JPS5932751Y2 - 差動制限ディファレンシャル装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 コノ考案は自動車用ディファレンシャル装置のうち、特
に差動制限（リミテッド・スリップ）機構を備えた形式
のディファレンシャル装置に関するものであって、その
目的とするところは、これまでの差動制限機構を備えた
ディファレンシャル装置に比較して構造が簡単で、かつ
差動制限機構を必要とし々いディファレンシャル装置と
の間のディファレンシャル装置構成部品の共通化が可能
な差動制限装置を提供することである。

次に、この考案の構成を、図面で示す実施例に従って詳
細に説明する。

自動車用ディファレンシャル装置の一部を断面で表した
第１図において、ディファレンシャルケース１は、その
左右のスリーブ形状の部分が、それぞれサイドベアリン
グ３により、ディファレンシャルキャリヤ２に対して回
転自在に支持されている。

また、このケース１は、その外周にリングギヤ４を備え
、このリングギヤ４は周知のようにドライブピニオン５
に対して相互にトルク伝達可能に噛み合っている。

そして、ケース１の内部には左右のサイドギヤ６と、こ
れらに噛み合う一対のピニオンギヤＴとが組み込まれて
いる。

なお、両サイドギヤ６の軸芯には左右のアクスルシャフ
ト８が相互のセレーションによって芯出し結合され、両
ピニオンギヤ７はケース１の壁に両端を支持されたピニ
オンシャフト９を軸芯として回転し得るように配設され
ている。

上記ケース１の内部において、両サイドギヤ６とピニオ
ンギヤ１とによって囲まれた空間には、全体的に筒状を
なした差動制限部材１０が、その両端面１０ をサイド
ギヤ６の端面に接触させた状態、つまりこの部材１０と
サイドギヤ６との軸芯線が同方向となるように組み込ま
れている。

ただし、両サイドギヤ６とピニオンギヤＴとによって囲
まれる上記の空間にはピニオンシャフト９が通っている
ため、上記の部材１０にはピニオンシャフト９を挿通さ
せるための孔１２が形成されている。

この孔１２の内径はピニオンシャフト９の外径よりも充
分に太きく形成されていて、シャフト９は孔１２に対し
てゆるく挿通した状態となっている。

さて、上記差動制限部材１０は、第２図、第３図からも
明らかなように七〇軸芯線と直交する分割面１１によっ
て左右の要素１０Ａ、ＩＯＢに分割されている。

この分割面１１は、部材１０の円周方向に沿って交互に
傾斜方向を変える。

いわばシフザブ状のカム形状に設定されている。

この分割面１１の形状により、両要素１０Ａ、ＩＯＢが
相対的に回転すると互いに軸方向に沿って離れる方向の
分力が生じる。

また、面要素１０Ａ、ＩＯＢには相対応する二個所にお
いて、相互の分割面１１から軸方向に向けて凹部１３が
形成されており、面要素１０Ａ、ＩＯＢにおける凹部１
３の相互間にはコンプレッションスプリング１４ カ配
設されている。

このスプリング１４の弾力により、面要素１０Ａ、ＩＯ
Ｂの各端面、つまり部材１０の両端面１０′は常にサイ
ドギヤ６の端面に押しつげられている。

上記の構成において、第１図で示されているドライブピ
ニオン５の回転は、リングギヤ４を通じてディファレン
シャルケース１に伝達され、このケース１の回転は両サ
イドギヤ６およびピニオンギヤＴの噛み合いを通じて左
右のアクスルシャフト８に伝えられる。

この場合、左右のアクスルシャフト８に回転差が無い状
態では、サイドギヤ６とピニオンギヤ１との噛み合い回
転による差動は生じておらず、前記差動制限部材１０の
両端面１０′とサイドギヤ６の端面との間における相対
的な摺動は生じない。

一方、左右のアクスルシャフト８に回転差がある差動状
態においては、上記部材１０の両端面１０′とサイドギ
ヤ６の端面との間に摩擦摺動が生じる。

この摩擦摺動により、部材１０を構成している左右の面
要素１０Ａ、ＩＯＢは僅かではあるが相対的に回転しよ
うとする。

この相対回転時における分割面１１の作用により、前述
したように面要素１０Ａ、ＩＯＢを各サイドギヤ６側へ
強く押圧する方向の分力が生じ、この結果、面要素１０
Ａ。

１０Ｂを通じて両サイドギヤ６の回転差を抑える機能、
つまり差動制限機能が果されるのである。

以上のように本考案は、通常のディファレンシャル装置
におけるディファレンシャルケース内の既存のスペース
を利用して簡単な構造の部材を組み込むことで、差動制
限機能を得ることができるので、差動制限ディファレン
シャル装置としての構造が非常に簡単であり、しかも差
動制限を必要としないディファレンシャル装置との間に
おけるほとんどの部品の共通化が可能となる。

【図面の簡単な説明】

図面は、この考案の実施例を示し、第１図は車両用ディ
ファレンシャル装置の一部を表した断面図、第２図は差
動制限部材のみを拡大して表した一部破断の平面図、第
３図は第２図の■−■線断面図である。 １・・・・・・ディファレンシャルケース、６・・・・
・・サイドギヤ、７・・・・・・ピニオンギヤ、１０・
・・・・・差動眼部材、ＩＯＡ、ＩＯＢ・・・・・・左
右の要素、１１・・・・・・分割面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ディファレンシャルケースの内部で左右の両サイドギヤ
   と、これらに噛み合っている一対のピニオンギヤとによ
   って囲まれた空間に、全体として筒状をなし、その両端
   面をサイドギヤの端面に摩擦摺動可能に接触させた状態
   で組み込まれた差動制限部材を、両す１ドギヤの軸芯線
   と直交する分割面で左右の要素に分割し、この分割面を
   、両要素の相対的な回転によってサイドギヤの端面に両
   要素を押しつげる方向の分力を生じるカム形状に設定し
   たことを特徴とする差動制限ディファレンシャル装置。