JPS5921948Y2 - 農用トラクタ等における変速操作装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、２組の変速装置を互に直列に接続して設け
である農用トラクタ等において、上記の各変速装置を選
択的に変速操作するための変速操作装置に、関するもの
である。

２種の変速装置を共通する１本の変速レバーによって、
該変速レバーの一方向に沿う回動操作で一方の変速装置
を、また該一方向に直交する方向に沿う変速レバー回動
操作で他方の変速装置を、それぞれ変速操作し得るよう
に、変速操作装置を構成して、操作機構の構造簡単化を
図ることは、特開昭５２−１１３４６１号公報に示され
ているように、既に公知である。

上記した公報のものはしかし、一方の変速装置の変速段
を切替える方向への変速レバーの操作時に他方の変速装
置が変速操作を受けないようにするために、変速レバー
の取付は位置とか操作用の２軸間の軸線位置とかを精密
に設定することを要求するものとなっていて、部材加工
及び組立てがかなり困難である構造複雑なものとなって
いる。

この考案の目的とするところは、２組の変速装置を単一
の変速レバーにより変速操作可能とした変速操作装置で
あって、従来のものと比較し構造がずっと簡単化されて
いる、農用トラクタ等における新規な変速操作装置を、
提供するにある。

図示の実施例について、この考案に係る農用トラクタ等
における変速操作装置の構成を説明すると、先ず、この
実施例の変速操作装置にて変速操作される変速装置は、
第１図に示すように、農用トラクタのミッションケース
１内において互に直列に接続して設けられた油圧伝導装
置２と機械式変速装置３とから、構成されている。

走行動力主変速装置である油圧伝導装置２は、ミッショ
ンケース１とその前方に位置するクラッチハウジング４
とに挟持させた間板５の背面に、可変容積形油圧ポンプ
６と定容積形油圧モータ７とを上下に配して装着して、
設けられており、間板５にポンプ６及びモータ７間の油
給排回路を形威し、油圧ポンプ６からの圧油で油圧モー
タ７を駆動して、そのモータ軸７ａに出力回転を得るも
のとされている。

第１図において８は、油圧伝導装置２におけるチャージ
ポンプ、つまり油圧ポンプ６と油圧モータ７間の閉回路
に作動油を補給するためのポンプで、このチャージポン
プ８は、間板５の前面に油圧ポンプ６と同心的に配して
装着し、クラッチハウジング４内に設けられている。

油圧伝導装置２による変速比の変更制御、つまり油圧ポ
ンプ６の斜板６ａ角度を変更し該ポンプ６の容積を変更
制御して、油圧モータ７の回転数と回転方向を変更制御
することは、それ自体は公知のサーボコントロール機構
によって行なわれるように、されている。

このサーボコントロール機構は第２図に示すように、ポ
ンプ斜板６ａ角度を変更する操作シリンダ９と、この操
作シリンダ９に対する油圧作用をコントロールするサー
ボコントロールバルブ１０とを、備えており、操作シリ
ンダ９への給油用油圧ポンプは図示の場合、前記チャー
ジポンプ８と兼用させである。

そして、上記のサーボコントロールバルブ１０は、操作
シリンダ９を一定の伸縮位置に保持する中立位置Ｎと、
操作シリンダ９の伸長作用油室９ａへ油圧を作用させる
と共に縮小作用油室９ｂの油圧を解除してシノンダ９を
伸長動作させ斜板６ａ角度を相対的に正方向と増大させ
る作用位置■と、操作シリンダ９の縮小作用油室９ｂへ
油圧を作用させると共に伸長作用油室９ａの油圧を解除
してシリンダ９を縮小動作させ斜板６ａ角度を相対的に
負方向へと増大きせる他の作用位置ＩＩとに、変速レバ
ー１１によって変位せしめられ、レバ−１１操作量に相
当する量だけ操作シリンダ９が伸縮動作すると、操作シ
リンダ９をサーボコントロールバルブ１０に接続するフ
ィードバックリンク１２により、サーボコントロールバ
ルブ１０が自動的に中立位置Ｎへと戻され、所要のサー
ボコントロールが行なわれることとなっている。

第２図において、１３は油圧ポンプ６及び油圧モータ７
間の閉回路方向へ導がれた油路、１４は該回路方向及び
操作シリンダ９方向への作用油圧を設定するリリーフ弁
、１５は第１図に示すようにクラッチハウジング４内に
設けられている油こし器、１６は操作シリンダ９への油
圧作用の割合を適宜に絞る可変絞りである。

次に、走行動力副変速装置を構成する前記機械式変速装
置３は、第１図に示すように、互に平行する２本の伝動
軸１７．１８を備えている。

このうち上方側の伝動軸１７は、油圧伝導装置２におけ
る油圧モータ７のモータ軸７ａ出力端部にスプライン嵌
合せるスプライン筒１９上の小径歯車２０を該伝動軸１
７基端部上の大径歯車２１と噛合せて、モータ軸７ａに
減速連動連結されており、また下方側の伝動軸１８は、
モータ軸７ａの延長線上に設けられている。

伝動軸１７上には互に径を異にする２個の変速歯車２２
．２３を軸１７に固定して設けてあり、また伝動軸１８
上には、上記変速歯車２２に噛合された遊転歯車２４で
あって内歯２４ ａを形威しである遊転歯車２４と、内
歯２４ ａ及び変速歯車２３に噛合せ得るシフト歯車２
５であってスプライン筒１９端の爪１９ ａに噛合せ得
る爪２５ ａを形威しであるシフト歯車２５とを、設け
である。

以上により機械式変速装置３は、シフト歯車２５を伝動
軸１８上で選択的に摺動変位させて、内歯２４ ａと歯
車２５間の噛合いによる遊転歯車２４の伝動軸１８への
結合で１速の変速比を、歯車２３．２５間の噛合いで２
速の変速比を、爪１９ａ、２５３間の噛合いによる、ス
プライン筒１９と伝動軸１８間の結合で３速の変速比を
、それぞれ選択的に得ることができるものと、されてい
る。

そして、以上のように３段の変速段を備えた機械式変速
装置３について変速操作を行なうこと、つまりシフト歯
車２５を伝動軸１８上で選択的に摺動変位させることは
、ポンプ斜板６ａ角度を変更する前記変速レバー１１に
よって、行なうようにされている。

すなわち、第１図に示すように、変速レバー１１は、ミ
ッションケース１上面に設置された操作機構ハウジング
２６より上方に突出させであるが、この操作機構ハウジ
ング２６内には、前記のサーボコントロール機構の他に
、シフト歯車２５方向にレバ−１１変位を伝達する機構
も内蔵させてあって、変速レバー１１を機体前後方向に
沿い回動操作することによってはシフト歯車２５変位が
得られ、該レバー１１を機体横断方向に沿い回動操作す
ることによってはサーボコントロールバルブ１０の変位
が得られるように、図っであるのである。

変速レバー１１の機体前後方向及び機体横断方向に沿う
回動変位を***作体であるシフト歯車２５とサーボコン
トロールバルブ１０のスプールとにそれぞれ、各独立的
に伝える機構は、第４図に示すように、前記操作機構ハ
ウジング２６に摺動及び回転変位自在に支持させて機体
前後方向に沿わせである操作軸３１を備えているものに
、構成されている。

この操作軸３１の基端には機体横断方向に沿う水平ピン
３２にて変速レバー１１をその下端で接続してあり、ま
た同様方向に沿う水平ピン３３にてレバー１１下端近く
を枢支せる回動金物３４を、その筒部３４ ａで操作軸
３１に被嵌して操作軸３１の軸線まわりで回動自在に設
け、該回動金物３４は操作軸３１上での摺動変位不能に
ハウジング２６に支持させ、もって変速レバー１１をピ
ン３３まわりで機体前後方向に沿い回動操作すると、操
作軸３１の摺動変位が得られ、逆に変速レバー１１を操
作軸３１の軸線まわりで機体横断方向に沿い回動操作す
ると、回動金物３４の回動を伴ないつつ操作軸３１が回
転変位せしめられるように、図られている。

そして、操作軸３１の摺動変位をシフト歯車２５に伝え
るために、操作軸３１と前記伝動軸１８とに平行するフ
ォークシャフト３５上に、シフト歯車２５に係合するシ
フトフォーク３６を摺動自在に設け、操作軸３１上に相
対回転自在ではあるが相対摺動不能に設けた第１の作動
金物３７をシフトフォーク３６へと相対摺動不能に係合
させ、もって操作軸３１の摺動変位により第１の作動金
物３７を介しシフトフォーク３６を、シフト歯車２５摺
動変位方向に摺動変位させるべく図っている。

また操作軸３１の回転変位をサーボコントロールバルブ
１０のスプールに伝えるために、操作軸３１上に、該操
作軸３１にその軸線方向に沿わせ形威した長溝３１ａに
突入するピン３８により操作軸３１に接続して同操作軸
３１に対して相対回動不能ではあるが摺動自在に第２の
作動金物３９を設け、この第２の作動金物３９を、操作
軸３１上に設けた圧縮バネ４０により一方向に摺動附勢
して、上記スプール操作用のリンク４１へと常時係合さ
せ、操作軸３１の回転変位による第２の作動金物３９の
回動変位で、リンク４１の変位を得るように図っている
。

変速レバー１１は、第１図に示すように、その中途をレ
バーガイド２７にガイドされているが、図示の場合には
このレバーガイド２７に、第３図に示すようなガイド溝
を形威しである。

すなわち、油圧伝導装置２の中立状態で機械式変速装置
３のシフト歯車２５を変位させるレバ−１１操作をガイ
ドするガイド溝２８を、機体前後方向に沿わせて形成し
てあり、このガイド溝２８には、前方側から機械式変速
装置３の各位置に相当するレバー１１位置、つまり１速
位置Ｉ、中立位置Ｎ、２速位置ＩＩ、他の中立位置Ｎ、
３速位置ＩＩＩがある。

そしてガイド溝２８における各変速作用位置Ｉ、 ＩＩ
、 ＩＩＩから機体横断方向の一側及び他側にかけて、
ポンプ斜板６ａ角度を正方向において変更するようにパ
ルプ１０変位を行なうレバ−１１操作をガイドする前進
変速ガイド溝２９ Ｉ 、 ２９ ＩＩ、 ２９ ＩＩ
Ｉと、ポンプ斜板６ａ角度を負方向において変更するよ
うにパルプ１０変位を行なうレバ−１１操作をガイドす
る後進変速ガイド溝３０ Ｉ 、 ３０ ＩＩ、 ３０
ＩＩＩとを、それぞれ形威しである。

そして上記の後進変速ガイド溝３０は、図示のように、
機械式変速装置３の高速段変速作用位置に連らなるガイ
ド溝３０はど、その長さを小に設定しである。

なお、走行動力変速部２，３の出力軸となる前記伝動軸
１８は、第１図に示すように、その後端の傘歯車４２を
介し図示トラクタの後輪（図示せず）方向へと接続され
ると共に、選択的に作動させ得る前輪駆動力取出し機構
４３を介し図示トラクタの前輪（図示せず）方向へと接
続されている。

前記チャージポンプ８のポンプ軸８ａは、図示トラクタ
前部のエンジン（図示せず）方向へと接続され、該ポン
プ軸８ａと油圧ポンプ６のポンプ軸６ｂ間は間板５内に
おいて連結されている。

さらに、油圧ポンプ６のポンプ軸６ｂは、図示トラクタ
の機体後端に設けられるＰＴＯ軸（図示せず）方向へと
伝動する駆動軸４４へと連結しである。

この考案に係る、第１−４図に図示の変速操作装置は、
前記のように構成してあって、単一の変速レバー１１に
より操作軸３１を選択的に摺動変位もしくは回転変位さ
せて、機械式変速装置３の変速段の切替えと油圧伝導装
置２の変速段切替えとを選択的に得ることができるもの
となっている。

また図示の場合には、油圧伝導装置２用の後進変速ガイ
ド溝３０ Ｉ 、 ３０ ＩＩ、 ３０ ＩＩＩの前記
のような長さ設定により、変速レバー１１をガイド溝２
８の各変速作用位置Ｉ、 ＩＩ、 ＩＩＩから横方向−
側に変位操作して、油圧伝導装置２により得られる速度
を後進方向において低速から高速とする場合に、機械式
変速装置３が高速変速段にあるほど油圧伝導装置２によ
って得られる最高速度が小となる。

したがって、互に直列に接続された油圧伝導装置２と機
械式変速装置３との組合せから得られる後進最高速度は
、機械式変速装置３がどの変速比をとっているかに拘ら
ず、常にほぼ一定し、この後進最高速度を適当に設定し
ておくことで、機体後進時に不測に大きな機体速度とな
って危険が生じるといった事態が避けられる。

なお第５図に示すように、前進変速ガイド溝２９Ｉ 、
２９ ＩＩ、 ２９ ＩＩＩについても同様の長さ設
定を行なって、前進方向での最高機体走行速度を成る値
以下におえることも、簡単に行なえる。

なお操作軸３１の摺動操作は変速レバー１１をガイド溝
２８内に位置させた状態で行なわれるから、図示の場合
と異なり第１の作動金物３７を操作軸３１に対し相対摺
動不能であるのみならず相対回転不能にも接続する、つ
まり固定接続したとしても、変速レバー１１をガイド溝
２８内へ戻す操作で第１の作動金物３７がシフトフォー
ク３６に所要のように係合せしめられ、機械式変速装置
３の変速操作上、不都合が起きない。

以上の説明から明らかなように、この考案の農用トラク
タ等における変速操作装置は、２組の変速装置２，３を
互に直列に接続して設けである農用トラクタ等において
、摺動及び回転変位自在に支持された操作軸３１を設け
ると共に、この操作軸３１と該操作軸３１の軸線まわり
で回動自在に支持して設けた回動金物３４とにそれぞれ
ピン３２．３３接続して単一の変速レバー１１を、上記
回動金物３４に対する接続ピン３３まわりでの回動操作
により上記操作軸３１が摺動変位せしめられると共に上
記操作軸３１の軸線まわりでの回動操作により該操作軸
３１が回転変位せしめられるように設け、また上記操作
軸３１上に、該操作軸３１に対し相対摺動不能に接続さ
れ摺動変位により一方の変速装置３による変速比を変更
制御する第１の作動金物３７と、該操作軸３１にその軸
線方向に沿わせ形成した長溝３１ ａに突入するピン３
８によって該操作軸３１に対し相対摺動自在ではあるが
相対回転不能に接続され操作軸３１軸線まわりでの回動
変位により他方の変速装置２による変速比を変更制御す
る第２の作動金物３９であって***作体４１に対し係合
する方向にスプリング４０にて摺動附勢しである第２の
作動金物３９とを、設けてなる構成のもので、次のよう
な長所を備えている。

すなわち、この考案の変速操作装置は、摺動及び回転変
位自在に支持された操作軸３１上に、一方の変速装置３
による変速比を変更制御する第１の作動金物３７と他方
の変速装置２による変速比を変更制御する第２の作動金
物３９とを、第１の作動金物３７はこれを操作軸３１と
共に摺動変位せしめられて変速比変更制御を行なうよう
に設けると共に、第２の作動金物３９はこれを、操作軸
３１が摺動変位せしめられても***作体４１に対し係合
を維持するように図りそのような***作体４１に対する
保合状態で操作軸３１と共に回転変位せしめられて変速
比変更制御を行なうように設けて、１本の操作軸３１の
摺動変位と回転変位とにより２組の変速装置２，３の変
速操作を遠戚できるようにした上で、該操作軸３１を摺
動及び回転変位させる単一の変速レバー１１を、該操作
軸３１自体と操作軸３１の軸線まわりで回動自在な回動
金物３４とにそれぞれピン３２．３３接続して設けたも
ので、上記した回動金物３４はこれを操作軸３１上に被
嵌設置することで、該操作軸３１の軸線まわりで回動す
るものとできるから、また前記した第２の作動金物３７
はスプリング４０による附勢で***作体４１に対する係
合を維持させるものとされているから、総じて、取付は
位置とか軸線位置とかを精密に設定することを要求する
部材がなく、また第２の作動金物３９を操作軸３１に対
し前記のように接続する手段も、操作軸３１上の長溝３
１ ａと作動金物３９側のピン３８とを利用した簡単な
ものとされていて、部材加工及び組立てが容易である構
造簡単なものとなっている。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を装備した農用トラクタ要
部の縦断側面図、第２図は同農用トラクタに設けられた
一油圧回路の回路図、第３図は同実施例要部の部材の平
面図、第４図は同実施例要部の縦断側面図、第５図は一
部の変形例を示す、第３図類似の平面図である。 １・・・・・・ミッションケース、２・・・・・・油圧
伝導装置、３・・・・・・機械式変速装置、６・・・・
・・油圧ポンプ、６ａ・・・・・・ポンプ斜板、７・・
・・・・油圧モータ、７ａ・・・・・・モータ軸、９・
・・・・・操作シリンダ、１０・・・・・・サーボコン
トロールバルブ、１１・・・・・・変速レバー、１２・
・・・・・フィードバックリンク、１７．１８・・・・
・・伝動軸、１９・・・・・・スプライン筒、２０・・
・・・・小径歯車、２１・・・・・・大径歯車、２２゜
２３・・・・・・変速歯車、２４・・・・・・遊転歯車
、２５・・・・・・シフト歯車、２６・・・・・・操作
機構ハウジング、３１・・・・・・操作軸、３１ ａ・
・・・・・長溝、３２・・・・・・水平ピン、３３・・
・・・・水平ピン、３４・・・・・・回動金物、３４
ａ・・・・・・筒部、３５・・・・・・フォークシャフ
ト、３６・・・・・・シフトフォーク、３７・・・・・
・第１の作動金物、３８・・・・・・ピン、３９・・・
・・・第２の作動金物、４０・・・・・・圧縮バネ、４
１・・・・・・リンク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ２組の変速装置を互に直列に接続して設けである農用ト
   ラクタ等において、摺動及び回転変位自在に支持された
   操作軸を設けると共に、この操作軸と該操作軸の軸線ま
   わりで回動自在に支持して設けた回動金物とにそれぞれ
   ピン接続して単一の変速レバーを、上記回動金物に対す
   る接続ピンまわりでの回動操作により上記操作軸が摺動
   変位せしめられると共に上記操作軸の軸線まわりでの回
   動操作により該操作軸が回転変位せしめられるように設
   け、また上記操作軸上に、該操作軸に対し相対摺動不能
   に接続され摺動変位により一方の変速装置による変速比
   を変更制御する第１の作動金物と、該操作軸にその軸線
   方向に沿わせ形成した長溝に突入するピンによって該操
   作軸に対し相対摺動自在ではあるが相対回転不能に接続
   され操作軸々線まわりでの回動変位により他方の変速装
   置による変速比を変更制御する第２の作動金物であって
   ***作体に対し保合する方向にスプリングにて摺動附勢
   しである第２の作動金物とを、設けてなる変速操作装置
   。