JPS5841061Y2 - スロ−アウエイチツプ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は切削加工に使用するためのスローアウェイチ
ップに関するもので、特にエンドミル等のフライスカッ
タに使用するスローアウェイチップに関するものである
。

従来、金属の切削加工を行なうには、バイト、フライス
、ドリル等の種々の工具が使用されているが、超硬合金
に関する技術の進歩に伴って上記の如き工具の刃先とし
て超硬合金製チップが使用されるようになってきた。

この超硬合金製チップは、他の材料からなる刃先に較べ
て高温における硬度の低下が少なく、筐た耐摩耗性にす
ぐれているが、高価であるために、小片として形成され
、工具本体に対し着脱かつ交換可能になされているのが
一般的である。

ところで、このような従来使用されているチップは、そ
の適宜の稜線に形成された切刃が直線状をなすものが殆
んどであり、このことはエンドミル用のチップに関して
も同様であって、従来のエンドミルにあっては、１箇あ
るいはそれ以上のチップをその切刃がエンドミルの半径
方向と一直線上で一致するようにシャンクに取り付けた
ものであり、半回転毎にその回転中心部から外周部に至
る切刃のすべてが同時に被切削物に食い込んで切削を行
なうものである。

そのため、チップの切刃には瞬間的に大きな衝撃力が加
わって切刃の欠損やチッピングを生じる危険があり、筐
た振動が大きくなって良好な切削を行なうことができな
い場合がある。

さらに、切刃が直線状であるために切屑が比較的大きな
ものとなるとともにこの切屑に対してこれを積極的に排
除する力が作用せず、したがって切削加工を行なう場合
、切屑が工具に絡みつき、あるいは切刃と被切削物との
間に挾筐り、これが原因で切刃の欠損、切削面の荒れ、
さらには切削能率の低下を来たす等の欠点がある。

この考案は上記事情に鑑みてなされたもので、切削性能
の向上を図るとともに切屑の排出性の向上を図ったスロ
ーアウェイチップを提供することを目的としたものであ
る。

以下、この考案の一実施例を図面を参照して説明する。

なお、第１図はこの考案に係るスローアウェイチップ（
以下、チップと略称することもある。

）１の平面図、第２図はその正面図、第３図はその左側
面図である。

このチップ１は全体が平板状に形成されており、その上
面２と下面３との間に、−の側面４と、この−の側面４
から周方向に所定の間隔をもって形成された他の側面５
と、これら−の側面４から他の側面５にかけて形成され
た時間半分の円弧面とを２組点対称的に有している。

なお、説明の便宜上、以下においては、第１図において
右側の−の側面４を右側面４と、この右側面４と同じ組
で下端側にある他の側面５を先端面５と、左側の−の側
面４を左側面４と、この左側面４と同じ組で上端側にあ
る他の側面５を後端面５というものとする。

右側面４と後端面５との間および先端面５と左側面４と
の間には、それぞれ上面２から下面３へ向かって延在す
る断面略Ｖ字状の切欠き７が形成されている。

右側面４と後端面５との間に形成された切欠き７、すな
わち第１図において上方にある切欠き７を画成する２つ
の壁面のうち、右側面４側の壁面は、平面８とされてい
る。

この下面８は後述するように、チップ１をシャンク１２
のチップ取付座１３に取り付ける際の取付は基準面とさ
れるものである。

一方、後端面５側の壁面と上面２とのなす交叉部は、上
面２から当該壁面の中央部へ向けて切り落とされて、そ
こに凸曲面９が形成されている。

この凸曲面９釦よび上面２と左側面４、円弧面６および
後端面５とのなす稜に切刃１０が形成されている。

なお、第１図の下方側にある切欠き７も同様になってお
り、凸曲面９および上面２と右側面４、円弧面６および
先端面５とのなす稜にも切刃１０が形成されている。

なお、図に示すように上面２および凸曲面９とこれらに
交差する前記各面４，５．６とがなす角度は、これら各
面４．５．６が逃げ面となるように９０°未満に設定さ
れている。

ｌた、図中１１はチップ１の中央部に穿設された取付孔
であり、その上面２側は座ぐりされている。

つぎに、上記のように形成されたスローアウェイチップ
１をエンドミルに使用する場合について説明する。

第４図は上記のチップ１をシャンク１２に取り付けた状
態を示すもので、シャンク１２の先端部はその軸線に対
して所定角度傾斜して切欠されて切屑排出部が形成され
、さらにここを同様に傾斜して切欠することによりチッ
プ取付座１３が形成されている。

チップ１はその一方の切刃１０と切欠き７の凸曲面９に
隣接する壁面との交叉する頂点０がシャンク１２の中心
軸線Ｓ上に位置するとともに、この頂点Ｏを一方の端部
とした切刃１０がシャンク１２の先端部の外周面より半
径方向にわずか突出するようにしてチップ取付座１３に
載置されており、そしてこの状態でセットネジ１４をチ
ップ１に穿設された取付孔１１内に挿通してシャンク１
２に螺合させることにより、チップ１はチップ取付座１
３に押圧さ−れるとともに、左側面４釦よび切欠き７の
平面８をチップ取付座１３の２壁面に当接させてチップ
取付座１３に固定されている。

この場合、チップ取付座１３に線接触あるいは面接触さ
せることが非常に困難で点接触し易い円弧面６をチップ
取付座１３の壁面に当接させることなく、容易に線接触
あるいは面接触させることができる下面８をチップ取付
座１３の壁面に当接させているから、スローアウェイチ
ップ１の取付は精度および取付は強度の向上を図ること
ができる。

このように構成されたエンドミルで切削加工を行なう場
合、シャンク１２を適宜の工作機械の主軸に取り付け、
これを第４図における矢印Ａ（第５図においては矢印Ｂ
）方向に回転させて行なう。

この場合、筐ず前記頂点Ｏ近傍の切刃１０ば被切削物（
図示せず）に食い込み、その後切刃１０の残余の部分が
被切削物に漸次食い込んでこれを切削することになるか
ら、切刃１０には大きな衝撃力が加わらず、したがって
切刃１０の欠損やチッピングを生じる恐れがない。

しかも、凸曲面９と切欠き７の凸曲面９に隣接する壁面
とのなす角度は鈍角となっているから、切刃１００頂点
Ｏ近傍部分の強度が向上し、これによって切刃１０の欠
損をより一層確実に防止することができる。

ちなみに、下面３を上面２側へ平行移動させて、チップ
１を下面３が頂点Ｏを含むような形状にすると、頂点０
部分の角度が鋭角となり、切刃１０の頂点Ｏ近傍部分が
欠損し易くなる。

また、生ずる切屑は凸曲面９に沿って当該エンドくルの
半径方向及び軸線方向後方へ誘導されるから、円滑かつ
速やかに排出される。

しかも、この場合の切屑の排出は一定曲率の凸曲面９に
よる自由誘導作用によるものであるから、当該エンドミ
ルのビビリ振動を惹き起こす原因となることもない。

さらに、切欠き７がチップポケットとなるから、切屑が
チップ１の先端部に詰筐ることかなく、これによって切
刃１０の頂点Ｏ近傍部分の欠損をさらに確実に防止する
ことができる。

なお、一方の切刃１０が摩耗した場合は、セットネジ１
４をシャンク１２から抜き取り、チップ１をチップ取付
座１３に対して１８００回転させ、他方の切刃１０を第
５図における一方の切刃１０と同様に位置させてセット
ネジ１５によってチップ１をチップ取付座１４に固定し
、そして前記と同様にして切削を行う。

以上説明したように、この考案に係るスローアウェイチ
ップによれば、凸曲面および上面と−の側面、円弧面お
よび他の側面とのなす稜に切刃を形成しているから、切
削荷重が切刃に衝撃的に作用することなく、漸次増大す
るようになるから、切刃の欠損を防止することができる
。

しかも、切刃によって生成される切屑は、凸曲面によっ
て誘導されるため、切刃と被削物との間に詰まることな
くスムースに排出される。

筐た、凸曲面が上面から切欠きの他の側面側の壁面の中
央部へ向けて形成されているから、凸曲面と当該壁面と
のなす角度が鈍角となる点、および切欠きがチップポケ
ットとなり、切屑詰筐りを防止することができる点によ
って切刃の欠損をより一層確実に防止することができる
。

さらに、切欠きの−の側面側の壁面に取付は基準面とな
る平面を形成しているから、スローアウェイチップを精
度よく、かつ強固に取り付けることができる等の効果が
得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す平面図、第２図はそ
の正面図、第３図はその左側面図、第４図はシャンクに
取り付けた状態を示す平面図、第５図は第４図のＶ−Ｖ
線矢視図、第６図はシャンクに取り付けた状態に釦ける
部分断面図である。 １・・・・・・スローアウェイチップ、２・・・・・・
上面、３・・・・・・下面、４・・・・・・−の側面（
右側面、左側面）、５・・・・・・他の側面（先端面、
後端面）、６・・・・・・円弧面、７・・・・・・切欠
き、８・・・・・下面、９・・・・・・凸曲面、１０・
・・・・・切刃。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 全体が平板状をなし、上面２と下面３との間に、−の側
   面４と、この−の側面４から周方向に所定の間隔をもっ
   て形成された他の側面５と、これら−の側面４から他の
   側面５にかけて形成された路間半分の円弧面６とを２組
   点対称的に有し、一方の組の−の側面４と他方の組の他
   の側面５との間および一方の組の他の側面５と他方の組
   の−の側面４との間に、それぞれ上面２から下面３へ向
   かって延在する断面路■字状の切欠き７が形成され、各
   切欠き７を画成する壁面のうち−の側面４側の壁面に取
   付は基準面となる下面８が形成され、他の側面５側の壁
   面と上面２とのなす交叉部が上面２から当該壁面の中央
   部へ向けて切り落とされてそこに凸曲面９が形成され、
   この凸曲面９および上面２と−の側面４、円弧面６およ
   び他の側面５とのなす稜に切刃１０が形成されてなるこ
   とを特徴とするスローアウェイチップ。