JPS582577B2 - アルミニウム軸受合金 - Google Patents

アルミニウム軸受合金

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JPS582577B2
JPS582577B2 JP8423278A JP8423278A JPS582577B2 JP S582577 B2 JPS582577 B2 JP S582577B2 JP 8423278 A JP8423278 A JP 8423278A JP 8423278 A JP8423278 A JP 8423278A JP S582577 B2 JPS582577 B2 JP S582577B2
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【発明の詳細な説明】 本発明は、高温状態におけるSn(スズ)粒子の成長お
よび硬さの低下が少なく、耐疲労性に優れかつ耐摩耗性
に優れたアルミニウム(Al)軸受合金に関するもので
、特に鋳造後数回の圧延と焼鈍を行なった後使用する場
合に好適な合金を提供するものである。
従来のアルミニウム軸受合金としては、主としてAl−
Sn系合金、たとえばAl−Sn(20%)−Cu(銅
)1%、Al−Sn(20%)−Pb(鉛)3%−Cu
(1%)−Si(ケイ素)3%等が使用されているが、
この合金を自動車用内燃機関の軸受に使用した場合、内
燃機関の高負荷運転が継続したとき等に短時間で疲労破
壊の起ることがあった。
これは内燃機関内のオイルが高負荷連続運転時に特に高
温となり、たとえばオイルパン内のオイルの温度は13
0℃〜150℃にも達するため、軸受はそのすべり面に
おいてかなり高温度になることが予想され、この結果従
来のAl−Sn系合金では高温下で硬さが急激に低下し
てSnの溶融や移動がおこり、このことが疲労強度も低
下することの原因であると考えられる。
本発明の発明者等が高温下で硬さの高い合金やSnの動
きにくい合金を内燃機関軸受の形状に加工し、高温油下
で動荷重疲労試験を行なった結果、疲労強度の向上が認
められたことは上記考察を裏付けている。
また、以上の高温硬さの低下に基く疲労強度の低下とは
別に、従来のAl−Sn系合金では合金組織におけるS
n粒子の粗大化も疲労強度の低下の原因となっている。
すなわち、アルミニウム軸受合金は、Al−Sn系合金
を裏金鋼板に圧接して形成するものであるが、両金属の
接着強度を増すために圧接後これを焼鈍する工程が不可
欠であり、一般的にはこの焼鈍は、Al−Feの金属間
化合物の析出する温度(約475℃)以下で、温度が高
く時間が長い程接着強度が大となる。
ところが、従来のAl−Sn系合金は焼鈍によって高温
下におかれると、合金組織中でAl粒界およびSn粒子
の移動が起り、この結果時間の経過とともにSn粒子の
粗大化が進行してしまうという欠点があった。
つまり従来のアルミニウム軸受合金では、裏金鋼板との
接着強度を増すために焼鈍すれば、Sn粒子の粗大化を
招き、この粗大化はAI−Sn系合金の疲労強度を低下
させる原因となっている。
本発明の発明者等は、Al−Sn系合金に種々の添加元
素を加えてその高温硬さ、疲労強度についての改良を進
めた結果、既にAlにSnの他所要量のCr(クロム)
またはZr(ジルコニウム)およびCu等を加えた合金
を開発し、特許出願(特願昭52−2690号つしてい
る。
さらにSn、CrおよびCu等の他、pbまたはIn(
インジウム)を加え、耐疲労性を同等に維持したまま特
になじみ性を向上させた合金を開発し、特許出願(特願
昭52−18255)している。
本発明は、さらに研究を進めた結果、Al−Sn系合金
に特にCrの含有量を増すことにより、相手材質を選ば
ずに耐摩耗性を著しく向上させることができる材料を見
出してなされたものである。
本発明のAl−Sn系合金は、基本的には重量%で35
%〜35%のSnと、1.0%を越え70%のCrとか
らなるAI−Sn系合金を基本とし、これにCuおよび
(または)Mg(マグネシウム)30%以下(0を含ま
ず)、9%以下(0を含まず)のpb、In、Bi(ビ
スマス)の少なくとも1種とから構成され、かつ、Sn
量は添加元素中最大となるようにしたことを特徴とする
もので、従来のAI−Sn系合金に比べCr、Pb、B
i、Inを加えたことによってSnが微細化されるとと
もになじみ性が向上し、加えて硬さが上昇し、特に高温
状態におけるSnの移動と成長がほとんどないことが認
められた。
また高温硬さの低下も少ない。
さらに動荷重疲労試験を行なったところ、高油温下での
疲労強度の向上が確認された。
また、特に軸受の摺動性能に大きな影響を及ぼす相手材
質、すなわち軸材質を選ばず、どんな材料であっても充
分な耐摩耗性を持つこども確認された。
Snの含有量を重量%で35〜35%に限定した理由は
、Snは潤滑を主目的として添加される元素であるが、
これを35%以上添加するとなじみ性、潤滑性は向上す
るが硬さが低下し、これが3.5%以下では逆に軸受台
金としてはなじみ性等に劣るからである。
なお、このSnの添加量はSnを弧立分散させるために
、従来のAl−Sn系合金では15%程度が上限とされ
ており、その理由はこれを15%以上添加すると合金中
のSn粒子がAl中に弧立して分散できなくなり連続状
態で存在し始めるため、硬さが低下するからとされてい
たが、本発明では後述する他の元素の添加効果によって
これを35%迄添加した場合でもSn粒子が弧立分散し
実用上支障がなくなった。
また、Snの添加量を3.5〜35%の範囲でどのよう
に定めるかは、用途に応じ適宜決定されるべきものであ
るが、一般的には軸受に加わる荷重(負荷)の大なると
きはSn量を少なく、荷重の小なるときはSn量を多く
すると良い。
また別の観点からは、焼付きが懸念される状態で使用さ
れるときはSn量を多く、この心配のないときはSn量
を少なくするのが良い。
しかし最近は高油温により軸受が高温になり、これが原
因で軸受が変形し焼付、疲労を起すことが問題であるの
で、高温での変形が少ないという点からSn量を定める
必要もある。
Crは硬さの上昇と高温時の軟化を防ぐ点、および焼鈍
によってもSn粒子の粗大化を招かないという点、また
相手材質を選ばずに充分な耐摩耗性茶持つという点につ
いて特に添加効果が高い。
まず硬さの上昇と高温時の軟化防止について述べると、
このCrの添加量が重量で1.0%以下では高温硬さの
改良は期待できるが耐摩耗件の向上が望めない。
7.0%以上添加するとCrAl等のAl−Cr金属間
化合物が析出し過ぎ、軸受合金としては硬くなり過ぎ、
耐摩耗性は向上してもなじみ性が極端に低下し過ぎるこ
とからその添加量を10を越え7.0%に限定したもの
である。
この高温硬さの向上についてさらに詳述すると、Crは
AI中に固溶することによってAIの再結晶温度を上げ
、かつ固溶すること自体でAI地の硬さを上昇させるが
、これと同時に数回の圧延によっても鋳造時に比して硬
さが上昇する。
再結晶温度を上げることは内燃機関の軸受がさらされる
高温領域でも安定した機械的性質を維持させるために効
果があり、特に硬さについては、高温下での硬さの低下
を少なくして高温領域での軸受の軟化を防ぐことができ
、ひいては疲労強度の向上をもたらす。
また固溶限を過ぎて析出するAl−Crの金属間化合物
は、ウイツカース硬さで約370を示しこのためこの化
合物が分散析出することは高温硬さの維持を助け、これ
が適量分散することは良い効果を生ずる。
次にCr添加によるSn粒子の粗大化阻止効果について
述べる。
Sn粒子の粗大化はAl−Sn系合金が高温下におかれ
た場合Al粒界およびSn粒子の移動が起るために生ず
る現象であるが、Crは上記のようにAl−Crの金属
間化合物の析出物を作り、この析出物がAl地金中に細
かく分散して存在するため、この金属間化合物が直接的
にはAl粒界の移動を妨げ、同時にAl結晶粒の成長を
妨げてSn粒子の移動、つまりSn粒子の粗大化を防ぐ
からであると考えられる。
このことは、圧延、焼鈍等により微細化されたSn粒子
を、そのまま保つことにつながり、前記種々の効果を持
つのである。
そしてこのような現象は比較的Sn量の多い場合(約1
0%以上)において、またより顕著な効果はSnが連続
して存在しはじめる約15%前後以上において効果があ
る。
しかし、Sn量が10%以下であってもその使用条件、
用途によっては上記Crの添加による効果が充分必要と
されることはもちろんである。
また、Sn粒子が微細のまま保持されてAl地金中に存
在するということは、同時に232℃という低い融点を
もつSn粒子の高温下での溶出現象を防止するためにも
効果的であると考えられ、この観点からしても硬さの低
下防止の効果が背首される。
なお、以上は焼鈍に関してSn粒子の粗大化阻止効果を
述べたものであるが、以上の効果は本軸受材料の使用環
境が焼鈍に匹敵する高温下である場合にもそのまま妥当
し、したがって軟化の防止を通じ疲労強度の向上を図る
、ことができる。
次に、Cr添加による耐摩耗性向上効果について述べる
CrはAl地金中において上記のようにAl−Crの金
属間化合物の析出物を作るが、この化合物は、ウイツカ
ース硬さで約370を示し、非常に硬い析出物であるの
で軸との摩擦による軸受の摩耗をこの析出物により著し
く減少させることができ、これが適量分散することは良
い効果を生ずる。
ここに適量の範囲は、前述のようにCrが7.0%以下
を意味し、この範囲であれば上記折出物は均一に分散し
、なじみ性等他に悪影響を与えることなく耐摩耗性を向
上させる効果が得られる。
加えてAl−Cr析出物は次のような効果を持つ。
すなわち軸受にとって相手材質は軸受性能を大きく左右
し、たとえば従来のAl−Sn系軸受と球状黒鉛鋳鉄軸
と組合せて使用すると焼付性、耐摩耗性等についての軸
受性能を著しく阻害する。
そしてまた昨今、鋼軸に替わり加工上安価な球状黒鉛鋳
鉄軸が多く使われるようになってきた。
ところが球状黒鉛鋳鉄は軟質な黒鉛が鉄地の中に点在し
ていて、このためこの軸を研削するとその黒鉛の周囲に
鋭い刃形を持った研摩パリが発生する。
このような研摩パリの発生した軸を相手に油膜厚さと軸
および軸受表面粗さとが同じになる程度の高荷重下で軸
受を摺動させると、このパリにより軸より軟かい軸受面
は切削されることになり、この状況が進行すると軸受表
面精度が粗くなったり軸の軸受とのクリアランスが増大
したりし、しいては油膜圧力が構成されなくなったり、
油膜破断により油膜が構成されなくなったりして、その
結果軸と軸受との直接接触つまり金属接触がより多く起
り焼付に至る。
ところが本発明に係る合金は球状黒鉛鋳鉄軸のパリより
も硬いAl−Crの析出物をAl地中に分散存在させて
、このAl−Cr析出物により球状黒鉛鋳鉄軸の研摩パ
リを取り去る効果およびAl−Crの析出物が移着、凝
着現象を起しにくくする効果をも持たせてあり、これに
より軸受表面の摩耗の進行は比較的短時間で抑えられ安
定した油膜が構成されるようになり、この結果球状黒鉛
鋳鉄軸に対して特に耐摩耗性、耐焼付性を向上させる。
次に本発明は、上記組成に加えてCu または(および
)Mgを重量%で3%以下加えたものである。
このうちCuを用いる場合にはその添加量を3%以下と
する。
3%以下添加すると硬さは向上するがCuの増加と共に
圧延性、耐斡性が低下し好ましくないからである。
ここでより好ましい添加割合は2.0以下である。
またMgについては、これを3%以上添加すると、硬さ
は向上するが圧延による硬さ上昇が大きくなり過ぎて充
分な圧延ができなくなり、このため微細なSn組織を得
ることが困難になる。
また焼鈍時にAlに固溶していたMgが析出しやすく余
分に添加された量は析出してしまうため、固溶によるA
l地の強化は期待できない。
ここでより好ましい添加割合は2.0以下である。
このCuとMgの上記効果はCrと同時に添加して生ず
るもので、CuまたはMg単独では高温下での硬さの上
昇の効果が期待できない。
すなわちCuまたはMgはAl中に添加した場合に圧延
時の硬さの上昇が大きく同一圧延率でも他の元素を添加
したAl材料に比し、硬さの上昇は顕著であるが、20
0℃近く迄加熱すると容易に軟化し、高温硬さの維持は
期待できない。
これに対してCrとCu またはMgを同時に添加する
と、CuまたはMgの添加効果によって圧延時に高くな
った硬さが、焼鈍をしてもCrの添加効果、すなわち再
結晶温度の上昇によりあまり低下しない。
この硬さは高温時においても保たれ、従来合金に比べて
高温強度のある合金となり、ひいては疲労強度の向上に
もつながる。
なおCuとMgを同時に添加する場合は、その合計量は
3%以内とし、その内Cuは2%以内とすることが好ま
しい。
次にPb,Bi、Inのうち少なくとも1種添加するこ
とはSnの潤滑金属としての性質を改良するためであり
、Crと一緒に添加したときに効果が認められる。
従来Al−Sn系合金の中にこれらの元素を添加するこ
とは考えられ、また一部行なわれているが、これらの添
加元素を単独で加えるとAl−Sn系合金の中へ合金化
されてしまうためSnの融点が低くなってしまうという
欠点が避けられない。
このため従来のAl−Sn系合金は低温でSnの溶融と
移動が起こり易くなる結果、粗大なSn粒に成長しやす
く、これを軸受として使用すると、高負荷運転が連続し
たとき部分的に溶融し、ハクリすることもありうる。
これに対し本発明のようにCrを加えることによってS
n粒を微細化し、かつその組織を高温でも維持でぎるよ
うにしておくと、Pb,Bi、Inのうち少なくとも1
種を加えても上記のような幣害は生ぜずにSnの潤滑性
を改鋳することができ、高い疲労強度の必要とされる軸
受にも使用可能となり、さらに耐疲労性に加えてなじみ
性の向上も図ることができる。
またさらに析出したAl−Cr金属間化合物の軸受表面
に露出した表面に、Pb、Bi、Inの添加によって潤
滑性能が改善されたSn系低融点金属が薄く被膜を形成
することにより、摩擦特性が改善される。
このような効果を得ることのできるPb、Bi、Inの
うち少なくとも1種の添加量は9%以下(0を含まず)
であり、好ましくは含有Sn量に対し約15%以下程度
がよい。
なおpbとBiとInを合わせて9%以下としてもよい
さらにSnとpb、Bi、Inのうち少なくとも1種と
の合計添加量は35%以内がよい。
なおAl中に潤滑金属を微細に存在させるためにSn量
は添加示素の中では最も多くなければならない。
上記組織のAl軸受合金は、主に車輌用内燃機関のすべ
り軸受として使用されるが、この場合裏金鋼板に圧接し
て用いるのが普通であり、この圧接後には接着強度を増
すために焼鈍を行なっている。
ところが前述のように従来のAl−Sn系合金では圧延
後の数回に渡る焼鈍によって合金組織中のAl粒界およ
びSn粒子の移動が生じ、Sn粒子が粗大化するため、
硬さの低下、Sn粒子の溶出等の欠点が生じていた。
これに対し本発明では、圧延、焼鈍の工程から生じるA
l−Cr金属間化合物の析出物がAl粒界の移動を妨げ
るとともにAl結晶粒の成長を阻止するので、焼鈍によ
る上記悪影響の生ずることがなく、このため焼鈍温度を
上げてAl−Sn系合金と裏金鋼板との接着強度を増す
ことができる。
なおこのことは、本合金が焼鈍に匹敵する高温下に置か
れる場合にも、そのまま妥当するから、軟化の防止を通
じ疲労強度の向上に寄与できることも同時に意味してい
る。
次に実施例によって本発明を説明する。
次表は本発明に係る合金1〜17、比較材として合金1
8〜21の化学成分値を示すものである。
合金1から17迄は、ガス炉においてAl地金を溶解し
、次にAl−Cr母合金やAl−Cu母合金Al−Mg
母合金を目的成分に応じて溶解し最後にSnおよびpb
等を添加したのち脱ガス処理をし、湯温720℃で金型
に鋳造を行なったものでその後圧延と焼鈍(350℃)
を繰り返して試料を作り、高温硬さ測定を行なった。
次にこの試料をさらに圧延し、その後これらの合金と裏
金鋼板とを圧接してバイメタル材とし、これを焼鈍(3
80℃)した後平面軸受に加工して動荷重疲労試験を行
なった。
また合金18〜21は、比較の便宜のために従来の組成
の合金を上記合金と同一の製造法で作製して試料とし、
同一の試験を行なった。
第1図は、上記合金1ないし21の高温下での硬さをヴ
イツカース硬度で測定した結果を示すものである。
これらのグラフから明らかなように、本発明に係る合金
1〜17は従来の合金18〜20に比してすべての温度
領域において硬度が高く、また従来の合金21との比較
では、合金21の方が低温度領域において硬度の高い場
合も存在するが、合金21は温度の上昇と共に急激にそ
の硬度が低下するのに対し、本発明の合金1ないし17
は温度上昇に伴う硬度低下の程度がゆるやかであり、し
たがって温度の変化に伴う軸受状態の変化を少なくでき
るという効果がある。
また特にPb、Bi、Inの他にCuまたは(および)
Mgを添加した合金5〜13,16,17は、全温度領
域において特に硬度の高いことが認められ、かつ合金2
1に比して温度上昇に伴う硬度低下が少なく特に温度2
00℃においても高い硬度を維持している。
これは明らかにCu,Mgを加えたことによる効果であ
る。
また合金組織の上からは、本発明に係る合金1ないし1
7は、裏金鋼板との接合後の焼鈍を経ても、Sn粒子の
粗大化は認められなかった。
第2図は、本発明の合金2,5,9,14,16と従来
の合金1B,19,20について動荷重軸受疲労試験を
行なった結果を示す。
この試験は、軸回転数3000r.p.m、軸材として
S55C焼入れ材を使用し、一定油温の強制潤滑下にお
いて、鉄鋼材料の疲労状況を知る107回応力繰り返し
条件で油温を異ならせて耐疲労面圧を測定したものであ
る。
このグラフから明らかなように合金2,5,9,14,
16,18,19,20とも温度が高い程耐疲労面圧が
低下するが、本発明に係る合金2,5,9,1 4,1
6は耐疲労面圧の低下の程度が従来の合金18,19,
20程大きくなく、かつ合金2,5,9,14,16と
合金18,19,20は低温側の耐疲労面圧での差はそ
れ程大きくないが、高温側の耐疲労面圧は合金2,5,
9,14,16が合金18,19,20を凌駕している
ことが明瞭に認められる。
なお、第2図は本発明に係る合金を代表させて合金2,
5,9,14,16従来の合金を代表させて18,19
,20を挙げたものであるが、他の合金も同様の傾向を
行す結果が得られている。
また次表は本発明に係る合金2,9,12と従来の合金
18,19について焼付試験を行なったときの焼付荷重
を示すものである。
この実験は、軸回転数1000r.p.m、軸材として
S55C焼入れ材を使用し、一定油温(140℃)の強
制潤滑下において、焼付に至る迄の荷重(静荷重)を測
定したものであって、本発明の合金2,9,12は合金
18,19に比しはるかに優れた焼付荷重を示しており
、これはなじみ性を向上させる添加剤、すなわちPb,
Bi、Inの効果であることが認められる。
さらに第3図は本発明に係る合金2,9と従来の合金1
9について、荷重を増加させた場合の摩擦トルクの変化
の状態を測定した結果を示すグラフである。
この実験は、上記焼付試験の際、荷重を増加させる途中
の状況をオシログラフで測定している。
このグラフによれば、従来の合金19では荷重を増加さ
せる度に摩擦トルクはピークの発生を伴って大きく変動
しつつ増加し、また合金2ではピークを伴う程大きな変
動は認められず滑らかに変動しているが、荷重増加の停
1F時に山形の摩擦トルク変動が生じている。
これに対し本発明の合金9では、荷重の増加に対して極
めて滑らかに追従して摩擦トルクが増加しており、有害
な摩擦トルク変動は生じていない。
これは本発明の合金がなじみ性に優れ、かつ焼付の生じ
にくいことを示している。
すなわち従来の合金19にみられる変動の大きなピーク
波形は、摺動面の油膜が部分的に破壊され、固体接触が
生じこれが繰り返されると全体破壊(焼付)を生じるこ
とを意味しており、このような波形を生じない本発明の
合金2,9はなじみ性および耐焼付荷重が高い。
なお、本発明に係る合金組成において、A1中には通常
の精練技術ではどうしても避けられない不純物が含まれ
ることは勿論である。
次に第4図は本発明に係る合金1,5,14と従来の合
金18,19について摩耗試験を行なったときの荷重を
増加させた場合の摩耗量の変化の状態を測定した結果を
示すグラフである。
このグラフによれば、従来の合金18と比較しCrを添
加した1,5,14また従来の合金中Siを添加した1
9は摩耗量が極めて少ないことが認められる。
またCrを添加した合金でもCr含有量の差によって摩
耗量に差が認められる。
すなわち、Cr添加量の多い5,14の方が1より摩耗
量が少ない。
この実験は、軸回転数1000r.p.m,軸材として
S55C焼入れ材(軸アラサ1μ)を使用し、一定油温
(120℃)の強制潤滑下において荷重を増加させた場
合の、各荷重での摩耗量を測定したものであり、本発明
の合金1,5,14は合金18に比しはるかに優れた耐
摩耗性を示しており、これはCr添加による効果である
ことが認められる。
次に第5図は第4図と同様の実験を軸材質として球状黒
鉛鋳鉄材を使用して行なったものである。
第4図の鋼軸の場合と比して、本発明に係る合金1,5
,16は、従来の合金である18と摩耗量において大き
な差が認められ、Cr添加による耐摩耗性向上効果は、
球状黒鉛鋳鉄軸を使用した場合の方が鋼軸を使用した場
合より、より明確となる。
なお、第4図、第5図の結果では、本件発明品と従来材
の一部とは同様の結果を示しているが、従来材は第1〜
3図で明らかなように欠点を持ち、結局は充分な合金と
はいえない。
次に第6図は本発明に係る合金1.2,9と従来の合金
18,19,20について焼付試験を相手材質として球
状黒鉛鋳鉄軸を使用して行なったときの、焼付に至った
ときの面圧を示すグラフである。
このグラフによれば従来の合金18と比較しCrを添加
した合金1,2,9は焼せ面圧が高いことが認められる
またCrを添加した合金宅もCr含有量の差によって焼
付荷重に差が認められる。
すなわちCr添加量の多い合金2の方が1より耐焼付性
に優れている。
中でもpbを添加した合金9については、すぐれた耐焼
付性を示している。
また従来の合金19は、その化学成分中のSiによると
思われる耐焼付性の向下が見られ、かつpbが添加され
た合金20はよりすぐれた本件発明と同様の効果が認め
られる。
ただし前述した如く、これら従来材は本発明の合金の特
徴の一つである高温硬さの低下防止、耐疲労性の向上等
は認められない。
以上の通り本発明に係るアルミニウム軸受合金は、Cr
添加による硬さの向上、高温硬さの低下防止、Sn粒子
の粗大化阻止効果、これらを通じての耐疲労性向上、お
よび耐摩耗性の向上に加え、特に球状黒鉛鋳鉄軸に使用
する場合においての耐摩耗性、耐焼付性の向上、またC
rとともに添加して効果のあるPb,Bi、Inにより
なじみ性の向上、耐焼付性の向上を図ることができ、さ
らにCu、Mgを加えれば高蝉強度がより向上する。
また裏金鋼板との圧接後の圧延焼鈍を高温度長時間で行
なえるので、両者の密着性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係るアルミニウム軸受合金と従来の
同種軸受合金等との温度変化に伴う硬度変化の様子をプ
ロットしたグラフ、第2図は、同じく耐疲労面圧の変化
の様子をプロットしたグラフ、第3図は同じく荷重を増
加させた場合の摩擦トルクの変化の状態を示すグラフ、
第4図は、鋼軸に対して同じく荷重を増加させた場合の
摩耗量の変化の状態を示すグラフであり、第5図は同じ
く球状黒鉛鋳鉄軸に対しての摩耗量を示すグラフである
。 第6図は球状黒鉛鋳鉄軸に対しての焼付面圧を示すグラ
フである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 重量でスズ3.5〜35%、クロム1.0を越え7
    .0%、および残部が本質的にアルミニウムからなるア
    ルミニウムースズ系軸受合金。 2 重量でスズ3.5〜35%、クロム1.0を越え7
    .0%、銅および(または)マグネシウム3,0%以下
    (0を含まず)、および残部が本質的にアルミニウムか
    らなるアルミニウムースズ系軸受合金。 3 重量でスズ3.5〜35%、クロム1.0を越え7
    .0%、銅および(または)マグネシウム3.0%以下
    (0を含まず)、Pb、Bi、Inの少なくとも1種を
    9.0%以下(0を含まず)、および残部が本質的にア
    ルミニウムからなるアルミニウム−スズ系軸受合金。 4 重量でスズ3.5〜35%、クロム1.0を越え7
    .0%、Pb、Bi、Inの少なくとも1種を9.0%
    以下(0を含まず)、および残部が本質的にアルミニウ
    ムからなるアルミニウム−スズ系軸受合金。
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