JPS5813101Y2 - 燃料蒸発防止装置のキヤニスタ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車の燃料蒸発防止装置のキャニスタに関す
るものである。

周知のように自動車と燃料蒸発防止装置は燃料タンクま
たは気化器から発生する燃料蒸発をエンジン停止時にキ
ャニスタ内の吸着剤に吸着させ、エンジン作動時に空気
を外部より吸入して吸着剤から脱離させてエンジンの吸
気筒へ放出するものである。

ところが吸着剤から脱離した燃料蒸気が吸気筒に放出さ
れると、その分だけ気化器によって設定された空燃比よ
りも過濃になり、エンジン運転を不円滑にすると共に、
燃焼効率を下げ、排気ガス中の有害成分を増加させるこ
とになる。

特に吸入空気量の少ないアイドリング時または減速時等
に燃料蒸気が多量に放出されると上記の状態が更に悪化
する。

そのためエンジンの吸入空気量の吸入状態すなわちスロ
ットルバルブの開閉状態に応じて開閉される制御弁をキ
ャニスタと吸気筒との間に設けることがあり、その例が
実公昭４９−２２８８５号公報に見られる。

しかしながらこの装置においては、吸気筒の負圧によっ
て制御弁で流量を制御するものであってキャニスタから
の脱離量は確実に制御することはできない。

脱離量はキャニスタに流入する空気量によるとともに、
その経路によって吸着剤からの放出量が異なり、燃料濃
度が異なるからである。

また従来の単一吸着層のキャニスタにあっては、流入空
気が万遍なくケース内を通過せず、隅の方は流入空気に
触れにくくて脱離不十分となり、結果的には容量不足と
なる傾向があった。

本考案は上記の点を勘案し、キャニスタ内の吸着層の間
に空間部を設けて上下に区画し、エンジンの吸入空気量
の少ない場合は、下部吸着層からのみ効率的に脱離させ
、少量の脱離量を制御弁を介して吸気筒に放出し、吸気
空気量の大きい場合は、上下吸着層の両方から脱離させ
多量の脱離量を同じく制御弁を介して吸気筒に放出する
ことを特徴とする自動車燃料蒸発防止装置のキャニスタ
である。

以下図示の実施例について説明する。

第１図において１はエンジンの吸気筒、２は制御弁、３
は本案のキャニスタを示す。

キャニスタ３は円筒状のケース４上部中央に燃料タンク
（図示せず）から燃料蒸気を導入する入口バイブ５と第
１放出バイブロを設ける。

入口バイブ５と第１放出バイブロとに連通し、ケース上
部からケース４内に垂下するポート７を設け、その下端
はケース４のほは沖央部に位置させる。

ポート７の外周と壁との間に多孔板８および９を固設し
、その間に活性炭のような吸着剤を充てんして上部吸着
層１０とする。

多孔板９はポート７の下面もしくはそれよりやや上方に
位置させる。

多孔板９の下方に空間部１１を形成して多孔板１２を固
設し、その下方に多孔板１３を固設する。

多孔板１２と１３との間に上部吸着層１０と同様に吸着
剤を充てんして下部吸着層１４を形成する。

ケース−１部の周縁部に第１放出バイブロから離して第
２放出パイプ１５を設ける。

第２放出パイプ１５の内径は第１放出バイブロより大で
あり、各放出パイプは制御弁２に連結される。

１６はケース底部に設けた空気流入し１である。

制御弁２は通常用いられるダイヤフラム型式のものであ
り、ダイヤフラム１７によって区画された負圧室１８と
制御室１９とを形成し密封されている。

負圧室１８は吸気筒のスロットルバルブ上流側に接続さ
れ、制御室１９は第１放出バイブロと連結する通孔２０
が設けられる。

また第２放出パイプ１５と連結し、ダイヤフラム１７の
作動によって開閉する流路２１が設けられ、制御室１９
はスロットルバルブ下流側に接続される。

２２はダイヤフラム１７を開く方向に作用するスプリン
グである。

以−ヒの構成においてその作用を説明すると、工、ンジ
ンが停止している際、燃料蒸気は人口バイブ５から流入
してポート７を通り、上部吸着層１０および下部吸着層
１４それぞれに吸着される。

エンジンが作動すると、アイドリング時または減速時の
ヨウにスロットルバルブの開度が小さく、吸入空気量の
少ない場合は、スロットルバルブ上流側の負圧は下流側
より低いのでダイヤフラム１７はスプリング２２に抗し
て流路２１を閉じている。

キャニスタの空気流入口１６から空気が流入すると、ま
ず下部吸着層１４の燃料蒸気が脱離されて、ポート７を
通り、第１放出バイブロから流出し、制御弁２の通孔２
０を経て、吸気筒１に放出する。

その際下部吸着層１４の上方には空間部１１が形成され
ているので、流入空気は下部吸着層１４を通過するとき
、上方に向うに従って中央に集中することなく多孔板１
２のほとんど全面にわたって通過するので下部吸着層１
４からは全容積にわたり万遍なく脱離され効率がよい。

しがも空気量は第２放出パイプ１５より小径の第１．放
出バイブロを経る空気のみであるから脱離の量は少ない
。

しかも上部吸着層１０の燃料蒸気はポート７の存在によ
って空気が通過しないのでほとんど脱離されず、従って
脱離は下部吸着層１４の燃料蒸気のみであるから、従来
の同一容量のキャニスタに比して少量である。

エンジンが通常回転になり、スロットルバルブの開度が
大きく、吸入空気量の多い場合は、スロワ１〜ルバルブ
上下の負圧はほとんど等しくなり、ダイヤフラム１７は
スプリング２２により流路２１を開くので、上部吸着層
１０の燃料蒸気はもとより下部吸着層１４の燃料蒸気の
大部分は内径が大である第２放出パイプ１５から流出し
、流路２１を通って吸気筒１に放出される。

同時に下部吸着層１４がらは前記と同様にポート７を通
り、第１放出パイプからも流出し、通孔２０を経て吸気
筒１に放出される。

すはわちアイドリング時や減速時等にはほとんど下部吸
着層１４のみから脱離した燃料蒸気が第１−放出パイプ
６のみを経て少量エンジンに放出され、吸入空気量が増
加する通常運転時には上記ものものと並行して上部吸着
層１０の燃料蒸気が大径の第２放出パイプ１５を経て大
量にエンジンに放出される。

以上のように本考案の燃料蒸発防止装置は、エンジンの
運転状態に応じて放出時期とキャニスタからの脱離量を
変化させ、特に吸入空気量の少ないアイドル運転や減速
運転の場合は、同一容量のキャニスタに比して脱離量が
少ないキャニスタであるので、吸気筒に放出される放出
量は確実に制御されてエンジン運転を円滑にする。

またキャニスタ内の上下吸着層の間に空間部を設けであ
るため、従来の単一層のキャニスタに比較して、下部吸
着層の全面にわたって流入空気が通過するので脱離不良
によって吸着量が飽和してしまい空気流入口から燃料蒸
気が外部へ漏れる恐れが少ないという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案燃料蒸発防止装置の構造略図である。 １・・・・・・吸気筒、２・・・・・・制御弁、３・・
・・・・キャニスタ、５・・・・・・人口バイブ、６・
・・・・・第１−放出バイブ、１５・・・・・・第２放
出パイプ、７・・・・・・ポー１１０・・・・・・−上
部吸着層、１４・・・・・・下部吸着層、１１・・・・
・・空間部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンの吸気筒のスロットルバルブ上流側に通ずる負
   圧室と下流側に通ずる制御室とをダイヤフラムで区画し
   、制御室にキャニスタの第１放出パイプと連通ずる通孔
   および第２放出パイプと連通ずる流路を設け、制御室内
   のスプリングによってダイヤフラムを押圧して流路を開
   放するようにした制御弁を具え、前記通孔に接続される
   第１放出パイプおよび燃料蒸気の入口バイブがケースの
   上部に設けられ、第１放出パイプと入口バイブに連通ず
   るポートをケース内に垂下させて、その外周に上部吸着
   層を形成し、上部吸着層の下方に空間部を介在させて下
   部吸着層を形成させ、前記ボートを空間部に開放し、上
   部吸着層の上方周縁に前記第２放出パイプを設けて第１
   放出パイプより大径とし、ケース下部に空気流入「］を
   設けたキャニスタ。