JPS595177Y2 - 自動車用の蒸発燃料吸着装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、燃料タンク等より発生する蒸発燃料を一旦吸
着保持するための装置、例えば活性炭キャニスタ、の改
良構造に関する。

燃料タンクや気化器フロート室からの蒸発燃料が大気中
に散逸されるのを防止するため、自動車においては活性
炭キャニスタ等の蒸発燃料吸着装置が使用される。

即ち、活性炭キャニスタは通常吸着剤層の一側に蒸発燃
料取入口及び脱離燃料取出口を形成し、その他側にパー
ジ空気取入口を形成し、て構成される。

燃料タンク等からの蒸発燃料は蒸発燃料取入口を介して
キャニスタ内に導入されて吸着剤層に一旦保持され、こ
の保持された蒸発燃料は、エンジンの吸気管内の負圧下
で生ずる、パージ空気取入口よりの空気の流れで脱離さ
れ脱離燃料取出口を介してエンジン吸気管内に導入され
る。

ところで従来の活性炭キャニスタでは、吸着剤層の一側
に形成される空間に蒸発燃料取入口と脱離燃料取出口と
が開口する構成となっている。

このため、蒸発燃料取入口からこの空間に導入される蒸
発燃料が吸着剤層に吸着されることなくそのまま脱離燃
料取出口から吸気管内に向い易い。

この場合、気化器で設定される混合気の空燃比は濃い方
向にずれその結果排気ガス中の未燃焼ＨＣ。

ＣＯ成分量が増加する。

かかる問題点を解決するべく、蒸発燃料取入口を形成す
るパイプを吸着剤層中まで延ばし、これによって蒸発燃
料が必ず活性炭層に一旦吸着されるように改良した構造
のものである。

しかし、この構造は、パイプの開放端より上側の活性炭
層の活用度が悪化するという新たな不利益を招来せしめ
るものである。

そこで、特開昭５３−７７９２３号に開示された活性炭
キャニスタでは、パイプの出口の周囲に筒状の内部容器
を設けたものを提案している。

パイプからの蒸発燃料は内部容器の案内によって活性炭
層のすみずみにまで行きわたらせることをねらったもの
である。

しかしながら、この従来技術では、パイプの周囲に内部
容器を設けた構成であるため、その内部容器の底部に比
較的重い蒸発燃料流が停滞し勝ちである。

蒸発燃料流の長期停滞による冷却で、燃料は活性炭層に
吸着されることなく液化し、キャニスタ外に濡れ落ちる
ことになる。

本考案はかかる点に鑑みてなされたものであり、パイプ
よりの蒸発燃料を活性炭層のすみずみに急速に行きわた
らせ、より効果的な吸着を行うことができる構成を提供
することを目的とする。

以下添附図面を参照しながら本考案を具体的に説明する
と、図において１は本考案に係る蒸発燃料吸着装置を全
体的に示す。

この装置１は筒状のケース３を備え、その内部に一対の
孔あき板５Ａ。

５Ｂ及びフィルタ部材６Ａ、６Ｂが間隔をおいて平行配
置され、これらの間に形成される空間に吸着剤層（例え
ば活性炭）７が充填されている。

吸着剤層７の一側に蒸発燃料取入口９が設けられてその
外側の端部は蒸発燃料パイプ１０を介して燃料タンクＴ
内の燃料液面より上方の空間に開口している。

蒸発燃料取入口９の下端９′は孔あき板５Ｂ及びフィル
タ６Ｂを貫通して吸着剤層７の中程まで延びている。

吸着剤層７の他側にパージ空気取入口１１が形成され、
吸着剤層７の下側の空間１３Ａを外気と連通せしめてい
る。

蒸発燃料取入口９と並んで脱離燃料取出口１５が設けら
れ、その一端は脱離燃料パイプ１７を介して脱離燃料導
入孔１９に通じている。

この脱離燃料導入孔１９はスロワＩ・ル弁２１のアイド
ル位置の少し上流に設けられている。

脱離燃料取出口１５の他端は吸着剤層７の上側に形成さ
れ環状空間１３Ｂと通じている。

蒸発燃料パイプ１０上にチェック弁２３が設けられ、こ
れは、燃料タンクＴ内の燃料液面の上方に形成される空
間内の蒸発燃料圧力が大きくなると開とされて、蒸発燃
料を取入口９を介して吸着剤層に導びきここに吸着させ
る。

又、脱離燃料パイプ１７上にチェック弁２５が設けられ
、これは、スロットル弁２１が孔１９の上方に開放され
たとき生ずる吸気管負圧によって開とされる。

更に、この負圧によってパージ空気取入口１１から外気
が導入され吸着剤層７に吸着されている燃料を脱離しこ
の脱離燃料がエンジン吸気管２７へ導入される。

本考案によれば蒸発燃料取入口９の下端９′が吸着剤層
７の中程まで延設されているにも係わらす吸着剤層の上
側のすみ部分まで吸着燃料の拡散を良好に行うため次の
構造になっている。

即ち、吸着剤層７中にバッフル板２９を設けられている
。

このバッフル板２９はその中央部２９Ａが、吸着剤層７
中における蒸発燃料取入口下端９′に対し、近接して対
面配置され、かつ、その中央部分は取入口９の中心線に
大体直交する面上においてほぼ平坦であるがやや湾曲し
た面を呈している。

この実施例では、バッフル板２９の周囲部分には多数の
空気孔２９ Ｂが穿設され（第２図参照）、板２９の周
辺部２９Ｃはケース３の内面にきつく嵌合されることに
よって固着化されている。

以上述べた本考案に係る構造においては、蒸発燃料取入
口から矢印Ａの如く吸着剤層中に導入される蒸発燃料は
バッフル板２９の中央部２９Ａに規制されるため、矢印
Ｂで示すように吸着剤層７の上方領域に向う流れがほと
んど停滞することなく生ずる。

かくして、吸着剤層７の広い範囲にわたって迅速に蒸発
燃料を行きわたらせることができ、良好な吸着作用を得
ることが可能となる効果が奏せられる。

尚バッフル板２９の周辺部に多数の空気孔２９ Ｂが穿
設されているから、脱離時のパージ空気の流れは何ら制
限されることはなく、効果的な脱離が可能である。

図示の実施例では燃料タンクＴのみを蒸発燃料吸着装置
１に接続しているように示しているが、気化器のフロー
ト室を接続してもよいことは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る蒸発燃料吸着装置の断面図、第２
図は本考案のバッフル板のみ示す第１図のＩＩ方向矢視
図。 ７・・・・・・吸着剤層、９・・・・・・蒸発燃料取入
口、１１・・・・・・パージ空気取入口、２９・・・・
・・バッフル板、２９Ａ・・・・・・バッフル板中央部
。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 蒸発燃料取入口の端部を吸着剤層まで延設し、前記蒸発
   燃料取入口と反対側にパージ空気取入口を形成し、前記
   吸着剤層内にパージ空気取入口端部と近接対面位置する
   中央部分を持ったバッフル板を配置し、該バッフル板の
   前記部分は前記蒸発燃料取入口の中心線と直交する面上
   に位置している自動車用の蒸発燃料吸着装置。