JP2001041927A - 窒素酸化物ガスセンサ - Google Patents

窒素酸化物ガスセンサ

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JP2001041927A
JP2001041927A JP11217789A JP21778999A JP2001041927A JP 2001041927 A JP2001041927 A JP 2001041927A JP 11217789 A JP11217789 A JP 11217789A JP 21778999 A JP21778999 A JP 21778999A JP 2001041927 A JP2001041927 A JP 2001041927A
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gas
electrode
oxygen
nox
detection chamber
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Akira Kunimoto
晃 国元
Seiji Hasei
政治 長谷井
Koretomo Ko
云智 高
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Riken Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 センサ機能及び検知精度を低下せずに、窒素
酸化物ガスセンサの電極数、リード線数を大幅に減少し
て、構造を簡素化する。 【解決手段】 ダクト(5)内で酸素イオン透過層(2)に形
成された酸素に活性な外側電極(7)と、ガス検知室(6)内
で酸素イオン透過層(2)に形成されかつ酸素とNOxに活
性な内側電極(8)との間に電圧を印加して、酸素イオン
透過層(2)を介してダクト(5)からガス検知室(6)内に供
給される酸素によりガス検知室(6)内の測定ガス中に含
まれる還元性ガスを酸化し又はNOxガス中のNOを酸
化させてNO2の単一ガスとする。内側電極(8)と対面し
て酸素イオン透過層(2)と同一のイオン伝導体により連
結しているガス検知室(6)内に設置されかつ酸素及びN
Oxに対して活性な検知電極(9)と外側電極(7)との間に
生じる電位差を測定して、測定ガス中の総NOx濃度を
検知する。外側電極(7)及び内側電極(8)により酸素のポ
ンピングを行い、検知電極(9)と外側電極(7)により測定
ガス中の総NOx濃度を検知することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスセンサ、特に
内燃機関の排気ガス等の測定ガス雰囲気中に含まれる総
NOx濃度をリアルタイムに検知できる窒素酸化物ガス
センサに属する。
【0002】
【従来の技術】近年、内燃機関の排ガス中に含まれる総
NOx濃度を直接測定できる簡便な全固体素子型NOxセ
ンサがいくつか提案されている。本発明者等は、酸素イ
オン伝導体であるジルコニア固体電解質を用いた高温作
動型の混成電位式NOxセンサを既に提案している。例
えば、特開平9−274011号公報は、窒素酸化物の
検出に際し非測定ガスによる干渉を回避して総NOx濃
度を検知できる窒素酸化物検出装置を開示する。この窒
素酸化物検出装置では、酸素イオン伝導体であるジルコ
ニア固体電解質によりガス検知室を形成し、固体電解質
体上の電極間に電圧を印加して電気化学的な酸素ポンピ
ング作用を発生し、酸素をガス検知室に導入することに
より、測定ガス中のHC、CO及びNOを酸化させる。
HC、COは無害なH2OとCO2に変換され、NOはN
2に単一ガス化変換され総NOxとして混成電位型NO
xセンサ部で検知される。
【0003】図15に示すように、特開平9−2740
11号公報に示される窒素酸化物検知装置(30)は、固体
電解質(31)と、固体電解質(31)の表面側に沿って形成さ
れかつ一定の酸素雰囲気を有する大気に通ずるダクト(3
2)と、固体電解質(31)の裏面側に形成された検知室(33)
と、固体電解質(31)の表面及び裏面に取り付けられた一
対の電気化学的酸素ポンプ(34, 35)と、検知室(33)内に
設置されたNOx検知電極(36)及びNOx参照極(37)とで
構成される。電気化学的酸素ポンプ(34, 35)はリード線
(20, 21)により直流電源(23)に接続され、NOx検知電
極(36)とNOx参照極(37)はリード線(22, 22a)により電
位差計(24)に接続される。NOx検知電極(36)とNOx参
照極(37)との間の電位差を電位差計(24)により測定して
NOxの量を検出することができる。
【0004】また、特開平11−23526号公報は、
酸素及びNOxに活性な酸素ポンプ(NOx変換ポンプ)
をジルコニア固体電解質内のガス検知室に別途設け、検
知対象雰囲気中のNOをNO2に変換し、窒素酸化物ガ
ス濃度を検知する窒素酸化物センサを示す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来提案
されている総NOx検知システムには、下記の構造が必
要であった。 (a) センサ検知室内の酸素濃度を制御して排ガス中
のHC、CO等の還元性ガスを酸化無害化する酸素ポン
プ電極 (b) センサ検知室内の酸素濃度を測定する酸素セン
サ (c) センサ検知室内で測定ガス中のNOxをNO2
はNOの単一組成ガスに変換するNOx変換電極 (d) 変換されたNOxガス濃度を検知するNOx検知
電極 (e) センサ作動温度をフィードバック制御する温度
センサ(印刷型熱電対) (f) センサを高温作動させるヒータ
【0006】特開平9−274011号公報では、
(a)と(c)が兼用され、(b)も基本的になくても
かまわない。更に、温度センサとして酸素ポンプ電極を
用いて固体電解質のインピーダンスを測定する方法も適
用できる。これらを考慮すれば、一対の酸素ポンプ、N
Ox検知センサ、ヒータが不可欠であり、センサに接続
されるリード線の本数は、最小6本必要となる。NOx
の高効率な単一ガス化を行うために構成を増やせばその
分リード線が増加することになる。
【0007】一方、近年自動車エンジンの燃費規制と排
ガス規制の大幅な強化に対応できる将来的に最も期待さ
れるエンジンシステムとして、ガソリンの直噴システム
に代表される超希薄燃焼システムが実用化されている。
しかしながら、現状のガソリンエンジンでは酸素過剰雰
囲気で直接NOxを分解浄化できる触媒はない。そのた
め、実用化されたシステムでは周期的にリッチ領域に戻
しそこで増大する排ガス中のHCをNOx還元剤として
用いNOxを分解浄化している。ところが、直噴システ
ムには通常HCを浄化する三元触媒も設けられ、OBD
規制に対応するためHC浄化機能の監視が必要である。
よって、三元触媒の酸素吸蔵を監視する目的で触媒の上
流と下流にそれぞれ酸素センサ(λ−O2センサ)が設
置される。触媒浄化システムには、NOx検知機能と酸
素検知機能の2種類が一体化されたガス濃度検知装置が
望ましいが、センサ構成にλ−O2センサ用リード線が
更に増えるため、センサの構造及び制御システムが複雑
になる欠点がある。従って、従来の総NOx検知センサ
では、その構成上、センサ製造上又はセンサ駆動制御シ
ステムにおいて更なるセンサ構成の簡素化、特にリード
線本数の低減が必要であり、よってセンサ制御の簡易化
が望まれている。
【0008】そこで、本発明は、センサ機能及び検知精
度を低下せずに、電極数、リード線数を大幅に減少する
ことができ、簡素化された構造を有する窒素酸化物ガス
センサを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明による窒素酸化物
ガスセンサは、酸素イオン伝導性を有する固体電解質に
より形成された酸素イオン透過層(2)と、測定ガス雰囲
気に通ずるガス導入口(13)が設けられたガス検知室(6)
と、酸素イオン透過層(2)と同一のイオン伝導体により
連続しているガス検知室(6)内の底壁(10)と、酸素イオ
ン透過層(2)を介してガス検知室(6)の反対側に形成され
かつ大気に通じるダクト(5)と、ダクト(5)内で酸素イオ
ン透過層(2)に形成された酸素に活性な外側電極(7)と、
ガス検知室(6)内で酸素イオン透過層(2)に形成されかつ
酸素とNOxに活性な内側電極(8)と、内側電極(8)と対
面してガス検知室(6)内の底壁(10)に設置されかつ酸素
及びNOxに対して活性な検知電極(9)とを備えている。
カソード電極である外側電極(7)及びアノード電極であ
る内側電極(8)間に電圧を印加して、酸素イオン透過層
(2)を介してダクト(5)からガス検知室(6)内に供給され
る酸素により測定ガス中に含まれるNOxガス中のNO
を酸化させてNO2の単一ガスとし又はガス検知室(6)内
の還元性ガスを酸化させる。また、検知電極(9)と外側
電極(7)との間に生じる電位差を測定して、測定ガス中
の総NOx濃度を検知する。
【0010】カソード電極としての外側電極(7)とアノ
ード電極としての内側電極(8)との間に外部電源により
定電圧を印加し、外側電極(7)と内側電極(8)を用いて電
気化学的に酸素のポンピングを行う。大気にのみ通ずる
酸素に活性な外側電極(7)は、通常NOxに対する感度が
ないため、酸素とNOxに活性を有し混成電位に起因す
る電位差を発生する検知電極(9)に対し参照極として機
能し、その間の化学ポテンシャル差(電位差)は、NO
xの感度に対応する出力となる。外側電極(7)はNOx基
準極でもあるため、外側電極(7)が曝されるダクト(5)内
の酸素濃度は一定であることが望ましく、大気に通じて
いる。外側電極(7)、内側電極(8)により酸素のポンピン
グを行うと同時に測定ガス中の総NOx濃度を検知電極
(9)と外側電極(7)を用いて検知することができる。
【0011】本発明の実施の形態では、外側電極(7)と
内側電極(8)との間で一定の電流を流して、測定ガス中
の総NOx濃度を検知することもできる。ガス導入口(1
3)は、測定ガス中の酸素濃度が0%であっても、ガス検
知室(6)内の酸素濃度を0.1vol%以上に維持するガス拡
散抵抗を有する。ガス検知室(6)の内部に配置した多孔
質体(6a)により、ガス検知室(6)内の酸素濃度を0.1vo
l%以上に維持してもよい。酸素とNOxに活性な内側電
極(8)の面のうち、少なくとも検知電極(9)と直接対向す
る面はNOxに対して活性であり、検知電極(9)と直接対
向しない面はNOxに対して不活性としてもよい。ガス
検知室(6)内の酸素濃度は一定に保持され易く、測定ガ
ス中の酸素濃度変動に対してより安定したNOx出力を
得ることができる。
【0012】ガス検知室(6)の酸素イオン透過層(2)の内
側電極設置面面積に対する内側電極(8)の占有比率は4
0%以上でありかつ内側電極(8)に対向する検知電極(9)
の面積は内側電極(8)の面積より小さく、内側電極(8)を
設置したガス検知室(6)内でガス導入口(13)側から測定
ガスの侵入方向の後方部に検知電極(9)を配置すると、
更に高効率で安定した総NOx濃度を検知することがで
きる。
【0013】内側電極(8)を設置したガス検知室(6)内で
ガス導入口(13)側から測定ガスの侵入方向の後方部に検
知電極(9)が配置される。測定ガス雰囲気に通じるガス
導入口(13)とそれに連絡するガス検知室(6)との間にガ
ス拡散抵抗を制御する内部ガス通路又は内部ガス空間を
形成してもよい。ガス導入口(13)と検知電極(9)の設置
されているガス検知室(6)との間に内部空間又は内部ガ
ス通路を形成し、内部空間とガス検知室(6)との間又は
内部ガス通路にガス拡散抵抗を設けることにより更に安
定して総NOx濃度検知を行うことができる。内部ガス
通路、内部ガス空間又はガス検知室(6)のいずれかに酸
化触媒層、酸化触媒体又は酸化触媒担持体を配置すれ
ば、それにより測定ガス中のHC等の還元性ガスは完全
に酸化される。
【0014】検知電極(9)が、NiCr24、MgCr2
4、FeCr24、Cr23から選択されたクロム酸
化物を主成分とした材料又はPt−Rh合金、Ir−R
h合金、PtとRh酸化物との混相からなる電極であ
り、内側電極(8)のNOxに活性な面が、Pt−Rh合
金、Ir−Rh合金、Pt−Ru合金の少なくとも一つ
を主成分とする層からなるので、本発明では更に高性能
検知が可能である。干渉ガスを酸化無害化する触媒とし
ては、金属酸化物触媒ではCo34、Mn23、Cr2
3等、貴金属触媒ではPt、Pd、Ru、Au等又は
それらの任意の混合物が用いられる。これらの触媒層に
は電圧を印加する必要がないのでリード線は不要であ
る。
【0015】測定ガス中の酸素濃度を検知するため、酸
素に活性でNOxに不活性な付加電極(14)が、固体電解
質により構成された底壁(10)の表面、即ち測定ガス雰囲
気中に直接曝される底壁(10)の裏面又はガス導入口(13)
に連絡するガス検知室(6)内の底壁(10)の表面に固定さ
れる。ダクト(5)の酸素拡散は律速されず、酸素濃度差
に起因する外側電極(7)と付加電極(14)との間の出力
(起電力)を測定して測定ガス中又はガス検知室内の酸
素濃度を検知する。酸素濃度差に基づき外側電極(7)と
付加電極(14)との間の出力を検出して、検知電極(9)と
外側電極(7)との間に生じる電位差出力を補正し、測定
雰囲気中の総NOx濃度を精度よく検知することができ
る。
【0016】酸素に活性でかつNOxに不活性な付加電
極(14)が、酸素イオン透過層(2)と同一のイオン伝導体
により連続している底壁(10)の測定ガス雰囲気中に直接
曝される底壁(10)の裏面又はガス導入口(13)に連絡する
ガス検知室(6)内の底壁(10)の表面に固定され、付加電
極(14)と外側電極(7)との間の酸素濃度差に起因する起
電力を測定して測定ガス中又は検知ガス中に酸素濃度を
検知する。
【0017】外側電極(7)と内側電極(8)間に電圧を印加
したときに、大気中の酸素が酸素イオン透過層(2)を通
じてダクト(5)からガス検知室(6)に導入される。ダクト
(5)は酸素導入に拡散抵抗を付与して、外側電極(7)と内
側電極(8)間に流れる酸素イオン電流が限界電流を生じ
る拡散律速状態でNOx濃度を検知することも有効であ
る。ダクト(5)の断面積を減少し又はダクト長を増大す
ることにより拡散律速状態を容易に設定できる。拡散律
速状態で本発明による窒素酸化物ガスセンサを用いると
非常に安定した酸素ポンプ電流が得られ、安定したガス
検知室(6)内の酸素濃度に保持できる。
【0018】単一電源により同時駆動制御されるヒータ
(15)が底壁(10)及び/又は上壁(3)の外側に設置された
ヒータ基板(18)に埋設される。ヒータ(15)は酸化物から
なる電気絶縁層(図示せず)に挟まれて固体電解質ヒー
タ基板中に形成されるか又は酸化物電気絶縁ヒータ基板
中に形成されてもよい。センサ構造体(1a)の両面にヒー
タを形成した場合、ヒータ(15)に接続されたリード線(1
6, 17)はセンサ構造体(1a)の内部又は外部で並列に接続
される。
【0019】外側電極(7)と内側電極(8)の間に交流電圧
を同時に印加し、外側電極(7)と内側電極(8)間に存在す
る固体電解質体のインピーダンスを測定し、これをもっ
て温度センサとなし、その出力をヒータ制御回路にフィ
ードバックすることにより、前記温度センサの温度制御
を行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、混成電位型NOxセンサに
適用した本発明による窒素酸化物ガスセンサの実施の形
態を図1〜図14について説明する。
【0021】図1に示すように、本発明による窒素酸化
物ガスセンサ(1)は、表面に外側電極(7)が取り付けられ
かつ裏面に内側電極(8)が取り付けられた固体電解質か
ら成る酸素イオン透過層(2)と、ダクト(5)を形成して酸
素イオン透過層(2)から上方に離間して配置された上壁
(3)と、酸素イオン透過層(2)と上壁(3)との間に配置さ
れたインサート(4)と、ガス検知室(6)を形成して酸素イ
オン透過層(2)から下方に離間して配置されかつ底壁(1
0)と、酸素イオン透過層(2)と底壁(10)との間に配置さ
れかつガス検知室(6)を形成するスペーサ(11)と、スペ
ーサ(11)の反対側で酸素イオン透過層(2)と底壁(10)と
の間に配置されかつガス検知室(6)を形成する側壁(12)
とを備えている。少なくとも酸素イオン透過層(2)、底
壁(10)及びスペーサ(11)は、酸素イオン伝導体として一
般的に用いられるイットリア添加のジルコニア酸素イオ
ン伝導体であるが、酸素イオンが連続的に流れ得る固体
電解質でセンサ構造体(1a)として一体に形成された酸素
イオン伝導体であればよい。検知電極(9)に対する参照
極として使用される外側電極(7)は、通常酸素にのみ活
性が高いPt材料を使用して形成される。
【0022】ガス検知室(6)の外側には酸素に活性な外
側電極(7)がダクト(5)内に設置され、酸素とNOxとに
活性な内側電極(8)はガス検知室(6)内で酸素イオン透過
層(2)に固定される。NOx及び酸素に対して活性な検知
電極(9)はガス検知室(6)内で底壁(10)の上面に固定さ
れ、側壁(12)にはガス検知室(6)を大気に連絡するガス
導入口(13)が形成される。いずれも酸素とNOxに活性
な検知電極(9)及び内側電極(8)は、NOxと同時に酸素
も存在するガス検知室(6)内に設置される。
【0023】酸素ポンピングのアノードとしての役割と
同時にNOxを電気化学的に変換する触媒電極でもある
内側電極(8)は酸素とNOxに対する活性が高いPt−R
h合金、Pt−Ru合金又はIr−Rh合金を用い、P
t−Rh合金又はIr−Rh合金中のRh組成は0.1
〜10wt%であることが望ましい。NOxに高い活性を有
する金属酸化物電極には酸素ポンピング機能が低いもの
もあるが、金属酸化物電極に比べて酸素ポンピング機能
自体が高いPt−Rh合金、Pt−Ru合金又はIr−
Rh合金により内側電極(8)を形成することが望まし
い。外側電極(7)及び内側電極(8)を形成する際に、電極
の多孔度を調整したり、電極の活性点(三相界面)を増
やすために、一般的に通常5〜20wt%の添加量でジル
コニア固体電解質粉を同時に添加することもある。
【0024】検知電極(9)は、Pt−Rh合金若しくは
Ir−Rh合金等の貴金属系材料又はNiCr24、F
eCr24、MgCr24、Cr23等のクロム酸化物
系材料から選択され、高いNOx活性と高い酸素活性を
有する材料で形成することが必要である。NOx検知電
極(9)を形成する際に、ジルコニア固体電解質粉を同時
に添加して、電極の多孔度を調整しかつ電極の活性点
(三相界面)を増加することが望ましい。ジルコニアの
添加量は、電極性能上3〜20wt%、好適には5〜10w
t%が有効である。
【0025】カソード電極としての外側電極(7)とアノ
ード電極としての内側電極(8)との間に外部電源により
定電圧を印加し、外側電極(7)と内側電極(8)を用いて電
気化学的に酸素ポンピングを行うと、ダクト(5)内の酸
素が酸素イオン透過層(2)を通じてガス検知室(6)内に供
給されると同時に、ガス検知室(6)内でNOxガス中のN
Oを電気化学的に酸化させてNO2の単一ガスとする。
酸素に活性な外側電極(7)は、大気にのみ通じかつ通常
NOxに対する感度がないため、酸素とNOxに活性を有
し混成電位に起因する電位差を発生する検知電極(9)
と、酸素にのみ活性な参照極である外側電極(7)との間
の化学ポテンシャル差(電位差)は、NOx濃度に対応
する出力となり、電位差計(24)で検出される。この際
に、測定ガス中の酸素濃度が皆無でもガス検知室(6)内
の酸素濃度が0.1vol%以上となるように、酸素ポンプ
能力との兼ね合いでガス導入口(13)の断面積及び長さを
調整して、ガス導入口(13)のガス拡散抵抗を設定するこ
とができる。
【0026】20.9vol%酸素が存在する大気に連絡す
るダクト(5)は、常に酸素ポンプにより大気中からガス
検知室(6)内に酸素を供給できるが、一定の酸素濃度が
存在する雰囲気に通ずるダクトであれば大気でなくても
よい。また、酸素ポンピング量に関わらず、ダクト(5)
による酸素ガスの拡散抵抗が過度のガス拡散律速状態に
なってはならない。そのために、所定のセンサ作動温度
での酸素ポンピング量によって過度のガス拡散律速状態
にならないようにダクト(5)の断面積とダクト長を設計
する。酸素に活性な外側電極(7)は、例えばNOx等の他
のガスに対して活性でも酸素活性が充分であればよい。
【0027】ガス検知室(6)内の内側電極(8)とNOx検
知電極(9)との配置関係は、本発明による窒素酸化物ガ
スセンサの特性に大きい影響を及ぼす。まず、ガス検知
室(6)の酸素イオン透過層(2)の内側電極設置面の面積に
対し、内側電極(8)の占有比率が40%に満たないとNO
x変換効率が低く、酸素ポンピング量が不充分となり、
ガス検知室(6)内の酸素濃度を0.1%以上に保持できな
い。従って、図1に示すように、酸素ポンピング機能が
低下しないように、酸素ポンピング機能とNOxのNO2
化変換機能を同時に行う内側電極(8)の面積は、ガス検
知室(6)の内側電極設置面の面積に対して40%以上を占
めることが必要である。また、内側電極(8)に対向する
検知電極(9)の面積は内側電極(8)の面積より小さい。内
側電極(8)を設置したガス検知室(6)内でガス導入口(13)
側から測定ガスの侵入方向の後方部に検知電極(9)を配
置すると、測定ガス中のHC等の干渉ガスをガス検知室
(6)の前段にて酸化除去できるため、センサ検知特性を
改善できる。
【0028】NOx基準極となる外側電極(7)が曝される
ダクト(5)内の大気中の酸素濃度は一定である。ダクト
(5)内の酸素濃度が変動すると外側電極(7)の電極電位が
変動し、基準電位がふらつく原因となる。そのため、ダ
クト(5)の拡散抵抗設計によって酸素ポンピングにおけ
る拡散律速を防止することが好ましい。しかしながら、
測定雰囲気中の酸素濃度が余り大きく変動しないような
状況では、逆に酸素ポンプ電流に限界電流を生じさせ、
酸素ポンプ電極の性能変動が大きい場合に比べて、常に
安定した酸素量をガス検知室(6)内に供給する方が好ま
しい場合がある。
【0029】本発明による窒素酸化物ガスセンサを製造
する際に、3〜8molのイットリア(Y23)を添加し
たジルコニア(ZrO2)粉をPVA等の有機結合剤
と、可塑剤及び有機溶剤とでボールミル混合を行い、ジ
ルコニアのスラリーを得る。粉末粒子の分散性を改善す
る分散剤を混合物に添加してもよい。ドクターブレード
を備えたシート成形機を使用してPETフィルム上に数
100μmの厚みを有するジルコニアのスラリーを塗布
成形する。PETフィルム上に塗布されたスラリーから
溶剤を乾燥除去すると、非常に柔軟性に富む状態とな
り、ジルコニアのグリーンシートが得られる。3〜8mo
lのイットリア(Y23)が予め添加されるので、グリ
ーンシートに酸素イオン伝導性を付与することができ
る。更に加温しながらジルコニアのグリーンシート同士
を積層圧着すると、相互に強く接着することができる。
グリーンシート積層体中に内部空間を形成するためには
その部分に脱脂温度以下で昇華するテオブロミン等を充
填しておけば、脱脂時に内部空間が形成される。勿論、
脱脂時にはグリーンシート中の有機結合剤が酸化除去さ
れる。脱脂後1400℃前後の温度で焼成すると、ガス
検知室(6)及びダクト(5)を有するセンサ構造体(1a)が得
られる。
【0030】図2に示すように、ガス検知室(6)内にア
ルミナ等の多孔質体(6a)を充填設置して、ガス拡散抵抗
を更に増大することができる。図3は、NOxに対して
活性な変換ポンプ部(8a)と酸素に対して活性な酸素ポン
プ部(8b)とを接続する内側電極(8)の2相並列電極構造
を示す。2相並列電極構造は、内側電極(8)のリード線
本数を増やさずに内側電極(8)の酸素ポンピング機能を
改善するのに有効であるが、酸素に対して活性な内側電
極(8)の酸素ポンプ部(8b)をガス導入口(13)側に設置す
ることが必要である。
【0031】図4は、ガス検知室(6)をNOx検知電極
(9)を設置するガス検知室(6b)と、内部ガス空間(6c)と
に分割し、内部ガス空間(6c)に触媒層(25)を配置した例
を示す。触媒層(25)は、測定ガス中のHC、CO等の干
渉ガスを更に容易に酸化無害化し、干渉ガスを容易に除
去できる酸化触媒体である。図5は、酸化触媒層又は酸
化触媒を担持した多孔質体により内部ガス通路(6c)を構
成し干渉ガスを更に容易に除去できる例を示す。
【0032】これらの触媒層又は触媒を担持した多孔質
体は触媒粉末に直接有機結合材、有機溶剤等を混ぜてペ
ーストとし、スクリーン印刷によって形成することがで
きる。金属酸化物触媒では通常、焼成収縮量が小さくジ
ルコニア基体との密着性に劣るので、ジルコニア粉末を
同時に添加して密着性を改善することが行われる。この
場合のジルコニア添加量は5〜50wt%、より好ましく
は10〜30wt%とする。同様に貴金属触媒の場合、貴
金属のみでもよいが、多孔質にしたりジルコニア基体と
の収縮差の整合を図るにはジルコニア粉末を添加するこ
とがより好ましい。また、より多孔質にするにはジルコ
ニア粉末の代わりにアルミナ粉末を添加したペーストを
用いることができる。ジルコニア又はアルミナの添加量
は10〜95wt%、より好ましくは10〜90wt%とす
る。
【0033】本発明による窒素酸化物ガスセンサは、基
本的に測定雰囲気中の酸素濃度に余り依存せず、NOx
濃度を検出できる混成電位検知型の特徴を有するが、測
定ガス中で極端に変動する酸素濃度により多少の影響を
受ける。本発明の窒素酸化物ガスセンサに要求される検
知精度が不十分なとき、図6に示すように、ガス検知室
(6)外の測定ガス中に通じる固体電解質の一面に酸素に
のみ活性な付加電極(14)を形成する。付加電極(14)は、
酸素に活性なPt電極材料を用い、必要に応じてPt電
極中にジルコニア固体電解質を分散添加することができ
る。底壁(10)の下方に形成された別室(6d)内に配置され
た付加電極(14)を底壁(10)に固定する。外側電極(7)と
付加電極(14)との間の酸素濃度に基づく起電力を測定し
て、測定ガス中の酸素濃度を検知し、その検知出力を用
いてNOx出力を補正して、大幅に検知精度を改善する
ことができる。例えば、測定ガス中の酸素濃度の変動に
対応するガス検知室(6)内の酸素濃度変化データとその
酸素濃度のNOx出力へ与える大きさを図示しない記憶
装置に記憶し、瞬時に補正計算しながら実質的にリアル
タイムでNOx濃度を測定することができる。
【0034】また、図7に示すように、外側電極(7)と
付加電極(14)との間の酸素濃度差に基づく起電力を検知
する場合、ガス検知室(6)内に付加電極(14)を設置する
ことによりガス検知室(6)内の酸素濃度変動を直接検知
できる。これにより、NOx出力を補正することもでき
るが、その場合、検知電極(9)の近傍に付加電極(14)を
設置することが望ましい。
【0035】図1〜図7の窒素酸化物ガスセンサでは、
実際のガス検出時には何らかのセンサ素子を加熱する手
段が必要である。図8は、ヒータ(15)を埋設したヒータ
基板との一体型の窒素酸化物ガスセンサを示す。電気抵
抗発熱体により構成されるヒータ(15)は、固体電解質の
平板により形成された底板(10)に固着されるヒータ基板
(18)に直接埋設された構造を有する。ヒータ基板(8)は
アルミナ等の絶縁基板でもセンサ素子材料となる固体電
解質基板でもよいが、固体電解質ヒータ基板の場合、ヒ
ータと固体電解質との間に図示しないアルミナ等の絶縁
層を設ける。図8では、図6に示すように、検知室(6)
から隔離された別室(6d)内に付加電極(14)を設置しなく
てもよいが、ヒータ(15)との一体構造では別室(6d)を形
成し格納するほうが製造上効率がよい。
【0036】図9は、図6のセンサ構成にヒータ(15)を
含むヒータ基板(18)をセンサ構造体(1a)の上面及び下面
の両面に一体接合したヒータ一体型の窒素酸化物ガスセ
ンサの例を示す。図9に示すように、ガス検知室(6)の
上部及び下部の両面にヒータ(15)を一体に構成し、2対
のヒータ(15)を電気的に並列動作するとその熱制御性が
大幅に増し、また、電源へのリード線(17)を増加せずに
作製することができる。図9に示す例では、センサ構造
体(1a)中にスルーホール(16)を形成し、スルーホール(1
6)を通じて2つのヒータ(15)のリード線(17)を並列に接
続する。更に、ヒータ(15)の外側に形成した集電体(19)
をヒータグランドに接続して、ヒータ(15)からの漏れ電
流を集電体(19)により吸収することができる。更に、窒
素酸化物ガスセンサの温度を制御するために、外側電極
(7)と内側電極(8)の間に交番電圧を印加し、外側電極
(7)と内側電極(8)との間のジルコニア固体電解質のバル
クインピーダンスを測定しその大きさによりヒータ電圧
をフィードバック制御できると共に、6本のリード線(2
0, 21, 22, 26, 2本の17)でセンサ機能を作動できる効
果がある。
【0037】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、
本発明は下記実施例に限定されず、同一思想を含む全て
の発明を含む。
【0038】[例1]図8に示す窒素酸化物ガスセンサの
サンプルを作製するため、イットリア6mol%を添加した
ジルコニアのグリーンシートを前記の方法で準備した。
厚み約200μmのジルコニアグリーンシートをセンサ
基板の焼成前サイズに切断し、ガス検知室(6)やダクト
(5)を形成する部位に窓開け加工を同時に行った。切断
した各グリーンシートに電極、リード導体、ヒータ(15)
等をスクリーン印刷機にて印刷形成した。外側電極
(7)、ヒータ(15)、集電体(19)の印刷材料にはPtペー
ストを用い、内側電極(8)にはRh添加量が3wt%のPt
−Rh合金ペーストを用い、付加電極(14)にはNiCr
24の酸化物ペーストを用いた。外側電極(7)のPtペ
ースト及び内側電極(8)のPt−Rh合金ペーストにジ
ルコニア固体電解質粉末を約10wt%添加して各電極の
多孔度を調整した。Pt線をリード部に挿入しながら印
刷形成した各グリーンシートを図8の積層状態に順次重
ね合わせ、温水中で静水圧プレスによるラミネート処理
を行った。得られた積層体の脱脂を約600℃で、続い
て焼成を1400℃の高温雰囲気で行った。
【0039】作製したセンササンプルを測定用のホルダ
ーにセットし、図8に略示する測定回路及び制御回路に
接続してセンサ特性を評価した。外側電極(7)と内側電
極(8)の間には定電圧の直流電源を接続し、外側電極(7)
を負極(カソード)、内側電極(8)を正極(アノード)
として0.6Vの定電圧を印加した。同時に外側電極(7)
と検知電極(9)との間に入力インピーダンス10MΩ以上
の電位差計を接続した。また、図8には図示しないが、
外側電極(7)と内側電極(8)間のジルコニア基板のバルク
インピーダンスを測定する回路を並列に接続し、センサ
温度信号を取り出した。更に、ヒータ(15)からの2本の
リード線(17)間に直流電源を接続した。
【0040】センサ作動温度が550℃になるようにヒ
ータ(15)をフィードバック制御し、100ppmのNO
と、100ppmのNO2と、50ppmのNO及び50ppmの
NO2とからなる3水準のNOxガスに対する出力を測定
した。NOxガスは他に酸素0.4%、残りは窒素からな
るドライガスである。また、外側電極(7)と内側電極(8)
間に流れる酸素イオン電流(ポンピング電流)をポンプ
電圧をゆっくりとスキャンしながら測定した。
【0041】まず、図10は、ポンプ電圧に対するポン
プ電流特性を示す。この結果から、本実施例での窒素酸
化物ガスセンサのサンプルでは、ダクト(5)の酸素ガス
拡散抵抗は充分小さく、外側電極(7)と内側電極(8)間に
印加された電圧は0〜1.0Vの間で拡散律速されていな
いことが分かる。このようなガス拡散抵抗を有するダク
ト(5)を用いて、外側電極(7)と内側電極(8)間に外部定
電圧0.6Vを印加しながら外側電極(7)と検知電極(9)と
の間の電位差をNOx出力として図11に示す。図11
は、NO及びNO2に関係なく総NOx濃度を検知できる
ことを示す。
【0042】[例2]検知電極(9)に直接対向する内側電
極(8)の面に3wt%Rhを添加したPt−Rh合金電極膜
を形成し、検知電極(9)に直接対向しない面にPt電極
膜を形成した2相並列電極としたこと以外は、例1とほ
ぼ同様なセンサ構造を有する例2のサンプルを作製し
た。内側電極(8)の構成は図3と同一である。このセン
サ構成と比較するため、例1で作製したサンプルを比較
サンプルAとした。サンプルAと例2のサンプルのガス
導入口(13)のサイズ、電極面積は同一である。サンプル
A及び例2のサンプルを550℃の作動温度に制御し、
外側電極(7)(カソード)と内側電極(8)(アノード)間
に一定電圧の0.5Vを印加しながら、200ppmのNO
ガス(酸素0%〜15%、残部は窒素)を測定系に導入
し、測定ガス中の酸素濃度を変えながらNOx出力を測
定した。酸素濃度変動に対するNOx出力特性を示す図
12より、測定ガス雰囲気中の酸素濃度が大きく変動し
ても、2相並列電極構造の内側電極(8)を有する例2の
サンプルの方が、明らかにNOx出力に大きな影響を受
けないことが分かる。これは、2相並列構造の内側電極
(8)により酸素ポンピング機能が大きく改善されること
を示す。
【0043】[例3]内側電極(8)の面積がガス検知室(6)
の内側電極設置面の20%〜80%となりかつ図8中の検
知電極(9)の真上に内側電極(8)を配置して例1の各セン
ササンプルを作製した。また、内側電極(8)の面積が7
0%のときの検知電極(9)をガス検知室(6)の前方と後方
に配置したサンプルも作製した。これらのサンプルによ
り、内側電極(8)の最適面積率と検知電極(9)の設置位置
の影響を調べ、各サンプルについて100ppmのNOと
100ppmのNO2との出力を比較した。測定ガスは酸素
0.4%、残部は窒素ガスからなり、外側電極(7)と内側
電極(8)間に0.5Vの電圧を印加した。図13に各サン
プルにおける内側電極(8)の面積率に対する測定結果を
示す。図13は、検知電極(9)を設置したガス検知室(6)
の内側電極設置面に占める内側電極(8)の面積率が約4
0%以上でないと、NOとNO2ガスの出力レベルが異な
り総NOx濃度を精度良く検知できないことを示す。ま
た、面積率が約40%に満たないと、NOx出力自体の大
きさも低下することが明らかである。従って、内側電極
(8)の面積占有率を40%以上にすることが特性上望まし
い。
【0044】表1は、面積占有率70%の内側電極(8)で
は検知電極(9)の配置の与える影響を示す。同じ内側電
極(8)の面積占有率でも、ガス導入口(13)の直後にガス
検知室(6)を形成する図8のセンサ構造では、検知電極
(9)がガス導入口(13)側に配置される場合には、総NOx
検知特性が低下することが分かる。また、測定ガス中に
含まれる例えば、排ガス中のHC又はCO等の干渉ガス
の影響が大きくなることも明らかである。ガス検知室
(6)内のガス導入口(13)側から検知電極(9)の先端までの
距離をガス検知室(6)の奥行長さの30%以上、望ましく
は40%以上に設置することが必要である。因みに、例
1では検知電極(9)は、50%の位置に配置される。
【0045】
【表1】
【0046】[例4]例1と同様のセンサ構造で、検知電
極(9)の材料を各種用意し、酸素0.4%、残部は窒素ガ
スからなる150ppmのNOガスと、これと同様な15
0ppmのNO 2ガスの検知出力を測定した。測定結果を示
す表2から明らかなように、例4で用いた検知電極(9)
材料では優れた総NOx濃度を検知できることが分か
る。
【0047】
【表2】
【0048】[例5]例1と同様のセンサ構造で、内側電
極(8)の材料を各種用意し、酸素0.4%、残部窒素ガス
からなる150ppmのNOガスと、これと同様な150p
pmのNO2ガスの検知出力を測定した。表3に示す測定
結果から明らかなように、例5で用いた内側電極(8)の
材料では優れた総NOx濃度検知ができることが分か
る。
【0049】
【表3】
【0050】[例6]ガス導入口(13)の断面積と長さを調
整し、ガス拡散抵抗は小さい方からサンプルI<II<III
<IVと4水準を準備して、例1と同様な作製方法により
図7のセンサ構造を有する窒素酸化物ガスセンサのサン
プルを作製した。また、ガス検知室(6)内の酸素濃度を
測定するPt付加電極(14)をガス検知室(6)内に同時形
成した。このセンササンプルを評価装置にセットし、外
側電極(7)と内側電極(8)の間に定電圧0.6Vを印加し
た。測定ガス中の酸素濃度を0〜15vol%に変化させ、
ガス検知室(6)内の酸素濃度を測定した。図14は、測
定ガス中の酸素濃度とガス検知室内の酸素濃度との関係
に対するガス導入口のガス拡散抵抗の影響を示すグラフ
である。図14に示す測定結果から明らかなように、ガ
ス導入口(13)にサンプルII以上のガス拡散抵抗を設定す
ると、測定雰囲気中の酸素濃度が0%でもガス検知室(6)
内の酸素濃度を0.1vol%以上に保持できる。また、N
2ガス100ppmを測定したところ、ガス検知室(6)内
の酸素濃度が約0.03%のときにガス応答性が非常に悪
く、明らかに0.1%以上のときに比べ、ガス検知性能が
悪化することが分かった。
【0051】[例7]例1と同様な作製方法にて、図1、
図8、図9のセンサ構造を有する窒素酸化物ガスセンサ
のサンプルを作製した。図1のセンササンプルはセンサ
部のみの構造体でヒータ(15)を取り付けないため、電気
炉中にサンプルをセットしてセンサを加熱しながら感度
測定を行った。図8と図9のセンササンプルは、設置さ
れた自己加熱ヒータで加熱した。外側電極(7)と内側電
極(8)間のジルコニアのバルクインピーダンスを測定し
ヒータ電圧にフィードバックをかけて温度を制御し、全
サンプルのセンサ温度を600℃に保持した。酸素0.
4%、残部は窒素ガスからなるNOガス150ppm、酸素
0.4%、残部は窒素ガスからなるNO2ガス150ppm、
及び酸素0.4%、残部は窒素ガスからなるNOガス15
0ppmにC36ガス500ppmを添加した測定ガスを用意
し、各検知出力を測定した。測定結果を表4に示す。表
4から、自己加熱ヒータのセンサ構造、特にセンサ構造
体(1a)の両面にヒータ(15)を設置したサンプルでは、ガ
ス検知室(6)の各電極が安定した温度分布を有するた
め、非常に安定したセンサ出力が得られることが分か
る。また、良好な温度分布にも関わらず電気炉中のサン
プルの出力が若干低いのは、リード線(20, 21, 22)の絶
縁性が若干低下するためと考えられる。
【0052】
【表4】
【0053】[例8]図4のセンサ構造の内部空間(6b)
と、図5のガス検知室(6)には、酸化触媒を特定の状態
で形成した以外は、例1と同様な作製方法にて、図4及
び図5のセンサ構造を有するセンササンプルを作製し
た。積層前のジルコニアグリーンシートに触媒ペースト
をスクリーン印刷して塗布形成し、乾燥後、別のジルコ
ニアグリーンシートと積層圧着した。酸化物からなる触
媒は、その粉末と直接有機バインダと有機溶剤を混ぜる
か、更にジルコニア粉末を添加混合して混練器でペース
トとした。貴金属からなる触媒は、貴金属粉末とジルコ
ニア粉末又はアルミナ粉末を混合して、同様に混練器で
ペーストを作製した。触媒層を印刷しない図4のセンサ
構造及びアルミナペーストのみの図5のセンサ構造を同
時に比較のため作製した。
【0054】
【表5】
【0055】温度550℃に保持した電気炉中の石英管
内に得られたセンサを配置して、ガス感度特性を調べ
た。酸素4%、残部は窒素ガスからなるNOガス150p
pm、酸素4%、残部は窒素ガスからなるNO2ガス150
ppm及び酸素4%、残部は窒素ガスからなるNOガス15
0ppmにC36ガス2000ppmを添加した測定ガスを用
意し、各検知出力を測定した。触媒層の密着性(剥離状
況)と共に図4の構造の測定結果を表5に示し、図5の
構造の測定結果を表6に示す。酸化触媒構造を付与する
ことはC36ガス等の干渉ガスによる影響の除去に大き
な効果があり、また、ジルコニア添加触媒は製造上密着
性に優れることがわかる。また、図5の構造の方が、N
Oxの総検出性能及び干渉ガスの影響が更に小さいこと
がわかる。
【0056】
【表6】
【0057】
【発明の効果】本発明による窒素酸化物ガスセンサで
は、外側電極、内側電極及び検知電極の3個の電極によ
り酸素のポンピングを行うと同時に測定ガス中の総NO
x濃度を検知することができるので、センサ機能及び検
知精度を低下せずに、従来のセンサ構成に比して構成さ
れる電極数、リード線数を大幅に減少することができ、
構造を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による窒素酸化物ガスセンサの第1の
実施の形態を示す断面図
【図2】 本発明による窒素酸化物ガスセンサの第2の
実施の形態を示す断面図
【図3】 本発明による窒素酸化物ガスセンサの第3の
実施の形態を示す断面図
【図4】 本発明による窒素酸化物ガスセンサの第4の
実施の形態を示す断面図
【図5】 本発明による窒素酸化物ガスセンサの第5の
実施の形態を示す断面図
【図6】 本発明による窒素酸化物ガスセンサの第6の
実施の形態を示す断面図
【図7】 本発明による窒素酸化物ガスセンサの第7の
実施の形態を示す断面図
【図8】 本発明による窒素酸化物ガスセンサの第8の
実施の形態を示す断面図
【図9】 本発明による窒素酸化物ガスセンサの第9の
実施の形態を示す断面図
【図10】 酸素ポンプの電流特性を示すグラフ
【図11】 NOx出力特性を示すグラフ
【図12】 酸素濃度変動に対するNOx出力特性を示
すグラフ
【図13】 内側電極の面積率とNOx出力特性との関
係を示すグラフ
【図14】 ガス導入口のガス拡散抵抗とガス検知室内
の酸素濃度との関係を示すグラフ
【図15】 従来の混成電位型NOxセンサの断面図
【符号の説明】
(1)・・窒素酸化物ガスセンサ、 (1a)・・センサ構造
体、 (2)・・酸素イオン透過層、 (3)・・上壁、
(5)・・ダクト、 (6)・・ガス検知室、 (7)・・外側
電極、 (8)・・内側電極、 (9)・・検知電極、 (10)
・・底壁、 (13)・・開口部、 (14)・・付加電極、
(15)・・ヒータ基板、
フロントページの続き (72)発明者 高 云智 埼玉県熊谷市末広四丁目14番1号 株式会 社リケン熊谷事業所内 Fターム(参考) 2G004 BB04 BD15 BE22 BE27 BK06 BL08 BM04

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素イオン伝導性を有する固体電解質に
    より形成された酸素イオン透過層と、測定ガス雰囲気に
    通ずるガス導入口が設けられたガス検知室と、酸素イオ
    ン透過層と同一のイオン伝導体により連続しているガス
    検知室内の底壁と、酸素イオン透過層を介してガス検知
    室の反対側に形成されかつ大気に通じるダクトと、ダク
    ト内で酸素イオン透過層に形成された酸素に活性な外側
    電極と、ガス検知室内で酸素イオン透過層に形成されか
    つ酸素とNOxに活性な内側電極と、内側電極と対面し
    てガス検知室内の底壁に設置されかつ酸素及びNOxに
    対して活性な検知電極とを備え、 カソード電極である外側電極及びアノード電極である内
    側電極間に電圧を印加して、酸素イオン透過層を介して
    ダクトからガス検知室内に供給される酸素により測定ガ
    ス中に含まれるNOxガス中のNOを酸化させてNO2
    単一ガスとし又はガス検知室内の還元性ガスを酸化させ
    て、 検知電極と外側電極との間に生じる電位差を測定して、
    測定ガス中の総NOx濃度を検知することを特徴とする
    窒素酸化物ガスセンサ。
  2. 【請求項2】 外側電極と内側電極との間で一定の電流
    を流して、測定ガス中の総NOx濃度を検知する請求項
    1に記載の窒素酸化物ガスセンサ。
  3. 【請求項3】 ガス導入口が、ガス検知室内の酸素濃度
    を0.1vol%以上に維持するガス拡散抵抗を有する請求
    項1又は2に記載の窒素酸化物ガスセンサ。
  4. 【請求項4】 ガス検知室の内部に配置した多孔質体に
    よりガス検知室内の酸素濃度を0.1vol%以上に維持す
    る請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒素酸化物ガス
    センサ。
  5. 【請求項5】 酸素とNOxに活性な内側電極の面のう
    ち、検知電極と直接対向する面はNOxに対して活性で
    あり、検知電極と直接対向しない面はNOxに対して不
    活性でありかつ酸素に対して活性である請求項1〜4の
    いずれか1項に記載の窒素酸化物ガスセンサ。
  6. 【請求項6】 酸素イオン透過層に対向するガス検知室
    の内側電極設置面の面積に対する内側電極の占有比率は
    40%以上でありかつ酸素イオン透過層に対向する検知
    電極の面積は内側電極の面積より小さい請求項1〜5の
    いずれか1項に記載の窒素酸化物ガスセンサ。
  7. 【請求項7】 内側電極を設置したガス検知室内でガス
    導入口側から測定ガスの侵入方向の後方部に検知電極を
    配置した請求項1〜6のいずれか1項に記載の窒素酸化
    物ガスセンサ。
  8. 【請求項8】 測定ガス雰囲気に通じるガス導入口とそ
    れに連絡するガス検知室との間にガス拡散抵抗を制御す
    る内部ガス通路又は内部ガス空間が形成された請求項1
    〜7のいずれか1項に記載の窒素酸化物ガスセンサ。
  9. 【請求項9】 内部ガス通路、内部ガス空間又はガス検
    知室のいずれかに酸化触媒層、酸化触媒体又は酸化触媒
    担持体を配置した請求項8に記載の窒素酸化物ガスセン
    サ。
  10. 【請求項10】 検知電極が、NiCr24、MgCr
    24、FeCr24、Cr23から選択されたクロム酸
    化物を主成分とした材料又はPt−Rh合金、Ir−R
    h合金、PtとRh酸化物との混相からなる電極である
    請求項1〜9のいずれか1項に記載の窒素酸化物ガスセ
    ンサ。
  11. 【請求項11】 内側電極のNOxに活性な面が、Pt
    −Rh合金、Ir−Rh合金、Pt−Ru合金の少なく
    とも一つを主成分とする層からなる請求項1に記載の窒
    素酸化物ガスセンサ。
  12. 【請求項12】 酸素に活性でかつNOxに不活性な付
    加電極が、酸素イオン透過層と同一のイオン伝導体によ
    り連続している底壁の測定ガス雰囲気中に直接曝される
    底壁の裏面又はガス導入口に連絡するガス検知室内の底
    壁の表面に固定され、付加電極と外側電極との間の酸素
    濃度差に起因する起電力を測定して測定ガス中又は検知
    ガス中の酸素濃度を検知する請求項1に記載の窒素酸化
    物ガスセンサ。
  13. 【請求項13】 酸素濃度差に基づき外側電極と付加電
    極との間の起電力を検出して、検知電極と外側電極との
    間に生じる電位差出力を補正し、測定雰囲気中の総NO
    x濃度を検知する請求項12に記載の窒素酸化物ガスセ
    ンサ。
  14. 【請求項14】 外側電極と内側電極間に所定の電圧を
    印加したときに、酸素イオンが酸素イオン透過層を通じ
    てダクトからガス検知室に流れ、ダクトは酸素導入に対
    するガス拡散抵抗を付与して、外側電極と内側電極間に
    流れる酸素イオン電流が限界電流を生じたガス拡散律速
    状態においてNOx濃度を検知する請求項1又は12に
    記載の窒素酸化物ガスセンサ。
  15. 【請求項15】 底壁又は上壁とヒータを埋設したヒー
    タ基板とが一体に形成された請求項1又は12に記載の
    窒素酸化物ガスセンサ。
  16. 【請求項16】 底壁及び上壁とヒータを埋設したヒー
    タ基板とが一体に形成されかつ一方のヒータのリードが
    並列に接続され、単一電源により同時に駆動される請求
    項1又は12に記載の窒素酸化物ガスセンサ。
  17. 【請求項17】 外側電極と内側電極の間に交流電圧を
    同時に印加し、外側電極と内側電極間に存在する固体電
    解質体のインピーダンスを測定し、これをもって温度セ
    ンサとなし、その出力をヒータ制御回路にフィードバッ
    クすることにより、前記温度センサの温度制御を行う請
    求項15又は16に記載の窒素酸化物ガスセンサ。
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