JPH1182676A - 車両用変速機の変速制御装置 - Google Patents

車両用変速機の変速制御装置

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JPH1182676A
JPH1182676A JP24566297A JP24566297A JPH1182676A JP H1182676 A JPH1182676 A JP H1182676A JP 24566297 A JP24566297 A JP 24566297A JP 24566297 A JP24566297 A JP 24566297A JP H1182676 A JPH1182676 A JP H1182676A
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JP
Japan
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swash plate
vehicle
hydraulic pump
speed
hydraulic motor
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Withdrawn
Application number
JP24566297A
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English (en)
Inventor
Kenji Kinoue
憲嗣 紀ノ上
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Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両の急減速時に、エンジンブレーキの確保
と、エンスト、ノッキングおよび再加速時の加速応答性
の低下の防止を図る車両用変速機の変速制御装置を提供
する。 【解決手段】 車両の急減速時に、液圧モータの斜板角
度を通常の1/3とし、液圧ポンプの斜板角度のストロ
ークを通常の1/3とする。これにより、液圧モータの
斜板の応答性が向上し、車両の急減速時における液圧ポ
ンプの斜板のストロークの変化が車速の変化に追従可能
となり、応答遅れに起因するエンスト等のトラブルの防
止、再加速時の応答遅れの防止を図ることが可能とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗用車、トラック
その他走行車両に搭載される車両用変速機の変速制御装
置に関し、より特定的には、ハイドロメカニカルトラン
スミッション(Hydro Mechanical Transmisson:以下
「HMT」という)といわれる無段変速機を備えた車両
用変速機の変速制御装置に関する。このHMTは、流体
の静圧エネルギを利用するハイドロスタティックトラン
スミッション(Hydro Static Transmisson:以下「HS
T」という)と、機械式トランスミッション(Mechanic
al Transmisson:以下「MT」という)とを、遊星歯車
機構を介在して組合せることにより、無段階で連続した
変速を行なうようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の無段変速機として
は、米国特許第4,341,131号公報、もしくは、
特開昭54−35560号公報により提案されたものが
知られている。これらの公報に開示された無段変速機
は、MTとHSTとが結合され、内部に設けられた遊星
歯車機構の各歯車比の関係を特定条件に設定し、かつ、
3つの運転モード(第1モード、第2モードおよび第3
モード)にわけて運転する場合の各モード切換の際に、
HST内に設けられる液圧ポンプの斜板角度を変化させ
ることにより変速制御を行なっている。
【0003】一般的に、HMTにおいては、HSTの液
圧ポンプの可変斜板がHMTの変速比に応じて3つの運
転モードに分けて変更制御され、これにより、たとえば
エンジンなどの駆動源からHMTの入力軸に入力される
一定回転数の回転が、HMTの出力軸に対し回転数を無
段階かつ連続的に変化させて伝達されるようにシステム
が設計されている。なお、HMTの変速比とは、出力軸
回転数(No)/入力軸回転数(Na)を意味する。
【0004】つまり、第1モード、第2モードおよび第
3モードの3つの各運転モードにおいて、液圧ポンプお
よび液圧モータの容量制御を行なうことにより、HMT
の変速比が無段階かつ連続的に変化するように制御され
ている。
【0005】さらに、近年においては、低変速比域での
効率向上を図ることにより、無段変速機全体の変速効率
の向上を図るとともに、液圧ポンプの容量低減化と無負
荷損失の低減により、無段変速機全体の小型化、軽量化
および低負荷時の効率向上を図るため、全変速比領域を
4つのモードに分けて運転が可能な無段変速機が開発さ
れている。
【0006】以下、この4つのモードに分けて運転が可
能なHMT(2)の構造について、図5を参照して説明
する。
【0007】[HMTの構成]このHMT(2)は、エ
ンジン(図示省略)からの回転入力を受ける入力軸(2
1)と、駆動輪(図示省略)側に接続された出力軸(2
2)と、入力軸(21)と出力軸(22)との間に介在
して設けられたMT(4)と、このMT(4)に対し並
列に配設され、入力側が入力軸(21)に、また出力側
がMT(4)を介在して出力軸(22)にそれぞれ接続
された静液圧式トランスミッションとしてのHST
(5)とを備えている。
【0008】さらに、HMT(2)は、エンジン(図示
省略)からの入力回転を減速するための第3遊星歯車機
構(23)と、この第3遊星歯車機構(23)により減
速された回転をMT(4)に伝えるための変速クラッチ
としての第4クラッチ機構(24)と、第3遊星歯車機
構(23)に入力された入力回転をそのままMT(4)
に伝えるための変速クラッチとしての第5クラッチ機構
(25)とを備えている。
【0009】[MTの構成]MT(4)は、第1遊星歯
車機構(41)と、第2遊星歯車機構(42)と、入力
軸(21)および出力軸(22)と同軸に配設された中
間軸(43)と、第1および第2遊星歯車機構(41,
42)の作動条件を切換えるための変速クラッチとして
の第1〜第3の3つのクラッチ機構(44,45,4
6)とを備えており、このMT(4)の入力側に第4お
よび第5クラッチ機構(24,25)と第3遊星歯車機
構(23)とが付設されている。以下、各機構について
詳細に説明する。
【0010】第1遊星歯車機構(41)は、第1太陽歯
車(41a)と、この第1太陽歯車(41a)に噛み合
う第1遊星歯車(41b)と、この第1遊星歯車(41
b)に噛み合う第1内歯歯車(41c)と、第1遊星歯
車(41b)を保持する第1キャリア(41d)とを備
えている。
【0011】また、第2遊星歯車機構(42)は、中間
軸(43)に形成された第2太陽歯車(42a)と、こ
の第2太陽歯車(42a)に噛み合う第2遊星歯車(4
2b)と、この第2遊星歯車(42b)に噛み合う第2
内歯歯車(42c)と、第2遊星歯車(42b)を保持
する第2キャリア(42d)とを備えている。
【0012】第1太陽歯車(41a)は、出力軸(2
2)に対し相対回転可能に外挿された管状の接続軸(4
1e)を介在して歯車(41f)と一体的に形成されて
おり、この歯車(41f)と後述の歯車(56)とを介
して液圧モータ(52)のモータ軸(52a)に接続さ
れている。
【0013】第1キャリア(41d)は、管状部材(4
7)に取付けられており、この管状部材(47)の内周
面には、第2内歯歯車(42c)が形成され、これによ
り、第1キャリア(41d)と第2内歯歯車(42c)
とが互いに同期して回転する。
【0014】第1内歯歯車(41c)は顎状部材(41
g)の外周側に形成され、この顎状部材(41g)には
第2キャリア(42d)が取付けられている。この顎状
部材(41g)は出力軸(22)に一体的に取付けられ
ており、これによって、第2キャリア(42d)は第1
内歯歯車(41c)と同期して回転し、かつ、第1内歯
歯車(41c)および第2キャリア(42d)が出力軸
(22)と結合されるように構成されている。
【0015】第1クラッチ機構(44)は、管状部材
(47)の周囲に取付けられた複数のクラッチプレート
(44a,44a,…)と、この各クラッチプレート
(44a)を間に挟む複数のプレッシャプレート(44
b,44b,…)とを備えている。各プレッシャプレー
ト(44b)は、HMT(2)のケーシング(図示省
略)である非回転部(26)に相対回転が阻止された状
態で固定されており、これにより、第1クラッチ機構
(44)はこれを接続状態にして管状部材(47)にブ
レーキ力を付与することで、第1キャリア(41d)と
第2内歯歯車(42c)とを非回転部(26)に対して
断続切換可能に連結するようになっている。
【0016】第2クラッチ機構(45)は、中間軸(4
3)の周囲に取付けられた複数のクラッチプレート(4
5a,45a,…)と、筒状部材(48)の内周面に取
付けられた複数のプレッシャプレート(45b,45
b,…)とを備えている。筒状部材(48)は、第4ク
ラッチ機構(24)の断続切換により第3遊星歯車機構
(23)を介在して入力軸(21)と連結可能になって
おり、これにより、第2クラッチ機構(45)は第2太
陽歯車(42a)に対し接続状態の第4クラッチ機構
(24)から入力する回転を断続切換可能に伝達する。
【0017】第3クラッチ機構(46)は、管状部材
(47)の周囲に取付けられた複数のクラッチプレート
(46a,46a,…)と、筒状部材(48)の内周面
に設けられたプレッシャプレート(46b,46b,
…)とを備えたものであり、これにより、第1キャリア
(41d)と第2内歯歯車(42c)とに対し接続状態
の第4クラッチ機構(24)から入力する回転を断続切
換可能に伝達する。
【0018】第3遊星歯車機構(23)は、入力軸(2
1)に対し後述の歯車(49)と並設して固定された第
3太陽歯車(23a)と、この第3太陽歯車(23a)
と噛み合う第3遊星歯車(23b)と、この第3遊星歯
車(23b)と噛み合いかつケーシングである非回転部
(27)に相対回転が阻止された状態で固定された第3
内歯歯車(23c)と、第3遊星歯車(23b)を保持
する第3キャリア(23d)とを備えている。
【0019】第3遊星歯車機構(23)の各歯車(23
a,23b,23c)は、第3太陽歯車(23a)に入
力する入力軸(21)の入力回転を後述のごとく所定の
減速比で減速して第3キャリア(23d)を回転させる
ように歯数設定がなされている。
【0020】第4クラッチ機構(24)は、第3キャリ
ア(23d)の外周囲に取付けられた複数のクラッチプ
レート(24a,24a,…)と、筒状部材(48)の
内周面に設けられた複数のプレッシャプレート(24
b,24b,…)とを備え、接続状態にされることによ
り第2および第3クラッチ機構(45,46)の入力端
側である筒状部材(48)に対し第3遊星歯車機構(2
3)により減速された回転を伝達するようになってい
る。
【0021】第5クラッチ機構(25)は、入力軸(2
1)の先端部に固定された管状部材(25a)と、この
管状部材(25a)の内周面に設けられた複数のプレッ
シャプレート(25b,25b,…)と、中間軸(4
3)の外周囲に設けられた複数のクラッチプレート(2
5c,25c,…)とを備え、接続状態にされることに
より中間軸(43)を介在して第2太陽歯車(42a)
と入力軸(21)とを直結して、この入力軸(21)の
回転を第2太陽歯車(42a)にそのまま伝達するよう
になっている。
【0022】上記構造よりなるMT(4)において、第
1および第2の両遊星歯車機構(41,42)の各要素
の歯車比と、第3遊星歯車機構(23)による減速比と
が以下の関係を有するように設定され、これにより、後
述の第1〜第4モードの4つの運転モードの切換前後で
実質的に連続した伝達比を与えるようになっている。
【0023】つまり、図6の遊星速度線図に示すよう
に、第1太陽歯車(41a)と第1内歯歯車(41c)
との間の歯車比をYとし、第2太陽歯車(42a)と第
2内歯歯車(42c)との間の歯車比をXとした場合
に、Y=X+1の関係が成立するように設定され、ま
た、第3遊星歯車機構(23)による減速比が、Y/
(2X+Y+2)で表わされる値になるように設定され
ている。
【0024】歯数比Xが略2に、歯数比Yが略3にそれ
ぞれ設定され、したがって、第3遊星歯車機構(23)
における減速比がほぼ1/3に設定されており、これに
より、エンジン(1)から回転数(Ni)の入力回転が
入力される場合には、第3遊星歯車機構(23)で減速
された回転の回転数Nirは、Nir=Ni/3の関係
を満たすようになる。なお、遊星速度線図は、横軸に第
1および第2の遊星歯車機構(41,42)の各要素の
歯車比を示し、また、縦軸にそれらの各要素のそれぞれ
の回転数を示したものである。
【0025】[HSTの構成]一方、HST(5)は、
再び図5を参照して、互いにほぼ同じ構成の1対の油圧
ユニット(51,52)が1対の連通管(53a,53
b)により接続されて閉回路(53)を構成しており、
エンジン(図示省略)からの回転力が入力される入力側
の油圧ユニット(51)を液圧ポンプと呼び、変速後の
回転力が出力される出力側の油圧ユニット(52)を液
圧モータと呼ぶものである。
【0026】液圧ポンプ(51)は、図示しないが、ス
プラインを介在してポンプ軸(51a)と一体に回転す
るシリンダブロックと、このシリンダブロック内にポン
プ軸(51a)を中心とする円周上の位置に列状に収容
された複数の往復動ピストンとを備え、これらのピスト
ンの往復動の工程を可変斜板(51b)により変更調整
する可変斜板式ピストンポンプである。
【0027】ポンプ軸(51a)に連結された歯車(5
4)が入力軸(21)の歯車(49)に噛み合わされて
おり、これにより、ポンプ軸(51a)にエンジン
(1)からの回転力が入力される。
【0028】可変斜板(51b)はその斜板角度が0°
になる中立位置を挟んで斜板角度が最大(たとえば、1
7°)になる正転側および逆転側の両方の最大傾斜位置
の間で傾動可能に構成され、コントローラ(図示省略)
からの作動信号を受けて作動する液圧ポンプ斜板角度変
更調整装置(55)により傾動されて斜板角度が増減変
更調整されるようになっている。この液圧ポンプ斜板角
度変更調整装置(55)はたとえば圧油により作動され
るアクチュエータにより構成されており、コントローラ
(図示省略)からの作動信号を受けて図示しない制御用
補助ポンプからの作動油圧が導入され、これにより、可
変斜板(51b)を傾動させるようになっている。
【0029】液圧ポンプ(51)は、ポンプ軸(51
a)がエンジンからの入力によって回転駆動されること
により、各ピストンが、シリンダブロックとともにポン
プ軸(51a)のまわりに回転されるとともに、可変斜
板(51b)の傾斜角度に略比例する工程を往復動され
るように構成されており、このピストンの往復動により
斜板角度に応じた流量の作動油を吐出して一方の連通管
(53aまたは53b)を介在して液圧モータ(52)
側に供給するようになっている。
【0030】液圧モータ(52)は、図示しないが、ス
プラインを介してモータ軸(52a)と一体に回転する
シリンダブロックと、このシリンダブロック内にモータ
軸(52a)を中心とする円周上位置に列状に収容され
た複数の往復動ピストンとを備え、これらのピストンの
往復動の工程を斜板(52b)により調整する斜板ピス
トンモータである。各ピストンが液圧ポンプ(51)側
から供給される作動油を受けて斜板(52b)を押すこ
とにより、シリンダブロックが作動油の供給流量に応じ
た回転数で回転され、この回転がモータ軸(52a)に
出力される。
【0031】このモータ軸(52a)に連結された歯車
(56)が、第1太陽歯車(41a)と一体の接続軸
(41e)に結合された歯車(41f)と噛み合わされ
ており、これによって、モータ軸(52a)からの出力
回転が第1太陽歯車(41a)に伝達されるようにな
る。
【0032】液圧モータ(52)の斜板(52b)は、
コントローラ(3)からの作動信号を受けて作動する液
圧モータ斜板角度変更装置(57)により傾動されるよ
うになっており、これにより、液圧モータ(52)の斜
板角度が、第1〜第3モードおよび第4モード低速側に
おいては最大傾斜角度(17°)にされる一方、第4モ
ードの高速側においては最小斜板角度(6°)にされ
る。液圧モータ斜板角度変更装置(57)は、たとえば
圧油により作動されるアクチュエータにより構成されて
おり、コントローラ(図示省略)からの作動信号を受け
て図示しない制御用補助ポンプからの作動液圧を導入さ
れ、これにより、斜板(52b)を最大傾斜角度(17
°)または最小傾斜角度(6°)に切換作動させるよう
になっている。
【0033】上記構成により、HST(5)において
は、車両の加速時において、液圧ポンプ(51)から吐
出された作動油が一方の連通管(53aまたは53b)
を流通して液圧モータ(52)に供給され、この液圧モ
ータ(52)を回転作動させた後に他方の連通管(53
bまたは53a)を流通して液圧ポンプ(51)に還流
されて閉回路(53)内を循環するようになっている。
【0034】また、車両の減速時においては、液圧モー
タ(52)が車両の走行慣性力により出力軸側から回転
駆動されてポンプ作動するようになり、このポンプ作動
する液圧モータ(52)から吐出された作動油が他方の
連通管(53bまたは53a)内を流通して液圧ポンプ
(51)に供給され、この液圧ポンプ(51)をモータ
作動させるようになっている。
【0035】[MTおよびHSTの変速作動]MT
(4)およびHST(5)は、コントローラ(図示省
略)の作動制御により、HMT(2)の変速比に応じて
第1から第4モードの4つの運転モードに分けて、すな
わち、発進から低変速比域(低速域)の第1モードと、
中低変速比域(中低速域)の第2モードと、中高変速比
域(中高速域)の第3モードと、高変速比域(高速域)
の第4モードとの4つの運転モードに分けて作動される
ように構成されている。
【0036】ここで、第1〜第4モードの4つの運転モ
ードにおけるHMT(2)の変速比の変化の様子を、図
7に示す。この図7には、第1〜第4の4つの運転モー
ドにおけるMT(4)の各クラッチ機構(44,45,
…)の接続状態が示されている。
【0037】また、エンジンからある一定の回転数(た
とえば1800rpm)が入力されて車両が加速される
場合について、液圧ポンプ(51)の可変斜板(51
b)の斜板角度とHMT(2)の変速比との関係が示さ
れており、さらに、この場合の入力軸(21)および出
力軸(22)の回転数とHMT(2)の変速比との関係
が示されている。なお、同図において、S1,S2およ
びR2は、それぞれ第1太陽歯車(41a)、第2太陽
歯車(42a)および第2内歯歯車(42c)の回転数
を示している。
【0038】(第1モード)第1モードでは、MT
(4)の第1クラッチ機構(44)および第4クラッチ
機構(24)のみが接続状態にされることにより、入力
軸(21)からの入力回転はHST(5)側にのみ伝達
されるようになり、出力軸(22)はHST(5)から
の伝達力のみによって回転される。
【0039】すなわち、この第1モードにおける前進側
の変速範囲では、HST(5)の液圧モータ(52)の
斜板(52b)が正転側[(+)の側]における斜板角
度17°の最大傾斜位置に固定される一方、液圧ポンプ
(51)の可変斜板(51b)が斜板角度0°の中立位
置から逆転側[(−)の側]における斜板角度17°の
最大傾斜位置まで(−)方向に徐々に傾動されるように
なっており、この斜板角度の変更に応じて液圧モータ
(52)の出力回転数が無段階に変更されて、出力軸
(22)の出力回転数が前進側に無段階に増大される。
【0040】ここで、この第4クラッチ機構(24)を
接続状態にしているのは、第1モードから第2モードへ
の切換時点で、第2クラッチ(45)が接続する、中間
軸(43)と筒状部材(48)の回転を同調しておくた
めである。したがって、第4クラッチ機構(24)は、
第1モードにおいては回転力の伝達はしていない。
【0041】(第2モード)第2モードでは、第2クラ
ッチ機構(45)および第4クラッチ機構(24)のみ
が接続状態にされ、これにより、入力軸(21)からの
回転入力はHST(5)に対し入力回転がそのまま伝達
される一方、中間軸(43)に対し第3遊星歯車機構
(23)で減速された回転が、第4クラッチ機構(2
4)および第2クラッチ機構(45)を介在して伝達さ
れるようになる。
【0042】出力軸(22)は第2遊星歯車機構(4
2)を介在した中間軸(43)からの伝達力と、第1遊
星歯車機構(41)を介在したHST(5)からの伝達
力との合成によって回転される。
【0043】すなわち、この第2モードにおける変速範
囲では、HST(5)の液圧モータ(52)の斜板(5
2b)が最大傾斜位置に固定される一方、液圧ポンプ
(51)の可変斜板(51b)が、逆転側[(−)の
側]における最大傾斜位置から正転側[(+)の側]に
おける最大傾斜位置まで(+)方向に徐々に傾動される
ようになっている。
【0044】この斜板角度の(+)方向への増大に応じ
て液圧モータ(52)の出力回転数が無段階に変更され
ることにより、第1遊星歯車機構(41)を介在したH
ST(5)からの回転が無段階に増大されて出力軸(2
2)の出力回転数が前進側に無段階に増大される。
【0045】(第3モード)第3モードでは、第3クラ
ッチ機構(46)および第4クラッチ機構(24)のみ
が接続状態にされ、これにより、入力軸(21)からの
回転入力はHST(5)に対し入力回転がそのまま伝達
される一方、管状部材(47)に対し第3遊星歯車機構
(23)で減速された回転が、第4クラッチ機構(2
4)および第3クラッチ機構(46)を介在して伝達さ
れるようになる。
【0046】第1モードと同様、HST(5)の液圧モ
ータ(52)の斜板(52b)が最大傾斜位置に固定さ
れる一方、液圧ポンプ(51)の可変斜板(51b)の
斜板角度が(−)方向へ漸減され、これにより液圧モー
タ(52)の出力回転数が無段階に変更される。
【0047】HST(5)から第1遊星歯車機構(4
1)を介在して伝達される回転と管状部材(47)から
伝達される回転との合成により、出力軸(22)の出力
回転数が前進側に無段階に増大される。
【0048】(第4モード)第4モードでは、第3クラ
ッチ機構(46)および第5クラッチ機構(25)のみ
が接続状態にされ、これにより、入力軸(21)からの
回転入力はHST(5)に対し入力回転がそのまま伝達
される一方、中間軸(43)に対し入力回転がそのまま
伝達されて第2太陽歯車(42a)に伝達されるように
なる。
【0049】出力軸(21)は、第2遊星歯車機構(4
2)の第2キャリア(42d)からの伝達力と、第1遊
星歯車機構(41)の第1太陽歯車(41a)を介在し
たHST(5)からの伝達力の剛性力によって回転され
る。
【0050】ここで、第3クラッチ機構(46)を接続
状態にしているのは、第4モード最高速域でロックアッ
プ運転に移行する時点で第2クラッチ機構(45)が接
続する、中間軸(43)と筒状部材(48)の回転を同
調しておくためである。したがって、第3クラッチ機構
(46)は、第4モードにおいては回転力の伝達はして
いない。
【0051】また、第4モードにおいては、以下の増速
手段が用いられる。これは、第4モードの低変速比側の
変速範囲では、HST(5)の液圧モータ(52)の斜
板(52b)が最大傾斜位置に固定される一方、液圧ポ
ンプ(51)の可変斜板(51b)の斜板角度が0°ま
で(+)方向に漸増される。これにより、液圧モータ
(52)の出力回転数が無段階に変更されるように制御
される。
【0052】一方、第4モードにおける高変速比側の変
速範囲では、各モードとは異なり、液圧モータ斜板角度
変更機構(57)の作動により液圧モータ(52)の斜
板(52b)が最小傾斜位置に切換えられて、斜板角度
が最大傾斜角度のほぼ1/3とされる一方、液圧ポンプ
(51)の可変斜板(51b)の斜板角度が各モードの
ほぼ1/3の割合で徐々に漸増されて最大傾斜角度に至
るように制御される。これにより、液圧モータ52の出
力回転数が各モードと同様の割合で無段階に変更される
ようになっている。液圧モータ(52)の出力回転数の
変更に応じて出力軸(22)の出力回転数が前進側に無
段階に増大される。
【0053】さらに、第1〜第4の各運転モードの切換
前後で、第1〜第5の各クラッチ機構(44,45,4
6,24,25)の切換作動の際に係合および離合され
る両クラッチ機構のクラッチプレート(44a,45
a,46a,24a,25c)とプレッシャプレート
(44b,45b,46b,24b,25b)とがそれ
ぞれ同じ回転数で同調して切換前後で連続した変速比で
回転伝達されるようになっており、これにより、HMT
(2)の変速比は、第1〜第4モードのすべての変速範
囲において無段階かつ連続的に変更されるようになる。
【0054】また、係合および離合される両クラッチ機
構においては、図8に示すように、まず係合される側の
クラッチ機構(クラッチ2)をクラッチオン指令により
係合させ(同図に実線で示す)、続いて離合される側の
クラッチ機構(クラッチ1)をクラッチオフ指令により
離合させる(同図に破線で示す)ようにしており、これ
により、運転モード切換の際にも動力伝達が継続される
ようになる。
【0055】なお、第1モードにおける前進側の変速範
囲は、図6の遊星速度線図における矢印M1の範囲に、
第2モードの変速範囲は同図の矢印M2の範囲に、また
第3モードの変速範囲は同図の矢印M3の範囲に、さら
に、第4モードの変速範囲は同図の矢印M4の範囲にそ
れぞれ対応している。
【0056】一方、第4モードの高変速比域(高速域)
から制動を行なう場合は、図7に示す斜板角度の変更を
第4モード側から第1モード側へ、つまり駆動の場合と
は逆の制御をコントローラを用いて行なう。この場合、
車速の変化、液圧ポンプ(51)の可変斜板(51b)
の斜板角度(θp)の変化および液圧モータ(52)の
斜板(52b)の斜板角度(θm)の変化は、横軸に時
間の経過をとった場合、図9に示すように、可変斜板
(51b)の斜板角度(θp)の変化に応じて、徐々に
車速が減少することになる。
【0057】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た車両用変速機の変速制御装置においては、車両の急減
速時にその車速の急速な変化に斜板角度の増減変更がつ
いていけなくなり、変速比の変更が車速の低下に追従し
きれないという問題がある。特に、車両の運転効率の向
上のために4モードまたはそれ以上の運転モードを有す
るようにしたHMTにおいては、車速の低下に対する変
速比の追従遅れが著しい。
【0058】すなわち、図9に示すように、高変速比域
の第4モードから低変速比域の第1モードまでの間で、
液圧ポンプ(51)の可変斜板(51b)を1.75往
復作動させる必要がある。
【0059】また、可変斜板(51b)の往復にある程
度の時間を必要とすることから、車両の急減速の開始時
から急減速の終了時までの間、車速の低下に対し変速比
の変更が徐々に遅れ、エンジン回転数が低下してしま
う。この結果、エンジンブレーキの効きが悪くなり、ノ
ッキングの発生やエンジンストール(エンスト)の恐れ
もある。
【0060】さらに、車両の急減速の終了時には、エン
ジン回転数が大幅に低下してしまうため、車両の再加速
に必要な所要トルクが十分に得ることができない。この
ため、HMTの変速比の変更が車速の低下に追いつき、
エンジン回転数が高くなり、所望のトルクが得られるよ
うになるまでの間は、車両を良好に加速することができ
ない。つまり、車両の加速応答性が悪くなるという不具
合がある。
【0061】そこで、発明者らは、上記不具合を解決す
るために、図10に示すように、車両速度が運転者のブ
レーキ操作により急減速した場合、第4モードの低変速
比側の変速範囲から液圧ポンプ(51)の可変斜板(5
1b)の斜板角度(θp)を0°に保ったままモードだ
けを変更することにより、車両の急減速の終了時にHM
Tの変速比が車両の車速の低下に遅れることなく小さく
する技術を開発した。
【0062】また、エンジン回転数がエンジンブレーキ
の効きが高い比較的高めの回転数となるポイントにおい
て、可変斜板(51b)の傾斜を開始することにより、
車両の再加速に必要な所要トルクを直ちに出力し得る状
態となり、車両は急減速後に直ちに再加速し得る状態に
なる。したがって、車両の急減速後の再加速時における
加速応答性の低下を防止することが可能となる。
【0063】なお、図10に示すHMTの制御において
は、図11に示すように、遮断状態になる側の第5クラ
ッチ機構(25)(同図のクラッチ1)および接続状態
になる側の第4クラッチ機構(24)(同図のクラッチ
2)に同時にクラッチ2オン指令およびクラッチ1オフ
指令が出力され、クラッチ1およびクラッチ2の切換が
行なわれる。
【0064】また、図10に示すHMTの制動制御を行
なった場合、車速の変化、液圧ポンプ(51)の可変斜
板(51b)の斜板角度(θp)の変化および液圧モー
タ(52)の斜板(52b)の斜板角度(θm)の変化
を、横軸に時間の経過をとった場合について図12に示
す。図9に示した車速の変化と比較した場合、図12に
示す方が、より速く車速が低減し、車両の急減速に対応
して、モードの切換が行なわれていることがわかる。
【0065】しかしながら、上述した斜板角度の制御に
おいても、モードの飛び越し時に、伝達トルクの断絶
や、クラッチの滑りが発生し、車両の安定走行性が損な
われるという問題が生じてしまう。
【0066】したがって、この発明は問題点を解決する
ためになされたもので、HSTに用いられる補助ポンプ
の容量を上げることなく、つまり、HMT効率に悪影響
を与えることなく車両の急減速に対する応答性を上げる
とともに、応答遅れに起因するエンジンストールなどの
トラブルを防止し、再加速時の応答遅れの防止を図るこ
とのできる車両用変速機の変速制御装置を提供すること
にある。
【0067】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明においては、入力軸(21)
と、出力軸(22)と、上記入力軸(21)と上記出力
軸(22)との間に設けられ、複数の変速クラッチ機構
(44,45,46,…)および複数の遊星歯車機構
(41,42)を備える機械式トランスミッション
(4)と、上記入力軸(21)と上記出力軸(22)と
の間において上記機械式トランスミッション(4)に対
して並列に設けられ、上記入力軸(21)側に連結され
る液圧ポンプ(51)および上記出力軸(22)側に連
結される液圧モータ(52)を有し、上記液圧ポンプ
(51)および上記液圧モータ(52)の少なくとも一
方を斜板角度の増減変更により容量可変に構成した静液
圧トランスミッション(5)とを有する無段変速機を備
え、上記液圧ポンプ(51)は、液圧ポンプ斜板角度調
整装置(55)を有し、上記液圧モータ(52)は、液
圧モータ斜板角度調整装置(57)を有し、駆動時の高
変速比域において、上記液圧ポンプ(51)の回転数よ
りも上記液圧モータ(52)の回転数の方が大きくなる
ように、上記液圧ポンプ(51)の斜板(51b)の最
大傾斜角度よりも上記液圧モータ(52)の斜板(52
b)の傾斜角度の方が小さくなるように、上記液圧ポン
プ傾斜角度調整装置(55)および液圧モータ斜板角度
調整装置(57)を制御する増速手段を含む、変速制御
装置であって、車両の急減速状態を判定する急減速判定
手段(32)と、上記急減速判定手段(32)により車
両の急減速状態が判定されたとき、急減速の全領域にお
いて、上記液圧ポンプ(51)の斜板(51b)および
上記液圧モータ(52)の斜板(52b)の傾斜角度
が、上記液圧ポンプ(51)の斜板(51b)の最大傾
斜角度よりも小さく、かつ、上記液圧ポンプ(51)の
斜板(51b)の傾斜角度が、上記液圧モータ(52)
の斜板(52b)の傾斜角度よりも小さな範囲で制御さ
れるように上記液圧ポンプ斜板角度調整装置(55)お
よび上記液圧モータ斜板角度調整装置(57)を制御す
る急減速時傾斜角度制御手段(33)とを備えている。
【0068】この変速制御装置によれば、車両が急減速
した場合、液圧ポンプ(51)の斜板角度および液圧モ
ータ(52)の斜板角度のそれぞれの傾斜角度が小さく
なり、液圧ポンプ(51)の斜板のストロークを小さく
することが可能となる。これにより、HMTに用いられ
る制御用の補助ポンプの容量を変えることなく、応答速
度を上げることが可能になる。その結果、HMT効率に
悪影響を与えることなく、急減速に対する応答性を向上
することが可能となり、上述した課題で述べたような、
応答遅れに起因するエンスト等のトラブルの防止、再加
速時の応答遅れの防止を図ることができる。さらに、ト
ルクの断絶やクラッチの滑りを発生しないままで、急速
な減速に対応できるため、トルクの断続による走行不安
定性の抑制や、クラッチ接合時の衝撃の抑制が可能とな
る。
【0069】次に、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の発明において、上記車両の運転者のブレーキ操
作量を検出するブレーキ操作量検出手段(13)をさら
に備え、上記急減速時制御手段(33)は、上記ブレー
キ操作量検出手段(13)により検出されたブレーキ操
作量が設定量以上であるときに上記車両の急減速状態を
判定するように構成されている。
【0070】この構成によれば、ブレーキ操作量検出手
段(13)により検出された運転者のブレーキ操作量が
設定量以上であるときには、車両に大きな制動力が作用
していると判別できるため、その場合に、車両の急減速
状態を判定する。したがって、車両の急減速状態の判定
が容易になり、上述した請求項1に記載の作用効果を効
率よく実施させることが可能となる。
【0071】次に、請求項3に記載の発明は、請求項1
に記載の発明において、エンジンの回転数を検出するエ
ンジン回転数検出手段(14)を備え、上記急減速判定
手段(32)は、上記エンジン回転数検出手段(14)
により検出されたエンジン回転数が設定回転数以下であ
るときに車両の急減速を判定するように構成されてい
る。
【0072】この構成によれば、車両が実際に急減速さ
れて、車速の低下に変速比の変更が追従し切れない場合
には、エンジン回転数検出手段(14)によって検出さ
れるエンジン回転数が車速の低下に伴い低下するとみな
し、このエンジン回転数の設定回転数以下への低下に基
づいて車両の急減速状態が判定される。これによって
も、請求項2に記載の発明と同様の作用効果を得ること
ができる。
【0073】次に、請求項4に記載の発明は、請求項1
に記載の発明において、上記急減速判定手段(32)に
より車両の急減速状態が判定されたとき、上記液圧ポン
プ(51)の斜板(51b)の傾斜角度、および、上記
液圧モータ(52)の斜板(52b)の斜板角度が、前
記液圧ポンプ(51)の斜板(51b)の最大傾斜角度
の1/3となるように構成されている。
【0074】この構成によれば、車両の急減速状態にお
いては、液圧ポンプ(51)の斜板のストロークが通常
の1/3で済むため、HSTに用いられる制御用補助ポ
ンプの容量を変えることなく、応答速度を3倍に上げる
ことが可能となり、請求項1によって得られる作用効果
を効率よく得ることが可能となる。
【0075】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態におけ
る車両用変速機の変速制御装置について、図を参照しな
がら説明する。なお、本実施の形態におけるHMTを備
える無段変速機の構造は、従来技術において説明した、
図5に示す無段変速機の構造と同一であるため、ここで
の説明は省略し、本願発明の特徴である変速制御装置に
ついて、以下詳細に説明する。
【0076】本実施の形態における変速制御装置によれ
ば、図1および図5を参照して、エンジン(1)からの
入力軸(21)の回転がHMT(2)に伝達され、HM
T(2)によって所定の回転数に設定された出力軸(2
2)には、駆動輪(11,11)が連結されている。
【0077】HMT(2)を制御するためのコントロー
ラ(3)が設けられ、このコントローラ(3)には、運
転者によるアクセル操作量を検出するためのアクセル操
作量センサ(12)および運転者によるブレーキ操作量
を検出するためのブレーキ操作量センサ(13)からの
信号が入力されるようになっている。このコントローラ
(3)は、アクセル操作量センサ(12)、ブレーキ操
作量センサ(13)、入力回転数センサ(14)および
出力回転数センサ(15)からの入力信号に基づいて、
エンジン(1)の運転制御およびHMT(2)の変速制
御を行なうものである。
【0078】具体的には、コントローラ(3)は、基本
制御部(31)と、急減速判定手段としての急減速判定
部(32)と、急減速判定部(32)から得られた信号
に基づいて、液圧ポンプ(51)の斜板(51b)およ
び液圧モータ(52)の斜板(52b)の傾斜角度を制
御するための急減速時斜板角度制御部(33)とを備え
ている。
【0079】基本制御部(31)は、車両の加速時には
エンジン(1)を所定の回転数で低速運転させるととも
に、アクセル操作量センサ(12)により検出された運
転者のアクセル操作量に応じてHMT(2)の変速比を
増減変更させることにより、車両を運転者の速度要求に
対応する走行速度になるよう加速させるものである。
【0080】また、アクセル操作量センサ(12)また
はブレーキ操作量センサ(13)により検出された運転
者のアクセル操作量またはブレーキ操作量に基づいて車
両の減速が判定されたときには、上記エンジン(1)に
付設させた図示省略の排気ブレーキ装置を作動させると
ともに、エンジン回転数を高いエンジンブレーキ効果が
得られる所定の回転数に保つために、車両の走行速度の
低下に応じてHMT(2)の変速比を徐々に変更するよ
うになっている。
【0081】急減速判定部(32)は、ブレーキ操作量
センサ(13)および入力回転数センサ(14)からの
入力信号を受け、運転者によるブレーキ踏込み量と入力
軸(21)の回転数(すなわちエンジン回転数)とに基
づいて車両の急減速を判定するように構成されている。
具体的には、ブレーキ操作量センサ(13)により検出
されたブレーキ操作量が設定量以上であるときに車両の
急減速状態を判定したり、エンジン(1)の回転数を検
出する入力回転数センサ(14)により検出されたエン
ジン回転数が設定回転数以下であるときに車両の急減速
を判定するように構成されている。
【0082】また、急減速時斜板角度制御部(33)
は、急減速判定部(32)からの車両の急減速判定信号
に基づいて、液圧ポンプ斜板角度制御部(33a)およ
び液圧モータ斜板角度制御部(33b)に所定の信号を
入力することが可能となっている。
【0083】急減速判定部(32)から斜板角度制御部
(33)に急減速判定信号が出力された場合に、液圧ポ
ンプ斜板角度制御部(33a)に所定の信号が出力さ
れ、液圧ポンプ(51)の可変斜板(51b)の斜板角
度のストロークが通常の1/3に設定され、また、液圧
モータ斜板角度制御部(33b)にも所定の信号が出力
され、液圧モータ(52)の斜板角度が、液圧ポンプ
(51)の斜板角度と同じように通常の1/3に制御さ
れる。
【0084】また、急減速判定部(32)により車両の
急減速が判定されたときには、上述したように、液圧ポ
ンプ斜板角度制御部(33a)と液圧モータ斜板角度制
御部(33b)に所定の信号が出力されるとともに、M
T(4)のクラッチ機構を制御するためのクラッチ制御
部(33c)にも、急減速時における制御を行なうため
の所定の信号が出力されることになる。
【0085】次に、図2を参照して、車両の急減速時に
おいて、上記変速制御装置を用いた場合の変速比の変
化、液圧ポンプ(51)の斜板角度(θp)の変化およ
び液圧モータ(52)の斜板角度の変化(θm)につい
て説明する。
【0086】まず、液圧モータ(52)の斜板角度(θ
m)は、第4モードから第1モードにかけて、その斜板
角度が17/3°に設定される。これに従って液圧ポン
プ(51)の斜板角度(θp)は、ストロークが液圧モ
ータ(52)の斜板角度の17/3°となり、図7で示
す従来の斜板角度のストロークに対して1/3となる。
【0087】したがって、液圧ポンプ(51)の斜板の
応答速度を3倍に上げることが可能となる。その結果、
変速比の変化は、図10に示すものと比較した場合に、
直線状に変化することとなり、急激な減速に対応しつつ
も、トルクの断続がなく、安定したエンジンブレーキの
効きを持続することが可能となり、さらにショックやク
ラッチの摩耗を防止することが可能となる。また、クラ
ッチ機構のオンオフについても、図3に示すように、ま
ずクラッチ2に対してクラッチ2オン指令が出力された
後に、クラッチ1のクラッチ1オフ指令が出力されるよ
うに制御することが可能になる。
【0088】なお、車速の変化、液圧ポンプ(51)の
可変斜板(51b)の斜板角度(θp)の変化および液
圧モータ(52)の斜板(52b)の斜板角度(θm)
の変化は、横軸に時間の経過をとった場合、図4に示す
ように、車両の急減速に応答して液圧ポンプ(51)の
斜板角度を変更することが可能になる。
【0089】その結果、HSTに用いられる補助ポンプ
の容量を上げることなく、したがって、HMTの効率に
悪影響を与えることなく急減速に対応する応答性を上げ
ることが可能となり、従来問題となっていた応答遅れに
起因するエンスト等のトラブルの防止、再加速時の応答
遅れの防止を図ることが可能となる。さらに、図2に示
すように、トルクの断絶やクラッチの滑りを発生しない
ままで、急速な減速に対応することが可能となるため、
トルクの断続による走行不安定性の抑制や、クラッチ接
合時の衝撃の抑制を行なうことが可能となる。
【0090】なお、また、上述した実施の形態において
は、液圧ポンプ(51)の斜板角度および液圧モータ
(52)の斜板角度を通常の1/3となるように制御し
たが、必ずしもこの値に限らず、その他最適な値を設定
することが可能である。また、上記無段変速機は4モー
ドの無段変速時について説明したが、5モードまたはそ
れ以上の多モードの無段変速機においても同様に実施す
ることが可能であり、さらに、HMT全体の伝達効率の
可及的な向上を図るためのルックアップ機構を備えた無
段変速機に用いた場合においても同様の作用効果を得る
ことができる。
【0091】したがって、今回開示した実施の形態はす
べての点で例示であって制限的なものではないと考えら
れるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく
特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等
の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが
意図されるべきである。
【0092】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、車両が
急減速した場合、液圧ポンプ(51)の斜板角度および
液圧モータ(52)の斜板角度のそれぞれの傾斜角度が
小さくなり、液圧ポンプ(51)の斜板のストロークを
小さくすることが可能となる。これにより、HMTに用
いられる制御用の補助ポンプの容量を変えることなく、
応答速度を上げることが可能になる。
【0093】その結果、HMT効率に悪影響を与えるこ
となく、急減速に対する応答性を向上することが可能と
なり、上述した課題で述べたような、応答遅れに起因す
るエンスト等のトラブルの防止、再加速時の応答遅れの
防止を図ることができる。さらに、トルクの断絶やクラ
ッチの滑りを発生しないままで、急速な減速に対応でき
るため、トルクの断続による走行不安定性の抑制や、ク
ラッチ接合時の衝撃の抑制が可能となる。
【0094】次に、請求項2に記載の発明によれば、請
求項1に記載の発明において、ブレーキ操作量検出手段
(13)により検出された運転者のブレーキ操作量が設
定量以上であるときには、車両に大きな制動力が作用し
ていると判別できるため、その場合に、車両の急減速状
態を判定する。したがって、車両の急減速状態の判定が
容易になり、上述した請求項1に記載の作用効果を効率
よく実施させることが可能となる。
【0095】次に、請求項3に記載の発明によれば、請
求項1に記載の発明において、車両が実際に急減速され
て、車速の低下に変速比の変更が追従し切れない場合に
は、エンジン回転数検出手段(14)によって検出され
るエンジン回転数が車速の低下に伴い低下するとみな
し、このエンジン回転数の設定回転数以下への低下に基
づいて車両の急減速状態が判定される。これによって
も、請求項2に記載の発明と同様の作用効果を得ること
ができる。
【0096】次に、請求項4に記載の発明によれば、請
求項1に記載の発明において、車両の急減速状態におい
ては、液圧ポンプ(51)の斜板のストロークが通常の
1/3で済むため、HSTに用いられる制御用補助ポン
プの容量を変えることなく、応答速度を3倍に上げるこ
とが可能となり、請求項1によって得られる作用効果を
効率よく得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態におけるHMTの構成を示す全体
模式図である。
【図2】本実施の形態におけるHMTの変速比、液圧ポ
ンプの斜板角度および液圧モータの斜板角度の関係を示
す図である。
【図3】本実施の形態における急減速時におけるクラッ
チ切換作動を示す説明図である。
【図4】本実施の形態におけるHMTにおける急減速時
における車速の変化、液圧ポンプの斜板角度の変化およ
び液圧モータの斜板角度の変化の関係を示す図である。
【図5】HMTの構成を示す全体模式図である。
【図6】図5に示すHMTのMTにおける第1および第
2遊星歯車機構の遊星速度線図である。
【図7】図5に示すHMTにおける各クラッチ機構の接
続状態と、液圧ポンプの可変斜板の斜板角度およびHM
Tの変速比の関係と、入力軸および出力軸の回転数なら
びにHMTの変速比の関係とを関連づけて示す説明図で
ある。
【図8】図5に示すHMTの通常の加減速時におけるク
ラッチ切換作動を示す説明図である。
【図9】図5に示すHMTの減速時における車速の変
化、液圧ポンプの斜板角度の変化および液圧モータの斜
板角度の変化の関係を示す図である。
【図10】図5に示すHMTの急減速時における問題点
を解消した場合の、変速比の変化、液圧ポンプの斜板角
度の変化および液圧モータの斜板角度の変化の関係を示
す図である。
【図11】図10における急減速時におけるクラッチ切
換作動を示す説明図である。
【図12】図10に示す急減速時における車速の変化、
液圧ポンプの斜板角度の変化および液圧モータの斜板角
度の変化の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 HMT(無段変速機) 3 コントローラ 4 MT(機械式トランスミッション) 5 HST(静液圧トランスミッション) 11 駆動輪 13 ブレーキ操作量センサ(ブレーキ操作量検出手
段) 14 入力回転数センサ(エンジン回転数検出手段) 31 基本制御部 32 急減速判定部 33 急減速時斜板角度制御部 33a 液圧ポンプ斜板角度制御部 33b 液圧モータ斜板角度制御部 33c クラッチ制御部 44,45,46,24,25 クラッチ機構(変速ク
ラッチ) 51 液圧ポンプ 52 液圧モータ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力軸(21)と、 出力軸(22)と、 前記入力軸(21)と前記出力軸(22)との間に設け
    られ、複数の変速クラッチ機構(44,45,46,
    …)および複数の遊星歯車機構(41,42)を備える
    機械式トランスミッション(4)と、 前記入力軸(21)と前記出力軸(22)との間におい
    て前記機械式トランスミッション(4)に対して並列に
    設けられ、前記入力軸(21)側に連結される液圧ポン
    プ(51)および前記出力軸(22)側に連結される液
    圧モータ(52)を有し、前記液圧ポンプ(51)およ
    び前記液圧モータ(52)の少なくとも一方を斜板角度
    の増減変更により容量可変に構成した静液圧トランスミ
    ッション(5)と、を有する、無段変速機を備え、 前記液圧ポンプ(51)は、液圧ポンプ斜板角度調整手
    段(55)を有し、前記液圧モータ(52)は、液圧モ
    ータ斜板角度調整手段(57)を有し、駆動時の高変速
    比域において、前記液圧ポンプ(51)の回転数よりも
    前記液圧モータ(52)の回転数の方が大きくなるよう
    に、前記液圧ポンプ(51)の斜板(51b)の最大傾
    斜角度よりも前記液圧モータ(52)の斜板(52b)
    の傾斜角度の方が小さくなるように前記液圧ポンプ傾斜
    角度調整手段(55)および前記液圧モータ斜板角度調
    整手段(57)を制御する増速手段を含む、車両用変速
    機の変速制御装置であって、 車両の急減速状態を判定する急減速判定手段(32)
    と、 前記急減速判定手段(32)により車両の急減速状態が
    判定されたとき、急減速の全領域において、前記液圧ポ
    ンプ(51)の斜板(51b)の傾斜角度、および、前
    記液圧モータ(52)の斜板(52b)の傾斜角度が、
    前記液圧ポンプ(51)の斜板(51b)の最大傾斜角
    度よりも小さく、かつ、前記液圧ポンプ(51)の斜板
    (51b)の傾斜角度が、前記液圧モータ(52)の斜
    板(52b)の傾斜角度よりも小さな範囲で制御される
    ように前記液圧ポンプ斜板角度調整手段(55)および
    前記液圧モータ斜板角度調整手段(57)を制御する急
    減速時傾斜角度制御手段(33)と、を備える車両用変
    速機の変速制御装置。
  2. 【請求項2】 前記車両の運転者のブレーキ操作量を検
    出するブレーキ操作量検出手段(13)をさらに備え、 前記急減速時制御手段(33)は、前記ブレーキ操作量
    検出手段(13)により検出されたブレーキ操作量が設
    定量以上であるときに前記車両の急減速状態を判定する
    ように構成される、請求項1に記載の車両用変速機の変
    速制御装置。
  3. 【請求項3】 エンジン(1)の回転数を検出するエン
    ジン回転数検出手段(14)を備え、前記急減速判定手
    段(32)は、上記エンジン回転数検出手段(14)に
    より検出されたエンジン回転数が設定回転数以下である
    ときに車両の急減速を判定するように構成される、請求
    項1に記載の車両用変速機の変速制御装置。
  4. 【請求項4】 上記急減速判定手段(32)により車両
    の急減速状態が判定されたとき、前記液圧ポンプ(5
    1)の斜板(51b)の傾斜角度、および、前記液圧モ
    ータ(52)の斜板(52b)の斜板角度が、前記液圧
    ポンプ(51)の斜板(51b)の最大傾斜角度の1/
    3となるように構成される、請求項1に記載の車両用変
    速機の変速制御装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007224943A (ja) * 2006-02-21 2007-09-06 Iseki & Co Ltd 走行車両
JP2010091090A (ja) * 2008-10-10 2010-04-22 Yanmar Co Ltd 油圧−機械式変速装置
JP2012509803A (ja) * 2008-11-25 2012-04-26 イスラエル エアロスペース インダストリーズ リミテッド 牽引棒を有しない航空機牽引車
JP2014206271A (ja) * 2013-04-12 2014-10-30 デーナ レクスロート トランスミッション システムズ ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータDana Rexroth Transmission Systems S.r.l. 走行駆動部のためのパワースプリット型変速機および該変速機の制御方法

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