JPH1171464A - セルロース混合エステル溶液及びその調製法 - Google Patents

セルロース混合エステル溶液及びその調製法

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JPH1171464A
JPH1171464A JP23350497A JP23350497A JPH1171464A JP H1171464 A JPH1171464 A JP H1171464A JP 23350497 A JP23350497 A JP 23350497A JP 23350497 A JP23350497 A JP 23350497A JP H1171464 A JPH1171464 A JP H1171464A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温でゲル化特性を有し、フィルム製膜過程
でゲル化剥離が可能なセルロース混合エステル溶液及び
その調整方法を提供する。 【解決手段】 セルロースの水酸基をアセチル基とプロ
ピオニル基で置換し、アセチル基の置換度(DSac
e)とプロピオニル基の置換度(DSpro)とが、下
記式( I )〜( III )を満足するセルロースアセテー
トプロピオネートの酢酸メチル等の低級脂肪酸エステル
とエタノール等の低級アルコールとの混合溶液は、40℃
以下、−40℃まで冷却する過程でゲル化するセルロース
混合エステル溶液である。 ( I ) 2.45<DSace≦2.95 ( II ) 0.05≦DSpro<0.55 ( III )2.70<DSace+DSpro≦3.00

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセルロース混合エス
テル溶液及びその調製方法に関する。本発明は、特に低
温でゲル化特性を有するセルロース混合エステル溶液及
びその調製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セルロースアセテートフィルムは、その
強靭性と難燃性から各種の写真材料や光学材料に用いら
れている。セルロースアセテートフィルムは、代表的な
写真感光材料の支持体であり、またその光学的等方性か
ら、近年市場の拡大している液晶表示装置にも用いられ
ている。液晶表示装置における具体的な用途としては、
偏光板の保護フィルム及びカラーフィルターが代表的で
ある。ところでセルロースアセテートフィルムは、一般
にソルベントキャスト法又はメルトキャスト法により製
造される。ソルベントキャスト法では、セルロースアセ
テートを溶媒中に溶解した溶液(ドープ)を支持体上に
流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。またメ
ルトキャスト法では、セルロースアセテートを加熱によ
り溶融したものを支持体上に流延し、冷却してフィルム
を形成する。ソルベントキャスト法の方が、メルトキャ
スト法よりも平面性の高いフィルムを製造することがで
きる。このため実用的には、一般的にソルベントキャス
ト法が採用されている。
【0003】ところでソルベントキャスト法について
は、多くの文献に記載がある。近年はソルベントキャス
ト法において、ドープを支持体上に流延してから、支持
体上の成形フィルムを剥離するまでに要する時間を短縮
して、製膜工程における生産性を向上させることが課題
となっている。例えば特公平5-17844号公報には、高濃
度ドープを冷却ドラム上に流延することにより、流延
後、剥ぎ取りまでの時間を短縮することが提案されてい
るが、十分に生産性を向上させるには至っていない。と
ころでソルベントキャスト法に用いる溶媒は、単にセル
ロースアセテートを溶解することだけでなく、様々な条
件が要求されている。例えば平面性に優れ、厚みの均一
なフィルムを、経済的に効率よく製造するためには、適
度な粘度とポリマー濃度を有する保存安定性に優れた溶
液(ドープ)を調製する必要がある。そのようなドープ
を調製するためには、溶媒の種類の選択が極めて重要で
ある。さらに溶媒については、蒸発が容易で、フィルム
中の残留量が少ないことも要求されている。
【0004】従来セルロースアセテートの溶媒として、
様々な有機溶媒が提案されているが、上記の要求を全て
満足する溶媒は、実質的にはメチレンクロリドに限られ
ていた。言い換えると、メチレンクロリド以外の溶媒
は、ほとんど実用化されていない。しかしながらメチレ
ンクロリドのようなハロゲン化炭化水素は、近年地球環
境保護の観点から、その使用は著しく規制される方向に
ある。またメチレンクロリドは、低沸点(41℃)である
ため、製造工程において揮散しやすい。このため作業環
境においても問題である。一方汎用の有機溶媒であるア
セトン(沸点:56℃)やメチルアセテート(沸点:57
℃)は、適度の沸点を有し、乾燥負荷もそれほど大きく
なく、また人体や地球環境に対しても、塩素系有機溶剤
に比べて問題が少ない。しかしアセトンやメチルアセテ
ートは、セルロースアセテートに対する溶解性が低く、
特に置換度が2.80(酢化度:60.1%)以上のセルロース
トリアセテートは、室温においてアセトン中やメチルア
セテート中では膨潤するだけでほとんど溶解しない。
【0005】ところでC.J.Malm他の論文(Ind.Eng.Che
m.、43巻、688頁、1951年)には、セルロースアセテー
トよりも、セルロースプロピオネートやセルロースブチ
レートの方が溶媒の選択の範囲が広いことが記載されて
いる。すなわちセルロースプロピオネートやセルロース
ブチレートは、セルロースアセテートを溶解できないケ
トン類やエステル類にも溶解する。しかしセルロースプ
ロピオネートやセルロースブチレートから製造したフィ
ルムは、機械的強度や耐久性がセルロースアセテートフ
ィルムよりも劣っている。一方セルロースアセテートプ
ロピオネート又はセルロースアセテートブチレートのよ
うなセルロースの混合脂肪酸エステルが市販されてい
る。例えばイーストマン・ケミカル社のカタログ(1994
年)には、セルロースの混合脂肪酸エステルが多数記載
されている。それらの多くはアセトンやメチルアセテー
トのような汎用の有機溶剤に溶解する。しかしこれらの
セルロースの混合脂肪酸エステルから製造したフィルム
も機械的強度や耐久性が不十分であった。実際にもこれ
らの市販品はフィルムとしてではなく、塗料用の原料と
して販売されている。
【0006】特表平6-501040号公報は、以上のような問
題を有するソルベントキャスト法に代えて、メルトキャ
スト法を用いることを提案している。しかしメルトキャ
スト法には、セルロースアセテートの融点が分解温度よ
りも高い点で問題がある。すなわちアセチル基の置換度
が高いセルローストリアセテートは、加熱すると溶融す
る前に分解してしまう。この問題を解決するため、同公
報記載の発明では、セルロースアセテート中のアセチル
基の置換度を1.9乃至2.6に調節している。同公報には、
さらにセルロースアセテートプロピオネートの開示もあ
り、プロピオニル基の置換度を0乃至0.9と規定してい
る。具体的には同公報の例Bに、アセチル基の置換度が
1.90、プロピオニル基の置換度が0.71のセルロースアセ
テートプロピオネートが記載されている。また同公報の
例Cには、アセチル基の置換度が2.10、プロピオニル基
の置換度が0.50のセルロースアセテートプロピオネート
が記載されている。しかしながら前述したように、ソル
ベントキャスト法の方が、メルトキャスト法よりも平面
性の高いフィルムを製造することができる。言い換える
と、メルトキャスト法で製造したフィルムは、平面性に
問題がある。通常フィルムの平面性は、二軸延伸により
改善することができるが、フィルムを延伸すると分子が
配向し、フィルムの光学的異方性が増大する。特殊な用
途を除き、写真材料や光学材料に用いられるフィルム
は、光学的等方性が要求される。したがって現在のセル
ロースエステルフィルムの製造では、メルトキャスト法
よりもソルベントキャスト法が広く採用されている。
【0007】さらに特開平8-231761号公報は、上記問題
を解決する手段として全置換度が2.6乃至3.0でアセチル
置換度が2.0乃至2.7かつ他のアシル置換度が0.3乃至0.8
のセルロースの混合脂肪酸エステルを用いることを提案
している。しかしながら他のアシル基で化学修飾したセ
ルロース混合脂肪酸エステルでは、アシル基の運動性が
よいため、製造したフィルムの機械的特性、特に弾性率
が低く、セルローストリアセテートフィルムの持つ強靭
性が失われ、高い機械的強度が要求される保護フィルム
や写真感光材料支持体の用途としてはやはり不十分であ
った。またセルロースの混合脂肪酸エステルにおけるア
セチル置換度をさらに上げ、他のアシル基の置換度を下
げることによって、より物性をセルローストリアセテー
トに近づけることも考えられたが、このようなセルロー
スの混合脂肪酸エステルは、セルローストリアセテート
と同様、室温ではもはや汎用の有機溶剤に溶解しなくな
り、ソルベントキャスト法によるセルロースエステルフ
ィルムの製造ができなくなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、ソルベン
トキャスト法によるセルロースエステルフィルムの製造
法について、さらに研究を進めた。ところでセルロース
アセテート、特にセルローストリアセテートを溶解でき
る有機溶媒の種類が少ない問題については、セルロース
アセテートに代えて、セルロースの他の脂肪酸エステル
又はセルロースの混合脂肪酸エステルを使用することで
解決できることが既に知られている(前述したC.J.Malm
他の論文やイーストマン・ケミカル社のカタログあるい
は特開平8-231761号公報に記載)。しかしこれらのセル
ロースエステルを使用して、ソルベントキャスト法によ
り製造したセルロースエステルフィルムは、セルロース
トリアセテートフィルムよりも物性が著しく劣ってい
る。
【0009】そこで本発明の目的は、優れた物性を有す
るセルロースエステルフィルムを得ることができる、様
々な種類の有機溶媒を用いたセルロース混合エステル溶
液の調整方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討を行った結果、セルロース混
合エステルとしてセルロースアセテートプロピオネート
を選択し、セルロースアセテートプロピオネートのアセ
チル基とプロピオニル基の全置換度を2.70〜3.00、好ま
しくは2.75〜3.00にまであげ、さらにアセチル基の置換
度を2.45以上、好ましくは2.70以上にまであげることに
より、混合エステルであるにも関わらず、製膜工程にお
いて適当な温度でゲル化特性を有し、製膜特性を改善す
ることができることを見出した。またセルロースアセテ
ートプロピオネートのアセチル基とプロピオニル基の置
換基比率及び綿濃度、非ハロゲン系有機溶媒の溶媒組成
を適度に調節することにより、セルロース混合エステル
溶液のゲル化特性を最適化できることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0011】すなわち本発明は、セルロースの水酸基を
アセチル基とプロピオニル基で置換し、アセチル基の置
換度(DSace)とプロピオニル基の置換度(DSp
ro)とが下記式( I )〜( III )を満足するセルロ
ースアセテートプロピオネートを有機溶媒に溶解するこ
とにより、40℃以下、−40℃まで冷却する過程でゲル化
するセルロース混合エステル溶液を提供するものであ
る。 ( I ) 2.45<DSace≦2.95 ( II ) 0.05≦DSpro<0.55 ( III )2.70<DSace+DSpro≦3.00 さらに上記式( I )〜( III )を満足するセルロース
アセテートプロピオネートを有機溶媒に分散させ、−11
0℃乃至20℃に冷却する工程、及び冷却した混合物を0
℃乃至120℃に加温して、溶媒中にセルロースアセテー
トプロピオネートを溶解する工程からなるセルロース混
合エステル溶液の調製法を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のセルロース混合エステル
溶液は、セルロースの水酸基をアセチル基とプロピオニ
ル基で置換し、有機溶媒に溶解して得られる溶液であ
り、40℃以下、−40℃まで冷却する過程でゲル化する溶
液である。セルロース混合エステル溶液のゲル化温度
は、セルロースへの全置換度を下げることにより低温側
へまた重合度を下げることにより低温側へ、アセチル置
換度を下げることにより低温側へ、綿濃度を下げること
により低温側へシフトする。またセルロースアセテート
プロピオネートを溶解する溶媒が混合溶媒の場合には、
貧溶媒比率を下げることによりゲル化温度が低温側へシ
フトする。以上のパラメーターを変えることにより、工
程に応じてゲル化温度を最適化することができる。
【0013】本発明に使用されるセルロースアセテート
プロピオネートの平均置換度は、2.75〜3.00であること
が特に好ましい。アセチル基の置換度が2.45以下である
と溶液のゲル化温度が低くなりすぎ、2.95よりも大きい
と溶液のゲル化温度が高くなる。またプロピオニル基の
置換度が0.05以下であると溶液のゲル化温度が高くな
り、0.55よりも大きいと溶液のゲル化温度が低くなる。
いずれの場合にも40℃以下、−40℃まで冷却する過程で
ゲル化しない。さらにアセチル基とプロピオニル基の合
計の平均置換度が2.70以下であるとゲル化温度が低くな
り、−40℃までにゲル化しない。
【0014】本発明のセルロース混合エステル溶液のゲ
ルは、そのゲル生成のメカニズムについては明らかでは
ないが、セルロースエステルの微結晶が3次元ネットワ
ークの架橋点となって生成していると推定され、溶媒を
含んだ状態でも固体としての性質を示す。フィルム流延
法等では、流延、乾燥後、ドラムから剥離させることが
できる。したがってこの状態で、例えばフィルムを製造
すると、セルロースエステルの3次元ネットワーク構造
が維持されたままフィルム化するため、例えばセルロー
スエステル分子鎖の配向が抑制されフィルム物性の異方
性がなくなり、それにより高い機械的特性と光学特性を
得ることができると考えられる。
【0015】本発明のセルロースの混合脂肪酸エステル
は、アシル化剤として酸無水物や酸塩化物を用いて合成
できる。アシル化剤が酸無水物である場合は、反応溶媒
として有機酸(例えば酢酸)やメチレンクロリドが使用
される。触媒としては、硫酸のような酸性触媒が用いら
れる。アシル化剤が酸塩化物である場合は、触媒として
塩基性化合物が用いられる。工業的に最も一般的な合成
方法では、セルロースをアセチル基及びプロピオニル基
に対応する有機酸(酢酸、プロピオン酸)又はそれらの
酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸)を含む混合有
機酸成分でエステル化してセルロースエステルを合成す
る。
【0016】アセチル化剤とプロピオニル化剤の使用量
は、合成するエステルが前述した置換度の範囲となるよ
うに調整する。反応溶媒の使用量は、セルロース100重
量部に対して、100乃至1000重量部であることが好まし
く、200乃至600重量部であることがさらに好ましい。酸
性触媒の使用量は、セルロース100重量部に対して、0.1
乃至20重量部であることが好ましく、0.4乃至10重量部
であることがさらに好ましい。
【0017】反応温度は、10℃乃至120℃であることが
好ましく、20℃乃至80℃であることがさらに好ましい。
なおアシル化反応が終了してから、必要に応じて加水分
解(ケン化)して置換度を調整してもよい。
【0018】反応終了後、反応混合物(セルロースエス
テルドープ)を沈殿のような慣用の手段を用いて分離
し、洗浄、乾燥することによりセルロースの混合脂肪酸
エステル(セルロースアセテートプロピオネート)が得
られる。
【0019】本発明においては、セルロース混合エステ
ル溶液の調製に有機溶媒を使用する。この有機溶媒は、
メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素を実質的
に含まないことが好ましい。ここで「実質的に含まな
い」とは、有機溶媒中のハロゲン化炭化水素の割合が、
5重量%未満、好ましくは2重量%未満であることを意
味する。
【0020】好ましい有機溶媒は、炭素原子数が3乃至
12のエーテル類、炭素原子数が3乃至12のケトン類及び
炭素原子数が3乃至12のエステル類から選ばれる。
【0021】エーテル、ケトン及びエステルは、環状構
造を有していてもよい。エーテル、ケトン及びエステル
の官能基(すなわち−O−、−CO−及び−COO−)
の何れかを2つ以上を有する化合物も、有機溶媒として
用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基
のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の
官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、何
れかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよ
い。
【0022】炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例に
は、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメ
トキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、
テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトールが含
まれる。
【0023】炭素原子数が3乃至12のケトン類の例に
は、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、
ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びメチルシク
ロヘキサノンが含まれる。
【0024】炭素原子数が3乃至12のエステル類の例に
は、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチル
ホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及び
ペンチルアセテートが含まれる。
【0025】二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例
には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトシキエ
タノール及び2−ブトキシエタノールが含まれる。
【0026】エーテル、ケトン及びエステルに加えて、
他の有機溶媒を併用してもよい。併用できる有機溶媒の
例には、ニトロメタン及び炭素原子数が1乃至6のアル
コール類(例えばメタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール、1−ブタノール、t−ブタノー
ル、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノー
ル)が含まれる。
【0027】エーテル、ケトン及びエステルと他の有機
溶媒を併用する場合、混合溶媒中のエーテル、ケトン及
びエステルの割合は、10乃至99.5重量%であることが好
ましく、20乃至99重量%であることがより好ましく、40
乃至98.5重量%であることがさらに好ましく、60乃至98
重量%であることが最も好ましい。
【0028】さらに本発明においては、低級脂肪酸エス
テルと低級アルコールの混合溶媒は、これにセルロース
アセテートプロピオネートを溶解した溶液が低温でゲル
化することから、特に好ましい。また低級脂肪酸エステ
ルが酢酸メチルであり、低級アルコールがエタノールで
あることは、溶液から膜を形成する際にゲル化剥離が可
能である。成型フィルムが高い機械的特性と光学特性を
有することから、より好ましい。
【0029】本発明においては酢酸メチルとエタノール
の混合溶媒が、エタノールを10〜40重量%含有すること
が好ましい。エタノールの含有量が10〜40重量%の範囲
から外れるとゲル化温度を最適化するのが困難である。
【0030】本発明では冷却溶解法により、有機溶媒中
にセルロースアセテートプロピオネートを溶解して溶液
(ドープ)を形成する。
【0031】ドープ形成においては、最初に室温で有機
溶媒中にセルロースアセテートプロピオネートを攪拌し
ながら徐々に添加する。この段階では、セルロースアセ
テートプロピオネートは、有機溶媒中で膨潤するが、溶
解していない。セルロースアセテートプロピオネートの
量は、この混合物中に10乃至40重量%含まれるように調
整する。さらに好ましくは10乃至30重量%である。有機
溶媒中には、後述する任意の添加剤を添加しておいても
よい。
【0032】次に、混合物を20℃以下、−110℃の範囲
内まで冷却する。冷却過程で未溶解の白濁成分に溶媒が
浸透して気泡が生ずるとともに混合物は無色透明にな
る。
【0033】さらに、これを0℃乃至120℃に加温する
と、有機溶媒中にセルロースアセテートプロピオネート
が溶解する。昇温は室温中に放置するだけでもよいし、
温浴中で加温してもよい。このようにして、均一な溶液
状態であるドープが得られる。なお溶解が不十分である
場合は、冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が
不十分であるかどうかは、目視によりドープの外観を観
察するだけで判断することができる。
【0034】冷却溶解方法においては、冷却時の結露に
よる水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望
ましい。また冷却加温操作において、冷却時に加圧し、
加温時に減圧すると、溶解時間を短縮することができ
る。加圧及び減圧を実施するためには、耐圧性容器を用
いることが望ましい。
【0035】得られたドープの安定性は、成形加工にお
ける重要な条件である。ドープの移送時に、配管中で未
溶解物が発生したり、製造装置の保守管理のための停止
期間中に凝固が起きることは避けねばならない。ドープ
の経時安定性は、前述したセルロースアセテートプロピ
オネートの性質に加えて、保存温度やドープ濃度も関連
する。
【0036】また本発明のセルロース混合エステル溶液
には、その用途に応じて、例えば可塑剤、劣化防止剤、
紫外線防止剤等の添加剤を添加してもよい。セルロース
エステルフィルムには、機械的特性を改良するため又は
乾燥速度を速くするために、可塑剤を添加することが一
般的である。可塑剤としては、リン酸エステル又はカル
ボン酸エステル等が挙げられる。例えば、リン酸エステ
ルとしては、トリフェニルフォスフェート(TPP)及
びトリクレジルフォスフェート(TCP)が含まれる。
またカルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及
びクエン酸エステルが代表的であり、フタル酸エステル
として、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタ
レート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジ
オクチルフタレート(DOP)及びジエチルヘキシルフ
タレート(DEHP)が含まれ、クエン酸エステルとし
て、クエン酸アセチルトリエチル(OACTE)及びク
エン酸アセチルトリブチル(OACTB)が含まれる。
その他カルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチ
ル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチ
ル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。本発明
においては、2種以上の可塑剤を併用してもよい。また
例えば製造するフィルムの耐湿熱性を向上させるため
に、DMP、DEP、DOP、DEHP等のフタル酸エ
ステル系可塑剤を用いることが好ましい。中でもDEP
が特に好ましく用いられる。
【0037】本発明のセルロース混合エステル溶液か
ら、例えば膜を得る場合には、公知のソルベントキャス
ト法により製造することができる。ソルベントキャスト
法については、米国特許2336310号、同2367603号、同24
92077号、同2492078号、同2607704号、同2739069号、同
2739070号、英国特許640731号、同736892号、特公昭45-
4554号、同49-5614号、特開昭60-176834号、同60-20343
0号及び同62-115035号の各公報に記載がある。一般的な
ソルベントキャスト法は、調整したセルロースエステル
溶液(ドープ)を鏡面状態に仕上げた、例えばドラムや
バンド等の支持体上に流延し、乾燥してからフィルムを
剥ぎ取ることにより行なわれる。また特に好ましいソル
ベントキャスト法として特公平5-17844号公報に開示さ
れる、ドープを表面温度が10℃以下の支持体に流延して
2秒以上風に当てた後、フィルムを剥ぎ取り、さらに10
0℃〜160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留
溶媒を蒸発させる方法がある。この方法によれば、流延
から剥ぎ取りまでの時間を短縮することができるため
に、流延設備を小型化したり、成膜速度を上げて生産性
を向上させることが可能である。そのためこの方法は、
本発明のセルロース混合エステル溶液から膜を製造する
のに適している。
【0038】さらに本発明のセルロース混合エステル溶
液から、セルロースエステル繊維を製造してもよい。セ
ルロースエステル繊維は、慣用の方法、例えばセルロー
ス混合エステル溶液(ドープ)から紡糸し、溶媒を除去
することにより製造できる。溶媒の除去は、上記のフィ
ルム製造と同じ乾燥条件で実施できる。セルロースエス
テル繊維の繊度は、1乃至16デニールであることが好ま
しく、1乃至10デニールであることがさらに好ましく、
2乃至8デニールであることが最も好ましい。セルロー
スエステル繊維の断面形状については、特に制限はな
い。断面形状の例には、円形、楕円形、異形(例えばY
字状、X字状、I字状、R字状)や中空状が含まれる。
【0039】
【実施例】以下実施例及び比較例をあげて本発明を説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0040】実施例、比較例の溶液の動的粘弾性は下記
のようにして測定し、ゲル化特性を評価した。動的粘弾性 自動動的粘弾性測定装置(ソリキッドメーター MR−
500:レオロジ社製)を用いて測定した。試料アタッ
チメントとして二重円筒を用いた。溶液を外筒に流し込
み、内筒を挿入した後、外筒を振動させ、冷却しながら
(冷却速度:約1℃/分)試料溶液の動的粘弾性の温度
依存性(温度分散:約−40℃まで)を測定した。外筒径
は 2.306cm、内筒径は 1.998cmであり、振動角を 0.5
度、振動周波数を 0.1Hzとした。上記のようにして得た
動的粘性率(η’)の温度依存性曲線においてゲル化に
ともなって急激にη’が上昇する温度を図1のような補
外により求め、ゲル化温度とした。
【0041】なおセルロースエステルの置換度の測定は
以下のように行なった。乾燥したセルロースエステル1.
9gを精秤し、アセトン70mlとジメチルスルホキシド30ml
を加え溶解した後、さらにアセトン50mlを加えた。攪拌
しながら1N−水酸化ナトリウム水溶液30mlを加え、2
時間ケン化した。熱水100mlを加え、フラスコ側面を洗
浄した後、フェノールフタレインを指示薬として1N−
硫酸で滴定した。別に試料と同じ方法で空試験を行なっ
た。滴定が終了した溶液の上澄み液を100倍に希釈し、
イオンクロマトグラフを用いて、常法により有機酸の組
成を測定した。測定結果とイオンクロマトグラフによる
酸組成分析結果から、下記式により置換度を計算した。 TA=(B−A)×F/(1000×W) DSace=(162.14×TA)/(1−42.14×TA+
(1−56.06×TA)×(AL/AC)) DSpro=DSace×(AL/AC) 但し、Aは試料滴定量(ml)、Bは空試験滴定量(m
l)、Fは1N−硫酸の力価、Wは試料重量(g)、TA
は全有機酸量(mol/g)、AL/ACはイオンクロマト
グラフで測定した酢酸(AC)とプロピオン酸(AL)
とのモル比、DSaceはアセチル基の置換度、DSp
roはプロピオニル基の置換度を表わす。
【0042】さらにセルロースエステルの数平均分子量
は、ゲル濾過カラムに屈折率及び光散乱を検出する検出
器を接続した高速液体クロマトグラフィーシステム(G
PC−LALLS)を用いて測定した。測定条件は以下
の通りである。 溶媒:塩化メチレン カラム:GMHXL(東ソー(株)製) 試料濃度:0.1W/V% 流速:1.0ml/min 試料注入量:300μl 標準試料:ポリメタクリル酸メチル(Mw=218600) 温度:24℃。
【0043】[実施例1]室温(25℃)において、アセチ
ル置換度2.72、プロピオニル置換度0.23、数平均重合度
が436、数平均分子量が126000のセルロースアセテート
プロピオネート(以下CAP−Aと略す)15重量部をア
セトン85重量部と混合して、CAP−Aの濃度が15重量
%のスラリーを調製した。このスラリーには、白色の未
溶解物が認められた。このスラリーをドライアイスで0
℃に温度調節したメタノール浴中で1時間冷却した。取
り出したスラリーには白色未溶解物は認められず、溶媒
の浸透に伴う気泡が多数生じていた。室温で10分間放置
した後、40℃に温度設定した湯浴中で混合物を10分間保
持した。取り出した混合物は十分に流動し、ままこ状の
溶け残りは認められず、CAP−Aはアセトンに溶解し
た。このようにして調製したCAP−Aの溶液を室温で
1週間放置したが、流動性及び外観に変化は認められず
安定であった。
【0044】[比較例1]室温(25℃)において、CAP
−A 15重量部をアセトン85重量部と混合して、CAP
−Aの濃度が15重量%のスラリーを調製した。このスラ
リーには、白色の未溶解物が認められた。このスラリー
を室温で1週間放置したが、混合物の外観には変化がな
く、CAP−Aは十分に溶解しなかった。
【0045】[実施例2]室温(25℃)において、CAP
−A 15重量部をテトラヒドロフラン85重量部と混合し
て、CAP−Aの濃度が15重量%のスラリーを調製し
た。このスラリーには、白色あるいはままこ状の未溶解
物が認められた。このスラリーをドライアイスで−25℃
に温度調節したメタノール浴中で1時間冷却した。取り
出したスラリーには白色あるいはままこ状の未溶解物は
認められず、溶媒の浸透に伴う気泡が多数生じていた。
室温で10分間放置した後、40℃に温度設定した湯浴中で
混合物を10分間保持した。取り出した混合物は十分に流
動し、ままこ状の溶け残りは認められず、CAP−Aは
テトラヒドロフランに溶解した。このようにして調製し
たCAP−Aの溶液を室温で1週間放置したが、流動性
及び外観に変化は認められず安定であった。
【0046】[比較例2]室温(25℃)において、CAP
−A 15重量部をテトラヒドロフラン85重量部と混合し
て、CAP−Aの濃度が15重量%のスラリーを調製し
た。このスラリーには、白色あるいはままこ状の未溶解
物が認められた。このスラリーを室温で1週間放置した
が、混合物の外観には変化がなく、CAP−Aは十分に
溶解しなかった。
【0047】[実施例3]室温(25℃)において、CAP
−A 20重量部をメチルアセテート64重量部及びエタノ
ール16重量部と混合して、CAP−Aの濃度が20重量%
のスラリーを調製した。このスラリーには、白色あるい
はままこ状の未溶解物が認められた。このスラリーをド
ライアイスで−15℃に温度調節したメタノール浴中で1
時間冷却した。取り出したスラリーには白色あるいはま
まこ状の未溶解物は認められず、溶媒の浸透に伴う気泡
が多数生じていた。室温で10分間放置した後、40℃に温
度設定した湯浴中で混合物を10分間保持した。取り出し
た混合物は十分に流動し、ままこ状の溶け残りは認めら
れず、CAP−Aはメチルアセテートとエタノールの混
合溶媒に溶解した。このようにして調製したCAP−A
の溶液を室温で1週間放置したが、流動性及び外観に変
化は認められず安定であった。
【0048】[比較例3]室温(25℃)において、CAP
−A 20重量部をメチルアセテート64重量部とエタノー
ル16重量部と混合して、CAP−Aの濃度が20重量%の
スラリーを調製した。このスラリーには、白色あるいは
ままこ状の未溶解物が認められた。このスラリーを室温
で1週間放置したが、混合物の外観には変化がなくCA
P−Aは十分に溶解しなかった。
【0049】さらに以下の実施例及び比較例のようにセ
ルロース混合エステルのゲル化特性を動的粘弾性により
評価した。
【0050】[実施例4]CAP−A 100重量部を、酢酸
メチル80重量%とエタノール20重量%からなる混合溶媒
400重量部と混合して、セルロースアセテートプロピオ
ネートの濃度が20重量%のスラリーを調製した後、一昼
夜室温で放置し、ドライアイス/メタノールで一昼夜冷
却(約−70℃)後、常温に戻して溶液を調製した。この
溶液について上記の動的粘弾性実験によりゲル化特性を
評価した。
【0051】[実施例5]CAP−A 100重量部を、酢酸
メチル80重量%とエタノール20重量%からなる混合溶媒
300重量部と混合して、セルロースアセテートプロピオ
ネートの濃度が25重量%のスラリーを調製した後、一昼
夜室温で放置し、ドライアイス/メタノールで一昼夜冷
却(約−70℃)後、常温に戻して溶液を調製した。この
溶液について上記の動的粘弾性実験によりゲル化特性を
評価した。
【0052】[実施例6]CAP−A 100重量部を、酢酸
メチル80重量%とエタノール20重量%からなる混合溶媒
233重量部と混合して、セルロースアセテートプロピオ
ネートの濃度が30重量%のスラリーを調製した後、一昼
夜室温で放置し、ドライアイス/メタノールで一昼夜冷
却(約−70℃)後、常温に戻して溶液を調製した。この
溶液について上記の動的粘弾性実験によりゲル化特性を
評価した。
【0053】[実施例7]CAP−A 100重量部を、酢酸
メチル85重量%とエタノール15重量%からなる混合溶媒
300重量部と混合して、セルロースアセテートプロピオ
ネートの濃度が25重量%のスラリーを調製した後、一昼
夜室温で放置し、ドライアイス/メタノールで一昼夜冷
却(約−70℃)後、常温に戻して溶液を調製した。この
溶液について上記の動的粘弾性実験によりゲル化特性を
評価した。
【0054】[実施例8]CAP−A 100重量部を、酢酸
メチル75重量%とエタノール25重量%からなる混合溶媒
300重量部と混合して、セルロースアセテートプロピオ
ネートの濃度が25重量%のスラリーを調製した後、一昼
夜室温で放置し、ドライアイス/メタノールで一昼夜冷
却(約−70℃)後、常温に戻して溶液を調製した。この
溶液について上記の動的粘弾性実験によりゲル化特性を
評価した。
【0055】[比較例4]アセチル置換度2.21、プロピオ
ニル置換度0.58、数平均重合度が737、数平均分子量が2
12000のセルロースアセテートプロピオネート(以下C
AP−Bと略す)100重量部を、酢酸メチル70重量%と
エタノール30重量%からなる混合溶媒233重量部と混合
して、セルロースアセテートプロピオネートの濃度が30
重量%のスラリーを調製した後、一昼夜室温で放置し、
ドライアイス/メタノールで一昼夜冷却(約−70℃)
後、常温に戻して溶液を調製した。この溶液について上
記の動的粘弾性実験によりゲル化特性を評価した。
【0056】[比較例5]CAP−A 100重量部を、アセ
トン300重量部と混合して、セルロースアセテートプロ
ピオネートの濃度が25重量%のスラリーを調製した後、
一昼夜室温で放置し、ドライアイス/メタノールで一昼
夜冷却(約−70℃)後、常温に戻して溶液を調製した。
この溶液について上記の動的粘弾性実験によりゲル化特
性を評価した。
【0057】[比較例6]市販のセルロース混合エステル
(登録商標名セリドア、バイエル社製、アセチル置換度
0.32、プロピオニル置換度2.32、数平均重合度 718、数
平均分子量219000:以下CAP−Cと略す)100重量部
を、酢酸メチル70重量%とエタノール30重量%からなる
混合溶媒233重量部と混合して、セルロースアセテート
プロピオネートの濃度が30重量%のスラリーを調製した
後、一昼夜室温で放置し、ドライアイス/メタノールで
一昼夜冷却(約−70℃)後、常温に戻して溶液を調製し
た。この溶液について上記の動的粘弾性実験によりゲル
化特性を評価した。
【0058】上記実施例4〜8及び比較例4〜6につい
て、ゲル化特性の評価結果を表1にまとめた。なお動的
粘弾性測定実験終了時(低温:約−25℃)に試料を二重
円筒から取り出す際、形状を維持したまま取り出せるも
のについては、ゲル化剥離性の評価を「良」とし、形状
が崩れるものについては、ゲル化剥離性の評価を「悪」
として判定した。
【0059】
【表1】
【0060】表1で明らかなように、ゲル化特性を有す
るセルロース混合エステル溶液の剥離性は優れている。
またアセチル基とプロピオニル基の置換基比率、綿濃
度、溶媒組成を適度に調節することにより、ゲル化特性
を最適化することができる。
【0061】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、セルロー
スアセテートプロピオネートにおけるアセチル基の置換
度とプロピオニル基の置換度が下記式( I )、( II
)及び( III )の範囲内としたセルロースアセテート
プロピオネートを用いることにより、優れた物性を有す
るセルロースエステルフィルムをソルベントキャスト法
で製造できることが判明した。本発明の溶解方法によ
り、様々な種類の有機溶媒を用いてセルロースエステル
溶液を調製できるという効果を有する。本発明では、セ
ルローストリアセテートフィルムと同程度又はそれ以上
の物性を有するセルロースエステル成形物を様々な種類
の有機溶媒を用いてソルベントキャスト法で製造するこ
とができる。 ( I ) 2.45<DSace≦2.95 ( II ) 0.05≦DSpro<0.55 ( III )2.70<DSace+DSpro≦3.00
【図面の簡単な説明】
【図1】動的粘弾性の温度依存性からゲル化温度を求め
る方法を示す図である。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロースの水酸基をアセチル基とプロ
    ピオニル基で置換し、アセチル基の置換度(DSac
    e)とプロピオニル基の置換度(DSpro)とが下記
    式( I )〜( III )を満足するセルロースアセテート
    プロピオネートを有機溶媒に溶解して得られる溶液であ
    って、40℃以下、−40℃まで冷却する過程でゲル化する
    ことを特徴とするセルロース混合エステル溶液。 ( I ) 2.45<DSace≦2.95 ( II ) 0.05≦DSpro<0.55 ( III )2.70<DSace+DSpro≦3.00
  2. 【請求項2】 式( I )、( II )及び( III )がそ
    れぞれ下記の式( I’)、( II’)及び( III’)で
    ある請求項1記載のセルロース混合エステル溶液。 ( I’) 2.70<DSace≦2.95 ( II’) 0.05≦DSpro≦0.30 ( III’)2.75≦DSace+DSpro≦3.00
  3. 【請求項3】 前記有機溶媒が、低級脂肪酸エステルと
    低級アルコールの混合溶媒であることを特徴とする請求
    項1又は2に記載のセルロース混合エステル溶液。
  4. 【請求項4】 前記混合溶媒が、酢酸メチルとエタノー
    ルの混合溶媒であるであることを特徴とする請求項3に
    記載のセルロース混合エステル溶液。
  5. 【請求項5】 前記酢酸メチルとエタノールの混合溶媒
    が、エタノールを10〜40重量%含有することを特徴とす
    る請求項4に記載のセルロース混合エステル溶液。
  6. 【請求項6】 前記セルロースアセテートプロピオネー
    トが、前記有機溶媒中に10〜40重量%含まれることを特
    徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のセルロー
    ス混合エステル溶液。
  7. 【請求項7】 下記式( I )〜( III )を満足するセ
    ルロースアセテートプロピオネートを有機溶媒に分散さ
    せ、−110℃乃至20℃に冷却する工程、及び冷却した混
    合物を0℃乃至120℃に加温して、溶媒中にセルロース
    アセテートプロピオネートを溶解する工程からなるセル
    ロース混合エステル溶液の調製法。 ( I ) 2.45<DSace≦2.95 ( II ) 0.05≦DSpro<0.55 ( III )2.70<DSace+DSpro≦3.00
  8. 【請求項8】 式( I )、( II )及び( III )がそ
    れぞれ下記の式( I’)、( II’)及び( III’)で
    ある請求項7記載のセルロース混合エステル溶液の調製
    法。 ( I’) 2.70<DSace≦2.95 ( II’) 0.05≦DSpro≦0.30 ( III’)2.75≦DSace+DSpro≦3.00
  9. 【請求項9】 前記有機溶媒が、低級脂肪酸エステルと
    低級アルコールの混合溶媒であることを特徴とする請求
    項7又は8に記載のセルロース混合エステル溶液の調製
    法。
  10. 【請求項10】 前記混合溶媒が、酢酸メチルとエタノ
    ールの混合溶媒であるであることを特徴とする請求項9
    に記載のセルロース混合エステル溶液の調製法。
  11. 【請求項11】 前記酢酸メチルとエタノールの混合溶
    媒が、エタノールを10〜40重量%含有することを特徴と
    する請求項10に記載のセルロース混合エステル溶液の調
    製法。
  12. 【請求項12】 前記セルロースアセテートプロピオネ
    ートが、前記有機溶媒中に10〜40重量%含まれることを
    特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載のセルロ
    ース混合エステル溶液の調製法。
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