JP2003055476A - セルロースアシレートフイルム - Google Patents

セルロースアシレートフイルム

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JP2003055476A
JP2003055476A JP2001246405A JP2001246405A JP2003055476A JP 2003055476 A JP2003055476 A JP 2003055476A JP 2001246405 A JP2001246405 A JP 2001246405A JP 2001246405 A JP2001246405 A JP 2001246405A JP 2003055476 A JP2003055476 A JP 2003055476A
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Yasuo Kuraki
康雄 椋木
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セルロースアシレートが有機溶剤に安定
な状態で溶解している溶液を得、かつそれによって優れ
たセルロースアシレートフイルムを得るに際して、その
製造工程で支持体からセルロースアシレーフイルムを容
易に剥ぎ取り、面状の良いセルロースアシレートフイル
ムを得る。 【解決手段】 セルロースアシレートが有機溶媒に15
〜30質量%溶解しているセルロースアシレート溶液で
あって、その溶液を同一組成の有機溶媒で0.1〜1質
量%にした希釈溶液のセルロースアシレートの会合体分
子量が400万〜1000万(25℃)であるセルロー
スアシレート溶液から作製されたセルロースアシレート
フイルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハロゲン化銀写真感
光材料または液晶画像表示装置に有用なセルロースアシ
レートフイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ハロゲン化銀写真感光材料や液晶
画像表示装置に使用されるセルロースアシレートを製造
する際に使用されるセルロースアシレート溶液の有機溶
媒は、メチレンクロライドのような塩素含有炭化水素が
使用されている。メチレンクロライド(沸点40℃)
は、従来からセルロースアシレートの良溶媒として用い
られ、製造工程の製膜及び乾燥工程において沸点が低い
ことから乾燥させ易いという利点により好ましく使用さ
れている。逆にメチレンクロライドは沸点が低く揮発し
易いため、密閉設備でも取り扱い工程で若干漏れ易く回
収にも限界があり、完全に大気中への散逸を防ぎきれな
いという問題があり、その環境安全性の点で改善が望ま
れている。そこで、この解決のためにメチレンクロライ
ドを用いて、さらに高濃度のセルロースアシレート溶液
を作製し溶媒の使用量を減らす事を検討したが、その流
延時の金属支持体から剥離が不十分でありその改良が望
まれていた。さらに、メチレンクロライド以外のセルロ
ースアシレートの溶媒の探索がなされて来た。セルロー
スアシレート特にセルローストリエステルに対する溶解
性を示す有機溶媒として知られているものにはアセトン
(沸点56℃)、酢酸メチル(沸点56℃)、テトラヒ
ドロフラン(沸点65℃)、1,3−ジオキソラン(沸
点75℃)、1,4−ジオキサン(沸点101℃)など
がある。しかしながら、これらの有機溶媒は従来の溶解
方法では実際に実用できるに十分な溶解性は得られてい
ない。
【0003】この解決として、J.M.G.Cowie
等はMakromol.chem.143巻、105頁
(1971)においてセルローストリアセテート(酢化
度60.1%から61.3%)をアセトン中で−80℃
から−70℃に冷却した後、加温することによって0.
5から5質量%の希薄溶液が得られることを報告してい
る。このような低温でセルロースアシレートを溶解する
方法を冷却溶解法という。また、上出健二等は繊維機械
学会誌、34巻、57−61頁(1981)の「三酢酸
セルロースのアセトン溶液からの乾式紡糸」の中で冷却
溶解法を用いての紡糸技術について述べている。
【0004】また、特開平9−95538号公報、特開
平9−95544号及び同9−95557号公報では、
上記技術を背景に、非塩素系有機溶媒を用いて冷却溶解
法によってセルロースアシレートを溶解することが開示
されている。その際に用いられる非塩素系有機溶剤とし
ては、エーテル類、ケトン類あるいはエステルから選ば
れる有機溶媒であり、特に冷却溶解法によりセルロース
アシレートを溶解してフイルムを作製している。これら
の具体的な有機溶媒としてはアセトン、2−メトキシエ
チルアセテート、シクロヘキサノン、エチルホルメー
ト、及びメチルアセテートなどが好ましいとしている。
【0005】一方、セルロースアシレートフイルムは、
一般にソルベントキャスト法またはメルトキャスト法に
より製造される。ソルベントキャスト法では、セルロー
スアシレートを溶媒中に溶解した溶液(ドープ)を支持
体上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成するも
のである。メルトキャスト法では、セルロースアシレー
トを加熱により溶融したものを支持体上に流延し、冷却
してフイルムを形成する。ソルベントキャスト法の方
が、メルトキャスト法よりも平面性の高い良好なフイル
ムを製造することができる。このため、実用的にはソル
ベントキャスト法の方が普通に採用されている。最近の
ソルベントキャスト法では、ドープを支持体上へ流延し
てから、支持体上の成形フイルムを剥離するまでに要す
る時間を短縮して、製膜工程の生産性を向上させること
が課題になっている。特に、ソルベントキャスト法によ
ってセルロースアシレートフイルムを得るに際して、前
述の非塩素系有機溶媒を用いて冷却溶解したセルロース
アシレート溶液の場合に、その支持体からのセルロース
アシレートフイルムの剥離がし難くいことが問題になっ
ている。また更に、近年のセルロースアシレートフイル
ムの需要増大に対して生産性を高めることが求められて
おり、そのために高速度流延が切望されている。この観
点でも、非塩素系有機溶媒による溶液で生産されるセル
ロースアシレートフイルムには、高速流延性の劣るもの
であった。
【0006】これは、セルロースアシレートを金属支持
体であるバンド或いはドラム上に流延し、乾燥或いは冷
却して強度の強いゲル状フイルムとし、有機溶媒を含ん
だ状態で支持体から剥離され、しかる後に十分乾燥され
る工程の際に、支持体からセルロースアシレート膜の剥
離が困難であることが原因である。メチレンクロライド
の塩素系有機溶媒でも見られ前述したようにその改良が
望まれていたが、非塩素系有機溶媒では更に剥離が困難
であり、その改良が望まれていた。一方、セルロースア
シレ−トを非塩素系有機溶媒に溶解する方法として高温
高圧にすることも可能であり、有用な手段である。しか
し、この方法で作製されたセルロースアシレ−ト溶液も
その製造中の流延金属支持体からの剥離は不十分であ
り、その改良が望まれていた。この解決のために、特開
平10−316701号公報では、酸解離指数pKaが
1.93〜4.50[好ましくは2.0〜4.4、さら
に好ましくは2.2〜4.3(例えば、2.5〜4.
0)、特に2.6〜4.3(例えば、2.6〜4.0)
程度]の酸またはその塩が剥離剤として好ましいことが
記載されている。しかしこの欠点として、セルロースア
シレ−ト溶液でセルロースアシレ−トが含有しているア
ルカリ土類金属と微小な塩を作製し、長時間の流延工程
において系に付着する問題を引き起こすものでありその
改良が期待されていた。これらの剥離剤によるとある溶
液では剥ぎ取りがかなり改良されることが見られている
が、不十分であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって、セルロー
スアシレートを有機溶媒特に非塩素系有機溶媒で溶液を
調製する場合、流延した後乾燥のために支持体から剥離
が困難な点を解決し、優れた面状のセルロースアシレ−
トフイルムを作製することである。本発明の目的は塩素
系有機溶媒、更に好ましくは非塩素系有機溶剤を用いて
常温溶解、冷却溶解法または高温高圧溶解法で作製した
セルロースアシレート溶液を流延し、面状の優れたセル
ロースセルロースフイルムを提供することにある。さら
に、本発明の目的は流延した後乾燥のために支持体から
容易にフイルムを剥離させ、優れた生産性を付与するこ
とである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記
(1)〜(8)のセルロースアシレートフイルムにより
達成された。 (1)セルロースアシレートが有機溶媒に15〜30質
量%溶解しているセルロースアシレート溶液であって、
その溶液を同一組成の有機溶媒で0.1〜1質量%にし
た希釈溶液のセルロースアシレートの会合体分子量が4
00万〜1000万(25℃)であるセルロースアシレ
ート溶液から作製されたセルロースアシレートフイル
ム。
【0009】(2)セルロースアシレートが、セルロー
スの水酸基への置換度が下記式(I)〜(III)の全てを
満足するセルロースアシレートであることを特徴とする
(1)に記載のセルロースアシレートフイルム: (I)2.6≦SA+SB≦3.0 (II)2.0≦SA≦3.0 (III)0≦SB≦0.8 [式中、SA及びSBは、セルロースの水酸基に置換さ
れているアシル基の置換基を表し;SAは、アセチル基
の置換度を表し;そしてSBは、炭素原子数が3〜22
のアシル基の置換度を表す]。 (3)有機溶媒が、非塩素系有機溶媒である炭素原子数
が3〜12のエーテル類、炭素原子数が3〜12のケト
ン類および炭素原子数が3〜12のエステル類から選ば
れた少なくとも一種の溶媒であることを特徴とする
(1)に記載のセルロースアシレートフイルム。
【0010】(4)セルロースアシレート溶液が、下記
(IV)〜(VI)の少なくとも一種の調製方法により得ら
れた(1)に記載のセルロースアシレートフイルム: (IV)−10〜55℃で膨潤する工程、その混合物を0
〜57℃に加温して有機溶媒中にセルロースアセテート
を溶解する工程からなるセルロースアセテート溶液の調
製方法 (V)−10〜55℃で膨潤する工程、−100〜−1
0℃に冷却する工程、および冷却した混合物を0〜57
℃に加温して有機溶媒中にセルロースアセテートを溶解
する工程からなるセルロースアセテート溶液の調製方法 (VI)−10〜55℃で膨潤する工程、0.2〜30M
Paで60〜240℃に高圧高温で加熱する工程、およ
び加熱した混合物を0〜57℃に冷却して有機溶媒中に
セルロースアセテートを溶解する工程からなる調製方
法。 (5)セルロースアシレートと有機溶媒を混合する際
に、セルロースアシレートの90質量%以上に、粒径が
0.1〜5mmの粒子を使用し、得られたセルロースア
シレート溶液をろ過する工程、セルロースアシレート溶
液を支持体上に流延する工程、剥ぎ取る工程、溶媒を蒸
発させてフイルムを形成する乾燥工程、そして作製され
たセルロースアシレートフイルムを巻き取る工程から作
製された(1)に記載のセルロースアシレートフイル
ム。
【0011】(6)セルロースアシレート溶液が、少な
くとも一種の可塑剤をセルロースアシレートに対して
0.1〜20質量%含有しているセルロースアシレート
溶液であること、及び/又は少なくとも一種の紫外線吸
収剤をセルロースアシレートに対して0.001〜5質
量%含有しているセルロースアシレート溶液であるこ
と、及び/又は少なくとも一種の微粒子粉体をセルロー
スアシレートに対して0.001〜5質量%含有してい
るセルロースアシレート溶液であること、及び/又は少
なくとも一種のフッ素系界面活性剤をセルロースアシレ
ートに対して0.001〜2質量%含有しているセルロ
ースアシレート溶液であること、及び/又は少なくとも
一種の離型剤をセルロースアシレートに対して0.00
01〜2質量%含有しているセルロースアシレート溶液
であること、及び/又は少なくとも一種の劣化防止剤を
セルロースアシレートに対して0.0001〜2質量%
含有しているセルロースアシレート溶液であること、及
び/又は少なくとも一種の光学異方性コントロール剤を
セルロースアシレートに対して0.1〜15質量%含有
しているセルロースアシレート溶液であることを特徴と
する(1)に記載のセルロースアシレートフイルム。
【0012】(7)流延工程で2種類以上のセルロース
アシレート溶液を共流延することを特徴とする(1)に
記載のセルロースアシレートフイルム。 (8)作製されたセルロースアシレートフイルムが、光
学用保護層として用いられるセルロースアシレートフイ
ルムであり、その膜厚が10〜500μmであるか、あ
るいはまた作製されたセルロースアシレートフイルムが
ハロゲン化銀写真感光材料用保支持体としであり、その
膜厚が30〜250μmであることを特徴とする(1)
に記載のセルロースアシレートフイルム。
【0013】
【発明の実施の形態】まず、本発明で好ましく用いられ
るセルロースアシレートについて詳細に記載する。セル
ロースアシレートは、本発明の効果を発現する限りにお
いて特に限定されない。しかし、その中でも好ましいセ
ルロースアシレートは、以下の素材を挙げることができ
る。すなわち、セルロースアシレートが、セルロースの
水酸基への置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足
するセルロースアシレートである。 (I) 2.6≦SA+SB≦3.0 (II) 2.0≦SA≦3.0 (III) 0≦SB≦0.8 ここで、式中、SA及びSBは、セルロースの水酸基に
置換されているアシル基の置換基を表し、SAは、アセ
チル基の置換度を表し、そしてSBは、炭素原子数が3
〜22のアシル基の置換度である。
【0014】セルロースを構成するβ−1,4結合して
いるグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の
水酸基を有している。セルロースアシレートは、これら
の水酸基の一部または全部をアシル基によりエステル化
した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2
位、3位および6位のそれぞれについて、セルロースが
エステル化している割合(100%のエステル化は置換
度1)を意味する。本発明では、水酸基のSAとSBの
置換度の総和は、より好ましくは2.7〜2.96であ
り、特に好ましくは2.80〜2.95である。また、
SBの置換度は0〜0.8であり、特には0〜0.6で
ある。さらにSBはその28%以上が6位水酸基の置換
基であるが、より好ましくは30%以上が6位水酸基の
置換基であり、31%がさらに好ましく、特には32%
以上が6位水酸基の置換基であることも好ましい。また
更に、セルロースアシレートの6位のSAとSBの置換
度の総和が0.8以上であり、さらには0.85であり
特には0.90であるセルロースアシレートフイルムも
あげることができる。これらのセルロースアシレートフ
イルムにより溶解性の好ましい溶液が作製でき、特に非
塩素系有機溶媒において、良好な溶液の作製が可能とな
る。
【0015】炭素原子数が3〜22のアシル基(SB)
としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定され
ない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニ
ルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳
香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエ
ステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有し
ていてもよい。これらの好ましいSBとしては、プロピ
オニル、ブタノイル、ケプタノイル、ヘキサノイル、オ
クタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイ
ル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカ
ノイル、iso‐ブタノイル、t‐ブタノイル、シクロヘ
キサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチル
カルボニル、シンナモイル基などを挙げることができ
る。これらの中でも、プロピオニル、ブタノイル、ドデ
カノイル、オクタデカノイル、t‐ブタノイル、オレオ
イル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル
などである。
【0016】セルロースアシレートの合成方法の基本的
な原理は、右田他、木材化学180〜190頁(共立出
版、1968年)に記載されている。代表的な合成方法
は、カルボン酸無水物−酢酸−硫酸触媒による液相酢化
法である。具体的には、綿花リンタや木材パルプ等のセ
ルロース原料を適当量の酢酸で前処理した後、予め冷却
したカルボン酸化混液に投入してエステル化し、完全セ
ルロースアシレート(2位、3位および6位のアシル置
換度の合計が、ほぼ3.00)を合成する。上記カルボ
ン酸化混液は、一般に溶媒としての酢酸、エステル化剤
としての無水カルボン酸および触媒としての硫酸を含
む。無水カルボン酸は、これと反応するセルロースおよ
び系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰
量で使用することが普通である。アシル化反応終了後
に、系内に残存している過剰の無水カルボン酸の加水分
解およびエステル化触媒の一部の中和のために、中和剤
(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウ
ムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩または酸化物)の水溶液
を添加する。次に、得られた完全セルロースアシレート
を少量の酢化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存
在下で、50〜90℃に保つことによりケン化熟成し、
所望のアシル置換度および重合度を有するセルロースア
シレートまで変化させる。所望のセルロースアシレート
が得られた時点で、系内に残存している触媒を前記のよ
うな中和剤を用いて完全に中和するか、あるいは中和す
ることなく水または希硫酸中にセルロースアシレート溶
液を投入(あるいは、セルロースアシレート溶液中に、
水または希硫酸を投入)してセルロースアシレートを分
離し、洗浄および安定化処理によりセルロースアシレー
トを得る。
【0017】本発明のセルロースアシレートフイルム
は、フイルムを構成するポリマー成分が実質的に上記の
定義を有するセルロースアシレートからなることが好ま
しい。「実質的に」とは、ポリマー成分の55質量%以
上(好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80
質量%以上)を意味する。フイルム製造の原料として
は、セルロースアシレート粒子を使用することが好まし
い。使用する粒子の90質量%以上は、0.5〜5mm
の粒子径を有することが好ましい。また、使用する粒子
の50質量%以上が1〜4mmの粒子径を有することが
好ましい。セルロースアシレート粒子は、なるべく球形
に近い形状を有することが好ましい。
【0018】本発明で好ましく用いられるセルロースア
シレートの重合度は、粘度平均重合度200〜700、
好ましくは250〜550、更に好ましくは250〜4
00であり、特に好ましくは粘度平均重合度250〜3
50である。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田
和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105
〜120頁、1962年)により測定できる。更に特開
平9−95538号公報に詳細に記載されている。
【0019】低分子成分が除去されると、平均分子量
(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシ
レートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少
ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセ
ルロースアシレートから低分子成分を除去することによ
り得ることができる。低分子成分の除去は、セルロース
アシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施
できる。なお、低分子成分の少ないセルロースシレテー
トを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セ
ルロース100質量に対して0.5〜25質量部に調整
することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にする
と、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一
な)セルロースアシレートを合成することができる。
【0020】セルロースアシレートの含水率は、2質量
%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量
%以下であり、特に好ましくは0.7質量%以下であ
る。一般に、セルロースアシレートは、水を含有してお
り2.5〜5質量%が知られている。本発明において
は、このセルロースアシレートの含水率にするために、
セルロースアシレートを乾燥することが必要であり、そ
の方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。
本発明で用いるセルロースアシレートにおいて、その原
料綿や合成方法は発明協会公開技報(公技番号2001
−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の
7頁〜12頁に詳細に記載されている。
【0021】セルロースアシレート溶液には、各調製工
程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑
剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、光学異方性コントロー
ル剤、微粒子、剥離剤など)を加えることができる。ま
たその添加する時期はドープ作製工程において何れでも
添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に
添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。こ
れらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−
1745、2001年3月15日発行、発明協会)の1
6頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用
いられる。
【0022】次に、セルロースアシレートの溶液を作製
するに際して用いられる有機溶媒について記載する。本
発明においては、セルロースアシレートが溶解し流延、
製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りは
有機溶媒は特に限定されない。まず塩素系溶媒として
は、好ましくは塩化メチレン、クロロホルムが挙げられ
特に塩化メチレンが好ましい。本発明において、有機溶
媒として特に好ましく使用される非塩素系有機溶媒は、
炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテルか
ら選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン、および
エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、
ケトン、およびエーテルの官能基(すなわち、−O−、
−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有す
る化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえば
アルコール性水酸基のような他の官能基を有していても
よい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その
炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定
範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル
類の例としては、エチルホルメート、プロピルホルメー
ト、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルア
セテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素
原子数が3〜12のケトン類の例としては、アセトン、
メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケ
トン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチ
ルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜1
2のエーテル類の例としては、ジイソプロピルエーテ
ル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジ
オキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラ
ン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。二種
類以上の官能基を有する有機溶媒の例としては、2−エ
トキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよ
び2−ブトキシエタノールが挙げられる。
【0023】以上のセルロースアシレートに用いられる
溶媒については、前述のいろいろな観点から選定される
が、好ましくは以下のとおりである。すなわち、セルロ
ースアシレートの好ましい溶媒は、互いに異なる3種類
以上の混合溶媒であって、第1の溶媒が酢酸メチル、酢
酸エチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、アセトン、ジオキ
ソラン、ジオキサンから選ばれる少なくとも一種あるい
は或いはそれらの混合液であり、第2の溶媒が炭素原子
数が4〜7のケトン類またはアセト酢酸エステルから選
ばれ、第3の溶媒として炭素数が1〜10のアルコール
または炭化水素から選ばれ、より好ましくは炭素数1〜
8のアルコールである。なお第1の溶媒が、2種以上の
溶媒の混合液である場合は、第2の溶媒がなくてもよ
い。第1の溶媒は、さらに好ましくは酢酸メチル、アセ
トン、蟻酸メチル、蟻酸エチルあるいはこれらの混合物
であり、第2の溶媒は、メチルエチルケトン、シクロペ
ンタノン、シクロヘキサノン、アセチル酢酸メチルが好
ましく、これらの混合液であってもよい。
【0024】第3の溶媒であるアルコールの好ましく
は、直鎖であっても分岐を有していても環状であっても
よく、その中でも飽和脂肪族炭化水素であることが好ま
しい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれ
であってもよい。アルコールの例には、メタノール、エ
タノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−
ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペ
ンタノール、2−メチル−2−ブタノールおよびシクロ
ヘキサノールが含まれる。なおアルコールとしては、フ
ッ素系アルコールも用いられる。例えば、2−フルオロ
エタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、
2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールな
ども挙げられる。さらに炭化水素は、直鎖であっても分
岐を有していても環状であってもよい。芳香族炭化水素
と脂肪族炭化水素のいずれも用いることができる。脂肪
族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい。
炭化水素の例には、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼ
ン、トルエンおよびキシレンが含まれる。これらの第3
の溶媒であるアルコールおよび炭化水素は単独でもよい
し2種類以上の混合物でもよく特に限定されない。第3
の溶媒としては、好ましい具体的化合物は、アルコール
としてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、
2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、
およびシクロヘキサノール、シクロヘキサン、ヘキサン
を挙げることができ、特に、メタノール、エタノール、
1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール
であることが好ましい。
【0025】以上の3種類の混合溶媒は、第1の溶媒が
20〜95質量%、第2の溶媒が2〜60質量%さらに
第3の溶媒が2〜30質量%の比率で含まれることが好
ましく、さらに第1の溶媒が30〜90質量%であり、
第2の溶媒が3〜50質量%、さらに第3のアルコール
が3〜25質量%含まれることが好ましい。また特に第
1の溶媒が30〜90質量%であり、第2の溶媒が3〜
30質量%、第3の溶媒がアルコールであり3〜15質
量%含まれることが好ましい。なお、第1の溶媒が混合
液で第2の溶媒を用いない場合は、第1の溶媒が20〜
90質量%、第3の溶媒が5〜30質量%の比率で含ま
れることが好ましく、さらに第1の溶媒が30〜86質
量%であり、さらに第3の溶媒が7〜25質量%含まれ
ることが好ましい。以上の本発明で用いられる非塩素系
有機溶媒は、さらに詳細には発明協会公開技報(公技番
号2001−1745、2001年3月15日発行、発
明協会)の12頁〜16頁に詳細に記載されておりい
る。本発明において好ましい有機溶媒の組合せは以下挙
げることができるが、これらに限定されるものではな
い。
【0026】好ましい有機溶媒の組合せの例としては、
酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/ブタ
ノール(75/10/5/5/5、質量部)、酢酸メチ
ル/アセトン/メタノール/エタノール/プロパノール
(75/10/5/5/5、質量部)、酢酸メチル/ア
セトン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン(7
5/10/5/5/5、質量部)、酢酸メチル/メチル
エチルケトン/メタノール/ブタノール(80/10/
5/5、質量部)、酢酸メチル/アセトン/メチルエチ
ルケトン/エタノール/イソプロパノール(75/10
/10/5/7、質量部)、酢酸メチル/シクロペンタ
ノン/メタノール/イソプロパノール(80/10/5
/8、質量部)、酢酸メチル/シクロペンタノン/メタ
ノール/イソブタノール(80/10/5/7、質量
部)、酢酸メチル/シクロペンタノン/アセトン/メタ
ノール/ブタノール(60/15/15/5/6、質量
部)、酢酸メチル/シクロヘキサノン/メタノール/ヘ
キサン(70/20/5/5、質量部)、酢酸メチル/
メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノー
ル(50/20/20/5/5、質量部)、酢酸メチル
/1,3ジオキソラン/メタノール/エタノール(70
/20/5/5、質量部)、酢酸メチル/ジオキサン/
アセトン/メタノール/エタノール(60/20/10
/5/5、質量部)、酢酸メチル/アセトン/シクロペ
ンタノン/エタノール/イソブタノール/シクロヘキサ
ン(65/10/10/5/5/5、質量部)、ギ酸メ
チル/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エ
タノール(50/20/20/5/5、質量部)、ギ酸
メチル/アセトン/酢酸エチル/エタノール/ブタノー
ル/ヘキサン(65/10/10/5/5/5、質量
部)、アセトン/アセト酢酸メチル/メタノール/エタ
ノール(65/20/10/5、質量部)、アセトン/
シクロペンタノン/エタノール/ブタノール(65/2
0/10/5、質量部)、アセトン/1,3ジオキソラ
ン/エタノール/ブタノール(65/20/10/5、
質量部)、1,3ジオキソラン/シクロヘキサノン/メ
チルエチルケトン/メタノール/ブタノール(55/2
0/10/5/5/5、質量部)、アセトン/塩化メチ
レン/メタノール(85/5/5、質量部)、酢酸メチ
ル/塩化メチレン/メタノール/エタノール(70/1
0/15/5、質量部)、1,3−ジオキソラン/塩化
メチレン/メタノール/ブタノール(70/15/10
/5、質量部)、1,4−ジオキサン/塩化メチレン/
アセトン/メタノール/ブタノール(70/5/15/
5/5、質量部)、シクロヘキサノン/塩化メチレン/
アセトン/メタノール/エタノール/イソプロパノール
(60/10/15/5/5/5、質量部)などをあげ
ることができる。ドープには、上記有機溶媒以外に、塩
化メチレンを全有機溶媒量の10質量%以下含有させて
もよい。
【0027】さらに、本発明では塩素系有機溶媒として
塩化メチレン系も使用できる。これらの溶媒組成は以下
のものが好ましい。しかし、環境安全性の面からは上述
の非塩素系有機溶媒の組合せを用いることが好ましく推
奨される。また、塩素系有機溶媒での溶解は、冷却溶解
法で実施することが好ましい。塩化メチレン系の溶媒組
成の例としては、塩化メチレン/メタノール/ブタノー
ル(80/18/3、質量部)、塩化メチレン/メタノ
ール/イソプロパノール(80/18/5、質量部)、
塩化メチレン/アセトン/メタノール/エタノール/イ
ソプロパノール(70/10/15/5/10、質量
部)、塩化メチレン/アセトン/メチルエチルケトン/
メタノール/ブタノール/イソプロパノール(60/1
0/5/5/5/5、質量部)が挙げられる。
【0028】セルロースアシレートの会合分子量の制御
には、セルロースアシレートの貧溶媒(例、アルコー
ル、炭化水素)の添加および量の調整が有効である。好
ましいアルコールは、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノー
ル、t−ブタノールおよびシクロヘキサノールである。
好ましい炭化水素は、ヘキサンおよびシクロヘキサンで
ある。
【0029】本発明に用いるドープは、セルロースアシ
レートが、有機溶媒に15〜30質量%溶解しているこ
とを特徴とするが、より好ましくは17〜27質量%、
特には18〜25質量%溶解していることが好ましい。
これらの濃度にする方法は、溶解する段階で所定の濃度
になるように実施してもよく、また予め低濃度溶液とし
て作製した後に後述する濃縮工程で所定の高濃度に調整
してもよい。さらに、予め高濃度のセルロースアシレー
ト溶液として後に、種々の添加物を添加することで所定
の低濃度のセルロースアシレート溶液としてもよく、い
ずれの方法で本発明のセルロースアシレート溶液濃度に
なるように実施されれば特に問題ない。
【0030】次に、本発明ではセルロースアシレート溶
液を同一組成の有機溶媒で0.1〜1質量%にした希釈
溶液のセルロースアシレートの会合体分子量が400万
〜1000万であることを特徴とする。さらに好ましく
は、会合分子量が400万〜700万である。この会合
分子量は静的光散乱法で求めることができる。その際に
同時に求められる慣性自乗半径は40〜200nmにな
るように溶解することが好ましい。さらに好ましい慣性
自乗半径は70〜200nmである。更にまた、第2ビ
リアル係数が−2×10-4〜4×10-4となるように溶
解することが好ましく、より好ましくは第2ビリアル係
数が−2×10-4〜2×10-4である。
【0031】ここで、会合分子量、慣性自乗半径および
第2ビリアル係数の定義について述べる。これらは、下
記方法に従って、静的光散乱法を用いて測定した。なお
これらの測定は装置の都合上希薄領域で測定するが、こ
れらの測定値は高濃度域のドープの挙動を反映するもの
である。まず、セルロースアシレートをドープに使用す
る溶剤に溶かし、0.1質量%、0.2質量%、0.3
質量%、0.4質量%の溶液を調製した。なお、秤量
は、吸湿を防ぐためセルロースアシレートは120℃で
2時間乾燥したものを用い、25℃10%RHの環境下
で行った。溶解方法は、ドープ溶解時に採用した方法
(常温溶解法、冷却溶解法、高温溶解法)に従って実施し
た。続いてこれらの溶液、および溶剤を0.2μmのテ
フロン(登録商標)製フィルターで濾過した。そして、
ろ過した溶液を静的光散乱を、光散乱測定装置(大塚電
子(株)製、DLS−700)を用い、25℃に於いて
30度から140度まで10度間隔で測定した。得られ
たデータをBERRYプロット法にて解析した。なお、
この解析に必要な屈折率はアッベ屈折系で求めた溶剤の
値を用い、屈折率の濃度勾配(dn/dc)は、示差屈
折計(大塚電子(株)製、DRM−1021)を用い、
光散乱測定に用いた溶剤、溶液を用いて測定した。
【0032】次に本発明のセルロースアシレート溶液
(ドープ)の調製については、その溶解方法は特に限定
されず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温
溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。
これらに関しては、例えば特開平5−163301、特
開昭61−106628、特開昭58−127737、
特開平9−95544、特開平10−95854、特開
平10−45950、特開2000−53784、特開
平11−322946、さらに特開平11−32294
7、特開平2−276830、特開2000−2732
39、特開平11−71463、特開平04−2595
11、特開2000−273184、特開平11−32
3017、特開平11−302388などにセルロース
アシレート溶液の調製法、が記載されている。以上記載
したこれらのセルロースアシレートの非塩素系有機溶媒
への溶解方法は、本発明においても適宜本発明の範囲で
あればこれらの技術を適用できるものである。これらの
詳細については、発明協会公開技報(公技番号 200
1−1745、2001年3月15日発行、発明協会)
にて22頁〜25頁に詳細に記載されている方法で実施
される。さらに本発明のセルロースアシレートのドープ
溶液は、溶液濃縮,ろ過が通常実施され、同様に発明協
会公開技報(公技番号 2001−1745、2001
年3月15日発行、発明協会)にて25頁に詳細に記載
されている。
【0033】次に、本発明のセルロースアシレート溶液
を用いたフイルムの製造方法について述べる。本発明の
セルロースアシレートフイルムを製造する方法及び設備
は、従来セルローストリアセテートフイルム製造に供す
る溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられ
る。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースア
シレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれ
ている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排
出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液でき
る加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ド
ープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに
走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延さ
れ、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドー
プ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得
られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながら
テンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群
で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き
取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせは
その目的により変わる。ハロゲン化銀写真感光材料や電
子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方
法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電
防止層、ハレーション防止層、保護層等のフイルムへの
表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。
これらの各製造工程については、発明協会公開技報(公
技番号 2001−1745、2001年3月15日発
行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載され、
流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥,剥離,延伸
などに分類される。
【0034】セルロースアシレートフイルムは、場合に
より表面処理を行うことによって、セルロースアシレー
トフイルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック
層)との接着の向上を達成することができる。例えばグ
ロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処
理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここ
でいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低
圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気
圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体
とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体
をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キ
セノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様
なフロン類及びそれらの混合物などが例示できる。これ
らについては、発明協会公開技報(公技番号2001−
1745、2001年3月15日発行、発明協会)の3
0頁〜32頁に詳細に記載されている。なお、近年注目
されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1
000Kev下で20〜500Kgyの照射エネルギー
が用いられ、より好ましくは30〜500Kev下で2
0〜300Kgyの照射エネルギーが用いられる。これ
らの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセ
ルロースアシレートフイルムの表面処理としては極めて
有効である。
【0035】フイルムと乳剤層との接着を達成するため
に、表面活性化処理をしたのち、直接セルロースアシレ
ートフイルム上に機能層を塗布して接着力を得る方法
と、一旦何がしかの表面処理をした後、あるいは表面処
理なしで、下塗層(接着層)を設け、この上に機能層を
塗布する方法とがある。これらの下塗層についての詳細
は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、
2001年3月15日発行、発明協会)の32頁に記載
されている。また本発明のセルロースアシレートフイル
ムの機能性層についても各種の機能層が、発明協会公開
技報(公技番号2001−1745、2001年3月1
5日発行、発明協会)の32頁〜45頁に詳細に記載さ
れている。
【0036】作製されたセルロースアシレートフイルム
の用途についてまず簡単に述べる。本発明のセルロース
アシレートフイルムは、光学フイルム、特に偏光板保護
フイルム用として有用である。偏光板保護フイルムとし
て用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一
般的な方法で作製することができる。得られたセルロー
スアシレートフイルムをアルカリ処理し、ポリビニルア
ルコールフイルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した
偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液
を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わ
りに特開平6−94915号および特開平6−1182
32号の各公報に記載されているような易接着加工を施
してもよい。保護フイルム処理面と偏光子を貼り合わせ
るのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニル
アルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアル
コール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラ
テックス等が挙げられる。
【0037】偏光板は偏光子及びその両面を保護する保
護フイルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面
にプロテクトフイルムを、反対面にセパレートフイルム
を貼合して構成される。プロテクトフイルム及びセパレ
ートフイルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏
光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテク
トフイルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合さ
れ、偏光板を液晶板へ貼合す面の反対面側に用いられ
る。又、セパレートフイルムは液晶板へ貼合する接着層
をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合す
る面側に用いられる。液晶表示装置には通常2枚の偏光
板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明の
光学フイルムを適用した偏光板保護フイルムはどの部位
に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装
置の表示側最表面の偏光板保護フイルムには透明ハード
コート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該
偏光板保護フイルムをこの部分に用いることが得に好ま
しい。
【0038】本発明のセルロースアシレートフイルム
は、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光
学補償シートとして用いると特に効果がある。本発明の
セルロースアシレートフイルムは、様々な表示モードの
液晶セルに用いることができる。TN( Twisted Nemat
ic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroe
lectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti-ferroelec
tric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensat
ory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA
(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned
Nematic)のような様々な表示モードが提案されてい
る。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも
提案されている。セルロースアシレートフイルムは、い
ずれの表示モードの液晶表示装置においても有効であ
る。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表
示装置においても有効である。本発明のセルロースアシ
レートフイルムを、TNモードの液晶セルを有するTN
型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いて
もよい。本発明のセルロースアシレートフイルムを、S
TNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の
光学補償シートの支持体として用いてもよい。一般的に
STN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分
子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶
性分子の屈折率異方性(△n)とセルギャップ(d)と
の積(△nd)が300〜1500nmの範囲にある。
STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについて
は、特開2000−105316号公報に記載がある。
本発明のセルロースアシレートフイルムは、VAモード
の液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シー
トの支持体として特に有利に用いられる。本発明のセル
ロースアシレートフイルムは、OCBモードの液晶セル
を有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの
液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シー
トの支持体としても有利に用いられる。
【0039】本発明のセルロースアシレートフイルム
は、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest-Host)
型の反射型液晶表示装置の光学補償シートとしても有利
に用いられる。これらの表示モードは古くから良く知ら
れている。TN型反射型液晶表示装置については、特開
平10−123478号、WO9848320号、およ
び特許第3022477号の各公報に記載がある。反射
型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、国
際特許出願WO00−65384号明細書に記載があ
る。本発明のセルロースアシレートフイルムは、ASM
(Axially Symmetric Aligned Microcell )モードの液
晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シート
の支持体としても有利に用いられる。ASMモードの液
晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサー
により維持されているとの特徴がある。その他の性質
は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモード
の液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ
(Kume)他の論文(Kume et al., SID 98 Digest 1
089 (1998))に記載がある。以上述べてきたこれらの詳
細なセルロースアシレートフイルムの用途は、発明協会
公開技報(公技番号2001−1745、2001年3
月15日発行、発明協会)の45頁〜59頁に詳細に記
載されている。
【0040】
【実施例】各実施例において、セルロースアシレート、
溶液およびフイルムの化学的性質および物理的性質は、
以下のように測定および算出した。
【0041】(1)フイルムの剥げ残り 得られたフイルムを支持体から剥ぎ取る際の支持体表面
を目視で観察し、セルロースアシレートフイルムの剥げ
残りを以下の如く評価した。 A:支持体に剥げ残りは認められない。 B:支持体に剥げ残りがわずかに認められた。 C:支持体に剥げ残りがかなり認められた。 D:支持体に剥げ残りが多量認められた。
【0042】(2)フイルムの横段ムラ(ムラと略称) 得られたフイルムを目視で観察し、その横段状ムラの欠
陥を以下の如く評価した。 A:フイルムに横段ムラは認められない。 B:フイルムに横段ムラがわずかに認められた。 C:フイルムに横段ムラがかなり認められた。 D:フイルムに横段ムラが多量認められた。
【0043】(3)フイルムのブツ(ブツと略称) 得られたフイルムを目視で観察し、その表面上のブツを
以下の如く評価した。 A:フイルム表面にブツは認められなかった。 B:フイルム表面にブツがわずかに認められた。 C:フイルム表面にかなりのブツが認められた。 D:フイルム表面に凹凸が見られ、ブツが多数認められ
た。
【0044】(4)フイルムのヘイズ ヘイズ計(1001DP型、日本電色工業(株)製)を
用いて測定した。
【0045】[実施例1] (1−1)セルロースアシレート溶液の作製 攪拌羽根を有する100Lのステンレス製溶解タンク
に、下記の溶媒混合溶液によく攪拌、分散しつつ、表1
に記載のセルロースアシレート粉体(フレーク)を徐々
に添加し、全体が40kgになるように仕込んだ。な
お、溶媒である酢酸メチルとブタノール、アセトン、メ
タノール、エタノールは、すべてその含水率が0.2質
量%以下のものを利用した。まず、セルローストリアセ
テートの粉末は、分散タンクに紛体が投入されタンク内
を1300Paに減圧し、攪拌剪断速度を最初は15m
/sec(剪断応力5×104kgf/m/sec2
の周速で攪拌するディゾルバータイプの偏芯攪拌軸およ
び、中心軸にアンカー翼を有して周速1m/sec(剪
断応力1×104kgf/m/sec2 )で攪拌する条
件下で30分間分散した。分散の開始温度は25℃であ
り、最終到達温度は48℃となった。分散終了後、高速
攪拌は停止し、アンカー翼の周速を0.5m/secと
してさらに100分間攪拌し、セルローストリアセテー
トフレークを膨潤させた。膨潤終了までは窒素ガスでタ
ンク内を0.12MPaになるように加圧した。この際
のタンク内の酸素濃度は2vol%未満であり防爆上で
問題のない状態を保った。またドープ中の水分量は0.
2質量%以下であることを確認した。セルロースアシレ
ート溶液の組成は以下の通りである。
【0046】セルローストリアセテート(置換度2.8
2、粘度平均重合度320、含水率0.4質量%、メチ
レンクロライド溶液中6質量%の粘度305mPa・
s、平均粒子径1.5mmであって標準偏差0.5mm
である粉体)(添加量は表1に記載)、酢酸メチル(5
8質量部)、アセトン(5質量部)、メタノール(5質
量部)、エタノール(5質量部)、ブタノール(添加量
は表1に記載)、可塑剤A(ジトリメチロールプロパン
テトラアセテート)(1.2質量部)、可塑剤B(トリ
フェニルフォスフェート)(1.2質量部)、UV剤a
(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,
3,5−トリアジン(0.2質量部)、UV剤b(2
(2’−ヒドロキシ−3’,5‘−ジ−tert−ブチルフ
ェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール)(0.2質
量部)、UV剤c(2(2’−ヒドロキシ−3’,5
‘−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベン
ゾトリアゾール)(0.2質量部)、微粒子(二酸化ケ
イ素(粒径20nm)、モース硬度 約7)(0.05
質量部)、クエン酸モノエチルエステル(0.04質量
部)を用いた。なお、ここで使用した主溶媒である酢酸
メチルは、溶解性パラメーターは19.6であり、併用
されるアセトンは溶解性パラメーターは20.3での溶
媒である。さらに、ここで使用したセルローストリアセ
テートは、残存酢酸量が0.1質量%以下であり、Ca
が0.05質量%、Mgは0.007質量%であり、さ
らにFeは5ppmであった。また6位アセチル基は
0.95であり全アセチル中の32.2%であった。ま
た、アセトン抽出分は11質量%、重量平均分子量と数
平均分子量の比は0.5であり、分布の均一なものであ
った。またヘイズは0.08、透明度は93.5%であ
り、Tgは160℃、結晶化発熱量は6.2J/gであ
った。
【0047】(1−2)セルローストリアセテートフイ
ルム溶液 得られた不均一なゲル状溶液を軸中心部を30℃に加温
したスクリューポンプで送液して、そのスクリュー外周
部から冷却して−75℃で3分間となるように冷却部分
を通過させた。冷却は冷凍機で冷却した−80℃の冷媒
を用いて実施した。そして、冷却により得られた溶液は
スクリュ−ポンプで送液中に50℃に加温されてステン
レス製の容器に移送した。50℃で2時間攪拌し均一溶
液とした後、絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾
紙(株)製、#63)でろ過し、さらに絶対濾過精度
2.5μmの濾紙(ポール社製、FH025)にて濾過
した。
【0048】(1−3)セルローストリアセテートフイ
ルムの作製 ろ過済みの50℃のセルローストリアセテート溶液を、
流延ギーサーを通して鏡面ステンレス支持体上に流延し
た。支持体温度は0℃であり、流延スピードは40m/
分でその塗布幅は70cmとした。乾燥は55℃の乾燥
風を送風した。5分後に鏡面ステンレス支持体から剥ぎ
取り(この時の剥ぎ取り直後の固形分濃度は、約30〜
60質量%であった)、しかる後に110℃、5分、更
に140℃で10分乾燥(フイルム温度は約130℃)
して、セルローストリアセテートフイルム(膜厚80μ
m)を得た。
【0049】(1−4)結果 表1に、得られた試料の評価結果を示した。本発明のセ
ルロースアシレート濃度と会合体重合度の小さいコント
ロール試料1−1や比較試料1−2は剥げ残りが著しく
発生し、ムラ、及びヘイズも大きく劣るものであった。
また、これに対し本発明の試料1−2〜1−8は、剥げ
残りもなく、ムラ、ブツもなく又ヘイズも小さくて面状
の優れるものであった。また、セルロースアシレートの
溶液濃度が低いかあるいは会合体分子量が本発明の範囲
外である比較試料1−9〜1−11は、剥げ残りが著し
く悪くムラとヘイズも悪いものであった。なお、本発明
の試料1−2〜1−8における慣性自乗半径は40〜2
00nmであり、また第2ビリアル係数が−2×10-4
〜4×10-4であることを確認した。
【0050】
【表1】
【0051】[実施例2]本発明の試料1−4につい
て、(1−2)セルローストリアセテートフイルム溶液
を下記に変更する以外は実施例1と全く同様にしてて試
料2−4を得た。
【0052】(1−2)のセルローストリアセテートフ
イルム溶液得られた不均一なゲル状溶液をスクリューポ
ンプで送液して、140℃、1MPaに加温加圧した加
熱部分を3分間通過させた後、110℃、1MPaに加
温加圧して、絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾
紙(株)製、#63)でろ過し、さらに絶対濾過精度
0.0025mmの濾紙(ポール社製、FH025)に
て濾過した。
【0053】(2−1)結果 得られた本発明の試料2−4は、ろ過性もよく、剥げ残
りもなくムラ、ブツ及びヘイズも優れたものであった。
このことから、本発明においては高温高圧溶解において
も優れたセルロースアセテート溶液とセルロースアセテ
ートフイルムが作製できることが確証された。
【0054】[実施例3]実施例1の試料1−4におい
て、可塑剤A及びBを共に0質量部として除去する以外
は実施例1と全く同様にして、本発明の試料3−4を作
製した。得られた試料3−4は、剥げ残りもなく、ム
ラ、ブツは共にAであり、ヘイズは0.3である優れた
ものであった。一方、その耐折試験を実施したところ、
試料1−4は95回であるのに対し、本発明の範囲では
あるが可塑剤がない試料3−4は、耐切試験は84回と
実用状問題ないが若干劣るものであった。従って、本発
明ではセルロースアシレートフイルムが可塑剤を含有す
ることが、より好ましい態様であることが明らかであ
る。ここで耐折強度の評価は、試料120mm×120
mmを、23℃、65%RHの環境において2時間調湿
し、ISO8776−1988に従って折り曲げによっ
て切断するまでの往復回数を測定して評価した。
【0055】[実施例4]実施例1の試料1−6におい
てUV剤a、b、cを共に0質量部として除去する以外
は実施例1と全く同様にして、本発明の試料4−6を作
製した。得られた試料4−6は、剥げ残りもなく、ム
ラ、ブツは評価Aであり、ヘイズも0.2である優れた
ものであった。一方、その光褪色試験をキセノンランプ
2万ルクス、1ヶ月実施したところ、試料1−6はヘイ
ズが0.4%であるのに対し、本発明の範囲であるが試
料4−6はそのヘイズが0.6と若干アップした。従っ
て、本発明ではセルロースアシレートフイルムがUV剤
を含有することがより好ましい態様であることが明らか
である。
【0056】[実施例5]実施例1の試料1−7におい
て微粒子のシリカを0質量部として除去する以外は実施
例1と全く同様にして、本発明の試料5−7を作製し
た。得られた試料5−7は、剥げ残りもなく、ムラ及び
ブツは評価Aであり、ヘイズも0.2である優れたもの
であった。一方、そのフイルムを2枚重ねて滑りやすさ
を調べたところ、試料1−7はスムーズに2枚を動かす
ことができるのに対し、本発明の範囲であるが試料5−
7は、フイルム同士の動きが若干悪かった。従って、本
発明ではセルロースアシレートフイルムが微粒子を含有
することがより好ましい態様であることが明らかであ
る。
【0057】[実施例6]実施例1の本発明の試料1−
5において、実施例1の(1−2)セルローストリアセ
テートフイルムの作製を以下に変更する以外は実施例1
と全く同様にして、本発明の試料6−5のセルロースト
リアセテートフイルムを作製した。すなわち、(1−
1)で得られたセルローストリアセテート溶液の一部を
採液し、酢酸メチルを全体の10質量%添加して希釈し
たセルローストリアセテート溶液(溶液A)を作製し
た。得られた溶液は、特開平06−134993号公報
に記載の共流延法に従って試料1−5のセルローストリ
アセテート溶液を内部に、そしてその両側にセルロース
トリアセテート溶液(溶液A)を積層共流延し、共流延
セルローストリアセテートフイルムを得た。なおその膜
厚は、両側を3μmとし内部を34μmとして総厚が4
0μmとなるようにした。得られた試料6−5の面状
は、試料1−5よりも表面が滑らかで凹凸がなく更に優
れたものであった。従って本発明においては共流延する
ことが更に優れた態様であることが明らかである。
【0058】[実施例7]特開平11−316378号
公報の実施例1において、その第1透明支持体を本発明
の実施例1の試料1−4で得られるセルローストリアセ
テートフイルム(第2フイルム)の厚さを100μmと
したものに変更する以外は全く同様にして、特開平11
−316378号公報の実施例1を実施して、試料7−
4を作製した。得られた楕円偏光板の光学特性は優れた
ものであった。従って、本発明の製造工程において特定
の洗浄溶液を用いることで、その後に作製されるセルロ
ースアシレートフイルムが光学偏光板に適応されても問
題のない好ましい態様であることが明らかである。
【0059】[実施例8]実施例1の本発明の試料1−
4のセルローストリエステルフイルムに、特開平7−3
33433号公報の実施例1の富士写真フイルム(株)
製セルローストリアセテートを、本発明の試料1−4の
セルローストリアセテートフイルムに変更する以外は特
開平7−333433号公報の実施例1と全く同様にし
て、光学補償フィルターフイルム試料を作製した。得ら
れたフィルターフイルムは左右上下に優れた視野角を有
するものであった。したがって、本発明のセルロースト
リアセテートフイルムが、光学的用途として優れたもの
であることが判る。
【0060】[実施例9]本発明では更に、多種の光学
用途に利用され、本発明の代表として試料1−3を、例
えば特開平10−48420号公報の実施例1に記載の
液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1
に記載のディスコティック液晶分子を含む光学的異方性
層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開20
00−154261号公報の図2〜9に記載のVA型液
晶表示装置、特開2000−154261号公報の図1
0〜15に記載のOCB型液晶表示装置に用いたところ
良好な性能が得られた。
【0061】[実施例10]実施例1の本発明の試料1
−3において、そのフイルム厚さを120μmとする以
外は、実施例1と全く同様にしてそのフイルムである本
発明の試料10−3を作製した。得られたフイルムの一
方に、特開平4−73736号公報の実施例1の(バッ
ク層組成)第一層及び第2層を付与し、カチオン系ポリ
マーを導電性層とするバック層を作製した。更に、得ら
れたバック層を付与したフイルムベースの反対の面に、
特開平11−38568号公報の実施例1の試料105
を塗布し、ハロゲン化銀カラー写真感光材料を作製し
た。得られたカラーフイルムは優れた映像が得られかつ
その取り扱い性においても問題のないものであった。
【0062】[実施例11]実施例1の本発明の試料1
−3において、ブタノールをイソプロパノールに変更し
その量を8質量部に変更する以外は実施例1と全く同様
にして、そのフイルムである本発明の試料11−3を作
製した。得られた希薄溶液の会合体分子量は570万で
あり、剥げ残りA、ムラAおよびブツAであり、ヘイズ
も0.3と小さく、すべての点で優れたものであった。
【0063】[実施例12]実施例1の本発明の試料1
−6において、酢酸メチルを塩化メチレンに変更する以
外は実施例1と全く同様にして、そのフイルムである本
発明の試料12−3を作製した。得られた希薄溶液の会
合体分子量は630万であり、剥げ残りA、ムラAおよ
びブツAであり、ヘイズも0.3と小さく、すべての点
で優れたものであった。
【0064】
【発明の効果】本発明に従うと、製造工程でセルロース
アシレート溶液の支持体に流延した後、そのセルロース
アシレートフイルムを剥ぎ取る際に、高速でも剥ぎ取り
性が良好である溶液が得られ、この溶液により、ムラや
ブツの発生のないセルロースアシレートフイルムを提供
できる。さらに、光学的異方性に優れ膜強度に優れたセ
ルローストリエステルフイルムを提供することができ
る。更に、感材用支持体としても優れたセルローストリ
アセテートフイルムを作製できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 1:10 C08L 1:10 Fターム(参考) 2H023 FA01 4F071 AA09 AC06 AC07 AC10 AH19 BA02 BB02 BC01 4F205 AA01J AB06 AB07 AB20 AC04 AC05 AG01 AH73 AR20 GA07 GC06 GE22 GF02 GF03 GF24 GN13 GN18 GN21 GN29

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロースアシレートが有機溶媒に15
    〜30質量%溶解しているセルロースアシレート溶液で
    あって、その溶液を同一組成の有機溶媒で0.1〜1質
    量%にした希釈溶液のセルロースアシレートの会合体分
    子量が400万〜1000万(25℃)であるセルロー
    スアシレート溶液から作製されたセルロースアシレート
    フイルム。
  2. 【請求項2】 セルロースアシレートが、セルロースの
    水酸基への置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足
    するセルロースアシレートであることを特徴とする請求
    項1に記載のセルロースアシレートフイルム: (I)2.6≦SA+SB≦3.0 (II)2.0≦SA≦3.0 (III)0≦SB≦0.8 [式中、SA及びSBは、セルロースの水酸基に置換さ
    れているアシル基の置換基を表し;SAは、アセチル基
    の置換度を表し;そしてSBは、炭素原子数が3〜22
    のアシル基の置換度を表す]。
  3. 【請求項3】 有機溶媒が、非塩素系有機溶媒である炭
    素原子数が3〜12のエーテル類、炭素原子数が3〜1
    2のケトン類および炭素原子数が3〜12のエステル類
    から選ばれた少なくとも一種の溶媒であることを特徴と
    する請求項1に記載のセルロースアシレートフイルム。
  4. 【請求項4】 セルロースアシレート溶液が、下記(I
    V)〜(VI)の少なくとも一種の調製方法により得られ
    た請求項1に記載のセルロースアシレートフイルム: (IV)−10〜55℃で膨潤する工程、その混合物を0
    〜57℃に加温して有機溶媒中にセルロースアセテート
    を溶解する工程からなるセルロースアセテート溶液の調
    製方法 (V)−10〜55℃で膨潤する工程、−100〜−1
    0℃に冷却する工程、および冷却した混合物を0〜57
    ℃に加温して有機溶媒中にセルロースアセテートを溶解
    する工程からなるセルロースアセテート溶液の調製方法 (VI)−10〜55℃で膨潤する工程、0.2〜30M
    Paで60〜240℃に高圧高温で加熱する工程、およ
    び加熱した混合物を0〜57℃に冷却して有機溶媒中に
    セルロースアセテートを溶解する工程からなる調製方
    法。
  5. 【請求項5】 セルロースアシレートと有機溶媒を混合
    する際に、セルロースアシレートの90質量%以上に、
    粒径が0.1〜5mmの粒子を使用し、得られたセルロ
    ースアシレート溶液をろ過する工程、セルロースアシレ
    ート溶液を支持体上に流延する工程、剥ぎ取る工程、溶
    媒を蒸発させてフイルムを形成する乾燥工程、そして作
    製されたセルロースアシレートフイルムを巻き取る工程
    から作製された請求項1に記載のセルロースアシレート
    フイルム。
  6. 【請求項6】 セルロースアシレート溶液が、少なくと
    も一種の可塑剤をセルロースアシレートに対して0.1
    〜20質量%含有しているセルロースアシレート溶液で
    あること、及び/又は少なくとも一種の紫外線吸収剤を
    セルロースアシレートに対して0.001〜5質量%含
    有しているセルロースアシレート溶液であること、及び
    /又は少なくとも一種の微粒子粉体をセルロースアシレ
    ートに対して0.001〜5質量%含有しているセルロ
    ースアシレート溶液であること、及び/又は少なくとも
    一種のフッ素系界面活性剤をセルロースアシレートに対
    して0.001〜2質量%含有しているセルロースアシ
    レート溶液であること、及び/又は少なくとも一種の離
    型剤をセルロースアシレートに対して0.0001〜2
    質量%含有しているセルロースアシレート溶液であるこ
    と、及び/又は少なくとも一種の劣化防止剤をセルロー
    スアシレートに対して0.0001〜2質量%含有して
    いるセルロースアシレート溶液であること、及び/又は
    少なくとも一種の光学異方性コントロール剤をセルロー
    スアシレートに対して0.1〜15質量%含有している
    セルロースアシレート溶液であることを特徴とする請求
    項1に記載のセルロースアシレートフイルム。
  7. 【請求項7】 流延工程で2種類以上のセルロースアシ
    レート溶液を共流延することを特徴とする請求項1に記
    載のセルロースアシレートフイルム。
  8. 【請求項8】 作製されたセルロースアシレートフイル
    ムが、光学用保護層として用いられるセルロースアシレ
    ートフイルムであり、その膜厚が10〜500μmであ
    るか、あるいはまた作製されたセルロースアシレートフ
    イルムがハロゲン化銀写真感光材料用保支持体としであ
    り、その膜厚が30〜250μmであることを特徴とす
    る請求項1に記載のセルロースアシレートフイルム。
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