JPH1166906A - 車両用灯具及び車両用装飾具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両用灯具において、点灯時のレンズ全面の
均一な輝度分布。本来の機能色の発光。非点灯時の良好
な外観。車両用装飾具の良好な外観。 【解決手段】 透明プレート１０に、蒸着膜１１及び又
は有色透明印刷膜１２及び凸形（無色又は有色）透明印
刷層１３が形成されてなる印刷シート６が、車両用灯具
や車両用装飾具に装備されている。この結果、車両用灯
具の点灯時、光源バルブ４からの光が蒸着膜１１の内面
反射作用により、ダークゾーンＤ′や光ムラの発現を防
止でき、均一な輝度分布が得られ、かつ光源バルブから
の光は蒸着膜１１以外の部分から外部に出射され、本来
の機能色が発光する。また、車両用灯具の非点灯時、車
両用装飾具の場合、外来光が蒸着膜１１の外面反射作用
により、有色透明印刷膜１２を通過して着色され、凸形
透明印刷層１３で屈折せしめられて、光輝感があり立体
感がある有色光が生じるので、良好な外観が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車両用灯具及び車
両用装飾具に係り、特に、点灯時においてはレンズ全面
の均一な輝度分布が得られ、かつ灯具本来の光学的機能
を果たし、また非点灯時においては良好な外観が得られ
る車両用灯具、及び、良好な外観が得られる車両用装飾
具に関するものである。ここで、車両用灯具とは、ラン
プハウジング及びレンズにより画成された灯室内に光源
を有するリヤーコンビネーションランプ、フロントコン
ビネーションランプ、クリアランスランプ、ターンシグ
ナルランプ、フォグランプ、ヘッドランプ等を言う。一
方、車両用装飾具とは、ハウジング及びレンズにより画
成された室内に光源の無いリヤーフィニッシャーやガー
ニッシュ等を言う。

【０００２】

【従来の技術】車両用灯具は、一般に、ランプハウジン
グの前面開口部をレンズで覆うとともに、該ランプハウ
ジングとレンズとによって囲まれた空間（灯室）内に光
源バルブを配置した構造である。この車両用灯具は、点
灯時において、光源バルブからの光がレンズを通過して
灯具前方に投光される。この車両用灯具は、照明用、信
号用、装飾用、それらの組合せのものに使用されてい
る。なお、上述の光源バルブからの光とは、光源バルブ
から出射した光束であって、直接的に、および／または
リフレクタ（ランプハウジングと一体のもの又は別体の
ものである反射面）で反射された光束のことを言う。一
方、車両用装飾具は、一般に、ハウジングの前面開口部
をレンズで覆うとともに、該ハウジングとレンズとによ
って囲まれた空間（室）内に光源が無い構造である。こ
の車両用装飾具は、外側の周囲の外来光や環境光等（例
えば太陽光，他車のヘッドランプ光などであって、以
下、単に外来光と言う）がレンズを経て室内にに入射さ
れて装飾作用を果たすものであって、装飾用として使用
されている。

【０００３】図４は、例えばマルチリフレクタ等の段差
部の付いた反射面（多段反射面）が形成されたランプハ
ウジングを有する車両用灯具の２面図であって、（Ａ）
は従来技術の車両用灯具のレンズ面に生じるダークゾー
ンを付記した正面図、（Ｂ）は従来技術における光路矢
印と本発明の実施形態における光路矢印とを付記した断
面側面図である。図４において、ランプハウジング８の
内側には段差部の付いた多段反射面８ａが形成されてい
る。この多段反射面８ａの一つ一つは、所定の光学的性
能を果たすようになっている。例えば矢印ａのように光
源バルブ４から出射して多段反射面８ａの有効反射面区
域で反射された光束は、矢印ｂのように所定の方向に反
射されてレンズ９に入射し、該レンズ９で調光されて所
望の配光パターンを構成する要素の一つとして有効に作
用する。この多段反射面８ａを使用した車両用灯具は、
灯具の奥行寸法を小さくする利点がある。なお、上述の
多段反射面８ａは、ランプハウジング８に一体に設けら
れているものであるが、ランプハウジング８と別体に設
けられているものもある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、多段反
射面８ａを使用した車両用灯具においては、図４（Ｂ）
に示すように、光源バルブ４から出射して矢印ｃのよう
に段差部に入射した光束が該段差の陰の部分に到達しな
いので、反射面上のダークゾーンＤが発生する。この結
果、多段反射面８ａを使用した車両用灯具においては、
上述のようにして、多段反射面８ａによる反射光束が全
面について均一でないので、図４（Ａ）に示すように、
点灯時のレンズ９を正面から見たとき、輝度分布が一様
でなく、レンズ面のダークゾーンＤ′が現れる。灯室内
における反射光の不均一は、上述の多段反射面８ａを使
用した車両用灯具以外においても生じる。例えば図３に
示したコンビネーションランプにおいては、図の下半部
に描かれているランプ（乙）のランプハウジング１内面
のα付近とβ付近とを比較すると、光源バルブ・乙４Ｂ
からの距離も異なり、光源バルブ・乙４Ｂに対する角度
も異なるので反射特性が異っている。この結果、従来の
車両用灯具は、点灯時において、レンズ全面の均一な輝
度分布が得られない等の課題がある。また、従来の車両
用灯具は、非点灯時において、レンズの外観がただ単に
そのまま見えるので、外観上課題がある。一方、従来の
車両用装飾具も、レンズの外観がただ単にそのまま見え
るので、外観上課題がある。

【０００５】本発明の目的は、点灯時においてはレンズ
全面の均一な輝度分布が得られ、かつ灯具本来の光学的
機能を果たし、また非点灯時においては良好な外観が得
られる車両用灯具、及び、良好な外観が得られる車両用
装飾具を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明（請求項１乃至５
に記載の発明）は、上記目的を達成するために、ランプ
ハウジング及びレンズにより画成された灯室内に光源バ
ルブが設置されている車両用灯具において、前記レンズ
に沿わせて、もしくは前記レンズとほぼ平行に印刷シー
トが配置され、または、印刷シートが前記レンズとして
用いられており、請求項１に記載の印刷シートは、透明
なプレートの内側の面に所定パターンの蒸着膜が成膜さ
れるとともに、上記蒸着膜に対向せしめて前記プレート
の外側の面に有色透明な印刷膜が印刷され、かつ、上記
有色透明な印刷膜の外側表面に凸形の透明な印刷層が形
成されているものであることを特徴とし、請求項２に記
載の印刷シートは、透明なプレートの内側の面に所定パ
ターンの蒸着膜が成膜されるとともに、上記蒸着膜に対
向せしめて前記プレートの外側の面に有色透明な印刷膜
が印刷され、かつ、上記有色透明な印刷膜の外側表面に
凸形の無色透明な印刷層が形成されているものであるこ
とを特徴とし、請求項３に記載の印刷シートは、透明な
プレートの外側の面に所定パターンの蒸着膜が成膜され
るとともに、上記蒸着膜の外側表面に有色透明な印刷膜
が印刷され、かつ、上記有色透明な印刷膜の外側表面に
凸形の無色透明な印刷層が形成されているものであるこ
とを特徴とし、請求項４に記載の印刷シートは、透明な
プレートの内側の面に所定パターンの蒸着膜が成膜され
るとともに、上記蒸着膜に対向せしめて前記プレートの
外側の面に凸形の有色透明な印刷層が形成されているも
のであることを特徴とし、請求項５に記載の印刷シート
は、透明なプレートの内側の面に所定パターンの蒸着膜
が成膜されるとともに、上記蒸着膜の外側表面に凸形の
有色透明な印刷層が形成されているものであることを特
徴とする、ものである。

【０００７】この結果、本発明の車両用灯具は、光源バ
ルブの点灯時において、灯室内の光源バルブからの光
（光源バルブからの直射光やリフレクタからの反射光
等）が蒸着膜の内面反射作用により反射され、この蒸着
膜の内面で反射された光は灯室内において反射されたり
再反射されたりした後にレンズに入射して該レンズを通
過するので、ダークゾーンや光ムラの発生を軽減若しく
は無くすことができ、この結果、点灯時においてレンズ
全面の均一な輝度分布が得られる。

【０００８】しかも、この車両用灯具の印刷シートは、
パターン形状の実質部に形成された蒸着膜は光源バルブ
から出射した光を反射させる非透過部であるが、該パタ
ーン形状の空隙部はその空隙部に入射した光をそのまま
通過させる透過部である。従って、当該車両用灯具の点
灯時には主として上記空隙部を通過する光束によって本
来の機能色が発光し、車両用灯具本来の光学的機能を果
たす。すなわち、本発明の適用によって車両用灯具本来
の機能が損われることは無い。

【０００９】また、本発明の車両用灯具は、非点灯時に
おいて、外来光が前記の蒸着膜の外面反射作用により反
射され、凸形の透明な印刷層で集光傾向に屈折して灯具
前方に出射するので、車両用灯具外観に光輝感（光沢
感、メタリック感、キラキラ感等）と立体感とが与えら
れ、自動車の意匠にアクセントを付与することができ、
この結果、良好な外観が得られる。さらに、本発明の車
両用灯具は、有色透明な印刷膜又は凸形の有色透明な印
刷層により、有色の光輝感と立体感とが与えられて良好
な外観が得られる。

【００１０】このように、本発明の車両用灯具は、蒸着
膜部分の非透過部分と、非蒸着膜部分の透過部分との組
み合わせにより、点灯時には蒸着膜の内面反射でレンズ
全面の均一な輝度分布が得られ、しかも非蒸着膜部分の
光透過で車両用灯具本来の光学的機能を果たし、また非
点灯時には蒸着膜の外面反射で良好な外観が得られる。

【００１１】一方、本発明（請求項６乃至９に記載の発
明）は、上記目的を達成するために、ハウジング及びレ
ンズにより室が画成されている車両用装飾具において、
前記レンズに沿わせて、もしくは前記レンズとほぼ平行
に印刷シートが配置され、または、印刷シートが前記レ
ンズとして用いられており、請求項６に記載の印刷シー
トは、透明なプレートの内側の面に所定パターンの蒸着
膜が成膜されるとともに、上記蒸着膜に対向せしめて前
記プレートの外側の面に有色透明な印刷膜が印刷され、
かつ、上記有色透明な印刷膜の外側表面に凸形の無色透
明な印刷層が形成されているものであることを特徴と
し、請求項７に記載の印刷シートは、透明なプレートの
外側の面に所定パターンの蒸着膜が成膜されるととも
に、上記蒸着膜の外側表面に有色透明な印刷膜が印刷さ
れ、かつ、上記有色透明な印刷膜の外側表面に凸形の無
色透明な印刷層が形成されているものであることを特徴
とし、請求項８に記載の印刷シートは、透明なプレート
の内側の面に所定パターンの蒸着膜が成膜されるととも
に、上記蒸着膜に対向せしめて前記プレートの外側の面
に凸形の有色透明な印刷層が形成されているものである
ことを特徴とし、請求項９に記載の印刷シートは、透明
なプレートの内側の面に所定パターンの蒸着膜が成膜さ
れるとともに、上記蒸着膜の外側表面に凸形の有色透明
な印刷層が形成されているものであることを特徴とす
る、ものである。

【００１２】この結果、本発明の車両用装飾具は、外来
光が前記の蒸着膜の外面反射作用により反射され、凸形
の透明な印刷層で集光傾向に屈折して灯具前方に出射す
るので、車両用装飾具の外観に光輝感（光沢感、メタリ
ック感、キラキラ感等）と立体感とが与えられ、自動車
の意匠にアクセントを付与することができ、この結果、
良好な外観が得られる。さらに、本発明の車両用装飾具
は、有色透明な印刷膜又は凸形の有色透明な印刷層によ
り、有色の光輝感と立体感とが与えられて良好な外観が
得られる。

【００１３】

【発明の実施の形態】図３は本発明の車両用灯具の１実
施形態であるコンビネーションランプの断面図である。
本図３に付記したように、本例においては１個のランプ
ハウジング１が２個のランプ・甲，および乙に共用され
ており、アウターレンズアッセンブリ２（例えば、無色
透明なもの）も上記２個のランプ・甲（ターンシグナル
ランプ、車幅灯），および乙（ブレーキランプ、テール
ランプ）に共用され、前記ランプハウジング１の前面開
口部を覆って装着されている。ランプ・甲にはソケット
・甲３Ａが設置されて光源バルブ・甲４Ａ（例えば、ア
ンバー色のシングル球）を保持している。ランプ・乙に
はソケット・乙３Ｂが設置されて光源バルブ・乙４Ｂ
（例えば、ダブル球）を保持している。そして、ランプ
・甲の灯室内にはランプハウジング１と別体のリフレク
タ５（反射面）が設置されている。ランプ・乙には別体
のリフレクタが設置されておらず、例えば赤色のインナ
ーレンズ７が設置されている。なお、ランプ・乙にラン
プハウジング１と一体のリフレクタ（反射面）を設けて
も良い。

【００１４】アウターレンズアッセンブリ２がランプ・
甲のアウターレンズとして機能している部分の内側に、
該アウターレンズに沿わしめて印刷シート・甲６Ａが配
設されている。そして、前記アウターレンズアッセンブ
リ２がランプ・乙のアウターレンズとして機能している
部分の内側に、該アウターレンズに沿わしめて印刷シー
ト・乙６Ｂが配設されている。前記の印刷シート・甲、
および同・乙は、本実施形態のようにアウターレンズに
ほぼ接せしめて配置しても良く、またアウターレンズか
ら若干離間せしめて該アウターレンズとほぼ平行に配置
しても良い。上記の印刷シート・甲６Ａおよび印刷シー
ト・乙６Ｂは、ほぼ同様の部材であって、後に詳述する
ように透明なプレートにパターン形状の蒸着処理と凸印
刷及び又は印刷とを施した部材である。上記のパターン
形状とは、例えばハニカム形や格子形，ストライプ形な
どのように、空隙を分布せしめた形状を総称する意であ
る。

【００１５】図２は、本発明の実施形態に係る車両用灯
具における印刷シートに用いられるパターンの３例を示
し、（Ａ）はハニカム形パターンの部分的平面図、
（Ｂ）は多数円形パターンの部分的平面図、（Ｃ）は格
子状パターンの部分的平面図であって、それぞれのパタ
ーンの空隙部を除いて、そのパターン実質部分に斑点を
付して描いてある。上記（Ａ）図のハニカムパターン
は、正六角形の空隙を規則的に配列したものであり、
（Ｂ）図の多数円形パターンは円形の空隙を規則的に配
列したものであり、（Ｃ）図の格子状パターンは正方形
の空隙を規則的に配列したものである。本発明を実施す
る際、上記の例以外に長方形の空隙を配列したり、菱形
や三角形の空隙を配列したりしても良く、必ずしも規則
的に配列しなくても良い。また楕円形とか台形とかいう
ように幾何学的な名称を有しない不定形状の空隙（図示
せず）を配列しても良い。要するに本発明においてパタ
ーンとは、実質部分と空隙部分とが面上に分布している
ことを言う。

【００１６】図１は本発明の実施形態に係る車両用灯具
における印刷シートの断面図であって、図２に示したｉ
−ｉ断面、もしくはｊ−ｊ断面、またはｋ−ｋ断面の何
れにも相当する図である。図示の１０は透明なプレート
（シート）で、本実施形態においては無色透明な合成樹
脂板を用いた。図における右側を灯具内側にし、左側を
灯具外側にして用いる。上記透明プレート１０の面上
に、前掲の図２に例示した何れかのパターンを設定す
る。本図１に示したｍ部はパターンの実質の部分（図１
において斑点を付した部分）であり、本図１に示したｎ
部はパターンの空隙部である。

【００１７】担持代としての透明プレート１０の内側面
の、パターン実質部ｍに相当する部分に金属蒸着膜１
１，１１′，１１″を成膜する。この蒸着膜は入射した
光束を反射するので、その両面が反射膜として作用す
る。従って、必然的に遮光膜としての機能も果たす。前
記透明プレート１０の外側面に、前記蒸着膜１１，１
１′，１１″に対向せしめて（すなわちパターン実質部
ｍの部分に）、有色（例えば、赤色）透明の印刷膜１
２，１２′，１２″を、印刷技法を適用して形成する。
透明な合成樹脂板の板面に透明な有色インキを用いて印
刷することは公知技術を適用して別段の困難なく実施す
ることができる。印刷技法を適用することにより、正確
なパターン形状を迅速に、かつ低コストで形成すること
ができる。前記の有色透明印刷膜１２，１２′，１２″
の表面に（すなわち本図１において左側の、灯具に関し
て外側に相当する面に）凸形の（無色の）透明印刷層１
３，１３′，１３″を、所謂多重印刷法により設ける。
このように厚みの有る凸形の印刷層はスクリーン印刷を
利用して工業的に製作することができ、未公知の先行技
術（例えば平成９年特許願第１０９４０３号）である。

【００１８】すなわち、本実施形態においては紫外線硬
化性インキ（ウレタンアクリレート９４Ｗｔ％、光反応
開始剤３Ｗｔ％、補助剤３Ｗｔ％のＵＶ樹脂）を用いて
スクリーン印刷を施した。スクリーン印刷によって厚め
に成層された紫外線硬化性インキは表面張力によって外
側面が凸曲面をなし、紫外線照射されると硬化して本図
１に示したような平凸レンズ状の凸形透明印刷層１３，
１３′，１３″が形成される。なお、上述の凸形透明印
刷層１３，１３′，１３″は、上述の平凸レンズ状以外
に、半球凸状、長円球凸状等々がある。

【００１９】前記紫外線硬化性インキの粘度は、 ＢＨ型回転粘度計 ２ｒｐｍ…４５０ｐ ４ｒｐｍ…４５０ｐ ２ｒｐｍ…４５０ｐ １０ｒｐｍ…４５０ｐ ２０ｒｐｍ…４４０ｐ スプレートメータ値 １分間…２１．５ である。また、前記スクリーン印刷の作業条件は、 スキージ圧…………………３〜４．５kg／cm スキージスピート…………２０〜３０cm／秒 メッシュ数…………………８０〜１００メッシュ である。さらに、紫外線照射条件は、 紫外線エネルギ密度………８０〜１００Ｗ／cm² 紫外線ランプ仕様…………メタハラランプ（１灯若しく
は２灯） 移動照射スピード…………１０ｍ／分 である。これらの値は、先に述べた未公知の発明（特願
平９−１０９４０３号）に開示されている実施形態の範
囲内である。

【００２０】図１において、灯具内側（図において右
方）から印刷シートに入射した光束のうちで、空隙部ｎ
に入射した光束はそのまま通過して、当該灯具本来の機
能を果たす。すなわち、各機能色の光が発光する。ま
た、矢印ｄのようにパターンの実質部すなわち蒸着膜１
１″に入射した光束は、蒸着膜１１，１１′，１１″の
外面反射作用によって、矢印ｅのように灯具の内側に向
けて反射される。上記のように矢印ｄの光束が矢印ｅの
ように灯具内側に向けて反射される作用を図４（Ｂ）に
ついて見ると、光源バルブ４から出射した光束（矢印
ｄ）が、矢印ｅのように反射されて多段反射面８ａの段
差部に入射する。この部分は、従来技術においては光源
バルブ４からの光に対して影となり、ダークゾーンとな
っていた部分であるが、矢印ｅの反射光によって照射さ
れ、ダークゾーンを生じなくなる。光源バルブ４から矢
印ｆのように出射して一旦矢印ｇのように反射された
後、レンズ９に沿って配設されている印刷シート６によ
り矢印ｈのように反射された光束も、多段反射面８ａの
段差部に入射してダークゾーンの発生防止作用をし、レ
ンズ全面の均一な輝度分布が得られる。

【００２１】図３に示したコンビネーションランプのラ
ンプ・甲は、アウターレンズアッセンブリ２の内側に印
刷シート・甲６Ａが配設されており、同様にランプ・乙
には印刷シート６Ｂが配設されているので、点灯時にお
いて灯具内部の反射に不均一が有っても、アウターレン
ズアッセンブリ２に向かう光束の一部分が印刷シートの
蒸着膜で灯具内に向けて反射され、この反射された光束
が灯具内で再反射されるので、当該灯具（ランプ・甲お
よび同・乙）を灯具正面から見たとき、アウターレンズ
アッセンブリ２にダークゾーンが現れたり光ムラを感じ
たりすることが無く、レンズ全面の均一な輝度分布が得
られる。以上に述べた作用，効果から容易に理解される
ように、本発明を実施する際、印刷シートはアウターレ
ンズに密着させても良く、離間させてほぼ平行に配置し
ても良い。また、該印刷シートを平面状に設置しても良
く、印刷シート・乙６Ｂのように湾曲させても良い。な
お、印刷シートは、レンズの外側に設置しても良く、ま
たレンズの代わりとしてレンズとして使用しても良い。

【００２２】また、本発明の車両用灯具は、図１中の矢
印に示すように、非点灯時に本実施形態の印刷シート６
に、灯具外側（図の左側）から外来光が入射すると、そ
の内でパターンの実質部ｍに入射した光ｏは蒸着膜１
１，１１′，１１″の外面反射作用によって灯具外側
（図の左側）に向けて反射される。上述の蒸着膜１１，
１１′，１１″による反射光束ｐは有色透明印刷膜１
２，１２′，１２″を通過して着色され、凸形（無色）
透明印刷層１３，１３′，１３″によって集光傾向に屈
折せしめられて灯具前方（図の左方）に反射される。こ
のため、外来光が当該車両用灯具の前面に差し込むと、
レンズ９の外観に蒸着膜１１，１１′，１１″による反
射光の金属光沢感が加味され、また、有色透明印刷膜１
２，１２′，１２″による色（赤色）が加味され、さら
に、凸形（無色）透明印刷層１３，１３′，１３″のプ
リズムレンズ的な作用によって立体感が加味される。こ
の結果、キラキラの金属光沢感がありかつ立体感がある
着色光が得られるので、非点灯時において良好な外観が
得られる。

【００２３】また、レンズ９を経て入射された外来光が
多段反射面８ａやリフレクタ５の反射面やその他の反射
面で反射されて再びレンズ９を経て外部に出射されるの
で、この反射面からの反射光と上述のキラキラの金属光
沢感がありかつ立体感がある着色光とが合成されて、さ
らに良好な外観が得られる。

【００２４】図５は本発明の車両用装飾具の一実施の形
態を示した横断面図である。図中、図１乃至図４と同符
号は同一のものを示す。この車両用装飾具、例えば、リ
ヤーフィニッシャーは、ハウジング１００の前面開口部
を覆ってレンズ１０１が装着されるとともに、該ハウジ
ング１００とレンズ１０１とによって室１０２が囲まれ
ている。上述のレンズ１０１に沿わせて、もしくはレン
ズ１０１とほぼ平行に印刷シート６００が配置されてい
る。上述の室１０２内には、ハウジング１００と別体の
もので、例えばジグザグ形の反射面を有するリフレクタ
１０３が配置されている。なお、このこの別体のリフレ
クタ１０３を使用せずに、ハウジング１００と一体のリ
フレクタを使用しても良い。上記の印刷シート６００
は、図１に示すように、透明なプレート１０の内側の面
に所定パターンの蒸着膜１１，１１′，１１″が成膜さ
れるとともに、上記蒸着膜１１，１１′，１１″に対向
せしめて前記プレート１０の外側の面に有色透明な印刷
膜１２，１２′，１２″が印刷され、かつ、上記有色透
明な印刷膜１２，１２′，１２″の外側表面に凸形の
（無色）透明な印刷層１３，１３′，１３″が形成され
ているものである。

【００２５】この実施の形態における本発明の車両用装
飾具は、以上の如き構成からなるので、本実施形態の印
刷シート６００に外来光が入射すると、その内でパター
ンの実質部ｍに入射した光は蒸着膜１１，１１′，１
１″の外面反射作用によって車両用装飾具外側（図の下
側）に向けて反射される。上述の蒸着膜１１，１１′，
１１″による反射光束は有色透明印刷膜１２，１２′，
１２″を通過して着色され、凸形（無色）透明印刷層１
３，１３′，１３″によって集光傾向に屈折せしめられ
て車両用装飾具前方に反射される。このため、外来光が
当該車両用装飾具の前面に差し込むと、レンズ１０１の
外観に蒸着膜１１，１１′，１１″による反射光の金属
光沢感が加味され、また、有色透明印刷膜１２，１
２′，１２″による色（赤色）が加味され、さらに、凸
形（無色）透明印刷層１３，１３′，１３″のプリズム
レンズ的な作用によって立体感が加味される。この結
果、キラキラの金属光沢感がありかつ立体感がある着色
光が得られるので、良好な外観が得られる。

【００２６】特に、実施の形態においては、室１０２内
には反射面を有するリフレクタ１０３が配置されている
ので、レンズ１０１を経て入射された外来光や環境光が
リフレクタ１０３の反射面で反射されて再びレンズ１０
１を経て外部に出射されるので、このリフレクタ１０３
の反射面からの反射光と上述のキラキラの金属光沢感が
ありかつ立体感がある着色光とが合成されて、さらに良
好な外観が得られる。

【００２７】図６は本発明の車両用灯具及び車両用装飾
具に使用される印刷シート６、６Ａ、６Ｂ、６００の変
形例を示すものである。（Ａ）は透明なプレート１０の
外側の面に所定パターンの蒸着膜１１が成膜されるとと
もに、上記蒸着膜１１の外側表面に有色透明な印刷膜１
２が印刷され、かつ、上記有色透明な印刷膜１２の外側
表面に凸形の無色透明な印刷層１３が形成されているも
のである。

【００２８】（Ｂ）は透明なプレート１０の内側の面に
所定パターンの蒸着膜１１が成膜されるとともに、上記
蒸着膜１１に対向せしめて前記プレート１０の外側の面
に凸形の有色透明な印刷層１３０（又は、凸形の無色透
明な印刷層１３、この場合、キラキラの金属光沢感があ
りかつ立体感がある無色の光が得られる）が形成されて
いるものである。

【００２９】（Ｃ）は透明なプレート１０の外側の面に
所定パターンの蒸着膜１１が成膜されるとともに、上記
蒸着膜１１の外側表面に凸形の有色透明な印刷層１３０
（又は凸形の無色透明な印刷層１３、この場合、キラキ
ラの金属光沢感がありかつ立体感がある無色の光が得ら
れる）が形成されているものである。

【００３０】

【発明の効果】以上から明らかなように、本発明の車両
用灯具は、光源バルブの点灯時において、灯室内の光源
バルブからの光が蒸着膜の内面反射作用により反射さ
れ、この蒸着膜の内面で反射された光は灯室内において
反射されたり再反射されたりした後にレンズに入射して
該レンズを通過するので、ダークゾーンや光ムラの発生
を軽減若しくは無くすことができ、この結果、点灯時に
おいてレンズ全面の均一な輝度分布が得られる。しか
も、この車両用灯具の印刷シートは、パターン形状の実
質部に形成された蒸着膜は光源バルブから出射した光を
反射させる非透過部であるが、該パターン形状の空隙部
はその空隙部に入射した光をそのまま通過させる透過部
である。従って、当該車両用灯具の点灯時には主として
上記空隙部を通過する光束によって本来の機能色が発光
し、車両用灯具本来の光学的機能を果たす。すなわち、
本発明の適用によって車両用灯具本来の機能が損われる
ことは無い。

【００３１】また、本発明の車両用灯具は、非点灯時に
おいて、外来光が前記の蒸着膜の外面反射作用により反
射され、凸形の透明な印刷層で集光傾向に屈折して灯具
前方に出射するので、車両用灯具外観に光輝感（光沢
感、メタリック感、キラキラ感等）と立体感とが与えら
れ、自動車の意匠にアクセントを付与することができ、
この結果、良好な外観が得られる。さらに、本発明の車
両用灯具は、有色透明な印刷膜又は凸形の有色透明な印
刷層により、有色の光輝感と立体感とが与えられて良好
な外観が得られる。

【００３２】このように、本発明の車両用灯具は、蒸着
膜部分の非透過部分と、非蒸着膜部分の透過部分との組
み合わせにより、点灯時には蒸着膜の内面反射でレンズ
全面の均一な輝度分布が得られ、しかも非蒸着膜部分の
光透過で車両用灯具本来の光学的機能を果たし、また非
点灯時には蒸着膜の外面反射で良好な外観が得られる。

【００３３】一方、本発明の車両用装飾具は、外来光が
前記の蒸着膜の外面反射作用により反射され、凸形の透
明な印刷層で集光傾向に屈折して灯具前方に出射するの
で、車両用装飾具の外観に光輝感（光沢感、メタリック
感、キラキラ感等）と立体感とが与えられ、自動車の意
匠にアクセントを付与することができ、この結果、良好
な外観が得られる。さらに、本発明の車両用装飾具は、
有色透明な印刷膜又は凸形の有色透明な印刷層により、
有色の光輝感と立体感とが与えられて良好な外観が得ら
れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態に係る車両用灯具における印
刷シートの断面図であって、図２に示したｉ−ｉ断面、
もしくはｊ−ｊ断面、またはｋ−ｋ断面の何れにも相当
する図である。

【図２】本発明の実施形態に係る車両用灯具における印
刷シートに用いられるパターンの３例を示し、（Ａ）は
ハニカム形パターンの部分的平面図、（Ｂ）は多数円形
パターンの部分的平面図、（Ｃ）は格子状パターンの部
分的平面図であって、それぞれのパターンの空隙部を除
いて、そのパターン実質部分に斑点を付して描いてあ
る。

【図３】本発明に係る車両用灯具の１実施形態であるコ
ンビネーションランプの断面図である。

【図４】フレネル形の多段反射面を形成されたランプハ
ウジングを有する車両用灯具の２面図であって、（Ａ）
は従来技術の車両用灯具のレンズ面に生じるダークゾー
ンを付記した正面図、（Ｂ）は従来技術における光路矢
印と本発明の実施形態における光路矢印とを付記した断
面側面図である。

【図５】本発明の車両用装飾具の一実施の形態を示した
横断面図である。

【図６】（Ａ）は印刷シートの第１変形例を示した一部
断面図、（Ｂ）は印刷シートの第２変形例を示した一部
断面図、（Ｃ）は印刷シートの第３変形例を示した一部
断面図である。

【符号の説明】

１…ランプハウジング、２…アウターレンズアッセンブ
リ、３…ソケット、３Ａ…ソケット・甲、３Ｂ…ソケッ
ト・乙、４…光源バルブ、４Ａ…光源バルブ・甲、４Ｂ
…光源バルブ・乙、５…リフレクタ、６、６００…印刷
シート、６Ａ…印刷シート・甲、６Ｂ…印刷シート・
乙、７…赤色インナーレンズ、８…ランプハウジング、
８ａ…多段反射面、９…レンズ、１０…透明プレート、
１１，１１′，１１″…蒸着膜、１２，１２′，１２″
…有色透明印刷膜、１３，１３′，１３″…凸形（無
色）透明印刷層、１３０…凸形有色透明印刷層、１００
…ハウジング、１０１…レンズ、１０２…室、１０３…
リフレクタ。

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ランプハウジングの前面開口部を覆って
   レンズが装着されるとともに、該ランプハウジングとレ
   ンズとによって囲まれた灯室内に光源バルブが設置され
   ている車両用灯具において、 レンズに沿わせて、もしくはレンズとほぼ平行に印刷シ
   ートが配置され、または、印刷シートがレンズとして用
   いられており、 上記の印刷シートは、透明なプレートの内側の面に所定
   パターンの蒸着膜が成膜されるとともに、上記蒸着膜に
   対向せしめて前記プレートの外側の面に有色透明な印刷
   膜が印刷され、かつ、上記有色透明な印刷膜の外側表面
   に凸形の透明な印刷層が形成されているものであること
   を特徴とする車両用灯具。
2. 【請求項２】 ランプハウジング及びレンズにより画成
   された灯室内に光源バルブが設置されている車両用灯具
   において、 前記レンズに沿わせて、もしくは前記レンズとほぼ平行
   に印刷シートが配置され、または、印刷シートが前記レ
   ンズとして用いられており、 上記の印刷シートは、透明なプレートの内側の面に所定
   パターンの蒸着膜が成膜されるとともに、上記蒸着膜に
   対向せしめて前記プレートの外側の面に有色透明な印刷
   膜が印刷され、かつ、上記有色透明な印刷膜の外側表面
   に凸形の無色透明な印刷層が形成されているものである
   ことを特徴とする車両用灯具。
3. 【請求項３】 ランプハウジング及びレンズにより画成
   された灯室内に光源バルブが設置されている車両用灯具
   において、 前記レンズに沿わせて、もしくは前記レンズとほぼ平行
   に印刷シートが配置され、または、印刷シートが前記レ
   ンズとして用いられており、 上記の印刷シートは、透明なプレートの外側の面に所定
   パターンの蒸着膜が成膜されるとともに、上記蒸着膜の
   外側表面に有色透明な印刷膜が印刷され、かつ、上記有
   色透明な印刷膜の外側表面に凸形の無色透明な印刷層が
   形成されているものであることを特徴とする車両用灯
   具。
4. 【請求項４】 ランプハウジング及びレンズにより画成
   された灯室内に光源バルブが設置されている車両用灯具
   において、 前記レンズに沿わせて、もしくは前記レンズとほぼ平行
   に印刷シートが配置され、または、印刷シートが前記レ
   ンズとして用いられており、 上記の印刷シートは、透明なプレートの内側の面に所定
   パターンの蒸着膜が成膜されるとともに、上記蒸着膜に
   対向せしめて前記プレートの外側の面に凸形の有色又は
   無色透明な印刷層が形成されているものであることを特
   徴とする車両用灯具。
5. 【請求項５】 ランプハウジング及びレンズにより画成
   された灯室内に光源バルブが設置されている車両用灯具
   において、 前記レンズに沿わせて、もしくは前記レンズとほぼ平行
   に印刷シートが配置され、または、印刷シートが前記レ
   ンズとして用いられており、 上記の印刷シートは、透明なプレートの内側の面に所定
   パターンの蒸着膜が成膜されるとともに、上記蒸着膜の
   外側表面に凸形の有色又は無色透明な印刷層が形成され
   ているものであることを特徴とする車両用灯具。
6. 【請求項６】 ハウジング及びレンズにより室が画成さ
   れている車両用装飾具において、 前記レンズに沿わせて、もしくは前記レンズとほぼ平行
   に印刷シートが配置され、または、印刷シートが前記レ
   ンズとして用いられており、 上記の印刷シートは、透明なプレートの内側の面に所定
   パターンの蒸着膜が成膜されるとともに、上記蒸着膜に
   対向せしめて前記プレートの外側の面に有色透明な印刷
   膜が印刷され、かつ、上記有色透明な印刷膜の外側表面
   に凸形の無色透明な印刷層が形成されているものである
   ことを特徴とする車両用装飾具。
7. 【請求項７】 ハウジング及びレンズにより室が画成さ
   れている車両用装飾具において、 前記レンズに沿わせて、もしくは前記レンズとほぼ平行
   に印刷シートが配置され、または、印刷シートが前記レ
   ンズとして用いられており、 上記の印刷シートは、透明なプレートの外側の面に所定
   パターンの蒸着膜が成膜されるとともに、上記蒸着膜の
   外側表面に有色透明な印刷膜が印刷され、かつ、上記有
   色透明な印刷膜の外側表面に凸形の無色透明な印刷層が
   形成されているものであることを特徴とする車両用装飾
   具。
8. 【請求項８】 ハウジング及びレンズにより室が画成さ
   れている車両用装飾具において、 前記レンズに沿わせて、もしくは前記レンズとほぼ平行
   に印刷シートが配置され、または、印刷シートが前記レ
   ンズとして用いられており、 上記の印刷シートは、透明なプレートの内側の面に所定
   パターンの蒸着膜が成膜されるとともに、上記蒸着膜に
   対向せしめて前記プレートの外側の面に凸形の有色又は
   無色透明な印刷層が形成されているものであることを特
   徴とする車両用装飾具。
9. 【請求項９】 ハウジング及びレンズにより室が画成さ
   れている車両用装飾具において、 前記レンズに沿わせて、もしくは前記レンズとほぼ平行
   に印刷シートが配置され、または、印刷シートが前記レ
   ンズとして用いられており、 上記の印刷シートは、透明なプレートの内側の面に所定
   パターンの蒸着膜が成膜されるとともに、上記蒸着膜の
   外側表面に凸形の有色又は無色透明な印刷層が形成され
   ているものであることを特徴とする車両用装飾具。