JPH1160896A - 感放射線性樹脂組成物および硬化膜 - Google Patents

感放射線性樹脂組成物および硬化膜

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JPH1160896A
JPH1160896A JP24343497A JP24343497A JPH1160896A JP H1160896 A JPH1160896 A JP H1160896A JP 24343497 A JP24343497 A JP 24343497A JP 24343497 A JP24343497 A JP 24343497A JP H1160896 A JPH1160896 A JP H1160896A
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JP
Japan
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insulating layer
composition
radiation
component
rubber
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JP24343497A
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English (en)
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Atsushi Shioda
淳 塩田
Masako Suzuki
雅子 鈴木
Kazuaki Niwa
一明 丹羽
Hozumi Sato
穂積 佐藤
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JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】解像性、アルカリ水溶液による現像性、並びに
硬化物の耐めっき液性および耐熱性が良好で、吸水性が
低いと共に硬化収縮が小さい感放射線性樹脂組成物であ
って、しかも導体配線が優れた密着性で形成される絶縁
層を形成することのできる組成物を提供すること。 【解決手段】下記のA成分〜D成分を含有することを特
徴とする感放射線性樹脂組成物。 〔A成分〕アルカリ可溶性樹脂 〔B成分〕架橋剤 〔C成分〕1分子内に少なくとも1つのチイラニル基を
含有する化合物 〔D成分〕放射線重合開始剤

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感放射線性樹脂組
成物に関し、特に、積重して配置される2つの導体配線
の間に介在させる絶縁層を形成するための絶縁層形成材
料として好適な感放射線性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、プリント配線板の高密度化が要請
され、複数の導体配線層が絶縁層を介して積重された多
層配線板の需要が高まっている。この多層配線板を製造
する方法として、導体配線が基材上に形成されてなる配
線板の複数を、例えば、プリプレグと呼ばれる熱硬化性
樹脂含浸シートを介して積重し、その状態でプレス成形
することにより多層の積層構造とし、この多層積層体
に、当該積層体の全体を貫通するスルーホールと呼ばれ
る貫通孔をドリルなどによって形成し、このスルーホー
ルの内壁面にめっき処理を施して、積重配置された2つ
の導体配線を導通させるめっき層を形成することにより
製造する方法(以下、積層プレス方式ともいう。)が知
られている。しかし、この積層プレス方式では、配線パ
ターンの微細化が進むに従って、複数の配線板の位置合
わせが困難なこと、配線板の基材の収縮により配線の位
置ずれが発生すること、微細なパターンに応じたスルー
ホールの小径化が困難なこと及び製造工程が煩雑になる
ことなどの問題がある。
【0003】一方、導体配線が形成された配線板上に絶
縁層を形成し、この絶縁層上に前記導体配線と導通する
別の導体配線を形成する工程を繰り返すことにより、目
的とする多層配線板を製造する方法(以下、積み上げ方
式ともいう。)が提案されている。この積み上げ方式に
より多層配線板を製造する場合に、絶縁層を介して積重
された2つの導体配線を導通させるためには、積層プレ
ス方式の場合と同様にスルーホールを形成してめっき処
理を施す手法のほか、一部の絶縁層のみを貫通するビア
ホールとも呼ばれる孔をドリルによって形成し、この孔
内にめっき処理を施す手法がある。
【0004】また、絶縁層におけるスルーホールまたは
ビアホールの形成方法として、エキシマレーザを利用す
る方法、加工用レジストを用いて所定のパターンを形成
し、絶縁層を適宜の溶剤によりエッチングする方法など
が知られている。しかしながら、これらの方法は、複数
の孔を同時に形成することができなかったり、多くの工
程が必要となるなど生産性の点から好ましい方法ではな
く、加工精度の点からも満足し得る方法ではない。
【0005】かかる不都合を克服する手段として、導体
配線層の間に介在させる絶縁層を形成する材料として感
光性樹脂組成物を用い、フォトリソグラフィーによって
当該絶縁層に貫通孔を形成する方法が提案されている。
この方法によれば、複数の貫通孔を同時に形成すること
ができるので多層配線板の製造において高い生産効率が
得られ、しかも、従来の方法に比べて高い精度で貫通孔
を形成することができるので、微細な配線パターンを有
する多層配線板を製造する上で有利である。このような
多層配線板に関して、感光性樹脂組成物よりなる絶縁層
に形成され、後にめっき処理が施されて電気的な接続を
達成するためのフォトビアホールと呼ばれる貫通孔を形
成させる多層配線板を積み上げ方式により製造する方法
が提案されている(特開平4−148590号公報参
照)。また、このような絶縁層を形成するための感光性
樹脂組成物として、感光性エポキシ樹脂を用いた応用例
も提案されている(特開平5−273753号公報参
照)。
【0006】このように、絶縁層の形成に感光性樹脂組
成物を用い、積み上げ方式により多層配線板を製造する
方法によれば、プレス処理を行うことなく多層の積層構
造を得ることができると共に、フォトリソグラフィーに
より十分に小径のフォトビアホールを高い精度で形成す
ることができるため、微細な配線パターンを有する多層
配線板を好適に製造することができる。
【0007】しかして、積み上げ方式により多層配線板
を製造する場合の絶縁層の形成に用いられる感光性樹脂
組成物には、以下のような性能が要求される。 (1)得られる絶縁層が優れた解像性を有しているこ
と。これにより、微細なパターンに応じた小径のフォト
ビアホールを高い精度で形成することができる。 (2)得られる絶縁層が、導体配線の形成に使用される
物質、例えば無電解銅めっき液に対して十分に高い耐性
(耐めっき液性)を有すること。 (3)得られる絶縁層は、その表面に、例えば無電解銅
めっき処理により十分な密着性で導体配線を形成し得る
ものであること。ここに、銅めっきによる導体配線の密
着性を向上させるためには、当該絶縁層の表面が粗面化
されることが有効であり、粗面化された表面を有する絶
縁層は、そのアンカー効果により、導体配線の絶縁層に
対する密着性が大きなものとなる。 (4)フォトビアホールを形成するための現像液として
アルカリ水溶液の使用が可能であること。アルカリ水溶
液を現像液として使用できれば、人体や環境に与える悪
影響を抑制することができる。 (5)得られる絶縁層は、十分な電気的絶縁性を有する
ものであって高い信頼性が得られ、かつ高い耐熱性を有
すること。これにより、小型軽量化が進められている電
子機器の製造に有利に適用することが可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、例え
ば小径のフォトビアホールを高い精度で形成することが
できる優れた解像性を有し、アルカリ水溶液により現像
することができ、耐めっき液性および耐熱性が高く、か
つ吸水性が低いと共に硬化収縮の程度が小さく、しかも
導体配線が優れた密着性で形成される絶縁層を形成する
ことのできる感放射線性樹脂組成物を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、下記のA成分〜D成分を含有する感放
射線性樹脂組成物および該組成物を硬化してなる硬化膜
を提供する。 〔A成分〕アルカリ可溶性樹脂 〔B成分〕架橋剤 〔C成分〕1分子内に少なくとも1つのチイラニル基を
含有する化合物 〔D成分〕放射線重合開始剤 本発明において、感放射線とは、放射線に感応して硬化
し得る性質をいう。放射線には、可視光線、紫外線、遠
紫外線、X線、電子線などを包含する。
【0010】本発明の上記A成分〜D成分を含有する感
放射線性樹脂組成物には、更に、密着性を高めるため
に、A成分、B成分及びC成分と相溶性または高い親和
性を有するゴム類を配合することが実用的に一層好まし
く、特に、数平均分子量が1000〜100000の範
囲内で、かつガラス転移点Tgが−20℃以下の液状ゴ
ムが極めて好適に添加使用される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の感放射線性樹脂組
成物について詳細に説明する。 〔A成分〕このA成分のアルカリ可溶性樹脂として代表
的なものとしては、例えば、ゲルパーミエイションクロ
マトグラフィ(GPC)により測定したポリスチレン換
算の重量平均分子量が200以上、好ましくは2000
以上である、ポリビニルフェノール、および同様のポリ
スチレン換算の重量平均分子量が200以上、好ましく
は2000以上であるポリビニルフェノール以外のフェ
ノール樹脂(以下、特定のフェノール樹脂という。)を
挙げることができる。
【0012】A成分として用いられるポリビニルフェノ
ールとしては、ビニルフェノール単量体を常法により重
合させて得られるもの、あるいはフェノール性水酸基を
保護基により保護した状態で重合した後、当該保護基を
除去することによって得られるものなど、各種の製法に
より得られるものを挙げることができる。また、ビニル
フェノール単量体に各種の置換基が導入された単量体、
例えばビニルクレゾール、2,4−ジメチルビニルフェ
ノール、フッ素化ビニルフェノール、クロル化ビニルフ
ェノール、臭素化ビニルフェノールなどから得られる各
種の置換ポリビニルフェノールも使用することができ
る。このポリビニルフェノールの分子量は特に制限され
るものではないが、得られる絶縁層における解像性、現
像性、耐めっき液性などの観点から、重量平均分子量が
200以上、特に200〜20000の範囲のものが好
ましい。
【0013】A成分として用いられる特定のフェノール
樹脂の代表例としては、ノボラック樹脂を挙げることが
できる。ノボラック樹脂は、例えばフェノール化合物と
アルデヒド化合物とを、好ましくはフェノール化合物1
モルに対してアルデヒド化合物0.7〜1モルの割合で
酸触媒を用いて付加縮合させることにより得られる。こ
こに、フェノール化合物の具体例としては、フェノー
ル、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾー
ル、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p
−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチ
ルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレ
ノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノー
ル、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、
3,5−キシレノール、3,6−キシレノール、2,
3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチ
ルフェノール、p−フェニルフェノール、レゾルシノー
ル、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、
ピロガロール、フロログリシノール、ヒドロキシジフェ
ニル、ビスフェノールA、没食子酸、没食子酸エステ
ル、α−ナフトール、β−ナフトールなどを挙げること
ができる。
【0014】アルデヒド化合物の具体例としては、ホル
ムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、
ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、アセトア
ルデヒドなどを挙げることができる。酸触媒としては、
例えば塩酸、硝酸、硫酸、蟻酸、蓚酸、酢酸などが使用
される。また、特定フェノール樹脂として好ましいもの
は、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾールおよ
びp−クレゾールから選ばれるフェノール化合物と、ホ
ルムアルデヒドおよびパラホルムアルデヒドから選ばれ
るアルデヒド化合物とを反応させて得られるものであ
る。A成分として用いられる特定のフェノール樹脂は、
得られる絶縁層の解像性、現像性、耐めっき液性などの
観点から、重量平均分子量が2000以上であることが
必要であり、特に2000〜20000の範囲ものが好
ましい。
【0015】本発明において、A成分であるアルカリ可
溶性樹脂は、前記のポリビニルフェノールまたは特定の
フェノール樹脂の1種を単独で用いてもよいし、あるい
は2種以上を併用することもできるが、特にポリビニル
フェノールと特定のフェノール樹脂とを併用することが
好ましい。本発明の組成物において、A成分は、得られ
る絶縁層が十分なアルカリ可溶性を示す含有割合で使用
される。その含有割合は、通常、A成分〜D成分の合計
量に基づいて、30〜95重量%の範囲である。含有率
が少なすぎると得られる組成物による薄膜がアルカリ水
溶液による十分な現像性を有しないものとなり、一方、
多すぎると相対的に他の成分の割合が制限される結果、
得られる絶縁層が靱性、耐熱性および耐めっき液性が不
十分となり不都合である。好ましい含有量は、40〜9
0重量%であり、特に、実用上50〜85重量%が好ま
しい。
【0016】〔B成分〕B成分の架橋剤は、A成分のア
ルカリ可溶性樹脂と反応して架橋構造を形成する、硬化
剤成分として作用する。該架橋剤として代表的なもの
は、1分子内に複数の活性メチロール基を有するアミノ
樹脂である。このようなアミノ樹脂として、例えば、
(ポリ)メチロール化メラミン、(ポリ)メチロール化
グリコールウリル、(ポリ)メチロール化ベンゾグアナ
ミン、(ポリ)メチロール化ウレアなどの、1分子内に
複数個の活性メチロール基を有する含窒素化合物を挙げ
ることができる。そのメチロール基は、水酸基の水素原
子がメチル基やブチル基などのアルキル基によって置換
された化合物であってもよく、またはそのような置換化
合物の複数を混合した混合物であってもよい。また、B
成分は、これらの化合物が一部自己縮合してなるオリゴ
マー成分を含むものであってもよい。
【0017】該アミノ樹脂の具体例としては、ヘキサメ
トキシメチル化メラミン(三井サイアナミッド(株)製
「サイメル300」)、テトラブトキシメチル化グリコ
ールウリル(三井サイアナミッド(株)製「サイメル1
170」)などのサイメルシリーズの商品、マイコート
シリーズの商品、UFRシリーズの商品、その他を用い
ることができる。これらのアミノ樹脂は、一種単独で
も、あるいは2種以上を組み合わせて使用することがで
きる。特に好ましいB成分は、ヘキサメトキシメチル化
メラミンである。
【0018】本発明の組成物において、B成分の割合
は、当該組成物による薄膜が光重合開始剤および熱の作
用によって十分に硬化する範囲量を含有させることが必
要であり、具体的には、A成分〜D成分の合計量に基づ
いて1〜60重量%を含有させる。この含有割合が少な
すぎると得られる絶縁層は靱性、耐熱性および耐めっき
液性が不十分となるおそれがあり、一方この割合が多す
ぎると得られる組成物によって形成される薄膜が十分な
現像性を有するものとならないおそれがある。該B成分
の含有量は好ましくは3〜50重量%であり、特に好ま
しい含有量は5〜30重量%である。
【0019】〔C成分〕本発明においてC成分として使
用されるチイラニル基含有化合物は、分子中にチイラニ
ル基を1個以上有する化合物である。該化合物は分子中
にチイラニル基以外の官能基を有していてもよい。ま
た、その分子量は、特に限定されないが、通常、70〜
20,000の範囲である。チイラニル基含有化合物
は、専ら、オキシラン含有化合物中のオキシラン環の酸
素原子を硫黄原子に置換することにより合成されるが、
その方法は、例えば、 J.M.Charlesworth J. Polym. S
c. Polym.Phys. 17 329 (1979)に示される方法等により
チオシアン酸塩を用いて、また、 R. D. Schuetz et a
l., J. Org. Chem.26 3467 (1961) に示される方法など
によりチオ尿素を用いて合成することができる。また、
環状カーボネートからの合成方法も、S.Seales et al.
J. Org. Chem., 27 2832 (1962) 等に示されている。
【0020】本発明に用いられるチイラン化合物の例と
して、M. Sander, Chem. Rev. 66 297 (1966)中の Tabl
e-Iに示されているチイラン化合物および、例えば、グ
リシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、
3,4−エポキシシクロヘキシルアクリレート、3,4
−エポキシシクロヘキシルメタクリレート、並びにこれ
らの重合体または他の重合性2結合を有する化合物と共
重合体、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型
エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等
に代表されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂類や、
グリシジルエステル型エポキシ樹脂類、芳香族グリシジ
ルアミン型エポキシ樹脂類、脂環式エポキシ樹脂類、複
素環式エポキシ樹脂類、液状ゴム変性エポキシ樹脂類等
のオキシラン環含有化合物のオキシラン環中の酸素原子
を硫黄原子に置換したチイラン化合物を挙げることがで
きる。良好な架橋構造を得るためには、これらのチイラ
ン化合物うち分子中に2個以上のチイラニル基を有する
化合物が好ましく用いられる。
【0021】このチラニル基含有化合物は、通常、A成
分〜D成分の合計量に基づいて1〜50重量%が使用さ
れる。この割合が過少であると、得られる絶縁層は吸水
性が十分に低いものとならず、また得られる硬化収縮の
程度が十分に小さいものとならない。一方この割合が過
多であると、得られる組成物による薄膜が十分な現像性
を有するものとならないおそれがある。好ましいチラニ
ル基含有化合物の含有量は5〜40重量%であり、特に
好ましくは、10〜30重量%である。
【0022】〔D成分〕本発明の組成物のD成分である
放射線重合開始剤としては、一般に光カチオン重合開始
剤としてして知られているものが好ましく、例えばジア
ゾニウム塩である「アデカウルトラセットPP−33」
〔旭電化工業(株)製〕、スルホニウム塩である「OP
TOMER SP−150」、「OPTOMER SP
−170」、「OPTOMER SP−171」〔旭電
化工業(株)製〕、メタロセン化合物である「IRGA
CURE261」〔チバガイギー社製〕、トリアジン化
合物である「トリアジンB」、「トリアジンPMS」、
「トリアジンPP」〔日本シイベルヘグナー(株)製〕
などが市販されている。
【0023】本発明の組成物における光重合開始剤の配
合割合は、通常、A〜D成分合計に対して0.01〜5
重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.02
〜2重量%である。この割合が少なすぎると得られる絶
縁層は酸素などの周囲の環境の影響による感度低下が著
しいものとなり、一方、多すぎると他の成分との相溶性
に劣り、組成物の保存安定性が低下する。
【0024】〔その他の成分〕本発明の組成物には、前
記A成分ないしD成分のほかに、必要に応じて種々の任
意的な成分を配合することができる。いずれの配合成分
の場合も本発明の目的を損なわない範囲で配合される。液状ゴム 好ましい配合成分として、数平均分子量が1,000〜
100,000、好ましくは、1,000〜60,00
0である。この液状ゴムを含有することにより、本発明
の組成物は、めっき処理によって形成される導体配線の
絶縁層に対する密着性が良好となり、特に高温下でも十
分に大きな密着性が得られる。
【0025】該液状ゴムは、A成分、B成分、C成分お
よびD成分との相溶性または親和性が高いものであるこ
とが必要であり、これらとの相溶性または親和性が低い
ものを用いると、得られる組成物は粘着性が高いものと
なって取扱いにくくなることがある。好適な液状ゴムと
しては公知の各種合成ゴムを挙げることができるがで
き、A成分などに対して高い相溶性が得られることか
ら、アクリルゴム(ACM)、アクリロニトリル・ブタ
ジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル・アクリレー
ト・ブタジエンゴム(NBA)が好ましく、さらに必要
に応じて、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミ
ノ基より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するもの
も使用することができる。実際上、エポキシ基、カルボ
キシル基または水酸基を有するものが好ましく、特にカ
ルボキシル基または水酸基を有するブタジエン系共重合
体よりなる液状ゴムが好ましい。
【0026】液状ゴムはいずれの方法で製造されたもの
であってもよく、その製造には乳化重合、溶液重合、塊
状重合、懸濁重合などの各種の方法を用いることがで
き、重合方式もバッチ式、回分式、連続式のいずれでも
よい。液状ゴムは、これに含有されるイオン成分の割合
が低いことが好ましく、これにより、得られる絶縁層は
十分な絶縁性を有するものとなる。液状ゴムを得るため
の単量体組成物にジエン系単量体が含有される場合に
は、当該組成物の重合は乳化重合法によって容易に実行
することができるが、特に特開昭62−74908号公
報に示された方法により、イオン成分の含有割合の低い
液状ゴムを得ることができる。本発明の組成物における
該液状ゴムの割合は、通常、A成分〜D成分の合計量に
基づいて1〜40重量%、好ましくは5〜25重量%で
ある。
【0027】粒子状ゴム 本発明の組成物から得られる絶縁層の導体配線との密着
性を向上させる成分としては、粒子表面に官能基を有す
る架橋重合体よりなる粒子状ゴムが挙げられる。該粒子
状ゴムが有する官能基としては、特にカルボキシル基及
び/又はエポキシ基が好ましい。該粒子状ゴムの平均粒
子径は0.01〜20μmの範囲であり、好ましくは
0.01〜5.0μmである。この粒子状ゴムの詳細に
ついては、例えば特開平4−15830号公報を参照す
ることができる。この粒子状ゴムを添加すると、後述
の、本発明の組成物から得られる絶縁層の粗面化処理工
程において絶縁層表面が十分に粗面化処理されたものと
なり、当該絶縁層上に形成される導体配線の密着性が大
きなものとなる。
【0028】好ましい粒子状ゴムは、例えば下記(イ)
〜(ハ)の単量体を含有する単量体組成物を共重合させ
ることにより、製造することができる。 (イ)1分子内に複数のビニル基などの重合性二重結合
を有する多官能単量体 (ロ)多官能単量体(イ)と共重合可能な、カルボキシ
ル基またはエポキシ基を有する単量体(以下「官能基含
有単量体」という。) (ハ)多官能単量体(イ)と共重合可能な、上記官能基
含有単量体(ロ)以外の共重合性単量体
【0029】1分子内に複数の重合性二重結合を有する
多官能単量体(イ)としては、例えばエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)
アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)ア
クリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリ
レート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ
ート、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンなどを挙
げることができる。これらの多官能重合性単量体は、そ
の1種を単独であるいは2種以上を併用することができ
る。
【0030】多官能単量体(イ)は、粒子状ゴムを得る
ための単量体組成物の全体に対して0.1〜20モル
%、好ましくは0.5〜10モル%の割合で用いられ
る。この割合が0.1モル%以上であることにより、十
分に良好な絶縁層の現像性が得られる。一方、この割合
が20モル%を超える場合には、得られる粒子状ゴムの
他の成分に対する親和性が低くなって得られる組成物の
加工性が悪化し、光硬化処理後の絶縁層の強度が著しく
低下し、形成されるめっき層の密着性が不十分なものと
なる。
【0031】官能基含有単量体(ロ)のうち、カルボキ
シル基を有する単量体の具体例としては、アクリル酸、
メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テ
トラコン酸;コハク酸、フマル酸などのジカルボン酸と
付加重合性基を有する不飽和アルコールとのハーフエス
テルなどを挙げることができる。エポキシ基を有する単
量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸グリシジ
ル、(メタ)アクリル酸シクロヘキセノキシド、アリル
グリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテルなどを
挙げることができる。これらの官能基含有単量体(ロ)
は、得られる組成物の具体的な用途に応じて、任意のも
のを1種または2種以上を選択して用いることができ
る。
【0032】上記の官能基含有単量体(ロ)は、粒子状
ゴムを得るための単量体組成物全体に対して0.1〜3
0モル%、好ましくは0.5〜20モル%の割合で用い
られる。この割合が0.1モル%以上であることによ
り、得られる絶縁層は十分な靭性および解像性を有する
ことが確実となり、一方、この割合が30モル%を超え
る場合には、得られる絶縁層が硬く脆いものとなる可能
性がある。
【0033】上記の多官能単量体(イ)および官能基含
有単量体(ロ)と共に用いられる共重合性単量体(ハ)
としては、目的に応じて種々のラジカル重合性単量体を
用いることができる。この共重合性単量体としては、例
えばブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン、ク
ロロプレンなどを挙げることができ、更にスチレン、α
−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリ
ル、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、(メタ)ア
クリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレ
ート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどを
挙げることができる。
【0034】粒子状ゴムは、ラジカル開始剤を用いた乳
化重合法または懸濁重合法によって、直接的に粒子状共
重合体として製造することができるが、粒子のサイズお
よびその均一性が高いことから乳化重合法を用いるのが
好適である。乳化重合法による場合には、上記の多官能
単量体(イ)と、官能基含有単量体(ロ)と、共重合性
単量体(ハ)とをラジカル乳化重合し、公知の方法に従
って塩析、洗浄、乾燥すればよい。この場合に、各単量
体、ラジカル開始剤などの重合薬剤は、反応開始時に全
量を一括して添加してもよいし、任意に分けて順次に添
加してもよい。重合反応は温度0〜80℃において酸素
を除去した反応器中で行われるが、反応の途中で温度や
攪拌などの操作条件を任意に変更することができる。重
合方式は連続式、回分式のいずれでもよい。電子部品の
層間絶縁層を形成するための組成物の粒子状ゴムとして
は、例えば特開平4−15830号公報に示されている
方法によって得られる、イオン含有割合の低い粒子状ゴ
ム、具体的にはナトリウム、カリウム等の金属イオンの
含有量が200ppm以下の粒子状ゴムを用いることが
好ましく、これにより、良好な電気絶縁性を有する絶縁
層を形成することができる。
【0035】上記の乳化重合法において、ラジカル開始
剤としては、ベンゾイルペルオキシド、クメンハイドロ
ペルオキシド、パラメンタンハイドロペルオキシド、ラ
ウロイルペルオキシドなどの有機過酸化物、アゾビスイ
ソブチロニトリルで代表されるジアゾ化合物、過硫酸カ
リウムで代表される無機化合物、有機化合物−硫酸鉄の
組合せで代表されるレドックス系触媒などが用いられ
る。
【0036】上記のようにして得られる粒子状ゴムは、
その表面にカルボキシル基またはエポキシ基が存在する
ものであるため、本発明の組成物において均一に分散さ
れた状態で存在し、当該組成物より形成される絶縁層の
表面を粗面化処理する工程において、強酸化性の粗面化
処理液によって選択的に反応されて溶解し、これによ
り、絶縁層の表面の粗面化が達成される。すなわち、当
該粒子状ゴムは、その表面にカルボキシル基またはエポ
キシ基を有することにより、他の成分に対して良好な親
和性を有するために本発明の当該組成物中に十分均一に
分散された状態で存在するようになる。そして、粗面化
処理において、強酸化性を有する粗面化処理液が絶縁層
の表面に存在する粒子状ゴムに接触することにより、当
該粒子状ゴムを構成する共重合体の二重結合が切断され
て当該共重合体が当該粗面化処理液に溶解する結果、当
該粒子状ゴムが絶縁層から消失しあるいは除去され、こ
れにより絶縁層の表面に微小な凹凸が形成されて粗面化
される。
【0037】また、上記の粒子状ゴムを含有する組成物
から得られる絶縁層の内部においては、当該粒子状ゴム
が均一に分散された状態で存在することから、当該絶縁
層において露光や熱処理によって生じる収縮応力、基材
との熱膨張係数の差によって生じる熱応力などが緩和さ
れ、その結果、多層配線板の寸法精度および絶縁層とし
て高い信頼性が得られる。さらに、粒子状ゴムを含有す
る組成物によれば、得られる絶縁層の靱性が向上し、ク
ラックの発生を防止することができる。
【0038】本発明の組成物において、粒子状ゴムの割
合は、表面粗面化処理において十分な微小凹凸が形成さ
れるに十分な範囲、具体的にはA成分100重量部に対
して1〜50重量部が加えられる。好ましい量は3〜4
0重量部である。この割合が過多の場合には、得られる
組成物による薄膜が十分な現像性を有しないものとなる
おそれがある。
【0039】その他の任意成分 本発明の組成物には、当該組成物が適用される基材に対
する接着性を向上させるための接着助剤を含有させるこ
とができる。この接着助剤としては、官能性シランカッ
プリング剤が有効である。ここで、官能性シランカップ
リング剤とは、カルボキシル基、メタクリロイル基、イ
ソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有す
るシランカップリング剤を意味し、その例としてはトリ
メトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビ
ニルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルト
リエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
エチルトリメトキシシランなどを挙げることができ、そ
の配合割合は、A成分〜D成分の合計量100重量部当
たり2重量部以下が好ましい。
【0040】本発明の組成物には、必要に応じて充填
材、着色剤、粘度調整剤、レベリング剤、消泡剤、その
他の添加剤を含有させることができる。充填材として
は、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、ベン
トナイト、ジルコニウムシリケート、粉末ガラスなどを
挙げることができる。着色剤としては、アルミナ白、ク
レー、炭酸バリウム、硫酸バリウムなどの耐湿顔料;亜
鉛華、鉛白、黄鉛、鉛丹、群青、紺青、酸化チタン、ク
ロム酸亜鉛、ベンガラ、カーボンブラックなどの無機顔
料;ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッド6
B、パーマネントレッドR、ベンジジンイエロー、フタ
ロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどの有機
顔料;マゼンタ、ローダミンなどの塩基性染料;ダイレ
クトスカーレット、ダイレクトオレンジなどの直接染
料;ローセリン、メタニルイエローなどの酸性染料、そ
の他を挙げることができる。粘度調整剤としては、ベン
トナイト、シリカゲル、アルミニウム粉末などを挙げる
ことができる。レベリング剤としては、各種シリコーン
系化合物、ポリアルキレンオキシド系化合物などを挙げ
ることができる。消泡剤としては、表面張力の低いシリ
コ−ン系化合物、フッ素系化合物などを挙げることがで
きる。これらの添加剤は、本発明の目的を損なわない範
囲で、好ましくはA〜D成分の合計の50重量%以下の
量で使用される。
【0041】〔組成物の調製〕本発明の組成物を調製す
るためには、充填材、顔料を添加しない場合には各成分
を通常の方法で混合、攪拌するだけでよく、充填材、顔
料を添加する場合にはディゾルバー、ホモジナイザー、
3本ロールミルなどの分散機を用いて分散、混合すれば
よい。また、必要に応じて、メッシュ、メンブレンフィ
ルターなどを用いてろ過することもできる。
【0042】本発明の組成物には、粘度調整を目的とし
て、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルム
アミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルアセト
アミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピ
ロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエー
テル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソ
ホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、
1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、
安息香酸エチル、乳酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレ
イン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノ
ン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソル
ブアセテート、メトキシメチルプロピオネート、エトキ
シエチルプロピオネート、ジエチレングリコールジメチ
ルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテ
ル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエ
チレングリコールメチルエチルエーテルなどの高沸点溶
剤を添加することもできる。これらの溶剤の使用量は、
組成物の用途や用いる塗布の方法に応じて変更すること
ができ、組成物を均一な状態とすることができれば特に
限定されるものではないが、得られる液状組成物におい
て5〜60重量%、好ましくは10〜40重量%となる
量である。
【0043】〔組成物の使用〕本発明の組成物を基材に
塗布するための塗布方法は特に限定されるものではな
く、一般的な感光性材料の塗布方法を利用することがで
きる。具体的には、スクリーン印刷法、ロールコート
法、バーコート法、ディップコート法、カーテンコート
法、スピンコート法などを挙げることができる。また、
本発明の組成物をフィルム状に成形した後、これをラミ
ネーターを用いて基材に密着させて用いることもでき
る。本発明の組成物は上記のような方法により基材に塗
布された後、乾燥し、紫外線を照射し、さらに加熱する
ことにより、硬化膜とすることができる。ここで、乾燥
条件、紫外線照射条件、加熱条件は、後述する(1)薄
膜形成工程、(2)露光処理工程および(3)反応促進
用加熱工程にそれぞれ記載された条件と同様である。本
発明の硬化膜はアルカリ水溶液に不溶である。ここでア
ルカリ水溶液に不溶とは、20℃の0.75重量%のテ
トラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中に180
〜300秒間浸漬した後の残膜率が90%以上であるこ
とを意味する。
【0044】本発明の組成物を用いて多層配線板を製造
する場合には、導体配線が表面に形成された配線板の当
該表面に、本発明の組成物よりなる薄膜を形成し、この
薄膜に露光処理および現像処理を施すことにより、例え
ば前記導体配線に至る貫通孔が形成されてこれにより当
該導体配線が露出された状態の絶縁層を形成し、この絶
縁層の表面に、前記導体配線と導通する新たな導体配線
を形成する一連の工程を1回または複数回繰り返せばよ
い。すなわち、n番目の導体配線が表面に形成された配
線板に、本発明の組成物による絶縁層を形成し、この絶
縁層の表面に、n番目の導体配線と導通する(n+1)
番目の導体配線を、めっき処理などによって形成する工
程が含まれる。ここに、nは1以上の整数である。本発
明の組成物によれば、このような方法により、信頼性の
高い、高密度で高精度の耐熱性多層配線板を高い効率で
製造することができる。
【0045】以下に、本発明の組成物を用いて多層配線
板を製造する方法について、工程順に具体的に説明す
る。 (1)薄膜形成工程 この薄膜形成工程においては、例えば導体配線が基板の
表面に形成されてなる配線板の当該表面上に、当該導体
配線が覆われるように本発明の組成物を塗布し、乾燥処
理して組成物中の溶剤を加熱除去することにより薄膜を
形成する。
【0046】ここに、導体配線が形成される基板の材質
は特に限定されるものでなく、例えばガラスエポキシ樹
脂、紙補強フェノール樹脂、セラミック、ガラス、シリ
コンウエハなどを挙げることができる。塗布方法として
は、例えばスピンコート法、ロールコート法、カーテン
コート法、スクリーン印刷法、アプリケーター法などを
採用することができる。また、本発明の組成物を基体フ
ィルム上に製膜し乾燥させて、いわゆるドライフィルム
を作製し、これをラミネーターなどによって基板に貼り
合わせることにより薄膜を形成してもよい。この基体フ
ィルムとしては、透光性を有する、例えばポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポ
リエステル系フィルム、延伸ポリプロピレン、ポリスチ
レンなどのポリオレフィン系フィルムを使用することが
できる。ここに、基体フィルムが透光性を有するもので
ある場合には、当該基体フィルムを通して光照射して当
該薄膜を光硬化させることが可能となる。
【0047】塗布後における乾燥の条件は、本発明の組
成物に含まれる各成分の種類、配合割合、膜厚などによ
っても異なるが、通常、70〜130℃の温度で1〜4
0分間程度である。乾燥が不十分であると、残留する溶
剤によって薄膜の表面にべとつきが生じ、また、基板に
対する絶縁層の密着性が低下する。一方、乾燥が過度に
なされると、熱かぶりによって解像性の低下を招く。こ
の薄膜の乾燥は、オーブンやホットプレートなどの通常
の装置を用いて行われる。上記の薄膜形成工程において
形成される薄膜の乾燥後の膜厚は、例えば10〜100
μmであり、30〜70μmであることが好ましい。膜
厚が過少であると十分な絶縁性を有する絶縁層を形成す
ることができず、一方、膜厚が過大であると解像性の低
下を招く。
【0048】(2)露光処理工程 この露光処理工程においては、薄膜形成工程によって配
線板上に形成された薄膜に所定のパターンのマスクを介
して波長200〜500nmの紫外線または可視光線を
照射して、薄膜の光照射領域(露光領域)を光硬化させ
る。露光処理装置としては、フュージョン、コンタクト
アライナー、ステッパー、ミラープロジェクターなどを
使用することができる。また露光処理に使用される光源
としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀
灯、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザ、X線
発生装置、電子線発生装置などを挙げることができる。
薄膜に対する露光量は、薄膜を構成する組成物における
各成分の種類、配合割合、膜厚などによっても異なる
が、例えば高圧水銀灯を使用する場合において100〜
3000mJ/cm2 である。
【0049】(3)反応促進用加熱工程 この反応促進用加熱工程においては、露光処理工程の後
の当該薄膜を、通常、温度70〜140℃で1〜40分
間程度加熱し、これにより、露光処理工程における光反
応による硬化に加えて、熱反応による薄膜の硬化を促進
させる。この加熱が過度であると熱かぶりによって解像
性の低下を招く。この加熱は、オーブンやホットプレー
トなどの通常の装置を用いて行われる。ただし、本発明
の組成物は、光硬化速度が大きく、しかも硬化性が優れ
ているので、この工程を省略することも可能である。
【0050】(4)現像処理工程 この現像処理工程においては、非露光領域における組成
物を、アルカリ水溶液よりなる現像液に溶解させて除去
し、露光領域における組成物のみを残存させることによ
り、パターン形成を行う。ここに、現像液としては、例
えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウ
ム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモ
ニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルア
ミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メ
チルジエチルアミン、ジメタノール・エタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウム
ヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシ
ド、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ
〔5.4.0〕−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシ
クロ〔4.3.0〕−5−ノナンなどのアルカリ化合物
の水溶液を用いることができる。また、上記のアルカリ
類の水溶液にメチルアルコール、エチルアルコールなど
の水溶性有機溶剤や界面活性剤を適当量添加した水溶
液、または本発明の組成物を溶解する各種有機溶剤を現
像液として使用することができる。好ましい現像液とし
ては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリ
ウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの、
濃度0.1〜6.0重量%の水溶液、特に0.2〜3.
0重量%の水溶液が好ましい。
【0051】現像方法としては、液盛り法、ディッピン
グ法、パドル法、スプレー現像法などを挙げることがで
きる。現像処理後には、例えば流水洗浄を0.1〜20
分間行い、エアーガンなどを用いてあるいはオーブン内
において乾燥させる。この現像処理工程によって薄膜の
一部が除去されて例えば貫通孔が形成され、基板表面の
導体配線の一部が露出される結果、フォトビアホールを
有する絶縁層が形成される。
【0052】(5)熱硬化・後露光工程 本発明の組成物は光硬化性および熱硬化性の両方の性質
を有しており、この熱硬化・後露光工程において熱硬化
処理および/または後露光処理が行われることにより、
フォトビアホールを有する絶縁層の硬化が更に促進され
る。従って、この熱硬化・後露光工程は、絶縁層が十分
な硬化状態にあるときは不要となる工程である。熱硬化
処理は、ホットプレート、オーブン、赤外線オーブンな
どを用いて、絶縁層が熱劣化を起こさない温度条件、好
ましくは150〜180℃で30分間〜5時間程度の適
当な時間が選択されて行われる。また、後露光処理は、
露光処理工程で使用されるものと同様の光源および装置
を用いて、例えば100〜3000mJ/cm2 の露光
量で行うことができる。
【0053】(6)平坦化処理工程 この平坦化処理工程は、例えば平坦でない基板上に形成
された絶縁層を研磨処理することによって平坦化するた
めの任意の工程であり、平坦化されることによって、当
該絶縁層の表面に導体配線を形成する場合における回路
加工の精度を向上させることができる。ここに、研磨手
段としては、例えばバフロール、ナイロンブラシ、ベル
トサンダーなどの研磨手段を使用することができる。
【0054】(7)スルーホール形成工程 このスルーホール形成工程は、部品の挿入や他の配線板
との接続すなわち層間接続を達成するためにスルーホー
ルが必要とされる場合において、数値制御型ドリルマシ
ンなどを用いて機械的に穿孔加工を行う工程である。な
お、本発明の組成物を用いた製造方法によれば、フォト
ビアホールによって層間接続を行うことができるので、
このスルーホール形成工程は必要がある場合にのみ行わ
れる任意の工程である。
【0055】(8)粗面化処理工程 この粗面化処理工程においては、上記の絶縁層の表面に
形成される導体配線の密着性を向上させるために、当該
絶縁層の表面が粗面化処理液によって粗面化される。粗
面化処理液としては、過マンガン酸カリウム水溶液、過
マンガン酸カリウムと水酸化ナトリウムとの混合水溶液
などのアルカリ性の処理液、無水クロム酸と硫酸との混
酸、その他の強酸化性を有するものが用いられる。これ
らのうち、過マンガン酸カリウムと水酸化ナトリウムと
の混合水溶液が特に好ましい。処理方法としては、室温
〜90℃に加温した処理液中に5〜120分間絶縁層を
浸漬させればよい。なお、粗面化処理後においては、必
要に応じてシュウ酸などの弱酸水溶液により中和した
後、流水洗浄を十分に行うことが必要である。この粗面
化処理工程によって、絶縁層の表面、フォトビアホール
の側壁面およびスルーホールの側壁面は、例えば0.0
1〜10μmの凹凸形状を有する粗面状態となり、アン
カー効果によって導体配線を構成する銅めっき層に対し
て強固な密着力が発揮される。
【0056】(9)触媒処理工程 この触媒処理工程は、絶縁層の表面およびホールの内壁
表面に、次工程において無電解銅めっき処理を行う際の
析出核となるめっき触媒を担持させる工程である。ここ
に、めっき触媒としては、例えばパラジウムなどの金属
コロイドを使用することができ、当該金属コロイドが媒
体中に分散されてなる各種公知の処理液中に絶縁層を浸
漬させることにより、触媒の担持は達成される。なお、
本発明の組成物中には、めっき触媒を含有させることが
でき、この場合には、この工程を省略することができ
る。
【0057】(10)新たな導体配線の形成工程 この新たな導体配線の形成工程は、例えば無電解銅めっ
き処理を行うことにより、フォトビアホールおよびスル
ーホールを介して、基板表面に既に形成されていた導体
配線(第1の導体配線)との電気的接続を実現しなが
ら、絶縁層の表面に新たな導体配線(第2の導体配線)
を形成する工程である。新たな導体配線の形成方法とし
ては、例えば以下に示す方法〜を挙げることができ
る。
【0058】方法 触媒が担持された絶縁層表面の全域に無電解銅めっき処
理を行って銅めっき層を形成し、必要に応じて、当該銅
めっき層を電極とする電解銅めっき処理により所望の厚
みを有する銅金属層を形成し、この銅金属層上にレジス
トパターンを形成し、次いで銅金属層をエッチングして
導体パターンを形成する。ここで、レジストパターン
は、第2の導体配線が形成される領域のほかに、第1の
導体配線と第2の導体配線と間の層間接続用導体が形成
される層間接続用フォトビアホールの位置、すなわち導
体ランドが形成されるべき領域にも形成される。この導
体ランドの径は、位置ずれ誤差を考慮してフォトビアホ
ールの径よりも大きくすることが好ましい。レジストパ
ターンは、通常、フォトレジストを用いたフォトリソグ
ラフィーによって形成される。また、銅金属層のエッチ
ングは、過硫酸アンモニウム水溶液やアンモニア錯体系
のエッチング液により行われる。銅金属層のエッチング
が行われた後、レジストパターンは所定の方法で剥離除
去される。フォトレジストは、必要な解像性およびエッ
チング液に対する耐性を有し、後に除去できるものであ
ればよい。このようにして、基板の表面の第1の導体配
線と導通する第2の導体配線が絶縁層の上に形成され
る。
【0059】方法 触媒が担持された絶縁層表面における新たな導体配線を
形成すべき領域以外の領域にレジストパターンを形成し
た後、無電解銅めっき処理および必要に応じて電解銅め
っき処理を行うことにより、絶縁層表面における新たな
導体配線を形成し、かつフォトビアホールの内壁表面に
銅めっき層を形成して、レジストパターンを剥離除去す
る。この方法においても、導体配線の幅をフォトビアホ
ールの径よりも大きくすることが好ましい。
【0060】方法 触媒が担持された絶縁層の表面全面に、めっき触媒を含
有していない感光性樹脂組成物を塗布して被覆層を形成
し、この被覆層をパターンマスクを通して露光して現像
することにより、当該被覆層にフォトビアホールを形成
すると共にそれに連続する第2の導体配線となる個所の
被覆層部分を除去し、その上で無電解銅めっきのみを行
う。この方法においても、導体配線の幅をフォトビアホ
ールの径よりも大きくすることが好ましい。また、被覆
層の厚さは、銅めっきによる銅金属層の厚さと同じか、
やや大きめであることが好ましい。この方法によれば、
形成される第2の導体配線は、被覆層の除去部分に形成
されると共に、残存被覆層による絶縁膜が絶縁層の上に
残存し、しかもこの残存被覆層と銅金属層の厚さが、通
常近似したものとなるため、外表面を平坦性に優れたも
のとすることができる。なお、以上の被覆層を形成する
ための感光性樹脂組成物として、本発明の組成物を用い
ることができる。
【0061】以上の工程(1)〜(10)を繰り返すこ
とにより、さらに多層化することができる。この場合に
おいて、新たな導体配線の形成工程(10)を実施する
際には、方法〜方法を組み合わせて多層化すること
もできる。なお、多層配線板の最上層となる絶縁層の表
面に導体配線を形成した後に、当該絶縁層と導体配線と
の密着性を向上させる観点から、ポストベークを行うこ
とが好ましい。最上層となるもの以外の絶縁層およびそ
れに係る導体配線に対しては、その後の絶縁層の形成に
おける加熱工程において加熱されるため、特に単独の工
程としてポストベークを行う必要はない。
【0062】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。また、
特に明示する場合を除き、「部」は「重量部」を、
「%」は「重量%」を示す。
【0063】〔A成分〕アルカリ可溶性樹脂として、次
の5種を用意した。 A1:クレゾールノボラック樹脂〔m−クレゾール:p
−クレゾール=6:4(モル比)、重量平均分子量Mw
=11000〕 A2:クレゾールキシレノールノボラック樹脂〔m−ク
レゾール:p−クレゾール:3,5−キシレノール=
6:3:4(モル比)、重量平均分子量Mw=800
0〕 A3:ポリ(p−ビニルフェノール)〔丸善石化製、重
量平均分子量Mw=3000〕 A4:ポリ(臭素化p−ビニルフェノール)〔丸善石化
製、商品名「マルカリンカーMB」、重量平均分子量M
w=4000〕
【0064】〔B成分〕架橋剤として、次のアミノ樹脂
2種を用意した。 B1:ヘキサメトキシメチル化メラミン B2:テトラメトキシメチル化グリコールウリル
【0065】〔C成分〕チイラニル基含有化合物とし
て、次の2種を用意した。 C1:チオシアン酸カリウム100g(1.029 mol)を
400mLメタノールに1Lフラスコ中で溶解し40゜C
に保った。これに、グリシジルエステル型エポキシ樹
脂: エピコート191P(油化シェルエポキシ製)
100g(エポキシ当量:0.588 mol)を400mLメ
タノールに溶解した溶液を30分間にわたり滴下し、さ
らに、20gチオシアン酸カリウム/100mLメタノ
ールを追添して反応を継続した。前記エポキシ樹脂の添
加開始から2時間半経過した頃より反応液が乳濁し、3
時間後には沈殿物(ゲル)が確認されたため反応を停止
した。反応液を500mLの水に注入しさらに、600
mLの塩化メチレンで有機層を抽出、濾過、硫酸マグネ
シウムで乾燥させた後、塩化メチレンを除去して生成物
98gを得た。この生成物をC1とする。
【0066】C2:硫酸49g(0.5 mol)を50
0mL蒸留水に加え、これにチオ尿素79g(1mol)
を1Lフラスコ中で50゜C 溶解させた。これに、エピ
コート828154g(エポキシ当量0.8 mol)を1時
間に渡り添加し、さらに50゜C で5時間反応を継続さ
せた。反応中チウロニウム塩は、白色の固体として反応
液中に沈殿してきた。沈殿を濾過分離後、さらに1Lの
水で洗浄し余分の酸を除去した。チウロニウム塩を通風
乾燥後に炭酸ナトリウム水溶液(Na2CO3 1mol/750mL)
に加え60゜C で6時間反応させ、析出した白色固体を
濾過回収した。この白色固体をメタノールを用いて洗浄
後、乾燥させ生成物155gを得た。これをC2とす
る。
【0067】〔D成分〕次の光重合開始剤3種を用意し
た。 D1:2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシフェ
ニル)−6−トリアジン D2:2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチ
リル)−6−トリアジン D3:ジフェニルヨードニウム−9,10−ジメトキシ
アントラセンスルホネート
【0068】〔添加剤1〕E成分として、次の液状ゴム
3種を用意した。 E1:ブタジエン−アクリロニトリル−メタクリル酸共
重合体〔ブタジエン:アクリロニトリル:メタクリル酸
=87:6:7(モル比)、数平均分子量Mn=600
0、ガラス転移点Tg−55℃〕 E2:ブタジエン−アクリロニトリル−ヒドロキシエチ
ルアクリレート共重合体〔ブタジエン:アクリロニトリ
ル:ヒドロキシエチルアクリレート=61:27:12
(モル比)、数平均分子量Mn=8000、ガラス転移
点Tg−80℃〕 E3:ブタジエン−アクリロニトリル−メタクリル酸共
重合体〔ブタジエン:アクリロニトリル:メタクリル酸
=87:6:7(モル比)、数平均分子量Mn=70
0、ガラス転移点Tg−100℃以下〕
【0069】〔添加剤2〕F成分として、次の添加剤4
種を用意した。 F1:シリカ粒子「TS100」(デグサ社製) F2:炭酸カルシウム「ソフトン2200」(備北粉化
社製) F3:粒子状ゴム(ブタジエン−アクリロニトリル−メ
タクリル酸−ジビニルベンゼン架橋共重合体〔ブタジエ
ン:アクリロニトリル:メタクリル酸:ジビニルベンゼ
ン=76:20:2:3(重量比)〕 F4:エポキシ樹脂「エピコート828」(油化シェル
エポキシ社製)
【0070】〔溶剤〕次の有機溶剤4種を用意した。 MMP:3−メトキシプロピオン酸メチル PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテル
アセテート EEP:3−エトキシプロピオン酸エチル
【0071】<実施例1〜7、比較例1〜2(組成物の
調製)>下記表1に示す処方に従って、上記のA成分〜
D成分並びに必要に応じて添加剤および溶剤を配合し、
得られた配合物の各々を、ヘンシェルミキサーにより混
合・攪拌を行うことにより、感光性樹脂組成物を調製し
た。
【0072】
【表1】
【0073】<組成物の性能評価および多層配線板の製
造> (1)感光特性評価テスト基板の作製および評価 銅金属層が一面に形成されたガラスエポキシ樹脂よりな
る板状体をテストピースとして用い、その一面上に、実
施例1〜2および比較例1〜6により調製された組成物
を試料としてその各々をスピンコータを用いて塗布し、
熱風オーブン内において90℃で10分間乾燥すること
により、乾燥後の膜厚が約50μmの薄膜を形成した。
【0074】ここに得られたテストピースの各々につい
て、その薄膜に対し、直径がそれぞれ25μm、50μ
m、75μm、100μm、150μmおよび200μ
mの穿孔パターンが形成されたテスト用フィルムマスク
を介して露光を行った。露光処理は、オーク製作所製H
MW321B型露光装置を用い、コンタクトで1000
mJ/cm2 の露光量で行った。露光処理後のテストピ
ースを120℃で5分間加熱処理した後、0.75%の
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中に18
0〜300秒間浸漬して揺動させることにより現像処理
を行い、銅金属層に至る貫通孔すなわちフォトビアホー
ルを有する絶縁層を形成した。その後、当該絶縁層が形
成されたテストピースの各々を水洗し乾燥した。
【0075】ここに得られたテストピースの各々につい
て解像性の評価を行った。解像性の評価は、種々の大き
さの径のフォトビアホールが形成されるようにフォトリ
ソグラフィーを実行し、その結果、銅金属層が露出され
ていることが確認されたフォトビアホールのうち最小の
ものの直径(これを「貫通孔最小径」という。)を測定
することにより行った。この貫通孔最小径の値が小さい
ものほど解像性に優れていることを意味する。結果を表
2に示す。
【0076】次に、絶縁層が形成されたテストピースの
各々を、熱風オーブン内において温度150℃で60分
間加熱することにより硬化させ、その後、熱硬化したテ
ストピースを、温度65℃に維持された過マンガン酸カ
リウム−水酸化ナトリウム水溶液(過マンガン酸カリウ
ム濃度3%、水酸化ナトリウム濃度2%)中に10分間
浸漬することにより、絶縁層の表面に対して粗面化処理
を行い、その後、濃度5%のシュウ酸水溶液中に室温で
5分間浸漬することにより中和処理し、さらに十分に水
洗した。
【0077】次に、テストピースの各々を塩化パラジウ
ム系の触媒液中に室温下6分間浸漬することにより、粗
面化された絶縁層の表面および貫通孔の内面にめっき触
媒を担持させ、さらに触媒活性化液中に室温で8分間浸
漬してめっき触媒を活性化させた。その後、テストピー
スの各々を水洗した後、室温で20分間にわたって無電
解銅めっき処理を行った。この処理では、触媒液、触媒
活性化液および無電解銅めっき液として「OPCプロセ
スMシリーズ」(奥野製薬(株)製)のものを用いた。
次に、硫酸銅−硫酸水溶液(硫酸銅濃度210g/L、
硫酸濃度52g/L、pH=1.0)よりなる電解銅め
っき液を用い、3.0mA/dmの電流密度で電解銅め
っき処理を行い、合計の厚みが約20μmの銅金属層を
絶縁層の表面全体にわたって形成し、その後、当該テス
トピースを150℃で1時間加熱処理した。
【0078】これらのテストピースの表面に1cm間隔
の切り込みを形成し、端面から、ピールテスターで剥離
させることにより、銅金属層のピール強度(JIS C
6481)を測定した。結果を表2に示す。このピー
ル強度は、10cm引き剥がした中での最頻値である。
【0079】(2)ガラス転移点の測定 ポリエチレンテレフタレートフィルムの一面に離型剤を
塗布し、その一面上に上記(1)と同様の方法により厚
さ50μmの薄膜を形成し、この薄膜の全体に対して1
000mJ/cm2 の露光量で露光処理した後、150
℃で2時間加熱して硬化させて試料組成物の各々による
フィルムを形成し、ポリエチレンテレフタレートフィル
ムから剥離してテストフィルムを得た。このテストフィ
ルムについて、弾性率測定装置「レオバイブロンRHE
O−1021」(オリエンテック社)を用いて周波数1
0Hzにおいて弾性率変化を測定し、tanδのピーク
トップをガラス転移点の値として求めた。結果を表2に
示す。
【0080】(3)基板の反り試験 縦1cm、横5cm、厚さ0.1mmの短冊状のガラス
エポキシよりなる基板の上面に試料組成物の各々をアプ
リケーターを用いて乾燥後の厚みが50μmとなるよう
塗布し、当該基板を水平な台の上に載せた状態で当該基
板の長辺側の一端を当該台に固定し、この状態で試料組
成物を上記(2)のガラス転移点の測定の場合と同様の
条件で硬化させ、このときに生ずる試料組成物の硬化収
縮によって当該基板に生ずる反りの程度を、当該基板の
長辺における他端が台の上面から離れる距離(間隙距
離)で測定した。この間隙距離の数値が大きいものほ
ど、基板の反りが大きく、従って硬化収縮の大きい材料
であることを示す。結果を表2に示す。
【0081】(4)吸水率の測定 重量w0 を測定した直径4インチのシリコンウエハーに
試料組成物の各々をスピンコートにより塗布し、熱風オ
ーブン内において90℃で10分間乾燥させ、乾燥後の
膜厚が約50μmの薄膜を形成し、次いでコンタクトア
ライナーにより露光量1000mJ/cm2 で全面露光
を行い、この露光処理後のテスト基板を150℃で4時
間加熱処理し、ここに得られたテスト基板(浸漬前試
料)の重量w1 を測定した。続いてテスト基板を超純水
中に室温下で24時間浸漬した後、濾紙でテスト基板の
水分を十分に拭き取って当該テスト基板(浸漬後試料)
の重量w2 を測定した。そして、下記の式に従って吸水
率(%)を求めた。結果を表2に示す。 吸水率=[(w1 − w0 )÷(w2 − w0 )]×1
00
【0082】
【表2】
【0083】
【発明の効果】本発明に係る感放射線性樹脂組成物は、
小径のフォトビアホールを高い精度で形成することがで
きる優れた解像性を有し、アルカリ水溶液により現像す
ることができ、耐めっき液性および導体配線の密着性に
優れた絶縁層を形成することができると共に、当該組成
物膜は吸水性が低いと共に硬化収縮の程度が小さく、従
って当該組成物を使用することにより、信頼性の高い多
層配線板を効率よく製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H05K 3/46 H05K 3/46 T (72)発明者 佐藤 穂積 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記のA成分〜D成分を含有することを
    特徴とする感放射線性樹脂組成物。 〔A成分〕アルカリ可溶性樹脂 〔B成分〕架橋剤 〔C成分〕1分子内に少なくとも1つのチイラニル基を
    含有する化合物 〔D成分〕放射線重合開始剤
  2. 【請求項2】 請求項1記載の組成物を硬化すること
    により得られるアルカリ水溶液に不溶である硬化膜。
JP24343497A 1997-08-25 1997-08-25 感放射線性樹脂組成物および硬化膜 Pending JPH1160896A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002348375A (ja) * 2001-05-23 2002-12-04 Nippon Steel Chem Co Ltd 新規なエピスルフィド化合物
EP1962139A1 (en) * 2007-02-23 2008-08-27 FUJIFILM Corporation Negative resist composition and pattern forming method using the same
US7714033B2 (en) 2006-08-21 2010-05-11 Jsr Corporation Photosensitive insulating resin composition, cured product thereof and electronic component comprising the same

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