JP2001026745A - プレコート鋼板用塗料組成物及び成形加工性と耐きしみ音性に優れたプレコート鋼板並びにその製造方法 - Google Patents

プレコート鋼板用塗料組成物及び成形加工性と耐きしみ音性に優れたプレコート鋼板並びにその製造方法

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JP2001026745A
JP2001026745A JP19995799A JP19995799A JP2001026745A JP 2001026745 A JP2001026745 A JP 2001026745A JP 19995799 A JP19995799 A JP 19995799A JP 19995799 A JP19995799 A JP 19995799A JP 2001026745 A JP2001026745 A JP 2001026745A
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organic resin
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Kenichi Sasaki
健一 佐々木
Keiji Yoshida
啓二 吉田
Masaaki Yamashita
正明 山下
Yasuyuki Kajita
保之 梶田
Hiroyuki Kato
博之 加藤
Katsuyoshi Tanaka
勝祥 田中
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JFE Engineering Corp
Nippon Paint Co Ltd
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Nippon Paint Co Ltd
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗膜硬度、成形加工性及び耐きしみ音性がと
もに優れたプレコート鋼板を得ることができるプレコー
ト鋼板用塗料組成物を提供する。 【解決手段】 下記イ)〜ハ)を主成分とし、且つ有機
樹脂ビーズが固形分の割合で塗料組成物100重量部
(但し、有機樹脂ビーズを除く塗料組成物の重量)に対
して0.3〜30重量部配合されたプレコート鋼板用塗
料組成物であり、この塗料組成物によれば、塗膜硬度、
成形加工性及び耐きしみ音性がともに優れたプレコート
鋼板が得られる。 イ)一般式(1) 【化1】 を主たる繰り返し単位とするポリエステル化合物:樹脂
固形分中の割合で1〜15重量% ロ)上記イ)を除くポリオール:樹脂固形分中の割合で
40〜90重量% ハ)硬化剤:樹脂固形分中の割合で9〜50重量%

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、塗料組成物及びこ
の塗料組成物を用いたプレコート鋼板並びにその製造方
法に関するものである。本発明のプレコート鋼板は、例
えば家電製品や建材用途などに好適であり、また自動車
用としても使用することができる。
【0002】
【従来の技術】従来、プレコート鋼板用塗料としては、
外面下塗り塗料及び裏面塗料にはポリエステル樹脂やエ
ポキシ樹脂が主として使用され、また外面上塗り塗料に
はポリエステル系、アクリル系、ビニル系などの塗料が
使用されている。また、外面上塗り塗料として最も一般
的であるのが、ポリエステル樹脂(主剤)とメラミン化
合物(硬化剤)との組み合わせからなるポリエステル樹
脂塗料であり、この塗料ではポリエステル樹脂により加
工性を、またメラミン化合物により硬度を得ている。し
かし、この外面上塗り塗料を要求性能の厳しいプレコー
ト鋼板、特に家電用途などのプレコート鋼板に適用した
場合、得られる性能は十分なものとは言えない。
【0003】また、プレコート鋼板に要求される重要な
性能の一つとして耐きしみ音性がある。すなわち、屋内
パーティションのようにプレコート鋼板を加工したもの
をアルミなどの金属枠と組み合わせて使用した場合、手
で押すことなどによって外部からの力が加わると、金属
枠とプレコート鋼板が接触する部分から音(きしみ音)
が発生するという問題があり、プレコート鋼板にはこの
ような“きしみ音”が生じにくい性能が求められる。し
かし、従来のプレコート鋼板用塗料は、このような要求
特性を十分に満足させるものではなかった。
【0004】従来、加工性と塗膜硬度を高度に満足させ
得る塗膜用の塗料組成物に関しては、例えば特開平7−
233349号において、ポリオールを主剤とし、イソ
シアネート化合物及び/又はアミノ樹脂を硬化剤とする
塗料組成物に、主としてナフタレン−2,6−ジカルボ
ン酸及び/又はその低級アルキルエステルをアルコール
成分と反応させて得られるポリエステル化合物を加えた
プレコート鋼板用塗料組成物が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この特開平7
−233349号の塗料組成物では、良好な加工性(例
えば、折り曲げ加工性)と硬度を有する塗膜は得られる
ものの、上述したような耐きしみ音性(きしみ音が発生
しにくい特性)については十分満足できる性能は得られ
ない。従来一般に、きしみ音を少なくして耐きしみ音性
を改善するには塗膜硬度を高めることが有効であると考
えられているが、樹脂骨格の変更により塗膜硬度を高く
した場合、加工性が損なわれてしまうという問題があ
る。
【0006】したがって本発明の目的は、上記のような
従来技術の課題を解決し、高い塗膜硬度と厳しい成形加
工における高度の成形加工性を有し、しかも耐きしみ音
性にも優れたプレコート鋼板を得ることができるプレコ
ート鋼板用塗料組成物を提供することにある。また、本
発明の他の目的は、上記の塗料組成物を用いた塗膜硬
度、成形加工性及び耐きしみ音性に優れたプレコート鋼
板を提供することにある。さらに、本発明の他の目的
は、上記のプレコート鋼板の製造方法を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決し、優れた性能のプレコート鋼板を得るために検
討を重ねた結果、ポリオールを主剤とし、これに硬化剤
と、主としてナフタレン−2,6−ジカルボン酸及び/
又はその低級アルキルエステルをアルコール成分と反応
させて得られるポリエステル化合物を加えた塗料配合系
であって、これにさらに適量の有機樹脂ビーズを添加し
た塗料組成物によって塗膜を形成すること、特に好まし
くは、化成処理が施された亜鉛系めっき鋼板の表面に下
塗り塗膜と上塗り塗膜を形成するとともに、上塗り塗膜
を上記塗料組成物により形成することにより、塗膜硬
度、成形加工性及び耐きしみ音性がともに優れたプレコ
ート鋼板が得られることを見い出した。
【0008】本発明はこのような知見に基づきなされた
もので、その特徴とする構成は以下の通りである。 [1] 下記イ)〜ハ)を主成分とし、且つ有機樹脂ビーズ
が固形分の割合で塗料組成物100重量部(但し、有機
樹脂ビーズを除く塗料組成物の重量)に対して0.3〜
30重量部配合されたことを特徴とするプレコート鋼板
用塗料組成物。 イ)一般式(1)
【化4】 を主たる繰り返し単位とするポリエステル化合物:樹脂
固形分中の割合で1〜15重量% ロ)上記イ)を除くポリオール:樹脂固形分中の割合で
40〜90重量% ハ)硬化剤:樹脂固形分中の割合で9〜50重量%
【0009】[2] 上記[1]の塗料組成物において、硬化
剤がブロック化ポリイソシアネート化合物であることを
特徴とするプレコート鋼板用塗料組成物。 [3] 上記[1]又は[2]の塗料組成物において、有機樹脂ビ
ーズの平均粒径(但し、平均粒径:有機樹脂ビーズを同
体積の球に換算し、当該球の直径を有機樹脂ビーズの粒
径としたときの平均粒径)が0.1〜10μmであるこ
とを特徴とするプレコート鋼板用塗料組成物。
【0010】[4] 上記[1]〜[3]のいずれかの塗料組成物
において、有機樹脂ビーズがメタクリル酸樹脂ビーズ、
アクリル樹脂ビーズ、尿素樹脂ビーズ、ウレタン樹脂ビ
ーズの中から選ばれる1種以上であることを特徴とする
プレコート鋼板用塗料組成物。 [5] 上記[1]〜[3]のいずれかの塗料組成物において、有
機樹脂ビーズが尿素樹脂ビーズであることを特徴とする
プレコート鋼板用塗料組成物。
【0011】[6] 化成処理が施された亜鉛系めっき鋼板
の少なくとも片面に下塗り塗膜及び上塗り塗膜を有する
プレコート鋼板であって、前記上塗り塗膜が、下記イ)
〜ハ)を主成分とし、且つ有機樹脂ビーズが固形分の割
合で塗料組成物100重量部(但し、有機樹脂ビーズを
除く塗料組成物の重量)に対して0.3〜30重量部配
合された塗料組成物を塗布して形成した塗膜であること
を特徴とする成形加工性と耐きしみ音性に優れたプレコ
ート鋼板。 イ)一般式(1)
【化5】 を主たる繰り返し単位とするポリエステル化合物:樹脂
固形分中の割合で1〜15重量% ロ)上記イ)を除くポリオール:樹脂固形分中の割合で
40〜90重量% ハ)硬化剤:樹脂固形分中の割合で9〜50重量%
【0012】[7] 上記[6]のプレコート鋼板において、
上塗り塗膜を形成する塗料組成物中の硬化剤がブロック
化ポリイソシアネート化合物であることを特徴とする成
形加工性と耐きしみ音性に優れたプレコート鋼板。 [8] 上記[6]又は[7]のプレコート鋼板において、上塗り
塗膜中に含まれる有機樹脂ビーズの平均粒径(但し、平
均粒径:有機樹脂ビーズを同体積の球に換算し、当該球
の直径を有機樹脂ビーズの粒径としたときの平均粒径)
が0.1〜10μmであることを特徴とする成形加工性
と耐きしみ音性に優れたプレコート鋼板。
【0013】[9] 上記[6]〜[8]のいずれかのプレコート
鋼板において、上塗り塗膜中に含まれる有機樹脂ビーズ
が、メタクリル酸樹脂ビーズ、アクリル樹脂ビーズ、尿
素樹脂ビーズ、ウレタン樹脂ビーズの中から選ばれる1
種以上であることを特徴とする成形加工性と耐きしみ音
性に優れたプレコート鋼板。 [10] 上記[6]〜[8]のいずれかのプレコート鋼板におい
て、上塗り塗膜中に含まれる有機樹脂ビーズが尿素樹脂
ビーズであることを特徴とする成形加工性と耐きしみ音
性に優れたプレコート鋼板。
【0014】[11] 上記[6]〜[10]のいずれかのプレコー
ト鋼板の製造方法であって、化成処理が施された亜鉛系
めっき鋼板の少なくとも片面に下塗り塗膜用の塗料組成
物を塗布した後、到達板温で180〜260℃の温度範
囲で焼付処理し、次いで、下記イ)〜ハ)を主成分と
し、且つ有機樹脂ビーズが固形分の割合で塗料組成物1
00重量部(但し、有機樹脂ビーズを除く塗料組成物の
重量)に対して0.3〜30重量部配合された上塗り塗
膜用の塗料組成物を塗布した後、 イ)一般式(1)
【化6】 を主たる繰り返し単位とするポリエステル化合物:樹脂
固形分中の割合で1〜15重量% ロ)上記イ)を除くポリオール:樹脂固形分中の割合で
40〜90重量% ハ)硬化剤:樹脂固形分中の割合で9〜50重量%到達
板温で180〜260℃の温度範囲で焼付処理すること
を特徴とする成形加工性と耐きしみ音性に優れたプレコ
ート鋼板の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細とその限定理
由を説明する。本発明のプレコート鋼板用塗料組成物
は、イ)特定のポリエステル化合物と、ロ)上記イ)を
除くポリオールと、ハ)硬化剤とを主成分とし、これに
耐きしみ音性向上剤として有機樹脂ビーズを特定の割合
で配合したものである。まず、上記イ)のポリエステル
化合物は下記一般式(1)を主たる繰り返し単位とする
ポリエステル化合物である。
【化7】
【0016】上記イ)のポリエステル化合物は、酸成分
であるナフタレン−2,6−ジカルボン酸及び/又はそ
の低級アルキルエステルをアルコール成分と反応させる
ことにより得ることができる。上記イ)のポリエステル
化合物を得るための酸成分としては、ナフタレン−2,
6−ジカルボン酸及び/又はその低級アルキルエステル
が主として用いられるが、それらの一部をテレフタル
酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン
酸、ジフェニルジカルボン酸などのジカルボン酸、又は
これらジカルボン酸の低級アルキルエステルなどで置き
換えることもできる。この低級アルキルエステルとして
は、炭素数が1〜2個のメチルエステル、エチルエステ
ルなどが挙げられる。但しこの場合でも、主体となるナ
フタレン−2,6−ジカルボン酸は酸成分全体のうち8
5モル%以上とし、置き換えられる他の化合物の割合は
15モル%未満に抑えることが望ましい。
【0017】また、上記イ)のポリエステル化合物を得
るためのアルコール成分としては、主としてジオールを
用いる。このジオールとしては脂肪族ジオール、脂環族
ジオールなどを用いることができ、例えば、エチレング
リコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げ
られる。また、ポリオキシアルキレングリコール、特
に、数平均分子量が1000以下のポリエチレングリコ
ール(以下、PEGと略す)、或いは数平均分子量が1
000以下のポリテトラエチレングリコール(以下、P
TGと略す)を使用することもできる。また、これらを
混合して使用してもよい。
【0018】また、アルコール成分としては、上述した
ジオールの他に3価以上の多価アルコールを用いてもよ
い。多価アルコールとしては、トリエチレングリコー
ル、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロー
ルプロパン、トリメチロールエタンなどが挙げられる。
以上のような酸成分とアルコール成分とが反応し、上記
イ)のポリエステル化合物が生成される。また特に、数
平均分子量が1000以下のPEG又は数平均分子量が
1000以下のPTGを用いた場合には、エーテル結合
を有するポリエステル化合物が生成される。
【0019】本発明で用いる上記イ)のポリエステル化
合物は、エステル交換法や直接エステル化法などの通常
のポリエステル製造法によって得ることができる。通
常、酸成分とアルコール成分はモル比1:2で反応する
ので、効率良く反応を行うためには、酸成分とアルコー
ル成分をできるだけモル比1:2に近い割合で配合する
のが望ましい。また、ポリエステル化合物は、単独また
は2種類以上の組み合わせのいずれでも使用することが
できる。
【0020】上述したような酸成分とアルコール成分の
組み合わせで生成したポリエステル化合物は、偏光顕微
鏡で観察した場合に異方性を示す。このようなポリエス
テル化合物を含む塗膜は、焼付後においても液晶化合物
の特徴である配向などの作用により塗膜の強靭化が図ら
れ、これが塗膜硬度と加工性の改善に寄与するものと考
えられる。
【0021】上記PEG又はPTGをアルコール成分と
して用いた場合、これが酸成分と反応し、エーテル結合
を有するポリエステル化合物が生成する。このエーテル
結合を有するポリエステル化合物は還元粘度が0.20
dl/g以下であることが望ましい。還元粘度が0.2
0dl/gを超えると溶剤への溶解性やポリオール、硬
化剤などとの相溶性が著しく低下し、塗膜性能も不十分
なものとなる。なお、還元粘度は、試料をフェノール/
テトラクロロエタン(重量比:60/40)の溶液に溶
解し、ウベローデ型粘度計を用いて25℃で測定した値
である。このエーテル結合を有するポリエステル化合物
を用いた場合は、フレキシブルなエーテル鎖と剛直なナ
フタレン骨格との組み合わせにより架橋構造に強靭性が
付与され、これが塗膜硬度と加工性の改善に寄与してい
るものと考えられる。
【0022】上記イ)のポリエステル化合物の配合量
は、樹脂固形分中の割合で1〜15重量%、好ましくは
2〜12重量%、さらに好ましくは3〜10重量%とす
る。上記ポリエステル化合物の配合量が1重量%未満で
は塗膜性能の向上効果が顕著ではなく、塗膜性能の面で
従来材に対する優位性が小さい。一方、配合量が15重
量%を超えると塗膜の可撓性が低下する。
【0023】次に、上記ロ)のポリオールとしては、ア
クリル樹脂又はポリエステル樹脂を用いることができ
る。上記ロ)のポリオールであるアクリル樹脂は、1分
子中に少なくとも2個の水酸基を有し、且つ数平均分子
量が1500〜12000の化合物であれば特に限定さ
れるものではないが、その数平均分子量の好ましい範囲
は1700〜10000である。アクリル樹脂の分子中
にある水酸基はアクリル樹脂主鎖に無秩序に配列されて
おり、数平均分子量が1500未満では加工性が著しく
低下する。一方、数平均分子量が12000を超えると
高粘度になるため過剰の稀釈溶剤が必要となり、塗料中
に占める樹脂の割合が減少するため適切な塗膜を得るこ
とができなくなる。さらに、他の配合成分との相溶性も
著しく低下する。なお、アクリル樹脂の数平均分子量
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、
GPCという)により測定したポリエステル換算分子量
である。
【0024】アクリル樹脂は、水酸基を持つアクリル単
量体又はメタクリル単量体とアクリル酸エステル又はメ
タクリル酸エステルなどを周知の方法で加熱反応させて
得られる共重合体である。水酸基を持つアクリル単量
体、メタクリル単量体としては、例えば、メタクリル酸
−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシ
エチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸
ヒドロキシプロピルなどを用いることができる。また、
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルとしては、
例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル
酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル
酸−n−ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシルな
どを用いることができる。市販されているアクリル樹脂
としては、“アルマテックス”(三井東圧化学(株)
製)、“デスモフェン”(住友バイエルウレタン(株)
製)、“ダイヤナール”(三菱レイヨン(株)製)など
がある。
【0025】上記ロ)のポリオールであるポリエステル
樹脂は、1分子中に少なくとも2個の水酸基を有し、且
つ数平均分子量が1000〜8000の化合物であれば
特に限定されるものではないが、その好ましい数平均分
子量の範囲は1200〜7000、より好ましくは15
00〜6000である。ポリエステル樹脂の分子中にあ
る水酸基は、分子中の末端または側鎖のいずれにあって
もよい。ポリエステル樹脂の数平均分子量が1000未
満では加工性が著しく低下する。一方、数平均分子量が
8000を超えると高粘度になるため過剰の稀釈溶剤が
必要となり、塗料中に占める樹脂の割合が減少するため
適切な塗膜を得ることができなくなる。さらに、他の配
合成分との相溶性も著しく低下する。なお、ポリエステ
ル樹脂の数平均分子量は、GPCにより測定したポリス
チレン換算分子量である。
【0026】ポリエステル樹脂は、多塩基酸成分と多価
アルコールを周知の方法で加熱反応させて得られる共重
合体である。多塩基酸成分としては、例えば、無水フタ
ル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水トリメリット
酸、マレイン酸、アジピン酸、フマル酸などを用いるこ
とができる。また、多価アルコールとしては、例えば、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレン
グリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチル
グリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ペ
ンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメ
チロールエタンなどを用いることができる。市販されて
いるポリエステル樹脂としては、“アルマテックス”
(三井東圧化学(株)製)、“アルキノール”(住友バ
イエルウレタン(株)製)、“デスモフェン”(住友バ
イエルウレタン(株)製)、“バイロン”(東洋紡績
(株)製)などがある。
【0027】上記ロ)のポリオールの配合量は、樹脂固
形分の割合で40〜90重量%とする。このポリオール
の配合量が40重量%未満では塗膜の加工性が十分に確
保できず、一方、90重量%を超えると塗膜硬度が不十
分となる。
【0028】上記ハ)の硬化剤としては、ブロック化ポ
リイソシアネート化合物及び/又はアミノ樹脂を用いる
ことができる。ポリイソシアネート化合物としては、一
般的製法で得られるポリイソシアネート化合物を用いる
ことができるが、その中でも特に、1液型塗料としての
使用が可能である、フェノール、クレゾール、芳香族第
二アミン、第三級アルコール、ラクタム、オキシムなど
のブロック剤でブロック化されたポリイソシアネート化
合物が好ましい。このブロック化ポリイソシアネート化
合物を用いることにより1液での保存が可能となり、プ
レコート鋼板用塗料としての使用が容易となる。
【0029】また、さらに好ましいポリイソシアネート
化合物としては、非黄変性のヘキサメチレンジイソシア
ネート(以下、HDIと略す)及びその誘導体、トリレ
ンジイソシアネート(以下、TDIと略す)及びその誘
導体、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート
(以下、MDIと略す)及びその誘導体、キシリレンジ
イソシアネート(以下、XDIと略す)及びその誘導
体、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略
す)及びその誘導体、トリメチルヘキサメチレンジイソ
シアネート(以下、TMDIと略す)及びその誘導体、
水添TDI及びその誘導体、水添MDI及びその誘導
体、水添XDI及びその誘導体などを挙げることができ
る。さらに、“スミジュール”(住友バイエルウレタン
(株)製)、“デスモジュール”(住友バイエルウレタ
ン(株)製)、“コロネート”(日本ポリウレタン
(株)製)などの市販のイソシアネート化合物も使用で
きる。
【0030】硬化剤としてポリイソシアネート化合物を
用いる場合、ポリイソシアネート化合物のイソシアネー
ト基と上記イ)のポリエステル化合物及び上記ロ)のポ
リオールの水酸基との配合比[NCO/OH]はモル比
で0.8〜1.2、より好ましくは0.90〜1.10
の範囲とすることが望ましい。[NCO/OH]のモル
比が0.8未満では塗膜の硬化が不十分であり、所望の
塗膜硬度及び強度が得られない。一方、[NCO/O
H]のモル比が1.2を超えると、過剰のイソシアネー
ト基同士の或いはイソシアネート基とウレタン配合との
副反応が生じて、塗膜の加工性が低下する。
【0031】硬化剤であるアミノ樹脂としては、尿素、
ベンゾグアナミン、メラミンなどとホルムアルデヒドと
の反応で得られる樹脂、及びこれらをメタノール、ブタ
ノールなどのアルコールによりアルキルエーテル化した
ものが使用できる。具体的には、メチル化尿素樹脂、n
−ブチル化ベンゾグアナミン樹脂、メチル化メラミン樹
脂、n−ブチル化メラミン樹脂、iso−ブチル化メラ
ミン樹脂などを挙げることができる。さらに、“サイメ
ル”(三井サイアナミッド(株)製)、“ユーバン”
(三井東圧化学(株)製、“スミマール”(住友化学工
業(株)製)、“メラン”(日立化成工業(株)製)な
どの市販のアミノ樹脂も使用できる。
【0032】硬化剤としてアミノ樹脂を用いる場合、ア
ミノ樹脂と上記イ)のポリエステル化合物及び上記ロ)
のポリオールとの配合比(固形分の重量比)は[ポリエ
ステル化合物]+[ポリオール]/[アミノ樹脂]:9
5/5〜65〜35、望ましくは90/10〜75〜2
5の割合とするのが好ましい。上記ハ)の硬化剤の配合
量は、樹脂固形分の割合で9〜50重量%とする。この
硬化剤の配合量が9重量%未満では塗膜硬度が不十分で
あり、一方、50重量%を超えると加工性が不十分とな
る。
【0033】塗料組成物中には適量の有機樹脂ビーズが
配合され、この有機樹脂ビーズは塗膜に耐きしみ音性を
付与する。この有機樹脂ビーズとしては、例えば、MM
A(メタクリル酸)樹脂ビーズ、アクリル樹脂ビーズ、
尿素樹脂ビーズ、ウレタン樹脂ビーズなどがあり、これ
らの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることが
できる。またその中でも尿素樹脂を用いた場合に特に優
れた耐きしみ音性が得られる。
【0034】塗料組成物(及びプレコート鋼板の塗膜)
中での有機樹脂ビーズの配合量は、固形分の割合で塗料
組成物100重量部(但し、有機樹脂ビーズを除く塗料
組成物の重量)に対して0.3〜30重量部、好ましく
は0.3〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜10
重量部、最も好ましくは1.1〜8重量部とする。有機
樹脂ビーズの配合量が0.3重量部未満では塗膜の耐き
しみ音性が十分に向上しない。一方、有機樹脂ビーズの
配合量が30重量部を超えると低温貯蔵時(冬期)にお
ける塗料組成物中での有機樹脂ビーズの析出が著しく、
析出した有機樹脂ビーズの凝集物が塗膜成形時のハジ
キ、ヘコミの原因となり、プレコート鋼板として重大な
欠陥を生じる。
【0035】有機樹脂ビーズの形状に制約はなく、球状
またはこれに近似の形状のほか、柱状(例えば、円柱
状)、繊維状、針状、その他不定形状などの任意の形状
のものを用いることができる。また、塗料組成物中に配
合する有機樹脂ビーズの平均粒径は0.1〜10μmの
範囲が好ましい。ここで、有機樹脂ビーズの平均粒径と
は、有機樹脂ビーズを同体積の球に換算し、当該球の直
径を有機樹脂ビーズの粒径としたときの平均粒径をい
う。有機樹脂ビーズの平均粒径が0.1μm未満では塗
膜の耐きしみ音性が十分に向上しない。一方、有機樹脂
ビーズの平均粒径が10μmを超えると塗膜の加工性が
低下する。
【0036】また、塗料組成物には目的や用途に応じ
て、p−トルエンスルホン酸、オクトエ酸錫、ジブチル
錫ジラウレート、2−エチルヘキソエート鉛などの硬化
触媒、;シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、
酸化チタン、タルク、硫酸バリウム、マイカ、弁柄、マ
ンガンブルー、カーボンブラック、アルミニウム粉、パ
ールマイカなどの顔料;その他、消泡剤、流れ止め剤な
どの各種添加剤を適宜配合することができる。
【0037】塗料組成物を調整するに当っては、サンド
グラインドミル、ボールミル、ブレンダーなどの通常の
分散機や混練機を選択して使用し、上記各成分を配合す
ることができる。本発明のプレコート鋼板用塗料組成物
が塗布される被塗装鋼板の種類に特別な制約はないが、
通常は、冷延鋼板や各種めっき鋼板(例えば、溶融亜鉛
めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、複合亜鉛めっき鋼
板、クロムめっき鋼板など)の表面にリン酸塩処理やク
ロメート処理などの化成処理を施した鋼板に塗装され
る。化成処理を行った鋼板面に塗装することにより、塗
膜の鋼板への密着性が向上するとともに耐食性も向上す
る。
【0038】また、本発明の塗料組成物による塗膜と鋼
板の密着性をさらに向上させ、且つ耐食性を高めるため
に、下地としてプライマーコートを塗装することもでき
る。このようなプライマーコートとしては、エポキシ
系、ポリエステル系のものが適している。また、このプ
ライマーコートには耐食性をさらに向上させるため防錆
顔料を添加してもよい。なお、このプライマーコートは
省略することもできる。
【0039】本発明の塗料組成物の塗装方法は特に限定
しないが、好ましくはロールコーター塗装、カーテンフ
ロー塗装などの方法で塗布するのがよい。塗装後、熱風
加熱、赤外線加熱、誘導加熱などの加熱手段により塗膜
を焼き付け、樹脂を架橋させて硬化塗膜を得る。加熱硬
化させる際の焼付処理は180〜260℃程度で約30
秒〜3分程度が適当である。このようにして形成された
硬化塗膜の膜厚は通常10〜35μm程度であるが、特
にこれに限定されるものではない。
【0040】本発明の塗料組成物は2コート・2ベーク
方式または3コート・3ベーク方式のトップコートとし
て使用することが好ましいが、必ずしもこれに限定され
るものではない。また3コート・3ベーク方式で使用す
る場合には、本発明の塗料組成物による塗装とプライマ
ーコートとの間に、通常の3コート・3ベークで使用さ
れるように中塗塗装を施すことが好ましい。また、塗膜
硬度、成形加工性、耐きしみ音性などが特に優れたプレ
コート鋼板とするためには、以下に述べるような、リン
酸塩処理やクロメート処理などの化成処理が施された亜
鉛系めっき鋼板の表面に下塗り塗膜を形成し、その上層
に上述した本発明の塗料組成物からなる上塗り塗膜を形
成するのがよい。
【0041】以下、上記の塗料組成物を用いた本発明の
プレコート鋼板について説明する。本発明のプレコート
鋼板は、化成処理が施された亜鉛めっき鋼板の少なくと
も片面(化成処理が施された鋼板面)に下塗り塗膜及び
上塗り塗膜を形成した塗装鋼板である。下地鋼板となる
亜鉛系めっき鋼板としては、溶融亜鉛めっき鋼板、合金
化溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、溶融Zn
−55%Al合金めっき鋼板、溶融Zn−5%Al合金
めっき鋼板、Zn−Ni合金めっき鋼板、Zn−Co合
金めっき鋼板、Zn−Cr合金めっき鋼板、複合亜鉛系
めっき鋼板(例えば、電気Zn−SiO分散めっき鋼
板)などの各種亜鉛系めっき鋼板を用いることができ
る。また、特に耐食性が要求される用途には、溶融Zn
−55%Al合金めっき鋼板や溶融Zn−5%Al合金
めっき鋼板を用いることが好ましい。
【0042】このような亜鉛系めっき鋼板の表面にはリ
ン酸塩処理、クロメート処理などの化成処理が施され、
その上に下塗り塗膜及び上塗り塗膜が順次形成される。
このように化成処理を行っためっき鋼板面に塗膜を形成
することにより、塗膜の鋼板面への密着性が向上すると
ともに、耐食性も向上する。
【0043】本発明のプレコート鋼板の上塗り塗膜は、
上記の塗料組成物、すなわち、イ)特定のポリエステル
化合物と、ロ)上記イ)を除くポリオールと、ハ)硬化
剤とを主成分とし、これに耐きしみ音性向上剤として有
機樹脂ビーズを特定の割合で配合した塗料組成物を塗布
し、焼付処理して形成させたものである。この上塗り塗
膜の膜厚は10〜20μmとすることが好ましい。膜厚
が10μm未満では上塗り塗膜としての総合的な塗膜性
能が十分に得られない恐れがあり、一方、膜厚が20μ
mを超えると塗膜硬度が低下する。
【0044】本発明のプレコート鋼板の下塗り塗膜を形
成するための塗料組成物の主剤に特別な制約はないが、
加工性と上塗り塗膜および化成処理皮膜との密着性の観
点からは、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂又はウ
レタン系樹脂を主剤とする塗料組成物を用いることが好
ましい。また、これらの樹脂を2種以上混合して用いて
もよい。下塗り塗膜用の塗料組成物に用いられる硬化剤
としては、ポリイソシアネート化合物又はアミノ樹脂が
使用できる。また、これらの2種以上混合して用いても
よい。
【0045】硬化剤として用いられるポリイソシアネー
ト化合物としては、例えば、キシリレンジイソシアネー
ト、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニル
メタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネー
ト;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキ
サメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネ
ート;イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ジイソ
シアネート;又はこれらジイソシアネートの多量体若し
くは多価アルコールとの付加物などが挙げられ、これら
をブロック剤(例えば、フェノール系、ラクタム系、ア
ルコール系、メルカプタン系、イミン系、アミン系、イ
ミダゾール系又はオキシム系ブロック剤)などを用いて
ブロック化した化合物として使用できる。また、これら
ブロック化ポリイソシアネート化合物の解離触媒として
は、オクトエ酸錫、ジブチル錫ジラウレート、2−エチ
ルヘキソエート鉛などを用いることができる。
【0046】硬化剤として用いられるアミノ樹脂として
は、例えば、低級アルコールでアルキルエーテル化され
たホルムアルデヒド又はパラホルムアルデヒドなどと尿
素、ジシアンジアミド、アミノトリアジンなどとの縮合
物があり、具体的には、メトキシ化メチロール尿素、メ
トキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチ
ロールメラミン、メトキシ化メチロールベンゾグアナミ
ン、ブトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロ
ールベンゾグアナミンなどが挙げられる。また、硬化触
媒としては、塩酸、リン酸モノアルキルエステル、P−
トルエンスルホン酸などの酸又はこれら酸と3級アミン
若しくは2級アミン化合物との塩が使用できる。
【0047】下塗り塗膜の膜厚は2〜12μmとするこ
とが好ましい。膜厚が2μm未満では加工性及び耐食性
の向上効果が十分に得られず、一方、膜厚が12μmを
超えると加工性、塗膜硬度ともに低下する。
【0048】上塗り塗膜及び下塗り塗膜を形成するため
の塗料組成物を実際に使用するに当っては、これらを有
機溶剤に溶解して使用する。使用する有機溶剤として
は、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、シクロヘキサノン、ソルベッソ100(エクソン
化学社製)、ソルベッソ150(エクソン化学社製)、
ソルベッソ200(エクソン化学社製)、トルエン、キ
シレン、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソ
ルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビ
トール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、酢
酸エチル、酢酸ブチル、石油エーテル、石油ナフサなど
が挙げられる。塗料組成物を調整するに当っては、サン
ドグラインドミル、ボールミル、ブレンダーなどの通常
の分散機や混練機を選択して使用し、各成分を配合する
ことができる。
【0049】本発明のプレコート鋼板を製造する際の塗
料組成物(下塗り塗膜用及び上塗り塗膜用の各塗料組成
物)の塗装方法に特に制約はないが、好ましくはロール
コーター塗装、カーテンフロー塗装などの方法で塗布す
るのがよい。下塗り塗膜、上塗り塗膜ともに、塗料組成
物を塗装後、熱風加熱、赤外線加熱、誘導加熱などの加
熱手段により塗膜を焼き付け、樹脂を架橋させて硬化塗
膜を得る。下塗り塗膜を加熱硬化させる際の焼付処理
は、通常、最高到達板温を180〜260℃程度とし、
この温度範囲で約30秒〜1分の焼付を行う。また、上
塗り塗膜を加熱硬化させる際の焼付処理は、通常、最高
到達板温を180〜260℃程度とし、この温度範囲で
約30秒〜3分の焼付を行う。なお、本発明のプレコー
ト鋼板は、上塗り塗膜の上にさらに塗膜(例えば、クリ
アー塗膜)を形成し、3コート・3ベークで使用しても
よい。
【0050】
【実施例】下地鋼板である板厚0.5mmの溶融亜鉛め
っき鋼板(片面当りのめっき付着量:30g/m)を
脱脂後、塗布型クロメート処理(金属クロム換算でのク
ロム付着量:30mg/m)を施し、その上にポリエ
ステル系プライマーを乾燥膜厚が5μmになるように塗
布した後、焼付温度(到達板温)215℃、焼付時間6
0秒の焼付処理を行なって下塗り塗膜を形成し、さらに
その上に、表1に示す上塗り塗膜用の塗料組成物に対し
て表2に示すビーズを添加したものを塗布した後、焼付
温度(到達板温)230℃、焼付時間60秒の焼付処理
を行なって上塗り塗膜を形成し、本発明例及び比較例の
プレコート鋼板を得た。これらプレコート鋼板の性能
を、その製造条件とともに表3〜表6に示す。
【0051】表1に示す上塗り塗膜用の塗料組成物A〜
Cは、以下のようにして調整した。 [上塗り塗膜用の塗料組成物] (1)ポリエステル化合物f−1の調整 加熱装置、撹拌機、精留塔及び温度計を備えた反応容器
に、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチルエーテ
ル(以下、“2,6−NDCM”という)を0.5mo
l、ジエチレングリコールを1.05mol入れ、20
0℃で加熱溶融した。その後、触媒としてチタニウムテ
トラ−n−ブトキシドを2,6−NDCMに対して0.
10mol%添加し、反応温度を段階的に240℃まで
上げていき、理論量のメタノール32g(1.0mo
l)が留出したところで反応を終了した。これによりポ
リエステル化合物f−1を得た。このポリエステル化合
物の還元粘度は0.05dl/gであった。
【0052】このポリエステル化合物f−1の化学構造
式を以下に示す。
【化8】
【0053】(2)ポリエステル化合物f−2の調整 加熱装置、撹拌機、精留塔及び温度計を備えた反応容器
に、2,6−NDCMを0.5mol、1,4−ブタン
ジオールを1.02mol入れ、200℃で加熱溶融し
た。その後、触媒としてチタニウムテトラ−n−ブトキ
シドを2,6−NDCMに対して0.06mol%添加
し、反応温度を段階的に240℃まで上げていき、理論
量のメタノール32g(1.0mol)が留出したとこ
ろで反応を終了した。これによりポリエステル化合物を
f−2を得た。このポリエステル化合物の還元粘度は
0.04dl/gであった。
【0054】このポリエステル化合物f−2の化学構造
式を以下に示す。
【化9】
【0055】(3)上塗り塗膜用の塗料組成物の製造 上記(1)、(2)で得られたポリエステル化合物f−
1,f−2に表1に示すような配合割合でポリオール
(ポリエステル樹脂)、硬化剤、顔料、硬化触媒及び添
加剤を配合した後、直径約1mmのガラスビーズを入れ
たサンドミルを用いて約30分間分散させた。さらに、
シクロヘキサノンを加えて不揮発分が60%になるよう
に調整し、塗料組成物A,Bを製造した。
【0056】また、比較例である上塗り塗膜用塗料組成
物として、表1に示すような配合割合でポリオール(ポ
リエステル樹脂)、硬化剤、顔料、硬化触媒及び添加剤
を配合した後、直径約1mmのガラスビーズを入れたサ
ンドミルを用いて約30分間分散させた。さらに、シク
ロヘキサンを加えて不揮発分が60%になるように調整
し、塗料組成物Cを製造した。
【0057】以下に、プレコート鋼板の性能試験の試験
方法と評価方法について示す。 (1)外観 焼付後の塗膜表面性状の良否を目視により判定した。 (2)鉛筆硬度 三菱鉛筆“ユニ”を使用してJIS K 5400の8.
4に基づいて試験を行い、塗膜に傷が付かない硬度限界
を示した。
【0058】(3)円筒絞り加工性 円筒絞り加工機を用い、サイズ10cm×10cmの試
験片に対して、試料サイズ:90φ、ダイス:42.4
φ5R、プランジャー:40.4φ4R、ホールド圧:
2.0tonの円筒絞り加工条件で成形加工を行い、成
形加工後の塗膜表面を観察し、下記により評価した。 ◎:全く異常なし ○:目視で観察しても傷の発生は認められないが、10
倍ルーペで観察した場合、わずかに傷の発生が認められ
る。 △:目視で観察した場合にわずかに傷の発生が認められ
る。 ×:明らかな傷の発生が認められる(異常あり)。
【0059】(4)耐きしみ音性 プレコート鋼板と枠材料であるアルミを接触させ、手で
力を加えたときの“きしみ音”の発生程度を下記により
評価した。 ◎:全く発生なし ○:はじめに押した時に音が発生するが、2回目以後は
押しても音が発生しない。 △:はじめに押した時に音が発生し、2回目以後も押す
と音が発生するが、5回目までに音が発生しなくなる。 ×:はじめに押した時に音が発生し、以後繰り返し押し
ても連続して音が発生する(5回目以後も押すと音が発
生する)。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
【発明の効果】以上述べたように本発明の塗料組成物に
よれば、耐きしみ音性、塗膜硬度、成形加工性及び塗膜
外観のいずれにも優れた塗膜を得ることができる。した
がって、このような塗膜を形成したプレコート鋼板は家
電製品、建材、自動車などの素材と極めて有用なもので
ある。
【0067】また特に、化成処理が施された亜鉛系めっ
き鋼板の表面に下塗り塗膜及び上記塗料組成物による上
塗り塗膜を形成した本発明のプレコート鋼板は、耐きし
み音、塗膜硬度、成形加工性及び塗膜外観のいずれにお
いても高度の特性が得られ、このため家電製品、建材、
自動車などの用途において高度の耐きしみ音性、塗膜硬
度、成形加工性及び塗膜外観が求められる部位に用いら
れるプレコート鋼板として極めて有用である。また、本
発明のプレコート鋼板は従来よりも簡易な方法で製造で
きるという点でも、工業的に極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 啓二 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 梶田 保之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 加藤 博之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 田中 勝祥 東京都品川区南品川4丁目1番15号 日本 ペイント株式会社東京事業所内 Fターム(参考) 4D075 AE03 BB28Z CA05 DB02 DB05 DC01 DC10 DC12 DC18 EC07 EC24 EC53 4J038 CG032 CG142 DA142 DD001 DD061 DG002 KA03 MA02 MA14 PB05 PB07 PB09 PC02

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記イ)〜ハ)を主成分とし、且つ有機
    樹脂ビーズが固形分の割合で塗料組成物100重量部
    (但し、有機樹脂ビーズを除く塗料組成物の重量)に対
    して0.3〜30重量部配合されたことを特徴とするプ
    レコート鋼板用塗料組成物。 イ)一般式(1) 【化1】 を主たる繰り返し単位とするポリエステル化合物:樹脂
    固形分中の割合で1〜15重量% ロ)上記イ)を除くポリオール:樹脂固形分中の割合で
    40〜90重量% ハ)硬化剤:樹脂固形分中の割合で9〜50重量%
  2. 【請求項2】 硬化剤がブロック化ポリイソシアネート
    化合物であることを特徴とする請求項1に記載のプレコ
    ート鋼板用塗料組成物。
  3. 【請求項3】 有機樹脂ビーズの平均粒径(但し、平均
    粒径:有機樹脂ビーズを同体積の球に換算し、当該球の
    直径を有機樹脂ビーズの粒径としたときの平均粒径)が
    0.1〜10μmであることを特徴とする請求項1又は
    2に記載のプレコート鋼板用塗料組成物。
  4. 【請求項4】 有機樹脂ビーズがメタクリル酸樹脂ビー
    ズ、アクリル樹脂ビーズ、尿素樹脂ビーズ、ウレタン樹
    脂ビーズの中から選ばれる1種以上であることを特徴と
    する請求項1、2又は3に記載のプレコート鋼板用塗料
    組成物。
  5. 【請求項5】 有機樹脂ビーズが尿素樹脂ビーズである
    ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載のプレコー
    ト鋼板用塗料組成物。
  6. 【請求項6】 化成処理が施された亜鉛系めっき鋼板の
    少なくとも片面に下塗り塗膜及び上塗り塗膜を有するプ
    レコート鋼板であって、 前記上塗り塗膜が、下記イ)〜ハ)を主成分とし、且つ
    有機樹脂ビーズが固形分の割合で塗料組成物100重量
    部(但し、有機樹脂ビーズを除く塗料組成物の重量)に
    対して0.3〜30重量部配合された塗料組成物を塗布
    して形成した塗膜であることを特徴とする成形加工性と
    耐きしみ音性に優れたプレコート鋼板。 イ)一般式(1) 【化2】 を主たる繰り返し単位とするポリエステル化合物:樹脂
    固形分中の割合で1〜15重量% ロ)上記イ)を除くポリオール:樹脂固形分中の割合で
    40〜90重量% ハ)硬化剤:樹脂固形分中の割合で9〜50重量%
  7. 【請求項7】 上塗り塗膜を形成する塗料組成物中の硬
    化剤がブロック化ポリイソシアネート化合物であること
    を特徴とする請求項6に記載の成形加工性と耐きしみ音
    性に優れたプレコート鋼板。
  8. 【請求項8】 上塗り塗膜中に含まれる有機樹脂ビーズ
    の平均粒径(但し、平均粒径:有機樹脂ビーズを同体積
    の球に換算し、当該球の直径を有機樹脂ビーズの粒径と
    したときの平均粒径)が0.1〜10μmであることを
    特徴とする請求項6又は7に記載の成形加工性と耐きし
    み音性に優れたプレコート鋼板。
  9. 【請求項9】 上塗り塗膜中に含まれる有機樹脂ビーズ
    が、メタクリル酸樹脂ビーズ、アクリル樹脂ビーズ、尿
    素樹脂ビーズ、ウレタン樹脂ビーズの中から選ばれる1
    種以上であることを特徴とする請求項6、7又は8に記
    載の成形加工性と耐きしみ音性に優れたプレコート鋼
    板。
  10. 【請求項10】 上塗り塗膜中に含まれる有機樹脂ビー
    ズが尿素樹脂ビーズであることを特徴とする請求項6、
    7又は8に記載の成形加工性と耐きしみ音性に優れたプ
    レコート鋼板。
  11. 【請求項11】 請求項6、7、8、9又は10に記載
    のプレコート鋼板の製造方法であって、化成処理が施さ
    れた亜鉛系めっき鋼板の少なくとも片面に下塗り塗膜用
    の塗料組成物を塗布した後、到達板温で180〜260
    ℃の温度範囲で焼付処理し、次いで、下記イ)〜ハ)を
    主成分とし、且つ有機樹脂ビーズが固形分の割合で塗料
    組成物100重量部(但し、有機樹脂ビーズを除く塗料
    組成物の重量)に対して0.3〜30重量部配合された
    上塗り塗膜用の塗料組成物を塗布した後、 イ)一般式(1) 【化3】 を主たる繰り返し単位とするポリエステル化合物:樹脂
    固形分中の割合で1〜15重量% ロ)上記イ)を除くポリオール:樹脂固形分中の割合で
    40〜90重量% ハ)硬化剤:樹脂固形分中の割合で9〜50重量% 到達板温で180〜260℃の温度範囲で焼付処理する
    ことを特徴とする成形加工性と耐きしみ音性に優れたプ
    レコート鋼板の製造方法。
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