JP2004209791A - 環境調和性及び耐食性に優れたプレコート鋼板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】亜鉛系めっき鋼板の表面に、Ni、Co、Fe、Cu、Sn、Mo、W、これら金属の1種以上の金属酸化物、及びこれら金属の1種以上の金属水酸化物の中から選ばれる1種以上からなる、所定の付着量の表面調整処理層が形成され、その上層に、必要に応じて化成処理皮膜が形成され、さらに下塗り塗膜及び上塗り塗膜が形成されたプレコート鋼板であって、化成処理皮膜、下塗り塗膜及び上塗り塗膜はクロム系化合物を含有しない。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐食性に優れた環境調和型プレコート鋼板に関するものである。本発明のプレコート鋼板は、例えば家電製品や建材用途等に好適であり、また自動車用としても使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
鋼板を成型加工後に塗装するポストコート方式に対し、プレコート方式は予め塗装された鋼板を成型加工する方式であり、これに使用される塗装された鋼板はプレコート鋼板と呼ばれる。プレコート鋼板には、成型加工において塗膜の傷や剥がれなどが生じない高度の成型加工性と、塗膜膨れなどが生じない優れた耐食性が求められる。現在使用されているプレコート鋼板は、耐食性及び密着性を確保するために、クロムを含有する化成処理を施すとともに、下塗り塗膜中にクロム系の防錆顔料を含有させているものが多い(例えば、特許文献1参照)。しかし、昨今、環境規制物質であるクロムの使用を規制することが望まれており、このためプレコート鋼板についても化成処理皮膜や塗膜中にクロムを使用しない技術の開発が望まれている。
【0003】
クロムフリーのプレコート鋼板やプレコート鋼板用塗料組成物に関する従来技術としては、例えば、塩基性亜リン酸塩系防錆顔料を下塗り塗膜中に含有させることにより、耐食性に優れたプレコート鋼板が得られるとしているもの(特許文献2参照)、イソシアネート化合物及びリン酸系防錆顔料を下塗り塗膜中に含有させることにより、耐食性に優れたプレコート鋼板が得られるとしているもの(特許文献3参照)、リン酸塩系防錆顔料とカルシウムイオン交換シリカの混合物を含有する塗料組成物(特許文献4参照)、特定の樹脂原料と非クロム系防錆添加剤の組合わせにより良好な耐食性が得られるとしているもの(特許文献5参照)、水性樹脂、タンニン酸、微粒シリカ等からなる特定の下地処理層を設けることにより塗膜密着性に優れたプレコート鋼板が得られるとしているもの(特許文献6参照)、タンニン酸、シランカップリング剤、微粒シリカなどからなる特定の下地処理層を設けることにより密着性に優れたプレコート鋼板が得られるとしているもの(特許文献7参照)、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂成分と、シランカップリング剤、平均粒径1μm以下の微粒子からなる特定の下地処理層を設けることにより密着性に優れたプレコート鋼板が得られるとしているもの(特許文献8参照)などがある。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−316497号公報
【特許文献2】
特開平8−319437号公報
【特許文献3】
特開平8−11257号公報
【特許文献4】
特開平9−12931号公報
【特許文献5】
特開2000−198963号公報
【特許文献6】
特開2000−167482号公報
【特許文献7】
特開2001−89868号公報
【特許文献8】
特開2001−81392号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したクロムフリーのプレコート鋼板に関する従来技術は、その殆どがプライマーと呼ばれる下塗り塗膜に非クロム系防錆添加剤を添加することによって耐食性の向上を図ろうとするものであるが、得られる耐食性、特に切断端面部の耐食性はクロム系顔料を使用したものに較べて劣っている。また、塗膜密着性に着目した従来技術(例えば、特許文献6)は、平面部や曲げ部での塗膜密着性が改善される程度のものであり、実成形において要求される高度な塗膜密着性を満足するものではない。
【0006】
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、皮膜や塗膜中にクロムを含有せず、しかも優れた耐食性、特に切断端面部での耐食性を有する環境調和型のプレコート鋼板を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、優れた耐食性に加えて、実成形加工において塗膜剥離などの損傷を生じない優れた成形加工性(摺動部耐塗膜剥離性)を有する環境調和型のプレコート鋼板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決し、優れた性能を示すプレコート鋼板を得るために検討を重ねた結果、亜鉛系めっき鋼板の表面に特定の表面調整処理層を形成し、さらに必要に応じて化成処理皮膜を形成し、その上層に下塗り塗膜及び上塗り塗膜を形成することにより、クロムフリーでありながら優れた耐食性を有するプレコート鋼板が得られることを見い出した。
また、特に下塗り塗膜中に乾式シリカ微粒子を添加することにより、優れた耐塗膜剥離性が得られることも判った。
【0008】
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、その特徴は以下の通りである。
[1] 亜鉛系めっき鋼板の表面に表面調整処理層が形成され、その上層に下塗り塗膜が形成され、さらにその上層に上塗り塗膜が形成されたプレコート鋼板であって、
前記表面調整処理層は、Ni、Co、Fe、Cu、Sn、Mo、W、これら金属の1種以上の金属酸化物、及びこれら金属の1種以上の金属水酸化物の中から選ばれる1種以上からなり、金属換算の付着量が20〜150mg/m2であり、
前記下塗り塗膜及び上塗り塗膜はクロム系化合物を含有しないことを特徴とする、環境調和性及び耐食性に優れたプレコート鋼板。
【0009】
[2] 亜鉛系めっき鋼板の表面に表面調整処理層が形成され、その上層に化成処理皮膜が形成され、その上層に下塗り塗膜が形成され、さらにその上層に上塗り塗膜が形成されたプレコート鋼板であって、
前記表面調整処理層は、Ni、Co、Fe、Cu、Sn、Mo、W、これら金属の1種以上の金属酸化物、及びこれら金属の1種以上の金属水酸化物の中から選ばれる1種以上からなり、金属換算の付着量が20〜150mg/m2であり、
前記化成処理皮膜、下塗り塗膜及び上塗り塗膜はクロム系化合物を含有しないことを特徴とする、環境調和性及び耐食性に優れたプレコート鋼板。
【0010】
[3] 上記[1]又は[2]のプレコート鋼板において、下塗り塗膜が防錆添加成分として、カルシウムイオン交換シリカ、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸マグネシウム、トリポリリン酸2水素アルミニウム、リン酸マグネシウム、亜リン酸亜鉛、硼酸バリウム、硼酸ストロンチウムの中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする、環境調和性及び耐食性に優れたプレコート鋼板。
[4] 上記[2]又は[3]のプレコート鋼板において、化成処理皮膜が乾式シリカ微粒子を含有し、SiO2換算の皮膜付着量が10〜300mg/m2であることを特徴とする、環境調和性及び耐食性に優れたプレコート鋼板。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細とその限定理由を説明する。
本発明のプレコート鋼板は、亜鉛系めっき鋼板の表面に特定の表面調整処理層を形成し、その上層に必要に応じて化成処理皮膜を形成した上で、下塗り塗膜及び上塗り塗膜を形成したプレコート鋼板である。ここで、本発明のプレコート鋼板は、上記化成処理皮膜、下塗り塗膜及び上塗り塗膜中に、クロム系防錆成分等のクロム系化合物を含有しない。
下地鋼板となる亜鉛系めっき鋼板としては、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛合金めっき鋼板、溶融Zn−A1合金めっき鋼板(例えば、溶融Zn−5%A1合金めっき鋼板、溶融Zn−55%A1合金めっき鋼板に代表される溶融Zn−A1合金めっき鋼板)等の各種亜鉛系めっき鋼板を用いることができる。
【0012】
これらの亜鉛系めっき鋼板の表面に形成される表面調整処理層は、Ni、Co、Fe、Cu、Sn、Mo、W、これら金属の1種以上の金属酸化物、及びこれら金属の1種以上の金属水酸化物の中から選ばれる1種以上からなる皮膜である。
クロメート皮膜を有するプレコート鋼板の場合には、めっき鋼板の表面調整処理は密着性を向上させる目的で行われるが、本発明者らは、特に皮膜や塗膜中にクロムを含まないプレコート鋼板の場合には、表面調整処理は耐食性、とりわけ切断端面部の耐食性を向上させる効果が大きいこと、そして、特に上記のような特定の組成の表面調整処理層をめっき鋼板の表面に形成することにより、切断端面部の塗膜膨れの抑制効果(耐食性)が著しく向上することを見出した。
【0013】
通常、この表面調整処理層は、Ni、Co、Fe、Cu、Sn、Mo、Wの中から選ばれる金属の金属塩(例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩化物塩、アンモニウム塩など)の1種以上を主成分として添加し、さらに必要に応じてpH緩衝剤、錯化剤などを添加した処理液を任意の方法でめっき面に塗布し、水洗、乾燥することにより形成される。この表面調整処理層は、めっき表面に均一な層となっていることが好ましいが、島状や網目状に形成されていても構わない。
【0014】
表面調整処理層を形成するための上記処理液としては、酸性処理液、アルカリ性処理液のいずれを使用してもよい。例えば、酸性溶液としては、日本パーカライジグ(株)製「PL−211」、「PL−4015」、「PL−4036」(いずれも商品名)、日本ペイント(株)製「NPコンディショナー700」(商品名)などが使用できる。また、アルカリ性溶液としては、日本ペイント(株)製「NPコンディショナー200」(商品名)などが使用できる。また、これら市販の薬剤以外でも、上記金属の塩(例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩化物塩、アンモニウム塩など)、pH緩衝剤(例えば、ホウ酸、シュウ酸塩、フタル酸塩、炭酸塩、アルカリ金属塩など)、錯化剤(例えば、EDTAなどのポリアミノカルボン酸類、クエン酸などのポリオキシカルボン酸類、縮合リン酸塩、ロッシェル塩など)などを組み合わせて処理液を調整することも可能である。
【0015】
上記処理液のめっき鋼板表面への塗布は、例えば、浸漬法やスプレー法などにより行うことができ、これらの方法で処理液をめっき鋼板面に塗布した後、水洗、乾燥することにより表面調整処理層を形成する。その際、処理液濃度を調整することにより、付着量を制御することができる。
表面調整処理層の付着量は、上記金属の金属換算の付着量で20〜150mg/m2とする。付着量が20mg/m2未満では耐食性の向上効果が顕著には認められず、一方、150mg/m2を超えても付着量に見合う効果が期待でないだけでなく、処理液の使用時間がZnスラッジの増加によって短くなるため好ましくない。また、耐食性の向上効果および処理液の可使用時間の点から、さらに好ましい付着量の範囲は50〜100mg/m2である。
【0016】
上記表面調整処理層の上層には、必要に応じて化成処理皮膜が形成される。この化成処理皮膜は、クロメートを含有しない皮膜であれば特に限定されるものではないが、特に優れた摺動部耐塗膜剥離性を得るためには、乾式シリカ微粒子を含む化成処理皮膜、なかでも乾式シリカ微粒子と結合剤を含む化成処理皮膜が好ましい。
上記乾式シリカ微粒子としては、例えば、一次粒径が約1〜100nmの乾式シリカ(ヒュームドシリカ:例えば、日本アエロジル社製の商品名「アエロジル#200」、「アエロジル#300」など)の中から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。このような乾式シリカ微粒子を化成処理皮膜中に配合することにより、化成処理皮膜上層の下塗り塗膜との密着性を高めることができ、摺動部耐塗膜剥離性が向上する。
【0017】
上記結合剤としては、例えば水溶性又は水分散性有機高分子成分、酸素酸塩(但し、クロム酸塩は除く)の中から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。上記水溶性又は水分散性有機高分子成分としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニルアルコールなどを例示できる。また上記酸素酸塩としては、例えば、リン酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、バナジン酸塩などを例示できる。このような結合剤を化成処理皮膜中に配合することにより、乾式シリカ微粒子どうしの結合性(皮膜の耐凝集破壊性)、乾式シリカ微粒子の素地金属(及び表面調整処理層)との密着性を高めることができる。
【0018】
また、上記化成処理皮膜を形成するための処理液には、Zr化合物、Ti化合物、Hf化合物(例えばフルオロ錯塩など)の1種又は2種以上を添加剤として添加し、それらを化成処理皮膜中に含有させることができる。
化成処理皮膜中での乾式シリカ微粒子と結合剤の配合割合は、固形分質量比で乾式シリカ微粒子/結合剤=1/0.01〜1/10の範囲とすることが望ましい。乾式シリカ微粒子の配合量:1に対する結合剤の配合割合が0.01未満であると、乾式シリカ微粒子どうしの結合性(皮膜の耐凝集破壊性)、乾式シリカ微粒子の素地金属(及び表面調整処理層)との密着性が劣る。また、乾式シリカ微粒子の配合量:1に対する結合剤の配合割合が10超であると、化成処理皮膜上層の下塗り塗膜との密着性、耐スクラッチ性が劣る。
【0019】
化成処理皮膜の付着量は、成分として含まれる乾式シリカ微粒子のSiO2換算量で10〜300mg/m2の範囲とすることが好ましい。この付着量が10mg/m2未満では下塗り塗膜との密着性が劣り、一方、300mg/m2超では摺動部耐塗膜剥離性が劣る。
化成処理皮膜を形成するための処理方法に特に制約はないが、一般に化成処理液をロールコーター塗装し、その後、乾燥させる。この乾燥では、熱風加熱、赤外線加熱、誘導加熱などの加熱手段により、通常、50〜150℃程度の到達板温で皮膜を乾燥させる。
【0020】
次に、上記表面調整処理層又は化成処理皮膜の上層に形成される下塗り塗膜について説明する。
下塗り塗膜は、通常、ベース樹脂、硬化剤及び非クロム系防錆添加剤を主成分とする塗料組成物を塗布して形成される。ベース樹脂の種類としては特に制限はないが、プレコート鋼板用としては、通常、ポリエステル系樹脂やエポキシ系樹脂が使用される。
上記ポリエステル系樹脂は、主に多塩基酸と多価アルコールとのエステル化合物である。
上記多塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、無水マレイン酸などの二塩基酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの三価以上の多塩基酸などが用いられ、これらの多価塩基酸成分を2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0021】
上記多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタジオール、ネオペンチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族又は脂環族の二価アルコールが主に用いられ、さらに必要に応じて、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの三価以上の多価アルコールを併用して用いることもできる。以上の多価アルコールは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0022】
上記エポキシ樹脂は、下地との密着性を向上させるという観点から有用である。本発明で用いるのに適したエポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類とエピハロヒドリン或いはβメチルエピハロヒドリンとの反応で得られるエポキシ化合物、又はこれらの共重合物であるビスフェノール型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0023】
ベース樹脂に硬化剤を加えることにより、下塗り塗膜用の塗料組成物が被塗物に塗装され、焼付硬化される際にベース樹脂と硬化剤との反応によって架橋構造が形成され、塗膜に強靭性と強力な密着性が付与される。
上記硬化剤としては、アミノ樹脂又は/及びポリイソシアネート化合物を用いることができる。
上記アミノ樹脂としては、尿素、ベンゾグアナミン、メラミンなどとホルムアルデヒドとの縮合反応で得られる生成物の一部又は全てをメタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコールによりアルキルエーテル化した樹脂である。具体的には、メチル化尿素樹脂、n−ブチル化ベンゾグアナミン樹脂、メチル化メラミン樹脂、n−ブチル化メラミン樹脂、iso−ブチル化メラミン樹脂などを挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0024】
上記ポリイソシアネート化合物としては、一般的製法で得られるイソシアネート化合物を用いることができる。その中でも特に、1液型塗料としての使用が可能である、フェノール、クレゾール、芳香族第二アミン、第三級アルコール、ラクタム、オキシムなどのブロック剤でブロック化されたポリイソシアネート化合物が好ましい。このブロック化ポリイソシアネート化合物を用いることにより1液での保存が可能となり、塗料としての使用が容易となる。
【0025】
また、さらに好ましいポリイソシアネート化合物としては、非黄変性のヘキサメチレンジイソシアネート及びその誘導体、トリレンジイソシアネート及びその誘導体、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート及びその誘導体、キシリレンジイソシアネート及びその誘導体、イソホロンジイソシアネート及びその誘導体、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びその誘導体、水添トリレンジイソシアネート及びその誘導体、水添4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート及びその誘導体、水添キシリレンジイソシアネート及びその誘導体などを挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0026】
下塗り塗膜は、防錆添加成分として、カルシウムイオン交換シリカ、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸マグネシウム、トリポリリン酸2水素アルミニウム、リン酸マグネシウム、亜リン酸亜鉛、硼酸バリウム、硼酸ストロンチウムの中から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
上記防錆添加剤のうち、カルシウムイオン交換シリカは、腐食の起こりやすい環境において溶出することで早期に保護膜を形成し、それ以上腐食が進行するのを抑制する働きがあると考えられる。カルシウムイオン交換シリカは、無定形シリカの表面シラノール基にカルシウム原子をイオン交換したものである。この防錆添加剤は、有害な物質を含まず且つ塗膜の耐食性を高める作用がある。
【0027】
上記リン酸塩系、亜リン酸塩系防錆添加剤(リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸マグネシウム、トリポリリン酸2水素アルミニウム、リン酸マグネシウム、亜リン酸亜鉛)は、溶出金属(例えば、めっき成分である亜鉛)との間で保護膜を形成する働きがあり、これにより防錆効果を発揮するものと考えられる。
また、上記硼酸塩系防錆添加剤(硼酸バリウム、硼酸ストロンチウム)は、溶出金属(例えば、めっき成分である亜鉛)との間で保護膜を形成する働きがあり、これにより防錆力を発揮するとともに、腐食環境によりアルカリとなり易い下塗り塗膜/亜鉛系めっきの界面付近を、硼酸成分によってpH緩衝性を持たせることでアルカリ化を抑制し、防錆性を高めるものと考えられる。
【0028】
これら下塗り塗膜に配合される防錆添加剤は、有害な物質を含まず且つ塗膜の耐食性を高める作用があり、それらの1種又は2種以上を任意に添加することができるが、特に、カルシウムイオン交換シリカとリン酸塩系防錆添加剤、亜リン酸塩系防錆添加剤及び硼酸塩系防錆添加剤の中から選ばれる1種以上を複合添加した場合に耐食性が顕著に向上する。これらの特定の防錆添加成分を複合添加することにより耐食性が特に顕著に向上するのは、これらの成分から形成される保護皮膜の安定性が特異的に高いことによるものと考えられる。
【0029】
上記カルシウムイオン交換シリカを添加する場合、その含有量は塗膜固形分中での割合で3〜25質量%とすることが好ましい。その含有量が3質量%未満では添加による耐食性向上効果が十分に得られない。一方、カルシウムイオン交換シリカは粒径が大きいため(約3μm)、含有量が25質量%を超えると塗膜が剛直となり、成形加工時などに摺動を受けた場合に凝集破壊が起こりやすくなる。
また、上記リン酸塩系、亜リン酸塩系、硼酸塩系の各防錆添加剤の中から選ばれる1種以上を添加する場合、その含有量は塗膜固形分中での割合で15〜35質量%することが好ましい。その含有量が15質量%未満では添加による耐食性向上効果が十分に得られず、一方、35質量%を超えると溶出成分が過多となるため、耐湿性などプレコート鋼板の基本性能が低下する可能性がある。
【0030】
下塗り塗膜中における上記防錆添加剤(成分)の合計含有量(塗膜固形分中での割合)は10〜50質量%とする。これらの防錆添加成分の含有量が10質量%未満では、防錆添加剤を添加したことによる耐食性向上効果が十分に得られず、一方、50質量%を超えると耐塗膜剥離性が低下してしまう。また、含有量のより好適な範囲は20〜45質量%である。
また、下塗り塗膜中には、上記防錆添加剤(防錆顔料)以外に、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、酸化チタン、酸化鉄、タルク、シリカ、硫酸バリウム、マイカ、弁柄、マガンブルー、カーボンブラック、アルミニウム粉、パールマイカなどの顔料を目的に応じて配合することができる。
下塗り塗膜の膜厚(乾燥膜厚)は2〜20μmの範囲とすることが好ましい。さらに好ましい範囲は4〜15μmである。膜厚が2μm未満では十分な耐食性が得られず、一方、20μm超では曲げ加工性が不十分である。
【0031】
また、下塗り塗膜用の塗料組成物には、上述した樹脂、防錆添加剤、顔料以外に、必要に応じて硬化触媒、その他消泡剤、流れ止め剤などの各種添加剤を添加することができる。
上記硬化触媒は、樹脂成分(主樹脂および硬化剤)の硬化反応を促進するために必要に応じて使用するものであり、使用可能な硬化触媒としては、酸またはその中和物が挙げられ、例えば、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸及びこれらのアミン中和物、オクトエ酸錫、ジブチル錫ジラウレート、2−エチルへキソエート鉛などの硬化触媒が代表的なものとして挙げられる。
【0032】
下塗り塗膜を形成するための塗料組成物を実際に使用するにあたっては、これらを有機溶剤に溶解して使用する。使用する有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、シクロヘキサノン、ソルベッソ100(商品名、エクソン化学社製)、ソルベッソ150(商品名、エクソン化学社製)、ソルベッソ200(商品名、エクソン化学社製)、トルエン、キシレン、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、酢酸エチル、酢酸ブチル、石油エーテル、石油ナフサ、ミネラルスピリットなどが挙げられ、適用する樹脂種に応じてこれらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0033】
塗料組成物を調整するに当っては、サンドグラインドミル、ボールミル、ブレンダーなどの通常の分散機や混練機を選択して使用し、各成分を配合することができる。
下塗り塗膜の塗装方法に特に制約はないが、好ましくは塗料組成物をロールコーター塗装、カーテンフロー塗装などの方法で塗布するのがよい。上記した表面調整処理層又は化成処理皮膜が形成された亜鉛系めっき鋼板の表面に下塗り塗膜用の塗料組成物を塗装後、熱風加熱、赤外線加熱、誘導加熱などの加熱手段により、通常、180〜260℃程度の到達板温で約30秒〜1分間程度の焼付処理を行う。
【0034】
次に、上記下塗り塗膜の上層に形成される上塗り塗膜について説明する。
本発明においては、上塗り塗膜の構成については特別な制約はなく、樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂などの1種又は2種以上を用いることができる。これらの樹脂にアミノ樹脂、イソシアネート化合物などの架橋剤を併用してもよい。
また、上塗り塗膜には、目的や用途に応じてワックスを適量配合することができる。このワックスとしては、天然ワックス及び/又は合成ワックスを用いることができる。
また、上塗り塗膜用の塗料組成物には目的や用途に応じて、p−トルエンスルホン酸、オクトエ酸錫、ジブチル錫ジラウレート、2−エチルへキソエート鉛などの硬化触媒;炭酸カルシウム、カオリン、クレー、酸化チタン、タルク、硫酸バリウム、マイカ、弁柄、マンガンブルー、カーボンブラック、アルミニウム粉、パールマイカなどの顔料;その他、消泡剤、流れ止め剤等の各種添加剤を適宜配合することができる。
この上塗り塗膜の膜厚(乾燥膜厚)は10〜20μmとすることが好ましい。膜厚が10μm未満では上塗り塗膜としての総合的な塗膜性能が十分に得られない恐れがあり、一方、膜厚が20μmを超えると発泡やわきの原因となり好ましくない。
【0035】
上塗り塗膜を形成するための塗料組成物を実際に使用するに当っては、これらを有機溶剤に溶解して使用する。使用する有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ソルベッソ100(商品名、エクソン化学社製)、ソルベッソ150(商品名、エクソン化学社製)、ソルベッソ200(商品名、エクソン化学社製)、トルエン、キシレン、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、酢酸エチル、酢酸ブチル、石油エーテル、石油ナフサなどが挙げられる。
上塗り塗膜用の塗料組成物を調整するに当っては、サンドグラインドミル、ボールミル、ブレンダーなどの通常の分散機や混練機を選択して使用し、各成分を配合することができる。上塗り塗膜の塗装方法に特に制約はないが、好ましくは塗料組成物をロールコーター塗装、カーテンフロー塗装などの方法で塗布するのがよい。
【0036】
上述した下塗り塗膜の上に上塗り塗膜用の塗料組成物を塗装後、熱風加熱、赤外線加熱、誘導加熱などの加熱手段により塗膜を焼き付け、樹脂を架橋させて硬化塗膜を得る。上塗り塗膜を加熱硬化させる際の焼付処理は、通常、到達板温を180〜260℃程度とし、この温度範囲で約30秒〜3分程度の焼付処理を行う。
なお、本発明のプレコート鋼板は、上塗り塗膜の上にさらに塗膜(例えば、クリアー塗膜)を形成し、3コート・3べークで使用してもよい。
【0037】
【実施例】
[下塗り塗膜用の塗料組成物]
(1.1) 下塗り塗料用ポリエステル樹脂の合成
・ ポリエステル樹脂合成例1
テレフタル酸215.8重量部(1.3モル)、イソフタル酸182.6重量部(1.1モル)、アジピン酸189.8重量部(1.3モル)、エチレングリコール124重量部(2.0モル)、ネオペンチルグリコール166.4重量部(1.6モル)、「エピクロン850」(商品名、大日本インキ化学工業(株)製)30.4重量部、及びジオクチル錫オキサイド0.1重量部を、窒素気流中240℃で2時間エステル化反応を行った。その後、1時間かけて1mmHgまで減圧し、さらに260℃で1時間反応を行い、ソルベッソ150に溶解して、不揮発分35%、数平均分子量20000、ガラス転移温度10℃のポリエステル樹脂(A1)を得た。
【0038】
・ ポリエステル樹脂合成例2
テレフタル酸215.8重量部(1.3モル)、イソフタル酸182.6重量部(1.1モル)、アジピン酸189.8重量部(1.3モル)、エチレングリコール124重量部(2.0モル)、ネオペンチルグリコール166.4重量部(1.6モル)、「エピクロン850」(商品名、大日本インキ化学工業(株)製)30.4重量部、及びジオクチル錫オキサイド0.1重量部を、窒素気流中240℃で2時間エステル化反応を行った。その後、1時間かけて1mmHgまで減圧し、さらに260℃で20分反応を行い、ソルベッソ150に溶解して、不揮発分35%、数平均分子量16000、ガラス転移温度15℃のポリエステル樹脂(A2)を得た。
【0039】
(1.2) 下塗り塗料用樹脂組成物の調製
ベース樹脂としては、上記ポリエステル樹脂(A1),(A2)(いずれも不揮発分35%)、市販ポリエステル樹脂(A3),(A4)、市販エポキシ樹脂(A5),(A6)のいずれかを用い、これに表1に示す配合割合で硬化剤を配合し、樹脂組成物(R1)〜(R9)を得た。
(1.3) 下塗り塗膜用の塗料組成物の調製
上述した樹脂組成物(R1)〜(R9)に、表2〜表4に示す配合割合で防錆添加剤を配合し、防錆添加剤の粒度が10μ以下になるまでサンドミルで分散させ、塗料組成物(P1)〜(P21)を得た。なお、各塗料組成物は、溶剤を使用して不揮発分40%に調整した。
【0040】
[塗装鋼板の調製]
下地鋼板である板厚0.6mmの溶融亜鉛めっき鋼板(片面当りのめっき付着量:50g/m2)を脱脂後、表5に示す表面調整処理液を用いてスプレー処理を行い、その後水洗、乾燥を行うことにより、金属、金属酸化物、金属水酸化物の1種以上からなる表面調整処理層(表6、表8及び表10に金属元素種と金属換算の付着量を示す)を形成した。次いで、一部の材料については、上記表面調整処理層の上層に、シリカ成分として「アエロジル#300」(商品名、日本アエロジル社製):5質量部、オルソリン酸アンモニウム:1質量部、ポリアクリル酸:1質量部、水:93質量部の組成の化成処理液を所定の付着量(SiO2換算の付着量)になるように塗布した後、到達板温80℃の乾燥処理を行って化成処理皮膜を形成した。また、表6のNo.11については、上記化成処理液のシリカ成分である「アエロジル#300」に代えてコロイダルシリカ(商品名:日産化学工業(株)製「スノーテックスOS」)を配合したもの、同じくNo.12については、上記化成処理液においてシリカ成分を添加しないものを、それぞれ上記と同様の条件で塗布・乾燥させて化成処理皮膜を形成した。
【0041】
上記表面調整処理層を形成しためっき鋼板又はその上層に化成処理皮膜を形成しためっき鋼板に、表2〜表4に示す組成に調整した下塗り塗膜用の塗料組成物(P1)〜(P21)を乾燥膜厚が5μmになるように塗布した後、焼付温度(到達温度)215℃、焼付時間60秒の焼付処理を行って下塗り塗膜を形成し、さらに、その上にポリエステル系上塗り塗料(商品名:日本ファインコーティングス社製「SRF05」)を乾燥膜厚が15μmになるように塗布した後、焼付温度(到達温度)230℃、焼付時間60秒の焼付処理を行って上塗り塗膜を形成し、本発明例および比較例のプレコート鋼板を得た。
【0042】
これらプレコート鋼板の皮膜・塗膜構成と性能を表6〜表11に示す。
以下に、プレコート鋼板の性能試験の試験方法と評価方法について示す。
(1)クロスカット部耐食性
試験片に対してNTカッターを使用して下地鋼板に届くまでカットを入れ、その後、JIS Z 2371に記載の塩水噴霧試験(SST試験)を168時間実施した。試験後、クロスカット部に発生した塗膜膨れのカットからの最大幅を測定し、下記により評価した。
◎:塗膜に膨れ異常なし
○:軽微な膨れのみ(塗膜膨れ幅0.5mm未満)
△:塗膜膨れ幅0.5mm以上、1.0mm以下
×:塗膜膨れ幅1.0mm超
【0043】
(2)切断端面部耐食性
70mm×150mmの試験片を、左端面が下バリ、右端面が上バリになるように切り出し、上下端面をテープシールした後、JIS Z 2371に記載の塩水噴霧試験(SST試験)を168時間実施した。試験後、バリ部に発生した塗膜膨れのエッジからの最大幅を測定し、下記により評価した。
◎:最大膨れ幅1mm以下
○:最大膨れ幅1mm超、2mm以下
△:最大膨れ幅2mm超、4mm以下
×:最大膨れ幅4mm超
【0044】
(3)摺動部耐塗膜剥離性
先端径1mmRのビードを幅30mmの試験片に対して150kgfの荷重で押し付けた状態でビード引き抜き試験を行い、その外観(塗膜剥離程度)により下記基準で評価した。
◎:塗膜剥離無し
○:塗膜剥離率5%以下
△:塗膜剥離率5%超、50%以下
×:塗膜剥離率50%超
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
【表7】
【0052】
【表8】
【0053】
【表9】
【0054】
【表10】
【0055】
【表11】
【0056】
【発明の効果】
以上述べたように本発明のプレコート鋼板は、耐食性、特に切断端面部の耐食性に優れた環境調和型プレコート鋼板である。また、化成処理皮膜を有し、且つこの化成処理皮膜が乾式シリカ微粒子を含有する本発明のプレコート鋼板は、優れた耐食性に加えて、実成形加工において塗膜剥離などの損傷を生じない優れた成形加工性(摺動部耐塗膜剥離性)を有する。このため本発明のプレコート鋼板は、家電製品、建材、自動車等の用途において、高度の環境調和性、成形加工性、耐食性が求められる部位に用いられるプレコート鋼板として極めて有用である。
Claims (4)
- 亜鉛系めっき鋼板の表面に表面調整処理層が形成され、その上層に下塗り塗膜が形成され、さらにその上層に上塗り塗膜が形成されたプレコート鋼板であって、
前記表面調整処理層は、Ni、Co、Fe、Cu、Sn、Mo、W、これら金属の1種以上の金属酸化物、及びこれら金属の1種以上の金属水酸化物の中から選ばれる1種以上からなり、金属換算の付着量が20〜150mg/m2であり、
前記下塗り塗膜及び上塗り塗膜はクロム系化合物を含有しないことを特徴とする、環境調和性及び耐食性に優れたプレコート鋼板。 - 亜鉛系めっき鋼板の表面に表面調整処理層が形成され、その上層に化成処理皮膜が形成され、その上層に下塗り塗膜が形成され、さらにその上層に上塗り塗膜が形成されたプレコート鋼板であって、
前記表面調整処理層は、Ni、Co、Fe、Cu、Sn、Mo、W、これら金属の1種以上の金属酸化物、及びこれら金属の1種以上の金属水酸化物の中から選ばれる1種以上からなり、金属換算の付着量が20〜150mg/m2であり、
前記化成処理皮膜、下塗り塗膜及び上塗り塗膜はクロム系化合物を含有しないことを特徴とする、環境調和性及び耐食性に優れたプレコート鋼板。 - 下塗り塗膜が防錆添加成分として、カルシウムイオン交換シリカ、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸マグネシウム、トリポリリン酸2水素アルミニウム、リン酸マグネシウム、亜リン酸亜鉛、硼酸バリウム、硼酸ストロンチウムの中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の環境調和性及び耐食性に優れたプレコート鋼板。
- 化成処理皮膜が乾式シリカ微粒子を含有し、SiO2換算の皮膜付着量が10〜300mg/m2であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の環境調和性及び耐食性に優れたプレコート鋼板。
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