JPH1149926A - 真空成形用樹脂組成物 - Google Patents

真空成形用樹脂組成物

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JPH1149926A
JPH1149926A JP22118997A JP22118997A JPH1149926A JP H1149926 A JPH1149926 A JP H1149926A JP 22118997 A JP22118997 A JP 22118997A JP 22118997 A JP22118997 A JP 22118997A JP H1149926 A JPH1149926 A JP H1149926A
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graft copolymer
weight
monomer
copolymer
rubbery polymer
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JP22118997A
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Hiroki Kashiwagi
浩樹 柏木
Yuichi Kanayama
裕一 金山
Tetsuo Toyoshima
哲郎 豊島
Toshiyuki Tajiri
敏之 田尻
Isao Shimizu
功 清水
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Techno UMG Co Ltd
Original Assignee
Techno Polymer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 真空成形時の“ヒケ”性、すなわち転写性が
よく、肉厚分布も良好なABS樹脂系の熱可塑性樹脂組
成物を提供すること。 【解決手段】 ABS樹脂系のグラフト共重合体(A)
〜(B)、およびビニル系共重合体(C)を主成分と
し、かつグラフト共重合体(A)の、ゴム質重合体の
ゲル含有率50重量%以上、同ゴム質重合体の重量平
均粒子径0.1〜0.65μm、アセトン可溶分が数
平均分子量8万以上、また、樹脂組成物の、150〜
170℃の温度範囲で2軸伸長流動特性値λmax>
1.6、150〜170℃の温度範囲で2軸伸長流動
時の公称応力最大値σmax<450kPa、組成比
率が、全ゴム質重合体中のグラフト共重合体(A)中の
ゴム質重合体が20〜100重量%、樹脂組成物中の全
ゴム質重合体が5〜40重量%である真空成形用樹脂組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ABS樹脂系の新
規な真空成形用樹脂組成物に関する。さらに詳細には、
真空成形において、均一延伸性、耐ドローダウン性、金
型転写性などの成形加工性に優れ、かつ耐衝撃性および
耐薬品性に優れたABS樹脂系の樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴム質重合体にスチレンとアクリロニト
リルとの混合物をグラフト重合させたグラフト共重合体
と、スチレンおよびアクリロニトリルの混合物の共重合
体とを混合することによって得られるグラフト・ブレン
ド型の熱可塑性樹脂は、例えばABS樹脂として著名で
ある。これらの熱可塑性樹脂は、射出成形、押し出し成
形、真空(圧空)成形などにより、目的の形状に付形さ
れる。これらの成形法のうち、真空(圧空)成形の具体
例としては、電気冷蔵庫の内箱への使用が挙げられる。
電気冷蔵庫の内箱を製造する場合には、まず、押し出し
成形により樹脂シートを製造し、次いで、このシートを
真空(圧空)成形法によって目的の形状に成形する。
【0003】この真空(圧空)成形においては、箱のコ
ーナー部などの延伸倍率の高い部分は、肉厚が不均一に
なり易い傾向がある。この問題を解決するために、さま
ざまな検討がなされているが、肉厚が均一な成形品を得
ることができない場合においても、一方、比較的延伸倍
率の低くなる厚肉部分に成形品形状を付与する場合に
は、金型の転写性が悪く、いわゆる“ヒケ”が甘いとい
う状態になることが多い。近年、冷蔵庫の大型化、形状
の複雑化、またコストダウンを目的とした肉厚の減少化
により、従来のABS樹脂では、ますます上記成形性を
満足することが困難となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の現状
に鑑み、真空成形時の“ヒケ”性、すなわち転写性もよ
く、肉厚分布も良好なABS樹脂系の熱可塑性樹脂組成
物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達
したものである。すなわち、特定の平均粒子径を有する
ゴム質重合体に、特定の割合の芳香族ビニル単量体、シ
アン化ビニル単量体および必要に応じて共重合可能な他
のビニル系単量体からなる単量体成分を乳化重合法によ
りグラフト反応させて得られる特定のグラフト共重合体
を含む樹脂組成物を用い、2軸伸長流動特性値λmax
と2軸伸長流動時の公称応力最大値σmaxが特定の範
囲に入るようにすることにより、従来の組成物では得ら
れなかった、優れた真空(圧空)成形における加工成形
性(均一延伸性、耐ドローダウン性、金型転写性な
ど)、耐衝撃性、および耐薬品性を有することを見いだ
し、本発明に到達したものである。
【0006】本発明は、ゴム質重合体ラテックスの存在
下に、芳香族ビニル単量体40〜90重量%、シアン化
ビニル単量体10〜60重量%および共重合可能な他の
ビニル系単量体0〜20重量%(ただし、芳香族ビニル
単量体+シアン化ビニル単量体+他のビニル系単量体=
100重量%)からなる単量体成分を乳化グラフト重合
させて得られるグラフト共重合体(A)と、ゴム質重合
体の存在下に、芳香族ビニル単量体40〜90重量%、
シアン化ビニル単量体10〜60重量%および共重合可
能な他のビニル系単量体0〜20重量%(ただし、芳香
族ビニル単量体+シアン化ビニル単量体+他のビニル系
単量体=100重量%)からなる単量体成分をグラフト
重合させて得られるグラフト共重合体(B)〔ただし、
グラフト共重合体(A)を除く〕、ならびに芳香族ビニ
ル単量体40〜90重量%、シアン化ビニル単量体10
〜60重量%および共重合可能な他のビニル系単量体0
〜20重量%(ただし、芳香族ビニル単量体+シアン化
ビニル単量体+他のビニル系単量体=100重量%)か
らなる単量体成分を重合させて得られる共重合体(C)
を主成分とし、かつ下記の条件〜を充足することを
特徴とする真空成形用樹脂組成物(以下「樹脂組成物」
ともいう)を提供するものである。 グラフト共重合体(A)のゴム質重合体ラテックス中
のゴム質重合体が、ゲル含有率50重量%以上のもので
あること。 グラフト共重合体(A)のゴム質重合体ラテックス中
のゴム質重合体が、重量平均粒子径0.1〜0.65μ
mのものであること。 グラフト共重合体(A)を常温でアセトン抽出に付し
たときの可溶分が、数平均分子量8万以上のものである
こと。 樹脂組成物の、150〜170℃の温度範囲で2軸伸
長流動特性値λmax(ここで、λmaxは、2軸伸長
流動において、伸長比λが1〜5の範囲で、公称応力が
最大値を示す伸長比を表す指標であり、試験速度とし
て、一定歪速度dε/dt=0.3s-1を与えたときの
実験値である)が、式 λmax>1.6 の範囲であること。 樹脂組成物の、150〜170℃の温度範囲で2軸伸
長流動時の公称応力最大値(σmax)が、式 σmax<450kPa の範囲にあること。 グラフト共重合体(A)、グラフト共重合体(B)お
よび共重合体(C)を、下記式(I)および(II) の組
成比率で含むこと。 0.2≦グラフト共重合体(A)からのゴム質重合体/〔グラフト共重合体( A)およびグラフト共重合体(B)からのゴム質重合体〕≦1.0 ・・・・式(I) 0.05<〔グラフト共重合体(A)およびグラフト共重合体(B)からのゴ ム質重合体〕/〔グラフト共重合体(A)+グラフト共重合体(B)+共重合体 (C)〕<0.40 ・・・・式(II)
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の真空成形用樹脂組成物
は、ゴム質重合体ラテックスの存在下に特定の単量体成
分を乳化グラフト重合させて得られるグラフト共重合体
(A)と、ゴム質重合体の存在下に特定の単量体成分を
グラフト重合して得られるグラフト共重合体(B)〔た
だし、グラフト共重合体(A)を除く〕と、特定の単量
体成分からなる実質的に組成均一な共重合体(C)とを
配合したものである。(1)グラフト共重合体(A ) 本発明において使用するグラフト共重合体(A)は、上
記した特定の条件を満たした限定されたグラフト共重合
体樹脂である。 <一般的説明>グラフト共重合体の常として、「枝」と
なるべき単量体がすべて「幹」であるゴム質重合体と結
合して「枝」となっているとは限らないが、本発明でい
う「グラフト共重合体」も、慣用されているところに従
って、そのような「枝」となっていない「枝」用単量体
由来の(共)重合体の共存を許容するものである。
【0008】<ゴム質重合体ラテックス>本発明で用い
られるゴム質重合体としては、そのガラス転移温度が常
温より低いものであり、具体的には、ポリブタジエン、
ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロ
ニトリル共重合体、ブタジエン−アクリル酸アルキルエ
ステル共重合体、ブタジエン−メタクリル酸アルキルエ
ステル共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレンな
どの共役ジエン系重合体、アクリル酸アルキルエステル
共重合体やエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
プロピレン−非共役ジエン三元共重合体、そのほか、モ
ノオレフィン系弾性体などが挙げられる。このようなゴ
ム質重合体のラテックスは、所定の単量体ないしはその
混合物を水性媒体中で一時に、または段階的に乳化重合
することによって製造することができる。
【0009】本発明では、ゴム質重合体ラテックスは、
ゴム質重合体のゲル含有率、およびゴム質重合体の粒子
径について、特定の条件を充足するものでなければなら
ない。 ゲル含有率 ゴム質重合体は、ゲル含有率が50重量%以上、好まし
くは60〜97重量%である。ゲル含有率が50重量%
未満では、生成組成物からの成形品はグラフト共重合体
が変形し易くなり、外観などのバランスが大きく損なわ
れる。このような高ゲル含有率のゴム質重合体は、重合
温度などの乳化重合条件、重合反応に使用する重合開始
剤の種類・添加量、架橋助剤の種類・添加量を調整する
ことによって製造することができる。
【0010】ゴム粒子径 ゴム質重合体の粒子径は、0.1〜0.65μm、好ま
しくは0.15〜0.45μmの粒子径の範囲にある。
0.1μm未満では、最終的に得られる樹脂の耐衝撃性
が著しく劣るものとなり、成形加工性も不足する。一
方、0.65μmを超えると、外観が低下し、耐衝撃性
の低い樹脂しか得られず、また、乳化グラフト重合の
際、ラテックスの不安定化を招き、重合中のスケール量
の増加などの問題が生じるので好ましくない。
【0011】このような比較的大粒子径のゴムラテック
スは、小粒子径のラテックスについて目的粒子径を得る
ために、粒径肥大という操作を行って得たものでもよ
い。粒径肥大は、公知の方法、例えば、ラテックスを一
度凍結させてから再溶解する方法、ラテックスに鉱酸、
有機酸などを添加して、ラテックスのpHを一時的に低
下させる方法、ラテックスにせん断力を加える方法(特
開昭54−133588号公報、特開昭59−2022
11号公報)などによって行うことができる。特に、ラ
テックスに、リン酸または無水酢酸を添加する方法が、
粒子径の調整が容易であるの好ましい。ゴム質重合体の
粒子径は、必ずしも単峰性である必要はなく、多峰性、
すなわち、各種粒径の混合物であってもよい。
【0012】<乳化グラフト重合>本発明のグラフト共
重合体(A)は、上記ゴム質重合体のラテックスの存在
下に、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体およ
び必要に応じて共重合可能な他のビニル系単量体からな
る単量体成分を乳化グラフト重合して得られるものであ
る。ここで、ゴム質重合体の含量は、ゴム質重合体ラテ
ックスを固形分換算で100重量部に対して、単量体成
分40〜900重量部、好ましくは55〜900重量部
である。ゴム質重合体含量がこの範囲より少ないと、本
発明の組成物は充分な耐衝撃性を持たず、一方、この範
囲より高いと、充分な剛性が得られない。
【0013】グラフト共重合体(A)中の「枝」用の単
量体成分の重量比率は、芳香族ビニル単量体40〜90
重量%、シアン化ビニル単量体10〜60重量%、他の
ビニル系単量体0〜20重量%、好ましくは、それぞ
れ、45〜80重量%、20〜55重量%、0〜20重
量%である。これらの重量比率範囲より、シアン化ビニ
ル単量体が多くなると、加工性、色調が低下し、一方、
少なくなると、耐薬品性が低下し好ましくない。
【0014】1)単量体 本発明で用いられる芳香族ビニル単量体には、スチレ
ン、ならびに側鎖および/または核置換スチレン(置換
基は、低級アルキル基、低級アルコキシ基、トリフルオ
ロメチル基、ハロゲン原子など)、例えば、α−メチル
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、核ハロゲン化スチレン、ビニルナ
フタレンなどが挙げられる。これらは、群内または群間
で併用してもよい。本発明で用いられるシアン化ビニル
単量体には、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、
α−クロロアクリロニトリルなどが挙げられる。これら
は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混
合して用いることもできる。単量体は、本発明の趣旨を
損なわない限り、これらと共重合可能な他のビニル系単
量体を少量併用してもよい。このような他のビニル系単
量体としては、アクリル酸もしくはメタクリル酸と炭素
数1〜10のアルカノールとのエステル、特にメチルア
クリレート、メチルメタクリレート、ジエン系単量体、
ジビニルベンゼン、(ポリ)アルキレングリコールジ
(メタ)アクリレート、マレイン酸、マレイミドなどが
挙げられる。
【0015】2)分子量 本発明のグラフト共重合体(A)は、上記の条件、す
なわち、このグラフト共重合体を常温でアセトン抽出し
たときの可溶分が、数平均分子量で8万以上、好ましく
は8万〜25万のものである。分子量がこの値より低い
と、真空(圧空)成形時に充分な成形加工性が得られな
い。このような分子量の抽出物を持つグラフト共重合体
は、グラフト重合時の重合温度、連鎖移動剤、重合開始
剤の量などを調節することによって得られる。
【0016】3)その他の条件 乳化グラフト重合は、重合開始剤の存在下で行う。使用
し得る開始剤(または、触媒)としては、過硫酸、過酢
酸、過フタル酸などの過酸触媒、過硫酸カリウムなどの
過硫酸塩触媒、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸化
クロルベンゾイル、過酸化ナフチル、過酸化アセチル、
過酸化ベンゾイルアセチル、過酸化ラウリルなどの過酸
化物触媒、ヒドロ過酸化t−ブチルなどのヒドロ過酸化
アルキル、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ触媒
などが挙げられ、これらは、1種単独で使用すること
も、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
また、これらは、還元剤と組み合わせてレドックス触媒
として使用することもできる。
【0017】乳化グラフト重合は、連鎖移動剤の存在下
に行うことができる。本発明で用いられる連鎖移動剤と
しては特に制限はないが、例えば、n−オクチルメルカ
プタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメル
カプタンなど、あるいはテルピノレン、α−メチルスチ
レンリニアダイマーなどが用いられる。乳化グラフト重
合での温度条件は、50〜85℃、好ましくは55〜7
5℃の範囲が適当である。50℃未満では、重合反応速
度が小さく実用的でなく、一方、85℃を超える場合
は、一度に凝固物あるいは付着物の発生量が多くなり、
重合収率の低下および最終製品の品質低下をきたすので
好ましくない。
【0018】グラフト共重合体(A)の製造に際して
は、まず、上述の範囲に特定したグラフト共重合体ラテ
ックスを製造し、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル
単量体および共重合可能な他のビニル系単量体を共重合
して得られる硬質共重合体ラテックスを混合してもよい
し、硬質共重合体ラテックスを混合することなく、直
接、グラフト共重合体を製造してもよい。このとき、混
合するグラフト共重合体ラテックスの「枝」用単量体成
分の重量比率と硬質共重合体ラテックスの単量体成分の
重量比率は、同一でもよいし、異なっていてもよい。そ
の他のグラフト重合条件は、ABS樹脂の製造に慣用さ
れているところとは本質的には異ならない。グラフト重
合用の単量体成分は、全量を一時に重合系に導入しても
よく、段階的に導入してもよい。また、重合中の温度
を、経時的に変化させることもできる。
【0019】(2)グラフト共重合体(B) 本発明の樹脂組成物を構成するグラフト共重合体(B)
は、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル単量体40
〜90重量%、シアン化ビニル単量体10〜60重量%
および共重合可能な他のビニル系単量体0〜20重量
%、好ましくは、それぞれ、45〜75重量%、25〜
55重量%、0〜20重量%(ただし、芳香族ビニル単
量体+シアン化ビニル単量体+他のビニル系単量体=1
00重量%)からなる単量体成分をグラフト重合させて
得られる重合生成物である。ただし、上記グラフト共重
合体(A)を除く。これらの重量比率より、シアン化ビ
ニル単量体が多くなると、加工性および色調が低下し、
一方、少なすぎると、耐薬品性低下し好ましくない。
【0020】ここで、ゴム質重合体の含量は、上記ゴム
質重合体(A)と同様である。また、上記ゴム質重合体
としては、上述のものが用いられる。さらに、ゴム質重
合体(B)を構成する芳香族ビニル単量体、シアン化ビ
ニル単量体および必要に応じて共重合可能な他のビニル
系単量体としても、上記グラフト共重合体(A)と同様
のものが用いられる。グラフト共重合体(B)の重合方
法および重合条件は、乳化重合法、溶液重合法、塊状重
合法、懸濁重合法などの方法で、回分または連続法から
適宜選択することができる。
【0021】(3)共重合体(C) 本発明の樹脂組成物を構成する共重合体(C)は、芳香
族ビニル単量体40〜90重量%、シアン化ビニル単量
体10〜60重量%および共重合可能な他のビニル系単
量体0〜20重量%、好ましくは、それぞれ、45〜7
5重量%、25〜55重量%、0〜20重量%(ただ
し、芳香族ビニル単量体+シアン化ビニル単量体+他の
ビニル系単量体=100重量%)からなる単量体成分の
重合生成物である。これらの重量比率より、シアン化ビ
ニル単量体が多くなると、加工性および色調が低下し、
一方、少なすぎると、耐薬品性低下し好ましくない。共
重合体(C)の構成成分である芳香族ビニル単量体、シ
アン化ビニル単量体および必要に応じて共重合可能な他
のビニル系単量体は、上記グラフト共重合体(A)〜
(B)の構成成分と同様のものが用いられる。上記共重
合体(C)の重合方法および重合条件は、溶液重合法、
塊状重合法、懸濁重合法などの方法を、回分または連続
法から適宜選択することができる(製造方法の詳細は、
例えば、特開昭62−1720号公報参照)。
【0022】本発明における上記グラフト共重合体
(A)〜(B)および共重合体(C)を構成する単量体
成分の組成は、おのおの、上記で限定された範囲であれ
ばよく、これらの組成が全く同一ということを必ずしも
意味するものではない。しかしながら、これらの単量体
成分が上記範囲内で選択され、組み合わされたとして
も、これらの組成を著しく相違させると、これらの樹脂
(共重合体)の相溶性が劣り、物性が低下するので好ま
しくない。
【0023】樹脂組成物 本発明の樹脂組成物は、上記グラフト共重合体(A)〜
(B)と共重合体(C)を主成分とするものであり、下
記〜の条件を充足する必要がある。 2軸伸長流動特性値λmax 本発明の樹脂組成物は、150〜170℃の温度範囲で
の2軸伸長流動特性値λmax(ここで、λmaxは、
2軸伸長流動において、伸長比λが1〜5の範囲で、公
称応力が最大値を示す伸長比を表す指標であり、試験速
度として、一定歪速度dε/dt=0.3s-1を与えた
ときの実験値である)が、1.6より高いもの、好まし
くは1.65以上、さらに好ましくは1.65〜3.0
のものである。λmaxが1.6以下では、真空(圧
空)成形時に偏肉が起こりやすくなる。ここで、樹脂組
成物のλmaxは、グラフト共重合体(A)の量および
/または樹脂組成物の分子量などにより、調整すること
ができる。
【0024】2軸伸長流動時の公称応力最大値σma
x 本発明の樹脂組成物は、150〜170℃の温度範囲で
2軸伸長流動時の公称応力最大値(σmax)が、45
0kPaより小さいもの、好ましくは400kPa未
満、さらに好ましくは80〜400kPaのものであ
る。σmaxが450pKa以上では、真空(圧空)成
形時の金型の転写性(いわゆる“ヒケ”性)が悪くな
る。ここで、樹脂組成物のσmaxは、グラフト共重合
体のグラフト率や樹脂組成物の分子量などにより、調整
することができる。
【0025】組成比率 本発明の樹脂組成物は、上記したように、グラフト共重
合体(A)〜(B)、共重合体(C)を主成分とする
が、これらの組成比率は、式(I)〜(II) の組成比率
の範囲内である。おのおのの共重合体の配合量が、式
(I)〜(II) の範囲を外れると、目的とする物性が得
られず、また、真空(圧空)成形性の良好な樹脂組成物
が得られない。 0.2≦グラフト共重合体(A)からのゴム質重合体/〔グラフト共重合体( A)およびグラフト共重合体(B)からのゴム質重合体〕≦1.0 ・・・・式(I) 0.05<〔グラフト共重合体(A)およびグラフト共重合体(B)からのゴ ム質重合体〕/〔グラフト共重合体(A)+グラフト共重合体(B)+共重合体 (C)〕<0.40 ・・・・式(II)
【0026】式(I)に示されるとおり、本発明の樹脂
組成物中に含有されるゴム質重合体は、グラフト共重合
体(A)からもたらされるゴム質重合体が、グラフト共
重合体(A)およびグラフト共重合体(B)のゴム質重
合体の合計あたり、20〜100重量%、好ましくは3
0〜100重量%である。また、式(II) に示されると
おり、グラフト共重合体(A)〜(B)からもたらされ
るゴム質重合体の合計は、グラフト共重合体(A)〜
(B)および共重合体(C)の合計あたり、5〜40重
量%、好ましくは10〜30重量%である。
【0027】グラフト共重合体(A)〜(B)、共重合
体(C)を配合し、混合・混練りするには、公知の混合
・混練り方法によればよい。この際、混練りする温度
は、組成物が樹脂焼けを起こさない範囲で選択するのが
よい。粉末、ビーズ、フレーク、またはペレットとなっ
たこれら共重合体の1種または2種以上の混合物は、一
軸押し出し機、二軸押し出し機、または、バンバリーミ
キサー、加圧ニーダー、二本ロールなどの混練り機など
により組成物とすることができる。また、場合によって
は、重合を終えたこれらの共重合体の1種または2種以
上のものを未乾燥のまま混合し、析出し、洗浄し、乾燥
して、混練りする方法を採用することもできる。
【0028】本発明の樹脂組成物には、樹脂としての性
質を阻害しない種類および量の、潤滑剤、離型剤、可塑
剤、着色剤、帯電防止剤、難燃化剤、紫外線吸収剤、耐
光性安定剤、耐熱性安定剤、充填剤などの各種樹脂添加
剤を、適宜、組み合わせて添加することができる。
【0029】本発明の樹脂組成物は、射出成形法、押し
出し成形法、プレス成形法などの各種加工方法によっ
て、成形品を製造する際の原料樹脂として使用すること
ができる。例えば、事務機器のハウジング、シャーシな
どの事務機器類、洗面化粧台、家具などの家庭用製品、
電気冷蔵庫の内箱、電気機器および電気製品の外装・内
装・ハウジングなど、二輪車のカウリング、自動車部
品、自動販売機の内部ラックなどの車両、船舶、機械、
建設などの工業部品の構成材料として適しており、特
に、押し出し成形法によってシート化し、そのシートを
真空(圧空)成形法によって製造する電気冷蔵庫の内箱
の用途に好適である。
【0030】
【実施例】下記の実施例および比較例は、本発明をさら
に具体的に説明するためのものであるが、本発明は、そ
の要旨を越えない限り、以下の例に限定されるものでは
ない。なお、実施例中、部および%は、特に断わらない
限り重量基準である。また、実施例中の各物性は、下記
のようにして測定した。
【0031】(1)ゴム質重合体のゲル含有率 ゴム質重合体ラテックスをフリーズドライによって、ゴ
ム質重合体を得て、これを秤量する。これにトルエンを
加え、一昼夜放置したのち、100メッシュの金網でろ
過し、金網上の残渣を真空乾燥する。ゲル含有率は、次
式で求めた。 ゲル含有率(%)=(残渣/ゴム質重合体)×100 (2)ラテックスの平均粒子径(重量平均粒子径) ラテックスの平均粒子径は、米国コールター社製「N4
S」によって、測定した。 (3)数平均分子量 グラフト共重合体を常温でアセトン抽出に付したときの
可溶分の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー
(GPC)装置を用い、次の条件で測定したものであ
る。 装置;昭和電工(株)製、「Shodex GPC S
YSTEM−11」 カラム;Shodex 806L×2本 温度;40℃ 検出;RI 溶媒;テトラヒドロフラン 濃度;0.1% 注入量;100μl 検量線;標準ポリスチレン〔昭和電工(株)製〕に準
拠。(分子量は、ポリスチレン換算値。)
【0032】(4)アイゾット(IZ)衝撃強度 JIS K7110に従って測定した。単位は、kg・
cm/cmである。 (5)メルトフローレート(MFR) JIS K7210に従って、220℃、10kgの条
件で測定し、10分間の流出g数で表示した。 (6)引張強度 JIS K7113に従って測定した。単位は、kg/
cm2 である。 (7)VICAT軟化点 JIS K7206に従って測定した。単位は、℃であ
る。
【0033】(8)2軸伸長流動特性値(λmax)と
2軸伸長公称応力最大値(σmax) これらの値を測定するには、ポリミックス(Polym
ics)社製、MARS III を使用した。この装置
は、いわゆる一定面積型スクイージング式2軸伸長レオ
メータであり、測定に際し、試料と測定治具の間に、潤
滑剤としてシリコンオイル〔信越シリコーン(株)製、
動粘度=3,000,000cSt)を用いた。測定治
具には、直径10mmφの2軸伸長測定用治具を用い
た。測定は、一定歪み速度モードで、歪み速度dε/d
t=0.3/secで行った(サンプルの圧縮方向へ
は、dε/dt=0,6/secの歪み速度となる)。
測定結果は、公称応力σ(張力/初期断面積)を伸長比
λに対して図表化し、λが1〜5の範囲でσが最大値を
示すλの値をλmaxとし、そのときのσをσmaxと
した。試料は、ペレットから直径10mmφ、厚さ4m
mの円柱状のプレス片を作製し測定に供した。なお、公
称応力σは、試験片に働いた真応力をexp(ε)で割
った値として求めることもできる。
【0034】(9)真空成形性 樹脂組成物から押し出し成形法によって、厚さ2mmの
シートを製造し、このシートから、真空成形機(浅野研
究所製、FC−4APA、プラグアシスト式)を使用し
て、シートの加熱時間を変えて(50、60、70、8
0秒)、開口部から300mm、底部径150mm、深
さ250mmのバケツ状であって、開口部から底部に達
する幅が6mmで外側に突出した2本のリブを壁面に対
向させて設けた成形品を成形した。得られた成形品につ
き、リブから最も離れた部分を開口部から底部に縦に
切断し、切断面における最低肉厚を測定し、最低肉厚が
0.25mm未満のものを×、0.25mm以上のもの
を○とした(偏肉)。また、上部リブ部分のヒケ(型
ぎまり−真空成形型の形状に沿って転写性よく成形され
ているか否か)を肉眼で観察し、ヒケのよいもの(型ぎ
まりのよいもの)を「リブのヒケ」○、ヒケの悪いもの
(型ぎまりの悪いもの)を「リブのヒケ」×として、そ
れぞれ表示した。
【0035】(10)外観 射出成形試験片(厚さ2.5mm、幅75mm、長さ1
60mm)の光沢、フローマークの程度を、下記のよう
に目視判定した。 ○;光沢の低下、およびフローマークが認められない。 △;光沢の低下、またはフローマークが少し認められ
る。 ×;光沢の低下、またはフローマークがかなり認められ
る。
【0036】〔製造例〕グラフト共重合体(A)の製造 A−1; (1)ゴム質重合体の製造 容量5リットルのオートクレーブに、脱イオン水150
部、高級脂肪酸セッケン(炭素数18を主成分とする脂
肪酸のナトリウム塩)4.0部、水酸化ナトリウム0.
075部を仕込み、窒素置換後、68℃に昇温した。
1,3−ブタジエン(BD)90部、スチレン(St)
10部とt−ドデシルメルカプタン0.3部よりなる単
量体混合物のうち、20%を仕込んだのち、過硫酸カリ
ウム0.135部を添加した。約数分で発熱が起こり、
重合の開始が確認された。過硫酸カリウムを添加後、1
時間後から単量体混合物の80%の連続仕込みを開始
し、6時間の時点で終了した。単量体混合物の添加終了
後、温度を80℃まで上げ、さらに1時間重合を進め
た。固形分濃度は39.5%、平均粒子径は0.08μ
m、ゲル含有率は95.0%であった。
【0037】(2)グラフト共重合体の製造 攪拌装置、加熱冷却装置、および各原料・助剤仕込み装
置を備えた容量5リットルの反応器に、上記ゴム質重合
体ラテックスを無水酢酸を用いて0.35μmに粒径肥
大させたものを、固形分として100部および脱イオン
水264.5部(ラテックス中の水分を含む)を仕込
み、70℃に昇温した。70℃に達した時点で、過硫酸
カリウム0.32部、スチレン(St)66.5部、ア
クリロニトリル(AN)33.5部、テルペン混合物
0.25部、不均化ロジン酸カリウムセッケン1.8
部、水酸化カリウム0.44部、脱イオン水27.2部
を、3時間30分かけて添加した。添加終了後、さらに
30分反応を続けて反応を終了した。このグラフト共重
合体ラテックスに、老化防止剤2.5部を添加後、95
℃に加熱した硫酸マグネシウム水溶液中に攪拌しながら
加えて凝固させ、凝固物を水洗乾燥して白色粉末状のグ
ラフト共重合体を得た。
【0038】A−2; (1)ゴム質重合体の製造 A−1(1)と同様にして行った。 (2)グラフト共重合体の製造 攪拌装置、加熱冷却装置、および各原料・助剤仕込み装
置を備えた容量5リットルの反応器に、上記ゴム質重合
体ラテックスを無水酢酸を用いて0.35μmに粒径肥
大させたものを、固形分として100部および脱イオン
水264.5部(ラテックス中の水分を含む)を仕込
み、70℃に昇温した。70℃に達した時点で、過硫酸
カリウム0.25部、スチレン(St)66.5部、ア
クリロニトリル(AN)33.5部、不均化ロジン酸カ
リウムセッケン1.8部、水酸化カリウム0.44部、
脱イオン水27.2部を、3時間30分かけて添加し
た。途中、単量体混合物の添加開始から30分後、テル
ペン混合物0.25部を添加した。単量体混合物の添加
終了後、さらに30分反応を続けて反応を終了した。こ
のグラフト共重合体ラテックスに、老化防止剤2.5部
を添加後、95℃に加熱した硫酸マグネシウム水溶液中
に攪拌しながら加えて凝固させ、凝固物を水洗乾燥して
白色粉末状のグラフト共重合体を得た。
【0039】A−3; (1)ゴム質重合体の製造 A−1(1)と同様にして行った。 (2)グラフト共重合体の製造 攪拌装置、加熱冷却装置、および各原料・助剤仕込み装
置を備えた容量5リットルの反応器に、上記ゴム質重合
体ラテックスを無水酢酸を用いて0.35μmに粒径肥
大させたものを、固形分として100部および脱イオン
水264.5部(ラテックス中の水分を含む)を仕込
み、70℃に昇温した。昇温の途中60℃で、水20部
に溶解したピロリン酸ナトリウム1.0部、デキストロ
ーズ0.15部および硫酸第1鉄0.01部を添加し
た。70℃に達した時点で、スチレン(St)70部、
アクリロニトリル(AN)30部、t−ブチルハイドロ
パーオキサイド0.075部、不均化ロジン酸カリウム
セッケン1.8部、水酸化カリウム0.44部、脱イオ
ン水27.2部を、3時間30分かけて添加した。途
中、単量体混合物の添加開始から30分後、テルペン混
合物0.25部を添加した。単量体混合物の添加終了
後、さらに30分反応を続けて反応を終了した。このグ
ラフト共重合体ラテックスに、老化防止剤2.5部を添
加後、95℃に加熱した硫酸マグネシウム水溶液中に攪
拌しながら加えて凝固させ、凝固物を水洗乾燥して白色
粉末状のグラフト共重合体を得た。
【0040】A−4; (1)ゴム質重合体の製造 容量5リットルのガラス製フラスコに、脱イオン水15
1部、高級脂肪酸セッケン(炭素数18を主成分とする
脂肪酸のナトリウム塩)2部、炭酸水素ナトリウム1部
を仕込み、窒素気流下、75℃に昇温した。過硫酸カリ
ウム0.135部を添加したのち、5分して、アクリル
酸ブチル(BA)100部およびメタクリル酸アリル
(AMA)0.5部よりなる単量体混合物のうち、4部
を仕込んだ。約数分で発熱が起こり、重合の開始が確認
された。最初の単量体混合物の仕込み後20分で、残り
の単量体混合物の連続添加を開始し、3時間20分の時
点で、その添加を終了したが、途中、2時間の時点で高
級脂肪酸セッケン1部を加え、2時間30分の時点で、
過硫酸カリウム0.015部を加えた。単量体混合物の
添加終了後、80℃へ昇温し、さらに1時間、同一温度
で重合を進めた。固形分濃度は39.5%、平均粒子径
は0.10μm、ゲル含有率は90%であった。 (2)グラフト共重合体の製造 A−1(2)と同様にして行った。
【0041】A−5; (1)ゴム質重合体の製造 A−1(1)において、ゴム質重合体のゲル含有率を3
0%とした。 (2)グラフト共重合体の製造 A−1(2)と同様にして行った。 A−6; (1)ゴム質重合体の製造 A−1(1)と同様に行った。 (2)グラフト共重合体の製造 A−1(2)において、ゴム質重合体ラテックスを無水
酢酸を用いて0.8μmに粒径肥大したものを用いた。
他は、A−1(2)と同様にして行った。
【0042】A−7; (1)ゴム質重合体の製造 A−1(1)と同様に行った。 (2)グラフト共重合体の製造 攪拌装置、加熱冷却装置、および各原料・助剤仕込み装
置を備えた容量5リットルの反応器に、上記ゴム質重合
体ラテックスを無水酢酸を用いて0.35μmに粒径肥
大させたものを、固形分として100部および脱イオン
水347部(ラテックス中の水分を含む)を仕込み、5
0℃に昇温した。昇温の途中40℃で、水20部に溶解
したピロリン酸ナトリウム1部、デキストローズ0.8
部および硫酸第1鉄0.01部と脱イオン水10.5部
の溶解したクメンハイドロパーオキサイド0.15部、
不均化ロジン酸カリウムセッケン0.54部、水酸化カ
リウム0.11部を添加した。50℃スチレン(St)
70部、アクリロニトリル(AN)30部、t−ドデシ
ルメルトフローレート1.1部を2時間45分かけて添
加した。また、50℃に達してから40分後から、クメ
ンハイドロパーオキサイド0.35部、不均化ロジン酸
カリウムセッケン1.26部、水酸化カリウム0.26
部、脱イオン水24.5部を2時間5分かけて添加し
た。そして、途中、50℃に達してから50分が経過し
た時点から20分かけて70℃に昇温した。そして、単
量体混合物などの添加終了後、さらに15分間反応を続
け、冷却して反応を終了した。このグラフト共重合体ラ
テックスに、老化防止剤2.5部を添加後、95℃に加
熱した硫酸マグネシウム水溶液中に攪拌しながら加えて
凝固させ、凝固物を水洗乾燥して白色粉末状のグラフト
共重合体を得た。
【0043】A−8; (1)ゴム質重合体の製造 A−1(1)と同様にして行った。 (2)グラフト共重合体の製造 攪拌装置、加熱冷却装置、および原料・助剤仕込み装置
を備えた容量5リットルの反応器に、上記ゴム質重合体
ラテックスを無水酢酸を用いて0.35μmに粒径肥大
させたものを、固形分として100部および脱イオン水
264.5部(ラテックス中の水分を含む)を仕込み、
70℃に昇温した。70℃に達した時点で、過硫酸カリ
ウム1.81部、スチレン(St)397部、アクリロ
ニトリル(AN)170部、テルペン混合物1.42
部、不均化ロジン酸カリウムセッケン10.2部、水酸
化カリウム2.49部、脱イオン水154部を、3時間
30分かけて添加した。添加終了後、さらに30分反応
を続けて反応を終了した。このグラフト共重合体ラテッ
クスに、老化防止剤2.5部を添加後、95℃に加熱し
た硫酸マグネシウム水溶液中に攪拌しながら加えて凝固
させ、凝固物を水洗乾燥して白色粉末状のグラフト共重
合体を得た。以上のまとめた結果を表1に示す。
【0044】グラフト共重合体(B)の製造 B−1;オートクレーブに、スチレン(St)225
部、アクリロニトリル(AN)81部およびポリブタジ
エンゴム51部を仕込んで、窒素気流下、内温を60℃
に昇温して攪拌しつつ、この温度に3時間保持し、ゴム
を単量体混合物に充分に分散させた。次いで、この溶液
に、ジ−t−ブチルパーオキサイド0.19部およびt
−ブチルパーアセテート0.06部、テルペン混合物
2.5部を加え、100℃で攪拌しつつ、窒素雰囲気下
で単量体の約30%が重合するまで塊状重合を行った。
次いで、この部分的に重合したシロップ状物285部
を、無水硫酸ナトリウム1.7部を溶解した脱イオン水
313部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホ
ルムアルデヒド縮合物0.9部および2−エチルヘキシ
ルアクリレートとアクリル酸の共重合体からなる懸濁剤
の5%水溶液18.5部と混合した。懸濁物を約2時間
にわたって攪拌し、約135℃まで加熱した。その後、
約3時間で内温を140℃まで昇温した。重合系に消泡
剤を添加し、オートクレーブの内圧6.5kg/cm2
で凝縮器を経てゆっくり排気し、内温が140℃になっ
たときから、未反応単量体のストリッピングを開始し、
約3時間続けた。この間、水約49部、単量体27.5
部が回収された。重合を終了したのち、懸濁物を冷却
し、脱水、洗浄、乾燥して小球形状のビーズを回収し
た。
【0045】B−2;グラフト共重合体(A)のA−7
と同様にして行った。 B−3;グラフト共重合体(A)のA−7(2)におい
て、スチレン(St)20部、アクリロニトリル(A
N)80部とした以外は、A−6と同様にして行った。
以上まとめた結果を表2に示す。
【0046】共重合体(C)の製造 C−1;加熱冷却装置、湾曲タービン型攪拌装置、温度
計、原料・助剤添加装置を備えたステンレス製オートク
レーブに、次に示す原料・助剤を仕込み、重合系内を窒
素ガスで置換した。
【0047】攪拌しながら、重合槽内温度を105℃に
昇温し、少量のスチレンに溶解したジ−t−ブチルパー
オキサイド0.01部を添加し、同温度で重合反応を開
始した。重合を開始してから直ちに、重合系の温度を1
24℃まで昇温し、124℃で12分間保持したのち、
1時間20分かけて149℃に昇温した。重合を開始し
てから、2時間5分後、重合系の温度を145℃に維持
しながら、さらに1時間ストリッピングを行った。この
ストリッピングを終えた懸濁系を降温冷却し、ろ別、水
洗、乾燥して、ビーズ状の共重合体を得た。共重合体の
アクリロニトリル含有量は、30%であった。
【0048】C−2;加熱冷却装置、湾曲タービン型攪
拌装置、温度計、原料・助剤添加装置を備えたステンレ
ス製オートクレーブに、次に示す原料・助剤を仕込み、
重合系内を窒素ガスで置換した。
【0049】攪拌しながら、重合槽内温度を105℃に
昇温し、少量のスチレンに溶解したジ−t−ブチルパー
オキサイド0.035部を添加し、同温度で重合反応を
開始した。重合を開始してから直ちに、重合系の温度を
124℃まで昇温し、124℃で50間保持したのち、
2時間20分かけて重合系にスチレン23部を添加しつ
つ、系を145℃に昇温した。重合を開始してから、3
時間30分後、スチレンの重合系への連続添加を終了
し、重合系の温度を145℃に維持しながら、さらに2
時間30分、ストリッピングを行った。このストリッピ
ングを終えた懸濁系を降温冷却し、ろ別、水洗、乾燥し
て、ビーズ状の共重合体を得た。共重合体のアクリロニ
トリル含有量は、35%であった。
【0050】C−3;C−2において、オートクレーブ
内に仕込むスチレンを3部、アクリロニトリルを70
部、テルペン混合物を0.6部とし、連続添加のスチレ
ンを27部としが以外は、C−1と同様にして行った。
共重合体のアクリロニトリル含有量は、69.9%であ
った。以上まとめた結果を表3に示す。
【0051】実施例1〜7 上記グラフト共重合体(A)、グラフト共重合体(B)
および共重合体(C)を、表4〜5に記載した割合で混
合し、バンバリーミキサーで混練りし、ペレット化し
た。このペレットを用い、射出成形機によって物性測定
用のテストピースを成形するとともに、押し出し成形に
よって、厚さ2mmのシートを製造し、このシートか
ら、真空成形を実施した。結果を表4〜5に示す。
【0052】比較例1〜8 上記グラフト共重合体(A)、グラフト共重合体(B)
および共重合体(C)を、表6〜7に記載した割合で混
合し、バンバリーミキサーで混練りし、ペレット化し
た。このペレットを用い、射出成形機によって物性測定
用のテストピースを成形するとともに、押し出し成形に
よって、厚さ2mmのシートを製造し、このシートか
ら、真空成形を実施した。結果を表6〜7に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
【表7】
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、真空成形時の“ヒケ”
性、すなわち転写性がよく、肉厚分布も良好なABS樹
脂系の熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田尻 敏之 東京都千代田区丸の内二丁目5番2号 三 菱化学株式会社内 (72)発明者 清水 功 東京都千代田区丸の内二丁目5番2号 三 菱化学株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム質重合体ラテックスの存在下に、芳
    香族ビニル単量体40〜90重量%、シアン化ビニル単
    量体10〜60重量%および共重合可能な他のビニル系
    単量体0〜20重量%(ただし、芳香族ビニル単量体+
    シアン化ビニル単量体+他のビニル系単量体=100重
    量%)からなる単量体成分を乳化グラフト重合させて得
    られるグラフト共重合体(A)と、ゴム質重合体の存在
    下に、芳香族ビニル単量体40〜90重量%、シアン化
    ビニル単量体10〜60重量%および共重合可能な他の
    ビニル系単量体0〜20重量%(ただし、芳香族ビニル
    単量体+シアン化ビニル単量体+他のビニル系単量体=
    100重量%)からなる単量体成分をグラフト重合させ
    て得られるグラフト共重合体(B)〔ただし、グラフト
    共重合体(A)を除く〕、ならびに芳香族ビニル単量体
    40〜90重量%、シアン化ビニル単量体10〜60重
    量%および共重合可能な他のビニル系単量体0〜20重
    量%(ただし、芳香族ビニル単量体+シアン化ビニル単
    量体+他のビニル系単量体=100重量%)からなる単
    量体成分を重合させて得られる共重合体(C)を主成分
    とし、かつ下記の条件〜を充足することを特徴とす
    る真空成形用樹脂組成物。 グラフト共重合体(A)のゴム質重合体ラテックス中
    のゴム質重合体が、ゲル含有率50重量%以上のもので
    あること。 グラフト共重合体(A)のゴム質重合体ラテックス中
    のゴム質重合体が、重量平均粒子径0.1〜0.65μ
    mのものであること。 グラフト共重合体(A)を常温でアセトン抽出に付し
    たときの可溶分が、数平均分子量8万以上のものである
    こと。 樹脂組成物の、150〜170℃の温度範囲で2軸伸
    長流動特性値λmax(ここで、λmaxは、2軸伸長
    流動において、伸長比λが1〜5の範囲で、公称応力が
    最大値を示す伸長比を表す指標であり、試験速度とし
    て、一定歪速度dε/dt=0.3s-1を与えたときの
    実験値である)が、式 λmax>1.6 の範囲であること。 樹脂組成物の、150〜170℃の温度範囲で2軸伸
    長流動時の公称応力最大値(σmax)が、式 σmax<450kPa の範囲にあること。 グラフト共重合体(A)、グラフト共重合体(B)お
    よび共重合体(C)を、下記式(I)および(II) の組
    成比率で含むこと。 0.2≦グラフト共重合体(A)からのゴム質重合体/〔グラフト共重合体( A)およびグラフト共重合体(B)からのゴム質重合体〕≦1.0 ・・・・式(I) 0.05<〔グラフト共重合体(A)およびグラフト共重合体(B)からのゴ ム質重合体〕/〔グラフト共重合体(A)+グラフト共重合体(B)+共重合体 (C)〕<0.40 ・・・・式(II)
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002105276A (ja) * 2000-09-29 2002-04-10 Nippon A & L Kk ゴム変性熱可塑性樹脂成形体
JP2002201329A (ja) * 2000-12-21 2002-07-19 Cheil Industries Inc 耐薬品性と真空成形性が優れる熱可塑性樹脂組成物
JP4727831B2 (ja) * 2001-02-28 2011-07-20 日本エイアンドエル株式会社 車両外装用樹脂組成物および車両外装用部品

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