JP4860161B2 - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 Download PDF

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Description

本発明は、ポリエステル/スチレン系樹脂アロイの熱可塑性樹脂組成物およびその成形品に関する。
ポリエステルの耐衝撃性が改善された、ポリエステル/スチレン系樹脂アロイの熱可塑性樹脂組成物は、従来よりオフィス家具、OA機器等幾多の産業分野において用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。しかしながら、結晶性のポリエステルを使用した場合などにおいては、ポリエステルのガラス転移温度が低いため、結晶化度の低い成形品では、耐熱性を維持しつつ、耐衝撃性を改善することは困難であった。そのため、成形時の離型性、成形品の輸送時や組み付け後の実用耐熱に問題があった。
特許第2134110号公報 特開平3−47852号公報
本発明は、耐熱性を損なうことなく、ポリエステル/スチレン系樹脂アロイからなる成形品の耐衝撃性を改善することを課題とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)ポリエステル樹脂40〜60質量部と、(B)変性スチレン系樹脂40〜60質量部と[(A)ポリエステル樹脂と(B)変性スチレン系樹脂との合計100質量部]、(A)ポリエステル樹脂と(B)変性スチレン系樹脂との合計100質量部に対して、1〜50質量部の(C)タルクとを含有し、前記(B)変性スチレン系樹脂が、(b−1)膨潤度10〜80、質量平均粒子径100〜600nmのゴム状重合体40〜80質量部の存在下に、芳香族ビニル系単量体50〜90質量%、シアン化ビニル系単量体10〜50質量%および他のビニル系単量体0〜40質量%からなる単量体混合物20〜60質量部[ゴム状重合体および単量体混合物の合計100質量部]をグラフト重合したグラフト重合体30〜80質量%と、(b−2)芳香族ビニル系単量体65〜90質量%、シアン化ビニル系単量体10〜35質量%および他のビニル系単量体0〜20質量%を共重合した共重合体0〜50質量%と、(b−3)メタクリル酸4質量%、芳香族ビニル系単量体50〜90質量%、シアン化ビニル系単量体10〜46質量%および他のビニル系単量体0〜20質量%を共重合した、数平均分子量(Mn)35000〜60000、質量平均分子量(Mw)70000〜200000、分子量分布(Mw/Mn)2.0〜3.0[ここで、(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体の分子量は、ゲル・パーミェーション・クロマトグラフィーを用いて測定された、標準ポリスチレン換算の値である。]の不飽和カルボン酸変性共重合体2〜20質量%とからなる[(b−1)グラフト重合体、(b−2)共重合体および(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体の合計100質量%]ことを特徴とするものである。
ここで、前記(A)ポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)ポリエステル樹脂と(B)変性スチレン系樹脂との合計100質量部に対して、0.5〜15質量部の酸化チタンをさらに含有することが望ましい。
また、本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形したものである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、耐熱性を損なうことなく、ポリエステル/スチレン系樹脂アロイからなる成形品の耐衝撃性を改善することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<(A)ポリエステル樹脂>
本発明における(A)ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の結晶性ポリエステル樹脂;シクロヘキサンジメタノール成分を含む非晶質ポリエチレンテレフタレート(非晶質PET);ポリカーボネート(PC)などが挙げられる。また、これらポリエステル樹脂は、新品、再生品、およびそのブレンド品であっても良い。
これらの中でも、汎用性、リサイクル樹脂の入手の容易さ、および再利用性の点で、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
<(B)変性スチレン系樹脂>
本発明における(B)変性スチレン系樹脂は、(b−1)グラフト重合体30〜80質量%、(b−2)共重合体0〜50質量%、および(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体2〜20質量%の混合物である[(b−1)グラフト重合体、(b−2)共重合体および(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体の合計100質量%]。
((b−1)グラフト重合体)
(b−1)グラフト重合体は、ゴム状重合体の存在下に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、および必要に応じて他のビニル系単量体からなる単量体混合物をグラフト重合したものである。
ゴム状重合体としては、従来公知のいかなるものも使用でき、例えば、ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン、クロロプレン、シクロペンタジエンなどの共役ジエンからなる共役ジエンゴム;ブタジエン−スチレンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、アクリル系ゴム、プロピレン系ゴム、シリコンゴムなどが挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用してもかまわない。
ゴム状重合体の膨潤度は、10〜80であり、好ましくは40〜80であり、より好ましくは60〜80である。ゴム状重合体の膨潤度が10未満では、得られる成形品の表面外観が悪化し、かつ耐衝撃性が劣る。ゴム状重合体の膨潤度が80を超えると、得られる成形品の耐衝撃性を確保しにくい。
ここで、ゴム状重合体の膨潤度は、以下のようにして算出される。
ゴム質重合体(a)を含むラテックスを凝固、乾燥させた後、ゴム質重合体(a)をトルエンに室温(23℃)で20時間溶解させ、次いで、100メッシュ金網で不溶分を分取した直後に膨潤状態の不溶分量Ws(g)を測定し、ついで、不溶分を60℃にて24時間乾燥して、乾燥不溶分量Wg(g)を測定し、下記式で算出する。
膨潤量(倍)=Ws/Wg
ゴム状重合体の質量平均粒子径は、100〜600nmであり、好ましくは、150〜500nmであり、より好ましくは200〜400nmである。ゴム状重合体の質量平均粒子径が100nm未満では、得られる成形品の耐衝撃性が劣り、ゴム状重合体の質量平均粒子径が600nmを超えると、得られる成形品の耐衝撃性を確保しにくい。
ここで、ゴム状重合体の質量平均粒子径は、グラフト重合前であれば、光学的な方法で測定することができる。また、グラフト重合した後は、染色剤によりゴム質重合体を染色した後に透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて平均粒子径を算出することができる。
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン、o,p−ジクロロスチレンなどが挙げられる。中でも、剛性、耐衝撃強度等の物性面からスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。これら芳香族ビニル系単量体は、単独で用いても、2種以上を併用してもかまわない。
芳香族ビニル系単量体の量は、単量体混合物(100質量%)中、50〜90質量%である。芳香族ビニル系単量体の量が50質量%未満では、熱可塑性樹脂組成物の流動性が劣り、芳香族ビニル系単量体の量が90質量%を超えると、得られる成形品の耐衝撃性が劣る。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
シアン化ビニル系単量体の量は、単量体混合物(100質量%)中、10〜50質量%である。シアン化ビニル系単量体の量が10質量%未満では、得られる成形品の耐衝撃性が劣り、シアン化ビニル系単量体の量が50質量%を超えると、熱可塑性樹脂組成物の流動性が劣る。
他のビニル系単量体とは、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体と共重合可能な単量体であり、このような単量体としては、メタアクリル酸メチル、グリシジルメタクリレート、n−フェニルマレイミド、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリルアミド、ビニルアルコールなどが挙げられる。
他のビニル系単量体の量は、単量体混合物(100質量%)中、0〜40質量%である。他のビニル系単量体の量が40質量%を超えると、得られる成形品の耐衝撃性の低下を招く。
(b−1)グラフト重合体は、ゴム状重合体40〜80質量部の存在下に、単量体混合物20〜60質量部をグラフト重合したものである[ゴム状重合体および単量体混合物の合計100質量部]。ゴム状重合体が40質量部未満では、得られる成形品の耐衝撃性が低下し、ゴム状重合体が80質量部を超えると、グラフトする単量体が不足するため、やはり得られる成形品の耐衝撃性が低下する。
(b−1)グラフト重合体のアセトン可溶分の質量平均分子量は、好ましくは20000〜600000である。(b−1)グラフト重合体のアセトン可溶分の質量平均分子量が20000未満では、得られる成形品の耐衝撃性が不十分となるおそれがあり、(b−1)グラフト重合体のアセトン可溶分の質量平均分子量が600000を超えると、熱可塑性樹脂組成物の流動性が低下するおそれがある。
ここで、(b−1)グラフト重合体のアセトン可溶分の質量平均分子量は、ゲル・パーミェーション・クロマトグラフィーを用いて測定された、標準ポリスチレン換算の値である。
(b−1)グラフト重合体のグラフト率は、好ましくは40%以上であり、より好ましくは50%以上である。(b−1)グラフト重合体のグラフト率が40%未満では、得られる成形品の耐衝撃性が不十分となるおそれがある。
ここで、(b−1)グラフト重合体のグラフト率は、(アセトン不溶分質量/ゴム質重合体の質量−1)×100として算出される。なお、グラフトしている共重合体は、ゴム質重合体の外部のみならず内部にオクルードした構造であってもよい。
(B)変性スチレン系樹脂中の(b−1)グラフト重合体の含有量は、(b−1)グラフト重合体、(b−2)共重合体および(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体の合計100質量%中、30〜80質量%である。(b−1)グラフト重合体が30質量%未満では、得られる成形品の耐衝撃性が低下し、(b−1)グラフト重合体が80質量%を超えると、熱可塑性樹脂組成物の流動性が低下する。
(b−1)グラフト重合体の製造方法に関しては特に制限はなく、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、またこれらの組み合わせ等による公知の方法が用いられる。
得られた生成物は、乳化重合にあっては酸もしくは塩により、所定の温度にて凝固、脱水、乾燥した後、また懸濁重合にあっては固液分離、乾燥した後、また塊状重合にあっては未反応単量体もしくは溶剤を蒸発して、重合体を溶融、押出しした後、所定の処方にて混合、溶融して用いる。
例えば、ゴム質重合体ラテックスおよび単量体混合物の所定量を合計で100質量部となるように用い、オートクレーブ中にこれらを仕込み、水を加え、クメンハイドロパーオキサイド、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウムおよびデキストローズからなるレドックス系開始剤の一部(好ましくはその全量に対する質量比にて0.3〜0.8)を、反応開始時にゴム質重合体ラテックスに一括して加えるとともに、反応開始時から少なくとも1時間、かつ単量体混合物およびクメンハイドロパーオキサイドの添加時間よりも30分以上長い時間にわたって連続的に滴下し、乳化重合を行うことができる。
レドックス系開始剤としては、油溶性の有機過酸化物が好ましく、通常の場合、硫酸第一鉄−キレート剤−還元剤の組み合わせで使用される。油溶性開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ターシャリブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物が好ましい。特に、クメンハイドロパーオキサイド、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウムおよびデキストローズからなるものが好ましい。
乳化重合を終了して得られたグラフト重合体には、必要に応じて酸化防止剤を添加する。ついで、前記した様に、得られたグラフト重合体から樹脂固形物を析出させる。この場合、析出剤としては、例えば、硫酸、酢酸、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の水溶液を単独で、または併用して用いることができる。析出剤を添加したグラフト重合体ラテックスは、加熱、攪拌した後、析出物を分離し、これを水洗、脱水、乾燥することによりグラフト重合体を得る。
((b−2)共重合体)
(b−2)共重合体は、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、および必要に応じて他のビニル系単量体を共重合したものである。
芳香族ビニル系単量体としては、(b−1)グラフト重合体で例示したものと同様な単量体を用いることができる。
芳香族ビニル系単量体の量は、全単量体(100質量%)中、65〜90質量%である。芳香族ビニル系単量体の量が65質量%未満では、熱可塑性樹脂の流動性が低下し、芳香族ビニル系単量体の量が90質量%を超えると、得られる成形品の耐衝撃性が低下する。
シアン化ビニル系単量体としては、(b−1)グラフト重合体で例示したものと同様な単量体を用いることができる。
シアン化ビニル系単量体の量は、全単量体(100質量%)中、10〜35質量%である。シアン化ビニル系単量体の量が10質量%未満では、得られる成形品の耐衝撃性が低下し、シアン化ビニル系単量体の量が35質量%を超えると、熱可塑性樹脂の流動性が低下する。
他のビニル系単量体としては、(b−1)グラフト重合体で例示したものと同様な単量体を用いることができる。
他のビニル系単量体の量は、全単量体(100質量%)中、0〜20質量%である。他のビニル系単量体が20質量%を超えると、得られる成形品の耐衝撃性が低下する。
(b−2)共重合体の数平均分子量(Mn)は、好ましくは20000〜100000であり、質量平均分子量は(Mw)、好ましくは50000〜200000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.7〜3.0である。(b−2)共重合体の分子量および分子量分布が、上記範囲にあれば、得られる成形品の耐衝撃性と、熱可塑性樹脂組成物の流動性とのバランスに優れる。
ここで、(b−2)共重合体の分子量は、ゲル・パーミェーション・クロマトグラフィーを用いて測定された、標準ポリスチレン換算の値である。
(B)変性スチレン系樹脂中の(b−2)共重合体の含有量は、(b−1)グラフト重合体、(b−2)共重合体および(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体の合計100質量%中、0〜50質量%である。(b−2)共重合体が50質量%を超えると、得られる成形品の耐衝撃性を確保しにくくなる。
(b−2)共重合体の製造方法に関しては特に制限はなく、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、またこれらの組み合わせ等による公知の方法が用いられる。
得られた生成物は、乳化重合にあっては酸もしくは塩により、所定の温度にて凝固、脱水、乾燥した後、また懸濁重合にあっては固液分離、乾燥した後、また塊状重合にあっては未反応単量体もしくは溶剤を蒸発して、重合体を溶融、押出しした後、所定の処方にて混合、溶融して用いる。
また、(b−2)共重合体の製造は、(b−1)グラフト重合体の例において、ゴム質重合体ラテックスの非存在下で単量体混合物100部を重合することによっても行うことができる。なお、重合した後についても同様であるが、ゴム成分が存在しないため、酸化防止剤は特に配合する必要はない。
((b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体)
(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体は、不飽和カルボン酸単量体、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、および必要に応じて他のビニル系単量体を共重合したものである。
不飽和カルボン酸単量体としては、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、桂皮酸などが挙げられる。中でも、耐衝撃性の点で、メタクリル酸、アクリル酸が好ましく、特にメタクリル酸が好適である。
不飽和カルボン酸単量体の量は、全単量体(100質量%)中、2〜8質量%であり、好ましくは3〜8質量%であり、より好ましくは4〜6質量%である。不飽和カルボン酸単量体の量が上記範囲にあれば、耐熱性を損なうことなく、ポリエステル/スチレン系樹脂アロイからなる成形品の耐衝撃性を著しく向上させることができる。
芳香族ビニル系単量体としては、(b−1)グラフト重合体で例示したものと同様な単量体を用いることができる。
芳香族ビニル系単量体の量は、全単量体(100質量%)中、50〜90質量%である。芳香族ビニル系単量体の量が50質量%未満では、熱可塑性樹脂組成物の流動性が劣り、芳香族ビニル系単量体の量が90質量%を超えると、得られる成形品の耐衝撃性が劣る。
シアン化ビニル系単量体としては、(b−1)グラフト重合体で例示したものと同様な単量体を用いることができる。
シアン化ビニル系単量体の量は、全単量体(100質量%)中、10〜46質量%である。シアン化ビニル系単量体の量が10質量%未満では、得られる成形品の耐衝撃性が劣り、シアン化ビニル系単量体の量が46質量%を超えると、熱可塑性樹脂組成物の流動性が低下し、かつ熱安定性が低下する。
他のビニル系単量体としては、(b−1)グラフト重合体で例示したものと同様な単量体を用いることができる。
他のビニル系単量体の量は、全単量体(100質量%)中、0〜20質量%である。他のビニル系単量体が20質量%を超えると、得られる成形品の耐衝撃性を確保しにくくなる。
(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体の数平均分子量(Mn)は、好ましくは35000〜60000である。(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体の数平均分子量が、上記範囲にあれば、耐衝撃性や流動性が得られる。
(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは70000〜200000、より好ましくは80000〜150000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは2.0〜3.0、より好ましくは2.3〜2.9である。(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体の分子量および分子量分布が、上記範囲にあれば、耐衝撃性、流動性、耐薬品性のバランスが特に優れる。
ここで、(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体の分子量は、ゲル・パーミェーション・クロマトグラフィーを用いて測定された、標準ポリスチレン換算の値である。
(B)変性スチレン系樹脂中の(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体の含有量は、(b−1)グラフト重合体、(b−2)共重合体および(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体の合計100質量%中、2〜20質量%であり、好ましくは5〜20質量%であり、より好ましくは7〜19質量%である。(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体の含有量が上記範囲にあれば、耐熱性を損なうことなく、ポリエステル/スチレン系樹脂アロイからなる成形品の耐衝撃性を著しく向上させることができる。
(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体の製造方法に関しては特に制限はなく、先の(b−2)共重合体と同様な方法にて製造できる。
<(C)タルク>
本発明における(C)タルクは、耐熱性を損なうことなく、ポリエステル/スチレン系樹脂アロイからなる成形品の耐衝撃性を著しく向上させるものである。
(C)タルクとしては、市販のタルクを用いることができ、その平均粒子径等は、特に限定されない。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)ポリエステル樹脂と、(B)変性スチレン系樹脂と、(C)タルクとを含有するものである。
(A)ポリエステル樹脂の含有量は、(A)ポリエステル樹脂と(B)変性スチレン系樹脂との合計100質量部中、40〜60質量部である。(A)ポリエステル樹脂が40質量部未満では、得られる成形品の耐熱性が低下し、(A)ポリエステル樹脂が60質量部を超えると、得られる成形品の耐衝撃性が低下する。
(B)変性スチレン系樹脂の含有量は、(A)ポリエステル樹脂と(B)変性スチレン系樹脂との合計100質量部中、40〜60質量部である。(B)変性スチレン系樹脂が40質量部未満では、得られる成形品の耐衝撃性が低下し、(B)変性スチレン系樹脂が60質量部を超えると、得られる成形品の耐熱性が低下する。
(C)タルクの添加量は、(A)ポリエステル樹脂と(B)変性スチレン系樹脂との合計100質量部に対して、1〜50質量部であり、好ましくは5〜15質量部である。(C)タルクが1質量部未満では、得られる成形品の耐熱性や剛性が低下し、(C)タルクが50質量部を超えると、得られる成形品の耐衝撃性が低下する。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、ゴム質重合体の含有量が、熱可塑性樹脂組成物(100質量%)中、6〜35質量%となるように、(B)変性スチレン系樹脂の配合量を調整することが好ましい。ゴム質重合体の含有量が6質量%未満では、得られる成形品の衝撃強度が不十分となるおそれがあり、ゴム質重合体の含有量が35質量%を超えると。熱可塑性樹脂組成物の流動性、および得られる成形品の機械的強度が低下するおそれがある。ここで、熱可塑性樹脂組成物のゴム質重合体の含有量の測定は、熱可塑性樹脂組成物を熱プレスにて薄いフィルムにした後、FT赤外分光光度計により測定される。
本発明においては、特に、(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体の不飽和カルボン酸がメタクリル酸であり、(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体に用いられるメタクリル酸の量が3〜8質量%であり、(B)変性スチレン系樹脂中の(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体の含有量が7〜19質量%であり、(C)タルクの添加量が5〜15質量部である熱可塑性樹脂組成物によれば、耐熱性および耐衝撃性の向上効果が著しく、バランスに優れた成形品を得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上記成分のほかに、所望に応じ公知の熱安定剤、滑剤、離型剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、造核剤などを添加することができる。また、ガラス繊維、カーボン繊維、炭酸カルシウムなどを添加して補強することもできる。これら他の成分の量は、(A)ポリエステル樹脂と(B)変性スチレン系樹脂との合計100質量部に対して、0〜50質量部である。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、酸化チタンを添加することができる。本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、(A)ポリエステル樹脂の結晶部と非晶部とで色目が異なるために、成形品に色むらが生じやすいが、酸化チタンの隠蔽効果により色むらを抑えることができる。酸化チタンの添加量は、(A)ポリエステル樹脂と(B)変性スチレン系樹脂との合計100質量部に対して、0.5〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、例えば、(A)ポリエステル樹脂、(B)変性スチレン系樹脂、(C)タルク、および必要に応じて他の成分を所定の割合で、ヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、タンブラーなどの混合装置で混合し、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、コニーダー、ロールなどの溶融混練装置を用いて溶融混練することにより得ることができる。なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、このような製造方法に限定されない。
<成形品>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形、シート成形、真空成形などの通常の成形方法によって、各種成形品に成形することができる。
成形品としては、従来、ABS樹脂もしくはHIPSが使用されていた部品、例えば、各種事務用品の部品、各種OA機器のハウジング等が挙げられる。
以上説明した本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、(b−1)グラフト重合体を構成するゴム状重合体として、特定範囲の膨潤度および質量平均粒子径を有するものを用い、(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体として、特定量の不飽和カルボン酸単量体を含む単量体を共重合したものを用い、さらに特定量の(C)タルクを用いることによって、耐熱性を損なうことなく、耐衝撃性が著しく向上した成形品を得ることができる。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、一定範囲の粒子径、一定範囲の分子量を有する(B)変性スチレン系樹脂を添加することで流動性、耐衝撃性に優れ、また、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品は、変性量が一定範囲の(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体を一定範囲で配合される(B)変性スチレン系樹脂を用いることにより、(A)ポリエステル樹脂と(B)変性スチレン系樹脂との相溶性の向上に寄与する微細構造を有するため、両者の特性を発現でき、特に耐薬品性にも優れる。
以下、製造例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。本発明は何らこれら実施例に限定されるものではない。
各成分の物性は以下のようにして測定した。
[ゴム状重合体の膨潤度]
ゴム状重合体の膨潤度は、以下のようにして求めた。
ポリブタジエンラテックスを酸により凝固、乾燥した後、秤量し、トルエンに室温23℃で20時間溶解させ、次いで、100メッシュ金網で不溶分を分取した直後に膨潤状態の不溶分量Ws(g)を測定した。その後、不溶分を60℃にて24時間乾燥して、乾燥不溶分量Wg(g)を測定して、下記式から膨潤量を算出した。
膨潤量(倍)=Ws/Wg
[ゴム状重合体の質量平均粒子径]
ゴム状重合体の質量平均粒子径は、以下のようにして求めた。
ポリブタジエンラテックスを一定濃度に希釈し、分光光度計であるスペクトロニック20(ミルトンロイ製)を用いて吸光度を測定し、この吸光度と平均粒子径の換算表(回帰式)から質量平均粒子径求めた。
[グラフト重合体のグラフト率]
グラフト重合体のグラフト率は、以下のようにして求めた。
まず、グラフト重合体中のゴム含有率をFT赤外分光光度系(堀場製作所製)にて測定し、次いで、秤量したグラフト重合体をアセトンに溶解し、アセトン不溶分を抽出して乾燥質量を測定した。次いで、下記式からグラフト率(ゴム質重合体にグラフトしている単量体量)を求めた。
(アセトン不溶分の質量/ゴム質重合体の質量−1)×100
[グラフト重合体のアセトン可溶分の質量平均分子量]
グラフト重合体のアセトン可溶分の質量平均分子量は、以下のようにして求めた。
先のグラフト率を求める際に入手したアセトン可溶分の溶液から溶剤を除去し残った固形物をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、このTHF溶液を試料として用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC、東ソー製 HLC8020)を用いて測定し、標準ポリスチレン換算法にて算出した。
[共重合体および不飽和カルボン酸変性共重合体の数平均分子量および質量平均分子量]
共重合体および不飽和カルボン酸変性共重合体の数平均分子量および質量平均分子量は、以下のようにして求めた。
共重合体をTHFに溶解させたサンプルについて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC、東ソー製 HLC8020)を用いて測定し、標準ポリスチレン換算法にて算出した。
[(b−1)グラフト重合体の製造]
オートクレーブに、蒸留水190質量部、乳化剤(不均化ロジン酸カリウム)1質量部、水酸化カリウム0.03質量部、ポリブタジエン(膨潤度77、質量平均粒子径310nm)50質量部を仕込み、60℃に加熱した後、硫酸第一鉄0.007質量部、ピロリン酸ナトリウム0.1質量部、結晶ブドウ糖0.3質量部を添加し、60℃に保持したまま、スチレン37.5質量部、アクリロニトリル12.5質量部、クメンハイドロパーオキサイド0.3質量部、t−ドデシルメルカプタン0.04質量部を2時間かけて連続添加し、その後70℃に昇温して1時間保って反応させを、グラフト重合体(b−1)−1を得た。グラフト重合体(b−1)−1のグラフト率は67%であり、アセトン可溶分の質量平均分子量Mwは380000であった。
[(b−2)共重合体の製造]
ステンレス容器に純水200質量部、過硫酸カリウム0.3質量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2質量部を仕込み、攪拌下に65℃に昇温した。これに、スチレン74質量部、アクリロニトリル26質量部およびt−ドデシルメルカプタン0.5質量部からなる単量体混合物を5時間にわたって連続的に加えた後、反応系の温度を70℃に昇温し、この温度で1時間熟成して重合を完結した。その後、塩化カルシウムを用いて塩析、脱水、乾燥して、共重合体(b−2)−1を得た。共重合体(b−2)−1の数平均分子量Mnは63000であり、質量平均分子量Mwは115000であり、分子量分布Mw/Mnは1.8であった。
[(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体の製造]
(メタクリル酸変性共重合体(b−3)−2の製造)
ステンレス容器に純水200質量部、過硫酸カリウム0.3質量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2質量部を仕込み、攪拌下に65℃に昇温した。これに、スチレン74質量部、アクリロニトリル25質量部、メタクリル酸1質量部およびt−ドデシルメルカプタン0.5質量部からなる単量体混合物を5時間にわたって連続的に加えた後、反応系の温度を70℃に昇温し、この温度で1時間熟成して重合を完結した。その後、塩化カルシウムを用いて塩析、脱水、乾燥して、不飽和カルボン酸変性共重合体、すなわち、メタクリル酸変性共重合体(b−3)−2を得た。メタクリル酸変性共重合体(b−3)−2の数平均分子量Mnは54000であり、質量平均分子量Mwは113000であり、分子量分布Mw/Mnは2.1であった。
(メタクリル酸変性共重合体(b−3)−3の製造)
上記メタクリル酸変性共重合体(b−3)−2の製造において、単量体混合物として、スチレン73質量部、アクリロニトリル24質量部、メタクリル酸3質量部およびt−ドデシルメルカプタン0.5質量部からなる単量体混合物を用いた以外は、上記と同様にして、メタクリル酸変性共重合体(b−3)−3を得た。メタクリル酸変性共重合体(b−3)−3の数平均分子量Mnは51000であり、質量平均分子量Mwは121000であり、分子量分布Mw/Mnは2.4であった。
(メタクリル酸変性共重合体(b−3)−4の製造)
上記メタクリル酸変性共重合体(b−3)−2の製造において、単量体混合物として、スチレン71質量部、アクリロニトリル24質量部、メタクリル酸5質量部およびt−ドデシルメルカプタン0.5質量部からなる単量体混合物を用いた以外は、上記と同様にして、メタクリル酸変性共重合体(b−3)−4を得た。メタクリル酸変性共重合体(b−3)−4の数平均分子量Mnは46000であり、質量平均分子量Mwは114000であり、分子量分布Mw/Mnは2.5であった。
(メタクリル酸変性共重合体(b−3)−5の製造)
上記メタクリル酸変性共重合体(b−3)−2の製造において、単量体混合物として、スチレン69質量部、アクリロニトリル23質量部、メタクリル酸8質量部およびt−ドデシルメルカプタン0.5質量部からなる単量体混合物を用いた以外は、上記と同様にして、メタクリル酸変性共重合体(b−3)−5を得た。メタクリル酸変性共重合体(b−3)−5の数平均分子量Mnは39000であり、質量平均分子量Mwは110000であり、分子量分布Mw/Mnは2.8であった。
(メタクリル酸変性共重合体(b−3)−6の製造)
上記メタクリル酸変性共重合体(b−3)−2の製造において、単量体混合物として、スチレン67.5質量部、アクリロニトリル22.5質量部、メタクリル酸10質量部およびt−ドデシルメルカプタン0.5質量部からなる単量体混合物を用いた以外は、上記と同様にして、メタクリル酸変性共重合体(b−3)−6を得た。メタクリル酸変性共重合体(b−3)−6の数平均分子量Mnは35000であり、質量平均分子量Mwは114000であり、分子量分布Mw/Mnは3.3であった。
(メタクリル酸変性共重合体(b−3)−7の製造)
上記メタクリル酸変性共重合体(b−3)−2の製造において、単量体混合物として、スチレン60質量部、アクリロニトリル20質量部、メタクリル酸20質量部およびt−ドデシルメルカプタン0.5質量部からなる単量体混合物を用いた以外は、上記と同様にして、メタクリル酸変性共重合体(b−3)−7を得た。メタクリル酸変性共重合体(b−3)−7の数平均分子量Mnは18000であり、質量平均分子量Mwは67000であり、分子量分布Mw/Mnは3.7であった。
[(A)ポリエステル樹脂]
(A)ポリエステル樹脂(A)として、クラレ(株)製、ポリエチレンテレフタレート樹脂、KS750RC(Mn=25000)を用いた。
[(C)タルク]
(C)タルクとして、富士タルク株式会社製、TP−A25(平均粒子径=5μm)を用いた。
参考例1、実施例2、参考例3、実施例4、比較例1〜4]
上記各成分を、表1に示す割合でV型ブレンダーで均一に混合した。得られた混合物を44mm径の2軸押出機にて、バレル温度260℃で溶融混練し、ダイスから吐出されるスレッドを切断して成形用ペレットを得た。このペレットを、試験片金型を取り付けた5オンスの射出成形機にて、シリンダー温度260℃、金型温度50℃、射出圧力100kg/cm2 、冷却時間30秒の成形条件で成形して試験片を得た。
得られた試験片にて、各特性の評価を行った。結果を表1に示す。
また、熱可塑性樹脂組成物のゴム質重合体、アクリロニトリルおよびスチレン含有量は、熱プレスにて薄いフィルムにした後、FT赤外分光光度計(堀場製作所製)により測定した。
Figure 0004860161
物性および特性評価は下記の方法にて測定した。
[耐衝撃性]
ISO179により、シャルピー衝撃強さ試験機(東洋精器工業製)を用いて、4mm厚みノッチ付きシャルピー衝撃強さを測定した。
[流動性]
スパイラルフロー金型(幅15mm×厚さ2mm)を用いて、75トン射出成形機(日本製鋼所(株)製「JSW75EII−P」)にて、シリンダー温度260℃、金型温度80℃、圧力7.4MPaの条件でスパイラルフロー長[mm]を測定した。
[耐熱性]
ISO75、荷重1.83MPa(フラットワイズ)により、荷重加重たわみ温度を試験機(安田精機製作所製)を用いて測定した。
[耐薬品性]
射出成形にて作製した短冊状試験片(150mm×10mm×2mm)をベンディングフォーム法試験治具に沿わして固定後、試験片に薬液を塗布し、23℃の環境下で48時間放置後、クレーズおよびクラックの発生の有無を確認し、試験治具の曲率から限界歪み[%]を求めた。薬液としては、トイレパワーズ(エステー化学(株))およびエタノール(1級)を使用した。
判定基準は、0.4以下の歪みで破損しているものを×、0.4に持ちこたえ0.8以下で破損するものを△、0.8に持ちこたえ1.2以下で破損するものを○、1.2に持ちこたえるものを◎とした。
[成形外観]
射出成形品の外観を目視にて評価した。
判定基準は、色むらにより外観が著しく劣るものを×、比較的良好なものを○、色むらが全く無いものを◎とした。
表1の結果より、本発明によれば、流動性すなわち成形加工性、耐衝撃性および耐熱性がいずれも極めて良好な成形品が提供されることが明らかである。また、耐薬品性などの特性も得られ、成形品の外観についても優れるものが得られる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、流動性すなわち成形加工性および耐熱性が良好で、かつ耐衝撃性に優れる。さらに、耐薬品性が良好な成形品が提供され、このことにより塗装性も良好となるなど、二次加工性も優れるものが得られる。このような成形品は、オフィス家具、OA機器、什器、建材、日用雑貨などの成形品に好適に使用できる。

Claims (4)

  1. (A)ポリエステル樹脂40〜60質量部と、
    (B)変性スチレン系樹脂40〜60質量部と[(A)ポリエステル樹脂と(B)変性スチレン系樹脂との合計100質量部]、
    (A)ポリエステル樹脂と(B)変性スチレン系樹脂との合計100質量部に対して、1〜50質量部の(C)タルクとを含有し、
    前記(B)変性スチレン系樹脂が、
    (b−1)膨潤度10〜80、質量平均粒子径100〜600nmのゴム状重合体40〜80質量部の存在下に、芳香族ビニル系単量体50〜90質量%、シアン化ビニル系単量体10〜50質量%および他のビニル系単量体0〜40質量%からなる単量体混合物20〜60質量部[ゴム状重合体および単量体混合物の合計100質量部]をグラフト重合したグラフト重合体30〜80質量%と、
    (b−2)芳香族ビニル系単量体65〜90質量%、シアン化ビニル系単量体10〜35質量%および他のビニル系単量体0〜20質量%を共重合した共重合体0〜50質量%と、
    (b−3)メタクリル酸4質量%、芳香族ビニル系単量体50〜90質量%、シアン化ビニル系単量体10〜46質量%および他のビニル系単量体0〜20質量%を共重合した、数平均分子量(Mn)35000〜60000、質量平均分子量(Mw)70000〜200000、分子量分布(Mw/Mn)2.0〜3.0[ここで、(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体の分子量は、ゲル・パーミェーション・クロマトグラフィーを用いて測定された、標準ポリスチレン換算の値である。]の不飽和カルボン酸変性共重合体2〜20質量%とからなる[(b−1)グラフト重合体、(b−2)共重合体および(b−3)不飽和カルボン酸変性共重合体の合計100質量%]ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記(A)ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. (A)ポリエステル樹脂と(B)変性スチレン系樹脂との合計100質量部に対して、0.5〜15質量部の酸化チタンをさらに含有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形品。
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