JP3538489B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP3538489B2 JP28724495A JP28724495A JP3538489B2 JP 3538489 B2 JP3538489 B2 JP 3538489B2 JP 28724495 A JP28724495 A JP 28724495A JP 28724495 A JP28724495 A JP 28724495A JP 3538489 B2 JP3538489 B2 JP 3538489B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂組成
物に関する。さらに詳しくは、特定のグラフト共重合体
を2種、又は特定のグラフト共重合体を2種と共重合体
とからなる、耐衝撃性、耐薬品性、良好な成形加工性、
及び、良好な外観をもち、それ自身が耐衝撃性樹脂材料
として使用されるばかりでなく、これを他の樹脂に配合
して耐衝撃性樹脂組成物をつくるのにも有用な熱可塑性
樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】耐衝撃性樹脂を得る方法の一つとしてグ
ラフト共重合は周知のものであって、ゴム質重合体(例
えば、共役ジエン重合体のラテックス)の存在下に、樹
脂質重合体を与えるべき単量体(例えば、スチレン+ア
クリロニトリル)を重合させることによって製造される
グラフト共重合熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性樹脂と
して賞用されている。これらのうちでは、ポリブタジエ
ン/スチレン/アクリロニトリルからなるグラフト共重
合体は、ABS樹脂として著名である。
【0003】しかしながら、例えばABS樹脂では、応
力負荷状態で特定の薬品と接触すると、亀裂が発生し
て、著しい場合には破断する現象が観察されるなど、耐
薬品性等の性質が劣るものであった。これらの性質にお
いて優れた樹脂を得るため、ABS樹脂中のアクリロニ
トリル成分の配合割合を増加させる方法(例えば、特開
昭47-5594号公報)、ABS樹脂とアクリルゴム/スチ
レン/アクリロニトリル(ASA樹脂)を混合する方法
(特公昭54-40258号公報、特公昭63-28460号公報)、A
BS樹脂にアクリル酸エステル系重合体添加する方法
(特公昭63-22222号公報)、特徴ある2種のグラフト共
重合体を混合する方法(特公昭57-22064号公報、特開平
2-175745号公報)等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の技術は存在する課題に対し、それなりに解決を与えた
ものとして有意義なものと言い得るが、一方で成型品の
外観に不良現象を生じたり、射出成形性、押出成形性、
シート真空(圧空)成形性等が不十分となる等、本発明
者らが知る限りでは、完全に満足すべきものではない。
【0005】すなわち、提案された方法のうち、特開昭
47-5594号公報、特公昭54-40258号公報、特公昭63-2222
2号公報、特公昭63-28460号公報等に提案されているも
のでは、射出成形物の表面状態に不良現象、例えば、フ
ローマークと言われる表面外観不良、あるいは、表面剥
離現象が観察されることがあり、又、押出成形物の表面
にはダイバンド、あるいは、ピットマークと言われる表
面外観不良が観察されることがあり、使用上大きな問題
となっていた。さらに、特開昭47-5594号公報等に提案
されているものでは樹脂の溶融粘度が上がるため、押出
成形性が低下するだけでなく、シート真空(圧空)成形
の際にも箱のコーナー部等、延伸倍率の高い部分は肉厚
が不均一になり易い傾向があった。また、特公昭57-220
64号公報及び特開平2-175745号公報に提案されているの
ものでは、耐薬品性が不十分であり、より耐薬品性が必
要とされる分野では、やはり使用上問題となっていた。
【0006】本発明は、上記実情に鑑み、耐衝撃性、耐
薬品性、良好な成形品外観、及び、押出成型法により製
造されたシートを真空(圧空)成型法によって目的の形
状に成形する際、箱のコーナー部等、延伸倍率の高い部
分も肉厚が均一になるような優れた成形性を有する熱可
塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果本発明に到達し
た。すなわち、特定の平均粒径を有するジエン系ゴム質
重合体に、特定の割合の芳香族ビニル単量体、シアン化
ビニル単量体、及び共重合可能なビニル単量体よりなる
単量体混合物を乳化重合法によりグラフト反応してな
る、特定のグラフト共重合体(A)と、アクリル系ゴム
質重合体に、特定の割合の芳香族ビニル単量体、シアン
化ビニル単量体、及び共重合可能なビニル単量体よりな
る単量体混合物を乳化重合法によりグラフト反応してな
るグラフト共重合体(B)と、それらと親和性を有する
硬質共重合体(C)を、特定の割合で均一に混合してな
る樹脂組成物が従来の組成物では得られなかった優れた
耐薬品性、耐衝撃性、成形加工性、及び外観を有するこ
とを見いだし本発明に到達したものである。
【0008】即ち、本発明は、上記課題を解決するため
に、下記に示すグラフト共重合体A、グラフト共重合体
B及び硬質共重合体Cとを、下式(3)、(4)の組成
比率で含んでなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物
を提供するものである。 グラフト共重合体A:グラフト共重合体Aは、下記の通
りに定義されるものである。
【0009】(1)ジエン系ゴム質重合体ラテックスの
存在下で、芳香族ビニル単量体40〜80重量%、シア
ン化ビニル単量体20〜60重量%、及び共重合可能な
ビニル単量体0〜20重量%からなる単量体混合物を乳
化グラフト重合して得たグラフト共重合体であること、 (2)ジエン系ゴム質重合体の重量平均粒径が、0.1
0〜0.65μmの粒子径を有すること。
【0010】(3)ジエン系ゴム質重合体分率Rが0.
3〜0.8のものであること。 (4)グラフト共重合体Aを常温アセトン抽出に付した
ときの可溶分が、重量平均分子量20万以上のものであ
ること。 (5)グラフト共重合体Aの下式(1)で表されるグラ
フト率Grが、下式(2)を満たすものであること。
【0011】
【数5】
【0012】
【数6】 (ここで、記号は下記の意味を持つ。 x:グラフト共重合体組成物サンプルの重量、 y:xのうち、常温アセトン不溶分の重量、 Gr:グラフト率%)
【0013】グラフト共重合体B:グラフト共重合体B
は、下記の通りに定義されるものである。 (1)アクリル系ゴム質重合体ラテックス100重量部
(固形分基準)の存在下で、このラテックスの固形分に
対して2重量倍以上のビニル単量体混合物を乳化重合法
により反応させた重合体であること。
【0014】(2)ビニル単量体混合物が、芳香族ビニ
ル単量体40〜80重量%、シアン化ビニル単量体20
〜60重量%、及び共重合可能なビニル単量体0〜20
重量%からなること。 (3)アクリル系ゴム質重合体が、炭素数2〜12個で
ある一価アルコールとアクリル酸とのエステル化合物7
0〜100重量%、共重合可能なビニル単量体0〜30
重量%、及び多官能性ビニル単量体0〜3重量%の単量
体混合物を乳化重合する事により得られたものであるこ
と。
【0015】硬質共重合体C:硬質共重合体Cは、下記
の通りに定義されるものである。 (1)芳香族ビニル単量体が40〜80重量%、シアン
化ビニル単量体が20〜60重量%、及び共重合可能な
ビニル単量体0〜20重量%からなる単量体混合物を重
合し得られた硬質共重合体C。
【0016】
【数7】
【0017】
【数8】
【0018】
【発明の実施の形態】本発明による熱可塑性樹脂組成物
は、ジエン系ゴム質重合体ラテックスの存在下に特定の
単量体を乳化重合させて得られたグラフト共重合体A、
アクリル系ゴム質重合体ラテックスの存在下に特定の単
量体を乳化重合させて得られたグラフト共重合体Bと、
特定の単量体からなる実質的に組成均一な硬質共重合体
Cとを配合したものである。
【0019】I、グラフト共重合体 (1)一般的説明 グラフト共重合体の常として、「枝」となるべき単量体
がすべて「幹」であるゴム質重合体と結合して「枝」と
なっているとは限らないが、本発明でいう「グラフト共
重合体」も、慣用されているところに従って、そのよう
な「枝」となっていない「枝」用単量体由来の重合体の
共存を許容するものである。
【0020】1)ゴム質重合体 本発明におけるグラフト共重合体A及びBは、後述のゴ
ム質重合体ラテックスの存在下に、「枝」となるべき単
量体混合物を乳化グラフト重合し得られたものである。
グラフト共重合体の「幹」であるゴム質重合体は、その
ガラス転移温度が常温より低いものが対象となる。その
ようなゴム質重合体は、従来公知の乳化重合法により製
造することができる。 2)グラフト重合 本発明によるグラフト共重合熱可塑性樹脂組成物は、後
述のゴム重合体のラテックスの存在下に、芳香族ビニル
単量体、シアン化ビニル単量体、及び共重合可能な他の
ビニル単量体混合物を乳化重合法によりグラフト重合反
応し得られたものである。グラフト共重合条件は、本発
明所定の要件を満たす限り、ABS樹脂の製造に慣用さ
れているところと本質的には異ならない。また、グラフ
ト共重合体A、Bのグラフト共重合条件は、同一である
必要はなく、各々最適の条件を選択することが出来る。
【0021】<単量体>本発明で用いられる芳香族ビニ
ル単量体としては、スチレン、および側鎖または(およ
び)核置換スチレン(置換基は、低級アルキル基、低級
アルコキシ基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、
その他)、例えばα−メチルスチレン、p−メチルスチ
レン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、核ハ
ロゲン化スチレン、α−、またはβ−ビニルナフタレ
ン、その他、がある。これらは、群内または群間で併用
してもよい。グラフト共重合体A及びB(ならびに硬質
共重合体C)に使用される単量体の種類は、同一でも異
なってもよい。
【0022】本発明で用いられるシアン化ビニル単量体
には、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−ク
ロロアクリロニトリル等がある。これらは1種または2
種以上の混合物であってもよい。単量体は、本発明の趣
旨を損なわない限り、これらと共重合可能な共単量体を
少量併用してもよい。このような単量体としては、アク
リル酸ないしメタクリル酸と炭素数が1〜10の範囲の
アルカノールとのエステル、特にメチルアクリレート及
びメチルメタクリレート、ジエン単量体、ジビニルベン
ゼン、(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、その他がある。
【0023】<グラフト重合反応>グラフト共重合は、
重合開始剤の存在下に行なう。使用し得る開始剤(また
は、触媒)としては、過硫酸、過酢酸、過フタル酸など
の過酸触媒、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の
過酸塩触媒、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸化ク
ロルベンゾイル、過酸化ナフチル、過酸化アセチル、過
酸化ベンゾイルアセチル、過酸化ラウリル等の過酸化物
触媒、ヒドロ過酸化t−ブチル等のヒドロ過酸化アルキ
ル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾビス系触媒が
あり、これらは単独または2種以上混合して使用され
る。これらは、また還元剤と組み合わせてレドックス触
媒として使用することもできる。
【0024】グラフト共重合は、連鎖移動剤の存在下に
行なうことができる。本発明で用いられる連鎖移動剤と
しては特に制限はないが、例えばn−オクチルメルカプ
タン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカ
プタン、等あるいはテルピノレン、αーメチルスチレン
リニアダイマー等が用いられる。グラフト共重合での重
合温度条件は、50〜85℃、好ましくは55〜75
℃、の範囲が適当である。50℃未満の場合は重合反応
速度が小さくて実用的でなく、また一方85℃を越える
場合は一度に凝固物あるいは付着物の発生量が多くな
り、重合収率の低下および最終製品の品質低下をきたす
ので好ましくない。
【0025】グラフト共重合体の製造に関しては、まず
後述の範囲に特定したグラフト共重合体ラテックスを製
造し、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、及
び共重合可能なビニル単量体を共重合して得られた硬質
重合体ラテックスを混合してもよいし、硬質重合体ラテ
ックスを混合することなく、直接グラフト共重合体を製
造しても良い。このとき、混合するグラフト共重合体ラ
テックスの「枝」用単量体の単量体の重量比率と硬質重
合体ラテックスの単量体の重量比率は、同一でも良いし
異なっていても良い。
【0026】その他のグラフト共重合条件は、ABS樹
脂の製造に慣用されているところと本質的には異ならな
い。グラフト共重合用単量体は全量を一時に重合系と導
入してもよく、段階的に導入してもよい。また、重合中
の温度を経時的に変化させることもできる。
【0027】(2)グラフト共重合体A 1)ゴム質重合体 グラフト共重合体Aの「幹」のゴム質重合体は、ジエン
系ゴム質重合体である。具体的には、炭素数4〜5個の
ジエン例えば1、3ブタジエン、イソプレン又はクロロ
プレンの単独重合体及びこのような共役ジエンを50重
量%以上含む共重合体が代表的である。共重合体はラン
ダム共重合体、ブロック共重合体いずれであってもよ
い。共役ジエン、特にブタジエンと共重合させるために
使用出来る単量体としては、スチレン、αーメチルスチ
レン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル系単量体、アク
リル酸、メタクリル酸およびそのメチル、エチル、プロ
ピル、n−ブチル等のアクリル系単量体、アクリロニト
ニル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体
等が挙げられる。このようなゴム質重合体のラテックス
は、所定の単量体ないしその混合物を水性媒体中で一時
にまたは段階的に乳化重合させることによって製造する
ことができる。
【0028】グラフト共重合体Aの「幹」のジエン系ゴ
ム質重合体は、平均粒径が0.10〜0.65μm、好
ましくは0.15〜0.45μmの粒径の範囲とする。
0.10μm以下では、最終的に得られる樹脂の耐衝撃
性が著しく劣ったものとなり、成形加工性も不足する。
0.65μm以上では、外観が低下し、耐衝撃性の低い
樹脂しか得られず、また、乳化グラフト重合の際、ラテ
ックスの不安定化を招き、重合中のスケール量の増加な
どの問題が生じるので好ましくない。
【0029】上記のような比較的大粒径のジエン系ゴム
質重合体ラテックスは、製造条件を選んで直接大粒径の
ものを得ることが出来るし、小粒径のジエン系ゴム質重
合体ラテックスを製造し、粒径肥大という操作を行って
得たものでもよい。粒径肥大は、公知の方法、例えば、
ラテックスを一度凍結させてから再溶解する方法、ラテ
ックスに鉱酸、有機酸等を添加して、ラテックスのpH
を一時的に低下させる方法、ラテックスにせん断力を加
える方法等(特開昭54-133588号公報、特開昭59-202211
号公報)によって、行うことができる。特に、ラテック
スに、燐酸または無水酢酸を添加する方法が、粒子径の
調整が容易であるので、好ましい。ジエン系ゴム質重合
体の粒径分布は、必ずしも単峰性である必要はなく、多
峰性、即ち、各種粒径の混合物であって良い。本発明に
おけるジエン系ゴム質重合体ラテックスの重量平均粒径
は、米国コールター社製「N4S」によって測定したも
のである。
【0030】2)グラフト重合、及びグラフト共重合体 グラフト共重合体Aを製造する際用いられる単量体混合
物は、芳香族ビニル単量体40〜80重量%、シアン化
ビニル単量体20〜60重量%、及び共重合可能なビニ
ル単量体0〜20重量%、好ましくは、それぞれ、45
〜80重量%、20〜55重量%、そして、0〜20重
量%である。これらの重量比率範囲より、シアン化ビニ
ル単量体が多くなると、加工性、及び色調が低下し、少
なくなると、耐薬品性が低下し好ましくない。グラフト
共重合体A中のジエン系ゴム質重合体分率は0.3〜
0.8、好ましくは0.35〜0.7である。ゴム質重
合体含量がこの範囲より少ないと、本発明組成物は充分
な耐衝撃性を持たず、この範囲より高いと充分な剛性が
得られない。
【0031】グラフト共重合体Aを常温にてアセトン抽
出したときの可溶分が、重量平均分子量20万以上であ
る。分子量がこの値より低いと、成形加工性が低下し、
また充分な剛性が得られない。このような分子量の抽出
物を持つグラフト共重合体はグラフト重合の重合温度、
連鎖移動剤、開始剤の量等を調節することによって得ら
れる。グラフト共重合体Aを常温にてアセトン抽出した
ときの不溶分は、下式(1)及び(2)を満たす。
【0032】
【数9】
【0033】
【数10】
【0034】(ここで、記号は下記の意味を持つ。 x:グラフト共重合体組成物サンプルの重量、 y:xのうち、常温アセトン不溶分の重量、 Gr:グラフト率%)
【0035】上式の範囲からはずれると、充分な機械的
強度を発現できないばかりか、成形加工性も低下する。
このような値を持つグラフト共重合体は、単量体混合物
の量、グラフト重合の重合温度、連鎖移動剤、開始剤の
量等を調節することによって得られる。
【0036】(3)グラフト共重合体B 1)ゴム重合体ラテックス グラフト共重合体Bで用いられるアクリル系ゴム質重合
体とは、そのガラス転位温度が常温より低いものであ
り、炭素数2〜12個、好ましくは4〜8個の一価アル
コールとアクリル酸とのエステル化合物70〜100重
量%、共重合可能なビニル単量体0〜30重量%、及び
多官能性ビニル単量体0〜3重量%の単量体混合物を乳
化重合する事により得られたものであり、ブチルアクリ
レート、2ーエチルヘキシルアクリレート等である。炭
素数が上記範囲外であると、十分なゴム弾性が得られな
いので好ましくない。これらのアクリル系エステル化合
物は1種でもよく、2種以上混合して用いてもよい。こ
のようなゴム重合体のラテックスは、所定の単量体ない
しその混合物を水性媒体中で一時にまたは段階的に乳化
重合させることによって製造することができる。
【0037】ゴム重合体の粒径は、0.05〜0.50μm、好
ましくは0.10〜0.40μmの粒径の範囲にある。0.05μm以
下では、最終的に得られる樹脂の耐衝撃性が著しく劣っ
たものとなり、成形加工性も不足する。0.35μm以上で
は、外観が低下するおそれがある。上記のような比較的
大粒径のゴム質重合ラテックスは、小粒径のラテックス
について目的粒径を得るために粒径肥大という操作を行
って得たものでもよいということは、グラフト共重合体
Aの場合と同様である。アクリル系ゴム質重合体の粒径
分布は、必ずしも単峰性である必要はなく、多峰性、即
ち、各種粒径の混合物であって良い。アクリル系ゴム質
重合体ラテックスの重量平均粒径は、米国コールター社
製「N4S」によって測定したものである。
【0038】2)グラフト重合、及びグラフト共重合体 ゴム質重合体含量は、アクリル系ゴム質重合体100重
量部に対して、単量体混合物200重量部以上、好まし
くは、200〜550重量部である。単量体混合物がこ
の範囲より少ないと、本発明組成物は良好な外観を得る
ことが出来ず、この範囲より多いと充分な耐薬品性を得
られない。グラフト共重合体A中の「枝」用単量体の重
量比率は、芳香族ビニル単量体40〜80重量%、シア
ン化ビニル単量体20〜60重量%、及び共重合可能な
ビニル単量体0〜20重量%、好ましくは、それぞれ、
45〜80重量%、20〜55重量%、そして、0〜2
0重量%である。これらの重量比率範囲より、シアン化
ビニル単量体が多くなると、加工性、及び色調が低下
し、少なくなると、耐薬品性が低下し好ましくない。
【0039】II、硬質共重合体C 本発明組成物を構成する硬質共重合体Cとは、芳香族ビ
ニル単量体が40〜80重量%、シアン化ビニル単量体
が20〜60重量%、及び共重合可能なビニル単量体0
〜20重量%、好ましくは、それぞれ、45〜75重量
%、25〜55重量%、そして、0〜20重量%でから
なる単量体混合物の重合生成物である。これらの重量比
率範囲より、シアン化ビニル単量体が多くなると、加工
性、及び色調が低下し、少なくなると、耐薬品性が低下
し好ましくない。
【0040】上記共重合体の構成成分である芳香族ビニ
ル単量体、シアン化ビニル単量体および共重合可能なビ
ニル単量体とは、先にグラフト共重合体の構成成分とし
て例示した物と同様である。上記の共重合体の重合方法
及び重合条件は、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法
などの方法を回分または連続方法から適宜選択すること
ができる(製造方法の詳細は、例えば特開昭62-1720号
公報参照)。
【0041】本発明におけるグラフト共重合体A、B及
び硬質共重合体Cを構成する単量体成分の組成は、各々
前記で限定された範囲内にあればよく、両者の組成が全
く同一ということを必ずしも意味するものではない。し
かし、両者が前記範囲内で選択され、組み合わされたと
しても、両者の組成を著しく相違させると、両樹脂の相
溶性が劣り、物性が低下するので好ましくない。
【0042】「熱可塑性樹脂組成物」本発明による熱可
塑性樹脂組成物は、以上説明したようなグラフト共重合
体A、Bと硬質共重合体Cから構成されるものであり、
その組成比率は(3)、(4)式に示される範囲内にあ
る。各々の共重合体の配合量が、(3)、(4)式の範
囲を外れると、目的とする物性が得られず、また耐薬品
性の良好な熱可塑性樹脂組成物とすることができない。
【0043】
【数11】
【0044】
【数12】
【0045】(3)式に示される通り、本発明に係わる
熱可塑性樹脂組成物中に含有されるゴム質重合体は、グ
ラフト共重合体Aからもたらされるゴム質重合体がグラ
フト共重合体A及びBのゴム質重合体の合計当り20〜
90重量%でなければならない。さらに、(4)式に示
される通り、グラフト共重合体A、Bからもたらされる
ゴム質重合体の合計は、グラフト共重合体A、B及び硬
質共重合体Cの合計当り5〜50重量%でなければなら
ない。
【0046】グラフト共重合体および共重合体を配合
し、混合混練するには、公知の混合混練方法によればよ
い。この際、混練する温度は、組成物が溶融する温度か
ら樹脂焼けを起こさない温度の範囲で選択するのがよ
い。粉末、ビード、フレーク、またはペレットとなった
これら共重合体の1種または2種の混合物は、一軸押出
機、二軸押出機、または、バンバリーミキサー、加圧ニ
ーダー、二本ロール等の混練機等により、組成物とする
ことができる。また、場合によっては、重合を終えたこ
れらの共重合体の1種または2種のものを未乾燥のまま
混合し、析出し、洗浄し、乾燥して、混練する方法を採
ることもできる。
【0047】本発明に係わる組成物には、樹脂としての
性質を阻害しない種類および量の潤滑剤、離型剤、可塑
剤、着色剤、帯電防止剤、難燃化剤、紫外線吸収剤、耐
光性安定剤、耐熱性安定剤、充填剤等の各種樹脂添加剤
を、適宜組み合わせて添加することができる。本発明に
係わる組成物は、射出成形法、押出成形法、熱成形法、
プレス成形法等の各種加工方法によって、成形品とし、
優れた耐薬品性、加工性および耐衝撃性が要求される用
途に使用することができる。
【0048】
【実施例】下記の実施例及び比較例は、本発明をさらに
具体的に説明するためのものであるが、本発明はその要
旨を超えない限り、以下の例に限定されるものではな
い。以下の各実施例及び比較例において、耐衝撃性スチ
レン系樹脂の物性は、次の方法によって測定した。
【0049】(1)アイゾット衝撃強度 JIS K7110に準拠して測定した。 (2)メルトフローレイト JIS K7210に準拠して220℃、10kgの条
件で測定し、10分間の流出g数で表示した。 (3)引っ張り強度 JIS K7113に準拠して測定した。 (4)VICAT軟化点 JIS K7206に準拠して測定した。 (5)ラテックスの平均粒径 ラテックスの平均粒径は、米国コールター社製「N4
S」によって、測定した。
【0050】(6)重量平均分子量 グラフト共重合体を常温アセトン抽出に付したときの可
溶分の重量平均分子量は、昭和電工製「Shodex
GPC SYSTEM−11」によって、測定し、ポリ
スチレン換算で表した。
【0051】(7)外観 射出成形試験片(厚さ2.5mm、巾75mm、長さ160
mm)の光沢、フローマークの程度を下記のように目視判
定した。 ○ : 光沢の低下、またはフローマークが認められない △ : 光沢の低下、またはフローマークが少し認められる × : 光沢の低下、またはフローマークがかなり認められる
【0052】(8)耐薬品性 プレス成形試験片(厚さ2mm、巾35mm、長さ230m
m)をベンディングフォーム法によって、フロン141
bに対する亀裂発生の臨界歪値を温度23℃で測定し、
下記の様に判定した。 ◎ : 臨界歪値0.8%以上 耐薬品性が極めて良好 ○ : 臨界歪値0.8〜0.6% 耐薬品性が良好 × : 臨界歪値0.6%以下 耐薬品性が不良
【0053】[製造例] 1、グラフト共重合体(A)の製造 A−1 (1)共役ジエン系ゴム質重合体の製造 5LSUS製オートクレーブに脱イオン水150部、高
級脂肪酸石鹸(炭素数18を主成分とする脂肪酸のナト
リウム塩)4.0部、水酸化ナトリウム0.075部を
仕込み、窒素置換後68℃に昇温した。1,3ーブタジ
エン(BD)90部、スチレン(ST)10部とtード
デシルメルカプタン(TDM)0.3部よりなる単量体
混合物のうち20%を仕込んだ後、過硫酸カリウム0.
135部を添加した。約数分で発熱が起こり、重合の開
始が確認された。過硫酸カリウムを添加後、1時間後か
ら単量体混合物の80%の連続仕込みを開始、6時間の
時点で終了した。単量体混合物添加終了後、温度を80
℃まで上げ、さらに1時間重合を進めた。得られたジエ
ン系ゴム質重合体ラテックスは、固形分濃度39.5
%、平均粒径0.08μm、ゲル含量95.0%であっ
た。
【0054】(2)グラフト共重合体の製造 攪拌装置、加熱冷却装置、及び各原料、助剤仕込装置を
備えた容量5Lの反応器に上記共役ジエン系ゴムラテッ
クスを無水酢酸を用いて0.30μmに粒径肥大したも
のを、固形分として100部及び脱イオン水346部
(ラテックス中の水分を含む)を仕込み、70℃に昇温
した。70℃に達した時点からスチレン(ST)73.
3部、アクリロニトリル(AN)48.9部、過硫酸カ
リウム0.39部、不均化ロジン酸カリウム石鹸2.4
部、水酸化カリウム0.45部、脱イオン水41部を3
時間30分かけて添加した。また途中、単量体等を添加
し始めてから30分後に、テルピノレン(テルペン系化
合物)0.31部を添加した。添加終了後、さらに30
分間反応を続け、冷却して、反応を終了した。このグラ
フト共重合体ラテックスに老化防止剤2.5部を添加
後、95℃に加熱した硫酸マグネシウム水溶液中に攪拌
しながら加えて凝固させ、凝固物を水洗乾燥して白色粉
末状の樹脂組成物A-1を得た。
【0055】A−2 (1)共役ジエン系ゴム質重合体の製造 A−1(1)と同様にして行なった。 (2)グラフト共重合体の製造 攪拌装置、加熱冷却装置、及び各原料、助剤仕込装置を
備えた容量5Lの反応器に上記共役ジエン系ゴムラテッ
クスを無水酢酸を用いて0.25μmに粒径肥大したも
のを、固形分として100部及び脱イオン水451部
(ラテックス中の水分を含む)を仕込み、70℃に昇温
した。70℃に達した時点からスチレン111.4部、
アクリロニトリル74.3部、過硫酸カリウム0.59
部、テルピノレン0.46部、不均化ロジン酸カリウム
石鹸3.7部、水酸化カリウム0.45部、脱イオン水
41部を5時間30分かけて添加した。添加終了後、さ
らに30分間反応を続け、冷却して、反応を終了した。
このグラフト共重合体ラテックスに老化防止剤2.5部
を添加後、95℃に加熱した硫酸マグネシウム水溶液中
に攪拌しながら加えて凝固させ、凝固物を水洗乾燥して
白色粉末状の樹脂組成物A-2を得た。
【0056】A−3 (1)共役ジエン系ゴム質重合体の製造 A−1(1)と同様にして行なった。 (2)グラフト共重合体の製造 攪拌装置、加熱冷却装置、及び各原料、助剤仕込装置を
備えた容量5Lの反応器に上記共役ジエン系ゴムラテッ
クスを無水酢酸を用いて0.30μmに粒径肥大したもの
を、固形分として100部及び脱イオン水218部(ラ
テックス中の水分を含む)を仕込み、70℃に昇温し
た。昇温の途中60℃で、水14部に溶解したピロリン
酸ナトリウム0.43部、デキストロース0.11部及
び硫酸第一鉄0.004部を添加した。70℃に達した
時点で、スチレン25.7部、アクリロニトリル17.
1部、テルピノレン0.11部及びクメンハイドロパー
オキサイド0.21部、不均化ロジン酸カリウム石鹸
0.9部、水酸化カリウム0.16部、脱イオン水14
部を1時間20分かけて添加した。添加終了後、さらに
30分間反応を続け、冷却して、反応を終了した。この
グラフト共重合体ラテックスに老化防止剤5部を添加
後、95℃に加熱した硫酸マグネシウム水溶液中に攪拌
しながら加えて凝固させ、凝固物を水洗乾燥して白色粉
末状の樹脂組成物A-3を得た。
【0057】A−4 (1)共役ジエン系ゴム質重合体の製造 A−1(1)と同様にして行なった。 (2)グラフト共重合体の製造 攪拌装置、加熱冷却装置、及び各原料、助剤仕込装置を
備えた容量5Lの反応器に上記共役ジエン系ゴムラテッ
クスをリン酸を用いて 0.24μmに粒径肥大したもの
を、固形分として100部及び脱イオン水361部を仕
込み、74℃に昇温した。74℃に達した時点で、4
4.6部の脱イオン水に溶解した過硫酸カリウム0.5
9部を添加すると同時に、スチレン130部、アクリロ
ニトリル55.7部、テルピノレン0.55部の単量体
混合物を4時間30分かけて添加した。途中、単量体混
合物の添加開始から30分後に0.38部の水酸化カリ
ウムを、1時間後と2時間30分後に27.6部の脱イ
オン水に溶解した2.0部の高級脂肪酸石鹸(炭素数1
8を主成分とする脂肪酸のナトリウム塩)を添加した。
単量体混合物添加終了後、さらに30分間反応を続け、
冷却して、反応を終了した。このグラフト共重合体ラテ
ックスに老化防止剤4部を添加後、95℃に加熱した硫
酸マグネシウム水溶液中に攪拌しながら加えて凝固さ
せ、凝固物を水洗乾燥して白色粉末状の樹脂組成物A-4
を得た。
【0058】A−5 (1)共役ジエン系ゴム質重合体の製造 A−1(1)と同様にして行なった。 (2)グラフト共重合体の製造 攪拌装置、加熱冷却装置、及び各原料、助剤仕込装置を
備えた容量5Lの反応器に上記共役ジエン系ゴムラテッ
クスを無水酢酸を用いて0.30μmに粒径肥大したも
のを、固形分として100部及び脱イオン水712部
(ラテックス中の水分を含む)を仕込み、70℃に昇温
した。70℃に達した時点からスチレン540部、アク
リロニトリル360部、過硫酸カリウム2.88部、テ
ルピノレン2.25部、不均化ロジン酸カリウム石鹸1
8部、水酸化カリウム3.33部、脱イオン水199部
を7時間30分かけて添加した。添加終了後、さらに3
0分間反応を続け、冷却して、反応を終了した。このグ
ラフト共重合体ラテックスに老化防止剤2.5部を添加
後、95℃に加熱した硫酸マグネシウム水溶液中に攪拌
しながら加えて凝固させ、凝固物を水洗乾燥して白色粉
末状の樹脂組成物A-5を得た。
【0059】A−6 (1)共役ジエン系ゴム質重合体の製造 A−1(1)と同様にして行なった。 (2)グラフト共重合体の製造 攪拌装置、加熱冷却装置、及び各原料、助剤仕込装置を
備えた容量5Lの反応器に上記共役ジエン系ゴムラテッ
クスを無水酢酸を用いて0.30μmに粒径肥大したも
のを、固形分として100部及び脱イオン水10部(ラ
テックス中の水分を含む)を仕込み、70℃に昇温し
た。70℃に達した時点からスチレン6.7部、アクリ
ロニトリル4.4部、過硫酸カリウム0.1部、テルピ
ノレン0.05部、不均化ロジン酸カリウム石鹸0.2
部、水酸化カリウム0.04部、脱イオン水12部を1
時間かけて添加した。添加終了後、さらに30分間反応
を続け、冷却して、反応を終了した。このグラフト共重
合体ラテックスに老化防止剤2.5部を添加後、95℃
に加熱した硫酸マグネシウム水溶液中に攪拌しながら加
えて凝固させ、凝固物を水洗乾燥して白色粉末状の樹脂
組成物A-6を得た。
【0060】A−7 (1)共役ジエン系ゴム質重合体の製造 A−1(1)と同様にして行なった。 (2)グラフト共重合体の製造 A−1(2)において、共役ジエン系ゴムラテックスを
粒径肥大せず平均粒径0.08μmのまま用いた他は、A
−1(2)と同様にして行なった。
【0061】A−8 (1)共役ジエン系ゴム質重合体の製造 A−1(1)と同様にして行なった。 (2)グラフト共重合体の製造 A−1(2)において、共役ジエン系ゴムラテックスを
無水酢酸を用いて0.80μmに粒径肥大した他は、A−
1(2)と同様にして行なった。
【0062】A−9 (1)共役ジエン系ゴムの製造 A−1(1)と同様にして行なった。 (2)グラフト共重合体の製造 攪拌装置、加熱冷却装置、及び各原料、助剤仕込装置を
備えた容量5Lの反応器に上記共役ジエン系ゴムラテッ
クスを、無水酢酸を用いて0.30μmに粒径肥大したも
のを、固形分として100部及び脱イオン水241部
(ラテックス中の水分を含む)を仕込み、70℃に昇温
した。昇温の途中60℃で、水20部に溶解したピロリ
ン酸ナトリウム1部、デキストロース0.25部及び硫
酸第一鉄0.01部を添加した。70℃に達した時点
で、スチレン60部、アクリロニトリル40部、tードデ
シルメルカプタン0.25部及びクメンハイドロパーオ
キサイド0.50部、不均化ロジン酸カリウム石鹸2
部、水酸化カリウム0.37部、脱イオン水31部を3
時間45分かけて添加した。添加終了後、さらに15分
間反応を続け、冷却して、反応を終了した。このグラフ
ト共重合体ラテックスに老化防止剤5部を添加後、95
℃に加熱した硫酸マグネシウム水溶液中に攪拌しながら
加えて凝固させ、凝固物を水洗乾燥して白色粉末状の樹
脂組成物A-9を得た。以上まとめた結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】2、グラフト共重合体(B)の製造 2−1、アクリル系ゴム質重合体B1の製造方法 B1−1 5Lガラス製フラスコに水151部、高級脂肪酸石鹸
(炭素数18を主成分とする脂肪酸のナトリウム塩)
0.01部、βーナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合
物ナトリウム塩1部、炭酸水素ナトリウム1部を仕込
み、窒素気流下75℃に昇温した。75℃になった時点
で過硫酸カリウム0.07部を添加した後、5分して、
アクリル酸ブチルエステル(BA)100部、メタクリ
ル酸アリル(AMA)0.2部より成る単量体混合物の
うち4部を仕込んだ。約数分で発熱が起こり、重合の開
始が確認された。最初の単量体混合物の仕込後20分
で、残りの単量体、過硫酸カリウム0.08部及び不均
化ロジン酸石鹸1部の連続添加を開始、3時間20分の
時点でその添加を終了した。単量体混合物添加終了後8
0℃へ昇温し、さらに1時間同一温度にて重合を進め
た。固形分濃度38.5重量%、平均粒径0.20μmで
あった。
【0065】B1−2 5Lガラス製フラスコに水151部、高級脂肪酸石鹸
(炭素数18を主成分とする脂肪酸のナトリウム塩)
0.12部、炭酸水素ナトリウム1部を仕込み、窒素気
流下75℃に昇温した。75℃になった時点で過硫酸カ
リウム0.135部を添加した後、5分して、アクリル
酸ブチルエステル(BA)95部、アクリロニトリル
(AN)5部、メタクリル酸アリル(AMA)0.1部
より成る単量体混合物のうち4部を仕込んだ。約数分で
発熱が起こり、重合の開始が確認された。最初の単量体
混合物の仕込後20分で、残りの単量体の連続添加を開
始、3時間20分の時点でその添加を終了したが途中2
時間の時点で脂肪酸石鹸1部を加え、2時間30分の時
点で過硫酸カリウム0.015部を加えた。単量体混合
物添加終了後80℃へ昇温し、さらに1時間同一温度に
て重合を進めた。固形分濃度39.0重量%、平均粒径
0.17μmであった。
【0066】B1−3 B1−2において、以下のように変更した他はB1−2
と同様にして行なった。 初期高級脂肪酸石鹸 2 部 BA 90 部 ST 10 部(スチレン) AMA 0.5部 TDM 1.2部 固形分濃度39.6%、平均粒径0.10μmであった。
【0067】B1−4 B1−1において、単量体混合物の組成を以下のように
変更した他はB1−1と同様にして行なった。 BA 50 部 ST 50 部 AMA 0.2部 固形分濃度39.2%、平均粒径0.195μmであっ
た。
【0068】B1−5 B1−1において、単量体混合物の組成を以下のように
変更した他はB1−1と同様にして行なった。 BA 100 部 AMA 5 部 固形分濃度39.0%、平均粒径0.198μmであっ
た。以上まとめた結果を表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】2−2、グラフト共重合体B2の製造方法 B2−1 攪拌装置、加熱冷却装置、及び各原料、助剤仕込装置を
備えた容量5Lの反応器に、上記アクリル系ゴム状重合
体ラテックスB1−1を固形分として100部、炭酸水
素ナトリウム1.5部及び脱イオン水372部(ラテッ
クスの水分含む)を仕込み、70℃に昇温した。昇温の
途中60℃で水50部に溶解したピロリン酸ナトリウム
2.2部、デキストロース0.63部及び硫酸第一鉄
0.022部を添加した。70℃に達した時点で、スチ
レン143部、アクリロニトリル77部、tードデシル
メルカプタン0.44部及びクメンハイドロパーオキサ
イド1.1部、不均化ロジン酸カリウム石鹸3.96
部、脱イオン水88.2部を3時間30分かけて添加し
た。添加終了後、さらに30分間反応を続け、冷却し
て、反応を終了した。このグラフト共重合体ラテックス
に老化防止剤2.5部を添加後、95℃に加熱した硫酸
マグネシウム水溶液中に攪拌しながら加えて凝固させ、
凝固物を水洗乾燥して白色粉末状の樹脂組成物B2-1を得
た。
【0071】B2−2 アクリル系ゴム質重合体ラテックスとしてB1−2を用
いた他は、B2−1と同様にして行なった。
【0072】B2−3 アクリル系ゴム質重合体ラテックスとしてB1−3を用
いた他は、B2−1と同様にして行なった。
【0073】B2−4 アクリル系ゴム質重合体ラテックスとしてB1−4を用
いた他は、B2−1と同様にして行なった。
【0074】B2−5 アクリル系ゴム質重合体ラテックスとしてB1−5を用
いた他は、B2−1と同様にして行なった。
【0075】B2−6 B2ー1において、単量体混合物の組成を以下のように
変更した他は、B2ー1と同様にして行なった。 ST 66 部 AN 154 部 TDM 0.44部
【0076】B2ー7 B2ー1において、単量体混合物の組成を以下のように
変更した他は、B2ー1と同様にして行なった。 ST 198 部 AN 22 部 TDM 0.44部
【0077】B2ー8 B2ー1において、単量体混合物の組成を以下のように
変更した他は、B2ー1と同様にして行なった。 ST 65 部 AN 35 部 TDM 0.2 部 以上まとめた結果を表3に示す。
【0078】
【表3】
【0079】3、硬質共重合体Cの製造方法 Cー1 加熱冷却装置、湾曲タービン型攪拌装置、温度計、原料
助剤添加装置を備えたステンレス製オートクレーブに、
次ぎに示す原料助剤を仕込み、重合系内を窒素ガスで置
換した。 AN 45部 ST 10部 テルペン系化合物 0.657部 ジーt−ブチルーp−クレゾール 0.02部 アクリル酸・アクリル酸2ーエチルヘキシル共重合体 0.03部 臭化ナトリウム 0.4部 脱イオン水 70部
【0080】攪拌しながら重合槽内温度を106℃に昇
温し、少量のスチレンに溶解した1ーt−アゾー1ーシ
アノシクロヘキサン0.15部を添加し、同温度で重合
反応を開始した。重合を開始してから直ちに、スチレン
36部を一定の速度で4時間30分の間連続添加をする
とともに、同時に重合系の温度を4時間30分かけて1
28℃に昇温した。重合を開始してから、4時間30分
後、スチレンの重合系への連続添加を終了し、続いて重
合系の温度を45分間かけて145℃まで昇温した。重
合を開始してから5時間15分後、重合系の温度を14
5℃に維持しながらさらに1時間ストリッピングを行な
った。このストリッピングを終えた懸濁系を降温冷却
し、濾別、水洗、乾燥して、ビーズ状の共重合体を得
た。共重合体のAN%は、39.9%であった。
【0081】Cー2 三菱化学(株)製AS樹脂SAN−C(AN%=30
%)をそのまま用いた。
【0082】Cー3 C−1においてオートクレーブ内に仕込むスチレンを3
部、アクリロニトリルを70部、テルペン系化合物を
0.6部とし、連続添加のスチレンを27部とした他は、
C−1と同様にして行なった。共重合体中のAN%は、
69.9%であった。以上まとめた結果を表4に示す。
【0083】
【表4】
【0084】実施例1〜8 上記グラフト共重合体A、グラフト共重合体B及び硬質
共重合体Cを表5に記載した割合で混合し、バンバリー
ミキサーで混練、ペレット化した。このペレットを用い
射出成形機によって物性測定用及び耐フロン性測定用の
テストピースを成形した。結果を表5に示す。
【0085】
【表5】
【0086】
【表6】
【0087】比較例1〜14 上記グラフト共重合体A、グラフト共重合体B及び硬質
共重合体Cを表6に記載した割合で混合し、バンバリー
ミキサーで混練、ペレット化した。このペレットを用い
射出成形機によって物性測定用及び耐フロン性測定用の
テストピースを成形した。結果を表6に示す。
【0088】
【表7】
【0089】
【表8】
【0090】
【表9】
【0091】表5、及び表6より以下の点が明らかとな
る。 (1)本発明により得られる熱可塑性樹脂組成物は、衝
撃強度及び加工性のバランスに優れている(実施例1〜
8、比較例1〜14参照)。 (2)本発明により得られる熱可塑性樹脂組成物は、耐
薬品性が優れている(実施例1〜18、比較例1〜14
参照)。 (3)本発明により得られる熱可塑性樹脂組成物は、外
観が優れている(実施例1〜8、比較例1〜14参
照)。
【0092】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、次のよ
うに特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は
極めて大である。即ち、本発明の熱可塑性樹脂組成物
は、特定のグラフト共重合体2種、又は特定のグラフト
共重合体2種と共重合体とからなり、耐衝撃性、耐薬品
性、良好な成形加工性、及び得られる成型品は良好な外
観を持ち、優れた耐衝撃性熱可塑性樹脂組成物として使
用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−60547(JP,A) 特開 昭62−101647(JP,A) 特開 昭60−36553(JP,A) 特開 平4−170460(JP,A) 特開 平6−240100(JP,A) 特開 平7−207103(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 55/02 C08L 25/12 C08L 51/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記に示すグラフト共重合体A、グラフト
    共重合体B及び硬質共重合体Cとを、下式(3)、
    (4)の組成比率で含んでなることを特徴とする熱可塑
    性樹脂組成物。 グラフト共重合体A:グラフト共重合体Aは、下記の通
    りに定義されるものである。 (1)ジエン系ゴム質重合体ラテックスの存在下で、芳
    香族ビニル単量体40〜80重量%、シアン化ビニル単
    量体20〜60重量%、及び共重合可能なビニル単量体
    0〜20重量%からなる単量体混合物を乳化グラフト重
    合して得たグラフト共重合体であること、 (2)ジエン系ゴム質重合体の重量平均粒径が、0.1
    0〜0.65μmの粒子径を有すること。 (3)ジエン系ゴム質重合体分率Rが0.3〜0.8の
    ものであること。 (4)グラフト共重合体Aを常温アセトン抽出に付した
    ときの可溶分が、重量平均分子量20万以上のものであ
    ること。 (5)グラフト共重合体Aの下式(1)で表されるグラ
    フト率Grが、下式(2)を満たすものであること。 【数1】
  2. 【数2】 (ここで、記号は下記の意味を持つ。 x:グラフト共重合体組成物サンプルの重量、 y:xのうち、常温アセトン不溶分の重量、 Gr:グラフト率%) グラフト共重合体B:グラフト共重合体Bは、下記の通
    りに定義されるものである。 (1)アクリル系ゴム質重合体ラテックス100重量部
    (固形分基準)の存在下で、このラテックスの固形分に
    対して2重量倍以上のビニル単量体混合物を乳化重合法
    により反応させた重合体であること。 (2)ビニル単量体混合物が、芳香族ビニル単量体40
    〜80重量%、シアン化ビニル単量体20〜60重量
    %、及び共重合可能なビニル単量体0〜20重量%から
    なること。 (3)アクリル系ゴム質重合体が、炭素数2〜12個で
    ある一価アルコールとアクリル酸とのエステル化合物7
    0〜100重量%、共重合可能なビニル単量体0〜30
    重量%、及び多官能性ビニル単量体0〜3重量%の単量
    体混合物を乳化重合する事により得られたものであるこ
    と。 硬質共重合体C:硬質共重合体Cは、下記の通りに定義
    されるものである。 (1)芳香族ビニル単量体が40〜80重量%、シアン
    化ビニル単量体が20〜60重量%、及び共重合可能な
    ビニル単量体0〜20重量%からなる単量体混合物を重
    合し得られた硬質共重合体C。
  3. 【数3】
  4. 【数4】
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