JPH1147041A - 昇降手摺り装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】使用者自身に力がない場合であっても簡単に便
器から立上り動作或いは便器に着座動作することがで
き、介護者が介護をする場合においても、介護者に大き
な負担がかからない昇降手摺り装置を提供する。 【解決手段】便器１０の設置されたトイレ室において、
便器１０の側方の壁２０に且つ便器１０に近接して手摺
り３６を昇降可能に設けるとともに、手摺り３６を昇降
駆動する駆動装置を設ける。また手摺り３６を下降端に
対して上昇端が便器１０の前方に位置するように垂直方
向に対して斜め方向に昇降可能となす。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は手摺りが昇降運動
する昇降手摺り装置に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】トイレ
室において、老人や身体障害者等の足腰の弱い人が便器
（洋風便器）に腰を掛ける際或いは便器から立ち上がる
際に困難を伴うことがあり、このため図７に示している
ように便器２００の側方の壁２０２に、便器２００から
の立上り又は便器２００への着座動作のための助けとす
るための手摺り２０４を取り付けておくといったことが
行われている。

【０００３】しかしながらこのような手摺り２０４を設
けたとしても、使用者自身に力（特に上半身の力）がな
いと手摺り２０４があまり役に立たないといった問題が
あった。

【０００４】また介護者が身体障害者の介護をしながら
便器２００から立ち上がらせたり或いは便器２００に座
らせたりする場合、介護者が身体障害者の殆ど全体重を
支えなければならず、介護者の負担が大きいといった問
題があった。以上の問題は老人や身体障害者等が浴室に
おいて浴槽に出入りする際にも同様に生じていた。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本願の発明はこのような
課題を解決するためになされたものである。而して請求
項１の昇降手摺り装置は、便器の設置されたトイレ室に
おいて、該便器に近接して手摺りを昇降可能に設けると
ともに、該手摺りを昇降駆動する駆動装置を設けたこと
を特徴とする。

【０００６】請求項２の昇降手摺り装置は、請求項１に
おいて、前記手摺りを、下降端に対して上昇端が前記便
器の前方に位置するように垂直方向に対して斜め方向に
昇降可能となしたことを特徴とする。

【０００７】請求項３の昇降手摺り装置は、請求項１，
２の何れかにおいて、前記手摺りを前記便器の側方の壁
に且つ該壁に沿って昇降可能に設けたことを特徴とす
る。

【０００８】請求項４の昇降手摺り装置は、浴槽の設置
された浴室において、該浴槽に近接して手摺りを昇降可
能に設けるとともに、該手摺りを昇降駆動する駆動装置
を設けたことを特徴とする。

【０００９】請求項５の昇降手摺り装置は、請求項４に
おいて、前記手摺りを、前記浴槽と洗い場とが接する側
において前記浴室の壁に昇降可能に設けたことを特徴と
する。

【００１０】請求項６の昇降手摺り装置は、請求項３，
５の何れかにおいて、前記手摺りが壁側端部において片
持ち状に支持されており、少なくとも使用時に他端側が
室内側に突き出すものとされていることを特徴とする。

【００１１】請求項７の昇降手摺り装置は、請求項６に
おいて、前記手摺りが前記壁側に折畳み可能とされてい
ることを特徴とする。

【００１２】

【作用及び発明の効果】上記のように請求項１のもの
は、トイレ室において手摺りを便器に近接して昇降可能
に設けるとともに、その手摺りを昇降駆動する駆動装置
を設けたもので、この昇降装置の場合、手摺りが駆動装
置の力で昇降するため、力のない人であってもその手摺
りの上昇運動或いは下降運動に助けられて容易に便器か
ら立ち上がり或いは便器に腰を掛けることができる。

【００１３】或いは身体障害者が便器から立ち上がる動
作又は便器に腰を掛ける動作を介護者が介護をする場合
において、介護者の負担を著しく軽減することができ
る。

【００１４】請求項２の装置は、上記手摺りをその下降
端に対して上昇端が便器の前方に位置するように垂直方
向に対して斜め方向に昇降可能となしたもので、このよ
うにすることで、使用者が立ち上がったときに手摺りが
邪魔にならないようにすることができる。

【００１５】便器使用者が便器に腰を掛けている状態か
ら立ち上がるとき、体がやや前側に出る形となる。従っ
て例えば手摺りを垂直に昇降させるようにしておいた場
合、場合によって立上り動作のときにその手摺りが邪魔
になる恐れが生ずる。

【００１６】これに対して請求項２の装置では、手摺り
を斜め上方に上昇移動するようにしているため、その手
摺りが使用者の立上り動作を邪魔するといった恐れがな
く、手摺りの助けで良好に立上り動作することができ
る。或いはまた逆に、便器に対して腰を掛けるときにも
円滑にその動作を行うことができる。本発明において
は、上記手摺りを便器の側方の壁に且つ壁に沿って昇降
可能に設けることができる（請求項３）。

【００１７】請求項４の装置は、浴室において且つ浴槽
に近接して手摺りを昇降可能に設けるとともに、その手
摺りを昇降駆動する駆動装置を設けたもので、この装置
の場合、老人や身体障害者が浴槽に出入りする際に手摺
りの助けで容易にこれを行うことができる。

【００１８】或いはまた、身体障害者が浴槽に出入りす
る際に介護者が介護をする場合において、介護者にかか
る負担を著しく軽減することができる。

【００１９】この請求項４の装置において、浴槽と洗い
場とが接する側において浴室の壁に手摺りを設けること
が望ましい（請求項５）。このようにした場合、洗い場
から浴槽に入る動作或いは浴槽から洗い場側に出る動作
を手摺りによって効果的に助けることができる。

【００２０】本発明においては、壁側端部において手摺
りを片持ち状に支持し、他端側を室内側に突き出す形態
で設けることが望ましい（請求項６）。特にこのように
した場合、握力或いは上半身の力の弱い老人や身体障害
者が手摺りを強く掴む必要がなく、手摺りに対して体を
もたせかけるようにして体重を手摺りに預け、その状態
で手摺りの昇降運動により立上り動作或いは座る動作等
を行うことができる。

【００２１】更にこの場合において、上記手摺りを壁側
に折畳可能となしておくのが望ましい（請求項７）。こ
のようにした場合、手摺りを必要としない人が便器に腰
を掛け或いは便器から立ち上がる際、或いは浴室におい
て洗い場側から浴槽に又は浴槽から洗い場側に出入りす
る際、その手摺りが邪魔になるといった問題を生じな
い。

【００２２】

【実施例】次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく
説明する。図１はトイレ室内部を示したものであって、
１０はトイレ室の床１２上に設置された洋風便器であ
り、１４は便器本体、１６は洗浄水タンクである。

【００２３】本例では、便器１０の側方の壁２０にトイ
レ室用昇降手摺り装置１８が取り付けられている。図２
及び図３において、２２は昇降手摺り装置１８における
ケーシングであって、下端から上端側にかけて前方斜め
上向きに延びている。

【００２４】ケーシング２２は、略過半部が函体状に形
成されていてその内部に駆動装置２４が収容されてい
る。駆動装置２４は、モータ等の駆動源とその駆動源に
よって上向きの突出し方向或いは下向きの引込み方向に
駆動される駆動ロッド２６を備えている。

【００２５】ケーシング２２は、略上半部が案内部２８
として構成されている。案内部２８は、前後一対のレー
ル部３０と、それらを壁２０側端部において前後に連結
する連結部３２とを有する、全体として断面コ字形状を
なす部分であって、それら一対のレール部３０の各内面
側に案内溝３４が縦向きに形成されており、それら案内
溝３４に案内されて、手摺り３６が斜め上下方向に昇降
させられるようになっている。

【００２６】手摺り３６は、棒状の本体部３８とこれを
基端部において保持するブロック状の保持部４０とを有
している。保持部４０には上下の一対の取付片４２が形
成されていて、棒状の本体部３８はその端部がそれら取
付片４２の間に挿入され、軸４４によって水平方向に回
動可能な状態で保持部４０に取り付けられている。

【００２７】尚棒状の本体部３８は、図５（Ａ）に示し
ているように壁２０から便器１０側に直角に室内側に突
き出した位置と、壁２０に沿って折り畳まれた位置との
間で水平方向に回動可能とされている。尚、本体部３８
は図示を省略するロック機構によって壁２０から直角方
向に突き出した位置にロック可能とされている。

【００２８】保持部４０の上端部には、前後方向に突出
する断面円形の一対の摺動軸部４６が設けられており、
これら摺動軸部４６が、上記レール部３０の案内溝３４
に摺動可能に嵌入されている。

【００２９】そしてこの保持部４０の下端部に対して前
記駆動装置２４における駆動ロッド２６の上端が当接さ
せられ、その駆動ロッド２６の突上げ或いは引込み動作
に伴って、案内溝３４と摺動軸部４６との案内作用で手
摺り３６全体が斜め上下方向に強制的に昇降させられる
ようになっている。

【００３０】尚、図３において４８は案内溝３４より室
内側において一対のレール部３０の内面に突出状態に設
けられたストッパである。これらストッパ４８は、図示
を省略するばねにより突出し方向に付勢されているとと
もに、その突出し方向と引込み方向とに移動可能とされ
ている。

【００３１】本例の装置では、便器使用者は手摺り３６
を上昇端に位置させた状態で、図５に示しているように
その手摺り３６に対し体をもたせかけながら、即ち体重
を預けながら駆動装置２４による手摺り３６の下降運動
に伴って便器１０に対して腰を掛けることができる。

【００３２】また便器使用後において駆動装置２４によ
り、具体的には駆動ロッド２６の突上げによる手摺り３
６の上昇運動に伴って、手摺り３６に対し体重を預けな
がらそのまま便器１０から立ち上がることができる。

【００３３】尚便器使用者は、便器１０から立ち上がっ
た後において手摺り３６を上昇端に位置させた状態のま
ま便器１０及び昇降手摺り装置１８から離れることもで
きるし、或いは手摺り３６の本体部３８に対するロック
を解除して、本体部３８を図５（Ａ）に示しているよう
に壁２０側に回動させながら便器１０からその前方に立
ち去ることもできる。

【００３４】而して手摺り３６は、これを使用しないと
きに壁２０側に回動させた状態、即ち折り畳んだ状態と
しておき、昇降手摺り装置１８を使用するときに手摺り
３６を再び便器１０側に回動させてその位置にロック
し、これを使用するようになすこともできる。

【００３５】或いはまた、図４に示しているように昇降
手摺り装置１８を使用しないときには手摺り３６全体を
ケーシング２２、具体的には上半部の案内部２８の内部
に収納状態としておくこともできる。

【００３６】ここで手摺り３６を案内部２８内部に収納
するには、手摺り３６を下降端に位置させた状態でその
全体を摺動軸部４６の周りに全体的に上向きに起すよう
に回動させれば良い。而して案内部２８の内側空間部に
収納された手摺り３６は、ストッパ４８の作用で倒れ防
止される。

【００３７】本例の昇降手摺り装置１８の場合、手摺り
３６が駆動装置２４の力で昇降するため、力のない人で
あってもその手摺り３６の助けにより容易に便器１０か
ら立ち上がり或いは便器１０に腰を掛けることができ
る。

【００３８】或いはまた、身体障害者が便器１０から立
ち上がり或いは便器１０に腰を掛ける動作を介護者が介
護をする場合において、介護者の負担を著しく軽減する
ことができる。

【００３９】また本例の昇降手摺り装置１８では、手摺
り３６を斜め上方に上昇移動させるようにしているた
め、その手摺り３６が使用者の立上り動作を邪魔すると
いった恐れがなく、手摺り３６の助けで良好に立上り動
作することができる。或いはまた逆に便器１０に対して
腰を掛けるときにも円滑にその動作を行うことができ
る。

【００４０】更に壁側端部において手摺り３６が片持ち
状に支持され、他端側が室内側に突き出す形態とされて
いるため、握力或いは上半身の力の弱い老人や身体障害
者が手摺り３６を強く掴む必要がなく、手摺り３６に対
して体をもたせかけるようにして体重を手摺り３６に預
け、その状態で手摺り３６の昇降運動により立上り動作
或いは座る動作等を行うことができる。

【００４１】また手摺り３６が壁２０側に折畳可能とさ
れているため、手摺り３６を必要としない人が便器１０
に腰掛ける際或いは立ち上がる際にその手摺り３６が邪
魔になるといった問題を生じない。

【００４２】次に図６は本発明を浴室用の昇降手摺り装
置として適用した場合の例を示したもので、浴槽５２と
洗い場５４とが接する側において壁５６に浴室用の昇降
手摺り装置１８を取り付けてある。この例では手摺り３
６が垂直方向に昇降するものとされている。

【００４３】本例の場合、老人や身体障害者が浴槽５２
に出入りする際、手摺り３６の助けで容易にこれを行う
ことができるし、また身体障害者が浴槽５２に出入りす
る際に介護者が介護をする場合において、介護者にかか
る負担を著しく軽減することができる。

【００４４】以上本発明の実施例を詳述したがこれらは
あくまで一例示であり、本発明はその主旨を逸脱しない
範囲において様々な変更を加えた形態で構成可能であ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例であるトイレ室用昇降手摺り
装置を周辺部とともに示す図である。

【図２】図１の昇降手摺り装置を拡大して示す図であ
る。

【図３】同じ昇降手摺り装置を手摺りとケーシングとに
分解して示す図である。

【図４】同じ昇降手摺り装置を手摺りを収納した状態で
示す図である。

【図５】同じ昇降手摺り装置の使い方の説明図である。

【図６】本発明の他の実施例の浴室用昇降手摺り装置を
周辺部とともに示す図である。

【図７】従来の固定式のトイレ室用手摺りを周辺部とと
もに示す図である。

【符号の説明】

１０ 洋風便器 １８ 昇降手摺り装置 ２０，５６ 壁 ２４ 駆動装置 ３６ 手摺り ５２ 浴槽 ５４ 洗い場

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 便器の設置されたトイレ室において、該
   便器に近接して手摺りを昇降可能に設けるとともに、該
   手摺りを昇降駆動する駆動装置を設けたことを特徴とす
   る昇降手摺り装置。
2. 【請求項２】 請求項１において、前記手摺りを、下降
   端に対して上昇端が前記便器の前方に位置するように垂
   直方向に対して斜め方向に昇降可能となしたことを特徴
   とする昇降手摺り装置。
3. 【請求項３】 請求項１，２の何れかにおいて、前記手
   摺りを前記便器の側方の壁に且つ該壁に沿って昇降可能
   に設けたことを特徴とする昇降手摺り装置。
4. 【請求項４】 浴槽の設置された浴室において、該浴槽
   に近接して手摺りを昇降可能に設けるとともに、該手摺
   りを昇降駆動する駆動装置を設けたことを特徴とする昇
   降手摺り装置。
5. 【請求項５】 請求項４において、前記手摺りを、前記
   浴槽と洗い場とが接する側において前記浴室の壁に昇降
   可能に設けたことを特徴とする昇降手摺り装置。
6. 【請求項６】 請求項３，５の何れかにおいて、前記手
   摺りが前記壁側端部において片持ち状に支持されてお
   り、少なくとも使用時に他端側が室内側に突き出すもの
   とされていることを特徴とする昇降手摺り装置。
7. 【請求項７】 請求項６において、前記手摺りが前記壁
   側に折畳み可能とされていることを特徴とする昇降手摺
   り装置。