JPH1143468A - 含フッ素化合物、及び含フッ素化合物を含む潤滑剤、 並びに記録媒体 - Google Patents

含フッ素化合物、及び含フッ素化合物を含む潤滑剤、 並びに記録媒体

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JPH1143468A
JPH1143468A JP20269197A JP20269197A JPH1143468A JP H1143468 A JPH1143468 A JP H1143468A JP 20269197 A JP20269197 A JP 20269197A JP 20269197 A JP20269197 A JP 20269197A JP H1143468 A JPH1143468 A JP H1143468A
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fluorine
lubricant
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containing compound
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JP20269197A
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English (en)
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Akira Shiga
章 志賀
Noriyuki Kitaori
典之 北折
Takeshi Miyamura
猛史 宮村
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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  • Heterocyclic Compounds That Contain Two Or More Ring Oxygen Atoms (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Lubricants (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 広い環境条件下で潤滑機能に優れた潤滑剤を
提供することである。 【解決手段】 下記の一般式で表される含フッ素化合
物。 【化1】〔但し、Rf は、フルオロアルキルエーテル
基、Rは、アルキル基またはアルケニル基、Xは、−O
−又は存在しない、Zは、極性基、k,m,nは0〜3
0の整数である。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、含フッ素化合物、
及び含フッ素化合物を含む潤滑剤、並びに記録媒体に関
する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】機械化、部品の小型
化、高精度化に伴い、それらの摺動部における潤滑形態
も液体潤滑から境界潤滑へと移行して来ている。とりわ
け、磁気テープや磁気ディスク等の分野においては、記
録密度の向上を目的とした強磁性金属薄膜の採用によ
り、磁気記録媒体と磁気ヘッドとの間では高度な潤滑特
性が必要となって来た。例えば、耐久性、実用信頼性を
確保しながら磁気記録媒体と磁気ヘッドとの間のスペー
シングロスを極力小さくして高出力化を図る為に、磁性
層表面の潤滑剤層は僅か数nmの厚さに設計されてい
る。しかも、強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体は、磁性
層表面が極めて平滑性に富む為、磁気ヘッドやガイドロ
ーラ等との接触面積が大きくなり、摩擦係数が大きく、
又、貼り付きが起こり易い。この為、磁性層の耐久性が
劣り、かつ、走行性が悪い。
【0003】従って、潤滑剤の選定は極めて重要であ
る。金属薄膜型の磁気記録媒体の潤滑剤としては、その
分子内にフロロカーボン鎖を有するものが金属薄膜との
適合性に優れていることから、フロロカーボン系の潤滑
剤が多数提案されている。例えば、パーフルオロアルキ
ルポリエーテルは従来から良く知られた磁気記録媒体の
潤滑剤である。又、極性基を導入したフッ素系化合物を
潤滑剤として用いることも提案されている。例えば、特
開昭62−103838号には、パーフルオロアルキル
カルボン酸エステル及びパーフルオロポリエーテル類を
含有する潤滑剤層を形成することが記載されている。特
開平4−178357号には、(R)(Rf)NHで表
される含フッ素化合物が記載されている。特開平4−2
71013号には、R1 (CH2 n COO- 3 +
Rで表されるパーフルオロカルボン酸アミン塩化合物を
磁気記録媒体の潤滑剤として用いることが記載されてい
る。特開平7−220267号には、不飽和結合と炭化
水素鎖を含有する特定のフルオロアルキルカルボン酸エ
ステルを磁気記録媒体の潤滑剤として用いることが記載
されている。
【0004】しかし、上記提案の化合物でも満足できる
ものではなく、新たな潤滑剤が求められた。すなわち、
磁気記録媒体、特に金属薄膜型の磁気記録媒体などの記
録媒体の潤滑剤としては、 磁気ヘッドとのスペーシングロスが問題となるの
で、極めて薄く潤滑剤層を形成できること、又、その場
合にも充分な潤滑特性が発揮できること 砂漠、熱帯地方、あるいは寒い極地での使用を考慮
して、広い温度・湿度範囲で長時間の使用に耐え、潤滑
効果が持続すること 等が要求される。
【0005】しかし、従来提案されている潤滑剤では、
走行性、耐久性等の実用特性の面で不満を残している。
特に、上記のように砂漠、熱帯地方、あるいは寒い極
地などのように広い温度・湿度範囲で潤滑効果が持続す
ることは充分に達成されていない。従って、環境変化に
よる潤滑効果の低下を充分に抑制することが出来ない。
又、極めて薄い潤滑剤層を形成する為に、一般に、溶剤
で希釈した潤滑剤溶液を塗布することが行われている
が、当業界で汎用されているパーフルオロポリエーテル
系潤滑剤はフッ素系溶剤にのみ可溶である。しかし、フ
ッ素系溶剤は高価であり、しかもオゾン層の破壊や温暖
化作用が懸念されており、コスト面や環境面から好適な
溶剤とは言えず、この点からも改良が望まれる。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の課題は、下記の一
般式で表されることを特徴とする含フッ素化合物によっ
て解決される。又、下記の一般式で表される含フッ素化
合物を含有することを特徴とする潤滑剤によって解決さ
れる。
【0007】又、支持体と、記録層と、下記の一般式で
表される含フッ素化合物を含有する層とを具備すること
を特徴とする記録媒体によって解決される。特に、支持
体と、前記支持体の上に設けられた記録層と、前記記録
層の上に設けられた下記の一般式で表される含フッ素化
合物を含有する層(潤滑剤層)とを具備することを特徴
とする記録媒体によって解決される。
【0008】或いは、支持体と、前記支持体の上に設け
られた記録層と、前記記録層の上に設けられた保護層
と、前記保護層の上に設けられた下記の一般式で表され
る含フッ素化合物を含有する層(潤滑剤層)とを具備す
ることを特徴とする記録媒体によって解決される。
【0009】
【化4】
【0010】〔但し、Rf は、フルオロアルキルエーテ
ル基、Rは、アルキル基またはアルケニル基、Xは、−
O−又は存在しない、Zは、極性基、k,m,nは0〜
30の整数である。〕 すなわち、上記一般式で表される化合物は、広い環境条
件下で潤滑機能に優れた特長を奏するものであった。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明になる含フッ素化合物は、
下記の一般式で表されるものである。本発明になる潤滑
剤は、下記の一般式で表される含フッ素化合物を含有す
るものである。本発明になる記録媒体(磁気記録媒体)
は、支持体と、記録層(磁性層)と、下記の含フッ素化
合物を含有する層(潤滑剤層)とを具備する。特に、支
持体と、前記支持体の上に設けられた記録層(磁性層)
と、前記記録層(磁性層)の上に設けられた下記の一般
式で表される含フッ素化合物を含有する層(潤滑剤層)
とを具備する。或いは、支持体と、前記支持体の上に設
けられた記録層(磁性層)と、前記記録層(磁性層)の
上に設けられた保護層と、前記保護層の上に設けられた
下記の一般式で表される含フッ素化合物を含有する層
(潤滑剤層)とを具備する。
【0012】
【化5】
【0013】〔但し、Rf は、フルオロアルキルエーテ
ル基、Rは、アルキル基またはアルケニル基、Xは、−
O−又は存在しない、Zは、極性基、k,m,nは0〜
30の整数である。〕 以下、更に詳しく説明する。
【0014】〔含フッ素化合物〕本発明の含フッ素化合
物は、フルオロアルキルエーテル基(Rf )と、アルキ
ル基またはアルケニル基(R)と、極性基(Z)とを持
ち、Rf がRと極性基Zを有するアルキレン基とカルボ
ン酸エステルとで結合されている構造を有する。尚、上
記一般式においては、エーテル結合を示すXを有する場
合と、エーテル結合を示すXが無い場合とがある。Xが
無い場合は、アルキル基またはアルケニル基(R)と極
性基Zを有するアルキレン基とが直接にC−C結合で連
結されているものである。
【0015】フルオロアルキルエーテル基(Rf )とし
ては、例えばF(Ci F2iO)m −,CF3 O−(C2
4 O)m −(CF2 O)n −,CF3 O−(CF2
(CF3 )FO)m −C(CF3 )FO−,F(CF2
C(CF3 )FO)m −(CF2 O)n −等の直鎖ある
いは分岐鎖を有するフルオロアルキルエーテル基があ
る。
【0016】フルオロアルキルエーテル基(Rf )は、
その総炭素数が6〜55のものが好ましい。特に好まし
くは9〜35である。すなわち、総炭素数が5以下であ
ると、磁気記録媒体の潤滑剤とした場合に潤滑性が充分
でなく、逆に、総炭素数が55を超えると、極性基によ
る効果の低下や、溶媒に対する溶解性が低下する。アル
キル基またはアルケニル基(R)としては、例えば炭素
数6〜35のアルキル基またはアルケニル基(二重結合
は一つ、又は二つ以上)が好ましい。特に、炭素数8〜
26の直鎖又は分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基
(二重結合は一つ、又は二つ以上)が好ましい。すなわ
ち、アルキル基またはアルケニル基(R)の炭素数が6
未満、或いは35を越えると、磁気記録媒体の潤滑性は
充分でない。
【0017】上記一般式において、k,m,nは0〜3
0の整数である。好ましくは各々0〜10の整数であ
る。特に好ましくは各々0〜5の整数である。極性基、
特に上記一般式においてZで表される極性基とは、化学
大辞典(東京化学同人出版)に記載されているように、
有機化合物の置換基のうち、その化合物の極性を発現す
る要因になっている置換基を言う。炭素原子と異なる電
気陰性度を持つ原子は極性基となる。尚、−CH2
H,−CH2 COOH,−COOH,−SO3 M,−P
3 2 ,−OPO3 M(但し、Mは水素原子、アルカ
リ金属、アンモニウム),−NCO,−OH,−N
2 ,−NO2 ,−CHO,−CN,
【0018】
【化6】
【0019】等が好ましい極性基である。又、上記のよ
うな極性基が、アルキル基またはアルケニル基(R)に
有っても良い。この場合、アルキル基またはアルケニル
基(R)の鎖中、末端のどちらに有っても良い。極性基
は一つであっても、同一あるいは異なる極性基が二つ以
上あっても良い。
【0020】本発明の含フッ素化合物は、分子内にフル
オロアルキルエーテル基(Rf )、アルキル基またはア
ルケニル基(R)と、極性基(Z)とを持ち、前記Rf
とRとが、前記極性基Zを有するアルキレン基とエステ
ル結合されている構造である。そして、本発明の含フッ
素化合物は、トルエン、メタノール、エタノール、テト
ラヒドロフラン、クロロホルム、メチルエチルケトン、
ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン等の汎用の各
種有機溶媒に可溶である為、コストや用途の面で有利で
あり、潤滑剤の他、各種ワックス類、界面活性剤、防錆
剤としての用途が有る。又、末端の極性基を更に修飾す
ることにより、その物性の変更が可能であり、上記以外
の用途にも応用可能である。
【0021】〔潤滑剤〕上記〔含フッ素化合物〕の項で
説明した本発明の含フッ素化合物は、潤滑剤として、特
に、有用である。潤滑剤の用途は限定されないが、特
に、記録媒体(磁気記録媒体)における潤滑剤として用
いるのが好適である。記録媒体用の潤滑剤の場合、記録
媒体における記録層(磁性層)上に、直接、薄膜状にし
て適用するか、又は該記録層(磁性層)上に設けた保護
層の上に薄膜状にして適用するかの違いは有っても、潤
滑剤層として作用する。当該潤滑剤の適用方法に特に制
限はない。例えば、超音波発振器を備えた噴霧器を用い
た湿式塗布法を用いることが出来る。又、潤滑剤層形成
後、溶剤により洗浄を行っても良い。潤滑剤の形態は、
液状、ワックス状とすることが出来、使用時には適当な
溶剤で希釈した後、上記の方法で適用される。
【0022】記録媒体(磁気記録媒体)用の潤滑剤の場
合、上記含フッ素化合物の含有量(付着量)は、記録媒
体(磁気記録媒体)の形態(テープ、ディスク)等に応
じて適宜調節する。一般的な範囲としての含有量(付着
量)は、記録媒体の表面1m 2 当たり、0.1〜100
mgであるのが好ましい。特に、1m2 当たり1〜50
mgが更に好ましい。すなわち、含有量(付着量)が
0.1mg/m2 に満たないと、十分な潤滑性、耐久性
が得られず、ヘッドやテープを傷つける場合がある。逆
に、100mg/m2 を越えると、テープとテープ、テ
ープと磁気ヘッド、テープとガイドピンとの貼り付き
や、離脱物による磁気ヘッド目詰まり等を起こす場合が
ある。
【0023】本発明において、上記含フッ素化合物は、
一種類単独で使用しても良く、2種類以上を併用しても
良い。更には、磁気記録媒体に通常用いられている潤滑
剤と併用しても良い。例えば、金属薄膜型磁気記録媒体
の場合、AUSIMONTK.K.製のFOMBLIN
や、特開平7−220267号公報、特開昭62−10
3838号公報などに記載の潤滑剤を併用できる。又、
必要に応じて、他の添加剤、例えばフェノール類、キノ
ン類、ナフトール類、及び窒素原子、酸素原子又は硫黄
原子を含む複素環化合物等と併用しても良い。これらの
場合、上記潤滑剤や添加剤は、上記含フッ素環化合物の
混合物100重量部に対して1〜500重量部添加する
ことができる。
【0024】〔磁気記録媒体〕本発明の磁気記録媒体
は、支持体と、磁性層と、上記の含フッ素化合物を含む
層(潤滑剤層)とを具備する。特に、支持体と、前記支
持体の上に設けられた磁性層と、前記磁性層の上に設け
られた上記の含フッ素化合物を含む層(潤滑剤層)とを
具備する。或いは、支持体と、前記支持体の上に設けら
れた磁性層と、前記磁性層の上に設けられた保護層と、
前記保護層の上に設けられた上記の含フッ素化合物を含
む層(潤滑剤層)とを具備する。
【0025】磁性層としては、例えば磁性粉及びバイン
ダを含有する磁性塗料を非磁性の支持体上に塗布して形
成した塗布型の磁性層や、無電解メッキ等の湿式メッキ
手段、あるいは真空蒸着、スパッタリング、イオンプレ
ーティング等のフィジカルベーパーデポジション(PV
D)を用いた乾式メッキ手段により形成された金属薄膜
型の磁性層がある。塗布型磁性層の場合には、本発明の
潤滑剤は磁性層中に含有される。金属薄膜型の磁性層の
場合には、磁性層の上に設けられる。本発明は、金属薄
膜型の磁性層の場合に特に効果的である。
【0026】金属薄膜型の磁性層について説明する。該
磁性層を形成する金属としては、例えば、Fe,Co,
Ni等の金属の他に、Co−Ni系合金、Co−Pt系
合金、Co−Ni−Pt系合金、Fe−Co系合金、F
e−Ni系合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe−Co
−B系合金、Co−Ni−Fe−B系合金、Co−Cr
系合金、或いはこれらにAl等の金属を含有させたもの
等が用いられる。又、これらの金属からなる磁性層を酸
化、窒化、あるいは炭化したものであっても良い。更に
は、上記金属磁性層の形成時に酸化性ガスを供給して、
上記金属磁性薄膜の表面に、酸化膜からなる保護層を形
成しても良い。
【0027】磁性層は、一層の金属薄膜から構成されて
いても、二層以上の金属薄膜が積層されたものでも良
い。磁性層が二層以上の金属薄膜から構成される場合、
各金属薄膜の材質は同一でも、異なっていても良い。
尚、上記金属薄膜型の磁性層は、その全体の厚さが50
〜500nmであることが好ましい。磁性層がその上に
設けられる支持体としては、公知の支持体を特に制限な
く用いることが出来る。具体的には、ポリエチレンテレ
フタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(P
EN)、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネー
ト、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリ
スルフォン、芳香族ポリアミド等の公知の樹脂、アルミ
ニウムや銅等の金属、紙、セラミックス等を使用するこ
とが出来る。形態は、フィルム、テープ、シート、ディ
スク、ドラム等のいずれでも良い。上記支持体には、磁
性層を設ける前に、大気中及び/又は真空中においてそ
の表面に予めコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処
理、熱処理、防塵処理、ボンバード処理などを行うこと
も出来る。上記支持体の好ましい厚さは、1〜300μ
mである。
【0028】上記磁性層上に保護層を設けることもでき
る。この場合、該保護層は、例えばダイヤモンドライク
カーボン、ダイヤモンド、炭化ホウ素、炭化ケイ素など
のカーボン或いは炭化物、窒化ホウ素、窒化ケイ素など
の窒化物、又は酸化ケイ素、酸化クロム、酸化アルミニ
ウムなどの酸化物で構成される。保護層としては、アモ
ルファス状、グラファイト状、ダイアモンド状、若しく
はそれらの混合状態、又は積層状態のカーボン薄膜層か
らなるのが特に好ましい。保護層の厚さに特に制限はな
いが、3〜30nmであるのが好ましい。上記保護層の
形成法としては、CVD(ケミカルベーパーデポジショ
ン)法、或いはPVD法の何れでも良い。CVD法では
マイクロ波を用いたECR(Electron Cyc
lotron Resonance)法や、高周波(R
F)を用いた方法が特に有効である。CVD法により上
記保護層を形成する場合、原料はガス、液体及び固体の
何れのものを用いても良い。
【0029】本発明の磁気記録媒体においては、上記保
護層の他に、必要に応じて、他の層を設けることも出来
る。例えば、上記支持体と磁性層との間に、両者の密着
性を向上せしめる為のアンダーコート層を設けたり、上
記支持体の面における磁性層が形成される面とは反対側
の面に、磁気記録媒体の走行性や耐久性等を向上せしめ
る為のバックコート層を設けることが出来る。この場
合、該バックコート層としては、塗布型あるいは金属薄
膜型の何れでも良い。該金属薄膜型のバックコート層
は、一般に、Al,Cu,Si,Fe,Mo,Mn,Z
n等、又はこれらの合金若しくは酸化物、窒化物、炭化
物などを成膜することにより形成される。バックコート
層の厚さは50〜1000nmであることが好ましい。
【0030】本発明の潤滑剤は、必要に応じて、上記バ
ックコート層中、若しくはバックコート層上に適用する
ことも出来る。バックコート層における上記含フッ素化
合物の付着量や形成方法などについては、磁性層に関し
て詳述した説明が同様に適用される。本発明の含フッ素
化合物を磁気記録媒体の潤滑剤に用いた場合、該含フッ
素化合物の極性基Zは強固に下地膜に結合し、エステル
部が弱く下地膜に結合しており、磁気ヘッドやガイドピ
ンとの間で強い衝撃が起きると、エステル部が付いたり
離れたりすることで衝撃力を吸収する機能を発揮すると
考えられる。
【0031】又、低温低湿下から高温高湿下までの幅広
い環境下において、走行性および耐久性に優れた特長を
奏し、長期間にわたって潤滑効果が維持される。以下、
具体的実施例を挙げて本発明を説明する。
【0032】
【実施例1】 〔含フッ素化合物〕下記の反応式に従って本発明の含フ
ッ素化合物を合成した。
【0033】
【化7】
【0034】 平均分子量650の化合物(I)(m
=2,n=3)65gを過剰な量(48g)の塩化チオ
ニルの下で還流(110℃、3時間)した。そして、塩
化チオニルを減圧により除き、蒸留を続けて化合物
(A)を60.1g(収率90%)得た。 オレイルアルコール26.8gを270mlのテト
ラヒドロフラン(THF)中に溶解し、ピリジン11.
9gを加え、0℃においてTs−Cl28.6gを徐々
に滴下した。1時間後、室温に昇温してヘキサンで抽出
し、減圧濃縮して化合物(B)を40.5g(収率96
%)得た。 アリルグリセルエーテル11.8gを120mlの
ジメチルフラン(DMF)中に溶解し、0℃においてN
aH2.16gを加えた。
【0035】1時間後、化合物(B)38gを徐々に滴
下し、滴下後、室温までゆっくり昇温した。そして、ヘ
キサンで抽出し、減圧濃縮して目的化合物(II)を2
6.3g(収率76%)得た。 化合物(II)30.8gを310gのトルエンに
溶解し、トリエチルアミン(NEt3 )12.12gを
加え、室温にて化合物(A)56.15gを滴下した。
【0036】2時間後、水を加えて抽出後、減圧濃縮し
て目的化合物(III)を76.55g(収率94%)
得た。 化合物(III)76.35gを770ml中のメ
タノール中に溶解し、1.29gのTs−OHと0.1
3gのパラジウムカーボン(Pd/C)を加え、6時間
攪拌した。
【0037】Pd/Cを濾別後、減圧濃縮して目的化合
物(IV)を60.63g(収率83%)得た。この化
合物(IV)を赤外吸収分光(IR)法、核磁気共鳴
(NMR)法、及び質量分析(FAB−MS)法を用い
て調べた処、〔M+H+ 〕=975であり、上記構造式
で表されたものであることが確認できた。
【0038】尚、上記含フッ素化合物(IV)のIRを
図1に示す。 〔潤滑剤、磁気記録媒体(磁気テープ)〕6.3μm厚
のPETフィルム上に、斜め蒸着法を用いて180nm
厚のCo金属薄膜型の磁性層を設けた。尚、酸素ガスを
導入しながら磁性層を形成したので、磁性層はCo−O
型のものとなっている。この磁性層の磁気特性は、保磁
力Hcが1560Oe、飽和磁束密度Bsが5900G
であった。
【0039】上記Co金属薄膜型磁性層の上に、ベンゼ
ンを原料とし、マイクロ波を用いたECR−CVD法に
より、8nm厚のダイヤモンドライクカーボン層(保護
層)を形成した。又、PETフィルムの裏面に、カーボ
ンブラックとバインダとを含む塗料を、乾燥後の厚さが
0.4μmとなるよう塗布し、バックコート層を形成し
た。
【0040】そして、上記含フッ素化合物(IV)をト
ルエンに溶解させ、これを乾燥後の厚さが8mg/m2
となるようダイヤモンドライクカーボン層の上に塗布
し、潤滑剤の層を形成した。この後、通常の工程を経て
1/4インチ幅にスリットし、DVC用磁気テープを得
た。
【0041】
【実施例2】実施例1におけるCF3 (OC(CF3
FCF2 m −(OCF2 n −COOHの代わりにC
3 O−(CF2 CF2 O)m −(CF2 O)n −CO
OHを用いた以外は実施例1の合成方法に準じ、本発明
になる含フッ素化合物CF3O−(CF2 CF2 O)m
−(CF2 O)n −COO−C(CH2 OH)HCH 2
O(CH2 8 CH=CH(CH2 8 H(但し、m=
n=2)を得た。
【0042】又、この含フッ素化合物を用いて実施例1
の方法に準じ、DVC用磁気テープを得た。
【0043】
【実施例3】実施例1におけるCF3 (OC(CF3
FCF2 m −(OCF2 n −COOHの代わりにF
(CF2 C(CF3 )FO)m −(CF2 O)n −CO
OHを用い、又、HO(CH2 8 CH=CH(C
2 8 Hの代わりにHO(CH 2 3 CH=CH(C
2 17Hを用いた以外は実施例1の合成方法に準じ、
本発明になる含フッ素化合物F(CF2 C(CF3 )F
O)m −(CF2 O)n −COO−C(CH2 OH)H
CH2 O(CH2 3 CH=CH(CH2 17H(但
し、m=3,n=4)を得た。
【0044】又、この含フッ素化合物を用いて実施例1
の方法に準じ、DVC用磁気テープを得た。
【0045】
【実施例4】実施例1におけるCF3 (OC(CF3
FCF2 m −(OCF2 n −COOHの代わりにF
(C(CF3 )FCF2 O)m −CF(CF3 )COO
Hを用い、又、HO(CH2 8 CH=CH(CH2
8 Hの代わりにHO(CH22 CH=CH(CH2
6 CH=CH(CH2 6 Hを用いた以外は実施例1の
合成方法に準じ、本発明になる含フッ素化合物F(C
(CF3 )FCF2 O) m −CF(CF3 )COO−C
(CH2 OH)HCH2 O(CH2 2 CH=CH(C
2 6 CH=CH(CH2 6 H(但し、m=3)を
得た。
【0046】又、この含フッ素化合物を用いて実施例1
の方法に準じ、DVC用磁気テープを得た。
【0047】
【実施例5】実施例1におけるCF3 (OC(CF3
FCF2 m −(OCF2 n −COOHの代わりに
(CF3 2 CFO(CF2 CF2 O)m −(CF
2 O)n −COOHを用い、又、HO(CH2 8 CH
=CH(CH2 8 Hの代わりにHO(CH2 8 CH
=CH(CH2 12Hを用いた以外は実施例1の合成方
法に準じ、本発明になる含フッ素化合物(CF3 2
FO(CF2 CF2 O)m −(CF2 O)n −COO−
C(CH2 OH)HCH2 O(CH2 8 CH=CH
(CH2 12H(但し、m=4,n=3)を得た。
【0048】又、この含フッ素化合物を用いて実施例1
の方法に準じ、DVC用磁気テープを得た。
【0049】
【比較例1】実施例1の含フッ素化合物を用いることな
く、すなわち潤滑剤の層を形成していない他は実施例1
の方法に準じ、DVC用磁気テープを得た。
【0050】
【比較例2】実施例1の潤滑剤として用いた含フッ素化
合物(IV)の代わりにアウジモント社のパーフルオロ
ポリエーテル系潤滑剤(商品名FOMBLIN,CF3
−OC(CF3 )F−CF2 m −(OCF2 n −O
CF3 )を用い、又、溶剤としてフッ素系の溶剤(アウ
ジモント社の商品名SV−110)を用いた以外は実施
例1の方法に準じ、DVC用磁気テープを得た。
【0051】
【比較例3】実施例1の潤滑剤として用いた含フッ素化
合物(IV)の代わりにデュポン社のパーフルオロポリ
エーテル系潤滑剤(商品名KRYTOX,F(C(CF
3 )FCF2 O)m −CF2 CF3 )を用い、又、溶剤
としてフッ素系の溶剤(アウジモント社の商品名SV−
110)を用いた以外は実施例1の方法に準じ、DVC
用磁気テープを得た。
【0052】
【特性】上記各例で得た磁気テープを、60℃,90%
RHの環境下に14日間放置した後、市販のDVCカム
コーダーを改造した装置に装着し、5℃,50%RH並
びに40℃,80%RHの環境下でスチル耐久性(出力
が3dB低下するまでの時間)を調べた。又、同じ環境
下で動摩擦係数μを調べたので、その結果を下記の表−
1に示す。尚、動摩擦係数μは、SUS304製ガイド
ピン(直径2.0mm)に張力T1 (10g)、抱き角
π/2で巻き付け、走行速度18.8mm/secで走
行させるのに必要な張力T2 を測定し、μ=1/π・l
n(T2 /T1 )より求めた。
【0053】 表−1 ス チ ル 耐 久 性 動 摩 擦 係 数μ 5℃,50%RH 40℃,80%RH 5℃,50%RH 40℃,80%RH 実施例1 >60分 >60分 0.24 0.25 実施例2 >60分 >60分 0.26 0.27 実施例3 >60分 >60分 0.25 0.26 実施例4 >60分 >60分 0.25 0.26 実施例5 >60分 >60分 0.24 0.26 比較例1 0 0 0.95 測定不能 比較例2 6分 3分 0.42 0.52 比較例3 3分 1分 0.46 0.54 又、上記各例で用いた潤滑剤について、ASTM D4
172Bに準じて四球摩耗試験を行った。具体的には、
75℃に加熱した球に上記潤滑剤を滴下し、上部の球に
40kg加重しながら1200rpmで1時間回転した
後の下部の3球の磨耗痕直径を測定し、平均値を得たの
で、その結果を表−2に示す。
【0054】 表−2 平均摩耗痕直径(mm) 実施例1の潤滑剤 0.55 実施例2の潤滑剤 0.53 実施例3の潤滑剤 0.55 実施例4の潤滑剤 0.54 実施例5の潤滑剤 0.57 比較例1(潤滑剤なし) 破損 比較例2の潤滑剤(商品名FOMBLIN) 0.68 比較例3の潤滑剤(商品名KRYTOX) 0.71 上記表−1や表−2から判る通り、本発明の化合物は潤
滑特性に優れたものであり、そして記録媒体に用いられ
た場合、その走行特性が良好な特長を奏する。
【0055】又、本発明の化合物は、通常の炭化水素系
の溶剤に溶けるものであり、特殊なフッ素系の溶剤を用
いなくても済むので、極めて好都合である。
【0056】
【発明の効果】本発明の化合物は、フルオロアルキルエ
ーテル基(Rf )と、アルキル基またはアルケニル基
(R)と、極性基(Z)とを持ち、Rf がRと極性基Z
を有するアルキレン基とカルボン酸エステルとで結合さ
れている構造を有する構造のであるから、通常の安価な
炭化水素系の溶剤に溶けるものであり、高価なフッ素系
の溶剤を用いなくても済むので、極めて好都合である。
【0057】そして、本発明の化合物は潤滑特性に優れ
たものである。特に、記録媒体に用いた場合、その走行
特性を向上させ、例えばスチル耐久性に優れた特長を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】含フッ素化合物のIRスペクトル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 309/41 C07C 309/41 C07D 317/54 C07D 317/54 C07F 9/09 C07F 9/09 K 9/38 9/38 B C10M 105/54 C10M 105/54 G11B 5/72 G11B 5/72 // C10N 40:18

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式で表されることを特徴とす
    る含フッ素化合物。 【化1】 〔但し、Rf は、フルオロアルキルエーテル基、 Rは、アルキル基またはアルケニル基、 Xは、−O−又は存在しない、 Zは、極性基、 k,m,nは0〜30の整数である。〕
  2. 【請求項2】 下記の一般式で表される含フッ素化合物
    を含有することを特徴とする潤滑剤。 【化2】 〔但し、Rf は、フルオロアルキルエーテル基、 Rは、アルキル基またはアルケニル基、 Xは、−O−又は存在しない、 Zは、極性基、 k,m,nは0〜30の整数である。〕
  3. 【請求項3】 支持体と、記録層と、下記の一般式で表
    される含フッ素化合物を含有する層とを具備することを
    特徴とする記録媒体。 【化3】 〔但し、Rf は、フルオロアルキルエーテル基、 Rは、アルキル基またはアルケニル基、 Xは、−O−又は存在しない、 Zは、極性基、 k,m,nは0〜30の整数である。〕
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102115425A (zh) * 2009-12-30 2011-07-06 重庆华邦胜凯制药有限公司 一种直链烯醇及其制备方法

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