JPH11347629A - 高温鋼板の矯正及び冷却装置並びにその矯正及び冷却方法 - Google Patents

高温鋼板の矯正及び冷却装置並びにその矯正及び冷却方法

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JPH11347629A
JPH11347629A JP16013598A JP16013598A JPH11347629A JP H11347629 A JPH11347629 A JP H11347629A JP 16013598 A JP16013598 A JP 16013598A JP 16013598 A JP16013598 A JP 16013598A JP H11347629 A JPH11347629 A JP H11347629A
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cooling
steel sheet
nozzle
steel plate
straightening
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JP16013598A
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English (en)
Inventor
Teruo Fujibayashi
晃夫 藤林
Hiroshi Kibe
洋 木部
Shunichi Sugiyama
峻一 杉山
Akira Takane
章 多賀根
Yoshitaka Inoue
義隆 井上
Shosei Kamata
正誠 鎌田
Takashi Uchimura
孝 内村
Masayuki Horie
正之 堀江
Shogo Tomita
省吾 冨田
Yoneaki Fujita
米章 藤田
Isao Takahashi
高橋  功
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼板の熱間圧延製造工程のオンラインで、圧
延後の矯正と水冷却の組合せで鋼板表面の熱流束が温度
に対し正の勾配を有し、且つ上下面の対応各部位の温度
履歴が同じになる冷却技術を、構造が簡単で安価な設備
で実現する。 【解決手段】 圧延後第1矯正、水冷却4 、第2矯正の
工程で、複数の上下ロール対6aで冷却水を水切りしつつ
搬送し、板形状目標に応じ下記事項を行なう。第1矯正
はロール5本以上、多重式の簡易レベラー。ロールクラ
ウン、第1矯正前に幅方向のガイド設置。幅方向に並ん
だノズル孔列8 やスリット10からの噴出冷却水が形成す
る噴射列の数を、板下面側を上面側より多くし、且つ各
ロール間で冷却水の板表面への衝突開始長さ方向位置を
上下面で一致。ロールによる水切り不完全な板上面の漏
水を板側端部から反対側端部に吹き飛ばす。ノズル形式
はスリット、スプレー、円管ラミナーノズル、導管付き
円管噴流、多孔板とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、熱間圧延された
高温鋼板のオンライン冷却において、圧延後の高温鋼板
の歪みを矯正し、均一に冷却し、そして再度矯正して平
坦な鋼板を製造するための、高温鋼板の矯正及び冷却装
置、並びにその矯正及び冷却方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、高温鋼板の冷却と圧延とを組み合
わせた制御圧延や、オンラインで高温鋼板を冷却する制
御冷却において、製品の高品質化に伴って高精度の温度
制御、特に冷却停止温度制御が行なわれている。
【0003】一般に、熱間圧延された高温の鋼板は、圧
延直後の鋼板の温度分布や形状あるいは表面状態の相違
に起因して、冷却中に冷却ムラが生じやすい。鋼板の冷
却ムラは、更に、冷却装置の性能にも起因して発生し易
い。そして、鋼板に冷却ムラが発生すると、冷却後に鋼
板の変形や残留応力、材質のバラツキ等が発生する。特
に、熱間圧延された厚鋼板をオンラインで冷却する場合
には、鋼板の上面および下面に対する冷却が上下で対称
に行なわれにくいために、冷却中に、鋼板の変形による
製造ラインの通板障害など、操業上のトラブルも発生す
る。また、このように変形した鋼板は後工程において、
プレスや矯正機による精整処理を要するのでコスト高と
もなる。
【0004】そこで、従来、鋼板の冷却ムラを無くすた
めに、鋼板の均一な冷却方法が提案され、また、冷却に
先立ち鋼板を平坦に矯正したり、更に、冷却後に再度矯
正したりする方法が提案されている。
【0005】このような鋼板の均一な冷却及び平坦化を
実現するためには下記事項が重要である: 1.冷却装置において、冷却後の冷却水の水切りを完全
に行ない、そして、鋼板から速やかに冷却残水を除去す
ること、 2.冷却装置へ送り込む鋼板は、歪みの小さい状態のも
のを送り込むこと、 3.冷却装置内での鋼板の冷却は、常に温度のより高い
部分から冷却され、且つ、鋼板の上下面の対応する各部
位における温度履歴が同じになるように行なうこと、及
び、 4.冷却装置から送り出された鋼板は、速やかに所要の
平坦な形状に矯正処理をすること。
【0006】さて、高温鋼板の冷却を製造工程のオンラ
イン通過型で行なう場合には、熱間鋼板圧延装置の直後
に、所謂オンライン冷却装置を設ける。オンライン冷却
装置としては、鋼板の流れに沿って、矯正装置、冷却装
置及び矯正装置の順に配置され、構成されたものが望ま
しい。例えば、下記技術が開示されている。
【0007】特開昭54−124864号公報 熱間圧延機の直後に設けられた第1のホットレベラー
と、このレベラーの直後に設けられた鋼板冷却装置と、
この冷却装置の直後に設けられた第2のホットレベラー
とからなる一連の装置を用いて平坦な鋼板を得る技術が
開示されている(以下、先行技術1という)。
【0008】次に、冷却装置としては、所要の間隔を空
けて設けられた複数組のロールに鋼板を通しながら、各
ロール間において冷却水を注水し鋼板冷却を行なう方式
が一般的である。即ち、各ロール間に鋼板冷却機構を設
けて冷却ゾーンを形成させ、また、各ロールは、鋼板上
面の冷却水を堰止める水切りロールの機能を兼ねたもの
(以下、拘束ロールという)とする。
【0009】上記冷却装置を用いた鋼板の冷却におい
て、特に厚鋼板は製品サイズが大きく板幅が5mにも及
び、更に板厚も厚いので、これを冷却するためには多量
の冷却水を使用する。このような多量の冷却水を各冷却
ゾーンの終端でいかに堰止めて水切りを行なうか、更
に、この堰止められた冷却水をいかに速やかに鋼板の側
端部から流出・離脱させるかが、鋼板の歪み防止及び冷
却停止温度制御の上から重要な課題となっている。
【0010】これに対して、鋼板の水切り装置に関して
従来種々の研究がなされている。例えば、次のような技
術が提案されている。 実開昭53−39508号公報 鋼板の上面に向けて、空気ノズルを上下自在に配置し、
噴射される空気によって鋼板上面の水切りを行なう方法
が開示されている(以下、先行技術2という)。
【0011】特開平7−9023号公報 テーブルローラ上を移送される鋼板の一方の側端側に水
噴射ノズルを設け、これより鋼板の幅方向に高圧のスプ
レー水を噴射し、鋼板上に滞留している残水を鋼板の他
方の側端から排除する方法が開示されている(以下、先
行技術3という)。
【0012】実開昭58−125611号公報及び実
開昭59−161062号公報 鋼板を間に挟む、上下に設けられたゴムライニングロー
ルで鋼板を押圧して水切りする方法が開示されている
(以下、先行技術4という)。
【0013】特開昭60−206516号公報及び実
開平7−33406号公報 水切りロールを配置し、その出側の板幅方向中央部に水
噴射ノズルを設け、これより両側端部に向けて水を噴射
すると共に水切りロールに向けて水を噴射し、水切りを
する方法が開示されている(以下、先行技術5とい
う)。
【0014】また、冷却装置内で鋼板を冷却中、鋼板各
部位での温度履歴が上下面の対応する位置でできるだけ
同じにするような技術が提案されている。例えば、次の
ような技術が開示されている。
【0015】特開昭61−153235号公報 厚鋼板を2つの冷却装置にオンラインで通過させて冷却
するに際し、第1段の冷却装置では上下のスリットノズ
ルから冷却水を噴射し、第2段の冷却装置ではスプレー
ノズルから冷却水を噴射して厚鋼板を冷却する装置が開
示されている(以下、先行技術6という)。
【0016】特開昭61−264137号公報 鋼板の上方および下方に設けられたスリットノズルか
ら、15〜25°の角度で鋼板に対し冷却水を噴射して
冷却する方法が開示されている(以下、先行技術7とい
う)。
【0017】特開昭59−144513号公報 鋼板を挟んでその上下に、相対向する2組のノズルを設
け、このノズルから冷却水を噴射して鋼板を冷却する方
法が開示されている(以下、先行技術8という)。
【0018】特開昭63−168215号公報 上部冷却ノズルは板幅方向に長いスリットノズルであ
り、上流側ロールの出側近傍に設けられ、鋼板の表面に
沿って進行方向に冷却水を噴射する。上面側冷却水は、
下流側ロールの近傍で吸水される。一方、下部ノズルも
上部ノズル同様のスリットノズルであるが、ロール間中
央部に設けられて、鋼板下面に向けて冷却水を噴射する
方法が開示されている(以下、先行技術9という)。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】(1)先行技術1によ
れば、圧延後の高温鋼板を均一に冷却し、平坦な鋼板を
製造するに際し、圧延の歪みによる内部応力を第1のホ
ットレベラーで開放し、引き続き発生する冷却歪みによ
る内部応力を第2のホットレベラーで開放する点におい
て優れている。しかしながら、鋼板の冷却装置及び2基
のホットレベラーについては常用されているものを使用
するに留まっている。従って、比較的大きな冷却歪みが
発生するので、第2のホットレベラーとして負荷荷重の
大きなものが必要となり、設備費が高くなる。
【0020】(2)従来の冷却水水切りや冷却残水除去
に関しては、先行技術2のように鋼板上面に自在に空気
ノズルを配置して噴射空気で水切りをする方法や、先行
技術3のように鋼板の側端部から高圧のスプレー水を噴
射して鋼板上面に滞留している冷却水の残水を排除する
という方法では、幅広の厚鋼板の場合には大量の冷却水
を流すので、これを非接触状態で堰止めし、鋼板の側端
部へ押しやり排除することは難しい。また、先行技術4
のゴムライニングロールによる水切りや、先行技術5の
水切りロールの出側の板幅中央部から板の両側端部とそ
の水切りロールとに水を噴射させて水切りをする方法に
よれば、漏水排除の効果はある程度発揮されるべきだ
が、実施には鋼板の歪みが相当発生しているので鋼板と
水切りロールとの間の隙間から流出する冷却水を排除す
ることは難しく、また、冷却停止温度の高精度で制御す
ることは困難である。
【0021】(3)冷却装置の鋼板均一冷却性能に関し
ては、冷却中における鋼板各部位での温度履歴を上下面
の対称位置で同じになるように冷却水を鋼板に注水する
技術が重要となる。
【0022】この点に関しては、先行技術6〜8のいず
れによっても冷却水の注水量を上述したように調整する
ことは難しく、特に、冷却中に鋼板に発生する歪みや応
力のために、冷却中または冷却後に鋼板が変形する問題
があった。即ち、高温鋼板の上面においては、鋼板に衝
突した冷却水の噴流による冷却に加え、鋼板上面を流れ
る衝突後の滞留水による冷却が存在する。また一方、鋼
板の下面側においては、鋼板に衝突後の冷却水は、重力
の影響によって直ちに鋼板から離脱するので、衝突噴流
のみによる冷却しか期待できない。従って、鋼板の上下
面を同じ方式で冷却する方法では、上下対称の冷却を行
うことはできない。
【0023】そこで、一般には、鋼板の下面に対する冷
却水の流量や流速を大にし、または、下面の冷却長を長
くするなどの方法、または、鋼板下面側の冷却量と上面
側の冷却量とが同一になるように、上面側の冷却量を少
なくする等の調整を行うことが必要とされていた。
【0024】更に、鋼板の上下面に対する冷却量が同じ
であったとしても、鋼板長手方向の冷却分布には明らか
な相違があった。即ち、鋼板上面側では、鋼板に冷却水
が衝突した後も、その冷却水は、鋼板の表面上を流れる
ので、熱流束は、鋼板の長手方向に一様であるのに対
し、鋼板下面側では、衝突した冷却水は直ちに鋼板の下
面から離脱するために、鋼板長手方向の進行方向に向か
って熱流束が降下する傾向があった。
【0025】鋼板下面の熱流束を上げ、または、鋼板上
面の熱流束を下げる等の手段によって、鋼板上下両面の
冷却量を同一にしても、局所的に見た場合に、長手方向
の位置によっては、常に上下対称の冷却が行われている
とはいい難く、従って、鋼板の上面および下面の温度履
歴が同じにはならず、その結果、このような温度履歴の
相違から、鋼板に残留歪みや変形が生ずることは避けら
れなかった。
【0026】先行技術9においては、上下面ともに板幅
方向に長いスリットノズルから冷却水を噴射し、上部ノ
ズルは冷却ゾーンの開始位置に、下部ノズルは冷却ゾー
ンの中央部に噴射する。従って、鋼板とノズルから噴射
された冷却水との衝突開始の鋼板搬送方向の位置が異な
り、また、衝突後の熱流束も、鋼板上面側は、その長手
方向に比較的一定ではあるが、鋼板下面側においては、
その長手方向に熱流束の強弱が存在する結果、上下面の
冷却が完全な対称にはならず、従って、歪みの発生が避
けられない。
【0027】(4)この発明の目的は、熱間圧延後の高
温の鋼板をオンライン冷却において均一に冷却し、平坦
で均質な鋼板を得ることができる矯正及び冷却装置を提
供することにある。この目的の達成には、上記(1)、
(2)及び(3)項で述べた問題があり、各問題を解決
するための課題を次の3項目に整理した。
【0028】鋼板のライン進行方向に従って順に、第1
の矯正装置、冷却装置、次いで第2の矯正装置を設けた
矯正及び冷却装置において、課題1.第1の矯正装置と
して、構造が簡単で設備費の安価なものを使用して、次
の冷却装置における冷却水の水切りを容易に行なえる程
度に鋼板の歪みを小さくすることができる装置を開発す
る。
【0029】課題2.何らかの理由、例えば、熱間圧延
直後の鋼板の歪みが異常に大きい場合や、第1の矯正装
置が、例えばレベリングロールクラウンの摩耗により鋼
板歪みを所定値以下に抑えることができなかった場合等
の理由により、冷却装置で拘束ロールによる鋼板冷却水
の水切りが十分に行なわれず、拘束ロールから漏水した
場合でも、その漏水した冷却水を鋼板から速やかに除去
できる装置を開発する。
【0030】課題3.冷却装置として、(イ)鋼板表面
における熱流束と温度との間に、鋼板表面の熱流束の勾
配の正負は、常に、鋼板表面の温度勾配の正負と一致す
る関係にあること、即ち、鋼板表面温度が周囲より高い
部分が低い部分よりも常に強く冷却される条件、及び/
又は、(ロ)鋼板の上下面の対応する各部位における温
度履歴が同じになるように冷却することができる条件を
備えたものを開発する。
【0031】この発明においては、上記各課題の解決手
段を研究し、重点的に選択採用して実施することにより
その目的を達成するものである。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
観点から、高温鋼板の矯正及び冷却装置を開発すべく鋭
意研究を重ねた。
【0033】(1)先ず、鋼板を均一に冷却することが
できる冷却装置の開発に関連して、本発明者等は、課題
3の(イ)項の鋼板表面における熱流束が鋼板表面の温
度に対して正の勾配を有している冷却条件で冷却が行な
える装置を検討し、下記実験を行なった。
【0034】図3は実験に用いた冷却装置の一部を示す
概略斜視図である。冷却装置4は、上下に配置された2
0組の拘束ロール6で、圧延後の高温の鋼板1を搬送し
ながらオンラインで冷却を施す冷却装置であって、各拘
束ロール6の間隔sは1000mmである。ここで、各
拘束ロール6は冷却水の水切り機能と鋼板1の搬送機能
を有する。各拘束ロール6の間において冷却水で鋼板1
を冷却するための上部冷却上ノズル7及び下部冷却ノズ
ル8を設ける。
【0035】上部冷却ノズル7は、各拘束ロール6間の
鋼板上面側で当該拘束ロールの出側直後に設け、冷却水
を当該拘束ロールから下流側隣りの拘束ロールに向けて
注水する。使用するノズルとしてスリットノズル10を
用い、スリット長さ方向を板幅方向に平行に配置したス
リットノズル10から、2000リットル/min・m
2 の冷却水を鋼板表面に沿って流す。
【0036】一方、鋼板下面側には、下部冷却ノズル8
として、板幅方向に平行な直線上に100mmピッチで
並んだノズル列を、各拘束ロール間隔を6分割する位置
の5箇所に設けた。こうして設けられた5列のノズルか
ら上方に冷却水を噴射する。ノズル列を構成する各ノズ
ルの型式は、導管付き円管噴流ノズルである。これは、
円管ノズルを上に向け、その直上に内径が円管ノズルの
外径より大きい導管を配置し、導管の上端が、別途用意
された容器に十分多量に供給される冷却水中に没してい
るものである(図7の符号13を参照)。円管から冷却
水を噴射すると、その随伴流で生じた冷却水の液流が鋼
板下面に衝突し、鋼板を冷却する。下面側の冷却水量密
度は、1000リットル/min・m2 とした。
【0037】上記冷却装置4の拘束ロール6間に、耳波
形状の急峻度が2%の歪みをもった熱間状態の鋼板を噛
み込ませ、鋼板搬送を停止した静的な冷却実験を行なっ
た。その結果、上面の水流は、鋼板の形状に沿って流
れ、冷却後の鋼板の温度分布は均一であった。このよう
な冷却装置を用いれば、冷却前の高温鋼板の形状をそれ
以上乱すことはないとの知見を得た。
【0038】(2)次に、課題1の冷却水の水切りロー
ルによる水の切れ具合に関連し、本発明者等は次のよう
な実験と解析を行ない、詳細に検討した。先ず、実生産
の厚鋼板と同じ板厚で歪みの無い冷間状態の鋼板を、複
数組の拘束ロールに順次噛み込ませて通板させながら各
拘束ロール間で鋼板に注水し、拘束ロールによる鋼板の
水切り状況を試験した。その結果は予想される通り、拘
束ロールに単純な鋼製ロールを使用しても完全に水切り
が行なわれることがわかった。このように、鋼板に歪み
が無ければ、拘束ロールが鋼板から浮き上がることはな
い。
【0039】次に、鋼板に予め所定の歪みを与え、これ
を冷却装置に通して、水切り状態を試験した。拘束ロー
ルの押さえ力は5tとした。その結果、鋼板の厚さと歪
みの大きさとにより、水切りが良好に行なわれたり、あ
るいは水切りが不良になったりするとの結果が得られ
た。
【0040】図20はその状態を示す。同図は、板厚が
10mm、20mm及び30mmの場合の、鋼板の耳波
形状の急峻度とロールによる水切り性の良・不良との関
係を示すグラフである。但し、耳波の波高をA、耳波の
ピッチをBとした場合、 急峻度α=(A/B)×100(%) ----------------(1) で表示した。図20からわかるように、鋼板歪みが小さ
いときには水切り性は良好であるが、歪みがある大きさ
を超えると水切り性は悪化して、良好と不良とが混在す
る(同図中、斜線の領域)。歪みが更に大きくなると水
切り性は常に不良となる。そして、板厚が大きくなる
と、良好な水切り性が得られる上限の歪みは小さくな
る。但し、これら水切り性の良好・不良に及ぼす歪みの
影響は、拘束ロールの抑え力の大きさにより変化する。
【0041】このように、第1の矯正装置により鋼板の
歪みを所要の値以下にしてから、次の冷却装置に送り込
めば、冷却装置内の拘束ロールにより、冷却水の水切り
を良好に行なうことができる。但し、ここで、冷却装置
に入る前の鋼板の歪みの上記所要の値は、冷却装置の拘
束ロールの性能諸元、特に拘束ロールの抑え力、並びに
鋼板の板厚及び板幅に応じて定まる。
【0042】本発明者等は上記知見を得たので、現状で
は効果が不十分な水切り装置の開発を今後完成した上
で、これを本発明の冷却装置に設けるという工程は採用
しなかった。
【0043】冷却装置へ入る前の鋼板の歪みを、図20
に示したように所要の値以下に抑えるための矯正装置と
しては、繰り返し曲げを行なうことができる簡単な構造
のホットレベラー装置が適している。一般に、厚鋼板製
造のオンラインでの形状矯正に多く利用されているホッ
トレベラーは、1基当たり約10億円以上の巨額の建設
費がかかる。しかし、この発明で鋼板冷却を均一にする
ために冷却装置の入側に設置する第1の矯正装置として
のホットレベラーは、2重式であってロールが5本以上
のものであれば十分その目的を達する。但し、2重式レ
ベラーでは、ロールの曲がりが鋼板形状に悪影響を及ぼ
し、通常の厚鋼板のレベラーとしては使用できないが、
ロール径を大きくし350mm以上にすれば、鋼板形状
が乱れ易い板厚15mm以下の鋼板については、これ
を、水切り性を確保し得る形状に矯正することはでき
る。
【0044】即ち、上記鋼板形状の矯正時には、矯正荷
重により、レベリングロールにたわみが発生する。表1
にその結果を示す。
【0045】
【表1】
【0046】これからわかるように、鋼板形状矯正時の
レベリングロールのたわみは、板幅が広くなるほど、そ
して板厚が厚くなるほど大きくなる。そこで、この矯正
荷重によりレベリングロールにたわみτ(mm)が生じ
たときに、このたわんだ状態のレベリングロールで鋼板
を矯正し、矯正装置から出てきた鋼板に残留する耳波の
急峻度α(%)を求めた。一方、上記図20等により、
次工程の冷却装置の拘束ロールによる水切りが良好とな
る耳波の急峻度の許容上限値αU,Lim (%)が求められ
ているので、この急峻度の許容上限値αU,Lim (%)に
対応する、鋼板形状矯正時のレベリングロールのたわみ
τU,Lim (mm)を求めることができる。こうして、拘
束ロールによる水切り性が良好となるレベリングロール
のたわみの上限値τU,Lim (mm)を、鋼板の板幅と板
厚との組合せに応じて求めた。この結果によれば、上記
表1において、二重線よりも上側の板幅且つ板厚の高温
鋼板であれば、拘束ロールによる水切り性は良好である
との結果が得られた。なお、表1において、レベリング
ロールの径は350mm、レベリングロール胴長は47
00mmの場合であり、水切り性を十分に確保し得る矯
正力を備えたホットレベラーが得られる。
【0047】更に、レベリングロールにクラウンをつけ
てたわみを補償すれば、より板厚の大きい範囲まで良好
な水切りが得られるようになり、適用範囲が拡大する。
表2は、表1と同一の条件で、クラウン付きレベリング
ロールを用いた場合のレベリングロールの相当たわみ量
である。
【0048】
【表2】
【0049】クラウン形状は、ロール胴長方向のロール
表面の曲線形状がsin関数の半波長分になるように設
計してあり、クラウン量は直径差で0.8mm(即ち、
胴長中心の直径が350.8mm)である。板厚25m
m以下では、ほぼ全ての板幅で水切り性が良好に確保さ
れており、圧延にて生じた形状不良(ひずみ、反り)に
対処できる範囲が拡大する。
【0050】なお、表1及び2のレベリングロールのた
わみは、5本以上のレベリングロールをもつ2重式ホッ
トレベラーで発生したたわみの最大値で示したものであ
る。上述した種々の知見に基づき、高温鋼板の矯正及び
冷却に関する装置及びその方法の発明を次のように構成
した。
【0051】初めに、装置に関する発明について述べ
る。請求項1記載の発明は、上記(1)及び(2)項に
述べた知見に基づきなされたものであり、その高温鋼板
の矯正及び冷却装置は、熱間圧延された高温鋼板の形状
不良を、鋼板の冷却前に矯正するための第1の矯正装置
と、この矯正装置の出側に設置され、そして上下に各1
本ずつ配置されたロールで1組をなす複数組の拘束ロー
ルで噛み込んでその高温鋼板を搬送しながらその各拘束
ロール間において、高温鋼板の上下面に冷却水を注水し
てその鋼板を冷却するための冷却装置と、この冷却装置
の出側に設置され、そしてその冷却装置で冷却された当
該鋼板の形状不良を矯正するための第2の矯正装置とか
らなる高温鋼板の矯正及び冷却装置において、上記第1
の矯正装置が下記(a)項の構成を有することに特徴を
有するものである。 (a)前記第1の矯正装置の方式は、ホットレベラーで
あって、前記ホットレラーはロール本数5本以上、且つ
前記ホットレベラーの圧下・駆動機構の形式は2重式以
上の多重式構造であること。
【0052】請求項2記載の発明は、上記(1)及び
(2)項に述べた知見に基づきなされたものであり、請
求項1記載の発明の(a)項のレベリングロールが、下
記(b)項の構成を有することに特徴を有するものであ
る。 (b)上記ホットレベラーのレベリングロールにはクラ
ウンが施されていること。
【0053】(3)本発明者等は、課題1のロールによ
る冷却水の水切りについて、更に次の実験を行なった。
上記(1)の実験で用いた装置を用い、上記(2)の実
験方法に準じ、第1の矯正装置の入側に鋼板ガイドを設
け、圧延後の高温鋼板の幅中心線を、その矯正装置の幅
中心線に合わせた。そしてレベリングロールにより矯正
後、冷却装置に送り込んだ。冷却装置内の拘束ロールの
抑え力5tとした。そして、鋼板の冷却水の水切り性及
び急峻度を測定した。
【0054】その結果、鋼板ガイドで鋼板の幅を矯正機
のレベリングロール幅中心に合わせて噛み込ませること
により、鋼板の急峻度の分布は、鋼板ガイドを使用しな
い場合に比べて小さくなり、改善された。更に、鋼板ガ
イドによる鋼板の幅の上記センターリング操作により、
冷却装置の拘束ロールへの鋼板の噛み込み状態も、幅方
向にセンターリングされるようになった。その結果、拘
束ロールによる水切り性の、冷却装置に入る前の鋼板の
急峻度への依存性が著しく強くなった。そして、図20
にみられたような、急峻度が同じ水準にあっても水切り
性が良好であったり、不良であったりする混在領域がな
り、水切り性が安定した。
【0055】上記、鋼板の幅方向位置合わせを目的とす
る鋼板ガイドの構造としては、特殊な機能を必要としな
い。但し、その設置場所については、第1の矯正装置の
直前に設け、そしてそのガイドで当該矯正装置の幅中心
線に鋼板の幅中心線を合わせれば、鋼板は当該矯正装置
で拘束されるから、冷却装置に対してもその幅中心線に
鋼板の幅中心線が合致するので、好都合である。
【0056】請求項3記載の発明は、上記(1)及び
(2)項に述べた知見に、更にこの(3)項の知見を付
加してなされたものであり、その高温鋼板の矯正及び冷
却装置は、請求項1又は2記載の発明において、上記第
1の矯正装置が下記(c)項の構成を有することに特徴
を有するものである。 (c)第1の矯正装置の入側に、高温鋼板の板幅中心線
を当該矯正装置の幅中心線に合わせるための高温鋼板の
ガイド機構を備えていること。
【0057】(4)第1の矯正装置と冷却装置との両方
がそれぞれ、上述した通りの構成をとっていれば、拘束
ロールである水切りロールと鋼板との間に生じた隙間か
ら冷却水が漏れるとしても、その量は少なく、実用上鋼
板の均一冷却及び冷却停止温度制御に対して支障ない。
しかしながら、例えば、冷却のアンバランスや、冷却装
置前の形状矯正が十分でなくなったときに、水切りロー
ルと鋼板との間に隙間が生じる。この場合には、漏水し
た冷却水を鋼板上面から速やかに除去しないと、冷却を
していないゾーンにおいてこの漏水が鋼板を不均一に冷
却する。
【0058】そこで、課題2の水切りロールからの漏水
を、鋼板から速やかに除去するための機構として、拘束
ロールの出側の直後において、鋼板側端の一方から他方
に向けて高圧水を鋼板上面に滑走させるように噴射させ
れば、上記程度の漏水を鋼板表面から速やかに除去でき
るとの見通しを得た。
【0059】請求項4記載の発明は、上記(1)〜
(3)項に述べた知見に、更にこの(4)項の知見を付
加してなされたものであり、その高温鋼板の矯正及び冷
却装置は、請求項1、2又は3記載の発明において、上
記冷却装置は、下記(d)項の構成を有することに特徴
を有するものである。 (d)その冷却装置の複数組の各拘束ロールの出側に、
鋼板上面の一方の側端部から他方の側端部に向かう噴流
体を形成させるための流体噴射機構を備えていること。
【0060】(5)次に、鋼板を均一に冷却することが
できる冷却装置の開発に関連して、本発明者等は、課題
3の(ロ)項である、鋼板の上下面の対応する各部位に
おける温度履歴が同じになるように冷却することができ
る条件で冷却が行なえる装置を開発するため下記検討を
行なった。
【0061】図22は、圧延直後の鋼板の上面および下
面に、スリットジェットノズルから冷却水を噴射して鋼
板を冷却した際における、鋼板の表面と裏面の温度履歴
を、有限要素法による熱弾塑性解析によって求めた結果
を示すグラフであり、図23は、その際の鋼板の板幅方
向の反りであるC反り量δ(mm)の経時変化を、有限
要素法による熱弾塑性解析で求めた結果を示すグラフで
ある。
【0062】図22および図23から明らかなように、
鋼板の上面に対する総括熱伝達率と下面に対する総括熱
伝達率の相違によって、上下面が同じ冷却終了温度であ
っても、鋼板に残留C反りが発生している。これを回避
するためには、冷却ゾーン全体の冷却量のみならず、冷
却途中における冷却熱流束を鋼板上下面で同じに保つ必
要がある。
【0063】図24に、鋼板の上面及び下面における冷
却水の通常の接触状態を示す模式図を示す。ここで、オ
ンラインで搬送される鋼板1に注目する。図24に示す
ように、前段の拘束ロール6を通過した後の鋼板1の上
面に冷却水が接触開始する位置は直線pの位置であり、
下面に冷却水が接触開始する位置は直線qの位置であ
る。このように、鋼板上下面へ冷却水が接触を開始する
鋼板長手方向の位置が同じでないと、鋼板の板幅方向断
面形状が上又は下に凸に湾曲した鋼板のC反りが発生す
ることが有限要素法による熱弾塑性解析で判明した。そ
の結果を、図25に示す。
【0064】図25は、鋼板の上下面が冷却水と接触を
開始する位置をそれぞれ、p及びqとし、鋼板搬送方向
にその接触開始位置の座標軸をとり、pとqとの差yと
C反り量δとの関係の一例を示すグラフである。同図か
らわかるように、yの絶対値が大きいほど急激にδの絶
対値が大きくなっている。このように、ノズルから噴射
された冷却水と鋼板面との接触開始の鋼板搬送方向位置
の上下面のずれは、鋼板のC反りに大きな影響を及ぼ
す。しかしながら、このずれyが所定値以下であれば鋼
板のC反りは実用上発生しないことを知見した。
【0065】本発明者等は、既に上記(1)項におい
て、鋼板の均一冷却の検討の中で、課題3の(イ)項で
ある鋼板表面の温度分布に対する熱流束の望ましい条件
についての知見を得ている。また、鋼板下部の冷却水は
鋼板に衝突後、重力の影響により鋼板から直ぐに離脱す
る。従って、上部冷却ノズルの個数は、下部冷却ノズル
の個数よりも多数設けなければ、鋼板上下面を対称的に
冷却することはできない。
【0066】請求項5記載の発明は、上記(1)での知
見にこの(5)項での知見を付加してなされたものであ
り、その高温鋼板の矯正及び冷却装置は、下記の特徴を
もつものである。即ち、熱間圧延された高温の鋼板の形
状不良を上記鋼板の冷却前に矯正するための第1の矯正
装置と、この第1の矯正装置の出側に設置され、そして
上下に各1本ずつ配置されたロールで1組をなす複数組
の拘束ロールで噛み込んで高温鋼板を搬送しながら、各
拘束ロール間でその高温鋼板の上下面に冷却水を注水し
てその鋼板を冷却するための冷却装置と、上記冷却装置
の出側に設置され、そして上記冷却装置で冷却された鋼
板の形状不良を矯正するための第2の矯正装置とからな
る高温鋼板の矯正及び冷却装置において、上記冷却装置
は、下記(e)及び(f)項の構成を有することに特徴
を有するものである。 (e)上記冷却装置には、鋼板の上面及び下面のそれぞ
れに向け冷却水を噴射するための上部冷却ノズル及び下
部冷却ノズルが設けられており、鋼板の冷却過程におけ
る上面の各微小部における温度の経時変化と下面の各微
小部における温度の経時変化とが、当該鋼板厚さ中心面
を対称面として同一となるように、上部冷却ノズル及び
下部冷却ノズルはいずれも、鋼板幅方向に長いノズル列
を形成し、その下部冷却ノズル列が鋼板長さ方向に配置
されたノズル列の数は、上部冷却ノズルが鋼板長さ方向
に配置されたノズル列の数よりも多く設置されているこ
と、及び、 (f)上記拘束ロール間で鋼板が冷却水を注水されるい
ずれの冷却ゾーンにおいても、上部冷却ノズル及び下部
冷却ノズルの配置は、上部冷却ノズルから噴射された冷
却水が鋼板上面に接触を開始する上記鋼板長さ方向の位
置と、下部冷却ノズルから噴射された冷却水が鋼板下面
に接触を開始する上記鋼板長さ方向の位置とが同一とな
るように調整され得る構造であること。
【0067】(6)上述した請求項1〜4の発明におい
て、一層優れた高温鋼板の矯正及び冷却装置を構成する
ために、課題1〜3の全てを解決し得る知見に基づき、
請求項6記載の発明を構成した。
【0068】請求項6記載の発明は、請求項1〜4の内
いずれか一つに記載の発明において、請求項5と同様、
下記(e)及び(f)項の構成を有することに特徴を有
するものである。 (e)上記冷却装置には、鋼板の上面及び下面のそれぞ
れに向け冷却水を噴射するための上部冷却ノズル及び下
部冷却ノズルが設けられており、鋼板の冷却過程におけ
る上面の各微小部における温度の経時変化と下面の各微
小部における温度の経時変化とが、当該鋼板厚さ中心面
を対称面として同一となるように、上部冷却ノズル及び
下部冷却ノズルはいずれも、鋼板幅方向に長いノズル列
を形成し、その下部冷却ノズル列が鋼板長さ方向に配置
されたノズル列の数は、上部冷却ノズルが鋼板長さ方向
に配置されたノズル列の数よりも多く設置されているこ
と、及び、 (f)上記拘束ロール間で鋼板が冷却水を注水されるい
ずれの冷却ゾーンにおいても、上部冷却ノズル及び下部
冷却ノズルの配置は、上部冷却ノズルから噴射された冷
却水が鋼板上面に接触を開始する上記鋼板長さ方向の位
置と、下部冷却ノズルから噴射された冷却水が鋼板下面
に接触を開始する上記鋼板長さ方向の位置とが同一とな
るように調整され得る構造であること。
【0069】請求項7記載の発明は、上記請求項6記載
の発明において、その冷却装置として、下記(g)項の
構成を有することに特徴を有するものである。 (g)上記冷却装置の上部冷却ノズルは1列のスリット
ノズルで構成され、そして、下部冷却ノズルは複数列の
ノズルで構成されており、しかも複数列のノズルの型式
は、スリットノズル、スプレーノズル、円管ラミナーノ
ズル、導管付き円管噴流ノズル、又は多孔板ノズルであ
ること。
【0070】次に、高温鋼板の矯正及び冷却方法に関す
る発明について述べる。請求項8記載の発明は、請求項
1の発明に対応する方法の発明であり、下記の通りであ
る。即ち、熱間圧延により鋼板を製造する工程のオンラ
インで、上記鋼板の形状を第1の矯正装置で熱間で矯正
し、次いで冷却装置で冷却し、そして、次いで第2の矯
正装置で矯正する、高温鋼板の矯正及び冷却方法におい
て次の特徴を有するものである。第1の矯正装置による
高温鋼板の矯正は、5本以上の連続したレベリングロー
ルを用い、2重式以上の多重式構造の圧下・駆動機構に
より行ない、そして、冷却装置による高温鋼板の冷却
は、上下に各1本ずつ配置されたロールで1組をなす複
数組の拘束ロールで噛み込み、高温鋼板を搬送しながら
各拘束ロール間で高温鋼板の上下面に冷却水を注水して
行なうというものである。
【0071】請求項9記載の発明は、請求項2の発明に
対応する方法の発明であり、下記の通りである。即ち、
上記請求項8記載の発明に、更に、第1の矯正装置によ
る高温鋼板の矯正を行なうに際して、クラウンが施され
たレベリングロールを用いることを付加することに特徴
を有するものである。
【0072】請求項10記載の発明は、請求項3の発明
に対応する方法の発明であり、下記の通りである。即
ち、上記請求項8又は9記載の発明に、更に、第1の矯
正装置による高温鋼板の矯正を行なうに際して、当該高
温鋼板の板幅中心線を前記矯正装置の幅中心線に合わせ
た後に行なうことを付加することに特徴を有するもので
ある。
【0073】請求項11記載の発明は、請求項4の発明
に対応する方法の発明であり、下記の通りである。即
ち、上記請求項8、9及び10記載の発明の内、いずれ
か一つに、更に、冷却装置による高温鋼板の冷却方法と
して、上記拘束ロールによる冷却水の水切りが不完全な
ため、拘束ロールの出側の鋼板上面に漏れ出た水を、鋼
板の一方の側端部から他方の側端部に向かう噴流体で吹
き飛ばして除去することを付加することに特徴を有する
ものである。
【0074】請求項12記載の発明は、請求項5の発明
に対応する方法の発明であり、下記の通りである。即
ち、熱間圧延により鋼板を製造する工程のオンライン
で、上記鋼板の形状を第1の矯正装置で熱間で矯正し、
次いで冷却装置で冷却し、そして、次いで第2の矯正装
置で矯正する、高温鋼板の矯正及び冷却方法において、
冷却装置による前記高温鋼板の冷却は、上下に各1本ず
つ配置されたロールで1組をなす複数組の拘束ロールで
噛み込み、高温鋼板を搬送しながら各拘束ロール間で高
温鋼板の上下面に冷却水を注水して行ない、そして、更
に、冷却装置による高温鋼板の冷却方法として、下記
(h)の工程を付加することに特徴を有するものであ
る。 (h)当該鋼板の上下面のそれぞれにノズル口が向けら
れた、鋼板幅方向に長いノズル列を設け、そのノズル列
から冷却水を噴射し、こうして噴射された冷却水が形成
する噴射列の数を、鋼板の下面側の方が上面側よりも多
くし、且つ、拘束ロール間で鋼板に対して冷却水の噴射
列が衝突を開始する鋼板長手方向の位置を、当該鋼板の
上下面で一致させて、鋼板の冷却過程における鋼板上下
面の各微小部における温度の経時変化が、鋼板厚さ中心
面を対称面として同一となるように調整する。
【0075】請求項13記載の発明は、請求項6の発明
に対応する方法の発明であり、下記の通りである。即
ち、請求項8、9、10及び11記載の発明の内、いず
れか一つに、更に、冷却装置による高温鋼板の冷却方法
として、下記(h)の工程を付加することに特徴を有す
るものである。 (h)鋼板の上下面のそれぞれにノズル口が向けられ
た、鋼板幅方向に長いノズル列を設け、そのノズル列か
ら冷却水を噴射し、こうして噴射された冷却水が形成す
る噴射列の数を、鋼板の下面側の方が上面側よりも多く
し、且つ、拘束ロール間で鋼板に対して冷却水の噴射列
が衝突を開始する鋼板長手方向の位置を、当該鋼板の上
下面で一致させて、鋼板の冷却過程における鋼板上下面
の各微小部における温度の経時変化が、鋼板厚さ中心面
を対称面として同一となるように調整する。
【0076】請求項14記載の発明は、請求項7の発明
に対応する方法の発明であり、下記の通りである。即
ち、上記請求項13記載の発明に、更に、冷却装置によ
る高温鋼板の冷却方法として、下記(i)の工程を付加
することに特徴を有するものである。 (i)鋼板の上面側を冷却する冷却水の噴射列は、1列
のスリットノズルから噴射されたものであり、そして、
鋼板の下面側を冷却する冷却水の噴射列は、複数列のノ
ズルから噴射されたものであって、複数列のノズルの型
式は、スリットノズル、スプレーノズル、円管ラミナー
ノズル、導管付き円管噴流ノズル、又は多孔板ノズルか
ら噴射されたものであること。
【0077】
【発明の実施の形態】次に、この発明を図面を参照しな
がら説明する。 (1)実施の形態1 図1は、この発明の装置の第1実施態様を示す概略説明
図である。これは、圧延直後の高温の厚鋼板が、鋼板製
造ラインを搬送されながらオンラインで冷却される工程
である。図1に示すように、高温の鋼板1が熱間仕上圧
延機2から本発明の装置へ送られる。本発明の装置は、
熱間仕上圧延機2の出側のオンラインに、第1の矯正装
置3、冷却装置4及び第2の矯正装置5で構成されてい
る。
【0078】図2に、第1の矯正装置3の概略斜視図を
示す。第1の矯正装置3は、2重式またはそれ以上のホ
ットレベラーであり、そのロール即ちレベリングロール
3aを5本以上備えており、各レベリングロール3aに
はクラウンが施されている。このホットレベラーは、2
重式の簡易ホットレベラーである。また、ホットレベラ
ーの入側には鋼板のガイド機構は設けていない。
【0079】図3に、本発明の第1実施態様の冷却装置
の要部の部分斜視図を示す。冷却装置4は、拘束ロール
6、上部冷却ノズル7及び下部冷却ノズル8を備えてい
る。同図に示すように、拘束ロール6は上ロール6aと
下ロール6bとの各1本のロール対で1組をなし、鋼板
の進行方向Lに所定ピッチで複数組が設けられている。
拘束ロール6は冷却中鋼板の搬送機能及び冷却水の水切
り機能を備えており、下ロール6bは固定式、上ロール
6aは上下方向所定ピッチの昇降制御機構を備えた可動
式である。そして、鋼板の板厚が予め設定された上下ロ
ールのギャップ以上のときには、鋼板をロールへ噛み込
む時に、上ロール6aの両端部に油圧シリンダー9を介
して抑え力が働き、上下ロールにより鋼板を拘束する構
造になっている。
【0080】鋼板の冷却ゾーンは次の通りである。隣同
士の拘束ロール6間には、鋼板通過レベルの上方及び下
方に、それぞれ鋼板の上面及び下面方向に向けた上部冷
却ノズル7、及び下部冷却ノズル8が設けられている。
こうして、隣合った拘束ロール6間の空間が鋼板冷却の
可能なゾーンを形成している。但し、鋼板冷却速度の目
標値により鋼板冷却をしない非冷却ゾーンとする空間に
する場合もある。
【0081】上部冷却ノズル7は、図3に示したよう
に、各上ロール6aの下流側即ち出側にあってその上ロ
ール6aに近接しており、且つ鋼板上面に近接した場所
に各1個ずつ設けられ、そのノズル型式は板幅方向に長
く板幅全体をカバーするスリットノズル10である。そ
して、冷却水の噴出方向が鋼板進行方向の上流側(熱間
仕上圧延機2が設置されているラインの方向を指す)か
ら下流側に向かうように設けられている。
【0082】一方、下部冷却ノズルとして適した各種型
式について説明する。下部冷却ノズル8の第一の形態
は、上記の冷却ゾーン内において、複数個のノズル孔が
板幅方向に所定間隔をあけて一直線上に並んで一列のノ
ズル列を構成し、そして複数のノズル列が、冷却ゾーン
の長手方向全長を所定間隔で複数区間に分割した形態で
設けられているものである。
【0083】下部冷却ノズル8の第二の形態は、上記1
列のノズル列に相当するものが、前記上部冷却ノズル7
と同じく板幅方向に長く板幅全体をカバーするスリット
ノズルで構成されている場合である。
【0084】図4は、下部冷却ノズルの第二の形態例を
説明する概略縦断面図である。複数のスリットノズル1
0の列が、冷却ゾーンの長手方向全長を所定間隔で複数
区間に分割した形態で設けられているものである。
【0085】第一の形態の下部冷却ノズルにおいて、ノ
ズル孔からの冷却水の噴出形態について詳細に説明す
る。下部冷却ノズルの冷却性能は、上部冷却ノズルの冷
却性能と同様、できるだけ鋼板下面を均一に冷却するこ
とができることが必要である。従って、第二の形態の下
部冷却ノズルのスリットノズルと同様、板幅方向にでき
るだけ均一に冷却水を接触させることが必要である。そ
のためのノズル型式として、例えば、スプレーノズル、
円管ラミナーノズル、導管付き円管噴流ノズル、又は多
孔板ノズルを板幅方向に比較的近距離ピッチで全板幅を
カバーするように配置したノズル列としたものが適して
いる。
【0086】図5、図6、図7及び図8のそれぞれは、
下部冷却ノズルとしてスプレーノズル、円管ラミナーノ
ズル、導管付き円管噴流ノズル、及び多孔板ノズルを、
隣り合う拘束ロール間に、複数のノズル列として設置し
た状況、及び噴射冷却水の外形をマクロ的に説明する、
概略縦断面図である。ここで、上部冷却ノズル7とし
て、いずれもスリットノズル10を1列設けている。各
冷却ノズルについて更に説明する。
【0087】図5に示すスプレーノズルの場合は、板
幅方向に所定のピッチで一直線上に並んだスプレーノズ
ル11のノズル列が、板長手方向Lに直角に8列、所定
の間隔を開けて設けられている場合である。鋼板下面の
板幅方向及び板長手方向のノズル孔ピッチやノズル孔先
端と鋼板下面との距離、スプレー水の噴射角度、あるい
は水圧等のスプレーノズルの設計及び使用条件の調整に
より、板幅方向及び板長手方向の両方に対して、実用上
均一に冷却水が噴射されるように調整されている。
【0088】図6に示す円管ラミナーノズルの場合
は、板幅方向に所定のピッチで一直線上に並んだ円管ラ
ミナーノズル12のノズル列が、板長手方向Lに直角に
7列、所定の間隔を開けて設けられている場合である。
上記のスプレーノズルの場合に準じて、板幅方向及び
板長手方向のノズル孔ピッチやノズル孔先端と鋼板下面
との距離、円管ラミナーノズルの横断面孔径、あるいは
水圧等の、円管ラミナーノズルの設計及び使用条件の調
整により、鋼板下面の板幅方向及び板長手方向の両方に
対して、実用上均一に冷却水が噴射されるように調整さ
れている。
【0089】但し、本願発明における円管ラミナーノズ
ルとは、これから噴射される水流の横断面形状が実用上
円形であって、乱れを伴わない連続流体の供給機能を有
するノズルを指すものとする。
【0090】図7に示す導管付き円管噴流ノズルの場
合は、板幅方向に所定のピッチで一直線上に並んだ円管
ノズル13aのノズル列が、板長手方向Lに直角に5
列、所定の間隔を開けて設けられている場合である。す
べての円管ノズル13aのそれぞれの直上に、円管ノズ
ル13aの外径より十分に大きい内径を有する円管の導
管13bが設けられている。そして、円管ノズル13a
の上端は、冷却水14を十分多量に収容・供給可能な容
器15に満たされた水面下所定の深さに没し、一方、導
管13bの上端はその水面より上に位置している。そし
て、円管ノズル13aから冷却水が上方に噴射される
と、容器15内の冷却水14が導管13aを通って噴射
され、この噴射水に随伴した随伴流16が生じる。この
随伴流冷却水の液流が、鋼板下面に衝突し、鋼板を冷却
する。
【0091】ここで、円管ノズル13aと導管13bと
の対を導管付き円管噴流ノズル13という。この場合
も、上記スプレーノズルや円管ラミナーノズルの場合に
準じて、板幅方向及び板長手方向の導管付き円管噴流ノ
ズルのピッチや導管及び円管ノズル孔先端と鋼板下面と
の距離、導管及び円管ノズル孔径、あるいは冷却水の噴
出圧力等の、導管付き円管噴流ノズルの設計及び使用条
件の調整により、鋼板下面の板幅方向及び板長手方向の
両方に対して、実用上均一に冷却水が噴射されるように
調整されている。
【0092】多孔板ノズル17の場合は、図8に示す
ように、冷却水を噴出させるノズル孔17dが、冷却水
供給容器17aの天井板17bを構成する鋼板に設けら
れている。この冷却水供給容器17aには、所要圧力の
冷却水が外部から供給され満たされている。
【0093】図9は、図8の多孔板ノズル17の平面図
であり、天井板17bに、鋼板1の板幅方向にノズル孔
17dが所定ピッチw、例えば、w=100mmで穿孔
されたノズル孔列17cが、所定間隔e、例えばe=5
0mm間隔で鋼板進行方向Lに直角に複数列設けられて
おり、隣の列のノズル孔17d同士が千鳥状に配置され
ている。この場合も、上記スプレーノズルや円管ラミナ
ーノズル、あるいは導管付き円管噴流ノズルの場合に準
じて、ノズル孔の板幅方向ピッチ及びノズル孔列の間
隔、ノズル孔先端と鋼板下面との距離、ノズル孔の横断
面孔径、あるいは水圧等の、多孔板ノズルの設計及び使
用条件の調整により、鋼板下面の板幅方向及び板長手方
向の両方に対して、実用上均一に冷却水が噴射されるよ
うに調整されている。
【0094】上述した下部冷却ノズルの内第一の形態で
ある、複数のノズル、例えば、スプレーノズル、円管ラ
ミナーノズル、導管付き円管噴流ノズル、及び多孔板ノ
ズル等のノズル孔が所定のピッチで板幅方向に並んだノ
ズル列を構成する。上部冷却ノズルと下部冷却ノズルの
列数の比率は、冷却条件によって任意に設定することが
できる。列内のノズルのピッチ及び列間隔を小さくし、
ノズルを密に配置するほど、局所的な熱流束の不均一は
解消される。しかし、あまり狭くしてもその効果は飽和
し、一方、ノズルのメンテナンス性および経済性の観点
から、密にするほど不利になる。また、実機設備におい
てはノズル機構設置の空間に制約がある。従って、設備
の固有事情に応じて望ましいピッチの範囲が存在するの
で、ノズル設置のピッチは一律に規定すべきではない。
【0095】鋼板の冷却を均一に行なうための望ましい
条件は、以上述べた上部冷却ノズル及び下部冷却ノズル
を、いずれの冷却ゾーンにおいても、上部冷却ノズルか
ら噴射された冷却水が鋼板の上面に接触を開始する位置
と、下部冷却ノズルから噴射された冷却水が鋼板の下面
に接触を開始する位置とが同一になるように調整され得
る構造であることにある。その理由は、課題を解決する
ための手段の項の(5)項で説明したように、鋼板の上
下面が冷却水と接触を開始する鋼板搬送方向位置のずれ
yの大きさが、鋼板のC反り量δの大きさに大きな影響
を及ぼすからであり、ずれyが所定値以下であれば鋼板
のC反りは実用上発生せず、ずれyは実質的に0である
ことが一層望ましいからである。
【0096】(2)実施の形態2 この発明の装置の第2実施態様は、上記第1実施態様に
おいて、第1の矯正装置の入側に鋼板ガイド機構が設け
られたものである。以下、詳細に説明する。
【0097】図10は、この発明の装置の第2実施態様
を説明する概略縦断面図である。同図において、18は
ガイド機構であり、第1の矯正装置3へ高温鋼板を装入
するに先立ち、鋼板の幅方向をセンターリングするため
に、第1の矯正装置3の直前に設けられている。
【0098】図11に、本発明の第2実施態様におけ
る、第1の矯正装置3及び冷却装置4の要部の部分斜視
図を示す。第1の矯正装置3としてホットレベラーが設
けられている。その方式・構造は、2重式またはそれ以
上のホットレベラーであり、そのロール即ちレベリング
ロール3aを5本以上備えており、各レベリングロール
3aにはクラウンが施されている。このホットレベラー
は2重式の簡易ホットレベラーである。以上は第1実施
態様と同じである。そして、第2実施態様の重要な特徴
として、更に、鋼板のガイド機構18が、ホットレベラ
ーの入側に設けられている。ガイドの形式としては、ロ
ールガイド19あるいはプレートガイド等いずれでもよ
く、特に限定を要しない。
【0099】冷却装置4も、第1実施態様と同じ構成で
あり、拘束ロール6、上部冷却ノズル7及び下部冷却ノ
ズル8を備え、これらの構成及び機能等の詳細も第1実
施態様と同じである。
【0100】以上のように、第2実施態様は、上記ガイ
ド機構18が第1の矯正装置の入側直前に設けられてい
る点が、第1実施態様に付加されている。そして、この
ガイド機構18により幅方向のセンターリングをされた
鋼板1は、第1の矯正装置3に送り込まれ、次いで鋼板
の幅方向がセンターリングされたままの状態で冷却装置
4に送り込まれるので、冷却装置においてロールによる
水切りの効果が一層向上する。
【0101】(3)実施の形態3 この発明の装置の第3実施態様は、上記第1実施態様に
おいて、鋼板冷却中の拘束ロールからの漏水を鋼板上面
から除去するための流体噴射機構が、冷却装置に設けら
れているものである。以下、詳細に説明する。
【0102】図12は、この発明の装置の第3実施態様
を説明する概略縦断面図である。第1の矯正装置3、冷
却装置4及び第2の矯正装置5からなり、第1の矯正装
置入側に鋼板ガイド機構は設けられていない。同図にお
いて、21が流体噴射機構である。
【0103】図13に、本発明の第3実施態様における
冷却装置4の要部の部分斜視図を示す。冷却装置4とし
て、拘束ロール6、上部冷却ノズル7及び下部冷却ノズ
ル8を備えている。各拘束ロール6の上ロール6a出側
直後で、各鋼板の一方の側端側に、流体噴射機構21が
設けられている。流体噴射機構21としては、水噴射ス
プレーノズルあるいはその他流体を高速で噴射する機能
を有するもので、拘束ロール6からの漏水を速やかに吹
き飛ばし、鋼板上面から除去できる能力があれば、方式
を・構造等を限定しなくてよい。
【0104】流体噴射機構21の機能は、拘束ロール6
の水切り作用が不十分なために当該拘束ロール6から漏
れた冷却残水に向けて高圧流体を噴射し、漏水を板の他
の側端部から速やかに除去することにある。即ち、流体
噴射機構は、拘束ロールで水切りができない歪みが、第
1の矯正装置3あるいは冷却装置4において発生したよ
うな場合に、漏水した冷却水を速やかに鋼板上面から除
くことができる。従って、冷却ゾーンの全てにおいては
注水せず、例えば、1ゾーンおきに鋼板に注水するよう
な場合、流体噴射機構により、冷却ゾーンから非冷却ゾ
ーンへの漏水により、鋼板が過冷却されたり、あるいは
不均一冷却されたりするのを防止することができる。
【0105】なお、第1の矯正ロールの入側には、鋼板
センターリング用のガイド機構は設けられていない。以
上のように、第3実施態様では、上記流体噴射機構21
が、冷却装置の各拘束ロール出側の鋼板上面の一方の側
端部から他方の側端部に向かう高速噴流体が冷却水の漏
水を鋼板から速やかに除去するので、拘束ロールによる
水切り作用をバックアップすることができる。
【0106】(4)実施の形態4 図14は、この発明の装置の第4実施態様を説明する概
略説明図である。これは、図12に示した第3実施態様
の装置に、更に、第1の矯正装置3の入側に、鋼板のガ
イド機構18を設けたものである。従って、第4実施態
様の装置によれば、ガイド機構18の使用により、拘束
ロールによる冷却水の水切り性が向上し、更に、流体噴
射機構21の水噴射スプレーノズルによる拘束ロールの
水切り作用のバックアップ効果が加わり、鋼板の均一冷
却及び冷却停止温度制御が向上する。
【0107】(5)実施の形態5 図15は、この発明の装置の第5実施態様を説明する概
略説明図である。これは、圧延直後の高温の厚鋼板が、
鋼板製造ラインを搬送されながらオンラインで冷却され
る工程である。同図に示すように、高温の鋼板1が熱間
仕上圧延機2から本発明の装置へ送られる。本発明の装
置は、熱間仕上圧延機2の出側のオンラインに、第1の
矯正装置3、冷却装置4及び第2の矯正装置5で構成さ
れている。
【0108】第1の矯正装置3の方式や構造については
問わず、常用されているものでもよいし、簡易ホットレ
ベラーでもよい。その際、レベリングロールはクラウン
付きでも無しでもよい。また、入側の鋼板ガイドの要否
は問わない。冷却装置4には、冷却ノズル調整機構22
が設けられている。第5実施態様の最大の重要な特徴
は、上記冷却ノズル調整機構が設けられていることにあ
る。
【0109】図16に、本発明の第5実施態様における
冷却装置4の要部の部分斜視図を示す。冷却装置4は、
拘束ロール6、上部冷却ノズル7及び下部冷却ノズル8
の他に、冷却ノズル調整機構22を備えている。これら
の内、拘束ロール6の構成及び機能、並びに、上部冷却
ノズル7及び下部冷却ノズル8の型式や配置方法は、前
記第1実施態様と同じく、それぞれ複数組の拘束ロール
による鋼板搬送及び水切り機能の付与、及び上下ロール
ギャップ制御機構の採用、並びに、各種ノズルの所定の
列内ピッチ、及び列間隔の設定がなされている。
【0110】一方、冷却ノズル調整機構22は、上下冷
却ノズルから噴射された冷却水が鋼板と接触を開始する
板長手方向の位置が、鋼板上面と下面とで一致させよう
とするものである。所要の冷却条件に応じ、冷却水流密
度の調整を必要とするのに伴い、鋼板上面に対する冷却
水の接触開始位置が変化するので、これを解消すること
が必要である。こうして、鋼板のC反りを無くそうとす
るものである。
【0111】冷却ノズル調整機構22の方式としては、
上部冷却ノズル7、及び/又は下部冷却ノズル8の第1
列目のノズル列から噴射される冷却水に注目すればよ
い。但し、第1列目のノズルの設定位置により第2列目
以後のノズル位置も適宜調節する。この観点より、 ノズル孔又はノズルのスリットの位置を移動・調整す
る機構、従って、一列目のノズル全体を移動・調整する
方法 ノズル孔の噴射角度、又はノズルのスリット噴射角度
を調整する方法 冷却水の噴射速度を調整する方法(但し、冷却水流密
度を所定値以上確保する。) 等、種々の方法があり、特に限定しなくてよい。
【0112】第5実施態様においては、更に、下部冷却
ノズル8の板幅方向に平行なノズル列の数を、上部冷却
ノズル7のスリットノズル10の列数(板幅方向に平行
で1列)よりも多く設置する。即ち、下部冷却ノズルは
少なくとも複数列設置する。
【0113】上記条件下での冷却ノズル調整機構22の
作動により、冷却中に発生する鋼板のC反りは抑制され
る。そこで、第5実施態様においては、流体噴射機構を
設けなくてもよい。
【0114】(6)実施の形態6 図17は、この発明の装置の第6実施態様を説明する概
略説明図である。これは、図10に示した第2実施態様
の装置に、更に、冷却ノズル調整機構22を設けたもの
である。従って、第6実施態様の装置によれば、ガイド
機構18の使用により、拘束ロールによる冷却水の水切
り性が向上し、更に、冷却ノズル調整機構22の作動に
より、上下冷却ノズルから噴射された冷却水が鋼板と接
触を開始する板長手方向の位置が、鋼板上面と下面とで
一致させることができる。こうして、鋼板の均一冷却及
び冷却停止温度制御が向上する。
【0115】(7)実施の形態7 図18は、この発明の装置の第7実施態様を説明する概
略説明図である。これは、図15に示した第5実施態様
の装置に、更に、水噴射スプレーノズル21を設けたも
のである。従って、第7実施態様の装置によれば、冷却
ノズル調整機構22の作動により、上下冷却ノズルから
噴射された冷却水が鋼板と接触を開始する板長手方向の
位置が、鋼板上面と下面とで一致させることができ、更
に、水噴射スプレーノズル21を用いることにより、拘
束ロールから漏洩した冷却水を速やかに鋼板上面から除
去できる。こうして、鋼板の均一冷却及び冷却停止温度
制御が向上する。
【0116】(8)実施の形態8 図19に、この発明の装置の第8実施態様を説明する概
略説明図を示す。これは、圧延直後の高温の厚鋼板1
を、入側にガイド機構18を設けた第1の矯正装置3で
鋼板形状を矯正し、上部冷却ノズル列よりも下部冷却ノ
ズル列の数を多く設置し、流体噴射機構21及び冷却ノ
ズル調整機構22を設けた冷却装置4で冷却し、次い
で、第2の矯正装置5で鋼板形状を矯正するものであ
る。
【0117】第8実施態様の装置を用いてオンラインで
高温鋼板を矯正及び冷却すれば、冷却装置に装入される
時点の鋼板の形状矯正、冷却中の反り発生の防止、拘束
ロールによる水切り性、及び、拘束ロールからの冷却漏
水の鋼板上面からの除去のすべての観点から望ましい条
件がそろった操業ができる。
【0118】(9)なお、上述した第1〜第8のいずれ
の実施態様においても、目標とする鋼板冷却速度等によ
り、適宜、冷却ゾーンを1つおきに使用したり、あるい
は全冷却ゾーンを使用したりすることが必要である。ま
た、いずれの実施態様を採用すべきかは、鋼板製造の操
業条件によって定まる。
【0119】
【実施例】次に、この発明の装置を実施例により、更に
詳細に説明する。熱間仕上圧延機から送り出された高温
の厚鋼板を、この発明の範囲内の装置を用いて矯正・冷
却した場合(実施例)、及びこの発明の範囲外の装置を
用いて矯正・冷却した場合(比較例)について述べる。
【0120】表3〜19及び表20、21に、それぞれ
実施例1〜17及び比較例1、2の試験における高温鋼
板の矯正及び冷却装置の主な設備内容、並びに設備の主
な使用条件を示す。
【0121】なお、実施例及び比較例のすべてにおい
て、下記事項は共通とした。 共通の試験条件: 冷却装置における鋼板の搬送、冷却及び水切り 方式:拘束ロールで搬送、ロール間通板中に冷却水で冷
却、拘束ロールで水切り 拘束ロールの組数:20組 拘束ロールの間隔:1000mm 上下ロールのギャップ設定値:鋼板板厚−1.5mm 第2の矯正装置(「出側矯正装置」と呼ぶ。) 方式及び構造:4重式ホットレベラー レベリングロール:フラットロール (注1)冷却ゾーンは、ロール間の全区間で冷却する
か、または1区間おきで冷却するかのいずれかとした。
【0122】(注2)板幅方向に平行に設置された、複
数のノズル及び1本のスリットノズルは、いずれもノズ
ル列と呼ぶ。(本願明細書で「ノズル列」とはすべてこ
の意味で用いた。) (注3)第1の矯正装置を、「入側矯正装置」と呼ぶ。
【0123】(注4)入側矯正装置、ガイド、流体噴出
機構(漏水除去用スプレーノズル)及び冷却ノズル調整
機構は常備したが、これを用いた場合と用いない場合と
を試験をした。
【0124】以下、実施例及び比較例の各試験につい
て、図1〜19及び表3〜21を参照しながら説明す
る。 (実施例1)試験条件を表3に示す。熱間仕上圧延機か
ら送り出された厚さ12mm、幅3.2m、長さ30m
の高温鋼板を、速度120m/minで搬送しながら、
実施態様1の装置(図1参照)で矯正し、冷却し、次い
で矯正した。入側ガイド機構は用いず、2重式簡易ホッ
トレベラーに送り込み、5本のフラットロールで鋼板形
状を矯正した。次いで、冷却装置では、上部冷却ノズル
として各拘束ロールの出側直後にスリットノズルを1列
ずつ配置し、鋼板上面の冷却水流密度4.0m 3 /mi
n・m2 で板進行方向下流側に向け、板に沿って流し
た。一方、下部冷却ノズルは、各拘束ロール間に、水中
に没した導管付き円管噴流ノズルを上向きにして(図7
参照)、列内ノズル孔ピッチ100mmのノズル列を1
67mmの間隔で5列配置し、円管から水を噴射し、そ
の随伴流で生じた水流で、鋼板下面の冷却水流密度2.
3m3 /min・m2 で冷却した。但し、実施例1で
は、上記水冷却を冷却ゾーンの一つおきに行なった。冷
却中、拘束ロールからの漏水除去用スプレーノズルと冷
却ノズルの調整機構は作動させなかった。また、拘束ロ
ール出側への冷却水漏水除去用スプレーノズルは作動さ
せなかった。
【0125】上記冷却試験において、冷却が終了してか
ら20秒経過後の、鋼板の表面温度分布を走査型放射温
度計で測定した。その結果、鋼板表面の平均温度は50
4℃、板幅方向と長手方向の最高温度と最低温度との差
が、12℃であり、ほぼ全面均一な冷却が施された。そ
して、前記(1)式による耳波形状の急峻度αは、0.
02%と小さかった。
【0126】(実施例2)試験条件を表4に示す。熱間
仕上圧延機から送り出された厚さ25mm、幅4.0
m、長さ15mの高温鋼板を、速度120m/minで
搬送しながら、実施態様1の装置(図1参照)で矯正
し、冷却し、次いで矯正した。入側ガイドは用いず、2
重式簡易ホットレベラーに送り込み、5本のクラウン付
きレベリングロールで形状を矯正した。クラウン形状は
sin曲線を採用し、ロール胴長がsin関数の半波長
分になるように施した。次いで、冷却装置では、上部冷
却ノズルとして、各拘束ロールの出側直後にスリットノ
ズルを1列ずつ配置し、鋼板上面の冷却水流密度4.0
3 /min・m2 で板進行方向下流側に向け、板に沿
って流した。一方、下部冷却ノズルは、各拘束ロール間
に、水中に没した導管付き円管噴流ノズルを上向きにし
て(図7参照)、列内ノズル孔ピッチ100mmのノズ
ル列を167mmの間隔で5列ずつ配置し、円管から水
を噴射し、その随伴流で生じた水流で、鋼板下面の冷却
水流密度2.3m3 /min・m2 で冷却した。但し、
実施例2では、上記水冷却を冷却ゾーンの一つおきに行
なった。冷却中、拘束ロールからの漏水除去用スプレー
ノズルと冷却ノズルの調整機構は作動させなかった。
【0127】上記冷却試験において、冷却が終了してか
ら20秒経過後の、鋼板の表面温度分布を走査型放射温
度計で測定した。その結果、鋼板表面の平均温度は50
2℃、板幅方向と長手方向の最高温度と最低温度との差
が、4℃であり、ほぼ全面均一な冷却が施された。そし
て、前記(1)式による耳波形状の急峻度αは、0.0
5%と小さかった。
【0128】(実施例3)試験条件を表5に示す。熱間
仕上圧延機から送り出された厚さ15mm、幅3.2
m、長さ20mの高温鋼板を、速度100m/minで
搬送しながら、実施態様2の装置(図10参照)で矯正
し、冷却し、次いで矯正した。入側ローラーガイドを用
いて鋼板幅のセンターリングをし、2重式簡易ホットレ
ベラーに送り込み、5本のフラットレベリングロールで
形状を矯正した。次いで、冷却装置では、上部冷却ノズ
ルとして各拘束ロールの出側直後にスリットノズルを1
列ずつ配置し、鋼板上面の冷却水流密度4.0m3 /m
in・m2 で板進行方向下流側に向け、板に沿って流し
た。一方、下部冷却ノズルは、各拘束ロール間に、円管
ラミナーノズルを上向きにして(図6参照)、列内ノズ
ル孔ピッチ70mmのノズル列を111mmの間隔で8
列配置し、円管から水を噴射し、鋼板下面の冷却水流密
度5.3m3 /min・m2 で冷却した。但し、実施例
3では、上記水冷却を冷却ゾーンの一つおきに行なっ
た。なお、漏水除去用スプレーノズル及び冷却ノズルの
調整機構は作動させなかった。
【0129】上記冷却試験において、冷却が終了してか
ら20秒経過後の、鋼板の表面温度分布を走査型放射温
度計で測定した。その結果、鋼板表面の平均温度は50
0℃、板幅方向と長手方向の最高温度と最低温度との差
が、5℃であり、ほぼ全面均一な冷却が施された。そし
て、前記(1)式による耳波形状の急峻度αは、0.0
9%と小さかった。
【0130】(実施例4)試験条件を表6に示す。熱間
仕上圧延機から送り出された厚さ20mm、幅4.5
m、長さ15mの高温鋼板を、速度75m/minで搬
送しながら、実施態様2に示した装置(図10参照)で
矯正し、冷却し、次いで矯正した。入側ローラーガイド
機構を用いて、2重式簡易ホットレベラーに送り込ん
だ。5本のクラウン付きレベリングロールで形状を矯正
した。クラウン形状は、sin曲線で、ロール胴長がs
in関数の半波長分になるように施した。次いで、冷却
装置では、上部冷却ノズルとして各拘束ロールの出側直
後にスリットノズルを1列ずつ配置し、鋼板上面の冷却
水流密度5.3m3 /min・m2 で板進行方向下流側
に向け、板に沿って流した。一方、下部冷却ノズルとし
て、円管ラミナーノズルを使用した(図6参照)。列内
ノズル孔ピッチ70mmのノズル列を111mmの間隔
で8列配置し、円管から水を噴射し、鋼板下面の冷却水
流密度5.3m3 /min・m2 で冷却した。但し、実
施例4では、上記水冷却を冷却ゾーンの一つおきに行な
った。なお、漏水除去用スプレーノズル及び冷却ノズル
の調整機構は作動させなかった。
【0131】上記冷却試験において、冷却が終了してか
ら20秒経過後の、鋼板の表面温度分布を走査型放射温
度計で測定した。その結果、鋼板表面の平均温度は50
3℃、板幅方向と長手方向の最高温度と最低温度との差
が、7℃であり、ほぼ全面均一な冷却が施された。そし
て、前記(1)式による耳波形状の急峻度αは、0.0
4%と小さかった。
【0132】(実施例5)試験条件を表7に示す。熱間
仕上圧延機から送り出された厚さ12mm、幅4.5
m、長さ30mの高温鋼板を、速度120m/minで
搬送しながら、実施態様3に示した装置(図12及び1
3参照)で矯正し、冷却し、次いで矯正した。入側ガイ
ド機構を用いず、2重式簡易ホットレベラーに送り込ん
だ。5本のフラットロールで鋼板形状を矯正した。次い
で、冷却装置では、上部冷却ノズルとして各拘束ロール
の出側直後にスリットノズルを1列ずつ配置し、鋼板上
面の冷却水流密度4.0m3 /min・m2 で板進行方
向下流側に向け、板に沿って流した。一方、下部冷却ノ
ズルは、板幅方向に平行にスリットノズル10を配置し
た(図4参照)。列間の間隔を167mmとし5列のス
リットノズル10を配置し、板の進行方向に向けて鋼板
下面に沿って流し、下面の冷却水流密度6.3m 3 /m
in・m2 で冷却した。但し、実施例5では、上記水冷
却を冷却ゾーンの一つおきに行なった。更に、漏水除去
用水噴射スプレーノズルから噴射された水によって、各
拘束ロールから漏洩した冷却水は速やかに板側端部から
除去した。なお、冷却ノズルの調整機構は作動させなか
った。
【0133】上記冷却試験において、冷却が終了してか
ら20秒経過後の、鋼板の表面温度分布を走査型放射温
度計で測定した。その結果、鋼板表面の平均温度は50
6℃、板幅方向と長手方向の最高温度と最低温度との差
はみとめられず、全面均一な冷却が施された。そして、
前記(1)式による耳波形状の急峻度αは、0.04%
と小さかった。
【0134】(実施例6)試験条件を表8に示す。熱間
仕上圧延機から送り出された厚さ20mm、幅3.2
m、長さ15mの高温鋼板を、速度75m/minで搬
送しながら、実施態様3に示した装置(図12)の装置
を用いて、矯正し、冷却し、次いで矯正した。入側ガイ
ド機構を用いず、入側矯正装置である2重式簡易ホット
レベラーに送り込んだ。ここで、5本のクラウン付きロ
ールで鋼板形状を矯正した。クラウン形状はsin曲線
を採用し、ロール胴長がsin関数の半波長分になるよ
うに施した。次いで、冷却装置では、上部冷却ノズルと
して各拘束ロールの出側直後にスリットノズルを1列ず
つ配置し、鋼板上面の冷却水流密度4.0m3 /min
・m2 で板進行方向下流側に向け、板に沿って流した。
一方、下部冷却ノズルは、板幅方向に平行にスリットノ
ズル10を配置した(図4参照)。列間の間隔を167
mmとし5列のスリットノズル10を配置し、板の進行
方向に向けて鋼板下面に沿って流し、下面の冷却水流密
度6.3m3 /min・m2 で冷却した。但し、実施例
6では、上記水冷却を冷却ゾーンの一つおきに行なっ
た。更に、漏水除去用水噴射スプレーノズルから噴射さ
れた水によって、各拘束ロールから漏洩した冷却水は速
やかに板側端部から除去した。なお、冷却ノズルの調整
機構は作動させなかった。
【0135】上記冷却試験において、冷却が終了してか
ら20秒経過後の、鋼板の表面温度分布を走査型放射温
度計で測定した。その結果、鋼板表面の平均温度は50
1℃、板幅方向と長手方向の最高温度と最低温度との差
は10℃であり、ほぼ全面均一な冷却が施された。そし
て、前記(1)式による耳波形状の急峻度αは、0.0
9%と小さかった。
【0136】(実施例7)試験条件を表9に示す。熱間
仕上圧延機から送り出された厚さ15mm、幅4.0
m、長さ15mの高温鋼板を、速度100m/minで
搬送しながら、実施態様4に示した装置(図14参照)
を用いて、矯正し、冷却し、次いで矯正した。入側ガイ
ド機構としてフラットガイドを用いて、鋼板幅のセンタ
ーリングをし、2重式簡易ホットレベラーに送り込み、
5本のフラットレベリングロールで形状を矯正した。次
いで、冷却装置では、上部冷却ノズルとして各拘束ロー
ルの出側直後にスリットノズルを1列ずつ配置し、鋼板
上面の冷却水流密度4.0m3/min・m2 で板進行
方向下流側に向け、板に沿って流した。一方、下部冷却
ノズルは、各拘束ロール間に、水中に没した導管付き円
管噴流ノズルを上向きにして(図7参照)、列内ノズル
孔ピッチ100mmのノズル列を167mmの間隔で5
列配置し、円管から水を噴射し、その随伴流で生じた水
流で、鋼板下面の冷却水流密度2.3m3 /min・m
2 で冷却した。但し、実施例7では、上記水冷却を冷却
ゾーンの一つおきに行なった。そして、漏水除去用水噴
射スプレーノズルから噴射された水によって、各拘束ロ
ールから漏洩した冷却水は速やかに板側端部から除去し
た。なお、冷却ノズルの調整機構は作動させなかった。
【0137】上記冷却試験において、冷却が終了してか
ら20秒経過後の、鋼板の表面温度分布を走査型放射温
度計で測定した。その結果、鋼板表面の平均温度は50
2℃、板幅方向と長手方向の最高温度と最低温度との差
は4℃であり、ほぼ全面均一な冷却が施された。そし
て、前記(1)式による耳波形状の急峻度αは、0.0
3%と小さかった。
【0138】(実施例8)試験条件を表10に示す。熱
間仕上圧延機から送り出された厚さ12mm、幅4.0
m、長さ30mの高温鋼板を、速度120m/minで
搬送しながら、実施態様4に示した装置(図14参照)
を用いて、矯正し、冷却し、次いで矯正した。入側ガイ
ド機構としてフラットガイドを用いて、鋼板幅のセンタ
ーリングをし、2重式簡易ホットレベラーに送り込み、
5本のクラウン付きレベリングロールで形状を矯正し
た。クラウン形状はsin曲線を採用し、ロール胴長が
sin関数の半波長分になるように施した。次いで、冷
却装置では、上部冷却ノズルとして各拘束ロールの出側
直後にスリットノズルを1列ずつ配置し、鋼板上面の冷
却水流密度4.0m3 /min・m2 で板進行方向下流
側に向け、板に沿って流した。一方、下部冷却ノズル
は、各拘束ロール間に、水中に没した導管付き円管噴流
ノズルを上向きにして(図7参照)、列内ノズル孔ピッ
チ100mmのノズル列を167mmの間隔で5列配置
し、円管から水を噴射し、その随伴流で生じた水流で、
鋼板下面の冷却水流密度2.3m3 /min・m2 で冷
却した。水冷却を19の全冷却ゾーンで行なった。更
に、漏水除去用水噴射スプレーノズルから噴射された水
によって、各拘束ロールから漏洩した冷却水は速やかに
板側端部から除去した。なお、冷却ノズルの調整機構は
作動させなかった。
【0139】上記冷却試験において、冷却が終了してか
ら20秒経過後の、鋼板の表面温度分布を走査型放射温
度計で測定した。その結果、鋼板表面の平均温度は50
9℃、板幅方向と長手方向の最高温度と最低温度との差
は4℃であり、ほぼ全面均一な冷却が施された。そし
て、前記(1)式による耳波形状の急峻度αは、0.0
7%と小さかった。
【0140】(実施例9)試験条件を表11に示す。熱
間仕上圧延機から送り出された厚さ40mm、幅4.0
m、長さ15mの高温鋼板を、速度53m/minで搬
送しながら、実施態様5に示した装置(図15参照)を
用いて、矯正し、冷却し、次いで矯正した。入側ガイド
は用いずに、2重式簡易ホットレベラーに送り込み、5
本のフラットレベリングロールで形状を矯正した。次い
で、冷却装置では、上部冷却ノズルとして各拘束ロール
の出側直後にスリットノズルを1列ずつ配置し、鋼板上
面の冷却水流密度4.0m3 /min・m2 で板進行方
向下流側に向け、板に沿って流した。一方、下部冷却ノ
ズルは、各拘束ロール間に、水中に没した導管付き円管
噴流ノズルを上向きにして(図7参照)、列内ノズル孔
ピッチ100mmのノズル列を167mmの間隔で5列
配置し、円管から水を噴射し、その随伴流で生じた水流
で、鋼板下面の冷却水流密度2.3m3 /min・m2
で冷却した。この試験においては、冷却ノズル調整機構
22(図16参照。但し、第2冷却ゾーン以降は図示を
省略してある))を作動させて、上下冷却ノズルから噴
射された冷却水が鋼板と接触を開始する板長手方向の位
置が、鋼板上面と下面とで一致するように調節した。冷
却ノズル調整機構22の構成としては、例えば、微調整
駆動機構25、これに連結するアーム26、及び、下部
冷却ノズル8の同一列を一まとめにして連結している連
結棒27からなる。連結棒27の動きにより、同一列に
属する下部冷却ノズル8を前後に微調整移動せせる。上
記水冷却を19区間の全冷却ゾーンで行なった。なお、
各拘束ロールからの冷却漏水を、除去用噴射スプレで除
去することはしなかった。
【0141】上記冷却試験において、冷却が終了してか
ら20秒経過後の、鋼板の表面温度分布を走査型放射温
度計で測定した。その結果、鋼板表面の平均温度は50
9℃、板幅方向と長手方向の最高温度と最低温度との差
は7℃であり、ほぼ全面均一な冷却が施された。そし
て、前記(1)式による耳波形状の急峻度αは、0.0
5%と小さかった。
【0142】(実施例10)試験条件を表12に示す。
熱間仕上圧延機から送り出された厚さ15mm、幅3.
6m、長さ20mの高温鋼板を、速度100m/min
で搬送しながら、実施態様5に示した装置(図15参
照)を用いて、矯正し、冷却し、次いで矯正した。入側
ガイドは用いずに、2重式簡易ホットレベラーに送り込
み、5本のフラットレベリングロールで形状を矯正し
た。次いで、冷却装置では、上部冷却ノズルとして各拘
束ロールの出側直後にスリットノズルを1列ずつ配置
し、鋼板上面の冷却水流密度4.0m3 /min・m2
で板進行方向下流側に向け、板に沿って流した。一方、
下部冷却ノズルは、多孔板ノズルを使用した(図8、9
参照)。多孔板の列内ノズル孔ピッチは100mmで、
ノズル列を50mmの間隔で19列配置し、且つノズル
孔を千鳥状配置にした。ここで、多孔板ノズルの列間隔
を50mmにした理由は、50mm以下であれば、本水
量条件下で、幅方向にほぼムラのない均一な冷却が施さ
れからである。また、鋼板下面の冷却水流密度は6.3
3 /min・m2 とした。そして、この試験において
は、冷却ノズル調整機構22(図16参照)を作動させ
て、上下冷却ノズルから噴射された冷却水が鋼板と接触
を開始する板長手方向の位置が、鋼板上面と下面とで一
致するように調節した。但し、上記水冷却を冷却ゾーン
の一つおきに行なった。また、各拘束ロールからの冷却
漏水を、除去用噴射スプレで除去することはしなかっ
た。
【0143】上記冷却試験において、冷却が終了してか
ら20秒経過後の、鋼板の表面温度分布を走査型放射温
度計で測定した。その結果、鋼板表面の平均温度は50
2℃、板幅方向と長手方向の最高温度と最低温度との差
は7℃であり、ほぼ全面均一な冷却が施された。そし
て、前記(1)式による耳波形状の急峻度αは、0.0
4%と小さかった。
【0144】(実施例11)試験条件を表13に示す。
熱間仕上圧延機から送り出された厚さ25mm、幅3.
2m、長さ15mの高温鋼板を、速度100m/min
で搬送しながら、実施態様5に示した装置(図15参
照)を用いて、矯正し、冷却し、次いで矯正した。入側
ガイドは用いずに、2重式簡易ホットレベラーに送り込
み、5本のクラウン付きレベリングロールで形状を矯正
した。クラウン形状はsin曲線を採用し、ロール胴長
がsin関数の半波長分になるように施した。次いで、
冷却装置では、上部冷却ノズルとして各拘束ロールの出
側直後にスリットノズルを1列ずつ配置し、鋼板上面の
冷却水流密度4.0m3 /min・m2 で板進行方向下
流側に向け、板に沿って流した。一方、下部冷却ノズル
は、多孔板ノズルを使用した(図8、9参照)。使用し
た多孔板ノズルは、実施例10と同じで、列内ノズル孔
ピッチは100mmで、ノズル列を50mmの間隔で1
9列配置し、且つノズル孔を千鳥状配置にした。また、
鋼板下面の冷却水流密度は6.3m3 /min・m2
した。そして、この試験においては、冷却ノズル調整機
構22(図16参照)を作動させて、上下冷却ノズルか
ら噴射された冷却水が鋼板と接触を開始する板長手方向
の位置が、鋼板上面と下面とで一致するように調節し
た。そして、上記水冷却を19の全冷却ゾーンで行なっ
た。なお、各拘束ロールからの冷却漏水を、除去用噴射
スプレで除去することはしなかった。
【0145】上記冷却試験において、冷却が終了してか
ら20秒経過後の、鋼板の表面温度分布を走査型放射温
度計で測定した。その結果、鋼板表面の平均温度は50
1℃、板幅方向と長手方向の最高温度と最低温度との差
は5℃であり、ほぼ全面均一な冷却が施された。そし
て、前記(1)式による耳波形状の急峻度αは、0.0
9%と小さかった。 新(実施例12)試験条件を表14に示す。熱間仕上圧
延機から送り出された厚さ12mm、幅3.6m、長さ
30mの高温鋼板を、速度120m/minで搬送しな
がら、実施態様6に示した装置(図17参照)を用い
て、矯正し、冷却し、次いで矯正した。入側ガイドとし
てプレートガイド用い、2重式簡易ホットレベラーに送
り込み、5本のフラットレベリングロールで形状を矯正
した。次いで、冷却装置では、上部冷却ノズルとして各
拘束ロールの出側直後にスリットノズルを1列ずつ配置
し、鋼板上面の冷却水流密度4.0m3 /min・m2
で板進行方向下流側に向け、板に沿って流した。一方、
下部冷却ノズルは、スプレーノズル11を上向きにして
(図5参照)、列内ノズル孔ピッチ200mmのノズル
列を111mmの間隔で8列配置し、鋼板下面の冷却水
流密度1.8m3 /min・m2 で冷却した。ここで
は、冷却ノズルの調整機構22(図16参照)を作動さ
せ、下部の第1列目スプレーノズル11のノズル孔の噴
射方向を調整して、鋼板下面に冷却水が接触を開始する
位置を調整し、その結果、鋼板の上下面に冷却水が接触
を開始する鋼板長手方向の位置が同じになるようにし
た。但し、上記水冷却を冷却ゾーンの一つおきに行なっ
た。また、各拘束ロールからの冷却漏水を、除去用噴射
スプレで除去することはしなかった。
【0146】上記冷却試験において、冷却が終了してか
ら20秒経過後の、鋼板の表面温度分布を走査型放射温
度計で測定した。その結果、鋼板表面の平均温度は50
4℃、板幅方向と長手方向の最高温度と最低温度との差
は7℃であり、ほぼ全面均一な冷却が施された。そし
て、前記(1)式による耳波形状の急峻度αは、0.0
2%と小さかった。
【0147】(実施例13)試験条件を表15に示す。
熱間仕上圧延機から送り出された厚さ20mm、幅3.
6m、長さ15mの高温鋼板を、速度75m/minで
搬送しながら、実施態様6に示した装置(図17参照)
を用いて、矯正し、冷却し、次いで矯正した。入側ガイ
ドとしてプレートガイド用い、2重式簡易ホットレベラ
ーに送り込み、5本のクラウン付きレベリングロールで
形状を矯正した。クラウン形状はsin曲線を採用し、
ロール胴長がsin関数の半波長分になるように施し
た。次いで、冷却装置では、上部冷却ノズルとして各拘
束ロールの出側直後にスリットノズルを1列ずつ配置
し、鋼板上面の冷却水流密度4.0m3 /min・m2
で板進行方向下流側に向け、板に沿って流した。一方、
下部冷却ノズルは、スプレーノズル11を上向きにして
(図5参照)、列内ノズル孔ピッチ200mmのノズル
列を111mmの間隔で8列配置し、鋼板下面の冷却水
流密度1.8m3 /min・m2 で冷却した。ここで
は、冷却ノズルの調整機構22(図16参照)を作動さ
せ、下部の第1列目スプレーノズル11のノズル孔の噴
射方向を調整して、鋼板下面に冷却水が接触を開始する
位置を調整し、その結果、鋼板の上下面に冷却水が接触
を開始する鋼板長手方向の位置が同じになるようにし
た。但し、上記水冷却を冷却ゾーンの一つおきに行なっ
た。また、各拘束ロールからの冷却漏水を、除去用噴射
スプレで除去することはしなかった。
【0148】上記冷却試験において、冷却が終了してか
ら20秒経過後の、鋼板の表面温度分布を走査型放射温
度計で測定した。その結果、鋼板表面の平均温度は50
4℃、板幅方向と長手方向の最高温度と最低温度との差
は10℃であり、ほぼ全面均一な冷却が施された。そし
て、前記(1)式による耳波形状の急峻度αは、0.0
8%と小さかった。
【0149】(実施例14)試験条件を表16に示す。
熱間仕上圧延機から送り出された厚さ15mm、幅4.
5m、長さ15mの高温鋼板を、速度100m/min
で搬送しながら、実施態様7に示した装置(図18参
照)を用いて、矯正し、冷却し、次いで矯正した。入側
ガイドを使用せずに2重式簡易ホットレベラーに送り込
み、5本のフラットレベリングロールで形状を矯正し
た。次いで、冷却装置では、上部冷却ノズルとして各拘
束ロールの出側直後にスリットノズルを1列ずつ配置
し、鋼板上面の冷却水流密度4.0m3 /min・m2
で板進行方向下流側に向け、板に沿って流した。一方、
下部冷却ノズルは、各拘束ロール間に、水中に没した導
管付き円管噴流ノズルを上向きにして(図7参照)、列
内ノズル孔ピッチ100mmのノズル列を167mmの
間隔で5列ずつ配置し、円管から水を噴射し、その随伴
流で生じた水流で、鋼板下面の冷却水流密度2.3m3
/min・m2 で冷却した。冷却ノズルの調整機構22
(図16参照)を作動させ、下部の第1列目スプレーノ
ズル11のノズル孔の噴射方向を調整して、鋼板下面に
冷却水が接触を開始する位置を調整し、その結果、鋼板
の上下面に冷却水が接触を開始する鋼板長手方向の位置
が同じになるようにした。但し、上記水冷却を冷却ゾー
ンの一つおきに行なった。更に、漏水除去用水噴射スプ
レーノズルから噴射された水によって、各拘束ロールか
ら漏洩した冷却水は速やかに板側端部から除去した。
【0150】上記冷却試験において、冷却が終了してか
ら20秒経過後の、鋼板の表面温度分布を走査型放射温
度計で測定した。その結果、鋼板表面の平均温度は50
1℃、板幅方向と長手方向の最高温度と最低温度との差
は7℃であり、ほぼ全面均一な冷却が施された。そし
て、前記(1)式による耳波形状の急峻度αは、0.0
1%と小さかった。
【0151】(実施例15)試験条件を表17に示す。
熱間仕上圧延機から送り出された厚さ12mm、幅4.
5m、長さ20mの高温鋼板を、速度120m/min
で搬送しながら、実施態様7に示した装置(図18参
照)を用いて、矯正し、冷却し、次いで矯正した。入側
ガイドを使用せずに2重式簡易ホットレベラーに送り込
み、5本のクラウン付きレベリングロールで形状を矯正
した。クラウン形状はsin曲線を採用し、ロール胴長
がsin関数の半波長分になるように施した。次いで、
冷却装置では、上部冷却ノズルとして各拘束ロールの出
側直後にスリットノズルを1列ずつ配置し、鋼板上面の
冷却水流密度4.0m3 /min・m2 で板進行方向下
流側に向け、板に沿って流した。一方、下部冷却ノズル
は、各拘束ロール間に、水中に没した導管付き円管噴流
ノズルを上向きにして(図7参照)、列内ノズル孔ピッ
チ100mmのノズル列を167mmの間隔で5列ずつ
配置し、円管から水を噴射し、その随伴流で生じた水流
で、鋼板下面の冷却水流密度2.3m3 /min・m2
で冷却した。冷却ノズルの調整機構22(図16参照)
を作動させ、下部の第1列目スプレーノズル11のノズ
ル孔の噴射方向を調整して、鋼板下面に冷却水が接触を
開始する位置を調整し、その結果、鋼板の上下面に冷却
水が接触を開始する鋼板長手方向の位置が同じになるよ
うにした。但し、上記水冷却を冷却ゾーンの一つおきに
行なった。更に、漏水除去用水噴射スプレーノズルから
噴射された水によって、各拘束ロールから漏洩した冷却
水は速やかに板側端部から除去した。
【0152】上記冷却試験において、冷却が終了してか
ら20秒経過後の、鋼板の表面温度分布を走査型放射温
度計で測定した。その結果、鋼板表面の平均温度は50
1℃、板幅方向と長手方向の最高温度と最低温度との差
は6℃であり、ほぼ全面均一な冷却が施された。そし
て、前記(1)式による耳波形状の急峻度αは、0.0
4%と小さかった。
【0153】(実施例16)試験条件を表18に示す。
熱間仕上圧延機から送り出された厚さ12mm、幅3.
2m、長さ30mの高温鋼板を、速度120m/min
で搬送しながら、実施態様8に示した装置(図19参
照)を用いて、矯正し、冷却し、次いで矯正した。入側
ガイドとしてプレートガイドを用いて、鋼板幅のセンタ
ーリングをし、2重式簡易ホットレベラーに送り込み、
5本のフラットレベリングロールで形状を矯正した。次
いで、冷却装置では、上部冷却ノズルとして各拘束ロー
ルの出側直後にスリットノズルを1列ずつ配置し、鋼板
上面の冷却水流密度4.0m3 /min・m2 で板進行
方向下流側に向け、板に沿って流した。一方、下部冷却
ノズルは、板幅方向に平行にスリットノズル10を配置
した(図4参照)。列間の間隔を167mmとし5列の
スリットノズル10を配置し、板の進行方向に向けて鋼
板下面に沿って流し、下面の冷却水流密度6.3m3
min・m2 で冷却した。但し、上記水冷却を冷却ゾー
ンの一つおきに行なった。冷却ノズルの調整機構22
(図16参照)を作動させ、下部の第1列目スリットノ
ズル10の噴射位置を調整して、鋼板下面に冷却水が接
触を開始する位置を調整し、その結果、鋼板の上下面に
冷却水が接触を開始する鋼板長手方向の位置が同じにな
るようにした。但し、上記水冷却は冷却ゾーンの一つお
きに行なった。更に、漏水除去用水噴射スプレーノズル
から噴射された水によって、各拘束ロールから漏洩した
冷却水は速やかに板側端部から除去した。
【0154】上記冷却試験において、冷却が終了してか
ら20秒経過後の、鋼板の表面温度分布を走査型放射温
度計で測定した。その結果、鋼板表面の平均温度は50
1℃、板幅方向と長手方向の最高温度と最低温度との差
は10℃であり、ほぼ全面均一な冷却が施された。そし
て、前記(1)式による耳波形状の急峻度αは、0.0
4%と小さかった。
【0155】(実施例17)試験条件を表19に示す。
熱間仕上圧延機から送り出された厚さ25mm、幅3.
6m、長さ15mの高温鋼板を、速度100m/min
で搬送しながら、実施態様8に示した装置(図19参
照)を用いて、矯正し、冷却し、次いで矯正した。入側
ガイドとしてプレートガイドを用いて、鋼板幅のセンタ
ーリングをし、2重式簡易ホットレベラーに送り込み、
5本のクラウン付きレベリングロールで形状を矯正し
た。クラウン形状はsin曲線を採用し、ロール胴長が
sin関数の半波長分になるように施した。次いで、冷
却装置では、上部冷却ノズルとして各拘束ロールの出側
直後にスリットノズルを1列ずつ配置し、鋼板上面の冷
却水流密度4.0m3 /min・m2 で板進行方向下流
側に向け、板に沿って流した。一方、下部冷却ノズル
は、板幅方向に平行にスリットノズル10を配置した
(図4参照)。列間の間隔を167mmとし5列のスリ
ットノズル10を配置し、板の進行方向に向けて鋼板下
面に沿って流し、下面の冷却水流密度6.3m3 /mi
n・m2 で冷却した。冷却ノズルの調整機構22(図1
6参照)を作動させ、下部の第1列目スリットノズル1
0の噴射位置を調整して、鋼板下面に冷却水が接触を開
始する位置を調整し、その結果、鋼板の上下面に冷却水
が接触を開始する鋼板長手方向の位置が同じになるよう
にした。上記水冷却を19の全冷却ゾーンで行なった。
更に、漏水除去用水噴射スプレーノズルから噴射された
水によって、各拘束ロールから漏洩した冷却水は速やか
に板側端部から除去した。
【0156】上記冷却試験において、冷却が終了してか
ら20秒経過後の、鋼板の表面温度分布を走査型放射温
度計で測定した。その結果、鋼板表面の平均温度は50
4℃、板幅方向と長手方向の最高温度と最低温度との差
は9℃であり、ほぼ全面均一な冷却が施された。そし
て、前記(1)式による耳波形状の急峻度αは、0.0
6%と小さかった。
【0157】(比較例1)試験条件を表20に示す。熱
間仕上圧延機から送り出された厚さ20mm、幅3.6
m、長さ15mの高温鋼板を、速度75m/minで搬
送しながら、鋼板形状を矯正することなく冷却装置で冷
却し、次いで矯正した。上記冷却装置は、各間隔を10
00mmあけて20組の拘束ロールが設けられ、上部冷
却ノズルとして各拘束ロールの出側直後にスリットノズ
ルを1列ずつ配置し、鋼板上面の冷却水流密度4.0m
3 /min・m2 で板進行方向下流側に向け、板に沿っ
て流した。一方、下部冷却ノズルは、各拘束ロール間
に、水中に没した導管付き円管噴流ノズルを上向きにし
て(図7参照)、列内ノズル孔ピッチ100mmのノズ
ル列を167mmの間隔で5列配置し、円管から水を噴
射し、その随伴流で生じた水流で、鋼板下面の冷却水流
密度2.3m3 /min・m2 で冷却した。上記水冷却
を19の全冷却ゾーンで行なった。そして、漏水除去用
水噴射スプレーノズルから噴射された水によって、各拘
束ロールから漏洩した冷却水は速やかに板側端部から除
去した。なお、冷却ノズルの調整機構は作動させなかっ
た。
【0158】上記冷却試験において、冷却が終了してか
ら20秒経過後の、鋼板の表面温度分布を走査型放射温
度計で測定した。その結果、鋼板表面の平均温度は51
0℃、板幅方向と長手方向の最高温度と最低温度との差
は108℃であり、鋼板に大きな冷却ムラが発生した。
そして、前記(1)式による耳波形状の急峻度αは、
1.08%と大きかった。
【0159】(比較例2)試験条件を表21に示す。熱
間仕上圧延機から送り出された厚さ15mm、幅4.5
m、長さ15mの高温鋼板を、速度75m/minで搬
送しながら、鋼板形状を矯正することなく冷却装置で冷
却し、次いで矯正した。上記冷却装置は、各間隔を10
00mmあけて20組の拘束ロールが設けられ、上部冷
却ノズルとして各拘束ロールの出側直後にスリットノズ
ルを1列ずつ配置し、鋼板上面の冷却水流密度4.0m
3 /min・m2 で板進行方向下流側に向け、板に沿っ
て流した。一方、下部冷却ノズルは、各拘束ロール間
に、水中に没した導管付き円管噴流ノズルを上向きにし
て(図7参照)、列内ノズル孔ピッチ100mmのノズ
ル列を167mmの間隔で5列配置し、円管から水を噴
射し、その随伴流で生じた水流で、鋼板下面の冷却水流
密度2.3m3 /min・m2 で冷却した。冷却ノズル
の調整機構22(図16参照)を作動させ、下部の第1
列目スリットノズル10の噴射位置を調整して、鋼板下
面に冷却水が接触を開始する位置を調整し、その結果、
鋼板の上下面に冷却水が接触を開始する鋼板長手方向の
位置が同じになるようにした。上記水冷却を19の全冷
却ゾーンで行なった。更に、漏水除去用水噴射スプレー
ノズルから噴射された水によって、各拘束ロールから漏
洩した冷却水は速やかに板側端部から除去した。
【0160】上記冷却試験において、冷却が終了してか
ら20秒経過後の、鋼板の表面温度分布を走査型放射温
度計で測定した。その結果、鋼板表面の平均温度は50
9℃、板幅方向と長手方向の最高温度と最低温度との差
は80℃であり、鋼板に大きな冷却ムラが発生した。そ
して、前記(1)式による耳波形状の急峻度αは、1.
68%と大きかった。
【0161】上記実施例及び比較例において、冷却装置
の上部及び下部冷却ノズルからの冷却水の流量の調整、
並びに下部冷却ノズルの列間隔及び板幅方向のノズル孔
ピッチの決定は、次のようにして行なった。
【0162】鋼板上面と下面とにおける冷却水の冷却
能力のバランスをとるように、具体的には、鋼板が各冷
却ゾーンを通過したときに、それぞれの冷却ゾーンで鋼
板が奪われる熱量である抜熱量が上下面で同じとなるよ
うに、上下面の冷却水量を調整する。
【0163】冷却中の鋼板の上下面の温度履歴が同じ
となるように、鋼板下面側の各列(板幅方向に平行なノ
ズル列を指す)からの冷却水量を調整する。ところで、
下面側での冷却水は鋼板に衝突後、重力によって直ぐに
落下するので、ノズル列数を増やして間隔をある程度狭
くしておく。そして、局所的な熱流束分布が上下面で対
称となるようにするために、複数のノズル列数を有する
下部冷却ノズルからの冷却水流量を、ノズル列毎に変化
させることにより行なう。
【0164】下部冷却ノズルの列数と、板幅方向のノ
ズル孔の決定は、冷却ムラを発生させないように、ある
上限値以下に決定する。なお、この列数とピッチの上限
値は、ノズル型式毎、噴射水量によって変化する。
【0165】なお、ノズル列間隔及び列内のノズル孔ピ
ッチのいずれも、密にするほど冷却は均一になるが、装
置の保全性や経済性を考慮し、適正な範囲内に留めるべ
きである。
【0166】
【表3】
【0167】
【表4】
【0168】
【表5】
【0169】
【表6】
【0170】
【表7】
【0171】
【表8】
【0172】
【表9】
【0173】
【表10】
【0174】
【表11】
【0175】
【表12】
【0176】
【表13】
【0177】
【表14】
【0178】
【表15】
【0179】
【表16】
【0180】
【表17】
【0181】
【表18】
【0182】
【表19】
【0183】
【表20】
【0184】
【表21】
【0185】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
熱間圧延された高温鋼板を冷却するに際し、鋼板の上下
面に対し均一な冷却を行うことが可能になる結果、冷却
後の熱による歪みの発生が防止され、鋼板の形状不良が
皆無になり、その後の精整コストが削減される。更に、
冷却装置を通板中の鋼板の生ずる形状不良によるトラブ
ルが減少して設備の稼働率は向上し、また、冷却不足や
過冷却による鋼板の材質のばらつきも減少して均質な製
品が得られ、製品歩留りが向上する等、多くの工業上有
用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の装置の第1実施態様を説明する概略
縦断面図である。
【図2】図1における第1の矯正装置の要部を示す斜視
図である。
【図3】図1における冷却装置の要部の部分斜視図であ
る。
【図4】この発明の装置の第1実施態様において下部冷
却ノズルがスリットノズルである場合を説明する概略縦
断面図である。
【図5】この発明の装置の第1実施態様において下部冷
却ノズルがスプレーノズルである場合を説明する概略縦
断面図である。
【図6】この発明の装置の第1実施態様において下部冷
却ノズルが円管ラミナーノズルである場合を説明する概
略縦断面図である。
【図7】この発明の装置の第1実施態様において下部冷
却ノズルが導管付き円管ノズルである場合を説明する概
略縦断面図である。
【図8】この発明の装置の第1実施態様において下部冷
却ノズルが多孔板ノズルである場合を説明する概略縦断
面図である。
【図9】図6の多板ノズルの平面図である。
【図10】この発明の装置の第2実施態様を示す概略説
明図である。
【図11】図10のガイド及び冷却装置等の要部の一例
を示す斜視図である。
【図12】この発明の装置の第3実施態様を説明する概
略縦断面図である。
【図13】図12の水噴水スプレーノズルを備えた冷却
装置の要部の一例を示す斜視図である。
【図14】この発明の装置の第4実施態様を説明する概
略縦断面図である。
【図15】この発明の装置の第5実施態様を説明する概
略縦断面図である。
【図16】図15の冷却ノズル調整機構を備えた冷却装
置の要部一例を示す斜視図である。
【図17】この発明の装置の第6実施態様を説明する概
略縦断面図である。
【図18】この発明の装置の第7実施態様を説明する概
略縦断面図である。
【図19】この発明の装置の第8実施態様を説明する概
略縦断面図である。
【図20】冷却装置において、耳波形状の急峻度と水切
りロールによる水切り性との関係と、この関係に及ぼす
板厚の影響を示すグラフである。
【図21】高温鋼板の上下面を各1つのスリットノズル
で冷却した場合の鋼板上面及び下面の温度履歴を示す図
である。
【図22】図21と同じ冷却条件で高温鋼板を冷却した
場合の鋼板のC反り量の経時変化を示す図である。
【図23】鋼板の上面と下面とに対し冷却水が接触を開
始する板搬送方向位置のずれ状態を説明する図である。
【図24】図23における鋼板への冷却水接触開始位置
のずれ量と鋼板のC反り量との関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 鋼板 2 熱間仕上圧延機 3 第1の矯正装置 3a レベリングロール 4 冷却装置 5 第2の矯正装置 6 拘束ロール 6a、6a’ 上ロール 6b、6b’ 下ロール 7 上部冷却ノズル 8 下部冷却ノズル 9 油圧シリンダー 10 スリットノズル 11 スプレーノズル 12 円管ラミナーノズル 13 導管付き円管噴流ノズル 13a 円管ノズル 13b 導管 14 冷却水 15 容器 16 随伴流 17 多孔板ノズル 17a 冷却水供給容器 17b 天井板 17c ノズル孔列 18 ガイド機構 19 ロールガイド 20 プレートガイド 21 水噴射スプレーノズル 22 冷却ノズル調整機構 23 吸水ノズル 24 スリットノズル 25 微調整駆動機構 26 アーム 27 連結棒 p 鋼板の上面に冷却水が接触を開始する板搬送方向位
置 q 鋼板の下面に冷却水が接触を開始する板搬送方向位
置 y pの位置とqの位置とのずれ L 鋼板進行方向又は板長手方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B21B 45/02 320 B21B 45/02 320V 320S (72)発明者 多賀根 章 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 井上 義隆 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 鎌田 正誠 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 内村 孝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 堀江 正之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 冨田 省吾 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 藤田 米章 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 高橋 功 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱間圧延された高温の鋼板の形状不良を
    前記鋼板の冷却前に矯正するための第1の矯正装置と、
    前記第1の矯正装置の出側に設置され、そして上下に各
    1本ずつ配置されたロールで1組をなす複数組の拘束ロ
    ールで噛み込んで前記高温鋼板を搬送しながら前記各拘
    束ロール間で前記高温鋼板の上下面に冷却水を注水して
    当該鋼板を冷却するための冷却装置と、前記冷却装置の
    出側に設置され、そして前記冷却装置で冷却された前記
    鋼板の形状不良を矯正するための第2の矯正装置とから
    なる高温鋼板の矯正及び冷却装置において、前記第1の
    矯正装置が下記(a)項の構成を有することを特徴とす
    る、高温鋼板の矯正及び冷却装置。 (a)前記第1の矯正装置の方式は、ホットレベラーで
    あって、前記ホットレベラーのレベリングロールの本数
    は5以上、且つ前記ホットレベラーの圧下・駆動機構は
    2重式以上の多重式構造であること。
  2. 【請求項2】 前記(a)項のレベリングロールが、下
    記(b)項の構成を有することを特徴とする、請求項1
    記載の高温鋼板の矯正及び冷却装置。 (b)前記レベリングロールにはクラウンが施されてい
    ること。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の発明において、前
    記第1の矯正装置の入側に、更に下記(c)項の構成を
    有する鋼板ガイド機構を付加したことを特徴とする、高
    温鋼板の矯正及び冷却装置。 (c)前記鋼板のガイド機構は、前記高温鋼板の板幅中
    心線を当該矯正装置の幅中心線に合わせる機能を備えて
    いること。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の発明におい
    て、前記冷却装置の前記複数組の各拘束ロールのそれぞ
    れの出側に、更に下記(d)項の構成を有する流体噴射
    機構を付加したことを特徴とする、高温鋼板の矯正及び
    冷却装置。 (d)前記流体噴射機構は、前記鋼板上面の一方の側端
    部から他方の側端部に向かう噴流体を形成させる機能を
    備えていること。
  5. 【請求項5】 熱間圧延された高温の鋼板の形状不良を
    前記鋼板の冷却前に矯正するための第1の矯正装置と、
    前記第1の矯正装置の出側に設置され、そして上下に各
    1本ずつ配置されたロールで1組をなす複数組の拘束ロ
    ールで噛み込んで前記高温鋼板を搬送しながら、前記各
    拘束ロール間で前記高温鋼板の上下面に冷却水を注水し
    て当該鋼板を冷却するための冷却装置と、前記冷却装置
    の出側に設置され、そして前記冷却装置で冷却された前
    記鋼板の形状不良を矯正するための第2の矯正装置とか
    らなる高温鋼板の矯正及び冷却装置において、 前記冷却装置には、下記(e)及び(f)項の構成を有
    するノズルを備えていることを特徴とする、高温鋼板の
    矯正及び冷却装置。 (e)前記ノズルとして、前記鋼板の上面及び下面のそ
    れぞれに向け冷却水を噴射するための上部冷却ノズル及
    び下部冷却ノズルが設けられており、前記鋼板の冷却過
    程における前記上面の各微小部における温度の経時変化
    と前記下面の各微小部における温度の経時変化とが、前
    記鋼板厚さ中心面を対称面として同一となるように、前
    記上部冷却ノズル及び前記下部冷却ノズルはいずれも、
    鋼板幅方向に長いノズル列を形成し、前記下部冷却ノズ
    ル列が鋼板長さ方向に配置されたノズル列の数は、前記
    上部冷却ノズルが鋼板長さ方向に配置されたノズル列の
    数よりも多く設置されていること、及び、 (f)前記拘束ロール間で前記鋼板が冷却水を注水され
    るいずれの冷却ゾーンにおいても、前記上部冷却ノズル
    及び前記下部冷却ノズルの配置は、前記上部冷却ノズル
    から噴射された冷却水が前記鋼板上面に接触を開始する
    前記鋼板長さ方向の位置と、前記下部冷却ノズルから噴
    射された冷却水が前記鋼板下面に接触を開始する前記鋼
    板長さ方向の位置とが同一となるように調整され得る構
    造であること。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3又は4記載の発明にお
    いて、前記冷却装置には、下記(e)及び(f)項の構
    成を有するノズルを備えていることを特徴とする、高温
    鋼板の矯正及び冷却装置。 (e)前記ノズルとして、前記鋼板の上面及び下面のそ
    れぞれに向け冷却水を噴射するための上部冷却ノズル及
    び下部冷却ノズルが設けられており、前記鋼板の冷却過
    程における前記上面の各微小部における温度の経時変化
    と前記下面の各微小部における温度の経時変化とが、前
    記鋼板厚さ中心面を対称面として同一となるように、前
    記上部冷却ノズル及び前記下部冷却ノズルはいずれも、
    鋼板幅方向に長いノズル列を形成し、前記下部冷却ノズ
    ル列が鋼板長さ方向に配置されたノズル列の数は、前記
    上部冷却ノズルが鋼板長さ方向に配置されたノズル列の
    数よりも多く設置されていること、及び、 (f)前記拘束ロール間で前記鋼板が冷却水を注水され
    るいずれの冷却ゾーンにおいても、前記上部冷却ノズル
    及び前記下部冷却ノズルの配置は、前記上部冷却ノズル
    から噴射された冷却水が前記鋼板上面に接触を開始する
    前記鋼板長さ方向の位置と、前記下部冷却ノズルから噴
    射された冷却水が前記鋼板下面に接触を開始する前記鋼
    板長さ方向の位置とが同一となるように調整され得る構
    造であること。
  7. 【請求項7】 前記上部冷却ノズル及び前記下部冷却ノ
    ズルは、下記(g)項の構成を有することを特徴とす
    る、請求項6記載の高温鋼板の矯正及び冷却装置。 (g)前記上部冷却ノズルは前記鋼板幅方向に長い1列
    のスリットノズルで構成され、そして、前記下部冷却ノ
    ズルは前記鋼板幅方向に長く並んだ複数列のノズルで構
    成され、且つ前記複数列のノズルの型式は、スリットノ
    ズル、スプレーノズル、円管ラミナーノズル、導管付き
    円管噴流ノズル、又は多孔板ノズルの内のいずれかであ
    ること。
  8. 【請求項8】熱間圧延により鋼板を製造する工程のオン
    ラインで、前記鋼板の形状を第1の矯正装置で熱間で矯
    正し、次いで冷却装置で冷却し、そして、次いで第2の
    矯正装置で矯正する、高温鋼板の矯正及び冷却方法にお
    いて、 前記第1の矯正装置による前記高温鋼板の矯正は、5本
    以上の連続したレベリングロールを用い、2重式以上の
    多重式構造の圧下・駆動機構により行ない、そして、 前記冷却装置による前記高温鋼板の冷却は、上下に各1
    本ずつ配置されたロールで1組をなす複数組の拘束ロー
    ルで噛み込み、前記高温鋼板を搬送しながら前記各拘束
    ロール間で前記高温鋼板の上下面に冷却水を注水して行
    なうことを特徴とする、高温鋼板の矯正及び冷却方法。
  9. 【請求項9】請求項8記載の発明において、前記第1の
    矯正装置による前記高温鋼板の矯正に用いるレベリング
    ロールとして、クラウンが施されたレベリングロールを
    用いることを特徴とする、高温鋼板の矯正及び冷却方
    法。
  10. 【請求項10】請求項8又は9記載の発明において、前
    記第1の矯正装置による前記高温鋼板の矯正に先立っ
    て、当該高温鋼板の板幅中心線を前記矯正装置の幅中心
    線に合わせた後に、前記第1の矯正装置による前記高温
    鋼板の矯正を行なうことを特徴とする、高温鋼板の矯正
    及び冷却方法。
  11. 【請求項11】請求項8、9又は10記載の発明におい
    て、前記冷却装置による前記高温鋼板の冷却は、前記拘
    束ロールによる冷却水の水切りが不完全なため、前記複
    数組の拘束ロール出側の前記鋼板上面に漏れ出た水を、
    前記鋼板の一方の側端部から他方の側端部に向かう噴流
    体で吹き飛ばして除去することを特徴とする、高温鋼板
    の矯正及び冷却方法。
  12. 【請求項12】熱間圧延により鋼板を製造する工程のオ
    ンラインで、前記鋼板の形状を第1の矯正装置で熱間で
    矯正し、次いで冷却装置で冷却し、そして、次いで第2
    の矯正装置で矯正する、高温鋼板の矯正及び冷却方法に
    おいて、 前記冷却装置による前記高温鋼板の冷却は、上下に各1
    本ずつ配置されたロールで1組をなす複数組の拘束ロー
    ルで噛み込み、前記高温鋼板を搬送しながら前記各拘束
    ロール間で前記高温鋼板の上下面に冷却水を注水して行
    ない、そして、前記高温鋼板の上下面に対する冷却方法
    として、下記(h)の工程で行なうことを特徴とする、
    高温鋼板の矯正及び冷却方法。 (h)当該鋼板の上下面のそれぞれにノズル口が向けら
    れた、鋼板幅方向に長いノズル列を設け、前記ノズル列
    から冷却水を噴射し、こうして噴射された冷却水が形成
    する噴射列の数を、前記鋼板の下面側の方が上面側より
    も多くし、且つ、前記拘束ロール間で前記鋼板に対して
    前記冷却水の噴射列が衝突を開始する鋼板長さ方向の位
    置を、当該鋼板の上下面で一致させて、前記鋼板の冷却
    過程における前記鋼板上下面の各微小部における温度の
    経時変化が、前記鋼板厚さ中心面を対称面として同一と
    なるように調整する。
  13. 【請求項13】請求項8、9、10又は11記載の発明
    において、前記冷却装置による前記高温鋼板の上下面に
    対する冷却方法として、下記(h)の工程で行なうこと
    を特徴とする、高温鋼板の矯正及び冷却方法。 (h)当該鋼板の上下面のそれぞれにノズル口が向けら
    れた、鋼板幅方向に長いノズル列を設け、前記ノズル列
    から冷却水を噴射し、こうして噴射された冷却水が形成
    する噴射列の数を、前記鋼板の下面側の方が上面側より
    も多くし、且つ、前記拘束ロール間で前記鋼板に対して
    前記冷却水の噴射列が衝突を開始する鋼板長さ方向の位
    置を、当該鋼板の上下面で一致させて、前記鋼板の冷却
    過程における前記鋼板上下面の各微小部における温度の
    経時変化が、前記鋼板厚さ中心面を対称面として同一と
    なるように調整する。
  14. 【請求項14】請求項13記載の発明において、前記高
    温鋼板の上面側及び下面側に対する冷却方法として、下
    記(i)の工程で行なうことを特徴とする、高温鋼板の
    矯正及び冷却方法。 (i)当該鋼板の上面側を冷却する前記冷却水の噴射列
    は、前記鋼板幅方向に長い1列のスリットノズルから噴
    射されたものであり、そして、前記鋼板の下面側を冷却
    する前記冷却水の噴射列は、前記鋼板幅方向に長い複数
    列のノズルから噴射されたものであって、スリットノズ
    ル、スプレーノズル、円管ラミナーノズル、導管付き円
    管噴流ノズル、又は多孔板ノズルから噴射されたもので
    あること。
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