JPH11292933A - 高純度薬品用容器 - Google Patents

高純度薬品用容器

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JPH11292933A
JPH11292933A JP11591398A JP11591398A JPH11292933A JP H11292933 A JPH11292933 A JP H11292933A JP 11591398 A JP11591398 A JP 11591398A JP 11591398 A JP11591398 A JP 11591398A JP H11292933 A JPH11292933 A JP H11292933A
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JP
Japan
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polyethylene
container
temperature
less
elution
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Application number
JP11591398A
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English (en)
Inventor
Akira Miyamoto
宮本  朗
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れたクリーン性と機械的特性を有するポリ
エチレン製容器を提供する。 【解決手段】 優れたクリーン性と機械的物性、特に剛
性と耐衝撃性とESCRに優れたポリエチレン製の高純
度薬品用の容器であって、該容器は幾何拘束型のシング
ルサイト触媒を用いてスラリー重合法により得られるポ
リエチレンからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエチレンからな
る高純度薬品の貯蔵等に適した容器に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレン製容器は、軽量で機械的強
度に優れ、耐薬品性に優れ、衛生的で、成形が容易であ
りかつ安価であるために、ブロー成形やインジェクショ
ンブロー成形等の成形方法により容器として賦形され、
広く用いられているが、近年、半導体産業や液晶産業等
で使用される高純度薬品用容器、あるいは医療用薬品を
保存するための医療用容器の分野においてその使用量が
増加している。高純度薬品容器に充填される内容物とし
ては、半導体製造工程において使用される硫酸、硝酸、
過酸化水素水、ふっ化水素酸、ふっ化アンモニウム等の
エッチング洗浄用薬品、半導体プロセス用や液晶ディス
プレイ用等に使用されるメチルアルコール、エチルアル
コール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、
アセトン、酢酸エチル、トルエン、ジメチルホルムアミ
ド、エチレングリコールアセテート、メトキシプロピル
アセテート、ブチルセロソルブ等の高純度な溶剤系レジ
ストや希釈溶剤等が挙げられ、一方、医療用容器に充填
される内容物としてはメチルアルコール、エチルアルコ
ール、イソプロピルアルコール等の殺菌、消毒、製剤原
料等の医薬用に使用される高純度な溶剤等が挙げられ
る。
【0003】そしてこれらの高純度薬品を充填する容器
に対しては、貯蔵している高純度薬品類を高純度のまま
で保存できることが必要であるために耐薬品性が求めら
れ、さらに、軽量で剛性があり、更に耐衝撃性や耐環境
応力亀裂特性(ESCR)等の機械的特性に優れること
が求められる。このため、ポリエチレン製容器の中でも
特に、耐薬品性と耐衝撃性に優れた比較的高密度のポリ
エチレン(密度が約0.935g/cm3 以上)が高純
度薬品容器の素材として期待されている。しかしなが
ら、ポリエチレン製の容器ではしばしば高純度薬品を保
管貯蔵している間に、容器から薬品中へ不純微粒子が浸
出し、薬品の純度を損なうことがある。このために半導
体、液晶の品質および歩留まりに著しい影響を及ぼした
り、薬品の保存期間を短くするという問題が生じる。
【0004】高純度薬品容器や医療用容器に要求される
「クリーン度」とは、一般に、容器中に長期間貯蔵して
いる間に容器素材中から内容物に浸出した「微粒子(パ
ーティクル)」の数により評価され、微粒子が少ないほ
どクリーン度が高いことになる。クリーン度はいったん
検査容器を成形し、その検査容器に一定期間超純水を貯
蔵した後、樹脂製の容器が貯蔵していた水1ml中に粒
径0.2μm以上の微粒子がいくつ存在するかを算定し
て求める。一般に、半導体、液晶の品質および歩留まり
を向上させるためにはクリーン度が500個/ml以下
が必要とされているが、近年、クリーン度に対する要求
はますます高まっている。ポリエチレン製容器に充填さ
れた内容物に微粒子が発生する原因としては、(1)重
合時に使用された触媒の残渣、(2)ポリエチレンに配
合された中和剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線防止
剤、等の各種の添加剤成分、(3)ポリエチレン中に含
まれるワックス成分、(4)ポリエチレン中に含まれる
低密度の低分子量成分、等が考えられるがそのメカニズ
ムについては未だ十分に明らかにされていない。
【0005】ポリエチレン製容器のクリーン性を向上さ
せる試みとしては、特開昭62−39444号公報、特
開昭62−178342号公報、特開昭63−5444
4号公報、特開平1−208155号公報、特開平5−
177693号公報、特開平7−330074号公報、
特開平8−113678号公報、特開平8−17555
5号公報等がある。これらの公報では、ポリエチレン製
容器からの微粒子の発生を抑制する方法として、容器の
構造を二層構造としたり、ポリエチレンに配合する添加
剤成分の種類や配合量を制御したり、容器内面をフッ素
加工したり、素材のポリエチレンの分子量分布やワック
ス成分の含有量を制御することが記載されている。
【0006】しかしながら、先に列挙した微粒子発生の
可能性となる要因の中で、ポリエチレン中の重合触媒残
渣やワックス成分あるいは低密度の低分子量成分に関す
るものについては、本質的に重合触媒や重合プロセスに
大きく依存するものであるので、これらの要因に基づく
微粒子の発生を低減させるためには、容器の構造制御や
容器の内面加工や添加剤の配合制御等による改良では限
界があり、素材であるポリエチレン自身の改良が必要と
なる。近年、メタロセン触媒により、高活性でポリエチ
レンが製造できるようになった。該ポリエチレンは分子
量分布が狭く、かつ構成分子の組成分布が均一なエチレ
ン/α−オレフィン共重合体を得ることができるので、
クリーン性に優れるポリエチレン製容器を得る上で極め
て有望と考えられる。特開平9−77921号公報で
は、密度が0.910〜0.940g/cm3 の範囲の
メタロセンポリエチレンを用いたクリーン性が高いポリ
エチレン樹脂組成物に関する技術が開示されているが、
密度が0.940g/cm3 以上の組成物については例
示されておらず、さらに同公報ではメタロセンポリエチ
レンにおいても高密度のものについては透明性や耐高速
破壊性が低下するという記載がある。
【0007】以上のように、クリーン性が高く、更に耐
衝撃性やESCR等の機械的強度に優れたポリエチレン
製容器に対するニーズが高いにもかかわらず、満足でき
る性能を発揮するポリエチレン製容器は未だ得られてい
ないのが現状である。特に、高密度のポリエチレン容器
について、クリーン性と機械的強度の改良が強く望まれ
ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐衝撃性や
ESCR等の機械的強度に優れ、取り扱いが容易で、か
つ、保管貯蔵している薬品中への不純物粒子の浸出が極
めて少ない高純度薬品の保存に適したポリエチレン製容
器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、ポリマー分
子構造と分子量分布とが制御された特定のポリエチレン
を容器の構成素材として使用することにより、剛性、耐
衝撃性、ESCR特性等の機械的特性と、クリーン性の
尺度となる微粒子発生量が極めて少ないポリエチレン製
容器が得られることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0010】すなわち本発明のポリエチレン製容器は、
(1)エチレンホモポリマー、またはエチレンと炭素原
子数が3〜20のα−オレフィンとのコポリマーであっ
て、(2)荷重2.16kg、温度190℃条件のメル
トフローレート値(I2 )が0.05g/10min以
上50g/10min以下であり、(3)密度が0.9
10g/cm3 以上0.975g/cm3 以下であり、
(4)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー
(GPC)測定によって求められるMw/Mn値が3以
上6以下であり、(5)メルトフローレート比(MI
R)が16以上30以下であり、(6)昇温溶出分別と
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーとのクロ
ス分別測定(CFC)によって求められる分子量−溶出
温度−溶出量の相関において、次の式(1)で表現され
る溶出温度(Ti/℃)と該溶出温度における溶出成分
の極大分子量(Mmax( Ti))の最小二乗法近似直
線関係式、
【0011】
【式4】 log(Mmax(Ti))=A*Ti+C・・・(1) (ただし、前記式(1)においてA及びCは定数)にお
いて、定数Aが以下の関係式(2)、
【0012】
【式5】−0.5≦A≦0.01・・・(2) を満足するポリエチレンからなる高純度薬品用容器であ
る。
【0013】そして、本発明のポリエチレン製容器の素
材であるポリエチレンは、担持型幾何拘束型シングルサ
イト触媒を用いて、ベッセル型のスラリー重合法により
製造することができる。本発明のポリエチレン製容器が
従来技術による容器に比べてクリーン性能と機械的特性
のバランスにおいて飛躍的な性能向上が得られる理由
は、素材であるポリエチレンが担持型幾何拘束型シング
ルサイト触媒を用いてベッセル型のスラリー重合法によ
り製造され、かつ以下に示す3つの特徴を有することに
起因する。まず第一の特徴は、上記方法により得られる
ポリエチレンは従来のポリエチレンに比べてクリーン性
に極めて優れることにある。該ポリエチレンは、(1)
触媒活性が高いのでポリエチレン中に含まれる周期律表
第4族遷移金属(Ti、Zr、Hf)の含有量を10p
pm以下、好ましくは3ppm以下、更に好ましくは1
ppm以下にすることが可能であること、(2)分子量
分布が狭いのでワックス含有量が少ないこと、(3)ポ
リマー構造の均一性が高いために低密度の低分子量成分
の含有量が少ないこと、等の理由により、容器から内容
物に浸出する微粒子の発生量を極めて少なくすることが
できる。この第一の特徴の発現はシングルサイト触媒に
因るところが大であるが、加えて、ポリエチレンの重合
方法としてスラリー重合法を採用するところに特徴があ
る。すなわち、スラリー重合法ではプロセス的に遠心分
離器等の分離装置により、重合されたポリエチレンパウ
ダーを重合溶媒と分離する工程を導入することができる
が、この分離工程において複製したワックス分や低密度
の低分子量成分、あるいは触媒残渣成分等を効率的に除
去することが可能である。本発明のポリエチレン製容器
に使用されるポリエチレンとしては、このように重合パ
ウダーが溶媒により洗浄精製されたポリエチレンを好ま
しく使用することができ、該方法により得られたポリエ
チレンは他の溶液法やガス法のプロセスで得られるメタ
ロセン系ポリエチレンに比べても、ワックス成分や低密
度の低分子量成分、あるいは触媒残渣成分等のポリマー
中の残存量を一層低減させることが可能となる。第二の
特徴は、素材であるポリエチレンが前記式(1)におけ
る定数Aの値が次の関係式(2)、
【0014】
【式6】−0.5≦A≦0.01・・・(2) 好ましくは、次の関係式(3)、
【0015】
【式7】−0.4≦A≦−0.001・・・(3) を満足することにある。前記式(1)において定数Aが
負(マイナス)の場合は、ポリエチレンがコポリマーで
ある場合、コポリマーの高分子量成分にコモノマーがよ
り多く導入されていることを表す。このようなコモノマ
ー分布を有するポリエチレンはタイ(tie)分子密度
が向上するために、耐衝撃性やESCR特性や耐疲労特
性が向上する。
【0016】これに対して定数Aが正(プラス)の場合
は、コポリマーの低分子量成分にコモノマーが多く導入
された構造となり、このためにESCR特性や耐衝撃性
や耐疲労特性が不十分となる。従来のチーグラー・ナッ
タ型触媒を用いて得られるポリエチレンの場合は、通
常、低分子量成分側にコモノマーが多く導入されるため
に定数Aは正(プラス)となる。また、一般のメタロセ
ンポリエチレンの場合も定数Aは正となることが多い。
また、ホモポリマーの場合は定数Aの値を精度良く測定
することは困難であるが、定数Aの値はほとんど零に等
しい。
【0017】第三の特徴は、容器の素材であるポリエチ
レンが剛性と耐衝撃性とESCR特性を高いレベルでバ
ランスさせるために最適な分子量分布に制御されている
ことである。すなわち、本発明で使用されるポリエチレ
ンは後述するGPC測定法に基づくMw/Mn値が3〜
6の範囲にあり、従来のチーグラー・ナッタ型触媒を用
いて得られるポリエチレンのそれよりも狭く、一般のメ
タロセンポリエチレンのそれに比べてわずかに広いのが
特徴である。かかる分子量分布特徴を有するポリエチレ
ンは、剛性と耐衝撃性とESCR特性のバランスを高レ
ベルで維持するのに極めて好都合である。
【0018】本発明のポリエチレン製容器のクリーン性
と機械的強度がいかに優れるかについては後の実施例に
おいて具体的に説明するが、本発明のポリエチレン製容
器は担持型幾何拘束型シングルサイト触媒を用いてベッ
セル型のスラリー重合法により製造されたポリエチレン
が有する特徴を活かすことによりなされたものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明にかかわるポ
リエチレンは、エチレンホモポリマー、またはエチレン
と炭素原子数が3〜20のα−オレフィンとのコポリマ
ーである。
【0019】ここで、炭素数が3〜20のα−オレフィ
ンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、
1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテ
ン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1
−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等
が挙げられ、これらの内の1種あるいは2種以上の組み
合わせとして使用される。これらのうち、好ましいのは
1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテ
ンであり、特に好ましくは、1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、1−オクテンである。本発明で使用されるポリエチ
レンがコポリマーである場合は、従来のチーグラー・ナ
ッタ(ZN)型触媒では一般に得られ難い高分子量側の
成分により多くのコモノマーが導入された特異的な分子
構造を有するが、この構造を有するポリエチレンを得る
ためには、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−
1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセ
ン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタ
デセンをコモノマーとして使用することが更に好まし
い。
【0020】ポリエチレン中のα−オレフィン含量は
0.05〜2.0モル%であり、好ましくは0.1〜
1.5モル%である。ここで、α−オレフィン含量とは
エチレン以外のα−オレフィンの総含量のことである。
α−オレフィンが2.0モル%を越える場合は得られる
ポリエチレンの密度が低すぎて本発明の範囲から外れ
る。α−オレフィン含量(単位:モル%)は、日本電子
データム(株)社製、商品名α−400型を用いて通常
10mmφの試料管中で約30mgの共重合体を0.5
mlのオルトジクロロベンゼン/d6−ベンゼン=1/
4〜1/5の混合溶媒に均一に溶解させた試料の13C
−NMRスペクトルを、測定温度135℃で測定され
る。
【0021】本発明にかかわるポリエチレンの2.16
kg荷重、190℃条件でのメルトフローレート値(I
2 )は、0.05g/10min以上50g/10mi
n以下である。I2 が0.05g/10min未満の場
合はポリエチレンの流動性が不足し、成形加工性が困難
となる。一方、I2 が50g/10minを越える場合
は、反対に流動性が高すぎて、通常のブロー成形や回転
成形では容器の成形が困難である。I2 は、0.1g/
10min以上40g/10min以下が好ましく、さ
らに好ましくは0.3g/10min以上30g/10
min以下であり、特に好ましくは0.5g/10mi
n以上20g/10min以下である。尚、メルトフロ
ーレート値は1,000ppmの酸化防止剤を配合し
て、ASTM D1238に準じて測定されるが、以下
本明細書で示すMFR値はすべて同方法により測定され
た値である。
【0022】本発明にかかわるポリエチレンの密度は
0.910g/cm3 以上0.975g/cm3 以下で
ある。密度が0.910g/cm3 未満である場合は、
容器の剛性が不十分であり、さらに微粒子の発生数が増
大してクリーン度が低下する。一方、密度が0.975
g/cm3 を超える場合は容器の機械的強が不十分とな
る。密度は0.930g/cm3 以上0.970g/c
3 以下が好ましく、さらに好ましくは0.940g/
cm3 以上0.965g/cm3 以下、特に好ましくは
0.945g/cm3 以上0.963g/cm3 以下で
ある。
【0023】尚、本明細書中で示す密度はすべて測定試
料を窒素下で120℃で1時間処理し、1時間かけて室
温(約23℃)まで徐冷した後に、密度勾配間により測
定される。本発明にかかわるポリエチレンは、ゲル・パ
ーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定に
よって求められるMw/Mn値が3以上6以下である。
本発明のポリエチレン製容器では用いるポリエチレンの
Mw/Mn値がより小さいほど、耐衝撃性が向上し、ま
た容器の微粒子の発生数を低く抑えることができるので
クリーン度も向上する。しかしながら、Mw/Mn値が
3未満の場合は、ポリエチレンの到達密度が低くなるた
めに、容器の剛性を高くすることが困難になり、またE
SCRが低下し、さらに流動性が低下するため成形加工
が困難になるなどして好ましくない。一方、Mw/Mn
値が6を超える場合は、容器の微粒子の発生数が増大し
てクリーン度が低下し、さらに容器の耐衝撃性も低下す
る。
【0024】すなわち、本発明にかかわるポリエチレン
の分子量分布は容器のクリーン度と機械的強度のバラン
スが極めて好ましい範囲にあることが特徴であり、Mw
/Mn値の好ましい範囲は3.2以上5.5以下であ
り、さらに好ましくは3.5以上5以下である。本発明
にかかわるポリエチレンは後に述べる担持型の幾何拘束
型シングルサイト触媒を用いてベッセル型のスラリー重
合法により製造することができるが、該重合方法により
ポリエチレンを製造する場合、ポリエチレンのMw/M
n値は3以上6以下の範囲にある。
【0025】また、該重合方法で得られるポリエチレン
のエチレン系重合体のMw/Mn値は反応器内部におけ
る重合スラリーの平均滞留時間や重合圧力や重合温度や
さらにはコモノマー濃度等により変化し、平均滞留時間
の増大と共に増大し、また重合圧力の低下と共に増大
し、重言温度の増大と共に増大し、さらにコモノマーを
供給することにより低下する。ここで、重合スラリーの
反応器内部における平均滞留時間とは反応器内部の総ス
ラリー液量を単位時間に反応器内を通過するスラリー液
量で除した値で定義される。また、重合圧力とは反応器
内部の総圧力(kgf/ cm2 、ゲージ圧)である。
【0026】担持型の幾何拘束型シングルサイト触媒を
用いてスラリー重合法により本発明にかかわるポリエチ
レンを製造する場合において、反応器内部における重合
スラリーの平均滞留時間は0.5時間以上8時間以下、
好ましくは0.8時間以上7時間以下、更に好ましくは
1時間以上6時間以下の範囲内にあることが好ましい。
また、反応器内部における重合圧力は1kgf/cm2
以上30kgf/cm2以下、好ましくは3kgf/c
2 以上25kgf/cm2 以下、更に好ましくは5k
gf/cm2 以上20kgf/cm2 以下の範囲内にあ
ることが好ましい。また、反応器内部における重合温度
は40℃以上110℃以下、好ましくは50℃以上10
0℃以下、更に好ましくは55℃以上90℃以下の範囲
内にあることが好ましい。
【0027】エチレン系重合体のMw/Mn値はGPC
を用いて測定するが、本発明におけるGPC測定はすべ
て以下の条件で行われる。 [装置]Waters社製 ALC/GPC 150−
C型 [測定条件] カラム;昭和電工(株)製 AT−807S(1本)と
東ソー(株)製 GMH−HT6(2本)を直列に接続 移動相;トリクロロベンゼン(TCB) カラム温度;140℃ 流量;1.0ml/分 試料濃度;20〜30mg(PE)/20ml(TC
B) 溶解温度;140℃ 流入量;500〜1,000ml 検出器;示差屈折計
【0028】[測定試料]1,000ppmの酸化防止
剤(BHT等)を含む溶融混練物もしくはMFR測定で
得られたストランド さらに、本発明にかかわるポリエチレンは、メルトフロ
ーレート比(MIR)が16以上30以下である。ここ
で、MIRとは190℃における21.6kg荷重での
MFRをI20、同温度で2.16kg荷重のMFRをI
2 としたときに、MIR=I20/I2 で定義され、溶融
流動性の尺度である。すなわち、MIRが大きいほど成
形加工性に優れることを意味する。また、一般に、直鎖
状のポリエチレンではMIRが大きいほど、分子量分布
は広くなる。本発明にかかわるポリエチレンではMIR
が16未満では成形加工性が悪くなるので好ましくな
く、一方、30を超えると容器の微粒子の発生数が増大
してクリーン度が不十分となり、さらに容器の耐衝撃性
も低下する。MIRは18以上28以下が好ましく、更
に好ましくは20以上26以下である。
【0029】また、本発明にかかわるポリエチレンは、
昇温溶出分別とゲル・パーミエーション・クロマトグラ
フィーとのクロス分別測定(CFC)によって求められ
る分子量−溶出温度−溶出量の相関において、次式
(1)で表現される溶出温度(Ti/℃)と該溶出温度
における溶出成分の極大分子量(Mmax( Ti))の
最小二乗法近似直線関係式、
【0030】
【式8】 log(Mmax(Ti))=A*Ti+C・・・(1) (ただし、前記式(1)においてA及びCは定数)にお
いて、定数Aが以下の関係式(2)、
【0031】
【式9】−0.5≦A≦0.01・・・(2) 好ましくは、以下の関係式(3)、
【0032】
【式10】 −0.4≦A≦−0.001・・・(3) を満たす。前述したように、定数Aがマイナスとなる場
合が、ポリエチレンの高分子量側にコモノマーがより多
く導入された、タイ(tie)分子の存在確立が大きな
ポリエチレンとなり、容器の機械的特性がより向上す
る。本発明にかかわるポリエチレンでは、定数Aの範囲
は、更に好ましくは、
【0033】
【式11】−0.3≦A≦−0.002 であり、より好ましくは、
【0034】
【式12】−0.35≦A≦−0.003 であり、特に好ましくは、
【0035】
【式13】−0.2≦A≦−0.005 である。定数Aが−0.5より小さい(負に大きな)重
合体を単一の触媒系で重合することは実質的に困難であ
る。尚、上記の定数Aは、溶出温度(Ti/℃)に於け
る対数極大分子量(log(Mmax(Ti)))とT
iのプロットから求められるが、溶出温度Tiにおける
溶出成分量が1wt%以下の場合のMmax値と、最低
溶出温度と最高溶出温度における溶出成分におけるMm
ax値は除外して求められる。
【0036】担持型幾何拘束型シングルサイト触媒を用
いてスラリー重合により得られるポリエチレンは、前記
式(2)の関係を満足する場合が多いが、同触媒と重合
方法を用いれば必ず前記式(2)の関係を満足するポリ
エチレンが得られるとは限らず、以下に列挙する(1)
〜(4)に示す重合条件で製造される場合において、前
記式(1)の定数Aがより負に大きな、すなわち機械的
性能が改良されたポリエチレンを得ることができる。 (1)重量平均分子量がより大きなポリエチレンを得る
場合。 (2)コモノマーであるα−オレフィンが、1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オ
クテン等のいわゆるハイヤーオレフィンである場合。 (3)重合温度がより低い場合(40〜90℃) (4)重合圧力がより低い場合(1〜20kg/c
2 ) 尚、本発明において実施される昇温溶出分別とゲル・パ
ーミエーション・クロマトグラフィーとのクロス分別測
定(CFC)は以下の条件で行われる。
【0037】[装置]ダイヤインストルメンツ(株)社
製 CFC T−150A型 [測定条件] GPCカラム;昭和電工(株)製 AD806MSを3
本直列に接続して使用 移動相;ジクロロベンゼン(DCB) カラム温度;140℃ 流量;1.0ml/分 試料濃度;20〜30mg(PE)/20ml(DC
B) 溶解温度;140℃ TREFカラム充填剤;ガラスビーズ 試料溶液注入量;5ml TREFカラム冷却速度;1℃/min(140℃より
0℃に冷却) TREFカラム昇温速度;1℃/min(0℃より14
0℃に昇温) 検出器;Nicolt(株)社製 マグナIRスペクト
ロメーター 550型
【0038】[測定試料]1,000ppmの酸化防止
剤(BHT等)を含む溶融混練物もしくはMFR測定で
得られたストランド 次に本発明で用いるポリエチレンを得るための触媒系並
びに製造方法について説明する。本発明にかかわるポリ
エチレンは、少なくとも(ア)担体物質、(イ)有機ア
ルミニウム化合物、(ウ)活性水素を有するボレート化
合物、及び(エ)シクロペンタジエニルまたは置換シク
ロペンタジエニル基とη結合したチタン化合物、から調
製された担持型幾何拘束型シングルサイト触媒を使用し
てベッセル型スラリー重合法により製造することができ
る。
【0039】担体物質(ア)としては、有機担体、無機
担体のいずれであってもよい。有機担体としては、
(1)炭素数2〜10のαーオレフィン重合体、例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、
エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン−1
共重合体、エチレン・ヘキセン−1共重合体、プロピレ
ン・ブテン−1共重合体、プロピレン・ジビニルベンゼ
ン共重合体、(2)芳香族不飽和炭化水素重合体、例え
ばポリスチレン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合
体、あるいは(3)極性基含有重合体、例えばポリアク
リル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアク
リルニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカー
ボネート等、を列挙することができる。無機担体として
は、(4)多孔質酸化物、例えば、SiO2 、Al2
3 、MgO、TiO2 、B2 3 、CaO、ZnO、B
aO、ThO2 、SiO2 −MgO、SiO2 −Al2
3 、SiO2 −MgO、SiO2 −V2 5 等、
(5)無機ハロゲン化合物、例えば、MgCl2 、Al
Cl3 、MnCl2 等、(6)無機の炭酸塩、硫酸塩、
硝酸塩、例えば、Na2 CO3 、K2 CO3 、CaCO
3 、MgCO3 、Al2 (SO43 、BaSO4 、K
NO3 、Mg(NO3 2 等、(6)水酸化物、例え
ば、Mg(OH)2 、Al(OH)3 、Ca(OH)2
等、を例示することができる。上記に列挙した単体物質
の内、最も好ましい担体物質はシリカ(SiO2 )であ
る。担体物質の粒子径は便宜選ぶことができるが、一般
的には1〜3,000μm、好ましくは5〜2,000
μm、さらに好ましくは10〜1,000μmである。
【0040】上記担体物質は使用前に有機アルミニウム
化合物(イ)で処理される。好ましい有機アルミニウム
化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチル
アルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプ
ロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ト
リヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、
トリデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノク
ロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリド、エチ
ルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムクロ
リド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチ
ルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウ
ムハイドライド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジ
メチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウム
フェノキシド、等のアルミニウムアルコキシド、メチル
アルモキサン、エチルアルモキサン、イソブチルアルモ
キサン、メチルイソブチルアルモキサンなどの有機アル
ミニウムオキシ化合物(アルモキサン)などが挙げられ
る。これらのうちでトリアルキルアルミニウム、アルミ
ニウムアルコキシドなどが好ましく使用される。最も好
ましくはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニ
ウム、トリイソブチルアルミニウムである。
【0041】さらに本発明にかかわるポリエチレンの製
造において使用される担持触媒においては、活性水素を
有するボレート化合物(ウ)を用いる。このボレート化
合物は(ウ)は、主触媒であるシクロペンタジエニルま
たは置換シクロペンタジエニル基とη結合したチタン化
合物(エ)と反応して、(エ)をカチオンに変換する活
性化剤であり、かつこのボレート化合物中の活性水素を
有するグループ(T−H)は、担体物質(ア)にこれら
ボレート化合物(ウ)を担持する際に、担体と化学結合
または物理結合を形成することができる。活性水素を有
するボレート化合物(ウ)とシクロペンタジエニルまた
は置換シクロペンタジエニル基とη結合したチタン化合
物(エ)により、以下の式(7)で表されるコンプレッ
クスを形成させる。
【0042】
【式14】 [BQn(Gq(T−H)r)z]A+ ・・・(7) 前記式(7)中、Bはホウ素をあらわし、Gは多結合性
ハイドロカーボンラジカルを表す。好ましい多結合性ハ
イドロカーボン(G)としては、炭素数1から20を含
むアルキレン、アリレン、エチレン、アルカリレンラジ
カルを挙げることができ、Gの好ましい例としては、フ
ェニレン、ビスフェニレン、ナフタレン、メチレン、エ
チレン、1、3−プロピレン、1,4−ブタジエン、p
フェニレンメチレンを挙げることができる。多結合性ラ
ジカルGはr+1の結合、すなわち一つの結合はボレー
トアニオンと結合し、Gのその他の結合は(T−H)基
と結合する。TはO、S、NR、またはPRを表し、R
はハイドロカルベニルラジカル、トリハイドロイカルベ
ニルシリルラジカル、トリハイドロカルベニルゲルマニ
ウムラジカル、またはハイドライドを表す。qは1以上
で好ましくは1である。上記T−Hグループとしては、
−OH、−SH、−NRH、または−PRHであり、こ
こでRはC1からC18、好ましくはC1からC10の
ハイドロカルベニルラジカルまたは水素である。好まし
いRグループとしては、アルキル、シクロアルキル、ア
リル、アリルアルキルまたは1から18の炭素数を有す
るアルキルアリルを挙げることができる。−OH、−S
H、−NRHまたは−PRHは、例えば、−C(O)、
−OH、−C(S)、−SH、−C(O)−NRH、及
びC(O)−PRHでもかまわない。最も好ましい活性
水素を有する基は−OH基である。Qはハイドライド、
ジハイドロカルビルアミド、このましくはジアルキルア
ミド、ハライド、ハイドロカルビルオキシド、アルコキ
シド、アリルオキシド、ハイドロカルビル、置換ハイド
ロカルビルラジカル等である。ここでn+zは4であ
る。
【0043】前記式(7)の[BQn(Gq(T−
H)r)z]として、例えば、トリフェニル(ヒドロキ
シフェニル)ボレート、ジフェニル−ジ(ヒドロキシフ
ェニル)ボレート、トリフェニル(2,4−ジヒドロキ
シフェニル)ボレートトリ(p−トリル)(ヒドロキシ
フェニル)ボレート、トリス−(ペンタフルオロフェニ
ル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス−(2,
4−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレー
ト、トリス−(3,5−ジメチルフェニル)(ヒドロキ
シフェニル)ボレート、トリス−(3,5−ジ−トリフ
ルオロメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレー
ト、トリス−(ペンタフルオロフェニル)(2ーヒドロ
キシエチル)ボレート、トリス−(ペンタフルオロフェ
ニル)(4−ヒドロキシブチル)ボレート、トリス−
(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシ−シクロ
ヘキシル)ボレート、トリス−(ペンタフルオロフェニ
ル)(4−(4’−ヒドロキシフェニル)フェニル)ボ
レート、トリス−(ペンタフルオロフェニル)(6−ヒ
ドロキシ−2ナフチル)ボレート、ビス(ハイドロジェ
ーネーテッドタロアルキル)メチルアンモニウムトリス
(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニ
ル)ボレートが等が挙げられ、最も好ましくはトリス
(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドキシフェニル)
ボレート、ビス(ハイドロジェーネーテッドタロアルキ
ル)メチルアンモニウムトリス(ペンタフルオロフェニ
ル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレートである。さら
に上記ボレート化合物の−OH基を−NHR(ここでR
はメチル、エチル、tーブチル)で置換したものも好ま
しく使用できる。
【0044】ボレート化合物の対カチオンとしては、カ
ルボニウムカチオン、トロピルリウムカチオン、アンモ
ニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニムカ
チオン、ホスホニウムカチオンがあげられる。またそれ
自身が還元されやすい金属の陽イオンや有機金属の陽イ
オンも挙げられる。これらカチオンの具体例としては、
トリフェニルカルボニウムイオン、ジフェニルカルボニ
ウムイオン、シクロヘプタトリニウム、インデニウム、
トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、
トリブチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジプ
ロピルアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、
トリオクチルアンモニウム、N,N−ジメチルアンモニ
ウム、ジエチルアンモニウム、2,4,6−ペンタメチ
ルアンモニウム、N,N−ジメチルベンジルアンモニウ
ム、ジ−(i−プロピル)アンモニウム、ジシクロヘキ
シルアンモニウム、トリフェニルホスホニウム、トリホ
スホニウム、トリジメチルフェニルホスホニウム、トリ
(メチルフェニル)ホスホニウム、トリフェニルホスホ
ニウムイオン、トリフェニルオキソニウムイオン、トリ
エチルオキソニウムイオン、ピリジニウム、銀イオン、
金イオン、白金イオン、銅イオン、パラジウムイオン、
水銀イオン、フェロセニウムイオン等が挙げられる。な
かでも特にアンモニウムイオンが好ましい。
【0045】さらに、本発明にかかわるポリエチレンの
製造において使用される担持触媒においては、下記式
(8)で表されるシクロペンタジエニルまたは置換シク
ロペンタジエニル基とη結合したチタン化合物(エ)が
使用される。
【0046】
【式15】 前記式(8)中、Tiは+2、+3、+4の酸化状態で
あるチタン原子、Cpはチタンにη結合するシクロペン
タジエニルまたは置換シクロペンタジエニル基であり、
1 はアニオン性リガンドであり、X2 は中性共役ジエ
ン化合物である。n+mは1または2であり、Yは、−
O−、−S−、−NR−、または−PR−であり、Z
は、SiR2 、CR2 、SiR2 −SiR2 、CR2
2 、CR=CR、CR2 SiR2 、GeR2 、BR2
であり、Rは水素、ハイドロカルビル、シリル、ゲルミ
ウム、シアノ、ハロまたはこれらの組み合わせもの及び
20個までの非水素原子をもつそれらの組み合わせから
選ばれる。置換シクロペンタジエニル基としては、1種
またはそれ以上のC1 からC20のハイドロカルビル、C
1 からC20のハロハイドロカルビル、ハロゲンまたはC
1 からC20ハイドロカルビル置換第14族メタロイド基
で置換されたシクロペンタジエニル、インデニル、テト
ラヒドロインデニル、フルオレニルもしくはオクタフル
オレニルがあげられ、好ましくはC1 −C6 のアルキル
基で置換されたシクロペンタジエニル基である。X1
2 としては、例えば前記式(8)において nが2、
mが0で、チタンの酸化数が+4であれば、X1 はメチ
ル、ベンジルから選ばれ、nが1、mが0でチタンの酸
化数は+3であればX1 は、2−(N,N−ジメチル)
アミノベンジル、さらにチタンの酸化数が+4であれ
ば、X1 は2−ブテン−1,4−ジイル、さらにnが0
で、mが1でチタンの酸化数が+2であればX2 は1,
4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、または1,3−
ペンタジエンが選ばれる。
【0047】本発明に関するポリエチレンを得るために
使用される担持型幾何拘束型シングルサイト触媒は成分
(ア)に成分(イ)、成分(ウ)及び成分(エ)を担持
させることにより得られるが、成分(イ)から成分
(エ)を担持させる方法は任意であるが、一般的には成
分(イ)、成分(ウ)及び成分(エ)をそれぞれが溶解
可能な不活性溶媒中に溶解させ、成分(ア)と混合した
後、溶媒を留去する方法、また成分(イ)、成分(ウ)
及び成分(エ)を不活性溶媒に溶解後、固体が析出しな
い範囲で、これを濃縮して、次の濃縮液の全量を粒子内
に保持できる量の成分(ア)を加える方法、成分(ア)
に成分(イ)および成分(ウ)をまず担持させ、ついで
成分(エ)を担持させる方法、成分(ア)に成分(イ)
及び成分(エ)および成分(ウ)を逐次に担持させる方
法、成分(ア)、成分(イ)、成分(ウ)および成分
(エ)を共粉砕により、担持させる方法等が例示され
る。
【0048】担持型幾何拘束型シングルサイト触媒の調
製で使用される成分(ウ)および成分(エ)は一般的に
は固体であり、また成分(イ)は自然発火性を有するた
め、これらの成分は、担持の際、不活性溶媒に希釈して
使用する場合がある。この目的に使用する不活性溶媒と
しては、例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の
脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メ
チルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;及びエチルクロ
ライド、クロルベンゼン、ジクロルメタン等のハロゲン
化炭化水素、或いはこれらの混合物等を挙げることがで
きる。かかる不活性炭化水素溶媒は、乾燥剤、吸着剤な
どを用いて、水、酸素、硫黄分等の不純物を除去して用
いることが望ましい。
【0049】上記触媒の調製においては、成分(ア)1
グラムに対し、(イ)はAl原子換算で1×10ー5から
1×10ー1モル、好ましくは1×10ー4モルから5×1
ー2モル、(ウ)は1×10ー7モルから1×10ー3
ル、好ましくは5×10ー7モルから5×10ー4モル、
(エ)は1×10ー7モルから1×10ー3モル、好ましく
は5×10ー7モルから5×10-4モルの範囲で使用され
る。各成分の使用量、及び担持方法は活性、経済性、パ
ウダー特性、および反応器内のスケール等により決定さ
れる。得られた担持触媒は、担体に担持されていない有
機アルミニウム化合物、ボレート化合物、チタン化合物
を除去することを目的に、不活性炭化水素溶媒を用いで
デカンテーション或いは濾過等の方法により洗浄するこ
ともできる。上記の触媒調製で行われる一連の溶解、接
触、洗浄等の操作は、その単位操作毎に選択される−3
0℃以上150℃以下範囲の温度で行うことが推奨され
る。そのような温度のより好ましい範囲は、0℃以上1
90℃以下である。また、該触媒の調製においては、固
体触媒を得る一連の操作は、乾燥した不活性雰囲気下で
行うことが好ましい。
【0050】上記の担持型幾何拘束型シングルサイト触
媒は、不活性炭化水素溶媒中に分散したスラリー状態で
保存することも、或いは乾燥して固体状態で保存するこ
ともできる。本発明にかかわるポリエチレンは、ベッセ
ル型スラリー重合法により製造することができる。重合
に際しては重合溶媒、エチレン、コモノマーであるα−
オレフィン、水素、及び担持型触媒を系を連続的に反応
器に供給することにより、ポリエチレンが製造される。
溶媒、エチレン、コモノマー、及び水素の供給速度は目
的とするポリエチレンの分子量や密度に応じて便宜調整
される。スラリー法に用いる溶媒としては、不活性炭化
水素溶媒が好適であり、特に、イソブタン、イソペンタ
ン、ヘプタン、ヘキサン、オクタン等を使用することが
でき、中でもヘキサン、イソブタンが好適である。
【0051】また重合に際しては、担持型触媒のみの使
用でも本発明にかかわるポリエチレンの製造が可能であ
るが、溶媒や反応系の被毒の防止のため、付加成分とし
て有機アルミニウム化合物を共存させて使用することも
可能である。使用される有機アルミニウム化合物として
は、前述の有機アルミニウム化合物を好ましく使用する
ことができ、最も好ましくはトリメチルアルミニウム、
トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム
である。本発明にかかわるポリエチレンは、必要に応じ
て酸化防止剤、耐光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッ
キング防止剤、有機系あるいは無機系の顔料、他のポリ
オレフィン樹脂など、通常ポリオレフィンに使用される
添加剤を容器の性能を損なわない範囲で添加することも
できる。ポリエチレン中にこれらの添加剤を配合する方
法は特に限定されるものではないが、例えば重合後のペ
レットの造粒行程で直接添加する方法、一軸あるいは多
軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールな
どの公知の混練装置を用いて溶融混練する方法、あらか
じめ高濃度のマスターバッチを作製しこれを容器を成形
する際にドライブレンドする方法などが挙げられる。
【0052】本発明のポリエチレン製容器の製造方法は
特に限定されるものではないが、例えばブロー成形やイ
ンジェクションブロー成形や回転成形などにより製造す
ることができる。また、本発明の容器は多層容器とする
こともでき、この場合には内層に上述のポリエチレンを
用い、外層に他のポリオレフィン系樹脂を用いることが
できる。ブロー成形では押出機により樹脂を溶融して単
層あるいは多層構造の筒状のパリソンに押しだし、押し
出されたパリソンを金型で挟んでブローピンより加圧ガ
スを吹き込み、冷却することにより成形される。また、
インジェクションブロー成形では射出成形により得られ
るプリフォームを金型で挟んでブローピンより加圧ガス
を吹き込み、冷却することにより成形される。また、回
転成形では樹脂粉末を金型内に入れ、その金型を回転さ
せながら外部から加熱し、樹脂を溶融させて金型内部に
付着させ、冷却後、成形品を取り出すことによって成形
される。
【0053】また、本発明では素材であるポリエチレン
が以下に示す物性値の範囲にある場合が特に好適であ
る。本発明にかかわるポリエチレンはCFC測定に基づ
く80℃以下の溶出量の全溶出量に対する割合が10w
t%以下が好適である。担持型の幾何拘束型シングルサ
イト触媒により製造されるポリエチレンは組成分布が狭
く、さらにスラリー重合法により製造されるため、プロ
セス上で重合溶媒による重合パウダーの洗浄機能を作用
させることが可能であるので、ワックス成分や低密度の
低分子量成分や触媒残渣分の含有量を極めて少なくする
ことができ、クリーン度を向上させるのに極めて好都合
であるが、80℃以下の溶出量の全溶出量に対する割合
が10wt%以下が好適で、8wt%以下が更に好まし
く、より好ましくは6wt%以下である。
【0054】また、本発明にかかわるポリエチレンでは
ポリエチレン中に含まれる周期律表第4族遷移金属の含
有量が10ppm以下であることが好適である。ここで
周期律表第4族遷移金属とは、Ti、Zr、及び、Hf
を示す。これらの一種もしくは二種以上のポリエチレン
中の含有量が10ppmを超えると、容器のクリーン度
が低下するばかりでなく、容器が着色したり、また加工
時の劣化が顕著となり好ましくない。ポリエチレン中の
周期律表第4族遷移金属の含有量は3ppm以下が更に
好ましく、特に好ましくは1ppm以下である。さら
に、本発明にかかわるポリエチレンは、中和剤、酸化防
止剤、及び耐光安定剤のそれぞれの含有量が100pp
m以下である場合が好適である。本発明では容器のクリ
ーン性を高めるために、これらの添加剤を配合せずに用
いるのが特に好ましいが、必要に応じて使用することも
可能である。しかしながら、中和剤、酸化防止剤、及び
耐光安定剤は容器から薬液中に浸出して微粒子の発生原
因となるので添加量の制御は重要である。
【0055】中和剤はポリエチレン中に含まれる塩素キ
ャッチャーとして使用される。中和剤としてはカルシウ
ム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属のス
テアリン酸塩が挙げられる。中和剤の含有量が100p
pmを超えると容器のクリーン度が低下するので好まし
くない。尚、本発明にかかわる担持型幾何拘束型シング
ルサイト触媒を用いてスラリー重合法により得られるポ
リエチレンは、触媒構成成分中からハロゲン成分を除外
することも可能であり、この場合には中和剤は不要であ
る。酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエ
ン、ペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノー
ル系酸化防止剤が挙げられるが、前記中和剤と同様に酸
化防止剤の含有量が100ppmを超えると容器のクリ
ーン度が低下するので好ましくない。
【0056】耐光安定剤としては、2−(5−メチル−
2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニ
ル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリア
ゾール系耐光安定剤、ビス(2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジン)セバケート、ポリ[{6−
(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,
3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキ
サメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系耐光安定
剤が挙げられるが、前記中和剤及び酸化防止剤と同様に
耐光安定剤の含有量が100ppmを超えると容器のク
リーン度が低下するので好ましくない。
【0057】尚、ポリエチレン中に含まれる添加剤の含
有量は、容器素材であるポリエチレンをテトラヒドロフ
ラン(THF)を用いてソックスレー抽出により8時間
抽出し、抽出液を液体クロマトグラフィーにより分離、
定量することにより求めることができる。使用する装置
はLC−10Aシリーズ(島津製作所製)、カラムはS
TR−ODSII(島津製作所製)、溶媒はTHF、検
出器はUV−VISSPD−10AVP(島津製作所
製)またはRID−10A(島津製作所製)である。
【0058】
【発明の実施の形態】以下、実施例及び比較例により本
発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に
よってなんら限定されるものではない。素材であるポリ
エチレンにおいて次に示す(1)〜(3)の物性は19
0℃の圧縮成形により調製した試験平板から、以下に示
す方法に従って行った。 (1)密度(d、単位:g/cm3 ) ASTM−D1505に準拠し、密度勾配管法(23
℃)で測定した。 (2)シャルピー衝撃試験(Charpy、単位:kg
f・cm/cm2 ) JIS−K7111に準拠し、試験片形状は1号EA型
で23℃及び−20℃で測定した。 (3)曲げESCR(b−ESCR、単位:hr) JIS−K6760に準拠する。恒温水槽の水温は50
℃とした。試験液としてはライオン(株)製、商品名ア
ンタロックスCO630の10wt%水溶液を使用し
た。 (4)クリーン度 50mm径スクリュー付きブロー成形機を用い、シリン
ダー温度180℃、金型温度20℃にて成形した容量が
200mlの丸形容器を成形した。
【0059】成形した容器に超純水(商品名:トレピュ
アLV−10T(東レ(株)製))100mlを入れ、
15秒間振とう洗浄して排水した。この振とう洗浄を5
回繰り返した。5回目の洗浄水から5mlを採取し、そ
の中に浸出した0.2μm以上の微粒子の数をパーティ
クルカウンタ−(KL−22 リオン株式会社製)によ
り測定した。水中に含まれる微粒子数は次式(9)で求
められるが、これをクリーン度とする。
【0060】
【式16】 水中の微粒子数(個/ml)={カウント数(個)×超純水の水量100(m l)}/{サンプリング量5(ml)×容器容量200(ml)}・・・(9) 成形容器に改めて超純水100mlを入れて15秒間振
とうし、そのまま常温で1週間放置した。一週間経過し
た水をそのままにして再び15秒間振とうし、振とうし
た容器内の水を20分間静置した。この20分間静置し
た水から5mlを採取して、前記と同様に水中に浸出し
た0.2μm以上の微粒子の数を計測した。 (5)ボトルESCR(単位:hr) 50mm径スクリュー付中空成形機を使用し、シリンダ
ー温度190℃、金型温度40℃にて成形される500
ml丸瓶ボトル(重量42g)に、ライオン(株)製、
商品名リポノックスNC−140の10wt%水溶液を
50mlを入れ、60℃のオーブンに入れ、ボトルにク
ラックが発生するまでの時間を測定した。ボトル内圧は
0.8kgf/cm2 (ゲージ圧)とした。 (6)ボトル落垂衝撃試験 50mm径スクリュー付中空成形機を使用し、シリンダ
ー温度190℃、金型温度40℃にて成形される500
ml丸瓶ボトル(重量42g)に、15℃の水を満た
し、密栓をして、コンクリート面に丸瓶ボトルを底面方
向から落垂させ、ボトルが破裂する落下高さ(コンクリ
ート面からの高さ、最大高さ8m)を測定した。測定は
10本のサンプルについて行い、少なくとも2本が破裂
する高さを測定値とした。
【0061】(担持型幾何拘束型シングルサイト触媒の
調製例)窒素気流中で500℃で3時間熱処理した20
0gのシリカ粉末(商品名 P−10、富士シリシア
(株)製)を5リットルのヘキサン中に攪拌させる。続
いて、296mlのトルエンに溶解させた20.1g
(17.6mmol)のビス(ハイドロジェーネーテッ
ドタロアルキル)メチルアンモニウムトリス(ペンタフ
ルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート
を攪拌しながら徐々に加えて、滴下終了後さらに30分
間攪拌する。その後、シリカスラリー溶液に1Mのトリ
エチルアルミニウムのヘキサン溶液400mlを加え、
室温で30分間攪拌する。その後、23℃のヘキサンを
用いて5回デカンテーション法により洗浄して、過剰な
トリエチルアルミニウム等を除去する。その後、0.2
18Mのチタニウム(N−1,1−ジメチルエチル)ジ
メチル[1−(1,2,3,4,5,−eta)−2,
3,4,5−テトラメチル−2,4−シクロペンタジエ
ン−1−イル)シラナミネート[(2−)N]−(η4
−1,3−ペンタジエン)のISOPARTME(エクソ
ンケミカル社製)溶液(深スミレ色)60mlを加え、
さらに3時間攪拌する。上記の操作により、緑色の固体
触媒系を得る。
【0062】
【実施例】(実施例1)ヘキサン、エチレン、1−ブテ
ン、水素、及び上記の触媒調製例で得た担持型触媒を連
続的に攪拌装置が付いたベッセル型反応器に供給し、ポ
リエチレン(エチレン・1−ブテンコポリマー)を製造
した。反応器の温度は70℃とし、また、反応器内の全
圧力は10kgf/cm2 とした。重合スラリーの反応
器内における平均滞留時間は1.7時間とした。スラリ
ー状の重合生成物を反応器から連続的に遠心分離器に導
びき、スラリーを濃縮した後、さらに乾燥工程を経てポ
リエチレンのパウダーを得た。
【0063】得られたポリエチレンパウダーを二軸押出
機(JSW TEX−44CMT、日本製鋼(株)製)
を用いて、スクリュー回転数150rpm、バレル設定
温度210℃の条件で溶融混練を行い、ペレタイズを行
ってポリエチレンペレットを得た。尚、混練に際して、
中和剤、酸化防止剤、及び耐光安定剤は一切添加しなか
った。得られたポリエチレンの各種の物性測定値を表1
の実施例1に示す。得られたポリエチレンのCFC測定
に基づく溶出温度−ピークトップ分子量の相関係数Aの
値は−0.003であった。
【0064】また、得られたポリエチレンのシャルピー
衝撃強度と曲げESCRの値、並びに該ポリエチレンを
用いてブロー成形により容器を作製し、各種の物性を調
べた結果を表2の実施例1に示す。得られた容器は、一
週間後の水中の微粒子数が72個/mlであり極めてク
リーン性に優れるとともに、ボトルESCR並びにボト
ル落垂衝撃強度についても優れた特性を有することがわ
かる。 (実施例2)実施例1でコモノマーとして使用した1−
ブテンを1−ヘキセンに変更して、実施例1に示す方法
によりポリエチレン(エチレン・1−ヘキセンコポリマ
ー)を得た。
【0065】得られたポリエチレンパウダーを実施例1
と同様に二軸押出機を用いて、ポリエチレンペレットと
した。尚、実施例1と同じように、混練に際して、中和
剤、酸化防止剤、及び耐光安定剤は一切添加しなかっ
た。得られたポリエチレンの各種の物性測定値を表1の
実施例2に示す。得られたポリエチレンのCFC測定に
基づく溶出温度−ピークトップ分子量の相関係数Aの値
は−0.007であった。該ポリエチレンはコモノマー
成分として1−ヘキセンを使用しているが、コモノマー
として1−ブテンを使用した実施例1の場合に比べて、
相関係数Aの値は負に大きくなっている。
【0066】また、得られたポリエチレンのシャルピー
衝撃強度と曲げESCRの値、並びに該ポリエチレンを
用いてブロー成形により容器を作製し、各種の物性を調
べた結果を表2の実施例2に示す。得られた容器は、一
週間後の水中の微粒子数が58個/mlであり極めてク
リーン性に優れる。さらに驚くべきことに、該ポリエチ
レンは曲げESCRの性能が顕著に向上していることが
わかる。 (比較例1)触媒として、塩化マグネシウム固体表面上
に2wt%のチタンが担持されたチーグラー・ナッタ型
固体触媒を用いる以外は実施例1と同様にして、スラリ
ー重合法によりエチレン・1−ブテンコポリマーを得
た。
【0067】得られたポリエチレンパウダーを実施例1
と同様に二軸押出機を用いて、ポリエチレンペレットと
した。尚、実施例1と同じように、混練に際して、中和
剤、酸化防止剤、及び耐光安定剤は一切添加しなかっ
た。得られたポリエチレンの各種の物性測定値を表1の
比較例1に示す。得られたポリエチレンのCFC測定に
基づく溶出温度−ピークトップ分子量の相関係数Aの値
は0.021であった。また、得られたポリエチレンの
各種物性の測定結果を表2の比較例1に示す。 (比較例2)ダウ・ケミカル・カンパニーより市販され
ている溶液重合によるエチレン・1−オクテンコポリマ
ー(商品名:アフィニティーHF1030)の各種の物
性の測定結果を表1と表2の比較例2に示す。
【0068】(比較例3)触媒として、ビス(シクロペ
ンタジエニル)ジルコニウム型のメタロセン触媒とアル
モキサンの組み合わせからなる担持型触媒を用いる以外
は実施例1と同様にして、スラリー重合法によりエチレ
ン・1−ブテンコポリマーを得た。得られたポリエチレ
ンパウダーを実施例1と同様に二軸押出機を用いて、ポ
リエチレンペレットとした。尚、実施例1と同じよう
に、混練に際して、中和剤、酸化防止剤、及び耐光安定
剤は一切添加しなかった。得られたポリエチレンの各種
の物性測定値を表1の比較例3に示す。得られたポリエ
チレンのCFC測定に基づく溶出温度−ピークトップ分
子量の相関係数Aの値は0.005であった。
【0069】また、得られたポリエチレンの各種物性の
測定結果を表2の比較例3に示す。 (実施例3)実施例1で使用したエチレン・1−ブテン
コポリマーを内層とし、外層として高密度ポリエチレン
(旭化成工業(株)製 B870、I2 :0.35g/
10min、密度:0.960g/cm3 )を使用し
て、多層ブロー成形機(プラコー社製)を用いて内層厚
み0.5mm、外層厚み1.0mm、容器容量500m
lの容器を作製した。得られた多層ブロー容器の各種の
物性を調べた結果を表2の実施例3に示す。得られた容
器は、一週間後の水中の微粒子数が55個/mlであり
極めてクリーン性に優れる。 (比較例4)比較例1で使用したエチレン・1−ブテン
コポリマーを内層とした以外は実施例3と同様にして多
層ブロー容器を作製した。得られた多層ブロー容器の各
種の物性を調べた結果を表2の比較例4に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】 なお、図1は、本発明の容器の素材として使用されるエ
チレンホモポリマー(b)、従来のチーグラー・ナッタ
型触媒により得られるエチレンホモポリマー(a)、及
び、通常使用されるビス(シクロペンタジエニル)ジル
コニウム型のメタロセン触媒から得られるエチレンホモ
ポリマー(c)の密度とI2 の関係図である。これによ
ると、本発明に係わるエチレンホモポリマー(b)は通
常のメタロセン触媒から得られるエチレンホモポリマー
(c)に比べて密度が高く、高剛性の容器の素材として
好適であることが判る。
【0072】
【発明の効果】本発明のポリエチレン製の高純度薬品用
容器はクリーン度が極めて高く、さらに、剛性、ESC
R、耐衝撃性が優れているので産業用あるいは医療用の
高純度試薬保存用の容器として好適である。
【0073】また、最近の添加剤の無添加志向と相まっ
て、クリーンなポリエチレン製容器に関する需要はます
ます高まってきているが、そのニーズを満足する容器と
して例えば一般の食品用容器にとしても好適に使用でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の容器の素材として使用されるエチレン
ホモポリマー(b)、従来のチーグラー・ナッタ型触媒
により得られるエチレンホモポリマー(a)、及び、通
常使用されるビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウ
ム型のメタロセン触媒から得られるエチレンホモポリマ
ー(c)の密度とI2 の関係図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)エチレンホモポリマー、またはエ
    チレンと炭素原子数が3〜20のα−オレフィンとのコ
    ポリマーであって、(2)荷重2.16kg、温度19
    0℃条件のメルトフローレート値(I2 )が0.05g
    /10min以上50g/10min以下であり、
    (3)密度が0.910g/cm3 以上0.975g/
    cm3 以下であり、(4)ゲル・パーミエーション・ク
    ロマトグラフィー(GPC)測定によって求められるM
    w/Mn値が3以上6以下であり、(5)メルトフロー
    レート比(MIR)が16以上30以下であり、(6)
    昇温溶出分別とゲル・パーミエーション・クロマトグラ
    フィーとのクロス分別測定(CFC)によって求められ
    る分子量−溶出温度−溶出量の相関において、次の式
    (1)で表現される溶出温度(Ti/℃)と該溶出温度
    における溶出成分の極大分子量(Mmax( Ti))の
    最小二乗法近似直線関係式、 【式1】 log(Mmax(Ti))=A*Ti+C・・・(1) (ただし、前記式(1)においてA及びCは定数)にお
    いて、定数Aが以下の関係式(2)、 【式2】−0.5≦A≦0.01・・・(2) を満足するポリエチレンからなる高純度薬品用容器。
  2. 【請求項2】 ポリエチレンが、前記式(1)における
    Aの値が以下の関係式(3)、 【式3】−0.4≦A≦−0.001・・・(3) を満足することを特徴とする請求項1記載の容器
  3. 【請求項3】 ポリエチレンに使用されるコモノマー
    が、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンのいず
    れかであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載
    の容器。
  4. 【請求項4】 ポリエチレンが担持型幾何拘束型シング
    ルサイト触媒により、スラリー重合法により重合された
    ポリエチレンであることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれか1項記載の容器。
  5. 【請求項5】 ポリエチレンが、前記CFC測定におけ
    る80℃以下の溶出量の全溶出量に対する割合が10w
    t%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    か1項記載の容器
  6. 【請求項6】 ポリエチレン中に含まれる周期律表第4
    族遷移金属の含有量が10ppm以下であることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれか1項記載の容器。
  7. 【請求項7】 ポリエチレン中に含まれる、液体クロマ
    トグラフィーにより定量される中和剤、酸化防止剤、及
    び耐光安定剤のそれぞれの含有量が100ppm以下で
    あることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載
    の容器。
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