JPH1128783A - 選択光線透過性を有するガスバリアフィルム - Google Patents

選択光線透過性を有するガスバリアフィルム

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JPH1128783A
JPH1128783A JP9183650A JP18365097A JPH1128783A JP H1128783 A JPH1128783 A JP H1128783A JP 9183650 A JP9183650 A JP 9183650A JP 18365097 A JP18365097 A JP 18365097A JP H1128783 A JPH1128783 A JP H1128783A
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JP
Japan
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film
atomic
gas
gas barrier
oxygen
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JP9183650A
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Hiroyuki Komatsu
弘幸 小松
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 可視光を透過するととも紫外線および赤外線
を遮断する機能を有するガスバリア性に優れた包装用フ
ィルムを提供する。 【構成】 選択光線透過性を有する多層積層体フィルム
の少なくとも片面に、水素濃度が50原子%以下で、か
つ、酸素濃度が2〜20原子%以下であるダイヤモンド
状炭素膜を形成したことを特徴とするガスバリアフィル
ム。 【効果】 可視光を透過し紫外線および赤外線を遮断す
るとともにガス透過性が極めて小さいため、レトルト食
品、薬品、電子部品等の包装および保護に好適に使用さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品包装、薬品包
装、電子部品の包装や保護等に使用されるガスバリアフ
ィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、食品、薬品等は、酸素、湿気
などによる変質を防止するためにガス透過性の小さい材
料で包装されている。特に、レトルト食品の包装材料と
して、透明性を有しガスバリア性の優れたフィルムに対
する要求が高まりつつある。このようなフィルムを作成
する一般的な方法としては、エチレンビニルアルコール
共重合体等のガスバリア性の樹脂で単層のフィルムを作
成する方法や、ガスバリア性樹脂とガスバリア性のない
樹脂の共押し出し成形や、ラミネート成形により多層フ
ィルムを作成する方法がある。また、ガスバリア性のな
いプラスチックフィルムに酸化ケイ素、酸化アルミ等の
セラミックスやダイヤモンド状炭素膜を形成する方法、
表面に塩化ビニリデン等のガスバリア性樹脂等をコート
する方法などがある。これらの透明ガスバリアフィルム
は、中身が見える特長がある反面、光による食品、薬品
等の変質を防止することができない。
【0003】一方、プラスチックフィルム上に、例えば
真空蒸着によりAl金属層を設けることによってガス透
過性が極めて低くなることが知られている。これはま
た、光を遮断するため、変質を効率よく抑制することが
できる。しかしながら、Al金属層を設けたフィルムは
透明性が悪い上に、電子レンジで使用できない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点に
鑑みてなされたものであり、その目的は透明性を有し内
容物を見ることができるとともに、有害な紫外線や赤外
線を遮断し、ガスバリア性に優れたフィルムを提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は選択透過性を
有する多層積層体フィルムの少なくとも片面に、水素濃
度が50原子%以下で、かつ、酸素濃度が20原子%以
下であるダイヤモンド状炭素膜を積層することを特徴と
するガスバリアフィルムである。本発明でいう多層積層
体フィルムとは、異なる屈折率を有する樹脂をA/B/
A/B/A/B・・・のように多数積層したものであ
る。各層の厚さと層構成を適切に決めることにより選択
光線透過性、選択反射性等の機能をもつフィルムを作製
することができる。食品や薬品等を包装する目的では、
紫外線や赤外線を遮断するように層の厚さと構成を決め
ることが必要である。
【0006】
【発明の実施の形態】多層積層体を製造するために使用
する樹脂としては、熱可塑性を有する樹脂であれば特に
制限がなく、結晶性のものでも非晶性のものでも使用で
きる。例えば、従来から日用品、雑貨、食品、錠剤薬品
等の包装材料等の成形材料として用いられている熱可塑
性樹脂であるポリオレフィン、ポリエステル、ナイロ
ン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリレー
トなどがあげられる。
【0007】本発明で使用する熱可塑性樹脂の具体例と
しては、一般式CH2=CHR(式中、Rは水素原子ま
たは炭素数1〜20のアルキル基を示す。)で表される
α−オレフィンの単独重合体または共重合体、より具体
的には高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖
状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、エチレン・1
−ブテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテ
ン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、ポリプ
ロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、プロピレン
・1−ブテン共重合体、ポリ1−ブテン、1−ブテン・
4−メチル−1−ペンテン共重合体、ポリ4−メチル−
1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ブテンなどがあげ
られる。
【0008】その他の熱可塑性樹脂としては、エチレン
・環状オレフィン共重合体、環状オレフィン開環重合体
または共重合体等の環状オレフィン系樹脂、エチレン・
酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体ま
たはその金属塩、ポリスチレン、ポリビニルアルコー
ル、ポリメタクリ酸メチル、ポリ塩化メチル、ポリ塩化
ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹
脂、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
フェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリ
イミド、ポリフェニレンオキシドなどがあげられる。
【0009】前記の熱可塑性樹脂としては1種単独で使
用することもできるし、2種以上の組成物として使用す
ることもできる。また、熱可塑性樹脂としては、AST
MD648で測定した低荷重の熱変形温度が60℃以
上、好ましくは70〜140℃であるものが実用上好ま
しい。
【0010】選択光線透過性の許容範囲を大きくするた
めには、各樹脂の屈折率差が大きい方が好ましい。すな
わち各樹脂の屈折率差は0.05以上が好ましく、より
好ましくは0.10以上、さらに好ましくは0.15以
上である。例えば、ポリエチレンテレフタレートおよび
ポリ4−メチル−1−ペンテンの屈折率は、それぞれ
1.66および1.46であり、屈折率差が0.2であ
るので好ましい組み合わせである。また、ポリカーボネ
ートおよびポリメタクリ酸メチルの屈折率は、それぞれ
1.58および1.49であり、屈折率差が0.09で
あるので好ましい。
【0011】上記の多層積層体を製造する方法として
は、例えば、多層Tダイ成形法、多層インフレーション
成形法、押し出しラミネーション成形等の共押し出し成
形法、ウェットまたはドライラミネーション成形法、多
層ブロー成形法、2色成形法、サンドイッチ成形法、ス
タンピング成形法など、一般的な多層積層体成形法を採
用して、異なる屈折率を有する2種類の樹脂を積層する
ことができる。これらの成形工程において第1の層と第
2の層の少なくとも2層からなる基礎積層体を成形し、
続いて分割工程において上記の基礎積層体を、長手方向
に平行であって、かつ積層界面に垂直な面で分割し、さ
らに次の積層工程において、分割工程で得られる分割積
層体を加熱状態下、界面に平行な面で積層して多層成形
体を形成することにより多層積層体を製造する。
【0012】上記の方法において、成形工程、分割工程
および積層工程を1回以上、好ましくは2〜10回繰り
返す。このようにして得られた多層積層体は、延伸、圧
延などの二次加工をして、各層の厚さをさらに薄くする
ことができる。多層積層体の表面にダイヤモンド状炭素
膜を形成するためには、多層積層体の厚さは0.01〜
1mmにすることが好ましい。
【0013】本発明でいうダイヤモンド状炭素膜とは、
非晶質のダイヤモンドライクカーボンのことであり、ダ
イヤモンド、グラファイト、ポリマーの各構成成分を含
んでいる。このダイヤモンド状炭素膜は、これらの成分
の混合する割合で性質が異なり、高い硬度を有するダイ
ヤモンド状炭素膜であっても必ずしも、水蒸気や酸素等
のガスバリア層として働くわけではない。
【0014】従来、ダイヤモンド状炭素膜の膜質は、そ
の水素濃度を指標として考えられてきた。即ち、水素濃
度が低くなれば、膜はダイヤモンドの性質をより呈し、
一方、水素濃度が高くなると、グラファイトまたはポリ
マーの性質を呈して膜の硬度が低下する。しかし、ダイ
ヤモンド状炭素膜のガスバリア性は、必ずしも膜の硬度
と対応関係にはない。また、ガスバリア性は、膜を構成
する原子同士のつながりが切れるサイトの濃度によって
決まるものと考えられるため、水素濃度の低減がガスバ
リアー性の向上に寄与するものと考えられてきた。
【0015】本発明者は、膜のガスバリアー性を改善す
るため、膜中の水素原子含有量の低減を検討してきた
が、得られる膜の透明性は必ずしも好ましいものではな
かった。そこで、膜内の水素濃度を増加させずに、この
膜の透明性を上げるための方法を検討したところ、驚く
べきことに、従来においてガスバリアー性を悪化させる
要因と考えられてきた酸素原子を、膜中で適度に含有さ
せることによって、膜のガスバリアー性を悪化させるこ
となく、透明性を上げる効果が得られることが分かっ
た。
【0016】すなわち、本発明の水蒸気や酸素等のバリ
ア層として働くダイヤモンド状炭素膜に含まれる水素濃
度は、50原子%以下であり、好ましくは45原子%以
下、さらに好ましくは40原子%以下で、かつ、膜中に
含まれる酸素濃度は、2〜20原子%であり、好ましく
は2〜15原子%、さらに好ましくは2〜10原子%、
特に好ましくは2〜5原子%である。
【0017】上記ダイヤモンド状炭素膜を形成するため
には、炭素と水素を含有する原料ガスが使用される。炭
素と水素を含有する原料ガスとしては、例えば、メタ
ン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等
のアルカン系ガス類;エチレン、プロピレン、ブテン、
ペンテン等のアルケン系ガス類、ペンタジエン、ブタジ
エン等のアルカジエン系ガス類;アセチレン、メチルア
セチレン等のアルキン系ガス類;ベンゼン、トルエン、
キシレン、インデン、ナフタレン、フェナントレン等の
芳香族炭化水素系ガス類;シクロプロパン、シクロヘキ
サン等のシクロアルケン系ガス類;メタノール、エタノ
ール等のアルコール系ガス類、アセトン、メチルエチル
ケトン等のケトン系ガス類;メタナール、エタナール等
のアルデヒド系ガス類等が挙げられる。上記ガスは、単
独で使用されても良いし、二種以上が併用されても良
い。
【0018】また、原料ガスとしては、上記炭素と水素
を含有する原料ガスと水素ガスとの混合ガス;一酸化炭
素ガス、二酸化炭素ガス等炭素と酸素のみから構成され
るガスと上記原料ガスとの混合ガス;一酸化炭素ガス、
二酸化炭素ガス等炭素と酸素のみから構成されるガスと
水素ガスとの混合ガス;一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガ
ス等炭素と酸素のみから構成されるガスと酸素ガス、水
蒸気との混合ガスなどが挙げられる。
【0019】さらに、原料ガスとしては、上記炭素と水
素を含有する原料ガスと希ガスとの混合ガスが挙げられ
る。希ガスとしては、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キ
セノン等が挙げられ、これらは単独で使用されても良い
し、2種以上が併用されても良い。
【0020】上記混合ガス中における水素ガス、酸素ガ
ス、希ガスの混合量は、使用する装置の種類、混合ガス
の種類や成膜圧力条件等により変化する。従って、成膜
されたダイヤモンド状炭素膜に含まれる水素濃度が、5
0原子%以下、より好ましくは45原子%以下、さらに
好ましくは40%以下、かつ酸素原子が2〜20原子
%、好ましくは2〜15原子%、さらに好ましくは2〜
10原子%、特に好ましくは2〜5原子%となるように
それらの条件を調整する。
【0021】また、炭素源としては、黒鉛、ダイヤモン
ド等の炭素同位体の固体も使用可能であり、水素ガスや
希ガス雰囲気下のプラズマ中に設置して使用される。
【0022】上記原料ガスをプラズマによって励起する
手段としては、例えば、直流を印加してプラズマ分解す
る方法;高周波を印加してプラズマ分解する方法;マイ
クロ波放電によってプラズマ分解する方法;電子サイク
ロトロン共鳴によってプラズマ分解する方法;熱フィラ
メントによる加熱によって熱分解する方法等が挙げられ
る。これらの中では、直流プラズマを印加する方法は、
成膜基材が絶縁物であるプラスチックスフィルムの場合
には、プラズマが発生しないため、好ましくない。ま
た、熱フィラメント法を用いる場合には、フィラメント
を500℃以上と高温にしなければならないため、成膜
基材の耐熱性が低い場合には好ましくない場合がある。
マイクロ波プラズマ法や電子サイクロトロン共鳴によっ
てプラズマを分解する方法は、成膜速度が速く成膜温度
が低いので好ましい方法である。また、高周波プラズマ
を用いる方法は、大面積のフィルムに成膜する場合に好
ましい。
【0023】また、ダイヤモンド状炭素膜を形成する方
法としては、イオンビームスパッタリングやイオンプレ
ーティング法等の物理蒸着法があり、これらの方法を採
用してもよい。
【0024】上記のダイヤモンド状炭素膜の膜厚は必要
に応じて決定されるが、厚くなると基材フィルムとの密
着性が悪くなったり、膜応力により被覆基材が変形した
り、透明性が低下するため、0.5μm以下が好まし
く、さらに0.1μm以下が好ましく、特に0.05μ
m以下が好ましい。
【0025】多層積層体とダイヤモンド状炭素膜の密着
性を高めるために、必要に応じ、該基材表面を脱脂、脱
水するための洗浄等の清浄化処理、真空容器内で基材表
面にHe等の不活性ガスや酸素ガス等の活性ガスによる
プラズマ処理などの公知の処理を行っても良い。
【0026】以下、本発明の実施の形態を図面により説
明する。 <多層積層体の製造方法>図1は、多層積層体の製造方
法を示す斜視図である。図1において1は基礎積層体、
1a、1b、1c、1dは分割積層体、2は多層積層体
である。工程(1)において、第1の層Aおよび第2の
層Bからなる基礎積層体1をフィルム、シート、ブロッ
ク状に、加熱状態好ましくは溶融状態で長手方向に連続
に成形する。上記のような樹脂から溶融状態の基礎原料
体1を形成するには、例えば、共押出成形、あるいは共
射出成形などの方法を利用することができる。この工程
(1)では、基礎積層体1はその幅方向に広げられるこ
とが好ましい。このように成形された基礎積層体1は成
形ダイの内部で長手方向に連続的に工程(2)に供給さ
れる。
【0027】工程(1)において得られる基礎積層体1
の厚さは、通常100μm〜50mm程度、各層の厚さ
は50μm〜25mm程度であることが好ましい。次い
で工程(2)においては、上記工程(1)で得られた加
熱状態の基礎積層体1を、その長手方向に平行であっ
て、かつ積層界面に垂直な面で分割する。分割本数は、
通常2〜6程度である。また、基礎積層体1は、一度で
目的本数に分割されてもよいが、多段階に分けて、好ま
しくは逐次2分割して、望みの本数にまで分割すること
が望ましい。
【0028】図1では、基礎積層体1が分割積層体1
a、1b、1c、1dに4分割された例を示す。具体的
には、工程(1)から供給された基礎積層体1は、ダイ
内で4分割された流路に供給されることにより4分割さ
れる。工程(2)においては、このように分割された各
分割積層体1aないし1dを、その長手方向を回転軸と
して捻転した後、各分割積層体の積層界面を互いに平行
に維持する。捻転の方向は分割積層体1aないし1dの
長手方向を回転軸とし、その軸のまわりのいずれの方向
でも良い。図1では、分割積層体1aないし1dがすべ
て同じ向きに90°捻転した例を示す。このように捻転
させた分割積層体1a〜1dは、それぞれの平面を互い
に平行にして、次工程(4)に供給される。
【0029】工程(4)では、工程(3)より供給され
た各分割積層体1a〜1dの平行な面同士を重ね合わ
せ、積層一体化して多層積層体2を形成する。すなわ
ち、分割積層体1a〜1dの平行な面同士を溶融状態で
密着一体化して多層積層体2を形成する。
【0030】図2は工程(4)における好ましい形態を
示し、図2に示すようにこの工程(4)では、積層一体
化された多層積層体2は、捻転状態をもとの角度まで、
好ましくは水平方向までさらに捻転して、多層積層体2
をロール上で移動させることができるようにする。工程
(4)においては、多層積層体を、進行方向に従って厚
みが小さく、かつ幅が広くなるようなテーパーを有する
流路内を移動させるか、ロールで圧延することにより、
積層一体化直後よりもその厚さを減少させ、かつ幅方向
に広げる厚さ減少加工を行う。
【0031】本発明では、上記のような最終工程で得ら
れた積層構造体を、工程(1)の積層体として用い、各
工程(2)ないし(4)を少なくとも1回以上繰り返す
ことが好ましい。このようにして順次層数を増やし、最
終的には数百ないし数万層にまで多層化された積層構造
体を得ることができる。たとえば図1において、積層構
造体2を積層体1として用いて、工程(2)ないし
(4)を1回繰り返すことにより32層、2回繰り返す
ことにより128層、4回繰り返すことにより2048
層の積層構造体を得ることができる。このようにして得
られた多層積層体は、必要に応じてさらに延伸、圧延な
どの二次加工して、各層の厚さをさらに薄くすることが
できる。
【0032】上記のような本発明に係わる積層構造体の
製造方法の特に好ましい形態を図3および図4に示す。
各工程は、図1と同様にダイ中の流路を通過する加熱状
態の多層樹脂流について説明され、図3、4はこの樹脂
流の模式的平面図、側面図を示す。図3および図4にお
いて、ダイ内の各流路ポイントからは上記工程
(1)に、ポイントからは上記工程(2)に、ポイ
ントからは上記工程(3)に、ポイントからは
上記工程(4)に対応している。
【0033】<ダイヤモンド状炭素膜の生成方法>図5
は、本発明のダイヤモンド状炭素膜を生成する装置の一
例を示す模式図である。基材フィルムをSiウエハーに
貼り付け真空容器1内の冷却板7上に設置し、真空ポン
プ(図示しない)により所定真空度にした後、原料ガス
をガス導入管8より導入するとともに高周波を印加して
プラズマを発生させ成膜を行う。Siウエハーは冷却板
7により冷却される。
【0034】上記基材フィルムの温度制御は、液体ある
いは気体の循環方式、赤外線、通電加熱等の方法によっ
て行われるが、少なくとも基材フィルムのガラス転移点
以下に保持されるのが好ましく、そのために熱容量の大
きい液体の循環方式が好ましい。この際、循環させる液
体としては、所定の温度に加温あるいは冷却された液体
が挙げられ、循環される液体としては、水、エチレング
リコール(不凍液)、アルコール類、さらに低温化する
場合には、液体窒素、液体ヘリウム等が好適に使用され
る。
【0035】基材への直流バイアス印加は、使用できる
原料ガスの組成範囲を広げたり、膜質を良くするために
好ましく、直流バイアス値としては−500〜100V
が好ましく、より好ましくは−400〜10Vである。
真空容器1内の真空度は、他の不純物ガスの残留による
成膜への影響をなくすために10-4Torr以下が好ま
しい。また、成膜時の圧力は1×10-3〜10Torr
が好ましい。
【0036】
【実施例】多層積層体を作製するための熱可塑性樹脂と
して次の樹脂を用いた。 第1の層:極限粘度0.90dl/g、融点260℃、
熱変形温度68℃のポリエチレンテレフタレート 第2の層:熱変形温度95℃のポリメタクリ酸メチル 多層積層体製造装置を用いて256層の多層積層体を作
製した後、延伸を行って厚さ約26μmのフィルムを得
た。樹脂の流量は、ポリエチレンテレフタレートとポリ
メタクリ酸メチルの厚さが9:1になるように調整し
た。各層の平均厚さはそれぞれ約180nmおよび約2
0nmであった。
【0037】この多層積層体フィルムをSiウエハーに
貼り付けた後、図5に示す真空容器1内の冷却板7上に
設置し、真空容器内を1×10-5Torrに減圧した。
次いで、ガスを導入管8より導入する。原料ガスC22
を50sccmに設定し、真空容器1内の圧力を5×1
-3Torrにした後、周波数13.56MHz、15
0Wの高周波電力を印加することによって、2分間成膜
を行った。透過電子顕微鏡の観察により決定した膜の厚
さは、約0.08μmであった。得られた膜をラマン分
光法で評価した結果、ダイヤモンド状炭素膜であること
が確認され、ラザフォード後方散乱を用いて決定された
膜の組成では、ダイヤモンド状炭素膜には水素が48原
子%、酸素が4原子%含まれていた。
【0038】ダイヤモンド状炭素膜を形成した多層積層
体フィルムの評価を以下の方法により行い、表1および
図6に示す。 (1)透湿度 Mocon社製ガス透過率測定装置を使用して、40
℃、相対湿度90%の条件で測定した。 (2)酸素透過度 ヤナコ社製ガス透過率測定装置を使用して、23℃の酸
素雰囲気で行った。 (3)反射率 島津製作所製の分光光度計UV−365を用いて測定し
た。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明のガスバリアフィルムは、可視光
を透過し紫外線および赤外線を遮断するとともにガス透
過性が極めて小さいため、レトルト食品、薬品、電子部
品等の包装および保護に好適に使用される。
【0041】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる方法を示す斜視図である。
【図2】本発明に係わる多層積層体の製造工程(4)に
おける好ましい形態を示す。
【図3】本発明に係わる多層積層体製造における樹脂流
の模式的平面図である。
【図4】本発明に係わる多層積層体製造における樹脂流
の模式的側面図である。
【図5】本発明に係わるガスバリアフィルムを生成する
ためのダイヤモンド状炭素膜の成膜装置を示す概略図で
ある。
【図6】実施例により得られたフィルムの反射率を測定
した結果を示す図である。
【符号の説明】
1 基礎積層体 1a、1b、1c、1d 分割積層体 2 多層積層体 3 真空容器 4 高周波電極 5 Siウェハーに貼り付けた基材フィルム 6 整合器 7 高周波電源 8 熱電対 9 冷却板 10 ガス導入管

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屈折率の異なる2種類以上の光線透過性
    樹脂層からなる積層体の少なくとも片面に、水素濃度が
    50原子%以下で、かつ、酸素濃度が2〜20原子%で
    あるダイヤモンド状炭素膜を形成したガスバリアフィル
    ム。
  2. 【請求項2】 前記積層体が、選択光線透過性を有する
    多層積層体であることを特徴とする請求項1に記載のガ
    スバリアフィルム。
  3. 【請求項3】 前記選択光線透過性は、紫外線および赤
    外線の遮断性に優れるとともに可視光線の透過性に優れ
    たものであることを特徴とする請求項2に記載のガスバ
    リアフィルム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002200694A (ja) * 2000-12-28 2002-07-16 Nihon Tetra Pak Kk バリア性積層包装材料および液体用紙容器
WO2023095293A1 (ja) * 2021-11-26 2023-06-01 花王株式会社 シート材容器

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