JPH11273763A - 屋内配線器具のケーブル接続部 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 屋内配線器具に設けるケーブル接続部の構造
に関し、絶縁外皮を付けたままケーブルの端部を差し込
むことで接続でき、ケーブルと端子との接触面積が大き
く、従って比較的大きな電流にも耐えるケーブル接続部
を得る。 【解決手段】 配線器具の筐体１に設けられたケーブル
挿入孔２に向いてケーブル挿入方向に延びる複数枚の刃
体４を備え、この複数枚の刃体４は放射状に配置されて
端辺に切刃９が形成され、各刃体の内側頂辺１１は接続
しようとするケーブル１２の芯線１３の直径よりわずか
に小さい直径の円筒面上に位置している。ケーブル挿入
孔２から絶縁外皮が付いたケーブルの端部が挿入される
と、ケーブルの先端は複数の刃体の中心へと導かれ、切
刃が絶縁外皮を端部側から切り開き、ケーブルの芯線が
複数の切刃の間に進入し、その外周と各刃体の内側頂辺
とが接触する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、分電盤、ジョイ
ントボックス、ロゼット、コンセント等の屋内配線器具
に設けるケーブル接続部の構造に関するもので、ケーブ
ルの絶縁外皮の剥離手段と、芯線への接点とを備えた構
造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般住宅の屋内配線は、電線引込口に設
けられた分電盤から引き出された屋内配線ケーブルをジ
ョイントボックスなどの分岐用接続用器具で適宜分岐
し、終端にロゼットやコンセント等を接続することによ
り行われる。屋内配線ケーブルには通常単線二層の絶縁
被覆線が用いられ、その芯線は直径１．６〜２．０ｍｍ
の銅線である。ケーブルの端部と前記配線器具を接続す
る構造には種々のものがあるが、ケーブルの先端に圧着
端子を取り付けて配線器具内に設けられた接点にねじ止
めする構造が一般的であり、またジョイントボックスな
どでは芯線相互を撚り合わせてはんだ付けする構造も採
用されている。これらの構造の場合には、ケーブル端部
の絶縁被覆を予め剥離して芯線を露出させておく必要が
ある。

【０００３】一方電子機器等で用いられている細い絶縁
ケーブルにおいては、突出した板状のコンタクトの先端
にＹ形の切込を設け、ケーブルをこのＹ形の切込と直交
させて切込内に押し込むことにより、絶縁被覆を切り開
いて芯線を溝の縁で両側から挟んで接続する所謂圧接式
の構造が広く用いられている。この構造によれば、ケー
ブルを接続する際にその絶縁外皮を剥離する手間が省け
るので、この原理を採用することにより、絶縁外皮を剥
離することなくケーブルを接続することを可能にした屋
内器具の接続部の構造が種々提唱されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ケーブルに圧着端子を
取り付けてねじ止めする構造は、ケーブルの接続に非常
に手数がかかる。一方Ｙ形の切込を有する接点にケーブ
ルを押し込んで接続する構造は、ケーブルと接点との接
触部分で芯線と接点が直交する状態となるため、接触面
積を大きくすることができず、これを大きくしようとす
ると、接触端子の板厚を厚くしなければならないので、
絶縁外皮の除去が困難になり、またケーブルを押し込む
のに大きな力が必要になる。

【０００５】そこでこの発明は、絶縁外皮を付けたまま
ケーブルの端部を差し込むことで、ケーブルと配線器具
との接続を図ることができ、ケーブルと端子との接触面
積を大きくすることができ、従って比較的大きな電流が
流れたときでも電気抵抗の増大や発熱を抑えることがで
きる屋内配線用電気器具のケーブル接続部を得ることを
課題としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の屋内配線
器具のケーブル接続部は、配線器具の筐体１に設けられ
たケーブル挿入孔２に向いてケーブル挿入方向に延びる
複数枚の刃体４を備え、この複数枚の刃体４は放射状に
配置され、各刃体は前記ケーブル挿入孔２を向く端辺に
切刃９が形成され、各刃体の内側頂辺１１は互いに略平
行で接続しようとするケーブル１２の芯線１３の直径よ
りわずかに小さい直径の円筒面上に位置してケーブル挿
入方向に延びており、これら刃体４は導電体で形成され
て配線器具の端子板８に固定されていることを特徴とす
るものである。

【０００７】請求項２記載の発明は、請求項１記載の屋
内配線器具のケーブル接続部において、配線器具のケー
ブル挿入孔２または当該挿入孔と前記刃体４との間に挿
入されるケーブル１２に接触して弾性的に変形すること
によりケーブルの挿入方向の移動のみを許容する抜止め
手段３が設けられていることを特徴とするものである。

【０００８】

【作用】ケーブル挿入孔２から絶縁外皮１４が付いたケ
ーブルの端部が挿入されると、その端部は放射状に配置
した複数の刃体４の先端側に導かれる。このとき切刃を
形成した刃体の端辺を複数の刃体の中心に向かうラッパ
状ないしＶ字状の斜辺とすることにより、ケーブルの先
端は複数の刃体の中心へと導かれる。そしてケーブルを
さらに押し込むことにより、切刃９がケーブルの絶縁外
皮１４を軸方向に切断して、絶縁外皮１４が端部側から
切り開かれる。そしてケーブルの芯線１３が複数の切刃
の間に侵入してゆき、その外周と各刃体の内側頂辺１１
とが接触する。刃体の内側頂辺１１は鋭いエッジ状にし
て芯線１３の外周に切り込まれるようにすることもでき
るし、平面的な形状にして芯線の周面と面接触するよう
にすることもできる。刃体４の長さを長くしてケーブル
を深く差し込むようにすれば、芯線１３と刃体４との十
分な接触面積が確保できる。

【０００９】刃体の傾斜した切刃９はケーブル挿入孔を
複数の刃体の中心へと導く作用をなすとともに、絶縁外
皮１４に斜めに切り込まれることにより、軽い力で絶縁
外皮１４を切断することが可能になる。しかし複数の刃
体の中心へのケーブル先端のガイドは、必ずしも切刃９
で行う必要はなく、後述する抜止め手段３やその他のラ
ッパ状ないしロート状のガイドによって行うこともでき
る。たとえばケーブル挿入孔２をラッパ状にして、その
内側端に複数の刃体の先端辺を臨ませることにより、ケ
ーブル先端を複数の切刃の中心に案内することが容易に
可能である。

【００１０】ケーブルの抜止め手段は、たとえばケーブ
ルの絶縁外皮１４の外周に接触する斜めの舌片や、ケー
ブル挿入孔２の周縁に設けた舌片などで形成することが
できる。このような舌片３はケーブル１２の挿入力によ
ってわずかに屈曲変形可能な強度のものとし、ケーブル
挿入方向に傾斜するようにして設ける。ケーブル１２を
挿入するときは、舌片が屈曲してケーブルの通路を開く
から、ケーブルは挿入可能である。一方引抜き方向にケ
ーブルが移動しようとすると、舌片３、３の先端がケー
ブルの絶縁外皮に食い込んで相対滑りが阻止され、これ
ら舌片のケーブル引抜き方向の屈曲は、ケーブルの通路
を縮径させるから、ケーブルの引抜きが阻止される。こ
のような抜止め手段３、３を設けることにより、配線器
具にケーブルを接続した後、ケーブルが引っ張られて配
線器具とケーブルの接続が外れるのを防止できる。

【００１１】なおこの抜止め手段の舌片３、３は配線器
具の筐体の本体とカバーとの間に設けることにより、カ
バーを開いたときにケーブル通路が開かれ、従ってカバ
ーを開くことによってケーブルを抜き取ることができる
ようにすることが可能である。すなわちこの場合におい
ては、互いに対向する舌片３、３の片側を筐体の本体側
に、他側をカバー側に設けるのである。

【００１２】刃体３は１本のケーブルについて２個また
は３個設ける。４個以上設けてもよいが実益は少ない。
刃体を３枚設ければ、挿入されたケーブルの芯線を複数
の刃体の中心に保持するのが容易である。一方刃体を２
枚としたときは、芯線が刃体の間から抜けないようにケ
ーブルの側面をガイドするか、あるいは刃体の内側頂辺
１１をエッジ状にして刃体の内側頂辺がケーブルの芯線
１３に食い込んで当該芯線がガイドされるような構造と
する。刃体を２枚としたときは、配線器具の端子への刃
体の固定構造が簡単になるという長所がある。

【００１３】

【発明の実施の形態】図１及び図２はこの発明の第１実
施形態を示したものである。一部のみを示した配線器具
の筐体１には、ケーブル挿入孔２が設けられている。ケ
ーブル挿入孔２のすぐ内側には、図で上下に対向する抜
止め舌片３が配置されており、かつこの抜止め舌片３の
対向方向と直交する方向で対向する２枚の刃体４が設け
られている。抜止め舌片３は基端側がＵ字状に屈曲され
て配線器具の筐体１に埋込み成形により固定されてい
る。筐体１はケーブル挿入孔２の中心を通る平面で上下
に分割可能であり、下側が本体５、上側がカバー６とな
っている。二つの抜止め舌片３は一方が本体５に固定さ
れ、他方がカバー６に固定されている。カバー６は図示
しないねじにより本体５に締着されている。

【００１４】２枚の刃体４はそれぞれ先端を斜辺とした
薄くて硬い短冊板状の金属板で、その基端を鳩目リベッ
ト７で配線器具の端子板８で固定されている。端子板８
は筐体の本体５に固定されている。２枚の刃体４はケー
ブル挿入孔２に向かって延び、先端の斜辺がケーブルを
２枚の刃体の中心に導くＶ形を形成している。刃体４の
斜めの先端辺９は切刃とされ、また対向する内側頂辺１
１、１１は鋭角の鋭い稜線となっている。

【００１５】金属舌片３はケーブル挿入孔２から挿入さ
れるケーブルの先端を２枚の刃体を配置した平面へと導
くように、上下方向のＶ形を形成している。従ってケー
ブル挿入孔２から挿入されたケーブル１２の先端は、図
で上下に配置された舌片３と図で左右に配置された刃体
の先端辺９とにより、四方から案内されて２枚の刃体４
の中心へと導かれる。

【００１６】以上の構成においてケーブル１２の先端を
絶縁外皮１４を付けたまま配線器具の筐体１に設けられ
たケーブル挿入孔２から挿入すると、ケーブル先端が２
枚の刃体の中心に導かれ、絶縁外皮１４が刃体４によっ
て両側から切り開かれ、さらにケーブルを押し込むこと
により、ケーブルの芯線１３が２枚の刃体の間に挿入さ
れてゆく。このとき刃体の間に挿入された芯線１３は材
質的に刃体４より柔らかいため、刃体の内側頂辺１１に
形成された鋭い稜線が芯線に食い込み、芯線１３の刃体
４からの脱落を防止するとともに、芯線１３と刃体４と
の間での良好な電気的導通が確保される。

【００１７】一旦挿入されたケーブルの先端は、ケーブ
ル１２を引き抜く方向の力を加えても、金属舌片３がケ
ーブルの絶縁外皮に食い込んでケーブルの引抜き方向の
移動を防止するから、ケーブルが抜け落ちるおそれがな
い。一方カバー６を本体５から取り外すと、対向する抜
止め舌片３の一方が取り除かれるから、ケーブル１２の
先端を刃体４の間から抜き取ることができる。

【００１８】図３、４はこの発明の第２実施形態を示し
たものである。この実施形態のものでは刃体４を３枚設
けており、３枚の刃体は互いに１２０度の角度で放射状
に配置されている。配線器具の筐体のケーブル挿入孔２
の周囲は、肉厚を薄く成形され、放射状のスリットによ
り複数の舌片３が形成されている。ケーブル挿入孔２の
直径は挿入するケーブルの絶縁外皮の直径よりわずかに
狭い。刃体４の内側頂辺１１は板厚方向の端面となって
おり、３枚の刃体の中心に挿入されたケーブルの芯線１
３と面接触する。刃体４の先端辺９には斜めの切刃が設
けられている。３枚の斜めの切刃が、挿入されるケーブ
ルの先端を刃体の中心に導くための三方のガイドを形成
している。この構造においては、ケーブル挿入孔２から
挿入された絶縁外皮付きのケーブル１２が３枚の刃体の
先端辺によってその中心に案内され、さらにケーブル１
２を押し込むことにより、絶縁外皮が三箇所で切り開か
れて芯線１３が露出し、露出した芯線が３枚の刃体の間
に挿入されていくことにより、芯線の周囲と刃体の内側
頂辺１１とが接触して芯線１３と刃体４との電気的導通
が取られる。

【００１９】ケーブル１２がケーブル挿入孔２を通過す
ると、その周囲の舌片３が内側へ屈曲し、ケーブルの挿
入を許容する。一方ケーブルに引抜き方向の力を加える
と、内側に屈曲した舌片が引き戻され、その方向の屈曲
により舌片の先端がケーブルの外皮に食い込んでケーブ
ルの引抜力に抵抗する。抜止め手段をこのようにケーブ
ル挿入孔自体に設けたときも、ケーブル挿入孔の中心で
筐体１を分離できるようにすれば、これを分離すること
によって刃体４の間からケーブルを抜き取ることが可能
である。

【００２０】図５は第２実施形態のケーブル接続部を備
えたジョイントボックスを示した斜視図である。ジョイ
ントボックスは、不透明な合成樹脂で升形に成形された
ボックス本体１５と透明合成樹脂で製造された蓋体１６
とを備えている。ボックス本体１５の中央には角柱体１
７が立設されており、角柱体１７の中心には上端からボ
ックス本体の底面中央に至る貫通孔１８が設けられてい
る。ボックス本体１５は５つのケーブル挿入孔２を有す
る筐体１を２個、３つのケーブル挿入孔２を有する筐体
１を２個、２つのケーブル挿入孔２を有する筐体を４個
隙間なく収納している。ジョイントボックスでの分岐数
が少ないときは、収納する筐体１の数を減らして空いた
場所にスペーサを入れる。一方、蓋体１６の上面には、
ボックス本体に収納した筐体１のケーブル挿通孔２に対
応する位置に、透孔１９が設けられている。また、蓋体
の中心には、角柱体１７の貫通孔１８に対応する位置に
通し孔２２が設けられている。

【００２１】上記ジョイントボックスで屋外配線ケーブ
ル１２、１２を接続するには、必要な形及び数の筐体１
をボックス本体１５に収納したあと蓋体１６を冠着し、
ジョイントボックスを梁や横架材２０の上面ないし側面
に添えて木ねじ２１を蓋体の中央の通し孔２２及びボッ
クス本体の貫通孔１８に挿通し、その先端を横架材２０
にねじ込んで固定する。屋外配線ケーブル１２、１２を
接続するには、蓋体１６から透かして見える１個の筐体
１のケーブル挿通孔２のいずれかにケーブル１２、１２
をそのまま差し込んでやればよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施形態の分解斜視図

【図２】第１実施形態の断面図

【図３】第２実施形態の斜視図

【図４】第２実施形態の断面図

【図５】第２実施形態の使用例を示す分解斜視図

【符号の説明】

１ 筐体 ２ ケーブル挿入孔 ３ 抜止め舌片 ４ 刃体 ８ 端子板 11 内側頂辺 12 ケーブル 13 芯線

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 配線器具の筐体(1) に設けられたケーブ
   ル挿入孔(2) に向いてケーブル挿入方向に延びる複数枚
   の刃体(4) を備え、この複数枚の刃体(4) は放射状に配
   置され、各刃体のケーブル挿入孔(2) を向く端辺に切刃
   (9) が形成され、各刃体の内側頂辺(11)は互いに略平行
   で接続しようとするケーブル(12)の芯線(13)の直径より
   わずかに小さい直径の円筒面上に位置してケーブル挿入
   方向に延びており、これら刃体(4) は導電体で形成され
   て配線器具の端子板(8) に固定されていることを特徴と
   する、屋内配線器具のケーブル接続部。
2. 【請求項２】 配線器具のケーブル挿入孔(2) または当
   該挿入孔と前記刃体(4) との間に挿入されるケーブル(1
   2)に接触して弾性的に変形することによりケーブルの挿
   入方向の移動のみを許容する抜止め手段(3) が設けられ
   ていることを特徴とする、請求項１記載の屋内配線器具
   のケーブル接続部。