JPH11269659A - 耐クロム溶出性及び耐食性に優れた表面処理鋼板 - Google Patents

耐クロム溶出性及び耐食性に優れた表面処理鋼板

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JPH11269659A
JPH11269659A JP9409198A JP9409198A JPH11269659A JP H11269659 A JPH11269659 A JP H11269659A JP 9409198 A JP9409198 A JP 9409198A JP 9409198 A JP9409198 A JP 9409198A JP H11269659 A JPH11269659 A JP H11269659A
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steel sheet
chelating agent
chromium
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film
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JP9409198A
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Naoto Yoshimi
直人 吉見
Yoshiharu Sugimoto
芳春 杉本
Masaru Sagiyama
勝 鷺山
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境中へのクロム溶出が抑制され、且つ耐食
性にも優れた表面処理鋼板を提供する。 【解決手段】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
めっき鋼板の表面に特定の付着量のクロメート皮膜を形
成し、その上層に、有機高分子マトリックスにキレート
形成基を有する高分子キレート化剤を主成分とする高分
子キレート化剤皮膜を形成したことを特徴とし、高分子
キレート化剤によるシーリングにより、腐食によって生
成した金属イオンを皮膜中のフリーのキレート形成基が
捕捉し、安定な金属錯体構造を形成することによって腐
食の促進が抑制されるとともに、可溶性の6価クロムを
キレート形成基が捕捉することにより、アルカリ脱脂時
のクロム溶出が著しく抑制され、優れた耐食性と耐クロ
ム溶出性が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、家電、建
材用途に最適な表面処理鋼板であり、製品を取扱う作業
者やユーザーへの影響、脱脂処理液中へのクロム溶出、
さらには使用環境下での製品からのクロムの溶出などの
環境問題に適応するために、クロメート皮膜からの有害
な6価クロムの溶出を抑制した環境適応型表面処理鋼板
である。
【0002】
【従来の技術】家電製品用鋼板、建材用鋼板、自動車用
鋼板には、従来から亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウ
ム系めっき鋼板の表面に、耐食性(耐白錆性、耐赤錆
性)を向上させる目的で、クロム酸、重クロム酸または
その塩類を主要成分とした処理液によるクロメート処理
が施された鋼板が幅広く用いられている。このクロメー
ト処理は耐食性に優れ、且つ比較的簡単に行うことがで
きる経済的な処理方法である。クロメート皮膜の防食構
構は、3価クロムの水和酸化物によるバリヤー効果と6
価クロムによる自己修復作用によるものと考えられてい
る。
【0003】クロメート処理方法には、反応型、電解型
及び塗布型がある。このうち、塗布型クロメート処理の
場合には、処理液中の6価クロムと3価クロムの比率を
コントロールしたり、シリカを添加するなどの方法によ
り優れた耐食性が得られることから、最近、この処理に
よる鋼板の使用量も急速に伸びている。また、反応型ク
ロメート処理や電解型クロメート処理の場合には、クロ
メート皮膜の耐食性を補う目的で、クロメート処理の直
後に6価クロムを含む処理液でシーリング処理を行う場
合がある。
【0004】しかし、6価クロムは公害規制物質である
ため、クロメート皮膜から6価クロムが溶出するのを抑
制する必要がある。例えば、塗布型クロメート処理鋼板
のプレス加工時に付着した防錆油、プレス油を、アルカ
リ脱脂する場合に、アルカリ脱脂液中への6価クロム溶
出を抑制する必要がある。また、反応型クロメート処理
鋼板や電解型クロメート処理鋼板の表面に耐食性向上の
目的で施されるクロムシーリング処理についても、同様
の問題がある。
【0005】このようなことから、特に最近では皮膜か
ら6価クロムが溶出しないクロメート処理の必要性が高
まりつつある。このため塗布型クロメート処理皮膜に関
して、アルカリ脱脂時のクロム溶出を抑制し、且つ耐食
性を向上させるための種々の検討が行われている。その
一つとして、クロメート処理液中の3価クロム/6価ク
ロムの還元率を高める方法が知られているが、処理液中
の還元率を高めることは耐食性の低下につながるため還
元率上昇には限界があり、この方法ではクロム溶出を完
全に抑制することは困難である。また、この方法の以外
にも、以下のような方法が開示されている。
【0006】(1) クロメート処理後の乾燥温度を板温で
150〜250℃とし、この乾燥後、クロメート皮膜の
上層に有機樹脂を塗布し、再び150〜250℃で乾燥
する方法(特開平4−28878号) (2) クロメート皮膜の上層に形成する水系樹脂皮膜中に
還元剤を添加することにより、クロムイオン溶出を抑制
する方法(特開平7−180069号) (3) クロメート皮膜の上層に形成するエポキシエステル
樹脂皮膜中にポリエチレンオキシオールを添加すること
により、クロムイオン溶出を抑制する方法(特開平7−
243055号)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記(1)の方
法で得られる表面処理鋼板は、上層の有機樹脂皮膜中を
若干の6価クロムイオンが透過するため、クロム溶出の
抑制には限界がある。また、上記(2)の方法で得られる
表面処理鋼板は、クロメート皮膜中の6価クロムを3価
クロムに還元することを狙いとしたものであるが、この
表面処理鋼板の場合もクロム溶出の抑制には限界があ
り、また、耐食性が低下してしまう問題もある。さら
に、上記(3)の方法で得られる表面処理鋼板は、6価ク
ロムをポリエチレンオキシオールによって錯形成するこ
とを期待したものであるが、上記(2)の表面処理鋼板と
同様に耐食性が低下してしまう問題がある。
【0008】したがって本発明の目的は、このような従
来技術の課題を解決し、環境中へのクロム溶出が抑制さ
れ、且つ耐食性にも優れた表面処理鋼板を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明者らが鋭意検討を行った結果、亜鉛系めっき鋼
板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に所定の付着
量でクロメート皮膜を形成し、さらにその上層に環境に
適応したクロムフリーの特定のシーリング処理皮膜、具
体的には有機高分子マトリックスにキレート形成基を有
する高分子キレート化剤を主成分とする高分子キレート
化剤皮膜を形成することにより、優れた耐クロム溶出性
と耐食性が得られることを見い出した。
【0010】本発明はこのような知見に基づきなされた
もので、その特徴は以下の通りである。 [1] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板
の表面に、金属クロム換算の付着量が1〜500mg/
2のクロメート皮膜を形成し、その上層に、有機高分
子マトリックスにキレート形成基を有する高分子キレー
ト化剤を主成分とする高分子キレート化剤皮膜を形成し
たことを特徴とする耐クロム溶出性及び耐食性に優れた
表面処理鋼板。
【0011】[2] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、金属クロム換算の付着量が1〜
500mg/m2のクロメート皮膜を形成し、その上層
に、下記(A)を主成分とし、さらに下記(B)の成分
を含む高分子キレート化剤皮膜を形成したことを特徴と
する耐クロム溶出性及び耐食性に優れた表面処理鋼板。 (A) 有機高分子マトリックスにキレート形成基を有
する高分子キレート化剤 (B) 高分子キレート化剤100重量部に対して、シ
リカ、ポリリン酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、リン
モリブデン酸塩、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン
酸、ホスホン酸塩の中から選ばれる1種または2種以上
の防錆添加剤を1〜100重量部
【0012】[3] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、金属クロム換算の付着量が1〜
500mg/m2のクロメート皮膜を形成し、その上層
に、下記(A)を主成分とし、さらに下記(C)の成分
を含む高分子キレート化剤皮膜を形成したことを特徴と
する耐クロム溶出性及び耐食性に優れた表面処理鋼板。 (A) 有機高分子マトリックスにキレート形成基を有
する高分子キレート化剤 (C) 高分子キレート化剤100重量部に対して、ポ
リオレフィンワックス等の炭化水素系化合物、フッ素樹
脂系化合物、脂肪酸アミド系化合物、金属硫化物、金属
石けん、グラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、ポリ
アルキレングリコール、アルカリ金属硫酸塩の中から選
ばれる1種または2種以上の固形潤滑剤を1〜80重量
【0013】[4] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、金属クロム換算の付着量が1〜
500mg/m2のクロメート皮膜を形成し、その上層
に、下記(A)を主成分とし、さらに下記(B)及び
(C)の成分を含む高分子キレート化剤皮膜を形成した
ことを特徴とする耐クロム溶出性及び耐食性に優れた表
面処理鋼板。 (A) 有機高分子マトリックスにキレート形成基を有
する高分子キレート化剤 (B) 高分子キレート化剤100重量部に対して、シ
リカ、ポリリン酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、リン
モリブデン酸塩、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン
酸、ホスホン酸塩の中から選ばれる1種または2種以上
の防錆添加剤を1〜100重量部 (C) 高分子キレート化剤100重量部に対して、ポ
リオレフィンワックス等の炭化水素系化合物、フッ素樹
脂系化合物、脂肪酸アミド系化合物、金属硫化物、金属
石けん、グラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、ポリ
アルキレングリコール、アルカリ金属硫酸塩の中から選
ばれる1種または2種以上の固形潤滑剤を1〜80重量
【0014】[5] 上記[1]〜[4]のいずれかの表面処理鋼
板において、有機高分子マトリックスに付与されたキレ
ート形成基が、アミノ酸基、カルボキシル基、ジチオカ
ルバミン酸基、ポリアミノ基、チオール基、ザンセート
基、ホスホメチルアミノ基、チオウレイド基、ジチオ酸
基、リン酸基、β−ジケトン基、ヒドロキサムオキシム
基の中から選ばれる1種または2種以上のキレート形成
基であることを特徴とする耐クロム溶出性及び耐食性に
優れた表面処理鋼板。
【0015】[6] 上記[1]〜[5]のいずれかの表面処理鋼
板において、高分子キレート化剤の有機高分子マトリッ
クスが、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエ
チレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアミノ化
合物、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、スチレン−ジビニルベンゼン樹
脂、アクリル樹脂、デンプンの中から選ばれる1種また
は2種以上からなることを特徴とする耐クロム溶出性及
び耐食性に優れた表面処理鋼板。
【0016】[7] 上記[1]〜[6]のいずれかの表面処理鋼
板において、高分子キレート化剤の有機高分子マトリッ
クスの数平均分子量が300以上であり、且つ高分子キ
レート化剤皮膜の膜厚が0.01〜5μmであることを
特徴とする耐クロム溶出性及び耐食性に優れた表面処理
鋼板。
【0017】本発明の表面処理鋼板は、亜鉛系めっき鋼
板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に塗布型、電
解型または反応型等によるクロメート処理によりクロメ
ート皮膜を形成し、その上層に高分子キレート化剤を含
む皮膜を形成するものであり、このような高分子キレー
ト化剤によるシーリングにより、その高分子マトリック
スが有機樹脂と同様に皮膜を形成して腐食を抑制する効
果だけでなく、塗装後等の腐食環境中において、腐食に
よって生成した金属イオンを皮膜中のフリーのキレート
形成基がトラップし、安定な金属錯体構造を形成するこ
とによって腐食の促進を抑制する効果を発揮する。さら
に、可溶性の6価クロムをキレート形成基がトラップす
ることにより、アルカリ脱脂時のクロム溶出を著しく抑
制される。したがって、これら複数の効果により高レベ
ルの耐食性と耐クロム溶出性が達成される。
【0018】また、本発明の表面処理鋼板は塗装用途、
未塗装用途のいずれにも適用でき、未塗装用途で用いる
場合には、高分子キレート化剤皮膜中に防錆添加剤や固
形潤滑剤などを適宜添加し、表面処理鋼板により優れた
耐食性、潤滑性を付与することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細とその限定理
由を説明する。本発明の表面処理鋼板の下地鋼板となる
亜鉛系めっき鋼板としては、冷延鋼板または熱延鋼板等
の素材鋼板をベースとして、これに亜鉛系めっき処理を
施したものであれば、特別な制限はない。例えば、亜鉛
めっき鋼板、Zn−Ni合金めっき鋼板、Zn−Fe合
金めっき鋼板(電気めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき
鋼板)、Zn−Cr合金めっき鋼板、Zn−Mn合金め
っき鋼板、Zn−Co合金めっき鋼板、Zn−Co−C
r合金めっき鋼板、Zn−Cr−Ni合金めっき鋼板、
Zn−Cr−Fe合金めっき鋼板、Zn−Al合金めっ
き鋼板(例えば、Zn−5%Al合金めっき鋼板、Zn
−55%Al合金めっき鋼板)、さらにはこれらのめっ
き鋼板のめっき皮膜中に金属酸化物、ポリマーなどを分
散した亜鉛系複合めっき鋼板(例えば、Zn−SiO2
分散めっき鋼板)等を用いることができる。また、上記
のようなめっきのうち、同種または異種のものを2層以
上めっきした複層めっき鋼板を用いることもできる。
【0020】また、本発明の表面処理鋼板の下地鋼板と
なるアルミニウム系めっき鋼板についても、冷延鋼板ま
た熱延鋼板等の素材鋼板をベースとして、これにアルミ
ニウム系めっき処理を施したものであれば、特別な制限
はなく、例えばアルミニウムめっき鋼板、Al−Si合
金めっき鋼板等を用いることができる。また、鋼板面に
予めNi等の薄目付めっきを施し、その上に上記のよう
な各種アルミニウム系めっきを施したものでもよい。め
っき方法としては、電解法(水溶液中での電解または非
水溶媒中での電解)、溶融法および気相法のうち、実施
可能ないずれの方法を採用することもできる。
【0021】次に、上記めっき鋼板の表面に形成される
クロメート皮膜について説明する。このクロメート皮膜
を形成するためのクロメート処理方法としては、反応
型、電解型、塗布型のうちのいずれの方法を採用しても
よい。塗布型クロメート処理は、部分的に還元されたク
ロム酸水溶液を主成分とし、これに必要に応じて下記
〜の成分の中から選ばれる1種以上を添加した処理液
をめっき鋼板に塗布し、水洗することなく乾燥させる。
【0022】 水溶性または水分散性のアクリル樹
脂、ポリエステル樹脂等の有機樹脂 シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜
鉛等の酸化物のコロイド類および/または粉末 モリブデン酸、タングステン酸、バナジン酸等の酸
および/またはその塩類 リン酸、ポリリン酸等のリン酸類 ジルコニウムフッ化物、ケイフッ化物、チタンフッ
化物、リン酸フッ化物等のフッ化物 亜鉛イオン、ニッケルイオン、コバルトイオン、鉄
イオン等の金属イオン リン化鉄、アンチモンドープ型酸化錫等の導電性微
粉末 フッ化水素 シランカップリング剤 通常、塗布型クロメート処理では、ロールコーター法に
より処理液を塗布するが、浸漬法やスプレー法により塗
布した後に、エアナイフ法やロール絞り法により塗布量
を調整することも可能である。
【0023】また、電解クロメート処理では、例えば、
部分的に還元されたクロム酸水溶液と硫酸を主成分と
し、これに必要に応じて、 金属イオン(例えば、Zn、Ni、Co、Fe、M
g、Mn、Al、Ca等のイオン) 酸化物のコロイド類および/または微粉末(シリ
カ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、酸
化亜鉛、酸化錫、酸化アンチモン等) 塩素イオン、フッ素イオン、硝酸イオン、リン酸イ
オン等のアニオン ジルコニウムフッ化物、ケイフッ化物、チタンフッ
化物、ホウ素フッ化物、リン酸フッ化物等のフッ化物 ポリエチレングリコール、水系アクリル樹脂等の有
機化合物 等の中から選ばれる1種以上を添加したクロメート処理
液をpH1〜5に調整し、めっき鋼板を浴温:30〜7
0℃、電気量0.5〜40C/dm2の条件で陰極電解
することによってクロメート皮膜が得られる。
【0024】また、反応型クロメート処理に使用するク
ロメート処理液としては、例えば、無水クロム酸と硫酸
を主成分とし、全クロム中の3価クロムの含有量が50
重量%以下、好ましくは20〜35重量%であって、必
要に応じて適量の金属イオン(例えば、Znイオン、C
oイオン、Niイオン、Feイオン等)と鉱酸(例え
ば、リン酸、塩酸、フッ酸等)を添加した処理液が挙げ
られる。
【0025】クロメート皮膜の付着量は金属クロム換算
で1〜500mg/m2とする。付着量が1mg/m2
満では耐食性が不十分であり、一方、付着量が500m
g/m2を超えると皮膜にクラックが形成されたり、溶
接性が低下するなどの問題が生じる。また、クロメート
皮膜のより好ましい付着量は5〜100mg/m2であ
る。なお、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっ
き鋼板の表面にクロメート処理を施す前に、クロメート
皮膜の密着性を向上させる目的で、有機リン酸塩を主成
分とし、これに必要に応じて金属イオン(Feイオン、
Coイオン、Niイオン、Znイオン等)を添加したア
ルカリ性処理液によりめっき鋼板の表面調整処理を行う
ことが好ましい。
【0026】次に、上記クロメート皮膜の上層に形成さ
れる高分子キレート化剤皮膜について説明する。高分子
キレート化剤皮膜は、有機高分子マトリックスにキレー
ト形成基を有する高分子キレート化剤を主成分とし、こ
れに必要に応じて各種添加剤が添加された皮膜である。
従来、金属表面を腐食抑制剤(インヒビター)を用いて
化学吸着法により防食する手法は古くから知られてお
り、主に鉄の防食方法として、冷却水系、ボイラー系、
給水・給湯系等のような水と金属とが常時接触する環境
下で、水中にアミン系、リン酸系吸着剤を添加する方法
が実用化されている。
【0027】本発明は、これら水回り配管系の防食とは
もちろん目的・用途が異なり、建材、家電、自動車等の
用途の鋼板の耐食性、塗装性向上を目的としている。と
ころが、従来ではこのような防錆鋼板の表面処理皮膜と
して、キレート形成基を有する化合物を主体とする皮膜
が実用化された例はほとんどない。これは、従来のキレ
ート化剤は一般に低分子量(通常、分子量300未満)
であるため、塗料用高分子樹脂のような連続皮膜を形成
することが困難であること等の理由により十分な防食機
能が得られなかったためである。
【0028】このような課題を克服するために本発明者
らが鋭意研究を重ねた結果、有機高分子マトリックスに
キレート形成基を付与した高分子キレート化剤による皮
膜が、防錆鋼板の表面処理皮膜として優れた耐食性、塗
装性を発揮することを見い出した。したがって本発明の
特徴は、従来から知られているEDTA等の低分子量の
キレート化剤を防錆用途に適用したのではなく、有機高
分子マトリックスにキレート形成基を付与した高分子キ
レート化剤を皮膜成分として適用した点にある。また、
本発明の他の特徴は、高分子キレート化剤のキレート形
成基が望ましくは特定の種類のキレート形成基の中から
選択されること、同様に、高分子キレート化剤の有機高
分子マトリックスが望ましくは特定の種類の有機高分子
マトリックスの中から選択されることにある。
【0029】高分子キレート化剤皮膜による防食機構は
必ずしも明確でないが、(1)従来の低分子量のキレート
化剤ではなく、有機高分子を主体とする高分子キレート
化剤とすることにより均一な皮膜を形成できること、
(2)形成した皮膜を有する鋼板を腐食環境下に曝したと
きに、アノード溶解によって溶出した金属イオンをキレ
ート形成基が捕促し、電気的に中和で緻密な高分子錯体
構造を生成することにより腐食の進行が抑制されるこ
と、等により高度の防食性能が得られるものと考えられ
る。さらに、アルカリ脱脂時にクロメート皮膜から遊離
して溶出しようとする6価クロムを、高分子キレート化
剤のキレート形成基が捕促し、クロム溶出を防止する結
果、高度の耐クロム溶出性が得られるものと考えられ
る。
【0030】有機高分子マトリックスに付与されるキレ
ート形成基としては、アミノ酸基、カルボキシル基、ジ
チオカルバミン酸基、ポリアミノ基、チオール基、ザン
セート基、ホスホメチルアミノ基、チオウレイド基、ジ
チオ酸基、リン酸基、β−ジケトン基、ヒドロキサムオ
キシム基の中から選ばれる1種または2種以上のキレー
ト形成基であることが好ましい。また、前記アミノ酸基
の中には、例えば、グリシン基、β−アラニン基、イミ
ノジ酢酸基等が含まれる。
【0031】また、これらのキレート形成基が付与され
る高分子化合物の有機高分子マトリックスとしては、ポ
リエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリ
コール、ポリエチレンイミン、ポリアミノ化合物、ポリ
塩化ビニル、ポリアクリル酸、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂、スチレン−ジビニルベンゼン樹脂、アクリル樹
脂、デンプンの中から選ばれる1種または2種以上から
なることが好ましい。また、これらの中でも特に、ポリ
エチレン、ポリエチレンイミン、ポリアミノ化合物、エ
ポキシ樹脂、フェノール樹脂等が好ましい。
【0032】有機高分子マトリックスの数平均分子量に
も特別な制約はないが、好ましくは300以上、より好
ましくは1000以上、さらに好ましくは10000以
上とする。数平均分子量が300未満では耐食性の向上
効果が小さい。なお、数平均分子量の上限は塗料化が可
能な上限の分子量となるため、特に定めない。以上のよ
うな高分子キレート化剤の例としては、排水処理中の重
金属や飛灰中の重金属の捕集を狙いとして工業化されて
いる重金属捕集剤を適用することができる。たとえば、
ミヨシ油脂(株)製エポフロックL−1、エポフロック
L−2、栗田工業(株)製のウエルクリンK−100、
ウエルクリンK−200等を適用することができる。勿
論、上記以外の合成品でも構わない。
【0033】高分子キレート化剤皮膜は、鋼板を塗装下
地用途として使用する場合には上記高分子キレート化剤
を単独で含む皮膜でも構わない。一方、本発明の表面処
理鋼板は、その用途を発展させて未塗装用途としても使
用でき、この場合にはさらに耐食性や加工性を向上させ
る必要があるため、必要に応じて高分子キレート化剤皮
膜中に防錆添加剤や固形潤滑剤を配合することが好まし
い。
【0034】高分子キレート化剤皮膜には、防食効果を
さらに高める目的で、必要に応じて、シリカ、ポリリン
酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、リンモリブデン酸
塩、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン
酸塩等の中から選ばれる1種または2種以上の防錆添加
剤を配合することができる。
【0035】シリカとしては、コロイダルシリカ、ヒュ
ームドシリカのいずれを用いてもよい。コロイダルシリ
カとしては、例えば、スノーテックス O、スノーテッ
クスN、スノーテックス 20、スノーテックス 30、
スノーテックス 40、スノーテックス C、スノーテッ
クス S(以上、日産化学(株)製)等を用いることが
できる。また、ヒュームドリシカとしては、例えば、A
EROSIL R971、AEROSIL R812、A
EROSIL R811、AEROSIL R974、A
EROSIL R202、AEROSIL R805、A
EROSIL130、AEROSIL 200、AER
OSIL 300、AEROSIL 300CF(以上、
日本アエロジル(株)製)等を用いることができる。
【0036】皮膜中に添加されたシリカは、腐食環境下
で緻密で安定な金属の腐食生成物の生成に寄与し、この
腐食生成物がめっき表面に緻密に形成されることによっ
て、腐食の促進を抑制するものと考えられる。また、シ
リカ以外の防錆添加剤として、公知のポリリン酸塩(例
えば、ポリリン酸アルミ:テイカK−WHITE80、
テイカK−WHITE 84、テイカK−WHITE 1
05、テイカK−WHITE G105、テイカK−W
HITE 90(以上、テイカ(株)製))、リン酸塩
(例えば、リン酸亜鉛、リン酸二水素アルミニウム、亜
リン酸亜鉛等)、モリブテン酸塩、リンモリブデン酸塩
(例えば、リンモリブデン酸アルミニウム)、フィチン
酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩等を用い
ることもできる。
【0037】防錆添加剤の配合量は、固形分の割合で高
分子キレート化剤100重量部に対して1〜100重量
部とする。配合量が1重量部未満では、耐食性向上効果
が少ない。一方、配合量が100重量部を超えると、塗
装性や加工性が低下するので好ましくない。防錆添加剤
のより好ましい配合量は5〜80重量部である。
【0038】さらに、高分子キレート化剤皮膜には、皮
膜の加工性を向上させる目的で固形潤滑剤を配合するこ
とができる。この固形潤滑剤としては、以下のようなも
のが挙げられる。 (1)ポリオレフィンワックス等の炭化水素系化合物:
例えば、ポリエチレンワックス、合成パラフィン、天然
パラフィン、マイクロワックス、塩素化炭化水素等 (2)フッ素樹脂系化合物:例えば、ポリフルオロエチ
レン樹脂(ポリ4フッ化エチレン樹脂等)、ポリフッ化
ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂等 (3)脂肪酸アミド系化合物:例えば、ステアリン酸ア
ミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアロアミ
ド、エチレンビスステアロアミド、オレイン酸アミド、
エシル酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド等
【0039】(4)金属石けん類:例えば、ステアリン
酸カルシウム、ステアリン酸鉛、ラウリン酸カルシウ
ム、パルミチン酸カルシウム等 (5)金属硫化物:例えば、二硫化モリブデン、二硫化
タングステン (6)その他:例えば、グラファイト、フッ化黒鉛、窒
化ホウ素、ポリアルキレングリコール、アルカリ金属硫
酸塩等
【0040】以上の固形潤滑剤の中でも、特にポリエチ
レンワックス、フッ素樹脂系化合物(なかでも、ポリ4
フッ化エチレン樹脂微粒子)が好適である。ポリエチレ
ンワックスとしては、ヘキスト社製のセリダスト 96
15A、セリダスト 3715、セリダスト 3620、
セリダスト 3910、三洋化成(株)製のサンワック
ス 131−P、サンワックス 161−P、三井石油化
学(株)製のケミパールW−100、ケミパール W−
200、ケミパール W−500、ケミパール W−80
0、ケミパール W−950等を用いることができる。
【0041】フッ素樹脂系化合物としては、テトラフル
オロエチレン微粒子が好適であり、ダイキン工業(株)
製のルブロン L−2、ルブロン L−5、三井・デュポ
ン社製のMP1100、MP1200、旭アイシーアイ
フロロポリマーズ(株)製のフルオンディスパージョン
AD1、フルオンディスパージョン AD2、フルオン
L140J、フルオン L150J、フルオン L15
5J等を用いることができる。
【0042】また、これらの固形潤滑剤なかで、ポリオ
レフィンワックスとテトラフルオロエチレンを併用して
添加することにより、特に優れた潤滑効果が期待でき
る。固形潤滑剤の配合量は、固形分の割合で高分子キレ
ート化剤100重量部に対して1〜80重量部とする。
固形潤滑剤の配合量が1重量部未満では潤滑効果が乏し
く、一方、80重量部を超えると塗装性が低下する。固
形潤滑剤の好ましい配合量は3〜40重量部である。
【0043】さらに、高分子キレート化剤皮膜には他の
添加剤として、着色染料(例えば、アゾ系金属錯塩染料
等)、有機着色顔料(例えば、縮合多環系有機顔料、フ
タロシアニン系有機顔料等)、無機顔料(例えば、酸化
チタン等)、キレート剤(例えば、チオール等)、導電
性顔料(例えば、亜鉛、アルミニウム、ニッケル等の金
属粉末、リン化鉄、アンチモンドープ型酸化錫等)、カ
ップリング剤(例えば、シランカップリング剤、チタン
カップリング剤等)、メラミン・シアヌル酸付加物等を
添加することができる。
【0044】高分子キレート化剤皮膜の乾燥膜厚は任意
であるが、好ましくは0.01〜5μmとする。膜厚が
0.01μm未満では耐食性が不十分であり、一方、膜
厚が5μmを超えると加工性、溶接性が低下する。より
好ましい膜厚は0.1〜3μmである。本発明の表面処
理鋼板は、上述した高分子キレート化剤を主成分とする
処理液(塗料組成物)をクロメート皮膜が形成された亜
鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面
に塗布し、乾燥させることにより製造される。
【0045】高分子キレート化剤を主成分とする処理液
をクロメート皮膜が形成されためっき鋼板の表面に塗布
する方法としては、塗布処理、浸漬処理、スプレー処理
等の任意の方法を採用できる。塗布処理としては、ロー
ルコーター(3ロール方式、2ロール方式等)、スクイ
ズコーター、ダイコーター等のいずれの方法を用いても
よい。また、浸漬処理では常温〜80℃の処理液中に浸
漬し、スプレー処理では常温〜80℃の処理液を適当な
スプレー圧条件下でスプレー処理すればよい。また、ス
クイズコーター等による塗布処理、浸漬処理またはスプ
レー処理の後に、エアナイフ法やロール絞り法により塗
布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも
可能である。
【0046】高分子キレート化剤を主成分処理液の塗布
後、通常は水洗することなく、加熱乾燥を行う。但し、
処理液の塗布後に水洗工程を実施しても構わない。加熱
乾燥処理には、ドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱
炉、赤外線炉等を用いることができる。加熱処理は、到
達板温で50〜300℃、好ましくは80℃〜250℃
の範囲で行うことが望ましい。加熱温度が50℃未満で
は皮膜中の水分が多量に残り、耐食性が不十分となる。
また、加熱温度が300℃を超えると非経済的であるば
かりでなく、皮膜に欠陥が生じて耐食性が低下するおそ
れがある。
【0047】本発明は、以上述べたような高分子キレー
ト化剤皮膜を両面または片面に有する鋼板を含むもので
ある。したがって、本発明鋼板の形態としては、例え
ば、以下のようなものがある。 (1)片面:めっき皮膜−クロメート皮膜−高分子キレ
ート化剤皮膜、片面:めっき皮膜 (2)両面:めっき皮膜−クロメート皮膜−高分子キレ
ート化剤皮膜
【0048】
【実施例】
[実施例1]家電、建材、自動車部品用の表面処理鋼板
として、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき
鋼板の表面をアルカリ脱脂処理後、クロメート皮膜を施
して水洗・乾燥し、次いで、高分子キレート化剤を主成
分とする処理液(塗料組成物)等をロールコーターによ
り塗布し、加熱乾燥した。また、皮膜の膜厚は、塗料組
成物中の固形分または塗布条件(ロールの圧下力、回転
速度等)により調整した。得られた表面処理鋼板につい
て、皮膜外観の評価と耐食性(耐白錆性)、塗料密着性
(塗装性)、耐クロム溶出性及び加工性の各評価試験を
行った。その結果を、使用しためっき鋼板の種類、クロ
メート処理の種類及びクロメート皮膜の付着量、高分子
キレート化剤皮膜の組成、膜厚及び乾燥温度とともに表
6〜表27に示す。
【0049】本実施例における表面処理鋼板の製造条件
を以下に示す。 (1) めっき鋼板 板厚0.8mm、表面粗さ(Ra)1.0μmの冷延鋼
板に各種亜鉛系めっきまたはアルミニウム系めっきを施
し、下地めっき鋼板として用いた。使用しためっき鋼板
を表1に示す。
【0050】(2) クロメート処理 反応型クロメート処理 無水クロム酸30g/l、リン酸10g/l、NaF
0.5g/l、K2TiF64g/lを含む処理液を用
い、液温40℃の条件でスプレー処理した後、水洗・乾
燥した。クロメート皮膜の付着量は、処理時間及び遊離
酸度により調整した。 電解型クロメート処理 無水クロム酸30g/l、硫酸0.2g/l、浴温40
℃の処理液を用いて陰極電解処理を行い、水洗・乾燥し
た。クロメート皮膜の付着量は、電解処理の通電量を制
御することにより調整した。
【0051】 塗布型クロメート処理 無水クロム酸水溶液100g/lに還元剤(澱粉)を加
え、80℃の温度に調整して2時間放置し、無水クロム
酸の一部を還元して6価Crイオン/3価Crイオン=
3/2の水溶液を作成した。次いで、この水溶液にシリ
カゾルを固形分の重量比でシリカ/全Cr=6/1にな
るように添加した。次いで、酸化亜鉛とリン酸とを溶解
させて得られたリン酸亜鉛水溶液を、固形分の重量比で
PO4イオン/全Cr=1/4、Znイオン/6価Cr
イオン=3/20となるように添加し、クロメート処理
液を作成した。このクロメート処理液を所定濃度に希釈
し、めっき鋼板の表面にロールコーターにより塗布し、
水洗することなく板温70〜250℃で乾燥した。クロ
メート皮膜の付着量は、処理液の濃度とコーティング条
件により調整した。
【0052】(3) 高分子キレート化剤を主成分とする塗
料組成物 下記する高分子キレート化剤等の水溶液を主体とし、必
要に応じて、これに防錆添加剤、固形潤滑剤を添加し
て、塗料用分散機(サンドグラインダー)を用いて所要
時間分散させ、塗料組成物を得た。
【0053】(3-1) 高分子キレート化剤 表2にNo.1〜No.3として示す高分子キレート化
剤を用いた。また、比較例としては、同表のNo.4に
示す低分子量のキレート化剤であるEDTA(エチレン
ジアミンテトラ酢酸)水溶液による処理、No.5に示
す従来から防錆剤として用いられているタンニン酸水溶
液による処理、No.6に示す従来のクロムシーリング
処理(日本パーカライジング(株)製のLN62による
処理、Cr付着量:3mg/m2)をそれぞれ行った。 (3-2) 防錆添加剤 必要に応じて、表3に示すシリカ、表4に示すポリリン
酸塩等の防錆添加剤を用いた。 (3-3) 固形潤滑剤 必要に応じて、表5に示す固形潤滑剤を用いた。
【0054】表面処理鋼板の品質性能の評価は以下のよ
うにして行った。 (1) 皮膜外観 各サンプルについて、皮膜外観の均一性(外観ムラの有
無)を目視で評価した。評価基準は、以下の通りであ
る。 ○:ムラが全くない均一な外観 △:ムラが若干目立つ外観 ×:ムラが目立つ外観
【0055】(2) 耐白錆性 各サンプルについて、塩水噴霧試験(JIS−Z−23
71)を実施し、所定時間後の白錆発生面積率で評価し
た。なお、防錆添加剤を含まない皮膜を形成したものに
ついては72時間後の耐白錆性で評価し、一方、防錆添
加剤(シリカまたはシリカ以外の防錆添加剤)を含む皮
膜を形成したものについては、72時間後の耐白錆性だ
けでは防錆添加剤無添加のものに対する優位差が現われ
ないため、より厳しい試験条件である120時間後の耐
白錆性でも評価した。評価基準は、以下の通りである。 ◎ :白錆発生なし ○+:白錆発生面積率5%未満 ○ :白錆発生面積率5%以上、10%未満 ○−:白錆発生面積率10%以上、25%未満 △ :白錆発生面積率25%以上、50%未満 × :白錆発生面積率50%以上
【0056】(3) 耐クロム溶出性(クロム固定率) 各サンプルについて、日本パーカライジング(株)製の
脱脂剤“パルクリーンN364S”によって標準条件で
の脱脂処理を行い、脱脂処理前後のクロメート付着量の
固定率を測定した。なお、クロム固定率={(脱脂処理
前のクロメート付着量−脱脂処理後のクロメート付着
量)/脱脂処理前のクロメート付着量}×100(%)
である。評価基準は、以下の通りである。 ◎:クロム固定率100% ○:クロム固定率90%以上、100%未満 △:クロム固定率80%以上、90%未満 ×:クロム固定率80%未満
【0057】(4) 塗料密着性(塗装性) 各サンプルについて、メラミン系の焼付塗料(膜厚30
μm)を塗装した後、沸水中に2時間浸漬し、直ちに碁
盤目(1mm間隔で10×10の碁盤目)のカットを入
れて、貼着テープによる貼着・剥離を行い、塗膜の剥離
面積率で評価した。評価基準は以下の通りである。 ◎:剥離なし ○:剥離面積率5%未満 △:剥離面積率5%以上、20%未満 ×:剥離面積率20%以上
【0058】(5) 加工性 ブランク径φ120mm、ダイス径φ50mmで深絞り
成形(無塗油条件)を行い、割れが生ずるまでの成形高
さで評価した。評価基準は以下の通りである。 ◎:絞り抜け ○:成形高さ30mm以上 △:成形高さ20mm以上、30mm未満 ×:成形高さ20mm未満
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
【表7】
【0066】
【表8】
【0067】
【表9】
【0068】
【表10】
【0069】
【表11】
【0070】
【表12】
【0071】
【表13】
【0072】
【表14】
【0073】
【表15】
【0074】
【表16】
【0075】
【表17】
【0076】
【表18】
【0077】
【表19】
【0078】
【表20】
【0079】
【表21】
【0080】
【表22】
【0081】
【表23】
【0082】
【表24】
【0083】
【表25】
【0084】
【表26】
【0085】
【表27】
【0086】[実施例2]高分子キレート化剤として表
24に示す組成のものを用い、塗布型クロメート処理が
施された亜鉛系めっき鋼板の表面に、実施例1と同様の
条件で高分子キレート化剤皮膜を形成した。得られた表
面処理鋼板の各特性を、実施例1と同様に評価した。そ
の結果を、使用しためっき鋼板の種類、クロメート処理
の種類、高分子キレート化剤皮膜の組成、膜厚、乾燥温
度とともに表25、表26に示す。
【0087】
【表28】
【0088】
【表29】
【0089】
【表30】
【0090】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の表面処理鋼
板は耐クロム溶出性に優れ、しかも建材、家電、自動車
等の用途の表面処理鋼板として高度の耐食性を有し、且
つ皮膜外観、塗料密着性等にも優れている。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
    めっき鋼板の表面に、金属クロム換算の付着量が1〜5
    00mg/m2のクロメート皮膜を形成し、その上層
    に、有機高分子マトリックスにキレート形成基を有する
    高分子キレート化剤を主成分とする高分子キレート化剤
    皮膜を形成したことを特徴とする耐クロム溶出性及び耐
    食性に優れた表面処理鋼板。
  2. 【請求項2】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
    めっき鋼板の表面に、金属クロム換算の付着量が1〜5
    00mg/m2のクロメート皮膜を形成し、その上層
    に、下記(A)を主成分とし、さらに下記(B)の成分
    を含む高分子キレート化剤皮膜を形成したことを特徴と
    する耐クロム溶出性及び耐食性に優れた表面処理鋼板。 (A) 有機高分子マトリックスにキレート形成基を有
    する高分子キレート化剤 (B) 高分子キレート化剤100重量部に対して、シ
    リカ、ポリリン酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、リン
    モリブデン酸塩、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン
    酸、ホスホン酸塩の中から選ばれる1種または2種以上
    の防錆添加剤を1〜100重量部
  3. 【請求項3】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
    めっき鋼板の表面に、金属クロム換算の付着量が1〜5
    00mg/m2のクロメート皮膜を形成し、その上層
    に、下記(A)を主成分とし、さらに下記(C)の成分
    を含む高分子キレート化剤皮膜を形成したことを特徴と
    する耐クロム溶出性及び耐食性に優れた表面処理鋼板。 (A) 有機高分子マトリックスにキレート形成基を有
    する高分子キレート化剤 (C) 高分子キレート化剤100重量部に対して、ポ
    リオレフィンワックス等の炭化水素系化合物、フッ素樹
    脂系化合物、脂肪酸アミド系化合物、金属硫化物、金属
    石けん、グラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、ポリ
    アルキレングリコール、アルカリ金属硫酸塩の中から選
    ばれる1種または2種以上の固形潤滑剤を1〜80重量
  4. 【請求項4】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
    めっき鋼板の表面に、金属クロム換算の付着量が1〜5
    00mg/m2のクロメート皮膜を形成し、その上層
    に、下記(A)を主成分とし、さらに下記(B)及び
    (C)の成分を含む高分子キレート化剤皮膜を形成した
    ことを特徴とする耐クロム溶出性及び耐食性に優れた表
    面処理鋼板。 (A) 有機高分子マトリックスにキレート形成基を有
    する高分子キレート化剤 (B) 高分子キレート化剤100重量部に対して、シ
    リカ、ポリリン酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、リン
    モリブデン酸塩、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン
    酸、ホスホン酸塩の中から選ばれる1種または2種以上
    の防錆添加剤を1〜100重量部 (C) 高分子キレート化剤100重量部に対して、ポ
    リオレフィンワックス等の炭化水素系化合物、フッ素樹
    脂系化合物、脂肪酸アミド系化合物、金属硫化物、金属
    石けん、グラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、ポリ
    アルキレングリコール、アルカリ金属硫酸塩の中から選
    ばれる1種または2種以上の固形潤滑剤を1〜80重量
  5. 【請求項5】 有機高分子マトリックスに付与されたキ
    レート形成基が、アミノ酸基、カルボキシル基、ジチオ
    カルバミン酸基、ポリアミノ基、チオール基、ザンセー
    ト基、ホスホメチルアミノ基、チオウレイド基、ジチオ
    酸基、リン酸基、β−ジケトン基、ヒドロキサムオキシ
    ム基の中から選ばれる1種または2種以上のキレート形
    成基であることを特徴とする請求項1、2、3または4
    に記載の耐クロム溶出性及び耐食性に優れた表面処理鋼
    板。
  6. 【請求項6】 高分子キレート化剤の有機高分子マトリ
    ックスが、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリ
    エチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアミノ
    化合物、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸、エポキシ樹
    脂、フェノール樹脂、スチレン−ジビニルベンゼン樹
    脂、アクリル樹脂、デンプンの中から選ばれる1種また
    は2種以上からなることを特徴とする請求項1、2、
    3、4または5に記載の耐クロム溶出性及び耐食性に優
    れた表面処理鋼板。
  7. 【請求項7】 高分子キレート化剤の有機高分子マトリ
    ックスの数平均分子量が300以上であり、且つ高分子
    キレート化剤皮膜の膜厚が0.01〜5μmであること
    を特徴とする請求項1、2、3、4、5または6に記載
    の耐クロム溶出性及び耐食性に優れた表面処理鋼板。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001080330A1 (en) * 2000-04-19 2001-10-25 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Battery, tab of battery and method of manufacture thereof
JP2002216741A (ja) * 2001-01-18 2002-08-02 Dainippon Printing Co Ltd リチウムイオン電池タブ
JP2008545827A (ja) * 2005-05-23 2008-12-18 ビーエーエスエフ コーティングス アクチェンゲゼルシャフト 塗料層を形成する腐食保護剤およびその無電流塗装のための方法

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