JPH11260238A - ヒュ―ズ組立体及びその製造方法 - Google Patents

ヒュ―ズ組立体及びその製造方法

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JPH11260238A
JPH11260238A JP1222999A JP1222999A JPH11260238A JP H11260238 A JPH11260238 A JP H11260238A JP 1222999 A JP1222999 A JP 1222999A JP 1222999 A JP1222999 A JP 1222999A JP H11260238 A JPH11260238 A JP H11260238A
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solidification
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laser beam
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01HELECTRIC SWITCHES; RELAYS; SELECTORS; EMERGENCY PROTECTIVE DEVICES
    • H01H85/00Protective devices in which the current flows through a part of fusible material and this current is interrupted by displacement of the fusible material when this current becomes excessive
    • H01H85/02Details
    • H01H85/04Fuses, i.e. expendable parts of the protective device, e.g. cartridges
    • H01H85/041Fuses, i.e. expendable parts of the protective device, e.g. cartridges characterised by the type
    • H01H85/044General constructions or structure of low voltage fuses, i.e. below 1000 V, or of fuses where the applicable voltage is not specified

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的強度及びブローイング特性について経
時的な面から信頼性の高い大電力用のヒューズ組立体及
びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 金属板より形成される基体の一対の側
3、5の間に位置するヒューズ部8は、頂側からのレー
ザ照射によって溶融され、その後凝固されて形成され
る。一対の側3、5の間に位置するヒューズ部8に対し
て当初レーザビームはA位置に設定され、その後D方向
へ移動され、これによってヒューズ部8に方向性を有す
る凝固が実現される。形成されたヒューズ部8は、電流
の流れ方向に成長した結晶組織構造を含むので、応力に
対して十分な抵抗力を有し、ブローイング特性に対して
経時変化を生じない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に自動車用の電
源部分に使用されるヒューズ組立体及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術及び発明の解決すべき課題】自動車用バッ
テリーのための大電流用ヒューズが、欧州特許公開公報
第699565号に開示される。この出願に開示される
ヒューズの一つは、溶融部分となる合金から成るヒュー
ズ部(又はヒューズバー)、及びそれを間に支持して溶
融可能なヒューズ合金よりも高い融点を有する材料から
成る支持バーを含む。支持バーの材料は例えば青銅(C
uZn30)の如き銅合金であり、ヒューズ部の材料は
例えば半田合金の如き錫合金とされる。ヒューズ部はリ
フロー工程、即ち支持バー間における溶融材料の溶融及
びそれに続く凝固又は固化によって支持バーに機械的に
及び電気的に結合される。ヒューズ部の機械的強度の要
求を低くするために、近接する支持バーは絶縁支持部材
に強固に固定される。欧州特許公開公報第699565
号に示される如き低融点の溶融材料を提供することは、
好ましいブローイング特性(又は溶融特性)を得るため
に特に効果的であることが知られているが、その場合ヒ
ューズ部は100乃至600A程度の大電流に対して所
定の時間維持される。高融点の溶融材料が、例えば近接
配置される支持バーに一体的に形成されて使用されると
き、信頼性の高いブローイング特性は提供できない。そ
の場合、ヒューズ部のそりを生じること、高温での溶融
が要求されること、ヒューズリンクに置かれるとき高温
溶融材料に拡散されるよう作用してその抵抗特性を変化
させてしまう溶融錫のビードを除去する必要があること
などの様々な問題を伴うものである。最後の点に関連し
て、錫ビードはしばしばヒューズ部のブローイング又は
溶融破壊される前に溶融するものであるが、内部振動が
生じるような特定の環境では、溶融ビードはヒューズ部
がブローイングを生じる前にヒューズから離散されてし
まうこともあるので、これによりヒューズのブローイン
グ特性は不安定となる。
【0003】そのような問題はヒューズ部に対して低融
点材料を使用することによって解決される。しかしなが
ら、低融点材料によるヒューズ部(又はヒューズリン
ク)の問題の一つは、機械的強度が弱くなることであ
る。温度変化によって生じる絶縁支持体に対するヒュー
ズ部の熱膨張及び熱収縮により、ヒューズ部にそのサイ
クルによるひずみ応力が加わる。熱サイクルはヒューズ
部の電流の変化、及び外部温度の変化によっても生じ得
る。
【0004】本発明の発明者は、低融点ヒューズ部に適
用される特定の引張応力に係る熱的又は機械的応力によ
ってヒューズ部にクラックが生じ更にそれが大きく成長
し、それによってヒューズ部の機械的抵抗が小さくな
り、加えてヒューズ部の導電率が小さくなってしまうこ
とを認識している。これは、経時的にヒューズ部のブロ
ーイング特性を悪化させる。特に電流の流れ方向に対し
て交差する方向に成長するクラックが形成されることに
より最も導電性が悪くなるが、そのようなクラックは電
流の方向に加わる引っ張り応力によって影響を受ける。
クラックは支持体に対してヒューズ部が相対的に収縮及
び膨張することによって形成され得る。発明者は更に、
粒界及び材料構造内の転位等の不規則要素がクラックの
成長を助長するのであるから、小径の結晶粒(又はグレ
イン)が形成され且つその結晶粒がヒューズ部の電流の
流れ方向に対して交差する方向に粒界を形成することが
ヒューズ部の経時的な信頼性を悪くすることを認識し
た。
【0005】本発明は、上述のことに鑑みて、経時的な
面から信頼性の高い大電力用のヒューズ組立体及び有効
なその製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属板によっ
て形成される一対の端子の間にヒューズ部が固着されて
成るヒューズ組立体において、前記ヒューズ部は、前記
一対の端子間をブリッジ(橋渡し)する方向に延びる柱
状結晶粒構造を含むことを特徴とする。
【0007】好ましくは、前記柱状結晶粒構造は方向性
凝固によって実現される。
【0008】好ましくは、前記一対の端子は、前記ヒュ
ーズ部の形成前及び形成途中工程で両者を相互に連結
し、前記ヒューズ部の形成後に切除される連結部を具え
る。
【0009】好ましくは、該連結部は前記ヒューズ部の
両外側に位置し、前記ヒューズ部の両側方への延長位置
に略接触して重なるよう配置される。
【0010】好ましくは、前記ヒューズ部は半田合金
(PbSn60/40)又は銀錫合金(SnAg96.
5/3.5)から成る。
【0011】好ましくは、前記端子は、青銅(CuZn
30)の如き銅合金から形成される。
【0012】更に本発明は、金属板によって形成され離
間配置された一対の端子間にヒューズ部を固定するヒュ
ーズ組立体の製造方法において、前記一対の端子間の空
間を埋めるように前記ヒューズ部の材料を固定配置する
工程と、前記ヒューズ部の前記材料に略重なるように前
記材料の一側からレーザ光を照射して前記材料を溶融さ
せる工程と、前記レーザ光を前記材料の位置から離間さ
せる方向に制御された速度で移動させて前記材料を凝固
させる工程とを含むことを特徴とする。
【0013】好ましくは、前記レーザ光を照射して更に
移動させる工程の間に、前記一対の端子の少なくとも一
方は冷却手段によって冷却される。該冷却手段は前記レ
ーザ光が移動される際に前記レーザ光が照射されない側
に設定されるのが良い。
【0014】好ましくは、前記レーザ光の照射前に前記
ヒューズ部の前記材料は予加熱される。
【0015】好ましくは、前記ヒューズ部の前記材料は
線状にして提供され、初期段階で前記一対の端子を連結
するよう設けられる連結部に略接触して重ねて置かれ
る。
【0016】好ましくは、前記連結部に重ねておかれる
前記材料の延長部は前記材料の凝固が完了した段階で前
記連結部と共に切除される。
【0017】好ましくは、前記レーザ光を移動させる工
程で前記凝固を進める際に、凝固は前記一対の端子の一
方と前記ヒューズ部との界面から始まり他方との界面で
終わるが、凝固の最終段階で固相/液相の界面は前記他
方との界面と角度を有するように設定される。
【0018】本発明によれば、特にヒューズ組立体は、
一対の端子に設けられる支持バー間に延びるヒューズ部
又はヒューズリンクを有し、ヒューズ部は支持バーより
も低融点とされ、更にヒューズ部はそれを通って流れる
電流の流れ方向に沿って延びる柱状組織構造を構成する
結晶粒を有する。柱状結晶粒はヒューズ部に対して方向
性を持たせた凝固(又は固化)によって形成される。方
向性を持たせた凝固は、ヒューズ部に対して局所的に提
供されて特に電流の流れ方向に沿ってヒューズ部に対し
て相対移動される熱源を提供することによって実現され
る。これによってヒューズ部の第1端から電流の流れ方
向に沿って温度勾配が生ぜしめられる。結晶粒の発生は
支持部と溶融されたヒューズ部との間の界面で生じ得る
が、それらの結晶粒は熱源が移動されるにつれて電流の
流れ方向にそって柱状に成長する。効果的な熱源はレー
ザービーム、又はヒューズに対して一つの支持部から他
の支持部へと延びる方向(即ち電流の流れ方向)に移動
するビームである。熱源の速度を制御することによっ
て、ヒューズ部に使用される合金の固相/液相の界面に
おける所定の温度勾配が保証され得る。温度勾配が液相
線の凝固曲線より大きく維持される場合には、固相/液
相の界面の前に溶質が形成され、界面の先に結晶粒が形
成されることはない。換言すれば、十分な温度勾配を保
証することによって、新たな結晶粒をほとんど形成する
ことなく柱状結晶粒の安定した成長が実現される。電流
の流れ方向を交差する方向に延びる粒界が減らされるの
で、機械的抵抗強度が増し、特に電流の流れ方向に加わ
る引っ張り力に対してのクリープ(又は匍匐)特性が改
善される。方向性を有する凝固の際の温度勾配は、ヒュ
ーズ部の結晶粒形成端近傍位置に制御された冷却手段を
提供することによって改善され得る。例えば、ヒューズ
部の結晶粒形成端に設けられる支持手段は、制御された
冷却を伴う導電性支持体に固定され得る。
【0019】溶融可能なヒューズ部用合金として効果的
な材料は、市販されて直ぐに入手可能な鉛:錫が6:4
の組成を有する半田合金である。しかしながら錫:銀の
質量組成比が96.5:3.5とされる銀錫合金等の他
の低融点合金も使用され得る。
【0020】ヒューズ部に使用される合金は、所定の長
さに切断されてヒューズ部の対向する支持バー間のスロ
ット内に挿入される連続ストリップとして提供され得
る。ヒューズ部を支持する支持バーは一体連結部によっ
て相互に所定位置に保持され、これによってヒューズ部
支持部分及び一体連結部は単一の金属部材から打ち抜き
形成される。ヒューズ部の材料はその後熱源によって溶
融可能とされ、それに続いて上述した方向性を持たせた
凝固の方法によって冷却される。ヒューズ部のためのス
トリップは方向性凝固法に使用される局所的熱源とは別
の熱源によって予め加熱されていても良く、これによっ
て製造サイクル時間が短縮され得る。方向性凝固の工程
の後でヒューズ部の延長部は切除され、ヒューズ部は絶
縁支持体に装着される。溶融され凝固された後、即ち完
成時のヒューズ部の断面積を略一定にすることを保証す
るために、支持バーに組み立てられるヒューズ部用合金
のストリップは支持バー間の幅よりも大きな長さを有す
るようにして設けられ、凝固された後の過剰な材料は切
除され得る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態となるヒ
ューズ組立体、及びその製造方法について添付図面を参
照して詳細に説明する。
【0022】図1は、導電性ケーブルにクリンプ固定さ
れるヒューズ組立体となる電気端子を絶縁支持体を省略
して示す斜視図である。図2は、絶縁支持体に組立てら
れるヒューズ部(ヒューズリンク)の斜視図である。図
3は、複数のヒューズ部を含む他の実施形態を絶縁支持
体なしで示す斜視図である。図4は、図3のヒューズ部
を含む組立体の完成状態を示す斜視図である。図5は、
ヒューズ部の挿入及び結合の前段階として部分的に製造
されたヒューズ組立体を示す図3類似の図である。図6
は、ヒューズ部支持用基体の平面図である。図7は、基
体に組み立てられるヒューズ部用合金のストリップをそ
れに続く製造工程にして示す図6類似の図である。図8
は、レーザによる熱源の作用を簡易的に示す図7類似の
図である。図9は、連結部及びヒューズ部材料の延長部
が切除される工程を示す図8類似の図である。図10
は、ヒューズ部支持用の基体が絶縁支持体にクリンプ固
定される図9に続く工程を示す図9類似の図である。図
11は、凝固(又は固化)が制御されないヒューズ部の
概略構造を示す図で、ヒューズ部の結晶粒を概略的に拡
大して示す図である。図12は、本発明によってヒュー
ズ部の凝固が制御される場合を示す図11に類似の図で
ある。図13は、半田合金の相図である。図14は、
鉛:錫の比が60:40の半田合金による固相/液相の
界面での液相線のグラフである。図15は、レーザビー
ムが照射される3つの位置A、B、B’を示すヒューズ
部の側方から見たヒューズ部の断面図である。図16
は、凸形のレンズによって集光される単一のレーザビー
ムを示すヒューズ部の部分平面図で、ヒューズ部の熱流
を示す図である。図17は、2つのレーザビームを示す
図16類似の図である。図18は、固相及び液相の界面
の移動を示すヒューズ部の一部を示す断面図である。
【0023】図1及び図2を参照すれば、ヒューズ組立
体(又はヒューズリンク組立体)2は導電性を有する基
体(又は端子)4、ヒューズ部8を含むヒューズ構造
6、導体接続部10、12、及び組立体の支持体16
(図2参照)にクランプ固定されるための変形可能なタ
ブ形状の取付部14を有する。絶縁材料から成る支持体
16には更にカバー18が提供され、それはヒューズ構
造6に重ねて置かれる。接続部10は自動車のバッテリ
ー端子に接続されるバッテリー端子接続部であり、他の
接続部12は圧着バレルの形状とされ、自動車に電源を
供給するケーブルに圧着接続される。接続部10、12
は外部導体に接続されるための自動車バッテリー及びケ
ーブルに限らない多くの相違する形状形態とされること
も可能である。本実施形態による導電性基体4はシート
金属から打ち抜き折り曲げ加工され、これにより接続部
10、12は様々な形状とされ、また様々な方向を向く
ようにして導電性基体4に一体的に設けられ得る。図3
に例示されるヒューズ組立体の他の実施形態によれば、
ケーブル接続部12’は導電性基体4’から略直交方向
にそれと一体にして延出するよう構成され、ヒューズ組
立体2’には2つの相違するヒューズ構造6’、6”が
提供される。第1ヒューズ構造6’はバッテリー端子接
続部10’から電源ケーブル接続部12’への主要電気
パスを構成し、第2ヒューズ構造6”はタブ11’を介
して更なる外部導体13’(図4参照)へのプラグ接続
を可能にし、それは主電源から独立して置かれる安全機
能のような自動車の他の機能を提供し得る。自動車に対
して電源ケーブル12’を介して電源を供給する代わり
に多数の小径の電源ケーブルが使用されても良く、その
場合多数のヒューズ構造6を介して基体4への接続が行
われる。
【0024】図4に示されるように、ヒューズ組立体
2’は更に絶縁支持体16を有し、導電性基体が4’は
それに設けられる変形可能なタブ14’による固定手段
によってクリンプ固定される。組立体は更にヒューズ構
造6’、6”を覆うカバー18’を有する。絶縁支持体
16’は更に第2タブ11’に係合されるためにコネク
タ19’をプラグ嵌合して受容可能なハウジング部1
7’を有する。従って絶縁支持体(又はハウジング)1
6、16’は、ヒューズ構造6、6’、6”を機械的に
支持するべく作用する。よってケーブル13、13’又
は接続部10、10’に加わる外力は、ヒューズ構造
6、6’、6”に加わることはなく、主に支持体16、
16’に加わる。この構成はヒューズ部8が組立体に一
体的に形成されて接続部10、12、10’、12’同
士がそれによって相互に連結することを可能にする。
【0025】ヒューズ構造6は、相互接続部22の幅を
介して基体に結合されるヒューズ部8の両側に支持バー
20を有するが、基体4の本体部分と連結される相互接
続部22の幅は支持バー20の幅とは相違し、特に支持
バー20の幅W2よりも小さく設定された幅W1とされ
る。幅W1及びW2は、ヒューズのブローイング特性を
調節するためにヒューズ部8に発生する熱からの熱流を
制御するための所定の寸法に設定される。調節のため
に、基体4の材料厚さ、ヒューズ部8の特性、ヒューズ
部8を介した電流の流れ方向Iの長さLが考慮される。
【0026】ヒューズ部8は、近接する支持バー20よ
りも低い融点を有する導体から成り、そのための好適な
合金は、半田の共融合金組成のものである。広く市販さ
れる半田合金は質量比にして錫60%に対して鉛が40
%とされるものであり、それは図13に示すように最も
低い融点である共融温度に近いものとされる。支持バー
はCuZn30の如き銅合金から構成されることがで
き、それは共融合金材料であるSnPbの融点である1
83℃よりかなり高い融点を有する。ヒューズ部8の材
料として221℃の融点を有するSnAg96.5/
3.5の如き他の低融点溶融合金も考慮され得る。しか
しながら、他の低融点合金が使用される際には、そのヒ
ューズ部のブローイング特性を考慮しなければならな
い。広く市販される点から考えられる好ましい合金はS
nPb60/40及びSnAg96.5/3.5であ
り、前者は特に安価である。これらの両合金は小寸法の
結晶構造を有する多結晶構造を成し、単相にして結晶寸
法が微細ではない材料に比較するとクリープ抵抗が改善
されるという利点を有する。
【0027】ヒューズ部8はその使用寿命の間に、様々
な負荷及び温度変化を受ける。前者の「負荷」は接続部
10、12に加わる力に起因する機械的なものである。
支持体16、16’はそのような力の大部分を吸収する
が、ヒューズ部6に残りの力が加わる。他の負荷はヒュ
ーズ組立体2、2’の熱膨張及び熱収縮によるものであ
り、特にそれらは支持体16と導電性基体4との相違す
る材料に起因する熱膨張係数の相違によって生じる。温
度変化はヒューズ組立体2、2’又はそれに接続される
導体の電力損、又は外部温度の変化によって生じる。自
動車製造業者は、−40℃乃至70℃を動作温度範囲と
して規格している。
【0028】ヒューズ部8の負荷及び温度は、クラック
又はキャビティの成長を助長し、最悪の状況によれば高
温にさらされてヒューズ部8の電流の流れ方向Iに強い
引っ張り力を生じせしめる。低融点のヒューズ部8は機
械的抵抗を有するものの、支持用基体4よりもクリープ
抵抗は更に小さいので、ヒューズ部8内又は支持バー2
0とヒューズ部8の界面にクリープ又は亀裂が生じ得
る。
【0029】ヒューズ部8内又は支持バー20との界面
にクラックが形成され成長することによって、ヒューズ
部8を通して流れる電流の流れ方向の有効断面積が変化
し、これによってヒューズのブローイング特性は劣化し
てしまう。クラックの形成及び成長は、更にヒューズ部
8の機械的強度を劣化させ、それはヒューズ部8の断絶
につながる。例えば、自動車の応用によれば、例えば1
0年を超えるヒューズの寿命の間にわたって、信頼性の
高いヒューズブローイング特性を維持することが望ま
れ、その際に、自動車のエンジン室又は他の場所での環
境下で、ヒューズが受ける機械的及び熱的負荷を考慮す
る必要がある。
【0030】本発明によるヒューズ部8は、以下に詳細
に説明するように電流の流れ方向Iに略平行に延びる柱
状の結晶構造を提供することによって、ヒューズの寿命
の間に信頼性の高いブローイング特性を保証するもので
ある。
【0031】図6乃至図10によれば、ヒューズ組立体
の製造工程が示される。まず図6を参照すると、導電性
基体4はシート金属から打ち抜き折り曲げ形成され、導
体接続部10、12、支持バー20、及びヒューズ部6
のための接続部22が構成される。支持バー20は対向
する第1及び第2端面24、26をそれぞれ有し、それ
らの間にヒューズ部8を受容するための長さLの間隙
(図1参照)を形成する。基体4の接続部10、12は
ヒューズ構造6の両外側に位置する一対の連結部28に
よって相互に支持され、それらは間隙30を介してヒュ
ーズ構造6とは離間される。図6に示される打ち抜き折
り曲げ形成された基部4はその後金めっきされ、支持バ
ー20に溶着又は半田付けされるヒューズ部8の合金に
接着固定を容易にする。めっき材料はヒューズ部8に使
用される合金に合わせて他のものに変更しても良い。図
7に示す次の製造工程では、SnPb60/40の如き
固体ヒューズ材料の線材(又はストリップ)76が支持
バー20の第1及び第2端面24、26の間に締まり嵌
め固定される。線材7は例えば連続したリールとして提
供されて基部4に組み立てられるための所定長さにして
提供され得る。線材7は支持バー20の両側端部34を
超えて延びる延長部32を有し、図7に示すように連結
部28を交差して配置され得る。延長部32は、溶着さ
れる工程の間、ヒューズ部8の収縮を防止すべく作用す
る。延長部32は連結部28を交差するように延びるの
で、ヒューズ部8の溶融、凝固による固着工程の際に支
持され得る。
【0032】次の工程では、支持バー20間のヒューズ
部8は熱源を提供することによって溶融される。本実施
形態によれば、熱源はレーザとして提供される。溶融し
たヒューズ部8は、支持バー端面24、26間に張力現
象によって維持され、これによってヒューズ部8の若干
の垂下が生じ得る。ヒューズ用線材7の延長部32は溶
融したヒューズ部8を補助的に支持し、支持バー20間
のヒューズ部8の収縮を防止する。側端部34に沿うヒ
ューズ部8の収縮、即ち側端部34における支持バー2
0間に形成されるヒューズ部8の湾曲面形状は、特定の
電流通路を有するヒューズの信頼性を低下させてしま
う。
【0033】ヒューズ用線材7の溶融に先立って、支持
体20及びヒューズ用線材7をその材料の融点に近い温
度にするよう予め加熱しておいても良い。この予加熱
は、レーザ照射に晒される過程及びそれに続く凝固の過
程を通して製造サイクル回数を増やすために行われる。
予加熱は溶融のためのレーザとは別の加熱手段によって
行われるが、例えばそれはホットプレート、誘導加熱の
他、レーザ技術に比較して十分安価である従来の加熱手
段による。
【0034】図8に最も良く示されるように、予加熱の
後にレーザビームがヒューズ用線材7に集光して照射さ
れ、細長断面の照射部36がヒューズ部の上に設定され
る。これに関連して、レーザビームは、ヒューズ部8が
幅W2にわたって略全体が加熱されるよう、単一もしく
は複数のレーザビームとされて略長円又は細長い多角形
形状とされる。レーザビームの形状は、更にレンズを使
用して集光状態を変更するように構成しても良く、また
ビームの出力強度及びビームの広がりを調節するように
しても良い。本実施形態によれば、図16及び図17に
示すように、長円形状のビームは、支持されたヒューズ
用線材7の方向に2つのビーム36’が近接してヒュー
ズ上の照射位置で比較的広い面積となるよう焦点位置か
らずらされるように設定されるか、又はレンズによって
長円形状とされる単一のビーム36とされる。レーザビ
ームは、ヒューズ用線材に対して、図15に示すよう
に、まず初期位置Aに設定され、ヒューズ材料を溶融す
るためにヒューズ部8に重ねられ、次に凝固のためにレ
ーザビームがヒューズ材料に対して第2位置に向けて方
向Dに移動され基体4上のヒューズ部8から離される。
凝固のための方向Dはヒューズ部8の電流の流れ方向I
に平行とされる。方向性を有する凝固を適確に制御する
ことによって、ヒューズ部8は以下に詳細に示すように
柱状の結晶構造を有する。
【0035】ヒューズ部8の凝固は第1端面24に始ま
り、支持バー20の第2端面26へと進む。第1端の基
体4には、第1側5にその温度を略一定にするべく維持
する温度制御手段37(図15参照)がヒューズ部から
所定の距離だけ離して置かれる。例えばこれは、基体4
の第1側がアルミニウム等の熱伝導性の材料にクランプ
固定されることにより実現され、その材料はアルミニウ
ムブロックに沿って循環される水等の強制的熱対流手段
によって一定の温度に維持される。ヒューズ基体4の第
2側3の冷却は図15に示すように自然冷却手段41に
よって行われ得る。方向性凝固の後で、図9に示すよう
に連結部28及びヒューズ部8の延長部32は図10に
示すヒューズ構造6を形成するように切除され、その後
基体4は取付タブ14のクリンプ固定によって支持体1
6に固定され得る。
【0036】それに続く工程では、カバーがヒューズ部
6に重なるように置かれ、それは例えば熱的手段によっ
てハウジング16に固定され、ヒューズ部6の安全ケー
スを提供する。組立体2はその後電力ケーブル13にク
リンプ固定され、バッテリー端子又は他の導電性部材に
取り付けられる。同様の製造工程は、例えば図3に示す
ように複数のヒューズ部を有する設計にも適用可能であ
り、その場合ヒューズ部8’、8”は方向性凝固され、
連結部28はその後切除され、ヒューズ基体4’は支持
体に固定され得る。
【0037】図11乃至図16によれば、方向性を有す
る凝固工程が詳細に示される。発明者は、大電力用ヒュ
ーズを自動車環境下で10年又はそれ以上の間の寿命に
わたって使用する際に信頼性の高い特性を保証し、特に
それに低融点ヒューズを利用して機械的及び熱的要求を
考慮すべき場合にヒューズ部におけるクラックの形成及
びその成長が抑制される必要のあることを理解してい
る。特に電流の流れ方向Iに沿う方向の力に対して、ヒ
ューズ部のクリープ抵抗を改良することは有効である。
これは、ヒューズ部に柱状の結晶粒組織構造を提供する
ことによって実現される。柱状の結晶粒構造は方向性凝
固によって実現される。電流の流れ方向に沿う柱状の結
晶粒構造は、電流の流れ方向Iに交差する方向に延びる
粒界、転移、欠陥、及び不純物の量又は数を減らす。電
流の流れ方向に交差する方向又はヒューズ部の主要応力
方向に延びる粒界及び転移は、電流の流れ方向に交差す
るクラックを形成及び成長させ、これによってヒューズ
の導電性及び機械的強度を劣化させてしまう。クラック
はヒューズ部の破断にもつながるが、特にヒューズ部の
電気抵抗の変化はそれがブローイング特性を変えてしま
うという意味から好ましくない。
【0038】図11によれば、ヒューズ部を制御するこ
となく溶融させて凝固させた場合の結晶粒の形成が示さ
れる。ヒューズ部は自然の対流及び伝導によって冷却さ
れるものであるので、冷却は主要なF1乃至F4の4つ
の方向、即ちヒューズ部の対向端面24、26、及び対
向側端部34に進む。近接する支持バー20への大きな
熱流によって、支持バーの端面24、26に近接して小
径の結晶粒がこの界面で急激な冷却凝固によって形成さ
れる。多くの小径の結晶粒については以下のように説明
される。
【0039】同源による結晶粒形成の場合に、結晶粒形
成のための自由エンタルピーΔGに関する方程式は以下
のようになる。
【0040】
【数式1】
【0041】これにおいて、 V:結晶粒の体積(m) S:結晶粒の表面積(m) γ:固相/液相表面エネルギー(J/m) ΔT:冷却度(℃) Tf:融点(℃) である。
【0042】結晶粒の半径をrとすると上記方程式は以
下のようになる。
【0043】
【数式2】
【0044】半径rの結晶粒が安定して維持され、成長
可能であるためには、自由エンタルピーΔGは減らされ
る方向にされる、即ちδΔG/δrが0以下にされる必
要がある。第1の安定した結晶粒の最小半径をrとす
ると、rはΔTの逆数に比例する。
【0045】結晶粒成長温度Tg=Tf−ΔTで形成さ
れ得る結晶粒の数は、以下の式で現される。
【0046】
【数式3】
【0047】ここでNは初期の原子の数で、Kはボル
ツマン定数である。
【0048】このようにr及びnに関する計算によれ
ば、冷却度が小さいほど、安定した結晶粒の数が小さく
なり、大寸法となることが理解される。
【0049】逆に、多数の結晶粒の形成が避けられるた
めには、冷却度は融点に非常に近い領域に設定されなけ
ればならない。発明者は更に、多くの結晶粒の形成は電
流の流れ方向に交差する方向に延びる多くの粒界を形成
してしまうという欠点を有することを認識している。柱
状の結晶粒の構造を提供し、更にその数を少なくして寸
法を大きくすることが有効であるが、それは第1端面2
4において初期の凝固、特に凝固の速度を落とすことを
制御することによって実現される。数の少ない大きな結
晶粒の形成によれば、ヒューズ部8を交差する方向のク
リープ抵抗を改善し、支持バー20に対するヒューズ部
8の接着強度を改善する。
【0050】図11に示す制御されないヒューズ部の凝
固状態から理解されるように、溶融ゾーン38がヒュー
ズ部の中央に生じ、更に好ましくないクリープ抵抗を生
じる多くの小径の結晶粒を含む。加えて側端部34の冷
却端部F3、F4は、電流の流れ方向Iに交差する方向
に配向する結晶粒によってゾーン39を形成するが、そ
れは電流の流れ方向Iに交差する方向の負荷に対抗する
クリープ抵抗に対して望まれないものである。溶融ゾー
ン38は、支持バー20の第1端面24に始まり第2端
面26に終わる方向性凝固によって防止され得る。方向
性凝固によって実現される柱状の結晶粒構造は、図12
に概略的に示される。
【0051】図15に最も良く示されるように、レーザ
ビームはヒューズ部8を溶融すべくそれに重なるよう最
初は第1位置Aに設定される。熱40、41は、ヒュー
ズ部8の第1及び第2側5、3から流れるが、第1側5
には熱レギュレータ37が提供され、それはヒューズ部
8から所定距離離れて第1側5を略一定の温度に維持す
る。これによって支持バー20の第1端面24温度の効
果的な制御が行われ、そこでは第1の結晶粒が凝固され
る。基体4は絶縁体43に対して、ヒューズ部8からの
熱流をより効果的に制御するためにヒューズ部8のいず
れか一側に置かれる。レーザエネルギーの出力はパルス
レーザビームを提供することによって制御され、その周
波数はヒューズからの熱流を増減するよう適当に変化さ
れる。またその出力は合金の融点に近い領域での溶融周
期の中でヒューズ部8を溶融すると共にヒューズ部8を
維持するよう調節される。材料溶融のための高い温度
は、重力によって溶融されたヒューズ部の張力現象を減
らし、大きな垂下作用を生じる。加えて、融点に近い温
度は第1端面24での結晶粒の初期形成を十分制御する
ことを可能にする。初期の結晶粒形成は、レーザビーム
を位置Aから凝固方向である方向Dに移動されることで
実現され、これによって第1端5から伝導される熱エネ
ルギー40は端面24の冷却端に提供される。ビームを
初期位置Aから凝固方向Dにより低速で移動するほど、
冷却はよりゆっくり行われ、即ち徐冷される。従って、
上述したような比較的大きな寸法を有する少数の結晶粒
の形成が端面24で実現される。本実施形態によれば、
PbSnの組成は亜共晶の組成であるので、初期形成さ
れる結晶粒は共融結晶前に形成されるPb(19%)の
組成を有する。これは図13の相図において液相の組成
C0が融点に達していることにより理解される。
【0052】初期の結晶粒の形成後に、固相/液相の界
面の先で新しい結晶粒の形成をすることなく、柱状(又
は板状)の結晶粒を形成するために、略安定した又は面
状の固相/液相界面を維持することが必要とされる。こ
れは以下のように説明される。固相の界面の前に液相の
組成が変わった溶質の抵抗を生じる。この組成の変化は
構造における冷却を生じる。換言すれば、融点は、液相
の組成が変化することによって図13の相図に示す共融
温度によって決定される最も低い融点よりも高くなる。
液相と固相との界面の前に位置する液相部分の融点の上
昇によって、液体が冷却温度となる低い温度を有するな
らば、界面の前に結晶粒が形成されるよう凝固が生じ
る。大寸法の柱状の結晶粒が形成されるべきならば、こ
れは避けられるべき不安定状態である。図14によれ
ば、液相曲線は固相界面の前に位置する液相の融点を、
液相の組成に対する界面からの距離の関数として示す
が、それは界面Ceにおける共融組成から合金の組成C
0へと変化する。小さな温度勾配TL1による冷却度Δ
Tのために、液相における温度勾配はTL2より大きい
か又はそれに等しくされる必要がある。この状態は次の
関係を満たすべきものとして理解される。
【0053】
【数式4】
【0054】ここで R:界面の転移割合 GL:液相の熱勾配 m:X=0における液相線の勾配 DL:液体の溶質の拡散係数 である。(DL及びmは合金の特性値であり、例えば上
述した半田合金に対しては、DL=6.7×10−6
/secであり、m=−2.326℃である。)
【0055】0.2cmの長さLを有し、好ましい凝固
割合R=4×10−2sec−1(即ちヒューズ部の凝
固に5秒必要とされる割合)を有するヒューズ部のため
に、温度勾配GLは263℃/cmとされ、それはヒュ
ーズの両端面24、26間で52℃となる温度勾配であ
る。
【0056】温度勾配をより高くするほど、凝固割合は
高くなり、これによって凝固サイクルの時間は短くな
る。しかしながら、温度勾配の増加効果が溶融された合
金の平均温度を増すことが可能であるので、この合金の
粘性は小さくなり、体積は増加する。液相合金は凝固又
は半田接着の間に支持されず、張力現象によって所定位
置に維持されるのみであるので、溶融された合金の温度
は安定した面端のための最小の温度勾配を確実に実現で
きるよう十分な温度に制御されるべきである。
【0057】温度勾配を制御するために、レーザビーム
の方向Dへの移動速度及びレーザの出力強度が制御され
る。レーザ出力は金属によって相違する放射率εを考慮
して制御されても良く、例えば上述の半田合金によれ
ば、放射率はε=0.22であり、それは錫めっき青銅
基部によるε=0.13とは相違する。従って、ヒュー
ズ部8は本実施形態では支持体20よりも多くのレーザ
エネルギーを吸収する。例えばパルスモードのYAGレ
ーザを500Wにして、周波数を1から50KHzで動
作可能にしてヒューズの出力破壊の出力を制御する。端
面24における初期結晶粒成長のための低い温度勾配の
要求は、及びそれに続く柱状結晶粒形成のための温度勾
配とは多少の矛盾を生じるものである。更に製造サイク
ルを短くするために、熱源の移動の適正な速度が提供さ
れるが、例えばそれは0.5乃至1.0mm/sec程
度である。より少ない数でより大きな結晶粒が必要とさ
れるとき、最初の凝固相形成のためのレーザ照射位置の
より遅い移動、及び初期の結晶粒形成の後のより早い割
合での移動との間で効果的な妥協点が見つけられ得る。
【0058】図16及び図17に示すように、単一又は
多重のビーム36、36’が提供可能である。図16及
び図17によれば、凝固工程の後にヒューズ線材延長部
32は、くびれ部33を介してヒューズ部8に結合され
るが、くびれ部33はヒューズ部8の断面積を維持する
ことを保証する。上述した工程で形成される柱状の結晶
粒は、安定した多層型凝固を生じる共融組成の平板構造
に類似し、そのための半田合金(60/40)によるC
oに近い組成を有する並置されたPbSnの平板構造を
有し得る。
【0059】図18によれば、方向性凝固工程の間のヒ
ューズ部8の断面が示される。凝固の間に、線50で示
される固相/液相の界面は、端面24、26に対して傾
斜して位置するが、それは対向端面26、24の間の温
度勾配、及びレーザビーム36を受容する頂面52と熱
源からの熱を受容しないヒューズの対向端54との間の
温度勾配によって生じるものである。固相/液相の界面
50の斜め方向の移動は破線50’で示されるように第
2端面26に界面が重なる凝固工程の最終段階で有効で
ある。液相の合金の体積は固相の合金よりも大きく、も
し固相/液相の界面が第2端面26で平行に合致するな
らば、それは凝固の間に相対収縮のために平滑でない粗
さ部分を形成する。固相/液相界面50’の傾斜角は、
それが端面26に合致するときに液相合金58のポケッ
トが材料の固相界面によって形成され、よって界面5
0’は粗さ部分を形成することなく端面26に沿って上
方に移動する。非常に小さな液相のポケットが端面26
と頂面52との間の頂隅部60に残るときにのみ、体積
の収縮によって粗さ部分が形成される。しかしながら、
頂隅部60は溶融した合金にかかる引力によって生じる
ヒューズ部8の湾曲した頂面による応力の低い部分(又
は応力逃がし部分)となる。頂隅部60内の比較的弱い
接着及び結晶粒構造は、従ってヒューズ部に加わる引っ
張り応力61を効果的に抑え、よってヒューズの機械的
強度又はクリープ抵抗に悪影響が及ばないようにヒュー
ズ部8を実現可能である。従って、頂面52への熱源を
提供し、又は第1側5での底面54側のみに冷却素子3
7を提供し、又は図18に示すように対向側に熱源及び
冷却素子をそれぞれ提供することによって固相/液相界
面が端面26、24に対して傾斜角を成すように設定す
ることは効果的である。
【0060】他の場合として、ヒューズ部8の第2端面
26が垂直方向V及び頂面52と底端54とに対して傾
斜角を成すように設定しておく場合には、固相/液相の
界面が粗さ部分を生じるような垂直方向に延びるもので
あっても良い。
【0061】垂直方向Vに作用する重力を考慮すると
き、頂隅部60で凝固が終結することは特に効果的であ
るが、それはこの頂隅部60がヒューズ部8の頂面の湾
曲形状62を考慮したときの応力を小さくすることがで
き、これによりヒューズ部8を交差する主要な応力61
が抑えられるからである。
【0062】まとめると、パルスレーザによる熱源の使
用によって容易に制御されることが可能であるヒューズ
部の方向性凝固は、電流の流れ方向を交差する方向のク
リープ抵抗を増し、中央の溶融ゾーンを減らし、支持用
端面24、26での小径の結晶粒の形成を阻止し、結晶
粒の数を減らし、特に電流の流れ方向を交差する方向の
結晶粒界を減らす。これらの点は、第1端面24での制
御された初期の結晶粒の凝固、及び熱源の出力と凝固方
向Dの熱源の移動速度との制御による固相/液相界面で
の温度勾配の維持によって実現される。図8、図16、
及び図17に示されるようにレーザビーム36、36’
の端部は基体4の第2側3に入り、結晶粒が第2端面2
6に達するまでに固相界面に温度勾配を維持することを
保証する。製造工程を制御するために、温度センサ4
6、48がヒューズ部8に対して配置されても良い。方
向性凝固工程における温度変化において、その変化の曲
線は工程の間に正確な温度勾配が確実に維持される特性
曲線となるように制御されることが可能である。支持端
に対して傾斜方向を向く凝固端は、例えばヒューズの厚
さ方向の熱調整によって実現され、支持部に対するヒュ
ーズ部の接着性及びクリープ抵抗を改善する。
【0063】以上の如く本発明によるヒューズ組立体及
びその製造方法について詳細に説明したが、これはあく
までも例示的なものであり、本発明を制限するものでは
なく、当業者によって様々な変形変更が成され得る。
【0064】
【発明の効果】本発明のヒューズ組立体によれば、ヒュ
ーズ部は、一対の端子間をブリッジする方向に延びる柱
状結晶粒構造を含むことを特徴とするので、ヒューズ特
性のばらつきが抑えられ信頼性の高い動作が保証される
とともに、外力によって生じる内部応力に対して十分大
きない耐性を有し、使用寿命の間で経時変化が少なく確
実なブローイング特性を保証できる。
【0065】更に、本発明によるヒューズ組立体の製造
方法によれば、一対の端子間の空間を埋めるようにヒュ
ーズ部の材料を固定配置する工程と、ヒューズ部の材料
に略重なるように材料の一側からレーザ光を照射して材
料を溶融させる工程と、レーザ光を材料の位置から離間
させる方向に制御された速度で移動させて材料を凝固さ
せる工程とを含むことを特徴とするので、比較的簡易な
方法ながら、ヒューズ部の形成を確実に制御して形成
し、良好にして経時変化の少ない安定した特性を有する
ヒューズ組立体を実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】導電性ケーブルにクリンプ固定されるヒューズ
組立体となる電気端子を絶縁支持体を省略して示す斜視
【図2】絶縁支持体に組立てられるヒューズ部(ヒュー
ズリンク)の斜視図。
【図3】複数のヒューズ部を含む他の実施形態を絶縁支
持体なしで示す斜視図。
【図4】図3のヒューズ部を含む組立体の完成状態を示
す斜視図。
【図5】ヒューズ部の挿入及び結合の前段階として部分
的に製造されたヒューズ組立体を示す図3類似の図。
【図6】ヒューズ部支持用基体の平面図。
【図7】基体に組み立てられるヒューズ部用合金のスト
リップをそれに続く製造工程にして示す図6類似の図。
【図8】レーザによる熱源の作用を簡易的に示す図7類
似の図。
【図9】連結部及びヒューズ部材料の延長部が切除され
る工程を示す図8類似の図。
【図10】ヒューズ部支持用の基体が絶縁支持体にクリ
ンプ固定される図9に続く工程を示す図9類似の図。
【図11】凝固(又は固化)が制御されないヒューズ部
の概略構造を示す図で、ヒューズ部の結晶粒を概略的に
拡大して示す図。
【図12】本発明によってヒューズ部の凝固が制御され
る場合を示す図11に類似の図。
【図13】半田合金の相図。
【図14】鉛:錫の比が60:40の半田合金による固
相/液相の界面での液相線のグラフ。
【図15】レーザビームが照射される3つの位置A、
B、B’を示すヒューズ部の側方から見たヒューズ部の
断面図。
【図16】凸形のレンズによって集光される単一のレー
ザビームを示すヒューズ部の部分平面図で、ヒューズ部
の熱流を示す図。
【図17】2つのレーザビームを示す図16類似の図で
ある。
【図18】固相及び液相の界面の移動を示すヒューズ部
の一部を示す断面図
【符号の説明】
2、2’ ヒューズ組立体 4、4’ 端子(導電性基体) 7 ヒューズ用線材 8、8’ ヒューズ部 36 レーザ光照射部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属板によって形成される一対の端子の間
    にヒューズ部が固着されて成るヒューズ組立体におい
    て、 前記ヒューズ部は、前記一対の端子間をブリッジする方
    向に延びる柱状結晶粒構造を含むことを特徴とするヒュ
    ーズ組立体
  2. 【請求項2】金属板によって形成され離間配置された一
    対の端子間にヒューズ部を固定するヒューズ組立体の製
    造方法において、 前記一対の端子間の空間を埋めるように前記ヒューズ部
    の材料を固定配置する工程と、 前記ヒューズ部の前記材料に略重なるように前記材料の
    一側からレーザ光を照射して前記材料を溶融させる工程
    と、 前記レーザ光を前記材料の位置から離間させる方向に制
    御された速度で移動させて前記材料を凝固させる工程と
    を含むことを特徴とするヒューズ組立体の製造方法。
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