JPH11254568A - 繊維板及びその製造法 - Google Patents

繊維板及びその製造法

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JPH11254568A
JPH11254568A JP5361198A JP5361198A JPH11254568A JP H11254568 A JPH11254568 A JP H11254568A JP 5361198 A JP5361198 A JP 5361198A JP 5361198 A JP5361198 A JP 5361198A JP H11254568 A JPH11254568 A JP H11254568A
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fibers
resin
fiber
fiberboard
sheet
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JP5361198A
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Masashi Hiraishi
将史 平石
Kenji Kurimoto
健二 栗本
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な透湿性、通気性および高い強度を併せ
持ったヤシ繊維板であって、降雨等に対する耐水性を向
上させ、好適な建築材料として使用しうる繊維板を提供
する。 【解決手段】 ヤシ繊維を主成分とするヤシ繊維マット
に硬化性樹脂を付着させ圧縮成形してなる繊維板であっ
て、該繊維板の少なくとも1表面に熱可塑性合成樹脂シ
ートを融着させ、該シートを非連続層としてなる繊維
板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、木質系繊維板類
似の繊維板に係り、強度に優れ、透湿性を有しながらも
耐水性に優れた繊維板に関する。
【0002】
【従来の技術】木造家屋での壁内結露を防止するため、
外壁と断熱層との間に通気層を形成し、断熱層を透過し
た室内の水蒸気が通気層を通って軒下から室外へ拡散す
るようにした通気構法が、特に寒冷地では多く採用され
ている。この通気構法では通気層と断熱層を区画する防
風層が必要となるが、この防風層は断熱層を保持する機
能を発揮するが、水蒸気を通気層へスムーズに透過させ
得るように透湿性を有する必要がある。さらに近年、防
風層自体に構造用面材としての機能も要求されるように
なってきた。
【0003】この防風層を形成するものとして、透湿性
を有する軟質繊維板の一種であるシージングボードが用
いられているが、このシージングボード自体は構造用面
材として機能するほどの強度は有していない。また、構
造用面材である構造用合板やオリエントストランドボー
ド(OSB)も防風層として用いられているが、これら
のボードには透湿性がほとんどなく、壁内の水蒸気を通
気層へ拡散する機能はない。
【0004】そこで透湿性と強度を併せ持ち構造用面材
としての機能を有する防風層として好適に使用しうるヤ
シ繊維板(WO96/32251)の技術が開示されている。一般
に、天然繊維からなる繊維板は水濡れ等に対する影響を
受けやすい傾向にある。この内、ヤシ繊維を含んだ繊維
板等に関する特許出願(特許第2529168号、特開平8-108
509、特開平7-124915)の中で、バインダーの縮合物中
にワックスを混合して耐水性を向上させるという技術が
開示されているが、これらの技術は十分な耐水性を発現
させるには未だ改善すべき課題が多い。
【0005】また、透湿・防水性合成樹脂フィルムを板
状基材に貼着された透湿・防水性外装下地材に関する技
術が開示(実案2558619号)されているが、透湿・防水
性を有するフィルムを使用することが必須であるほか、
フィルムの透湿性を損なわない手法で粘着剤を塗布する
必要があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこれらの課
題を解決するために鋭意検討を行った結果、特別な透湿
性を有する樹脂フィルムを用いることなく、ヤシ繊維を
主成分とする繊維を硬化性樹脂で結合した繊維板の表面
に一般的な熱可塑性合成樹脂シートを融着し、該シート
を非連続層とすることにより、強度に優れ、透湿性を有
しながらしかも耐水性の良好な繊維板が得られることを
見いだし、以下の発明に至った。即ち本発明は、ヤシ繊
維を主成分とするヤシ繊維マットに硬化性樹脂を付着さ
せ、必要により有機又は無機繊維からなる編織物を積層
し、これらに硬化性樹脂を付着させて圧縮成形してなる
繊維板であって、該繊維板の少なくとも1表面に熱可塑
性合成樹脂シートを融着させ、該シートを非連続層とし
たことを特徴とする透湿性を有する繊維板及び該繊維板
の製造法に関するものである。
【0007】
【発明実施の形態】以下に本発明の詳細について具体的
に説明する。本発明で用いるヤシ繊維とは、ココヤシ、
アブラヤシ、サゴヤシ、ナツメヤシ、オウギヤシ、ニッ
パヤシ、サトウヤシ、クジャクヤシ、シュロ、トウジュ
ロ、クロツグ等のヤシ科の植物から採取される繊維状樹
皮、葉柄基部繊維、中果皮繊維等の繊維をいい、これに
はアブラヤシの空果房を解繊して得る繊維が含まれる。
また、複数種類のヤシ繊維を混合したものを含む。ここ
ではアブラヤシ繊維が好ましい。
【0008】アブラヤシ繊維は他の種類のヤシ繊維に比
較して解繊等に要する労力が少なく、安価に入手するこ
とができる。また、アブラヤシ繊維は繊維長が10〜30cm
と長く、ココヤシ繊維より繊維の屈曲の度合いが大きい
ため、繊維同士の絡まり合いが大きく、繊維マットを形
成したときに解れにくく、マットの取り扱いが容易であ
る。また、繊維の絡まり合いが大きいほか、繊維径もコ
コヤシより太いこともあり、アブラヤシ繊維の繊維板は
釘を打ち付けたときの釘保持力が強くなる。
【0009】また、必要によりヤシ繊維に有機又は無機
繊維を混合しても良い。有機繊維としては天然植物性繊
維や合成繊維が挙げられる。ここで、天然植物性繊維
は、麻を解繊した麻繊維、若竹を解繊した竹繊維、サト
ウキビ繊維、へちま繊維、パイナップル繊維、バナナ繊
維、コウリャン繊維、イナワラより得られる繊維、木質
繊維等が例示され、天然植物より得られる繊維質であれ
ば特に限定はない。合成繊維としてはポリエステル繊
維、脂肪族又は芳香族ポリアミド繊維、アラミド繊維、
アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維
等のポリオレフィン繊維、ビニリデン繊維、ポリ塩化ビ
ニル繊維、ポリウレタン繊維、ビニロン、レーヨン、キ
ュプラ、アセテート等の繊維が例示される。無機繊維と
しては、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊
維、窒化ケイ素繊維、炭化ケイ素繊維、チラノ繊維など
が例示される。またこれらは、単独で混合しても良く、
二種以上を同時に混合しても良い。
【0010】ヤシ繊維に混合する繊維の混合率は50wt%
未満、好ましくは40wt%未満、更に好ましくは30wt%未満
である。上記のヤシ繊維マットに、上記の有機及び/又
は無機繊維からなる編織物を積層することにより、強度
や吸湿時の寸法変化が向上する。特に、引張弾性率の高
い繊維からなる編織物を積層することにより、更に強度
が改善されるので好ましい。本発明で使用する編織物と
しては、合成繊維や植物繊維等の有機繊維からなるも
の、ガラスクロスや炭素繊維などの無機繊維からなるも
のが使用できる。合成繊維としてはポリエステル繊維、
脂肪族又は芳香族ポリアミド繊維、アラミド繊維、アク
リル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等の
ポリオレフィン繊維、ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル
繊維、ポリウレタン繊維、ビニロン、レーヨン、キュプ
ラ、アセテート等の繊維が例示される。植物繊維として
は麻を解繊した麻繊維、若竹を解繊した竹繊維、サトウ
キビ繊維、へちま繊維、パイナップル繊維、バナナ繊
維、コウリャン繊維、イナワラより得られる繊維、木質
繊維等が例示され、天然植物より得られる繊維質であれ
ば特に限定はない。
【0011】中でも本発明で使用する編織物としては、
麻繊維の編織物が好ましい。ここで、麻繊維とは、ジュ
ート、アマ、ケナフ及びアンバリアサ等のじん皮繊維を
とるものと、マニラアサ、サイザルアサ、ニュージラン
ドアサ、及びモーリシアスアサ等の組織繊維をとるもの
とが含まれる。麻繊維とは、これらの麻から得られる繊
維をいう。植物繊維は、複数種類の植物繊維を混合した
ものも含む。編織物は、麻を解繊して得た麻繊維を撚っ
た麻糸を縦横に編んでなるクロスを含み、従って、ジュ
ートで形成したクロスであるジュートクロスを含む。織
組織の一例としては、平織、綾織、朱子織、ナナコ織
(正則、不規則を含む)等から選ぶのが好ましく、この
中でも平織、綾織が特に好ましい。編組織としては平編
み、ゴム編み等から選ばれる。ここに用いる糸の例とし
ては、ジュート番手7.5〜40より選ぶのが好ましい。ま
た、目付は100〜1200g/m2程度が好ましい。さらに100〜
1000g/m2が好ましく、最も好ましくは100〜600g/m2であ
る。また、ヤシ繊維マットに積層する編織物の量は、繊
維板を使用する部位が必要とする強度等の物性によりそ
の目付けと積層数を組み合わせ選定できるが、積層位置
はヤシ繊維層の表面でも内部でもよく、表面の場合は片
面でも両面でもよい。また、多数枚のヤシ繊維マットと
編織物を交互に積層してもよい。
【0012】本発明で用いる硬化性樹脂は、熱硬化型樹
脂及び反応硬化型樹脂(常温硬化型樹脂)を含む。ま
た、上記圧縮成形の際には、必要に応じて加熱も行う。
まず熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、アミノ樹
脂、及びジアリルフタレート樹脂(DAP樹脂)などが
ある。フェノール樹脂には、ノボラック樹脂(酸触媒、
フェノール過剰)、レゾール樹脂(塩基性触媒、ホルム
アルデヒド過剰)、フェノール−メラミン共重合樹脂、
フェノール−メラミン−ユリア共重合樹脂、アルキルフ
ェノール変成フェノール樹脂、ゴム変成フェノール樹脂
等の変成フェノール樹脂があり、アミノ樹脂にはユリア
樹脂(尿素樹脂)、メラミン樹脂、ユリア−メラミン共
重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、及びアセトグアナミ
ン樹脂がある。次に、反応硬化型樹脂(常温硬化型樹
脂)としては、フラン樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、変性
(変成)シリコーン樹脂、及びシリコーン樹脂などがあ
る。さらに、繊維マットの集束剤又はバインダーとして
は、これら硬化性樹脂が寸法精度、耐久性、強度等の点
から好ましい。しかしながら、物性上少し劣りはする
が、バインダー効果を持つアクリル系、スチレン系等の
熱可塑型樹脂(特に水性分散液)及び天然あるいはSB
Rなどの合成ゴムラテックスも一部使用することがで
き、本発明の硬化性樹脂とは、これらを含めた概念であ
る。上記の硬化性樹脂の内、熱硬化性樹脂が硬化時間、
生産性の観点から好ましく、その内でもフェノール樹
脂、アミノ樹脂が好ましく、特に好ましくはアミノ樹
脂、つまりユリア樹脂、メラミン樹脂、ユリアメラミン
共重合樹脂、及びこれらの混合樹脂がよい。本発明の硬
化性樹脂には、必要に応じてワックスやサイズ材等の耐
水性付与剤、可塑剤、充填剤、補強材、垂れ防止剤、着
色剤、老化防止剤、接着促進剤、硬化触媒、物性調整剤
などを配合し得る。尚、接着付与剤として、コンニャ
ク、小麦粉、デンプン等を添加し得る。
【0013】硬化性樹脂の使用量は、ヤシ及び植物繊維
100重量部に対して5〜100重量部、好ましくは5〜30重
量部、更に好ましくは10〜30重量部が例示される。本発
明で使用する熱可塑性合成樹脂シートとしては、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステ
ル等の熱可塑性合成樹脂から成るシート状物が例示され
るが、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、ポリ
エチレンが更に好ましい。本発明の熱可塑性合成樹脂の
シートとしては、該合成樹脂を用いて成形等の加工によ
り作られるフィルム、シ−ト、および熱可塑性合成樹脂
繊維を用いて形成した編織物、不織布などが例示される
が、その内でもフィルム又はシートが好ましい。これら
シートの厚みは0.01〜1mmが好ましく、0.02〜0.5mmが更
に好ましい。
【0014】該合成樹脂シートをヤシ繊維板表面に融着
させる際、合成樹脂シートが溶融した樹脂が繊維板の繊
維に浸透したり、繊維板表面の窪み等でシートが部分的
に抜け落ちる等することにより細孔等が形成されシート
の連続性が壊れる。本発明での非連続層とは、このよう
に細孔等を有することになった熱可塑性合成樹脂シート
の層のことである。この細孔等が形成されることによ
り、樹脂シート融着後の繊維板に透湿性が保持された上
に耐水性も向上させることができる。細孔等の大きさ
は、使用する樹脂、樹脂シートの厚み、融着時の温度や
時間等により調整可能であるが、細孔の直径としては1
〜500μmが好ましく、5〜100μmが更に好ましく、10〜
20μmが最も好ましい。湿気の粒径は0.0002〜0.001μm
といわれているのに対し、通常の雨滴は直径200〜700μ
m、霧では50μmである(化学大辞典編集委員会編、化学
大辞典、共立出版)。細孔径が雨滴径より小さければ本
発明の繊維板が降雨等に曝されても、容易に雨滴が繊維
板に浸透することはないが、湿気は通過することが出来
ると共に該樹脂シートの存在により耐水性も向上すると
いう効果が得られる。一方、細孔径が小さすぎると繊維
板の透湿度が低下するため好ましくない。
【0015】本発明の実施の形態を説明する。実施形態
の1例としては、ヤシ繊維によりマットを形成し、この
繊維マットの両表面に麻クロスを積層し、これらに硬化
性樹脂を付着させ、更にこれら積層物の両又は片表面に
ポリエチレンシートを配置して加熱圧縮成形してなるも
のである。繊維マットを形成するには、ヤシ繊維をマッ
ト状に展開すればよいが、更にニードルパンチ等により
ヤシ繊維を不織布様又は三次元編組織状に絡み合わせる
処理を行って剥離強度を上げ、さらに必要に応じてプレ
ス又は熱プレス等により繊維マットを緻密にするとマッ
トの取り扱いが容易になるだけでなく、得られるヤシ繊
維板の物性が向上する。なお、この繊維マットの厚み
は、通常5〜20mm程度にすると使い易いと云われるが、
勿論これに限定されることなく用途に応じて任意に設定
すればよく、また複数枚重ねて使用してもよい。
【0016】本発明の繊維板表面には透湿性のないポリ
エチレン等の樹脂シートを表面に配置しているが、樹脂
シートを一旦溶融させて融着させており、溶融した樹脂
が凹凸のある繊維板表面の繊維間に浸透するときに細孔
等ができ、この細孔を通じて湿気が通過できるので、本
発明の繊維板は透湿性を保持する。透湿度は1〜100g/
(m2・hr)が好ましく、5〜50g/(m2・hr)がより好ましい。
【0017】本発明の繊維板の厚さは、3〜25mmが好ま
しく、9〜20mmがさらに好ましい。さらに繊維板の密度
は0.2〜1.0g/cm3が好ましく、さらに0.3〜0.7g/cm3
好ましく、最も好ましくは、0.35〜0.6g/cm3である。ま
た、繊維板の目付は、例えば繊維板の厚さが9mmの場
合、密度が0.2g/cm3で目付1.8kg/m2となり、密度が1.0
g/cm3では目付9kg/m2となる。
【0018】上記繊維板の製法は、例えば次のように行
うことができる。まず、ヤシ繊維を解繊し、単位断面径
が約5〜600マイクロメートル、繊維長30〜300のマイク
ロメートル繊維を得る。このヤシ繊維を展開してマット
を形成し、ニードルパンチ等により繊維を絡み合わせて
緻密にすると同時に剥離強度を上げて、繊維マットを得
る。この繊維マット及び麻クロスに、硬化性樹脂の水溶
液または水分散液をスプレー等により噴霧して付着させ
る。次いで麻クロスを上記の繊維マットの両面に配置
し、該麻クロスの更に外側に熱可塑性合成樹脂シートを
配置して加熱圧縮成形する。所望する繊維板の密度や厚
さにより、繊維マットを適宜複数枚積層すればよい。
【0019】加熱圧縮の温度及び時間は、用いる硬化樹
脂や加熱圧縮前の繊維マットの含水量、熱可塑性合成樹
脂シートに生じる細孔径などにより異なるので、それぞ
れの条件により適宜調整すればよい。麻クロスを用いな
い場合は、繊維マットに樹脂を塗布後、外側に熱可塑性
合成樹脂シートを配置して加熱プレスし成形する。
【0020】尚、樹脂は、繊維マットの集束剤又はバイ
ンダーとして使用されると共に、麻クロス自体への強度
付与及び麻クロスと繊維マットとの結合剤、更には繊維
板全体の結合剤又は強度付与のための構成剤として働
く。また、麻クロスは、引張強さ及び引張弾性率が適度
に高い麻繊維等を編んでいるため、それ自体が優れた引
張強さ及び引張弾性率を示す。そして、この麻クロスが
樹脂を介して繊維マットと強く結合することにより、繊
維板の強度が高められる。すなわち、麻クロスを繊維マ
ットの両面に配置した場合には、いわゆるサンドイッチ
効果が発揮されて繊維板の曲げ強さ及び曲げ弾性率が高
くなる。さらに、麻クロスは、吸水、吸湿時の寸法変化
が小さいので、特に繊維マットの両面に配置すると繊維
板の吸水、吸湿時の寸法変化及び強度低下が小さくなり
好ましい。従って、繊維板が構造用面材として機能し、
防風層周辺の構造部分を補強することができる。
【0021】また上記では、麻クロスを繊維マットの両
表面に配置したが、本発明は、麻クロスを繊維マットの
1表面にのみ配置するもの、繊維マットの内部に配置す
るもの、繊維マットの両表面又は1表面並びに内部に配
置するものを含む。さらに、麻クロスを繊維マットの内
部に配置する場合に、複数枚の麻クロスと複数枚のヤシ
繊維マットとを交互に重ねて多層状に配置したものを含
む。麻クロスを繊維マットの内部に配置したときには、
繊維板の引張強さ及び引張弾性率、せん断強さ及びせん
断弾性率、並びに平面内圧縮強度及び平面内圧縮弾性率
が高くなり、繊維板が構造用面材として機能し、防風層
周辺の構造部分を補強することができ好ましい。
【0022】上記製造法の例では、ポリエチレン等の熱
可塑性合成樹脂シートをヤシ繊維板の圧縮成形と同時に
融着させたが、ヤシ繊維板の圧縮成形後に樹脂シートの
融着を行っても良い。また、以上の実施形態では、正面
視が矩形で一定厚さの繊維板についてのみ説明したが、
圧縮硬化成形時に種々形状の型により所望の形状に成形
した成形体としてもよく、その場合においても上記繊維
板と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0023】
【実施例】次に本発明を実施例と比較例により具体的に
説明する。 [実施例1]解繊したアブラヤシ繊維をマット状に展開
し、ニードルパンチにより繊維を交絡させ、目付1.7kg/
m2の繊維マットを作製した。ユリア樹脂(三井化学製ユ
ーロイドU-756)及び硬化触媒としてNH4Clを混合し、水
で希釈した樹脂溶液を上記アブラヤシマット及び目付0.
3g/m2のジュートクロスにスプレー法により噴霧塗布
し、ヤシ及びジュート繊維100重量部に対して樹脂固形
分で15重量部のユリア樹脂を付着させた。樹脂を付着さ
せたアブラヤシ繊維マット2枚、その両面にジュートク
ロス1枚ずつを積層し、その両外側に厚さ0.2mmのポリ
エチレンシートを積層し、165℃−8分の条件で加熱プ
レスすることにより厚さ9.0mm、密度0.5g/cm3の繊維板
を得た。
【0024】得られた繊維板は、以下の評価項目及び方
法で評価した。透湿性はJIS Z 0208防湿包装材料の透湿
度試験方法に準じて測定した。耐水性については、JISL
1092繊維製品の防水性試験方法中の雨試験(シャワー
試験)に準じた装置で、20x30cmの試料ボードを10x20cm
の表面を露出させて木口及び周囲をシールし、30分間シ
ャワー(70mm/hr相当の降雨)した前後の重量により評
価した。結果を表1に示す。 [比較例1]表面にポリエチレンシートを配置しない以
外、実施例1と同様にしてヤシ繊維板を作製した。得ら
れた板状体は、実施例1と同様に評価し、その評価結果
は表1に示した。 [比較例2]OSB(オリエントストランドボード3
級)の透湿度を実施例1と同様に測定した。結果を表1
に示す。 [比較例2]構造用合板(特類2級)の透湿度を実施例
1と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】実施例と比較例1のシャワー試験結果よ
り、表面にポリエチレンシートを融着することで水浸透
による重量増加が半分に抑制できた。実施例1のヤシ繊
維板の透湿度は比較例1より低いが、OSBや構造用合
板とは異なり十分透湿性を有することが確認された。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、ヤシ繊維マットに
必要により有機及び/又は無機繊維の編織物を積層し、
これらに硬化性樹脂を付着し圧縮成形してなる繊維板で
あって、該繊維板表面に熱可塑性樹脂シートを融着する
ことで、元々透湿性のないシートを用いながらも、該シ
ートを形成していた溶融熱可塑性樹脂が繊維板表面の繊
維間に浸透するときに、雨滴等は透過させずに湿気は透
過できる大きさの細孔等を生じるため、通気性、透湿性
を有し且つ耐水性に優れた繊維板及びその製造法を提供
することができた。
【0028】本発明の繊維板は透湿性を有し、強度に優
れ且つ耐水性が良好であるので、この繊維板により防風
層を形成すれば、室内の水蒸気を通気層へスムーズに透
過させることができると共に、断熱層を安定して保持で
きるのは勿論のこと、耐水性が優れるので外部からの水
の侵入を防ぐことができる。また、本発明の繊維板の用
途としては、防風層に限定されるものではなく、強度、
透湿性、防水性が優れるので、例えば、外壁下地材、床
材、床下地材、畳材、屋根下地材、天井材、住宅内装
材、内装下地材、建築用断熱材、胴縁材、遮音材、吸音
材、緩衝材、衝撃吸収材、コンクリート型枠材、積載用
パレット、自動車等車両内装材、自動車等車両内装下地
材、家具材等としても使用することが出来る。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヤシ繊維を主成分とするヤシ繊維マット
    に硬化性樹脂を付着させて圧縮成形してなる繊維板であ
    って、該繊維板の少なくとも1表面に熱可塑性合成樹脂
    シートを融着させ、該シートを非連続層としたことを特
    徴とする透湿性を有する繊維板。
  2. 【請求項2】 ヤシ繊維を主成分とするヤシ繊維マット
    の少なくとも1表面及び/又は内部に有機及び/又は無
    機繊維からなる編織物を積層し、これらに硬化性樹脂を
    付着させて圧縮成形してなる繊維板であって、該繊維板
    の少なくとも1表面に熱可塑性合成樹脂シートを融着さ
    せ、該シートを非連続層としたことを特徴とする透湿性
    を有する繊維板。
  3. 【請求項3】 ヤシ繊維がアブラヤシ繊維である請求項
    1又は2記載の繊維板。
  4. 【請求項4】 有機及び/又は無機繊維からなる編織物
    が、麻繊維からなる目付100〜1200g/m2の編織物である
    請求項2又は3記載の繊維板。
  5. 【請求項5】 硬化性樹脂がアミノ樹脂である請求項1
    〜4の1に記載の繊維板。
  6. 【請求項6】 アミノ樹脂がユリア樹脂、メラミン樹
    脂、ユリア−メラミン共重合樹脂の内から少なくとも1
    つ以上選ばれる樹脂である請求項5記載の繊維板。
  7. 【請求項7】 硬化性樹脂がフェノール樹脂である請求
    項1〜4の1に記載の繊維板。
  8. 【請求項8】 熱可塑性合成樹脂シートが厚さ0.02〜0.
    5mmのポリエチレンシートである請求項1〜7の1に記
    載の繊維板。
  9. 【請求項9】 ヤシ繊維を主成分とする繊維からヤシ繊
    維マットを形成し、この繊維マットに硬化性樹脂を付着
    させ、ついで熱可塑性合成樹脂シートを片面又は両表面
    に配置して加熱圧縮成形し、該シートを非連続層とした
    ことを特徴とする透湿性を有する繊維板の製造法。
  10. 【請求項10】 ヤシ繊維を主成分とする繊維から繊維
    マットを形成し、このヤシ繊維マットの少なくとも1表
    面及び/又は内部に有機及び/又は無機繊維からなる編
    織物を積層し、これらに硬化性樹脂を付着させ、更に熱
    可塑性合成樹脂シートを片面又は両表面に配置して加熱
    圧縮成形し、該シートを非連続層としたことを特徴とす
    る透湿性を有する繊維板の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001121651A (ja) * 1999-10-26 2001-05-08 Sumitomo Chem Co Ltd 積層体
JP2007154366A (ja) * 2005-12-06 2007-06-21 Noritaka Okada 単子葉植物繊維の連続体及びその製造方法
CN114851644A (zh) * 2022-06-09 2022-08-05 洪雅竹元科技有限公司 一种麻布复合板及其制造工艺与应用

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