JPH10235768A - 繊維板及びその製法 - Google Patents

繊維板及びその製法

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JPH10235768A
JPH10235768A JP5701397A JP5701397A JPH10235768A JP H10235768 A JPH10235768 A JP H10235768A JP 5701397 A JP5701397 A JP 5701397A JP 5701397 A JP5701397 A JP 5701397A JP H10235768 A JPH10235768 A JP H10235768A
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JP
Japan
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fiber
fiberboard
weight
resin
fiber mat
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JP5701397A
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English (en)
Inventor
Kazunari Iwamoto
和成 岩本
Kenji Kurimoto
健二 栗本
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヤシ繊維を硬化性樹脂で結合し、防菌剤を添
加することにより、シージングボードよりも強く、しか
も透湿性に優れ、且つ防カビ性が良好な繊維板を得る。 【解決手段】 硬化性樹脂が付着したヤシ繊維からなる
繊維マット2を圧縮成形してなる繊維板1であって、ヤ
シ繊維100重量部に対して0.001〜1重量部の防
菌剤を添加した。硬化性樹脂が付着したヤシ繊維からな
る繊維マット2の少なくとも1表面及び/又は内部に、
硬化性樹脂が付着した編織物又は不織布3を配置して圧
縮成形された繊維板1であって、ヤシ繊維100重量部
に対して0.001〜1重量部の防菌剤を添加した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、木質系繊維板に
類似の繊維板に係り、特に透湿性と強度に優れ、且つ防
カビ性に優れた繊維板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、木造家屋で壁中にグラスウール等
の繊維系の断熱層を形成する場合に、室内の水蒸気を室
外へ逃すために、外壁と断熱層との間に通気層を形成す
ることにより、断熱層を透過した室内の水蒸気が通気層
を通って軒下から室外へ拡散するようにしていた。その
場合に、この通気層と断熱層を区画する防風層が必要と
なる。この防風層は、断熱層を保持する機能を発揮する
が、水蒸気を通気層へスムーズに透過させ得るように透
湿性に優れたものでなければならない。
【0003】この防風層を形成するものとして、従来、
例えばポリエチレン製の不織布が使われてきたが、断熱
層にグラスウール等を使用すると、断熱層の膨張力に押
されてこの不織布が膨出変形し、通気層を狭めるという
欠点があり、このことは特に寒冷地においてグラスウー
ル等を多量に詰め込んだときに起こり易い〔建築工事標
準仕様書・同解説JASS24断熱工事(日本建築学会
編)参照〕。そこで、木質繊維板のなかでも比較的密度
が小さく、しかも通気性を有する軟質繊維板の一種であ
るシージングボードを断熱層の外側に当て、その端辺を
柱、間柱、梁、桁、又はブレース(胴縁、筋違等の補強
材)等の構造材に固定することにより、ある程度の強度
を有した防風層を形成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
シージングボードは、断熱層の膨張力に耐え得ても、そ
れ自体が構造用面材として機能するほどの強度は有して
いない。従って、シージングボード周辺の構造部分の強
度は、専らシージングボード以外の上記構造部材に頼る
しかなかった。また、シージングボードは木質繊維より
なるから、カビ等の菌類により浸食されて劣化を生じる
という欠点をもつ。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこれらの課
題を解決するために鋭意検討を行い、ヤシ繊維を硬化性
樹脂で結合し、ヤシ繊維100重量部に対して0.00
1〜1重量部の防菌剤を添加することにより、強度と透
湿性に優れ、且つ防カビ性が良好な繊維板が得られるこ
とを見いだし、以下の発明に到った。すなわち請求項1
の発明は、硬化性樹脂が付着したヤシ繊維からなる繊維
マットを圧縮成形してなる繊維板であって、ヤシ繊維1
00重量部に対して0.001〜1重量部の防菌剤を添
加してなる繊維板に関する。
【0006】上記繊維マットに加えて、編織物又は不織
布を積層することにより強度を改善すると共に、表面性
等を変えることができる。すなわち請求項2の発明は、
硬化性樹脂が付着したヤシ繊維からなる繊維マットの少
なくとも1表面及び/又は内部に、硬化性樹脂が付着し
た編織物又は不織布を配置して圧縮成形された繊維板で
あって、ヤシ繊維100重量部に対して0.001〜1
重量部の防菌剤を添加してなる繊維板に関する。
【0007】請求項3は、請求項1又は2において、ヤ
シ繊維が油ヤシ繊維である繊維板とした。
【0008】請求項4は、請求項2又は3において、編
織物が、目付100g/m2〜1200g/m2の麻繊維
により形成されている繊維板とした。
【0009】請求項5は、請求項1〜4の繊維板におい
て、厚さが3mm〜25mmであると共に、曲げ強さが
3N/mm2〜50N/mm2であり、且つ透湿係数が
0.1μg/(m2・s・Pa)〜10μg/(m2・s
・Pa)である繊維板とした。
【0010】請求項6は、請求項1〜5の繊維板におい
て、硬化性樹脂がアミノ樹脂である繊維板とした。
【0011】請求項7は、請求項1〜5の繊維板におい
て、硬化性樹脂がフェノール樹脂である繊維板とした。
【0012】請求項8は、請求項1〜6の繊維板におい
て、アミノ樹脂がユリア樹脂である繊維板とした。
【0013】請求項9は、請求項1〜6の繊維板におい
て、アミノ樹脂がメラミン樹脂である繊維板とした。
【0014】請求項10は、請求項1〜6の繊維板にお
いて、アミノ樹脂がユリア−メラミン共重合樹脂である
繊維板とした。
【0015】請求項11は、ヤシ繊維により繊維マット
を形成し、この繊維マットに硬化性樹脂を付着させ、ヤ
シ繊維100重量部に対して0.001〜1重量部の防
菌剤を添加し、圧縮成形する請求項1に記載の繊維板の
製法である。
【0016】請求項12は、ヤシ繊維により繊維マット
を形成し、この繊維マットの少なくとも1表面又は内部
に編織物又は不織布を配置し、これらに硬化性樹脂を付
着させ、ヤシ繊維100重量部に対して0.001〜1
重量部の防菌剤を添加し、圧縮成形する請求項2に記載
の繊維板の製法である。
【0017】請求項13は、ヤシ繊維により繊維マット
を形成し、この繊維マットに硬化性樹脂を付着させ、圧
縮成形したのち、ヤシ繊維100重量部に対して0.0
01〜1重量部の防菌剤を添加する請求項1に記載の繊
維板の製法である。
【0018】請求項14は、ヤシ繊維により繊維マット
を形成し、この繊維マットの少なくとも1表面又は内部
に編織物又は不織布を配置し、これらに硬化性樹脂を付
着させ、圧縮成形したのち、ヤシ繊維100重量部に対
して0.001〜1重量部の防菌剤を添加する請求項に
2記載の繊維板の製法である。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は実施形態に係る繊維板1を
示す。この繊維板1は、硬化性樹脂が付着したヤシ繊維
からなる繊維マット2を圧縮成形してなり、ヤシ繊維1
00重量部に対して0.001〜1重量部の防菌剤を添
加してなるものである。この繊維板1は、強度と透湿性
に優れ、且つ防カビ性が良好である。
【0020】本発明で用いるヤシ繊維とは、ココヤシ、
油ヤシ、サゴヤシ、ナツメヤシ、オウギヤシ、ニッパヤ
シ、サトウヤシ、クジャクヤシ、シュロ、トウジュロ、
クロツグ等のヤシ科の植物から採取される繊維状樹皮、
葉柄基部繊維、中果皮繊維等の繊維をいい、これには油
ヤシの空果房を解繊して得る繊維が含まれる。また、複
数種類のヤシ繊維を混合したものを含む。
【0021】上記ヤシ繊維は直径が約100〜600μ
mと太いので、 繊維マット2にしたときには繊維充填
密度にもよるが繊維間に、例えば100μm〜5mm程
度、好ましくは200μm〜3mm程度の大きさの隙間
が形成される。従って、繊維マット2の透湿性は極めて
良い。
【0022】また、ヤシ繊維に硬化性樹脂を付着させて
繊維マット2を圧縮成形する場合、硬化性樹脂の量、繊
維マット2の使用量、圧縮成形時の圧縮率等により、得
られる繊維板1の繊維間の隙間の大きさや隙間の密度を
種々に変化させることができる。そのことにより繊維板
1の強度、透湿性のコントロールが出来る。例えば、繊
維板1の隙間を1〜100μm程度、通常5〜50μm
程度とすることにより、通気性は有するが雨は通さない
良好な繊維板1を製造することが可能である。従って、
この繊維板1によれば、施工状況に応じて最適な防風層
を形成することができる。
【0023】さらに、ヤシ繊維は、直径が約100〜6
00μmと太く、長さが約5〜30cmと長く、屈曲し
ており繊維同士のからまりも大きいので、繊維板1は釘
を打ちつけた場合の保持力に優れる。
【0024】ヤシ繊維としては油ヤシのヤシ繊維を使用
することが好ましい。この油ヤシのヤシ繊維は、油ヤシ
の空果房を解繊して得られるものである。油ヤシのヤシ
繊維は他の種類のヤシ繊維に比して解繊等に要する労力
が少なく、そのために製造に要するエネルギーが節減で
きて、コスト的に安くつく。例えばココヤシでは、ヤシ
殻を軟化させるために長期間水中に浸漬し、その後に機
械的に繊維状に解繊するために長期間多大のエネルギー
を必要とする。これに対して油ヤシでは、もともと繊維
状のままで集合体となっている空果房を解繊するから、
水中浸漬の必要はなく、解繊のために要するエネルギー
も非常に少なくて済む。又、油ヤシのヤシ繊維はココヤ
シのヤシ繊維に比して発塵性が少なく、その取扱いにお
いて作業環境の悪化が避けられ好ましい。
【0025】この油ヤシのヤシ繊維は、解繊の前後には
油分及び臭いを除去するために必要に応じて洗浄を行
う。そのヤシ繊維の単体は剛性度が高く、断面径が10
0〜600μm程度であり、その毛足、すなわち長さも
約5〜30cm程度であり、これを解繊することによ
り、その絡み合いも高度なものが期待できる。しかも、
油ヤシの果実からは油ヤシ油が搾取できるが、この果実
を採取したあとに残る空果房には現在のところ特定の用
途がなく通常は廃棄される運命にあるので、低コストで
入手できるという利点がある。
【0026】繊維マット2を形成するには、ニードルパ
ンチ等によりヤシ繊維を不織布様又は三次元編組織状に
絡み合わせる処理を行って剥離強度を上げ、さらに必要
に応じてプレス又は熱プレス等により繊維マット2を緻
密にする。なお、この繊維マット2の厚みは、プレス又
は熱プレス等による圧縮成形を行うに際し、通常5mm
〜20mm程度にしておくと使い易いと云われるが、勿
論これに限定されることなく用途に応じて任意に設定す
ればよく、また複数枚重ねて使用してもよい。
【0027】本発明の硬化性樹脂は、熱硬化型樹脂及び
反応硬化型樹脂(常温硬化型樹脂)を含む。まず熱硬化
性樹脂としては、フェノール樹脂、アミノ樹脂、及びジ
アリルフタレート樹脂(DAP樹脂)などがある。フェ
ノール樹脂には、ノボラック樹脂(酸触媒、フェノール
過剰)、レゾール樹脂(塩基性触媒、ホルムアルデヒド
過剰)、フェノール−メラミン共重合樹脂、フェノール
−メラミン−ユリア共重合樹脂、アルキルフェノール変
成フェノール樹脂、ゴム変成フェノール樹脂等の変成フ
ェノール樹脂があり、アミノ樹脂にはユリア樹脂(尿素
樹脂)、メラミン樹脂、ユリア−メラミン共重合樹脂、
ベンゾグアナミン樹脂、及びアセトグアナミン樹脂があ
る。次に、反応硬化型樹脂(常温硬化型樹脂)として
は、フラン樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル
樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、変性(変成)シリ
コーン樹脂、及びシリコーン樹脂などがある。繊維マッ
ト2の集束剤又はバインダーとしては、これらの硬化性
樹脂が寸法精度、耐久性、強度等の点から好ましい。し
かしながら、物性上少し劣りはするが、バインダー効果
を持つアクリル系、スチレン系等の熱可塑型樹脂(特に
水性分散液)及び天然あるいはSBRなどの合成ゴムラ
テックスも一部使用することができ、本発明の硬化性樹
脂とは、これらを含めた概念である。上記の硬化性樹脂
の内、熱硬化性樹脂が硬化時間、生産性の観点から好ま
しく、その内でもフェノール樹脂、アミノ樹脂が良好で
ある。本発明の硬化性樹脂には、必要に応じて可塑剤、
充填剤、補強材、垂れ防止剤、着色剤、老化防止剤、接
着促進剤、硬化触媒、ワックス、物性調整剤などを配合
し得る。尚、接着付与剤として、コンニャク、小麦粉、
デンプン等を添加し得る。上記硬化性樹脂をアミノ樹脂
としたときには、価格が安いという利点がある。そのな
かでもユリア樹脂としたときには、特に安価であると共
に接着性が良好である。またメラミン樹脂としたときに
は特に耐水性が良好であり、さらにユリア−メラミン共
重合樹脂としたときには、特に安価で耐水性が良好であ
る。また、硬化性樹脂をフェノール樹脂としたときに
は、特に耐水性及び耐老化性が良好である。
【0028】硬化性樹脂の使用量は、ヤシ繊維100重
量部に対して5〜100重量部、好ましくは5〜30重
量部が好ましい。更に好ましくは10〜30重量部が例
示される。使用量が5重量部未満では、密度にもよるが
例えば密度が0.2g/cm3では曲げ強度が3N/m
2未満と低くなり、また100重量部を超えると、密
度と厚さにもよるが例えば密度が1.5g/cm3で厚
さ9mmでは透湿係数が0.1μg/(m2・s・P
a)未満と低くなり、これでは例えば防風層として用い
たときに結露する可能性が大きくなるので、好ましくな
い。
【0029】本発明の防菌剤には、フェノール系防菌
剤、有機スズ系防菌剤、第4級アンモニウム塩系防菌
剤、イミダゾール系防菌剤、スルホン系防菌剤、ピロー
ル系防菌剤、無機防菌剤などが含まれる。この防菌剤を
例示すれば、o−フェニルフェノール、p−フェニルフ
ェノール、2,4,6−トリクロルフェノール、2,
4,6−トリブロムフェノール、2,5−ジクロル−4
−ブロムフェノール、ペンタクロルフェノール、モノク
ロル−o−フェニルフェノール、5−クロル−2−
(2,4−ジクロルフェノキシ)フェノール、p−クロ
ル−m−キシレノール等のフェノール誘導体、ビス(ト
リブチルスズ)オキシド、ビス(トリブチルスズ)スル
フィド、トリブチルスズクロリド、トリブチルスズフル
オリド、トリブチルスズフタレートトリプロピルスズフ
ルオリド、トリブチルスズリノレート、トリブチルスズ
ベンゾエート、トリフェニルスズハイドロオキシド、ト
リブチルスズペンタクロルフェノレート等の有機スズ系
化合物、セチルジメチルエチルアンモニウムジブロミ
ド、N−(3−クロルアリル)ヘキシミニウムクロリ
ド、3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオク
タデシルアンモニウムクロリド等の第4級アンモニウム
塩、2−(4−チアゾリル)ベンツイミダゾール、1−
(ブチルカルバモイル)−2−ベンツイミダゾールカル
バミン酸メチル等のイミダゾール誘導体、N,N−ジメ
チル−N‘フェニル−N’−(フルオロジクロルメチル
チオ)スルファミド、ジヨードメチル−p−トリルスル
ホン等のスルホン誘導体、N−(トリクロルメチルチ
オ)フタルイミド、N−トリクロルメチルメルカプト−
4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシイミド、N
−(フルオロジクロルメチルチオ)フタルイミド、N−
1,1,2,2−テトラクロルエチルチオテトラヒドロ
フタルイミド等のピロール誘導体、フッ化ナトリウム、
硫酸銅等の無機化合物が含まれる。上記防菌剤の内、低
毒性であることから2−(4−チアゾリル)ベンツイミ
ダゾール、N,N−ジメチル−N‘フェニル−N’−
(フルオロジクロルメチルチオ)スルファミド、N−
(フルオロジクロルメチルチオ)フタルイミドが好まし
い。
【0030】上記防菌剤の使用量は、ヤシ繊維100重
量部に対して0.001〜1重量部、好ましくは0.0
05〜0.5重量部が好ましい。更に好ましくは0.0
1〜0.1重量部である。防菌剤の添加部数が0.00
1重量部未満では、例えば水に濡れてカビが発生し易い
状況ではカビの発生が認められる。また、1重量部を越
えると、防菌剤を使用しない場合に比較して強度低下等
の物性低下を招き、しかもコストが高くなるので好まし
くない。
【0031】本発明の繊維板1の厚さは3mm〜25m
mが好ましく、9〜20mmがさらに好ましい。さらに
繊維板の密度は0.2g/cm3〜1.5g/cm3が好
ましく、さらに0.3g/cm3〜1g/cm3が好まし
く、最も好ましくは、0.35g/cm3〜0.7g/
cm3である。繊維板の密度が0.2g/cm3未満で
は、例えば曲げ強度が3N/mm2未満となってJIS
−A−5905の繊維板のなかのシージングボードとし
ての品質を満足しなくなり、また1.5g/cm3を超
える繊維板は、圧縮力の増大により繊維板が圧縮破壊す
る可能性が大きくなるために加熱圧縮によって得るのが
困難となり易く、また重くなり過ぎて持ち運び等の取扱
い性が悪くなるので、好ましくない。また、繊維板1の
目付は、例えば繊維板1の厚さが9mmの場合、密度が
0.2g/cm3で目付1.8kg/m2となり、密度が
1.5g/cm3では目付13.5kg/m2となる。
【0032】この繊維板1は強度が強く、繊維板1の密
度、硬化性樹脂量を調整することにより、例えば曲げ強
さ、湿潤曲げ強さで5タイプから30タイプの中質繊維
板と同程度又はそれ以上とすることができる一方、透湿
性がシージングボードと同等或いはそれ以上の値を得る
ことも可能である。これらの両特性については、例えば
曲げ強さが3N/mm2〜50N/mm2、好ましくは4
〜40N/mm2、更に好ましくは、5〜30N/mm2
であり、透湿係数が0.1μg/(m2・s・Pa)〜
10μg/(m2・s・Pa)、好ましくは0.2μg
/(m2・s・Pa)〜8μg/(m2・s・Pa)、更
に好ましくは0.5μg/(m2・s・Pa)〜5μg
/(m2・s・Pa)が例示される。
【0033】上記繊維板1の製法は、まず、ヤシ繊維に
より繊維マット2を形成する。この工程で使われる機構
は、例えば図2に示すようにベルトコンベヤ4の上流側
の上方に必要な数だけホッパ5をベルト進行方向に直列
に設け、ホッパ5の下流にニードルパンチ装置6を、そ
の下流のベルトコンベヤ4の上方と下方にスプレーガン
7、7を設置したものである。ホッパ5にはヤシ繊維を
入れ、スプレーガン7に硬化性樹脂及び防菌剤を加圧供
給しておく。そして、ベルトコンベヤ4の稼働と同時に
各ホッパ5からベルトコンベヤ4上にヤシ繊維を落下供
給したのち、ニードルパンチ装置6によりニードルパン
チしてヤシ繊維を絡み合わせる処理を行なって繊維マッ
ト2を形成し、さらにスプレーガン7、7から繊維マッ
ト2に向けて硬化性樹脂及び防菌剤を噴射供給する。次
いで、熱プレス等により熱圧縮成形することにより、繊
維板1を成形する。熱圧縮成形は、加熱圧着ローラある
いはベルトプレス等により連続成形する方法と、単段あ
るいは多段プレスによりバッチ式で繰り返し成形する方
法がある。また、硬化性樹脂及び防菌剤はスプレーガン
7等で噴霧することにより繊維に付着させたが、繊維マ
ット2を硬化性樹脂及び防菌剤の混合物に浸漬させるこ
とにより付着させてもよい。また、防菌剤は、繊維マッ
ト2に硬化性樹脂を付着させ、熱圧縮成形したのち、噴
霧又ははけ塗り等により添加してもよいし、塗料等に防
菌剤を混ぜて噴霧又ははけ塗り等により添加してもよ
い。なお、圧縮成形の際の加熱処理は、必要に応じて行
えばよく、必須の工程ではない。
【0034】このように連続成形する製法の他に、1枚
ごとに成形する方法もある。その場合には、繊維マット
2に硬化性樹脂及び防菌剤を付着させて型成形し、熱プ
レス等により加熱圧縮成形するものである。
【0035】また、上述したようにヤシ繊維により繊維
マット2を形成し、この繊維マット2に硬化性樹脂を付
着させ、防菌剤を添加し、圧縮成形する製法の他に、ヤ
シ繊維により繊維マット2を形成し、この繊維マット2
に硬化性樹脂を付着させ、圧縮成形したのち、防菌剤を
添加する製法を採用してもよい。
【0036】上記実施形態では、ヤシ繊維の繊維マット
2には繊維間に大きな隙間が形成されるので、噴霧又は
浸漬により硬化性樹脂を供給すると、硬化性樹脂が上記
隙間を介して全繊維にまんべんなく付着し、このことに
より繊維板1の強度分布が均一になる。防菌剤について
も同様のことがいえ、噴霧又は浸漬により防菌剤を供給
すると、防菌剤が上記隙間を介して全繊維にまんべんな
く付着し、このことにより繊維板1の内部まで防カビ性
が良好となる。
【0037】従って、上記実施形態の繊維板1において
は、硬化性樹脂によりヤシ繊維同士が強く結合し、さら
に圧縮成形により密度が高められるから、均一で高い強
度が得られる。そして、繊維間に比較的大きな隙間が形
成されるから、透湿性が極めて良い。しかも、内部まで
付着した防菌剤により優れた防カビ性が得られる。その
ため、この繊維板1により防風層を形成すれば、高い透
湿性により水蒸気を通気層へスムーズに透過させること
ができると共に、高い強度により断熱層を安定して保持
できるのは勿論のこと、この繊維板1によって防風層周
辺の構造部分を補強することができる。しかも、カビ等
の菌類が付着しても、この浸食によって劣化を生じるこ
とがない。
【0038】また、本発明の他の実施形態としては、硬
化性樹脂が付着したヤシ繊維からなる繊維マット2の少
なくとも1表面及び/又は内部に、硬化性樹脂が付着し
た編織物又は不織布3を配置して圧縮成形した繊維板で
あって、ヤシ繊維100重量部に対して0.001〜1
重量部の防菌剤を添加してなるものがある。図4に示し
た繊維板1は、繊維マット2の両面及び内部に、硬化性
樹脂が付着した編織物3を配置した例である。上記編織
物3としては、図3に示すように、麻繊維を撚った麻糸
を縦横に編んでなるクロスが例示される。ここで、麻に
はジュート、アマ、ケナフ及びアンバリアサ等のじん皮
繊維をとるものと、マニラアサ、サイザルアサ、ニュー
ジランドアサ、及びモーリシアスアサ等の組織繊維をと
るものとが含まれる。麻繊維とは、これらの麻を解繊し
て得られる繊維をいう。編織物は、ジュートで形成した
クロスであるジュートクロスを含む。また、不織布は麻
繊維から乾式でウエッブをつくり、天然ゴムのラテック
ス等の接着剤で固め、乾燥仕上げして形成する不織布及
び湿式抄造法により形成した薄物の不織布を含み、さら
に木質繊維を解繊し、湿式抄造法により形成される紙を
含む。これらの編織物及び不織布は通気性を持ち、透湿
性に優れる。単一の繊維板において、編織物及び不織布
を二種以上組み合わせて用いても良い。
【0039】編織物3は、引張強さ及び引張弾性率の高
い麻繊維等を編んでいるので、それ自体が優れた引張強
さ及び引張弾性率を示す。また、不織布3は麻等の編織
物3に比較すると強度は劣るので編織物3の方が好まし
いものの、硬化性樹脂の保持材としての機能を持ってい
る。この不織布3を構成する繊維は特に限定しないが、
繊維マット2との結合力を考慮すれば天然繊維が好まし
く、それにナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、
ポリエステル等の合成繊維を必要により混合しても良
い。
【0040】編織物3を麻クロスとした場合、織組織の
一例としては、平織、綾織、朱子織、ナナコ織(正則、
不規則を含む)等から選ぶのが好ましく、この中でも平
織、綾織が特に好ましい。編組織としては平編み、ゴム
編み等から選ばれる。ここに用いる糸の例としては、入
手の容易さなどから、ジュート番手7.5〜40より選
ぶのが好ましい。また、目付は100g/m2〜120
0g/m2程度が好ましい。さらに、100g/m2〜1
000g/m2が好ましく、最も好ましくは100g/
2〜600g/m2である。目付が100g/m2未満
では、例えば吸水時の長さ方向の寸法変化が0.5%を
超え、JIS−A−5905の繊維板中のシージングボ
ードの品質を満足しなくなり、また1200g/m2
超えても寸法安定性の増大、補強効果の増大などが得ら
れないにも拘らずコストが高くなるので、好ましくな
い。また、繊維マット2に積層する麻クロス3の部数
は、繊維板1を使用する部位が必要とする寸法安定性、
強度等の物性によりその目付と積層数を組み合わせて選
定できるが、ヤシ繊維100重量部に対し、5〜50重
量部が好ましい。さらに5〜30重量部が好ましく、最
も好ましくは10〜25重量部である。麻クロス3の重
量部が5重量部未満では、例えば吸水時の長さ方向の寸
法変化が0.5%を超え、また50重量部を超えるとそ
のコストが高くなるので好ましくない。
【0041】また、編織物又は不織布3は繊維マット2
の内部に配置するもの、繊維マット2の両面又は1表面
にのみ配置するもの、繊維マット2の両表面又は1表面
並びに内部に配置するものを含むものである。さらに、
編織物又は不織布3を繊維マット2の内部に配置する場
合に、編織物又は不織布3を複数枚とし、編織物又は不
織布3と繊維マット2のヤシ繊維等とを交互に重ねて多
層状に配置したものを含む。また、編織物又は不織布3
を繊維マット2の内部に配置する場合には、このように
配置した状態でニードルパンチ等による処理を行えば、
繊維マット2と、編織物又は不織布3の繊維が良く絡み
合って繊維板1の剥離強度が上がり、曲げ強さ及び曲げ
弾性率が向上する。
【0042】上記編織物又は不織布3は硬化性樹脂を介
して繊維マット2と強く接合するから、繊維板1の強度
が高められる。すなわち、編織物又は不織布3を繊維マ
ット2の表面、特に両表面に配置したときには、いわゆ
るサンドイッチ構造(本体構造の上下を本体構造よりも
強度又は剛性の高い素材で強化する構造)となり、繊維
板1の曲げ強さ及び曲げ弾性率が高くなる。一方、編織
物又は不織布3を繊維マット2の内部に配置したときに
は、繊維板1の引張強さ及び引張弾性率、せん断強さ及
びせん断弾性率、並びに平面内圧縮強度(平面応力状態
で圧縮力を受けたときの強さ)及び平面内圧縮弾性率
(平面応力状態で圧縮力を受けたときの弾性率)が高く
なる。
【0043】さらに、編織物3を麻クロス等の麻繊維で
形成したときには、吸水、吸湿時の寸法変化が小さいの
で、繊維マット2の表面又は内部に配置したときには繊
維板1の吸水、吸湿時の寸法変化が小さくなり、吸水、
吸湿時の強度低下が小さくなり、好ましい。
【0044】尚、硬化性樹脂は、繊維マット2の集束剤
又はバインダーとして使用されると共に、編織物又は不
織布3自体への強度付与及び編織物又は不織布3と繊維
マット2との結合剤、更には繊維板1全体の結合剤又は
強度付与のための構成剤として働く。
【0045】この繊維板1の製法としては、ヤシ繊維に
より繊維マット2を形成し、この繊維マット2の少なく
とも1表面又は内部に編織物又は不織布3を配置し、こ
れらに硬化性樹脂を付着させ、防菌剤を添加し、圧縮成
形する製法がある。また、ヤシ繊維により繊維マット2
を形成し、この繊維マット2の少なくとも1表面又は内
部に編織物又は不織布3を配置し、これらに硬化性樹脂
を付着させ、圧縮成形したのち、防菌剤を添加する製法
もある。
【0046】従って、上述した他の実施形態において
は、先の実施形態に比して更に繊維板1の曲げ強さ、曲
げ弾性率等を高めて強度を改善できる。しかも、表面性
を変えることができ、この繊維板1を用いることにより
仕上げが不要となったり、さらに仕上げ材を貼るときで
も仕上げ材の保持性が向上する。その場合、編織物又は
不織布3を麻繊維等のように透湿性に富む材料で設定す
れば、繊維マット2の優れた透湿性を損なうことなく繊
維板全体として高い透湿性を得ることができる。そのた
め、この繊維板1により防風層を形成すれば、高い透湿
性により水蒸気を通気層へスムーズに透過させることが
できると共に、更に高い強度により断熱層を安定して保
持でき、この繊維板1によって防風層周辺の構造部分を
補強することができる。しかも、カビ等の菌類が付着し
ても、この浸食によって劣化を生じることがない。
【0047】なお、以上の繊維マット2に、例えば麻繊
維、竹繊維等の植物性天然繊維を混合したときには、ヤ
シ繊維の直径が約100〜600μmであるのに対し
て、麻繊維の直径が約5〜30μm、竹繊維等の直径が
10〜200μmと細いため、麻繊維、竹繊維等の植物
性天然繊維がヤシ繊維の交差部分などに絡まり、ヤシ繊
維同士の結合強度が高まると考えられる。
【0048】また、繊維マット2、編織物又は不織布3
がいずれも植物性天然繊維であるときには、人工繊維等
よりも表面の凸凹が大きいので、人工繊維に比して繊維
同士のからみあい強度が大きいと共に、いわゆるアンカ
ー効果(接着剤が材料の表面の空隙に侵入し固化して釘
又はくさびのように作用すること)による硬化性樹脂の
結合強度に優れるという利点を有している。
【0049】さらに、編織物又は不織布3の耐水性をよ
り向上させる必要がある場合には、編織物又は不織布3
の表面にシリコン等を塗布するようにしてもよい。さら
に、難燃剤、着色剤、防腐剤、防蟻剤等を必要により塗
布しても良い。
【0050】また、以上の実施形態では、正面視が矩形
でほぼ一定厚さの繊維板1についてのみ説明したが、加
熱圧縮成形時に種々形状の型により所望の形状に成形し
て成形体としてもよい。その場合には最終形状が異なる
のみであって、上記実施形態の繊維板1に関する記載事
項はそのまま適用できるものであり、同様の作用及び効
果を得ることができる。
【0051】
【実施例】次に、本発明の実施例を比較例とともに説明
する。
【0052】<実施例1>ユリア樹脂を目付3.8kg
/m2の油ヤシのヤシ繊維からなる繊維マットにスプレ
ー法により噴霧し、ヤシ繊維100重量部に対し固形分
で10重量部のユリア樹脂を付着させた。次に、この繊
維マットを、プレス機により170℃−10分の条件で
加熱プレスし、厚さ9mm、密度0.46/cm3の繊
維板を得た。得られた繊維板に水により100倍に希釈
した北興化学工業 NEWホクスターE50A[2―
(4―チアゾリル)ベンツイミダゾール配合防菌剤]を
はけ塗りによりヤシ繊維100重量部に対し固形分で
0.05重量部付着させたのち、乾燥により水を除去し
た。得られた繊維板は曲げ強さが14.5N/mm2、4
0℃−90%の透湿係数が2.6μg/(m2・s・P
a)であった。また、繊維板に噴霧器により繊維板の重
量と同量の水を噴霧したのちポリエチレン製袋に密封
し、23℃で1週間放置したが、カビの発生は観察され
なかった。尚、曲げ強さの測定は、JIS−A−590
5の繊維板の測定法によった。透湿係数はJIS−Z−
0208防湿包装材料の透湿度試験方法に準じて測定し
た。
【0053】<実施例2>メラミン樹脂を目付3.3k
g/m2の油ヤシのヤシ繊維からなる繊維マットにスプ
レー法により噴霧し、ヤシ繊維100重量部に対し固形
分で10部のメラミン樹脂を付着させた。次に、目付
0.32kg/m2のジュートクロス2枚にメラミン樹
脂をジュートクロス100重量部に対し固形分濃度で1
0重量部付着させた。続いて、ジュートクロス、繊維マ
ット、ジュートクロスの順に重ねたのち、この繊維マッ
ト及びジュートクロスを、プレス機により170℃−1
0分の条件で加熱プレスし、厚さ9mm、密度0.48
/cm3の繊維板を得た。得られた繊維板に水により1
00倍に希釈した北興化学工業 NEWホクスターE5
0A[2―(4―チアゾリル)ベンツイミダゾール配合
防菌剤]をはけ塗りによりヤシ繊維100重量部に対し
固形分で0.1重量部付着させたのち、乾燥により水を
除去した。得られた繊維板は曲げ強さが15.8N/m
2、40℃−90%の透湿係数が2.4μg/(m2
s・Pa)であった。また、繊維板に噴霧器により水を
噴霧したのちポリエチレン製袋に密封し、23℃で1週
間放置したが、カビの発生は観察されなかった。
【0054】<比較例1>ユリア樹脂を目付3.8kg
/m2の油ヤシのヤシ繊維からなる繊維マットにスプレ
ー法により噴霧し、油ヤシ繊維100重量部に対し固形
分で10部のユリア樹脂を付着させた。次に、この繊維
マットを、プレス機により170℃−10分の条件で加
熱プレスし、厚さ9mm、密度0.46/cm3の繊維
板を得た。得られた繊維板は、曲げ強さが14.0N/
mm2、40℃−90%の透湿係数が2.6μg/(m2
・s・Pa)であった。また、繊維板に噴霧器により水
を噴霧したのちポリエチレン製袋に密封し、23℃で1
週間放置したところ、カビの発生が観察された。
【0055】<比較例2>メラミン樹脂を目付3.3k
g/m2の油ヤシのヤシ繊維からなる繊維マットにスプ
レー法により噴霧し、ヤシ繊維100重量部に対し固形
分で10部のメラミン樹脂を付着させた。次に、目付
0.32kg/m2のジュートクロス2枚にメラミン樹
脂をジュートクロス100重量部に対し固形分濃度で1
0重量部付着させた。続いて、ジュートクロス、繊維マ
ット、ジュートクロスの順に重ねたのち、この繊維マッ
ト及びジュートクロスを、プレス機により170℃−1
0分の条件で加熱プレスし、厚さ9mm、密度0.48
/cm3の繊維板を得た。得られた繊維板は、曲げ強さ
が16.3N/mm2、40℃−90%の透湿係数が2.
4μg/(m2・s・Pa)であった。また、繊維板に
噴霧器により繊維板の重量と同量の水を噴霧したのちポ
リエチレン製袋に密封し、23℃で1週間放置したとこ
ろ、カビの発生が観察された。表1に、実施例1及び2
と比較例1及び2の防菌剤の部数、繊維板の曲げ強さ、
透湿係数、カビの発生状況を示す。この表1に示す通
り、防菌剤を油ヤシ繊維100重量部に対して0.05
重量部塗布した繊維板、及び0.1重量部塗布した繊維
板では、いずれもカビの発生が観察されなかった。ま
た、曲げ強度と透湿係数も良好であった。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の繊維板
は、硬化性樹脂が付着したヤシ繊維からなる繊維マット
を圧縮成形してなる繊維板であって、ヤシ繊維100重
量部に対して0.001〜1重量部の防菌剤を添加して
なる繊維板であるので、優れた強度及び透湿性が得られ
ると共に、内部に至るまで高い防カビ性が得られる。ま
た請求項2の繊維板では編織物又は不織布を積層したの
で、さらに強度を改善できると共に表面性等を変えるこ
とができる。従って、これらの繊維板により防風層を形
成すれば、室内の水蒸気を通気層をスムーズに透過させ
ることができると共に、断熱層を安定して保持でき、し
かもカビ等の菌類が付着しても浸食によって劣化を生じ
ることがない。
【0058】また、本発明の繊維板の用途としては、防
風層に限定されるものではなく、強度、透湿性、防カビ
性が優れるので、例えば、外壁下地材、床材、床下地
材、畳材、屋根下地材、天井材、住宅内装材、内装下地
材、建築用断熱材、胴縁材、遮音材、吸音材、緩衝材、
衝撃吸収材、コンクリート型枠材、積載用パレット、自
動車等車両内装材、自動車等車両内装下地材、家具材等
としても使用することができる。請求項3の繊維板によ
ればヤシ繊維に油ヤシ繊維を使用したので、上記効果に
加えて、製造に要するエネルギーを節減でき、コスト低
減を図ることができる。
【0059】請求項4のようにすれば、編織物を麻繊維
により形成したので、強度の向上が大きいと共に、吸
水、吸湿時の寸法変化が少なくなり、防風層を形成する
のに最適な繊維板が得られる。
【0060】請求項5のようにすれば、厚さが3mm〜
25mmであると共に、曲げ強さが3N/mm2〜50
N/mm2であり、且つ透湿係数が0.1μg/(m2
s・Pa)〜10μg/(m2・s・Pa)であるか
ら、特に強度と透湿性のバランスが優れており、より好
ましい。
【0061】請求項6のように硬化性樹脂をアミノ樹脂
としたときには、繊維板のコストを低減できる。請求項
7のようにフェノール樹脂としたときには、耐水性及び
耐老化性を向上できる。請求項8のようにユリア樹脂と
したときには、繊維板のコストを低減できると共に接着
性を向上できる。請求項9のようにメラミン樹脂とした
ときには耐水性を向上できる。請求項10のようにユリ
ア−メラミン共重合樹脂としたときには、繊維板のコス
トを低減できると共に耐水性を向上できる。そして、こ
れらフェノール樹脂及びアミノ樹脂は硬化時間が短いの
で、繊維板の生産性を向上させることができる。
【0062】請求項11〜14により、上記繊維板を生
産効率良く製造するに好適な製法を提案することができ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の繊維板の斜視図、
【図2】実施形態の繊維マットの製法を示す説明図、
【図3】他の実施形態に用いる編織物の一例を示す拡大
斜視図である。
【図4】上記他の実施形態の断面図である。
【符号の説明】 1 繊維板 2 繊維マット 3 麻クロス(編織物) 4 ベルトコンベア 5 ホッパ 6 ニードルパンチ装置 7 スプレーガン

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬化性樹脂が付着したヤシ繊維からなる
    繊維マットを圧縮成形してなる繊維板であって、ヤシ繊
    維100重量部に対して0.001〜1重量部の防菌剤
    を添加してなる繊維板。
  2. 【請求項2】 硬化性樹脂が付着したヤシ繊維からなる
    繊維マットの少なくとも1表面及び/又は内部に、硬化
    性樹脂が付着した編織物又は不織布を配置して圧縮成形
    された繊維板であって、ヤシ繊維100重量部に対して
    0.001〜1重量部の防菌剤を添加してなる繊維板。
  3. 【請求項3】 ヤシ繊維が油ヤシ繊維である請求項1又
    は2に記載の繊維板。
  4. 【請求項4】 編織物が、目付100g/m2〜120
    0g/m2の麻繊維により形成されている請求項2又は
    3に記載の繊維板。
  5. 【請求項5】 厚さが3mm〜25mmであると共に、
    曲げ強さが3N/mm2〜50N/mm2であり、且つ透
    湿係数が0.1μg/(m2・s・Pa)〜10μg/
    (m2・s・Pa)である請求項1〜4のうちいずれか
    1項に記載の繊維板。
  6. 【請求項6】 硬化性樹脂がアミノ樹脂である請求項1
    〜5のうちいずれか1項に記載の繊維板。
  7. 【請求項7】 硬化性樹脂がフェノール樹脂である請求
    項1〜5のうちいずれか1項に記載の繊維板。
  8. 【請求項8】 アミノ樹脂がユリア樹脂である請求項1
    〜6のうちいずれか1項に記載の繊維板。
  9. 【請求項9】 アミノ樹脂がメラミン樹脂である請求項
    1〜6のうちいずれか1項に記載の繊維板。
  10. 【請求項10】 アミノ樹脂がユリア−メラミン共重合
    樹脂である請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の繊
    維板。
  11. 【請求項11】 ヤシ繊維により繊維マットを形成し、
    この繊維マットに硬化性樹脂を付着させ、ヤシ繊維10
    0重量部に対して0.001〜1重量部の防菌剤を添加
    し、圧縮成形する請求項1に記載の繊維板の製法。
  12. 【請求項12】 ヤシ繊維により繊維マットを形成し、
    この繊維マットの少なくとも1表面又は内部に編織物又
    は不織布を配置し、これらに硬化性樹脂を付着させ、ヤ
    シ繊維100重量部に対して0.001〜1重量部の防
    菌剤を添加し、圧縮成形する請求項2に記載の繊維板の
    製法。
  13. 【請求項13】 ヤシ繊維により繊維マットを形成し、
    この繊維マットに硬化性樹脂を付着させ、圧縮成形した
    のち、ヤシ繊維100重量部に対して0.001〜1重
    量部の防菌剤を添加する請求項1に記載の繊維板の製
    法。
  14. 【請求項14】 ヤシ繊維により繊維マットを形成し、
    この繊維マットの少なくとも1表面又は内部に編織物又
    は不織布を配置し、これらに硬化性樹脂を付着させ、圧
    縮成形したのち、ヤシ繊維100重量部に対して0.0
    01〜1重量部の防菌剤を添加する請求項2に記載の繊
    維板の製法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040048139A (ko) * 2002-12-02 2004-06-07 주식회사 그린메이드 코코넛 섬유를 이용한 흡음 및 충진용 시이트 및 그제조방법
JP2008512283A (ja) * 2004-09-10 2008-04-24 ジョーンズ マンビル 積層製品およびその作製方法
WO2011100804A1 (en) * 2010-02-19 2011-08-25 Arctic Sunrise Pty Ltd A composition with adjustable characteristics
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JP2021104652A (ja) * 2019-12-27 2021-07-26 日本バイリーン株式会社 通気性シート

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