JPH11226919A - ヤシ繊維板及びその製造法 - Google Patents

ヤシ繊維板及びその製造法

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JPH11226919A
JPH11226919A JP10031109A JP3110998A JPH11226919A JP H11226919 A JPH11226919 A JP H11226919A JP 10031109 A JP10031109 A JP 10031109A JP 3110998 A JP3110998 A JP 3110998A JP H11226919 A JPH11226919 A JP H11226919A
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JP
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fiber
fiberboard
fibers
resin
sheet
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JP10031109A
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Masashi Hiraishi
将史 平石
Kenji Kurimoto
健二 栗本
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 良好な透湿性と高い強度を併せ持ち、吸水長
さ変化の少ない改良されたヤシ繊維板を提供する。 【解決手段】 アラブヤシ繊維を主成分とする繊維マッ
トに、アミノ樹脂(ユリア樹脂、メラミン樹脂、ユリア
ーメラミン樹脂の内から選ばれる少なくとも一種)又は
フェノール樹脂の硬化性樹脂を付着し圧縮成形した繊維
板の、少なくとも一表面及び/又は内部に、標準状態で
水分率0〜10%(好ましくは0〜5%、更に好ましくは
0〜1%)、ヤング率20〜600GPa(好ましくは30〜500G
Pa)の無機繊維からなるシート状物(ガラスクロス)を
積層している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、木質系繊維板類
似の繊維板に係り、特に透湿性と強度に優れ、且つ吸水
長さ変化が小さい繊維板に関する。
【0002】
【従来の技術】木造家屋で、壁中にグラスウール等の繊
維系の断熱層を形成する場合に、室内の水蒸気を室外へ
逃すために、外壁と断熱層との間に通気層を形成するこ
とにより、断熱層を透過した室内の水蒸気が通気層を通
って軒下から室外へ拡散するようにした通気工法が、特
に寒冷地では多く採用されている。その場合に、この通
気層と断熱層を区画する防風層が必要となる。この防風
層は、断熱層を保持する機能を発揮するが、水蒸気を通
気層へスムーズに透過させ得るように透湿性に優れてい
る必要がある。
【0003】この防風層を形成するものとして、従来、
例えばポリエチレン製の不織布が使われてきたが、断熱
層にグラスウール等を使用すると、断熱層の膨張力に押
されてこの不織布が膨出変形し、通気層を狭めるという
欠点があり、このことは特に寒冷地においてグラスウー
ル等を多量に詰め込んだときに起こり易い〔建築工事標
準仕様書・同解説JASS24断熱工事(日本建築学会
編)参照〕。 ある程度の強度を有した防風層として通
気性を有する軟質繊維板の一種であるシージングボード
が用いられているが、シージングボードは断熱層の膨張
力に耐え得ても、それ自体が構造用面材として機能する
ほどの強度は有していない。
【0004】また、構造用面材である構造用合板やオリ
エントストランドボード(OSB)も防風層として用い
られているが、これらのボードには透湿性がほとんどな
く、壁内の水蒸気を通気層へ拡散する機能はない。こう
した状況において、透湿性と強度を併せ持つヤシ繊維板
の技術が開示(WO96/32251)されている。天然繊維から
なる繊維板は、どちらかというと水濡れや湿度の影響を
受けやすい傾向にあるが、吸水長さ変化等の耐水性向上
の試み等は従来あまりなされていない。先行技術には、
バインダーの縮合物中にワックスを混合して耐水性を向
上させるという試みを開示しているものもあるが、ワッ
クス添加による吸水長さ変化の安定化効果は充分ではな
いのが実態である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点に着
目してなされたものであり、その課題とするところは、
良好な透湿性と高い強度を併せ持ったヤシ繊維板におい
て、吸水長さ変化の小さいヤシ繊維板を提供することに
ある。併せてその製法も提案するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこれらの課
題を解決するために鋭意検討を行った結果、吸水寸法変
化が非常に小さく且つヤング率の高い無機繊維等からな
るシート状物を選択し、これをヤシ繊維板に積層するこ
とにより、強度と透湿性に優れ、かつ吸水長さ変化が小
さいヤシ繊維板が得られることを見いだし、本発明に至
った。即ち、 [1]ヤシ繊維を主成分とする繊維マットに硬化性樹脂
を付着させ圧縮成形してなる繊維板であって、繊維板の
少なくとも1表面及び/又は内部に標準状態における水
分率0〜10%、ヤング率20〜600GPaの繊維からなるシー
ト状物を積層してなる繊維板に関する。 [2]ヤシ繊維がアブラヤシ繊維である上記[1]記載
の繊維板に関する。 [3]硬化性樹脂がアミノ樹脂である上記[1]又は
[2]記載の繊維板に関する。 [4]アミノ樹脂がユリア樹脂、メラミン樹脂、ユリア
−メラミン樹脂の内から選ばれる少なくとも1種である
上記[3]記載の繊維板に関する。 [5]硬化性樹脂がフェノール樹脂である上記[1]又
は[2]記載の繊維板に関する。 [6]シート状物の繊維が標準状態における水分率0〜
2%、ヤング30〜500GPaである上記[1]〜[5]のい
ずれかに記載の繊維板に関する。 [7]シート状物が無機繊維からなる上記[1]〜
[6]のいずれかに記載の繊維板に関する。 [8]シート状物がガラスクロスである上記[7]記載
の繊維板に関する。 [9]ヤシ繊維から繊維マットを形成し、この繊維マッ
ト及び標準状態における水分率0〜10%、ヤング率20〜
600GPaの繊維からなるシート状物に硬化性樹脂を付着さ
せ、これら硬化性樹脂の付着した繊維マットとシート状
物を積層し、圧縮成形することからなる繊維板の製造法
に関する。
【0007】
【発明実施の形態】本発明で用いるヤシ繊維とは、ココ
ヤシ、アブラヤシ、サゴヤシ、ナツメヤシ、オウギヤ
シ、ニッパヤシ、サトウヤシ、クジャクヤシ、シュロ、
トウジュロ、クロツグ等のヤシ科の植物から採取される
繊維状樹皮、葉柄基部繊維、中果皮繊維等の繊維をい
い、これにはアブラヤシの空果房を解繊して得る繊維が
含まれる。また、複数種類のヤシ繊維を混合したものを
含む。ここではアブラヤシ繊維が好ましい。
【0008】また、必要によりヤシ繊維に有機又は無機
繊維を混合しても良い。有機繊維としては天然植物性繊
維や合成繊維が挙げられる。ここで、天然植物性繊維
は、麻を解繊した麻繊維、若竹を解繊した竹繊維、サト
ウキビ繊維、へちま繊維、パイナップル繊維、バナナ繊
維、コウリャン繊維、イナワラより得られる繊維、木質
繊維等が例示され、天然植物より得られる繊維質であれ
ば特に限定はない。合成繊維としてはポリエステル繊
維、脂肪族又は芳香族ポリアミド繊維、アラミド繊維、
アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維
等のポリオレフィン繊維、ビニリデン繊維、ポリ塩化ビ
ニル繊維、ポリウレタン繊維、ビニロン、レーヨン、キ
ュプラ、アセテート等の繊維が例示される。無機繊維と
しては、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊
維、窒化ケイ素繊維、炭化ケイ素繊維、チラノ繊維など
が例示される。またこれらは、単独で混合しても良く、
二種以上を同時に混合しても良い。
【0009】ヤシ繊維に混合する繊維の混合率は50wt%
未満、好ましくは40wt%未満、更に好ましくは30wt%未満
である。ヤシ繊維は直径が約100〜600μmと太いので、
繊維マットにしたときには繊維充填密度にもよるが繊維
間に、例えば100μm〜5mm程度、好ましくは200μm
〜3mm程度の大きさの隙間が形成される。従って、繊
維マットの透湿性は極めて良い。
【0010】この繊維マットに硬化性樹脂を付着させて
圧縮成形する際、樹脂量又は成形時の圧縮の程度を調節
することにより、得られる繊維板の繊維間の隙間の大き
さや隙間の密度を種々に変化させることができる。この
ようにして繊維板の透湿性のコントロールが出来る。例
えば、繊維板の隙間を1〜100μm程度、通常5〜50μ
m程度とすることにより、通気性、透湿性は有するが雨
水は通さない良好な繊維板も製造することが可能であ
る。
【0011】ヤシ繊維のなかでもアブラヤシ繊維が好ま
しい。このアブラヤシ繊維は他の種類のヤシ繊維に比較
して解繊等に要する労力が少なく、安価に入手すること
ができる。また、アブラヤシ繊維は繊維長がおよそ10〜
30cmと長く、ココヤシ繊維より繊維の屈曲の度合いが
大きいため、繊維同士の絡まり合いが大きく、繊維マッ
トを形成したときにほぐれにくく、マットの取り扱いが
容易である。また、繊維の絡まり合いが大きいほか、繊
維径もココヤシより太いこともあり、アブラヤシ繊維を
用いて得られる繊維板は釘を打ち付けたときの釘保持力
が強いので好ましい。
【0012】上記のヤシ繊維マットに、低吸湿性で高弾
性率の繊維からなるシート状物を積層することにより、
更に強度が向上するだけでなく、繊維板の吸水長さ変化
を抑制することが出来る。低吸湿性の繊維は吸水に対す
る影響が少なく、高い引張弾性率の繊維で形成するシー
ト状物を選択することにより、ヤシ繊維の吸水膨張に抗
してボードの吸水長さ変化を抑制できる。
【0013】本発明で規定する水分率を満足するシート
状物を構成する繊維としては、標準状態における水分率
が0〜10%、好ましくは0〜5%、更に好ましくは0〜
1%の低吸湿性の繊維である。ここで言う標準状態とは
20℃、60%RHの環境で平衡化した状態であり、水分率
は標準状態の重量Wと105℃での恒量時の重量W0より式
1により算出される。
【0014】
【数1】
【0015】また、本発明で規定するヤング率を満足す
るシート状物を構成する繊維としては、高い引張弾性率
の繊維としては、ヤング率が20〜600GPa、好ましくは30
〜500GPa、更に好ましくは50〜300GPaの高い引張弾性率
を有する繊維である。本発明のシート状物として使用で
きる繊維としては、芳香族ポリアミド繊維などの合成繊
維やガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維などの無機繊
維、スチール繊維、チタン繊維等の金属繊維が例示され
るが、無機繊維が好ましく、ガラス繊維が特に好まし
い。
【0016】シート状物としては編織物や不織布が使用
できるが、シート状物として引っ張りに対する伸びが小
さい織物が好ましい。織組織の一例としては、平織、綾
織、朱子織、ナナコ織(正則、不規則を含む)等から選
ぶのが好ましく、平織、綾織が特に好ましい。また、目
付は100〜1200g/m2程度が好ましく、さらに100〜1000g/
m2が好ましく、最も好ましくは100〜600g/m2である。
【0017】また、ヤシ繊維マットに積層するシート状
物の量は、繊維板を使用する部位が必要とする強度等の
物性によりその目付けと積層数を組み合わせ選定できる
が、積層位置はヤシ繊維層の表面でも内部でもよく、表
面の場合は片面でも両面でもよいが、ボード表面の両面
が好ましい。本発明で用いる硬化性樹脂は、熱硬化型樹
脂及び反応硬化型樹脂(常温硬化型樹脂)を含む。また
圧縮成形の際には、必要に応じて加熱も行う。
【0018】まず熱硬化性樹脂としては、フェノール樹
脂、アミノ樹脂、及びジアリルフタレート樹脂(DAP
樹脂)などがある。フェノール樹脂には、ノボラック樹
脂(酸触媒、フェノール過剰)、レゾール樹脂(塩基性
触媒、ホルムアルデヒド過剰)、フェノール−メラミン
共重合樹脂、フェノール−メラミン−ユリア共重合樹
脂、アルキルフェノール変成フェノール樹脂、ゴム変成
フェノール樹脂等の変成フェノール樹脂があり、アミノ
樹脂にはユリア樹脂(尿素樹脂)、メラミン樹脂、ユリ
ア−メラミン共重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、及び
アセトグアナミン樹脂がある。次に、反応硬化型樹脂
(常温硬化型樹脂)としては、フラン樹脂、アルキッド
樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキ
シ樹脂、変性(変成)シリコーン樹脂、及びシリコーン
樹脂などがある。
【0019】さらに、繊維マットの集束剤又はバインダ
ーとしては、これら硬化性樹脂が寸法精度、耐久性、強
度等の点から好ましい。しかしながら、物性上少し劣り
はするが、バインダー効果を持つアクリル系、スチレン
系等の熱可塑型樹脂(特に水性分散液)及び天然あるい
はSBRなどの合成ゴムラテックスも一部使用すること
ができ、本発明の硬化性樹脂とは、これらを含めた概念
である。上記の硬化性樹脂の内、熱硬化性樹脂が硬化時
間、生産性の観点から好ましく、その内でもフェノール
樹脂、アミノ樹脂が好ましく、特に好ましくはアミノ樹
脂、つまりユリア樹脂、メラミン樹脂、ユリアメラミン
共重合樹脂、及びこれらの混合樹脂がよい。
【0020】本発明の硬化性樹脂には、必要に応じてワ
ックスやサイズ材等の耐水性付与剤、可塑剤、充填剤、
補強材、垂れ防止剤、着色剤、老化防止剤、接着促進
剤、硬化触媒、物性調整剤などを配合し得る。尚、接着
付与剤として、コンニャク、小麦粉、デンプン等を添加
し得る。硬化性樹脂の使用量は、ヤシ繊維及びシート状
物の繊維を含む原料繊維100重量部に対して、5〜1
00重量部、好ましくは5〜30重量部である。更に好
ましくは10〜30重量部が例示される。
【0021】本発明のヤシ繊維を主成分とする繊維マッ
トとは、繊維をマット状に展開したものであり、ニード
ルパンチ等により繊維を不織布様又は三次元編組織状に
絡み合わせてマットの引張強度及び剥離強度を向上させ
る処理を施したものを含む。また、これらマットにバイ
ンダーを付着させて、マット繊維が解れないように繊維
同士を部分的に固着させたものも含む。さらに必要に応
じてプレス又は熱プレス等により繊維マットを緻密にす
る。なお、この繊維マットの厚みは、通常5〜20mm程度
にすると使い易いと云われるが、勿論これに限定される
ことなく用途に応じて任意に設定すればよく、また複数
枚重ねて使用してもよい。
【0022】本発明の実施形態の1例を説明する。本発
明の繊維板は、ヤシ繊維を主成分とする繊維により繊維
マットを形成し、この繊維マットの例えば両表面にガラ
スクロスをシート状物として積層し、これらに硬化性樹
脂を付着させ、圧縮成形してなるものである。繊維マッ
トを形成するには、ヤシ繊維をマット状に展開した後、
繊維マットの剥離及び引張強度を上げるため、ニードル
パンチ等によりヤシ繊維を不織布様又は三次元編組織状
に絡み合わせる処理を行うのが好ましい。
【0023】本発明の繊維板の厚さは、3〜25mmが好ま
しく、9〜20mmがさらに好ましい。この繊維板は強度
が強く、繊維板の密度、硬化性樹脂量を調整することに
より、例えば曲げ強さ、湿潤曲げ強さで5タイプから30
タイプの中質繊維板と同程度又はそれ以上とすることが
出来る。一方、透湿性がシージングボードと同等或いは
それ以上の値を得ることも可能である。
【0024】繊維板の曲げ強度は3〜50N/mm2が好まし
く、5〜40N/mm2がより好ましく、10〜40N/mm2が最も好
ましい。3N/mm2未満では構造材としては強度不足であ
り、50N/mm2以上にするためには一般に繊維板密度を上
げる必要が生じ、透湿性の低下を招き、強度と透湿性の
両立ができ難くなる傾向となる。透湿係数は0.1〜10μg
/(mm2・s・Pa)が好ましく、0.5〜8μg/(mm2・s・Pa)がより
好ましく、1〜7μg/(mm2・s・Pa)が最も好ましい。0.1
μg/(mm2・s・Pa)未満では壁中の通気層へ水蒸気を透過さ
せる防風層として不十分であり、10μg/(mm2・s・Pa)以上
にするためには一般に繊維板を低密度にする必要が生じ
て強度が低下し、強度と透湿性の両立ができ難くなる。
【0025】さらに繊維板の密度は0.2〜1g/cm3が好ま
しく、さらに0.3〜0.7g/cm3が好ましく、最も好ましく
は、0.35〜0.6g/cm3である。本発明の繊維板の製造法
は、例えば次のように行うことができる。まず、ヤシ繊
維を解繊し、単位断面径が約5〜600μm、繊維長30〜30
0mmの繊維を得る。このヤシ繊維によりマット状のもの
を形成する。必要によりこうした繊維マットを、ニード
ルパンチ等により繊維を絡み合わせて緻密にすると同時
に剥離強度を上げる。この繊維マットに硬化性樹脂の水
溶液または水分散液をスプレー等により噴霧して、繊維
マット全体に均一に樹脂を付着させる。次いでガラスク
ロスに樹脂液をスプレーにより塗布し、上記の繊維マッ
トの両面に積層し、加熱圧縮成形する。所望する繊維板
の密度や厚さにより、繊維マットを適宜複数枚積層すれ
ばよい。
【0026】加熱圧縮の温度及び時間は用いる硬化樹脂
や加熱圧縮前の繊維マットの含水量などにより異なるの
で、それぞれの条件により適宜調整すればよい。尚、樹
脂は、繊維マットの集束剤又はバインダーとして使用さ
れると共に、シート状物としてのガラスクロス自体への
強度付与及びガラスクロスと繊維マットとの結合剤、更
には繊維板全体の結合剤又は強度付与のための構成剤と
して働く。
【0027】またシート状物として最も好ましい例であ
るガラスクロスは、引張強さ及び引張弾性率が高い繊維
を編んでいるため、それ自体が優れた引張強さ及び引張
弾性率を示す。そして、このガラスクロスが樹脂を介し
て繊維マットと強く結合することにより、繊維板の強度
が高められる。すなわちガラスクロスを繊維マットの両
面に配置した場合には、いわゆるサンドイッチ効果が発
揮されて繊維板の曲げ強さ及び曲げ弾性率が高くなる。
さらにガラスクロスは、吸水、吸湿時の寸法変化がない
ので、特に繊維マットの両面に配置すると繊維板の吸
水、吸湿時の寸法変化、吸水、吸湿時の強度低下が小さ
くなり好ましい。従って、繊維板が構造用面材として機
能し、防風層周辺の構造部分を補強することができる。
【0028】また上記では、ガラスクロスを繊維マット
の両表面に配置したが、本発明はガラスクロスを繊維マ
ットの1表面にのみ配置するもの、繊維マットの内部に
配置するもの、繊維マットの両表面又は1表面並びに内
部に配置するものを含む。さらにガラスクロスを繊維マ
ットの内部に配置する場合に、複数枚の麻クロスと複数
枚のヤシ繊維マットとを交互に重ねて多層状に配置した
ものを含む。ガラスクロスを繊維マットの内部に配置し
たときには、繊維板の引張強さ及び引張弾性率、せん断
強さ及びせん断弾性率、並びに平面内圧縮強度及び平面
内圧縮弾性率が高くなり、繊維板が構造用面材として機
能し、防風層周辺の構造部分を補強することができる。
【0029】ガラスクロスを表面に配置する場合は、上
記のようにヤシ繊維マットとガラスクロスを積層後に圧
縮成形しても良いし、ヤシ繊維板の成形後に接着剤等で
繊維板表面に張り付けても良い。また、以上の実施形態
では、正面視が矩形で一定厚さの繊維板についてのみ説
明したが、圧縮硬化成形時に種々形状の型により所望の
形状に成形した成形体としてもよく、その場合において
も上記繊維板と同様の作用及び効果を得ることができ
る。
【0030】
【実施例】次に本発明を実施例と比較例により具体的に
説明する。得られた繊維板の吸水長さ変化はJIS A 5905
により評価した。 [実施例1]解繊したアブラヤシ繊維を用いて、ニード
ルパンチにより繊維を交絡させ、目付1.7 kg/m2の繊維
マットを作製した。ユリア樹脂(三井東圧化学製ユーロ
イドU-755、樹脂固形分65wt%)及び硬化触媒としてNH4
Cl(樹脂固形分100重量部に対して1重量部)を混合
し、水で希釈して調製した樹脂溶液を、上記アブラヤシ
マット及び目付0.2kg/m2のガラスクロス(日東紡績製WE
A7628-125)(ガラス繊維の標準状態時水分率0.0%、ヤ
ング率74〜77GPa)にスプレー法により噴霧塗布し、繊
維100重量部に対して樹脂固形分で20重量部のユリア樹
脂を付着させた。樹脂を付着させたアブラヤシ繊維マッ
ト2枚、その両面にガラスクロス1枚ずつを積層し、プ
レス機により165℃−8分の条件で加熱圧縮成形して、
厚さ9.0 mm、密度0.5 g/cm3の繊維板を得た。
【0031】得られた繊維板の吸水長さ変化の評価結果
を表1に示した。 [比較例1]ガラスクロスの代わりにジュートクロス
(目付0.3kg/m2)(ジュート繊維の標準状態時水分率13
%、ヤング率8〜15GPa)を用い、実施例1と同様にして
表面にジュートクロスを積層した繊維板を得た。得られ
た繊維板は、実施例1と同様に評価し、その評価結果は
表1に示した。 [比較例2]シート状物の積層をせず、ヤシ繊維のみの
繊維板を実施例1と同様にして得た。得られた繊維板
は、実施例1と同様に評価し、その評価結果は表1に示
した。
【0032】
【表1】
【0033】表1より吸水長さ変化が、ジュートクロス
を積層した比較例1よりガラスクロスを積層した実施例
の方が小さく、本発明により吸水長さ変化を従来より抑
制可能であることが確認できた。従って、水濡れや多湿
環境下に於いて、施工後の寸法変化が少なく好適な建築
材料であることがわかる。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、ヤシ繊維マットに
硬化性樹脂を付着し圧縮成形してなる繊維板であって、
標準状態における水分率が低く、ヤング率の高い繊維か
らなるシート状物を積層することにより、強度と透湿性
に優れ、且つ従来のヤシ繊維板より吸水長さ変化が小さ
い繊維板とその製法を提供することができた。
【0035】本発明の繊維板は強度と透湿性に優れ、且
つ長さ安定性が良好であるので、これらの繊維板により
防風層を形成すれば、室内の水蒸気を通気層をスムーズ
に透過させることができると共に、断熱層を安定して保
持できるのは勿論のこと、水濡れや多湿環境下に於いて
も施工後の寸法変化が少なく、長尺の材料を用いても良
好な寸法安定性が確保できるので建築材料として極めて
好ましい。
【0036】また、本発明の繊維板の用途としては、前
述した住宅外壁の通気層形成に用いる防風層としての用
途があるが、これに限定される物ではない。例えば、住
宅内装材、内装下地材、屋根下地材、天井材、床材、床
下地材、畳床、建築用構造材断熱材、吸音材、遮音材、
衝撃吸収材、緩衝材、胴縁等建材として合板、集成材、
パーティクルボードなどが用いられている建材用途のす
べてに利用できる。さらに、コンクリート型枠用材、パ
レット、包装材用途、自動車等車両内装材、内装下地
材、外装材、家具材等としても用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B32B 5/02 B32B 5/02 A 5/28 5/28 // B29K 61:04 101:10 105:08 309:00 309:08 311:10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヤシ繊維を主成分とする繊維マットに硬化
    性樹脂を付着させ圧縮成形してなる繊維板であって、繊
    維板の少なくとも1表面及び/又は内部に標準状態にお
    ける水分率0〜10%、ヤング率20〜600GPaの繊維からな
    るシート状物を積層してなる繊維板。
  2. 【請求項2】ヤシ繊維がアブラヤシ繊維である請求項1
    記載の繊維板。
  3. 【請求項3】硬化性樹脂がアミノ樹脂である請求項1又
    は2記載の繊維板。
  4. 【請求項4】アミノ樹脂がユリア樹脂、メラミン樹脂、
    ユリア−メラミン樹脂の内から選ばれる少なくとも1種
    である請求項3記載の繊維板。
  5. 【請求項5】硬化性樹脂がフェノール樹脂である請求項
    1又は2記載の繊維板。
  6. 【請求項6】シート状物の繊維が標準状態における水分
    率0〜2%、ヤング率30〜500GPaである請求項1〜5の
    いずれかに記載の繊維板。
  7. 【請求項7】シート状物が無機繊維からなる請求項1〜
    6のいずれかに記載の繊維板。
  8. 【請求項8】シート状物がガラスクロスである請求項7
    記載の繊維板。
  9. 【請求項9】ヤシ繊維から繊維マットを形成し、この繊
    維マット及び標準状態における水分率0〜10%、ヤング
    率20〜600GPaの繊維からなるシート状物に硬化性樹脂を
    付着させ、これら硬化性樹脂の付着した繊維マットとシ
    ート状物を積層し、圧縮成形することからなる繊維板の
    製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018202654A (ja) * 2017-05-31 2018-12-27 王子ホールディングス株式会社 木質ボード用接着剤、木質ボードとその製造方法

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