JPH11240986A - オレフィン系樹脂組成物及びそのシート - Google Patents
オレフィン系樹脂組成物及びそのシートInfo
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Abstract
が改良され、二次成形品の生産性が向上し、かつ剛性や
耐寒性及び耐熱性に優れた二次成形品を生産できる熱成
形用シート材に好適なオレフィン系(複合)樹脂組成物
及びシートを提供。 【解決手段】 プロピレン系樹脂とエチレン系樹脂との
混合割合が、プロピレン系樹脂(PP):エチレン系樹
脂(PE)=97〜60:3〜40(重量%)であるオ
レフィン系樹脂組成物であって、前記各樹脂の動的溶融
粘弾性の粘度比(ηr=ηPE/ηPP)が1Rad/
秒で0.1以上から1未満、100Rad/秒で0.7
0以上、溶融弾性率差(ΔG′=GPP−GPE)が1
0000Pa以上であることを特徴とするオレフィン系
(複合)樹脂組成物、また前記オレフィン系(複合)樹
脂組成物からなるオレフィン系(複合)樹脂シート、さ
らに表面層と中間層とを含む積層シートであって、前記
オレフィン系(複合)樹脂組成物からなるシートを中間
層として有するオレフィン系(複合)樹脂積層シート。
Description
に優れた熱成形シート材用オレフィン系(複合)樹脂組
成物及びシートに関する。詳しくは、包装材分野、及び
各種工業部材に用いられる容器、蓋、及び成形品を熱成
形により製造する場合に用いるシート材用組成物及びシ
ートであって、従来より優れた垂れの保持性と剛性、耐
寒、耐熱性を有するオレフィン系(複合)樹脂シート又
は前記材料を組み合わせた積層シートに関する。
性、耐油性等に優れることから、これらを二次成形(真
空成形、圧空成形等)に供することによって各種容器、
カップ、トレーなどの成形品を製造するための熱成形用
シート材に用いられている。しかしながら、シート材を
真空成形等の熱成形法で容器等の二次成形品に加工する
際、オレフィン系樹脂シートは他の樹脂(ポリスチレ
ン、ポリ塩化ビニル樹脂等)と比較してその溶融特性が
シャープなことから、予熱時の加熱によるドローダウン
(垂れ下がり)が大きく、二次成形品にシワや偏肉、或
いは穴が発生しやすいという欠点があった。
垂れ下がりを改良する技術として、ポリプロピレン樹脂
にポリエチレン樹脂をブレンドする一般的方法(特開昭
52−136247号公報、同55−108433号公
報、特公昭63−30951号公報)、ビスマレイミド
を添加する方法(特開平3−52493号公報)、ポリ
プロピレンに無機フィラーと無水マレイン酸変性ポリオ
レフィン、或いはシラン変性ポリオレフィン等を配合し
てなる組成物を用いる方法(特開昭51−69553号
公報、同52−15542号公報)、ポリオレフィンに
繊維状ポリテトラフルオロエチレンを添加する方法(特
開平8−165358号公報)等が知られている。
スト競争が激しく、原料ポリオレフィンの30〜50重
量%程度をリサイクル材が占めるなど、原料中のリサイ
クル材の割合が増加する傾向にあり、このためシート幅
が900mm以上程度に広くなるとリサイクル材入りシ
ートのドローダウンが著しく大きくなる。しかも、価格
面とは反対に容器の加工や品質面は更に厳しくなり、衛
生面やハンドリング性を考慮した嵌合品は、製品の形状
を得るために、従来の加熱時間より2倍以上長く加熱さ
れることから、ドローダウンが更に大きくなったり、容
器の細かなシワや0.2mm以下の異物混入品或いはわ
ずかな異色合い等の返品がより頻繁に実施される等、外
観検査もより厳しい状況にある。
うなビスマレイミドを添加する方法、無機充填剤と変性
ポリオレフィンを混合する方法、或いは繊維状ポリテト
ラフルオロエチレンをポリオレフィンに添加する方法で
は、ドローダウン性の改良と原料価格のバランスが十分
とは言えず、シート成形時の異物混入や混練不足による
製造ロスが多くなる等、コスト面で限界があった。又、
ポリエチレンを単純にブレンドする方法では、低いメル
トフローレートによるブツや分散不良等の問題があっ
た。
の増加に伴い、残留歪みの少ない真空成形品で耐熱性や
耐寒性を保持した嵌合容器や深絞り容器が広く普及して
いる。しかも、製造する段階でロスや異物混入が少な
く、しかも多量の再生材が使用可能で、真空成形時の生
産性が向上できる1m以上の広幅シートの材料開発が強
く望まれている。
鑑み、シート成形時の異物混入や製造ロス、或いは特殊
な材料を用いなくても、熱成形法による二次成形時のド
ローダウン性が改良され、シート成形や二次成形品の生
産性が向上し、かつ剛性や耐寒性及び耐熱性に優れた二
次成形品を生産できる熱成形用シート材に好適な(複
合)樹脂組成物及びシートを提供することを課題とす
る。
した結果、特定の動的溶融粘弾性の粘度比と溶融弾性率
差を保有するプロピレン系樹脂とエチレン系樹脂を特定
範囲内で混合したオレフィン系樹脂組成物の樹脂シート
(積層、複合樹脂、複合樹脂積層シート等)とすること
により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完
成した。
レン系樹脂とエチレン系樹脂との混合割合が、プロピレ
ン系樹脂(PP):エチレン系樹脂(PE)=97〜6
0:3〜40(重量%)であるオレフィン系樹脂組成物
であって、前記各樹脂の動的溶融粘弾性の粘度比(ηr
=ηPE/ηPP)が1Rad/秒で0.1以上から1
未満、100Rad/秒で0.70以上、かつ溶融弾性
率差(ΔG′=GPP−GPE)が10000Pa以上
であることを特徴とするオレフィン系(複合)樹脂組成
物であり、本発明の第2の発明は、前記オレフィン系
(複合)樹脂組成物からなるオレフィン系(複合)樹脂
シートであり、本発明の第3の発明は、表面層と中間層
とを含む積層シートであって、前記オレフィン系(複
合)樹脂組成物からなるシートを中間層として有するオ
レフィン系(複合)樹脂積層シートである。
る。 1.オレフィン系樹脂組成物 本発明のオレフィン系樹脂組成物は、オレフィン系樹脂
中のプロピレン系樹脂とエチレン系樹脂との混合割合
が、プロピレン系樹脂(PP):エチレン系樹脂(P
E)=97〜60:3〜40(重量%)であるオレフィ
ン系樹脂組成物であって、前記各樹脂の動的溶融粘弾性
の粘度比(ηr=ηPE/ηPP)が1Rad/秒で
0.1以上から1未満、100Rad/秒で0.70以
上、かつ溶融弾性率差(ΔG′=GPP−GPE)が1
0000Pa以上の樹脂組成物である。1Rad/秒の
粘度比が0.1未満や1以上、或いは1Rad/秒の溶
融弾性率差が10000Pa未満になると樹脂組成物の
粘度が低すぎたり高すぎたりしてオレフィン系樹脂シー
トの垂れ性を向上させるような望ましいポリエチレン系
樹脂のドメイン形状が得られない。また、100Rad
/秒の粘度比が0.70未満では、オレフィン系樹脂シ
ートの表面近傍のエチレン系樹脂が伸張されるため、加
熱時の熱でエチレン系樹脂がプロピレン系樹脂より先に
収縮が生じて熱賦型時の成形品に穴が発生しやすい。
弾性値の比率が本発明内の樹脂組成物から得られたシー
トであれば、表面近傍のエチレン系樹脂は配向が少な
く、シート中央部分にエチレン系樹脂が集中しやすく、
しかもシートの流れ方向や流れに対して直角方向のエチ
レン系樹脂のドメイン形状が表面積の多い配向分散形状
であることがX線の透過率やSEMの顕微鏡写真等から
も観察でき、垂れの保持性を向上させる。
動的溶融粘弾性値比内のエチレン系樹脂やプロピレン系
樹脂であれば特に限定されない。
ロピレン単独重合体、又は;プロピレン含量が97重
量%以上のプロピレンと、炭素数2〜20、好ましくは
2〜12、より好ましくは2〜8のプロピレン以外のα
−オレフィンとのランダム又はブロック共重合体、;
前記ととの混合物、又は;〜のいずれかとの
混合物が挙げられる。前記α−オレフィンとしては、エ
チレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4
−メチル.ペンテン−1等が例示できる。
03(230℃−2.16kg荷重)に準拠して測定さ
れたメルトフローレート(以下、MFRと略記する。)
が、好ましくは0.3〜20g/10分、より好ましく
は0.3〜10g/10分である。0.3g/10分未
満ではシート成形時に高樹脂圧力を要するためシート成
形が困難となり、MFRが20g/10分を超えるとシ
ート成形時にサージングが発生し、ドローダウン改良効
果も少ない場合がある。
2(23℃)に準拠して測定された密度は特に限定され
ないが、好ましくは0.890〜0.920g/cm3
である。密度が上記範囲内であれば光沢や耐衝撃性等の
点で好ましい。
してチーグラー系化合物やメタロセン系化合物等の存在
下に、高圧イオン重合、気相重合、溶液重合法により製
造されるエチレンの単独重合体、もしくはエチレンと炭
素数3〜20、好ましくは3〜12、より好ましくは3
〜8のα−オレフィンとの共重合体や前記共重合モノマ
ーが2種類以上の共重合体であって、エチレン含量が5
0重量%以上のものである。エチレンの単独重合体及び
エチレン含量70重量%以上のエチレンとα−オレフィ
ンとの共重合体が、剛性、耐寒性、耐熱性等の点で好ま
しい。
K7210、条件4に準拠して測定された値)が、好ま
しくは0.5〜10g/10分、より好ましくは0.5
〜5.0g/10分である。MFRが上記範囲外のもの
はいずれも溶融粘度が高すぎるか低すぎるため、プロピ
レン系樹脂との相溶性が悪くなり、垂れ特性を向上させ
るようなエチレン系樹脂のドメイン形状が得られなかっ
たり、樹脂シートの流動性バランスを阻害したりしてサ
ージング、或いは表面荒れを発生させて容器賦型不良を
生じる。
(23℃)に準拠して測定された密度は特に限定されな
いが、好ましくは0.88〜0.970g/cm3以内
であり、特に0.94g/cm3以下のものは光沢や耐
衝撃性等の点で好ましい。
ピレン系樹脂とエチレン系樹脂の配合割合は、プロピレ
ン系樹脂:エチレン系樹脂(重量%)=97〜60:3
〜40、好ましくは95〜60:5〜40である。エチ
レン系樹脂が40重量%を超えプロピレン系樹脂が60
重量%未満となると、材料中のエチレン系樹脂の分散配
向性が低下したり、容器等の寸法変化が大きくなった
り、剛性や耐熱性が劣る。一方、プロピレン系樹脂が9
7重量%を超えエチレン系樹脂が3重量%未満となる
と、材料中のエチレン系樹脂の分散量が少ないことから
垂れ保持性の向上が得られなくなり、シート生産時の再
生材料を減らしたり、二次成形品のシート加工幅に限界
が生じたり、かつ容器の耐寒性が劣る等の問題が生じ
る。
ロピレン系樹脂とエチレン系樹脂の混合は、公知のブレ
ンド手法、例えば押出機、バンバリー、ロール、ブラベ
ンダー等の混練機を用いて行われる。通常は押出機など
で混練して一旦ペレット状コンパウンドした後、シート
加工に供するが、前記のプロピレン系樹脂とエチレン系
樹脂の2成分をスーパーミキサーやタンブラー等でドラ
イブレンドした混合パウダーを直接押出機のホッパーに
投入し、シート成形することもできる。
形材料に一般に配合される添加剤;例えば酸化防止剤、
紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、分散剤、核剤、着色
剤、腐食防止剤、発泡剤等を目的に応じて適時添加又は
塗布してもよい。
加して、オレフィン系複合樹脂組成物とすることができ
る。無機フィラーとしては、例えば炭酸カルシウム、炭
酸マグネシウム、タルク、クレー、マイカ、酸化チタ
ン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、チタンホワイト、
カーボンブラック、水酸化アルミニウム、酸化アルミニ
ウム、水酸化マグネシウム、シリカ等の非繊維状無機粉
体が好適である。無機粉体の粒径は特に限定されない
が、好ましくは0.1〜50μmである。これらの無機
フィラーは単独または、2種以上を混合して用いること
ができる。これらの中でも特に粒径が20μm以下のタ
ルクが効果的である。
ン系樹脂組成物と無機フィラーとの配合比率は、オレフ
ィン系樹脂組成物100重量部に対し、無機フィラーが
200重量部以下であり、好ましくは100重量部以下
である。無機フィラー量が200重量部を超えると複合
樹脂組成物中のオレフィン系樹脂組成物への分散性が低
下し、かつ押出性や容器等の二次成形品の賦型性、耐寒
性、耐衝撃性が劣る。
S−K7210(230℃−2.16kg荷重)に準拠
して測定されたMFRが、20g/10分以下、特に好
ましくは10g/10分以下である。MFRが前記範囲
を超えるとシート成形性や容器成形性が不良となる場合
がある。MFRの下限については、特に限定されない
が、好ましくは0.01g/10分以上である。MFR
測定時に実質上流動性のないものであっても成形機によ
りシートに成形されるものであればよく、実際には限界
がないともいえるが、0.01g/10分未満では押出
機の低下やモーター負荷が大きくなり生産性が低下する
傾向にある。
−K7112(23℃)に準拠して測定される密度は、
1.64g/cm3以下、好ましくは1.45g/cm3
以下である。密度が上記範囲を超えるとオレフィン系複
合樹脂組成物の流動性が低下し、高樹脂圧力となるので
好ましくなく、しかも二次成形品の容器賦型性や耐寒性
が劣る傾向にある。
製する方法としては、;オレフィン系樹脂組成物に無
機フィラーを直接添加、混合する方法、;あらかじめ
前記オレフィン系樹脂組成物と無機フィラーとで高濃度
のマスターバッチを作り、そのマスターバッチをオレフ
ィン系樹脂組成物に添加、混合する方法等が挙げられ
る。
ーは、例えば、ゲレーションミキサー、スーパーミキサ
ー等で混合し、更に押出機やニーダー、カレンダーロー
ル等の単独機或いは2機併用の混合機等で溶融分散させ
ながら混練しペレット化することにより、オレフィン系
複合樹脂組成物とすることができる。また、これをその
ままシート状に押出して複合シートとすることもでき
る。
樹脂シートは、前記オレフィン系樹脂組成物又は前記オ
レフィン系複合樹脂組成物からなる。シートの製造方法
としては、鏡面ロールを用いるポリシング法、エアーナ
イフ法(ロール圧延を含む)、金属鏡面ベルト法(シン
グルやツインベルドを含む)、急冷後に金属鏡面ベルド
で圧着化するTダイ法、インフレーション法、カレンダ
ーロール法等を用いた単層法が挙げられる。
複合樹脂シートの厚さは特に限定されず、使用目的等に
応じた厚みに調整すればよいが、通常0.10〜3m
m、特に一般の食品容器では0.15〜2mmであるこ
とが好ましい。
フィン系複合樹脂シートは、特定の樹脂組成物を選定し
たことで加熱時のドローダウンを小さくすることができ
ることから、これを加熱して真空成形、圧空成形等の二
次成形に供することにより、従来品のシート加工幅より
広いシート幅が可能となり、しかも従来品と略同等の材
料費で成形品の生産性が向上する。また、リサイクル材
を配合した材料で成形品を得る場合にも有用である。
ン系樹脂材料からなる表面層と前記オレフィン系樹脂組
成物からなる中間層とを有する。
層用オレフィン系樹脂材料」と称する)は、前記二次成
形用のシートに用いられるエチレン系樹脂、プロピレン
系樹脂等のオレフィン系樹脂であれば特に制限されな
い。
に用いるプロピレン系樹脂と同様、プロピレン単独重合
体、プロピレン含量が97重量%以上のプロピレンとエ
チレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4
−メチル−ペンテン−1等のα−オレフィンとのランダ
ム又はブロック共重合体、もしくはこれらの樹脂混合
物、又はこれらとエチレン系樹脂(エチレンの単独重合
体もしくはエチレンと炭素数3〜20、好ましくは3〜
12、より好ましくは3〜8のα−オレフィンとの共重
合体であってエチレン含量が50重量%以上のもの)と
の樹脂混合物であってエチレン系樹脂が40重量%以下
含まれるものが挙げられる。
いられるエチレン系樹脂は、触媒としてチーグラー系化
合物やメタロセン系化合物等の存在下、高圧イオン重
合、気相重合、溶液重合法により製造されるものが望ま
しい。また、MFR(JIS−K7210、条件4に準
拠して測定された値)が、好ましくは0.5〜10g/
10分、より好ましくは0.5〜5g/10分のものが
良好である。このMFRが上記範囲外のものはいずれも
溶融粘度が高すぎるか低すぎるため、プロピレン系樹脂
との相溶性が悪くなったり、表層との流動性バランスを
阻害したりしてシートにサージング、或いは表面荒れを
発生させて容器賦型性不良が生じる場合がある。
しては、プロピレン単独重合体、又はプロピレン単独重
合体とエチレン含量70重量%以上のエチレン・α−オ
レフィン共重合体との樹脂混合物を用いるのが剛性や耐
熱性、耐寒性の点で特に好ましい。
には、成形材料に一般に配合される添加剤;例えば酸化
防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、分散剤、核
剤、着色剤、腐食防止剤、発泡剤等を目的に応じて適時
添加又は塗布してもよい。
IS−K7210(230℃−2.16kg荷重)に準
拠して測定されたMFRが、0.3〜20g/10分、
好ましくは0.5〜10g/10分、更に好ましくは
1.0〜10g/10分である。MFRが20g/10
分を超えると表面層の厚み分布が不良となり、MFRが
0.3g/10分未満では積層シート成形時に表面荒れ
が発生し、偏肉不良や外観不良が生じる。
IS−K7112(23℃)に準拠して測定された密度
が0.890〜0.920g/cm3、好ましくは0.
900〜0.920g/cm3である。0.890g/
cm3未満では剛性が不足し、0.920g/cm3を超
えると冷却ロールとの密着が悪くなり、偏肉不良が生じ
る。
用オレフィン系樹脂材料からなる表面層から構成される
オレフィン系樹脂積層シートの厚み構成は、表面層の厚
みが該積層シートの1%以上、好ましくは3〜80%で
ある。この範囲未満では、シートのドローダウン性の改
良効果がなく、しかも真空成形時の加工温度幅が狭く、
容器の賦型不良が生じるので好ましくない。
レフィン系樹脂組成物、オレフィン系複合樹脂組成物、
オレフィン系樹脂材料またはオレフィン系複合樹脂材料
からなるシートが表面層及び中間層として積層されたも
のであり、中間層として前記オレフィン系樹脂組成物ま
たは前記オレフィン系複合樹脂組成物からなるシート層
を有し、かつ表面層と中間層の少なくとも一層に前記オ
レフィン系複合樹脂組成物またはオレフィン系複合樹脂
材料からなるシート層を有している積層シートである。
ここで、オレフィン系複合樹脂材料は前記オレフィン系
樹脂材料に、無機フィラーを200重量%以下含有する
組成物である。
7210(230℃−2.16kg荷重)に準拠して測
定されたMFRが、20g/10分以下、好ましくは1
0g/10分以下である。MFRが上記範囲を超えるも
のは、溶融粘度が高すぎるため、表面層との流動バラン
スを阻害したりしてシートにサージングを発生させて容
器賦型不良が生じる。
S−K7112(23℃)に準拠して測定された密度が
1.65g/cm3以下であり、好ましくは1.45g
/cm3以下である。密度が1.65g/cm3を超える
と流動性が劣り、高樹脂圧でシート成形が困難となった
り、容器の賦型性が劣る。
の表面層と中間層の組合せは、(1)表面層がオレフィ
ン系樹脂組成物からなり中間層がオレフィン系複合樹脂
組成物からなるシート、(2)表面層がオレフィン系複
合樹脂組成物からなり中間層がオレフィン系樹脂組成物
からなるシート、(3)表面層がオレフィン系樹脂材料
からなり中間層がオレフィン系複合樹脂組成物からなる
シートおよび(4)表面層がオレフィン系複合樹脂材料
からなり中間層がオレフィン系複合樹脂組成物からなる
シートである。
制限されず、使用目的等に応じた厚みを調整すればよい
が、通常0.10〜3.0mm、特に一般の食品用容器
では0.15〜2.0mmであることが好ましい。
は、特に制限はないが、積層シートの全体厚みに対して
表面層の厚みが1%以上、より好ましくは3%以上にて
積層シートのドローダウン性が改良でき、しかも剛性や
耐寒性の優れた二次成形品が得られる。好ましい厚み比
は、表面層/中間層が1〜80/99〜20、更に好ま
しくは5〜70/95〜30である。
レフィン系複合樹脂組成物又はオレフィン系樹脂組成物
の中間層とを含むものであれば特に制限はなく、例えば
表面層/中間層/表面層、スキン層/表面層/中間層/
表面層/スキン層、スキン層/表面層/中間層/基材層
等の層構成が挙げられる。表面層又は中間層は一層のみ
ならず、他の層を挟んで複数層含めることもでき、例え
ば、前記表面層や中間層の他に接着層、ガスバリヤ層、
発泡層、リサイクル層、耐衝撃性や目ヤニ防止付与層な
ど、目的に応じて適宜必要な機能を有する層を中間層や
表面層に積層させることができる。
ば鏡面ロールを用いるポリシング法、エアーナイフ法
(ロール圧延含)あるいは、金属鏡面ベルト法(シング
ルやツインベルト含む)や急冷後に金属鏡面ベルトで圧
着化するTダイ法、インフレーション法、カレンダーロ
ール法等の単層法や共押出法にて製造される。また、オ
レフィン系複合樹脂積層シートにおいては、単層法で得
たシートに表面層を融着したり、接着剤で貼り合わすラ
ミネート法等にても製造できる。これらのうち共押出法
が生産性や層構成を簡単に調整できることから良好であ
る。
形用のシート材として好適に用いられる。ここでいう熱
成形とは、一般に、プラスチックシートを加熱軟化して
所望の型に押しあて、型と材料の隙間にある空気を排除
し大気圧により型に密着させて成形する真空成形、及び
大気圧以上の圧縮空気か、あるいは真空を併用して成形
する圧空成形等の総称である。このような内成形による
二次成形法としては、具体的には、間接加熱成形法(真
空成形法、圧空成形法、固相圧空成形法)、固相プレス
成形、スタンピング成形、或いは前記成形法の組み合わ
せ等による容器成形法であれば特に限定されない。これ
により得られる二次成形品としては、食品包装分野等に
用いられる各種容器、容器蓋等が挙げられる。
する。尚、試験法、評価方法については、以下の方法を
用いた。 (1)動的粘弾性:以下の機器、条件により測定した。 装置:レオメトリックス社製メカニカルスペクトロメー
ターRMS800 温度:200℃ 固定治具:25mmφパラレルプレート 測定モード:周波数掃引 ギャップ:1.5m 周波数:0.01rad/秒〜100rad/秒 溶融粘弾性=1rad/秒 歪み:10%
型性(離ロール性、偏肉性等)を下記基準で判断した。 ○:シートの偏肉や表面荒れが無く、きれいに成形でき
る △:シートの離ロール性が悪く、光沢ムラや偏肉が発生
しやすい ×:シートに偏肉や面荒れが激しく、良好なシート成形
が得られない (3)曲げ弾性:JIS−K7203に準拠して測定し
た。 (4)デュポン衝撃強度:ASTM−D2794に準拠
して測定した。
樹脂積層シート、複合樹脂シート、複合樹脂積層シー
ト)を、中央に30cm角の穴を有する2枚の鉄枠(3
3mm×33mm×2mm)の間に挟み、断熱箱の中に
水平にセットした。次に鉄枠にサンドイッチされた樹脂
シートを均一に加熱できるように450℃に加熱された
上下ヒーター(上下ヒーターは、設置されたシート面か
ら15cm離れたところから樹脂シートを加熱)をシー
ト上下面にスライドさせて設置した。鉄枠内のシート
は、加熱によって一旦、下面ヒーター方向に垂れ下が
り、その後、シートの厚み方向に均一に昇温が進むと、
樹脂シートは再び水平となり、更なる上下面ヒーターの
加熱により、樹脂シートは自重で垂れ下がりが進行す
る。このような樹脂シートの垂れ挙動を、下面ヒーター
の下に設置したレーザー光線を該樹脂シート面にあてて
観察し、その垂れ量を1秒間隔で測定しながら、加熱開
始時から35秒間樹脂シートを加熱したときの垂れ量及
び垂れ勾配(1秒間に垂れる量)とその時の表面温度を
測定した。
れた樹脂シートを、浅野研究所製の真空成形機(名称:
FLS 415)のヒーター温度:設定350℃(下ヒ
ーター)〜530℃(上ヒーター)にて50秒間加熱し
たときの該溶融積層シートのドローダウン量をスケール
で測定し、その値を垂れ量としてドローダウン性の評価
の指標とした。
目視で観察し、その評価結果を下記基準で○〜×と判断
した。 評価基準 ○:35個の容器とも賦型性が良好であり、容器に偏肉
が見られない。 △:35個の一部容器にシワが残存したり、容器に偏肉
がある。 ×:容器にシワが多発したり、穴が発生したりして容器
の偏肉が激しい。
250gのお米を充填し、ストレッチフィルム(ユカラ
ップ)でラップ、シールした。この充填容器を−20℃
の雰囲中気中で24時間放置後、1mの高さから10回
底面落下させ、外観変化を下記基準で○〜×と判定し
た。 ○:容器にクラックや割れが無く、丈夫で変化が見られ
ない。 △:4〜9回の落下により容器の一部にクラックや割れ
が発生した。 ×:1〜3回の落下で容器にクラックや割れが発生し
た。
ン系樹脂材料のプロピレン系樹脂及びエチレン系樹脂は
以下の通りである。 HPP−1:MFR 0.5g/10分、密度 0.9
05g/cm3、融点171℃(日本ポリケム(株)製
ノバテックPP EA9〈商品名〉) HPP−2:MFR 11g/10分、密度 0.90
5g/cm3、融点170℃(日本ポリケム(株)製 ノ
バテックPP MA3〈商品名〉) BPP−1:MFR 0.5g/10分、密度 0.9
05g/cm3、融点168℃(日本ポリケム(株)製
ノバテックPP EC9〈商品名〉) HPE−1:MFR 21g/10分、密度 0.94
5g/cm3、融点130℃(日本ポリケム(株)製 ノ
バテックHD HJ290〈商品名〉) HPE−2:MFR 0.05g/10分、密度 0.
947g/cm3、融点133℃(日本ポリケム(株)製
ノバテックHD HB210R〈商品名〉) LPE−1:MFR 0.3g/10分、密度 0.9
23g/cm3、融点111℃(日本ポリケム(株)製
ノバテックLD LF122〈商品名〉) LLPE−1:MFR 2.2g/10分、密度 0.
898g/cm3、融点90℃(エクソンケミカル社製
EXACT4051〈商品名〉) LLPE−2:MFR 2.0g/10分、密度 0.
920g/cm3、融点126℃(日本ポリケム(株)製
ノバテックLL SF240〈商品名〉) LLPE−3:MFR 1.7g/10分、密度 0.
928g/cm3、融点128℃(日本ポリケム(株)製
ノバテックLL MHL7011〈商品名〉) LLPE−4:MFR 16g/10分、密度 0.8
98g/cm3、融点91℃(エクソンケミカル社製
EXACT4044〈商品名〉)
チレン重合体(LLPE−1)25重量%とを口径60
mmφの単軸押出機で温度200℃で溶融分散させて押
し出し、MFRが0.9g/10分、密度が0.901
g/cm3の組成物をペレットに造粒した。次に、該混
合ペレットを口径40mmφのTダイを装着した押出機
から、樹脂温度240℃、幅400mmのシート状に溶
融押し出しして、オレフィン系溶融シートとした。つい
で、得られた前記オレフィン系溶融シートをポリシング
法の冷却ロール(ロール温度:上50℃、中80℃、下
50℃)に導いて冷却固化し、厚み0.5mm、幅35
0mmのオレフィン系樹脂シートを製出した。このよう
にして得られたシートについて、その評価結果を表1に
シート物性として示す。尚、35秒間の加熱によって、
樹脂シートの垂れ量及び垂れ勾配が少ない程、ドローダ
ウン性の優れたシートということができる。
フィン系樹脂組成物を得た他は、実施例1と同様に樹脂
シートを作製した。このようにして得られた各シートの
物性を表1に示す。
エチレン重合体(LLPE−1)28.6重量%の混合
樹脂100重量部に、タルク(富士タルク社製粒径10
μm)30重量部を、温度170℃のゲレーションミキ
サーで溶融分散させ、該溶融分散された混合物を口径6
0mmφの単軸押出機で温度230℃で押し出し、MF
Rが0.8g/10分、密度が1.13g/cm3の複
合組成物をペレットに造粒した。次に、該複合組成物の
ペレットを口径40mmφのTダイを装着した押出機か
ら、樹脂温度240℃、幅400mmのシート状に溶融
押し出しして、オレフィン系複合溶融シートとした。
法の冷却ロール(ロール温度:上60℃、中80℃、下
60℃)に導いて冷却固化し、厚みが0.5mm、幅3
50mmのオレフィン系複合樹脂シートを作製した。得
られた複合樹脂シートについては、実施例1と同様にシ
ート物性や垂れ量等を測定し、その測定結果を表1に示
す。
表1に記載したように変えた他は実施例4と同様にして
複合樹脂シートを得、物性や垂れ量を測定し、その測定
結果を表1に示す。
径40mmφの押出機から、一方前記実施例1で得たオ
レフィン系樹脂組成物のペレットを口径90mmφの押
出機からそれぞれ押し出し、2種3層構成のフィードブ
ロックを装着した共押出機のTダイから、樹脂温度24
0℃、幅1100mmのシート状に溶融押し出しして、
プロピレン樹脂材料/オレフィン系樹脂組成物/プロピ
レン樹脂材料の3層構成の溶融積層シートとした。
ング法の冷却ロール(ロール温度:上60℃、中80
℃、下60℃)に導いて冷却固化し、厚みが0.5m
m、幅1040mmのプロピレン系樹脂材料/オレフィ
ン系樹脂組成物/プロピレン系樹脂材料(30/440
/30μm)の2種3層のオレフィン系樹脂積層シート
を作製した。得られた積層シートを、浅野研究所製の真
空成形機(名称:FLS 415)のコーター温度:設
定350(下ヒーター)〜530℃(上ヒーター)、サ
イクル:5.0秒で加熱し、縦:18cm、横:25c
m、深さ:3cmの容器(35ヶ採り)を得た。得られ
た樹脂積層シート及び容器について、垂れ量(ドローダ
ウン性)、真空成形機による容器賦型性、耐寒性を評価
した。その結果を表2に示す。
種類、各層の厚みや再生材量を表2と表3に記載したよ
うに変えて2種3層の積層シートを得た他は、実施例7
と同様に積層シートの垂れ性、容器賦型性、耐寒性を評
価し、その結果を表2と表3に示す。尚、上記再生材は
各樹脂シートを粉砕し、該シートの粉砕品を温度230
℃の造粒機でペレット化したものを中間材料にドライブ
レンドして使用した。
定の粘度比と弾性率差を有するプロピレン系樹脂とエチ
レン系樹脂を特定範囲内とした配合組成物から得られた
樹脂シートであるので、シート製造時の生産性が図れ、
ドローダウン性が著しく改良され、原料中にリサイクル
材を増量しても、熱熟成形法の二次成形から得られる容
器などの偏肉が極小に抑えられる。また、シートの幅を
広くしてもドローダウンが著しく大きくならないため、
広幅のシートを用いて熱成形することができ、熱成形に
よる二次成形品の生産性が向上する。しかも、得られる
二次成形品は、剛性、耐寒性、耐熱性に優れ、しかもコ
スト面においても優れている。
Claims (9)
- 【請求項1】 プロピレン系樹脂とエチレン系樹脂との
混合割合が、プロピレン系樹脂(PP):エチレン系樹
脂(PE)=97〜60:3〜40(重量%)であるオ
レフィン系樹脂組成物であって、前記各樹脂の動的溶融
粘弾性の粘度比と溶融弾性率差が下記範囲であることを
特徴とするオレフィン系樹脂組成物。 粘度比(ηr=ηPE/ηPP):1Rad/秒で0.
1以上から1未満、100Rad/秒で0.70以上 溶融弾性率差(ΔG′=GPP−GPE):10000
Pa以上 - 【請求項2】 請求項1記載のオレフィン系樹脂組成物
100重量部に対し、無機フィラーの混合割合が、20
0重量部以下であることを特徴とするオレフィン系複合
樹脂組成物。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載のオレフィン系樹脂
組成物又はオレフィン系複合樹脂組成物からなる、オレ
フィン系樹脂シート又はオレフィン系複合樹脂シート。 - 【請求項4】 熱成形用シート材である、請求項3記載
のオレフィン系樹脂シート又はオレフィン系複合樹脂シ
ート。 - 【請求項5】 表面層と中間層とを含む積層シートであ
って、前記表面層はメルトフローレートが0.3〜20
g/10分で、かつ密度が0.890〜0.920g/
cm3のオレフィン系樹脂材料からなり、前記中間層は
請求項1記載のオレフィン系樹脂組成物からなる、オレ
フィン系樹脂積層シート。 - 【請求項6】 請求項1又は5記載の表面層と請求項2
記載の中間層からなる、オレフィン系複合樹脂積層シー
ト。 - 【請求項7】 請求項2記載の表面層と請求項1記載の
中間層からなる、オレフィン系複合樹脂積層シート。 - 【請求項8】 表面層がオレフィン系複合樹脂材料から
なり、中間層が請求項2記載のオレフィン系複合樹脂組
成物からなるオレフィン系複合樹脂積層シート。 - 【請求項9】 熱成形シート材である、請求項5ないし
8記載のオレフィン系樹脂積層シート又はオレフィン系
複合樹脂積層シート。
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