JPH11227381A - 筆記具のインキ補充装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インキ漏れのおそれがなく、安定性、信頼
性、及び密閉性を向上させることができ、補充作業の迅
速化や容易化が図れる筆記具のインキ補充装置を提供す
る。 【解決手段】 インキ補充容器であるインキ充填筒１
と、インキ充填筒１にスライド可能に嵌入されたほぼ筒
形の差受体７とを備える。インキ充填筒１にインキ充填
部３と開口装着部４とを仕切る区画壁２を内蔵成形して
区画壁２の貫通孔５には栓６を取り外し可能に嵌入す
る。また、差受体７の開口一端部から開口他端部にかけ
て大径差受部８と小径部９とをそれぞれ形成し、大径差
受部８の外周壁を開口装着部４の内周壁に接触させる。
また、小径部９の開口他端面にサインペン１１の挿入時
に栓６に接触する干渉突部１０を成形する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、サインペンやマー
キングペン等にインキをペン芯を介して補充する筆記具
のインキ補充装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、中綿式のサインペンにインキを補
充する方法としては、以下の３つの方法が知られてい
る。先ず、第１の方法は、筆記具の本体とペン芯ホルダ
とを螺子を緩めて分離し、本体にインキを補充し、その
後、本体にペン芯ホルダを螺子締めして取り付ける方法
である。次に、第２の方法は、インキカートリッジの開
口部をボール、半球形の栓、及び中子等で封止し、これ
らを押圧開放してサインペンにインキをペン芯を介して
補充する方法である。

【０００３】そして、第３の方法は、実開平６−８６８
９２号公報に開示されているインキ補充容器等を使用す
る方法である。このインキ補充容器は、図示しないが、
有底円筒形のインキ補充用容器本体と、このインキ補充
用容器本体に回転可能に挿入支持されたペン芯受け用で
有底円筒形の回動子とを備え、インキ補充用容器本体に
回動子嵌入用の円筒を支持体を介し縦に内蔵してこの円
筒の周壁の一部には切欠きを形成し、回動子の周壁下部
にインキ流通用の孔を穿設している。そして、回動子を
回転させて孔と切欠きとを連通し、インキ補充用容器本
体から切欠き、孔、及び回動子を順次介してサインペン
のペン芯にインキを補充するようにしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】サインペンにインキを
補充する従来の方法は、以上のようになされているが、
第１、第２の方法は、いずれもインキ漏れのおそれがあ
るという問題があった。また、第３の方法は、補充作業
の度に回動子を回転させなければならないので作業が実
に煩雑、不便であり、信頼性や密閉性にも欠けるという
問題があった。さらに、従来の筆記具のインキ補充装置
は、インキ流通用の孔や切欠きを大きく形成することが
できず、粘度の高いインキの補充には時間を要するとい
う問題があった。

【０００５】本発明は、上記問題に鑑みなされたもの
で、インキ漏れのおそれがなく、安定性、信頼性、及び
密閉性を向上させることができ、しかも、補充作業の迅
速化や容易化を図ることのできる筆記具のインキ補充装
置を提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明においては、上記
課題を達成するため、インキ補充容器に筆記具を挿入し
てインキを補充するものにおいて、上記インキ補充容器
は、インキ充填筒と、このインキ充填筒にスライド可能
に嵌入されたほぼ筒形の筆記具差受体とを含み、上記イ
ンキ充填筒の内部にインキ充填部と開口装着部とを仕切
る区画壁を設けてこの区画壁の貫通孔には栓を取り外し
可能に嵌め、上記筆記具差受体の開口一端部から開口他
端部にかけて大径差受部と小径部とをそれぞれ形成し、
該大径差受部の外周壁を上記開口装着部の内周壁に接触
させ、上記開口他端部の端面に上記筆記具の挿入時に上
記栓に接触する干渉突部を備えたことを特徴としてい
る。

【０００７】本発明によれば、インキを補充しない場合
には、区画壁の貫通孔を栓が塞ぎ、インキの流通路や隙
間の発生することがない。これに対して、インキを補充
する場合、インキ充填筒の筆記具差受体に筆記具を挿入
すると、大径差受部に筆記具の先端部が保持されるとと
もに、小径部に芯が差し込まれ、インキ充填部方向に差
受体が移動する。そして、栓に干渉突部が接触すると、
栓が外れてインキの流通路が確保され、インキの流通が
可能な状態となる。こうしてインキはインキ充填部から
貫通孔、小径部の開口部、及び小径部の内部を通過して
芯に流れ、インキが補充される。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態を説明する。本実施形態における筆記具のインキ
補充装置は、図１ないし図３に示すように、インキ補充
容器がインキ充填筒１からなり、このインキ充填筒１の
開口装着部４にはサインペン１１のペン芯１２用の差受
体７が軸方向にスライド可能に嵌入されている。

【０００９】インキ充填筒１は、剛性、成形性、衝撃
性、耐熱性、及び引張り強さ等に優れるポリプロピレ
ン、ポリエチレン、ポリアセタール、又はユリア樹脂等
を用いて有底円筒形に成形されている。このインキ充填
筒１の内部には図１や図２に示すように、円形の区画壁
２が内蔵成形され、この区画壁２がインキ充填筒１の内
部をインキ充填部３と開口装着部４とに区画する。区画
壁２の中心部にはインキ流通用の比較的大きな貫通孔５
が穿孔成形され、この貫通孔５には断面凹字形の栓６が
取り外し可能に嵌入されている。

【００１０】差受体７は、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、ポリアセタール、又はユリア樹脂等を用いて基本的
には断面ほぼ凸字形の円筒に成形され、図１や図２に示
すように、その開口一端部が大径差受部８に、開口他端
部を含めた残部が小径部９にそれぞれ成形されている。
大径差受部８の外周壁は開口装着部４の内周壁にスライ
ド可能に当接している。また、小径部９は、開口装着部
４の内径よりも小さく成形され、その他端面の外周縁に
は開口部を囲むノズル形の干渉突部１０が栓６方向に向
け突出成形されており、この干渉突部１０が栓６に接離
可能に対向している。

【００１１】さらに、サインペン１１は、各種の合成樹
脂等を用いて成形され、合成繊維の収束体等からなるイ
ンキ吸収体を内蔵しており、このインキ吸収体には断面
長方形のペン芯１２が挿着されている（図３参照）。サ
インペン１１の先端部にはペン芯ホルダ１３が取り付け
られ、このペン芯ホルダ１３の先端部が縮径に成形され
てペン芯１２を空気溝を介し支持する保持部を形成して
いる。また、ペン芯１２は、アクリル繊維、フェルト、
又は合成樹脂粉末の焼結体等を用いて構成されている。

【００１２】上記構成において、インキを補充しない場
合には、図１に示すように、区画壁２の貫通孔５に栓６
が密嵌されて閉塞状態を形成するので、インキの流通路
や隙間の発生することが全くない。したがって、インキ
充填部３から開口装着部４へのインキの流通が遮断され
る。

【００１３】これに対して、インキを補充する場合、イ
ンキ充填筒１の差受体７にサインペン１１のペン芯１２
を押し込めば良い。すると、図２に示すように、大径差
受部８に保持部が嵌入支持されるとともに、小径部９に
ペン芯１２が僅かな隙間を介し挿通され、インキ充填部
３方向に差受体７がスライドする。そして、栓６の対向
面に干渉突部１０が圧接されると、着脱自在の栓６が外
れてインキの流通路が確保され、インキの流通が可能な
状態となる。こうして矢印で示すインキはインキ充填部
３から貫通孔５、干渉突部１０の内部、及び小径部９を
順次通過してペン芯１２に流入し、インキが補充され
る。

【００１４】上記構成によれば、差受体７にサインペン
１１のペン芯１２を押し込めば、水密性が確保されるの
で、インキ漏れのおそれが全くなく、信頼性や密閉性を
大幅に向上させることができる。また、差受体７にペン
芯１２を押し込むだけで補充することができるので、面
倒な回転作業等を確実に省略することができ、補充作業
の著しい簡素化、迅速化、及び容易化が期待できる。ま
た、区画壁２に比較的大きな貫通孔５を穿孔することが
できるので、例え粘度の高いインキを補充する場合で
も、短時間で補充することが可能になる。

【００１５】次に、図４は本発明の第２の実施形態を示
すもので、この場合には、差受体７の小径部９における
他端面に、中心部に位置する断面円錐台形の干渉突部１
０Ａが栓６方向に向け突出成形されるとともに、この干
渉突部１０の周囲に位置する複数の流通孔１４が所定の
間隔をおいて穿孔成形されている。その他の部分につい
ては、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。

【００１６】上記構成において、インキを補充する場
合、インキ充填筒１の差受体７にサインペン１１のペン
芯１２を押し込めば良い。すると、大径差受部８に保持
部が嵌入支持されるとともに、小径部９にペン芯１２が
僅かな隙間を介し挿通され、インキ充填部３方向に差受
体７がスライドする。そして、栓６の対向面に干渉突部
１０Ａが圧接されると、着脱自在の栓６が外れてインキ
の流通路が確保され、インキの流通が可能な状態とな
る。こうして矢印で示すインキはインキ充填部３から貫
通孔５、複数の流通孔１４、及び小径部９を順次通過し
てペン芯１２に流入し、インキが補充される。本実施形
態においても、上記実施形態と同様の作用効果が期待で
きるのは明らかである。

【００１７】なお、上記実施形態でインキ補充容器がイ
ンキ充填筒１からなるものを示したが、インキ充填筒１
を一部に備えた構造のインキ補充容器を使用しても良
い。また、小径部９の周壁に単数複数の流通孔を穿孔成
形しても良い。さらに、上記実施形態で図３のサインペ
ン１１を示したが、同様の性質のものであれば、他の形
状や構造の筆記具を適宜使用することができる。

【００１８】

【発明の効果】以上のように請求項１記載の発明によれ
ば、インキ漏れのおそれがなく、安定性、信頼性、及び
密閉性を向上させることができるという効果がある。さ
らに、インキの補充作業の迅速化や容易化を図ることが
可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る筆記具のインキ補充装置の実施形
態を示す断面説明図である。

【図２】本発明に係る筆記具のインキ補充装置の実施形
態における使用状態を示す部分断面説明図である。

【図３】本発明に係る筆記具のインキ補充装置の実施形
態におけるサインペンを示す部分断面説明図である。

【図４】本発明に係る筆記具のインキ補充装置の他の実
施形態を示す断面説明図である。

【符号の説明】

１ インキ充填筒 ２ 区画壁 ３ インキ充填部 ４ 開口装着部 ５ 貫通孔 ６ 栓 ７ 差受体（筆記具差受体） ８ 大径差受部 ９ 小径部 １０ 干渉突部 １０Ａ 干渉突部 １１ サインペン（筆記具） １２ ペン芯 １４ 流通孔

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 インキ補充容器に筆記具を挿入してイン
   キを補充する筆記具のインキ補充装置において、 上記インキ補充容器は、インキ充填筒と、このインキ充
   填筒にスライド可能に嵌入されたほぼ筒形の筆記具差受
   体とを含み、 上記インキ充填筒の内部にインキ充填部と開口装着部と
   を仕切る区画壁を設けてこの区画壁の貫通孔には栓を取
   り外し可能に嵌め、 上記筆記具差受体の開口一端部から開口他端部にかけて
   大径差受部と小径部とをそれぞれ形成し、該大径差受部
   の外周壁を上記開口装着部の内周壁に接触させ、上記開
   口他端部の端面に上記筆記具の挿入時に上記栓に接触す
   る干渉突部を備えたことを特徴とする筆記具のインキ補
   充装置。