JPH11221017A - 油脂組成物 - Google Patents

油脂組成物

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JPH11221017A
JPH11221017A JP10023534A JP2353498A JPH11221017A JP H11221017 A JPH11221017 A JP H11221017A JP 10023534 A JP10023534 A JP 10023534A JP 2353498 A JP2353498 A JP 2353498A JP H11221017 A JPH11221017 A JP H11221017A
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fat
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Katsuyoshi Tanaka
克佳 田中
Fumiko Irie
文子 入江
Tetsushige Yabushita
哲成 藪下
Keisuke Hasegawa
啓介 長谷川
Ryoji Munakata
良治 宗像
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Asahi Denka Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パン本来の良好な風味と「サクさ」のある食
感を有し、かつ電子レンジ加熱を行っても、食感や外観
の悪化のない、電子レンジ加熱に適したパン類を製造で
きる油脂組成物を提供すること。 【解決手段】 水で膨潤させた化工澱粉とプロテアーゼ
が油脂中に分散しており、乳化物でない油脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水で膨潤させた化
工澱粉とプロテアーゼを含有するパン練り込み用の油脂
組成物に関するものであり、特に電子レンジ加熱に適し
たパン類を製造することができる油脂組成物に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、ハンバーガーやホットドックなど
の温めて食するパン製品を冷蔵または冷凍で流通・保管
し、店頭や家庭にて電子レンジで再加熱して食すること
が行われるようになっている。しかし、通常のパンを電
子レンジで加熱すると、パンの表面にシワがより、外観
が悪化するばかりでなく、「ヒキ」が強く歯切れの悪い
食感となり、パン本来の美味しさを味わうことは出来な
かった。特に、ハンバーガーやホットドックのようにパ
ン具材をサンドまたはフィリングしたものは、パン部分
に比べ具材であるハンバーグやソーセージ部分の温度上
昇が遅いため、具材を十分に加熱するまで電子レンジ加
熱を行った場合、パン部分が過剰に加熱され、食感の悪
化がより顕著になるという問題点があった。一方、パン
部分の食感を悪化させないために加熱時間を短縮する
と、具材の加熱が不足し本来の美味しさを感じることが
出来ないため、具材が十分に加熱するまで電子レンジ加
熱を行っても食感が変化しないパンが求められていた。
【0003】この問題を解決するため、パン生地中の
油脂量を10〜30%と多量に添加し、更に麩切りを行
う方法(特開昭63―287435号公報)、ショ糖
脂肪酸エステル等の乳化剤を小麦粉に対して1〜6%と
多量に配合する方法(特開平2―222639号公
報)、α化処理澱粉および保水性を有する食物繊維を
添加する方法(特開平4―36140号公報)、液晶
状態の乳化剤およびプロテアーゼ類・アミラーゼ類・保
水剤を混合した組成物を配合する方法(特開平5―68
466号公報)、小麦粉の一部を米粉に置換し、更に
バイタルグルテンを添加し、小麦粉由来のタンパク質量
を調整する方法(特開平5―15298号公報)などが
提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
63―287435号公報に記載の方法では、十分な電
子レンジ加熱耐性を付与することは出来ず、また麩切り
を行うため適用できるパン製品が限定されてしまう。ま
た、特開平2―222639号公報に記載の方法では、
乳化剤を多量に使用するため、食感がネチャつき、更に
乳化剤の味によりパン本来の風味が損なわれてしまう。
また、特開平4―36140号、特開平5―68466
号および特開平5―15298号の各公報に記載の方法
も、ある程度の電子レンジ加熱耐性は得られるが、ハン
バーガーやホットドックの具材を十分に温めるまで電子
レンジ加熱した場合には上述した食感の悪化や表面のシ
ワの発生などの欠点があった。
【0005】従って、本発明の目的は、パン本来の良好
な風味と「サクさ」のある食感を有し、かつ電子レンジ
加熱を行っても、食感や外観の悪化のない、電子レンジ
加熱に適したパン類を製造できる油脂組成物を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を、
水で膨潤させた化工澱粉とプロテアーゼが油脂中に分散
しており、乳化物でないことを特徴とする油脂組成物を
提供することにより達成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の油脂組成物につ
いて詳述する。本発明で使用する油脂としては、特に限
定されないが、例えばパーム油、パーム核油、ヤシ油、
コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ
油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚
油、鯨油などの各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを
水素添加、分別およびエステル交換から選択される一ま
たは二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発
明においてはこれらの油脂を単独で用いることもでき、
または二種以上を組み合わせて用いることもできる。上
記油脂の配合量は、本発明の油脂組成物中、好ましくは
20〜90重量%(以下、%と略記する)、さらに好ま
しくは40〜80%である。
【0008】本発明で用いられる化工澱粉としては、特
に限定されないが、生澱粉の表面構造を保持しており、
その結果、酵素による分解を受け難く、耐老化性を有
し、しかも水膨潤力を有する化工澱粉であることが好ま
しい。上記性質を有するものであれば、市販のものを使
用することができる。上記化工澱粉としては、プロピレ
ンオキサイドによるヒドロキシプロピルエーテル化処理
および酸架橋処理を施した澱粉を、生澱粉の表面構造を
保持した状態になるようにアルファ化処理し乾燥させ
た、アルファ化変性澱粉および/または部分アルファ化
澱粉であることが好ましい。澱粉をプロピレンオキサイ
ドによるヒドロキシプロピルエーテル化処理および酸架
橋処理を施す方法としては、特に限定されず、公知のい
かなる方法によっても実施することができる。
【0009】本発明の油脂組成物中の化工澱粉は、上記
化工澱粉を水で膨潤させたものである。この化工澱粉を
水で膨潤させる方法としては、例えば、粉体混合機中に
化工澱粉の粉末を投入し、攪拌しながら水を噴霧して化
工澱粉を水で膨潤させる方法や、油脂組成物を製造する
際、油脂中に化工澱粉を粉末のまま添加し、分散させ、
該油脂に水を添加することにより、油脂中の化工澱粉を
水で膨潤させる方法がある。
【0010】化工澱粉を膨潤させるのに用いる水として
は、特に限定されず、通常の水道水、ミネラルウォータ
ー、イオン交換処理水、蒸留水などのいずれを使用して
もよく、これらの2種以上を混合して使用してもよい。
また、水についてはそのpHや塩濃度、糖濃度などの水
分活性を調整したり、各種保存料を添加することによっ
て細菌やカビに対する安定性を向上させることも可能で
ある。
【0011】水の配合量は、化工澱粉100重量部(以
下、部と略記する)に対して、好ましくは20〜500
部、さらに好ましくは22〜300部、最も好ましくは
25〜200部である。水の配合量が20部未満では、
化工澱粉が油脂組成物中で吸水膨潤せず、澱粉の粉体成
分が配合槽内や配管内に沈降しやすくなり、不都合が生
じたり、油脂中に硬い粉体成分が含まれるため、冷却可
塑化工程での製造機内部の摩耗を早めてしまうなどの問
題を生じることがある。一方、500部より多いと、油
脂組成物中の水分含量が高くなりすぎ、上記化工澱粉に
保持できる水分量の限界を超えるため、いわゆる乳化物
になってしまい、油中水型の乳化状態となってしまった
り、また外相を油相とした油脂組成物の安定性が低下し
たり、水分離などの弊害が生じやすいので、上記範囲内
とするのが好ましい。水の最大配合量は、本発明に使用
する化工澱粉が有する最大保水力(吸水力)である。通
常の澱粉粉体には5〜15%程度の既存の水分が含まれ
るが、本発明を実施するためにはそれだけの水分では不
十分である。また、水の配合量にその既存の水分を加算
してよい。
【0012】上記の水で膨潤させた化工澱粉の配合量
は、本発明の油脂組成物中、好ましくは0.3〜80
%、さらに好ましくは3〜50%である。上記の水で膨
潤させた化工澱粉の配合量が0.3%未満では、練り込
み用油脂としてパン生地に用い、焼成したパンを電子レ
ンジ加熱したときにパンの食感が悪化してしまうことが
ある。また、80%より多いと、練り込み用油脂として
使用した場合、パン生地の延びが悪くなってしまうこと
がある。
【0013】本発明の油脂組成物においては、上記化工
澱粉は澱粉粒子を保持したまま吸水膨潤した状態で外相
となる油脂中に分散している。その結果、適度に膨潤し
た化工澱粉の澱粉粒子が外相となる油脂にコーティング
されるため、生地に添加し、混捏した場合でも、化工澱
粉の急激な吸水が起こらず、通常の混捏条件によって、
グルテンが十分に吸水することができ、良好な生地が形
成される。
【0014】本発明で用いられるプロテアーゼとして
は、ペプシン、パパイン、トリプシンなどがあげられ、
これらの中でもトリプシンを用いるのが好ましい。本発
明では、酵素としてプロテアーゼを用いることにより、
パンの材料である小麦粉中の蛋白質が適度に分解され、
焼成したパンを電子レンジ加熱したときのグルテンの硬
化を抑制し、またパン生地にプロテアーゼがゆっくり作
用するためパン生地がだれてしまうことがない。上記プ
ロテアーゼの配合量は、本発明の油脂組成物中、好まし
くは0.2〜1.0%、さらに好ましくは0.25〜
0.5%、最も好ましくは0.3〜0.4%である。
【0015】また、本発明の油脂組成物中に配合するプ
ロテアーゼを力価に換算すると、好ましくは0.66〜
3.3AU単位、さらに好ましくは0.825〜1.6
5AU単位、最も好ましくは0.99〜1.32AU単
位である。この力価の測定方法は、M/25リン酸緩衝
液でpH7.5に調整した環境下でヘモグロビンを基質
とし、酵素溶液を1ml加えて、25℃の温度にて10
分間反応させたとき、1分間に1μgのチロシンに相当
する275nmの吸光度をTCA可溶成分として遊離す
る活性量を1AU単位とした。
【0016】本発明の油脂組成物には、電子レンジ加熱
耐性を付与するために、必要により、ベーカリー生地の
グルテンを強化する乳化剤、グルテンを酸化することに
よって強固なグルテン膜を形成する酸化剤、プロテアー
ゼ以外のグルテン膜の伸びを改良する酵素などを添加す
ることもできる。
【0017】上記乳化剤としては、特に限定されない
が、例えばモノグリセリン脂肪酸エステル(MG)、蔗
糖脂肪酸エステル(SE)、ソルビタン脂肪酸エステル
(SOE)、プロピレングリコール脂肪酸エステル(P
GME)、レシチン(LC)、有機酸モノグリセリド
(有機酸MG)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(PG
E),ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(P
GPR)、ステアロイル乳酸カルシウム(CSL)、ス
テアロイル乳酸ナトリウム(SSL)などをあげること
ができる。本発明においては、これらの乳化剤を1種ま
たは2種以上用いることができ、好ましくはモノグリセ
リン脂肪酸エステルと有機酸モノグリセリドを併用して
用いるのがよく、さらに好ましくはモノグリセリン脂肪
酸エステルとコハク酸モノグリセリドおよび/またはジ
アセチル酒石酸モノグリセリドを用いるのがよい。上記
乳化剤の配合量は、本発明の油脂組成物中、好ましくは
0〜30%、さらに好ましくは0〜20%、最も好まし
くは0〜8%である。乳化剤の配合量が30%よりも多
いと、最終製品における風味の劣化や食感の悪化など乳
化剤の悪影響が現れてしまう。
【0018】また、上記酸化剤としては、特に制限はな
く、例えばアルコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウ
ム、アスコルビン酸カリウム、臭素酸カリウム、ヨウ素
酸カリウムなどをあげることができる。これらの酸化剤
は単独でも2種以上を組み合わせてもよく、アスコルビ
ン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリ
ウムを用いることが好ましい。上記酸化剤の配合量は、
本発明の油脂組成物中、好ましくは0.001〜1%、
さらに好ましくは0.01〜0.5%である。酸化剤の
配合量が0.001%よりも少ないと、酸化剤による生
地改良効果が現れず、1%よりも多いと、酸化剤が過度
に作用し、生地が締まりすぎ硬くなってしまい、作業性
や品質の悪い生地となってしまうので好ましくない。
【0019】上記のプロテアーゼ以外の酵素としては、
セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペントサナーゼなどの繊
維質分解酵素などの中から選ばれる1種または2種以上
の酵素をあげることができる。また、本発明の油脂組成
物には、必要により、糖類、乳製品、香料、調味料など
の呈味成分、色素類、酸化防止剤、pH調整剤などを添
加してもよい。
【0020】次に本発明の油脂組成物の製造方法につい
て説明する。1つめの方法として、油脂を加熱し、必要
により乳化剤をこれに添加し、溶解し、油相とする。一
方、化工澱粉に水をスプレーし、膨潤化工澱粉を調製し
ておく。この調製した膨潤化工澱粉を油相に添加分散さ
せる。そしてこれを加熱殺菌し、冷却可塑化する。熱安
定性に欠ける酸化剤や酵素類などは、急冷可塑化し、冷
却した後に、添加混合し、本発明の油脂組成物とする。
【0021】2つめの方法として、油脂を加熱し、必要
により乳化剤をこれに添加し、溶解し、油相とする。こ
れに化工澱粉を粉末のまま添加、分散させる。そして、
この油相を攪拌しながら、水を徐々に添加する。添加し
た水により油相に分散した化工澱粉が吸水膨潤した状態
となる。そしてこれを加熱殺菌し、冷却可塑化する。熱
安定性に欠ける酸化剤や酵素類などは、急冷可塑化し、
冷却した後に、添加混合し、本発明の油脂組成物とす
る。このようにして得られた本発明の油脂組成物は、す
べての水が化工澱粉に吸収されているため、乳化物(油
中水型乳化の状態)ではない。
【0022】本発明の油脂組成物をパン生地に使用する
場合のパン生地への添加量としては、パン生地に使用す
る小麦粉100部に対して、好ましくは5〜35部、よ
り好ましくは8〜25部、さらに好ましくは10〜20
部である。5部よりも少ないと、電子レンジ加熱を行っ
た際に十分な電子レンジ加熱耐性が得られないので好ま
しくなく、35部よりも多いと、生地配合バランスが崩
れ、作業性が悪化し、結果として良好な製品が得られな
い。なおこのとき添加量の基準となる小麦粉とはパン生
地を製造するときに使用する小麦粉すべてのことであ
り、中種工程のあるパン生地の場合、中種工程で使用す
る小麦粉と本捏工程で使用する小麦粉とをあわせたもの
である。
【0023】そして本発明の油脂組成物を用いたパン類
の製造方法は以下の通りである。ストレート法の場合
は、本発明の油脂組成物をパンの製造工程中、パン生地
混捏時に添加すればよい。中種法の場合は、本発明の油
脂組成物を中種、本捏のどちらの時点で添加しても構わ
ないが、本捏工程で本発明の油脂組成物を添加するほう
が好ましい。このようにして得られた本発明のパン生地
を常法により焼成することにより、本発明のパン類を得
ることができる。パン類の種類としては、小麦粉を主体
とするパン類であればどのようなものでも構わない。例
えば、食パン、菓子パン、デニッシュ、クロワッサン、
フランスパンなどをあげることができる。
【0024】本発明の油脂組成物を使用したパン類は、
そのまま食することもできるが、電子レンジの加熱によ
る食感の悪化や表面のシワが発生しないパン類となる。
つまり、焼成したパン類、パン生地を冷蔵または冷凍し
た後に焼成したパン類、あるいは焼成したパン類を冷蔵
または冷凍したパン類などを、電子レンジで加熱して
も、食感の悪化や表面のシワの発生がないパン類とする
ことができる。
【0025】
【実施例】次に、実施例及び比較例により本発明を更に
詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受
けるものではない。
【0026】(実施例1)下記〔表1〕に示す配合に
て、次のような製造方法で本発明の油脂組成物を製造し
た。約60℃に加熱した各原料油脂を混合槽にて混合
し、これに化工澱粉を粉末のまま添加、分散させた。乳
化剤をこの加熱した配合油中に添加し、攪拌、溶解させ
た。そして、配合油を攪拌しながら、食用精製塩を溶解
した水を徐々に添加した。化工澱粉は徐々に吸水、膨潤
し、膨潤化工澱粉が油脂に分散した油脂組成物となっ
た。 そして、上記の膨潤化工澱粉が油相中に分散した
油脂組成物を掻き取り式殺菌機にて加熱殺菌し、チュー
ブ式冷却可塑化機などを用いて急冷可塑化し、油脂組成
物を得た。酸化剤や酵素類の安定性に欠けるものについ
ては、組成物が冷却されたあとに添加し、混合した。得
られた油脂組成物は、乳化物ではなかった。
【0027】(実施例2および3)下記〔表1〕に示す
配合にて、次のような製造方法で本発明の油脂組成物を
製造した。約60℃に加熱した各原料油脂を混合槽にて
混合し、油相を得た。乳化剤をこの加熱混合した油相に
添加し、攪拌した。一方、粉体混合機中に化工澱粉を投
入し、攪拌をしながら、水を化工澱粉にスプレーし、膨
潤化工澱粉とした。得られた膨潤化工澱粉を、先に調製
した油相中に添加、分散させた。そして、上記の膨潤化
工澱粉が油相中に分散した油脂組成物を掻き取り式殺菌
機にて加熱殺菌し、チューブ式冷却可塑化機などを用い
て急冷可塑化し、油脂組成物を得た。酸化剤や酵素類の
安定性に欠けるものについては、組成物が冷却されたあ
とに添加し、混合した。得られた油脂組成物は、乳化物
ではなかった。
【0028】(比較例1)下記〔表1〕に示す配合に
て、実施例1と同様の製造方法で油脂組成物を製造し
た。得られた油脂組成物は、乳化物ではなかった。
【0029】(比較例2)下記〔表1〕に示す配合に
て、次のような製造方法で油脂組成物を製造した。約6
0℃に加熱した各原料油脂を混合槽にて混合し、乳化剤
をこの加熱した配合油中に添加し、攪拌、溶解させた。
そして、配合油を攪拌しながら、食用精製塩を溶解した
水を徐々に添加した。そして、この油脂組成物を掻き取
り式殺菌機にて加熱殺菌し、チューブ式冷却可塑化機な
どを用いて急冷可塑化し、油脂組成物を得た。酸化剤や
酵素類の安定性に欠けるものについては、組成物が冷却
されたあとに添加し、混合した。得られた油脂組成物
は、自由水が存在し、油中水型の乳化状態であった。
【0030】(比較例3)下記〔表1〕に示す配合に
て、次のような製造方法で油脂組成物を製造した。約6
0℃に加熱した各原料油脂を混合槽にて混合し、これに
化工澱粉を粉末のまま添加、分散させた。乳化剤をこの
加熱した配合油中に添加し、攪拌、溶解させた。そし
て、配合油を攪拌しながら、水を徐々に添加した。化工
澱粉は徐々に吸水、膨潤し、膨潤化工澱粉が油脂に分散
した油脂組成物となった。そして、上記の膨潤化工澱粉
が油相中に分散した油脂組成物を掻き取り式殺菌機にて
加熱殺菌し、チューブ式冷却可塑化機などを用いて急冷
可塑化し、油脂組成物を得た。得られた油脂組成物は、
乳化物ではなかった。
【0031】
【表1】
【0032】上記〔表1〕において、1)〜12)を付
した配合成分は、下記の通りである。 化工澱粉A1): アルファ化変性澱粉(5倍の水の保持
力を有し、吸水後も生澱粉粒の表面構造を保持するも
の) 化工澱粉B2): 部分アルファ化澱粉(5倍の水の保持
力を有し、吸水後も生澱粉粒の表面構造を保持するも
の) MG3): モノグリセリド LC4): レシチン コハク酸MG5): コハク酸モノグリセリド DATEM6): ジアセチル酒石酸モノグリセリド PGE7): ポリグリセリン脂肪酸エステル PGPR8): ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エス
テル CSL9): ステアロイル乳酸カルシウム SSL10) : ステアロイル乳酸ナトリウム トリプシン製剤11) : トリプシン力価3.3AU単位
の市販酵素製剤 アミラーゼ製剤12) : アミラーゼ力価800単位の市
販酵素製剤
【0033】(使用試験例)実施例1〜3および比較例
1〜3の油脂組成物を用い、以下のような配合、製法で
プルマン型食パンを製造した。 「配合」 [中種配合] (部) 強力粉 70 イースト 2.2 イーストフード 0.1 水 40 [本捏配合] (部) 強力粉 30 上白糖 6 食塩 1.8 脱脂粉乳 2 油脂組成物 10 水 28 「プルマン型食パンの製法」 〔中種〕 ミキシング L2M2 捏上温度 24℃ 発酵条件 28℃ 85%RH 4時間 [本捏] ミキシング L3M2H1(油脂を投入)L3M2H2 捏上温度 28℃ フロアタイム 20分 分 割 220g ベンチタイム 20分 成 型 モルダー成型 220g×6個(U字詰め) ホイロ 38℃ 85%RH 40分 焼 成 200℃ 40分
【0034】「評価方法」実施例1〜3および比較例1
〜3の油脂組成物を用いて得られたプルマン型食パンを
20℃で24時間保存した後に、プルマン型食パンを3
cm厚に切断した。そして電子レンジ加熱前後のクラム
のヒキの強さを次のようにして測定した。電子レンジ加
熱は、高周波出力500Wの家庭用電子レンジを用い6
0秒加熱した。加熱後のパン中心部温度は80〜90℃
となった。クラムのヒキの強さは、上記の3cm厚に切
断したプルマン型食パンをさらに7cm×2cmに切断
して7cm×2cm×3cmの短冊状にクラム部分をつ
くり、レオメーターを用いて、以下の測定条件にて試料
が完全にちぎれるまでの時間(秒)及び抵抗(g)から
測定した。この際のレオメーターのチャート波形は図1
に示すようなものとなり、試料の「ヒキ」は斜線部分の
面積となる。斜線部分の面積は近似的に、時間(秒)×
抵抗(g)/2で求めることができ、この計算式で計算
した値を試料の「ヒキ」とした。その結果を下記〔表
2〕に示した。 (測定条件) 使用機種 NRM−2005J型 (不動工業株式会社製) 使用アダプター No17(食品引っ張り用) 試料引っ張り速度 30cm/分
【0035】また、上記のプルマン型食パンの食感につ
いてパネルテストも実施した。その結果を下記〔表2〕
に示した。食感はパネラー5名にて、以下のように評価
した。 ○:電子レンジ加熱後の食感が、電子レンジ加熱前と同
様に「ヒキ」がなくソフトで歯切れの良い状態。 △:電子レンジ加熱後の食感が、電子レンジ加熱前に比
べ「ヒキ」が強くなることを感じるが、ソフトな状態。 ×:電子レンジ加熱後の食感が、電子レンジ加熱前に比
べ著しく「ヒキ」が強くゴム様の食感となった状態。
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】本発明の油脂組成物によれば、パン本来
の良好な風味と「サクさ」のある食感を有し、かつ電子
レンジ加熱を行っても、食感や外観の悪化のない、電子
レンジ加熱に適したパン類を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、レオメーターを用いてクラムのヒキの
強さを測定した際のレオメーターのチャート波形の概略
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 啓介 東京都荒川区東尾久七丁目2番35号 旭電 化工業株式会社内 (72)発明者 宗像 良治 東京都荒川区東尾久七丁目2番35号 旭電 化工業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水で膨潤させた化工澱粉とプロテアーゼ
    が油脂中に分散しており、乳化物でないことを特徴とす
    る油脂組成物。
  2. 【請求項2】 水で膨潤させた化工澱粉が、水で膨潤す
    る前の化工澱粉100重量部に対し、水20〜500重
    量部を配合し膨潤させたものであることを特徴とする請
    求項1記載の油脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の油脂組成物を用
    いることを特徴とするパン生地。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のパン生地を焼成し、さら
    に電子レンジ加熱を行うことを特徴とするパン類。
JP02353498A 1998-02-04 1998-02-04 油脂組成物 Expired - Lifetime JP4086352B2 (ja)

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