JP6721392B2 - 製パン練り込み用油脂組成物 - Google Patents
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Description
しかし、α−アミラーゼ等の酵素を使用するこれらの方法では、ソフトでしとりがあり口溶けが良好であるパンは得られるものの、パン生地がべとついて扱いにくくなるという問題があった。
アミラーゼは、デンプンやグリコーゲン等が有するグリコシド結合を加水分解する酵素の総称であり、一般にアミラーゼはその作用部位の違いによって、α−1,4グルコシド結合をランダムに切断するα−アミラーゼ、非還元性末端からマルトース単位で逐次分解するβ−アミラーゼ、同じくα−1,4グルコシド結合をグルコース単位で分解し、また、分岐点のα−1,6結合をも分解するグルコアミラーゼ等が挙げられる。
本発明の製パン練り込み用油脂組成物においては、アミラーゼの中でも、マルトース生成型アミラーゼであることが必要である。
ヘミセルラーゼとはヘミセルロースを基質として加水分解する酵素の総称である。
本発明の製パン練り込み用油脂組成物では、上記マルトース生成型アミラーゼに加え、ヘミセルラーゼを併用することで、ソフトで、しとりと口溶けが良好であるパンを生地物性を悪化させることなく安定して得ることができる。
尚、1単位とは、1分間につき1μmolのキシロース当量の還元糖を生じる酵素の量として定義されるものとする。
上記分解活性比が10未満であると、例えば、食パン生地や菓子パン生地等の水分含量の高いパン生地の場合に、生地のべたつきが強くなってしまうことがある。
(1)不溶性アラビノキシランに対する酵素活性の測定
不溶性アラビノキシラン製剤(XylazymeAX:メガザイム社製)の懸濁液(40mgの試料を8mlの脱イオン水に懸濁)300μlをマイクロプレートに分注し凍結乾燥したものを測定に用いる。このマイクロプレートの各ウェルに酵素液(ウシ血清アルブミン(0.5mg/ml)を含むpH4.6、0.1Mの酢酸ナトリウム緩衝液に、酵素を0〜40単位懸濁したもの)25μlと該緩衝液25μlを分注して酵素反応を開始し、37℃で1時間酵素反応させた後、1%(w/v)トリス緩衝液200μlを添加して酵素反応を停止する。10分間室温でおいた後、遠心分離(3000g、15分)して得た上清について、分光光度計を用いて吸光度を600nmで読み取る。尚、酵素液の代わりに緩衝液を添加したものをブランクとして使用する。
水溶性アラビノキシラン溶液(AZOWAX:メガザイム社製)33μlと酵素液(ウシ血清アルブミン(0.5mg/ml)を含むpH4.6、0.1Mの酢酸ナトリウム緩衝液に、酵素を0〜40単位懸濁したもの)33μlをマイクロプレートの各ウェルに分注して酵素反応を開始する。37℃で1時間酵素反応させた後、エタノール140μlを添加して酵素反応を停止する。10分間室温でおいた後、遠心分離(3000g、15分)して得た上清について、分光光度計を用いて吸光度を600nmで読み取る。尚、酵素液の代わりに緩衝液を添加したものをブランクとして使用する。
1つの酵素につき上記(1)と(2)の両方の酵素活性の測定を行い、それらの結果から以下のようにして、「不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性の比」を算出する。
それぞれの吸光度と酵素含量について非線形回帰曲線Y=Ymax×(1−e−K*X)(Yは吸光度、Xは酵素量)をプロットし、その直線性のある部分、好ましくはYの最大値の1/10以下の範囲で、その傾き(S)を下記の式により算出する。
傾き(S)=(Ymax×K)/1.0536
ここで、この傾きの比、すなわちS(不溶性アラビノキシラン)/S(水溶性アラビノキシラン)の値を「不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性の比」とする。
該その他の原料としては、例えば、水、糖類、乳化剤、上記以外の酵素、澱粉類、デキストリン、食物繊維、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、脱脂粉乳・カゼイン・ホエーパウダー・脱脂濃縮乳等の乳や乳製品、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白等の植物蛋白、全卵・卵黄・酵素処理卵黄・卵白・卵蛋白質等の卵及び各種卵加工品、着香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
上記その他の原料は、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、上記製パン練り込み用油脂組成物中、合計で好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下となる範囲で使用することが好ましい。
本発明の製パン練り込み用油脂組成物が乳化物である場合、その乳化形態は、油中水型、水中油型、及び二重乳化型のいずれでも構わないが、油中水型乳化物の形態であることが好ましい。
該製造方法の場合、各酵素を順次別個に添加することができ、また上述の2種又は3種の酵素を含有する水溶液を用意してそれを添加することもできる。
また、上記の可塑性油脂組成物の製造工程において、窒素、空気等を含気させても、含気させなくても構わない。
本発明のパンは、本発明の製パン練り込み用油脂組成物を配合したパンである。本発明のパンにおける製パン練り込み用油脂組成物の含有量は、従来の製パン練り込み用油脂組成物と同様であり、パンの種類によっても異なるが、パン生地に含まれる穀粉類100質量部に対し、好ましくは2〜30質量部、より好ましくは4〜20質量部である。
本発明のパンは、本発明の製パン練り込み用油脂組成物を生地に練り込んだパン生地を加熱処理することにより得られる。
上記パン生地の製造方法としては、中種法、直捏法、液種法、中麺法、湯種法等、従来製パン法として使用されるあらゆる製パン法を採ることができる。
本発明のパン生地を中種法で製造する場合は、本発明の製パン練り込み用油脂組成物を中種生地及び/又は本捏生地に練り込むことにより製造することができるが、本捏生地に練り込むことが好ましい。
尚、得られたパン生地は、冷蔵、冷凍保存することが可能である。
〔実施例1〕
ヨウ素価60のパームスーパーオレインのランダムエステル交換油脂95質量部、パーム油5質量部を60℃に加熱し溶解・混合して得られた油脂配合物99.35質量部を、常法に従って加熱殺菌及び冷却・可塑化した。続いて、高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼ(Novozymes社製・製品名「Novamyl 10000BG」10000単位/g使用、至適温度75〜85℃。以下で使用した高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼも同じ。)0.2質量部、α−アミラーゼ(Novozymes社製・製品名「Fungamyl 2500SG」2500単位/g使用。以下で使用したα−アミラーゼも同じ。)0.15質量部、及び、ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名「ベイクザイムBXP5001BG」)0.3質量部を添加・混合し、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Aを得た。
また、製パン練り込み用油脂組成物A100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、α−アミラーゼは375単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が1500単位となる量であった。
ヨウ素価60のパームスーパーオレインのランダムエステル交換油脂95質量部、パーム油5質量部を60℃に加熱し溶解・混合して得られた油脂配合物83.25質量部に大豆レシチン0.2質量部を混合し油相を調製した。この中へ水からなる水相16質量部を混合し、常法に従って加熱殺菌及び冷却・可塑化を行った。続いて、実施例1で使用した高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼ0.2質量部、実施例1で使用したα−アミラーゼ0.15質量部、及び、実施例1で使用したヘミセルラーゼ0.3質量部を添加・混合し、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Bを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物B100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、α−アミラーゼは375単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が1500単位となる量であった。
ヘミセルラーゼの添加量を0.3質量部から1.5質量部に変更し、水の配合量を16質量部から14.8質量部に変更した以外は実施例2の配合・製法と同様にして、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Cを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物C100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、α−アミラーゼは375単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が7500単位となる量であった。
ヘミセルラーゼの添加量を0.3質量部から0.9質量部に変更し、水の配合量を16質量部から15.4質量部に変更した以外は実施例2の配合・製法と同様にして、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Dを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物D100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、α−アミラーゼは375単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が4500単位となる量であった。
ヘミセルラーゼの添加量を0.3質量部から0.1質量部に変更し、水の配合量を16質量部から16.2質量部に変更した以外は実施例2の配合・製法と同様にして、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Eを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物E100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、α−アミラーゼは375単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が500単位となる量であった。
ヘミセルラーゼの添加量を0.3質量部から0.04質量部に変更し、水の配合量を16質量部から16.26質量部に変更した以外は実施例2の配合・製法と同様にして、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Fを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物F100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、α−アミラーゼは375単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が200単位となる量であった。
ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名ベイクザイムBXP5001BG)0.3質量部に代えて、ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名リアル−X)0.05質量部を使用し、水の配合量を16質量部から16.25質量部に変更した以外は実施例2の配合及び製法と同様にして本発明で使用する製パン練り込み用油脂組成物Gを得た。
尚、上記ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名リアル−X)は、アラビノキシランを分解する活性が、22000単位/gであり、アラビノキシランを主基質とするものであった。また不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性の比(分解活性比:不溶性アラビノキシラン/水溶性アラビノキシラン)=2.5であった。
尚、製パン練り込み用油脂組成物G100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、α−アミラーゼは375単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が1100単位となる量であった。
ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名ベイクザイムBXP5001BG)0.3質量部に代えて、ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名ベイクザイム2000SG)0.4質量部を使用し、水の配合量を16質量部から15.9質量部に変更した以外は実施例2の配合及び製法で本発明で使用する製パン練り込み用油脂組成物Hを得た。
尚、上記ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名ベイクザイム2000SG)は、アラビノキシランを分解する活性が、2000単位/gであり、アラビノキシランを主基質とするものであった。また不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性の比(分解活性比:不溶性アラビノキシラン/水溶性アラビノキシラン)=8であった。
尚、製パン練り込み用油脂組成物H100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、α−アミラーゼは375単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が800単位となる量であった。
α−アミラーゼ0.15質量部を無添加とし、水の配合量を16質量部から16.15質量部に変更した以外は実施例2の配合及び製法で本発明で使用する製パン練り込み用油脂組成物Iを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物I100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が1500単位となる量であった。
α−アミラーゼ0.15質量部を無添加とし、ヘミセルラーゼの添加量を0.3質量部から1.5質量部に変更し、水の配合量を16質量部から13.65質量部に変更した以外は実施例2の配合・製法と同様にして、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Jを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物J100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が7500単位となる量であった。
α−アミラーゼ0.15質量部を無添加とし、ヘミセルラーゼの添加量を0.3質量部から0.04質量部に変更し、水の配合量を16質量部から16.41質量部に変更した以外は実施例2の配合・製法と同様にして、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Kを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物K100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が200単位となる量であった。
高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼの添加量を0.2質量部から0.05質量部に変更し、水の配合量を16質量部から16.15質量部に変更した以外は実施例2の配合・製法と同様にして、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Lを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物L100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは500単位、α−アミラーゼは375単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が1500単位となる量であった。
高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼの添加量を0.2質量部から0.4質量部に変更し、水の配合量を16質量部から15.8質量部に変更した以外は実施例2の配合・製法と同様にして、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Mを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物M100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは4000単位、α−アミラーゼは375単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が1500単位となる量であった。
高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼの添加量を0.2質量部から0.8質量部に変更し、水の配合量を16質量部から15.2質量部に変更した以外は実施例2の配合・製法と同様にして、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Nを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物N100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは8000単位、α−アミラーゼは375単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が1500単位となる量であった。
α−アミラーゼの添加量を0.15質量部から0.05質量部に変更し、水の配合量を16質量部から16.2質量部に変更した以外は実施例2の配合・製法と同様にして、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Oを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物O100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、α−アミラーゼは125単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が1500単位となる量であった。
α−アミラーゼの添加量を0.15質量部から0.3質量部に変更し、水の配合量を16質量部から15.85質量部に変更した以外は実施例2の配合・製法と同様にして、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Pを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物P100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、α−アミラーゼは750単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が1500単位となる量であった。
高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼ0.2質量部及びα−アミラーゼ0.15質量部を無添加とし、ヘミセルラーゼの添加量を0.3質量部から0.65質量部に変更した以外は実施例2の配合及び製法で比較例の製パン練り込み用油脂組成物Qを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物Q100gに含まれるヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が3250単位となる量であった。
α−アミラーゼ0.15質量部及びヘミセルラーゼ0.3質量部を無添加とし、高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼの添加量を0.2質量部から0.65質量部に変更した以外は実施例2の配合及び製法で比較例の製パン練り込み用油脂組成物Rを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物R100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは6500単位となる量であった。
高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼ0.2質量部及びヘミセルラーゼ0.3質量部を無添加とし、α−アミラーゼの添加量を0.15質量部から0.65質量部に変更した以外は実施例2の配合及び製法で比較例の製パン練り込み用油脂組成物Sを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物S100gに含まれるα−アミラーゼは1625単位となる量であった。
高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼ0.2質量部、α−アミラーゼ0.15質量部、及び、ヘミセルラーゼ0.3質量部を無添加とし、水の配合量を16質量部から16.65質量部に変更した以外は実施例2の配合及び製法で比較例の製パン練り込み用油脂組成物Tを得た。
得られた上記製パン練り込み用油脂組成物A〜Tを用いて、下記に示す配合及び製法によりプルマン型食パンを製造し、分割・丸目時の生地作業性並びに得られた食パンを20℃にて2日保管した後の風味及び食感(ソフト性、しとり感及び口溶け)について、下記評価基準に従って4段階で評価し、結果を表1に示した。
強力粉(商品名「カメリア」:日清製粉製、タンパク質含量11.8%及び灰分0.37%)70質量部、生イースト2質量部、イーストフード0.1質量部及び水40質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で2分、中速で2分混合し、中種生地を得た。捏ね上げ温度は24℃であった。この中種生地を生地ボックスに入れ、温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種醗酵を行なった。終点温度は29℃であった。この中種醗酵の終了した生地を再びミキサーボウルに投入し、更に、強力粉(商品名「イーグル」:日本製粉製)30質量部、上白糖5質量部、脱脂粉乳2質量部、食塩1.5質量部及び水25質量部を添加し、低速で3分、中速で3分本捏ミキシングした。ここで、製パン練り込み用油脂組成物8質量部を投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で3分、高速で1分ミキシングを行ない、食パン生地を得た。得られた食パン生地の捏ね上げ温度は28℃であった。ここで、フロアタイムを20分とった後、230gに分割・丸目を行なった。次いで、ベンチタイムを20分とった後、モルダー成形し、6本をU字にして3斤型プルマン型に入れ、38℃、相対湿度85%で50分ホイロをとった後、200℃に設定した固定窯に入れ40分焼成してプルマン型食パンを得た。
・生地作業性
◎:べとつきもなく伸展性もよく、極めて良好な作業性であった。
○:良好な作業性であった。
○−:わずかにべとつきが感じられるか又はわずかに伸展性が悪く感じられるが、良好な作業性であった。
△:ややべとつきが感じられるか又はやや伸展性が悪く、作業性が若干劣るものであった。
×:べとつきがあるか又は伸展性が悪く、作業性が劣るものであった。
・風味
◎:極めて良好
○:良好
△:エグ味がありムレ臭がある
×:エグ味がありムレ臭が激しい
・食感(ソフト性)
◎+:極めて良好
◎:良好
○:やや良好
△:やや悪い
×:悪い
・食感(しとり感)
◎+:極めて良好
◎:良好
○:やや良好
△:ややぱさついた感じである
×:乾いた食感である
・食感(口溶け)
◎:歯切れが極めて良好
○:歯切れが良好
△:ややねちゃつく、又は、ややひきが感じられる。
×:ねちゃつきが激しい、又は、ひきが強い。
特に上記2種の酵素に加え、α−アミラーゼを加えた3種の酵素を含有する製パン練り込み用油脂組成物を使用した場合は、さらに食感が優れるパンが得られることがわかる。
特に、ヘミセルラーゼは、アラビノキシランを主基質とし、且つ、不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性の比(分解活性比:不溶性アラビノキシラン/水溶性アラビノキシラン)が10以上であるものを使用すると、生地物性が良好になることがわかる。
Claims (4)
- マルトース生成型αアミラーゼ及びヘミセルラーゼを含有し、
上記ヘミセルラーゼが、アラビノキシランを主基質とし、且つ、不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性の比(分解活性比:不溶性アラビノキシラン/水溶性アラビノキシラン)が10以上である、製パン練り込み用油脂組成物。 - さらにα−アミラーゼを含有する、請求項1に記載の製パン練り込み用油脂組成物。
- マルトース生成型αアミラーゼの至適温度が65〜95℃である、請求項1又は2に記載の製パン練り込み用油脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の製パン練り込み用油脂組成物を配合したパン。
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