JP6721392B2 - 製パン練り込み用油脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、製パン練り込み用油脂組成物、詳しくは、ソフトでしとりと口溶けが良好であるパンを、生地物性を悪化させることなく得ることができる製パン練り込み用油脂組成物に関する。
パンに求められる食感としては、ソフト性はもちろん、最近では、しとりと口溶けに対する関心が高く、プルマンブレッド等の食パンであっても、従来のパンに比べて、よりソフトでしとりがあり、口溶けが良好なパンが求められている。
このようなパンを得るには、基本的には水分を多く配合すればよい。しかし、水分を多く配合したパン生地は、べたついた物性になり、丸めや成型時に扱いにくい等、生地物性が悪化してしまうという問題があった。また、得られたパンは、確かにソフトでしっとりとしているが、ねちゃついた食感になってしまうという問題もあった。
これらの問題を解決するため、製パン時の生地物性の改良やパンの食感改良については、乳化剤、増粘安定剤、酵素等、様々な製パン改良成分を用いた研究がなされており、それらの成分を単独であるいは組み合わせて使用することで、生地物性とパンの食感の両方を改善する製パン改良材組成物が、多種紹介されている。なかでも、マーガリンやショートニング等の油脂組成物中に各種製パン改良成分を含有させた製パン練り込み用油脂組成物は、パン生地混捏時の最終段階で生地に添加することにより、生地のグルテン形成に影響を与えることなく各種製パン改良成分をパン生地に添加可能な点で有利であることから、各種提案されている。
例えば、トランス型不飽和脂肪酸モノグリセリドと糊料を含有する油中水型乳化物(例えば特許文献1参照)、水和された乳化剤及び糊料を含有する油中水型乳化物(例えば特許文献2参照)、糊化膨潤した澱粉粒が分散した油脂組成物(例えば特許文献3参照)、油相中にプロピレングリコール脂肪酸エステルとモノグリセリドを含有する油脂組成物(例えば特許文献4参照)、油相中にジアセチル酒石酸モノグリセリドとモノグリセリドを含有する油脂組成物(例えば特許文献5参照)等が提案されている。
しかし、特許文献1や特許文献2の油中水型乳化物は、生地物性の改良効果が低く、得られたパンもソフトではあるがしとり感がやや不足するという問題があり、更に、水分含量の低いパンでは糊料由来の口溶けが顕れる場合があった。特許文献3の油脂組成物を用いたパン生地は伸展性が低下しやすく、また得られたパンもソフトではあるがしとり感が不足気味であるという問題に加え、水分含量の低いパンでは体積が小さくなってしまう場合があった。特許文献4の油脂組成物を用いたパンは、生地物性の改良効果が低く、また、水分含量の高いパンでは効果が低くなってしまうという問題があった。特許文献5の油脂組成物を用いたパンは体積増加によるソフト性向上効果はあるが、しとり感がやや劣るという問題があった。
一方、従来よりソフト性を目的として、α−アミラーゼ等の酵素を製パン改良剤として添加することが行われている(例えば特許文献6〜10)。
しかし、α−アミラーゼ等の酵素を使用するこれらの方法では、ソフトでしとりがあり口溶けが良好であるパンは得られるものの、パン生地がべとついて扱いにくくなるという問題があった。
特開平03−236734号公報 特開平04−144632号公報 特開平08−224057号公報 特開2007−267654号公報 特開平05−219886号公報 特開平08−089158号公報 特開平09−135656号公報 特開2010−148487号公報 特開2013−046614号公報 特開2011−244777号公報
したがって本発明の目的は、ソフトで、しとりと口溶けが良好であるパンを、生地物性を悪化させることなく安定して得ることができる製パン練り込み用油脂組成物を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決すべく種々検討した結果、特定のアミラーゼにヘミセルラーゼ、特に特定の基質特異性を有するヘミセルラーゼを併用することで、上記目的を達成し得ることを知見した。
本発明は上記知見に基づいて完成されたものであり、マルトース生成型アミラーゼ及びヘミセルラーゼを含有することを特徴とする製パン練り込み用油脂組成物を提供するものである。
本発明の製パン練り込み用油脂組成物を使用することで、ソフトで、しとりと口溶けが良好であるパンを、生地物性を悪化させることなく安定して得ることができる。
以下、本発明の製パン練り込み用油脂組成物について詳述する。
まず、本発明で使用するマルトース生成型アミラーゼについて述べる。
アミラーゼは、デンプンやグリコーゲン等が有するグリコシド結合を加水分解する酵素の総称であり、一般にアミラーゼはその作用部位の違いによって、α−1,4グルコシド結合をランダムに切断するα−アミラーゼ、非還元性末端からマルトース単位で逐次分解するβ−アミラーゼ、同じくα−1,4グルコシド結合をグルコース単位で分解し、また、分岐点のα−1,6結合をも分解するグルコアミラーゼ等が挙げられる。
本発明の製パン練り込み用油脂組成物においては、アミラーゼの中でも、マルトース生成型アミラーゼであることが必要である。
上記マルトース生成型アミラーゼとしては、α−1,4グルコシド結合を切断してマルトースを生成する酵素であれば特に限定されるものではなく、市販のマルトース生成型α−アミラーゼやβ−アミラーゼ等から選ばれた1種又は2種以上を選択することができるが、好ましくはマルトース生成型α−アミラーゼを使用する。
マルトース生成型α−アミラーゼ製剤としては、例えばコクラーゼ(登録商標)(三菱化学フーズ社製)、Novamyl(登録商標)10000BG、Novamyl(登録商標)L、マルトゲナーゼ(登録商標)(以上、ノボザイムズジャパン社製)、グリンドアミル(登録商標)MAX−LIFE100(ダニスコジャパン社製)等が挙げられる。
β―アミラーゼ製剤としては、例えばオプチマルトBBA(ジェネンコア協和社製)、β−アミラーゼ#1500、β−アミラーゼL、β−アミラーゼ#1500S(以上、ナガセケムテックス社製)、ハイマルトシン(登録商標)G 、ハイマルトシン(登録商標)GL(以上、エイチビィアイ社製)、ユニアーゼ(登録商標)L(ヤクルト薬品工業社製)、GODO−GBA(合同清酒社製)等が挙げられる。
本発明においては、上記マルトース生成型アミラーゼの中でも、酵素の至適温度が60℃以上である高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼが好ましい。高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼの至適温度は、好ましくは65〜95℃、より好ましくは70〜90℃である。
上記マルトース生成型アミラーゼの酵素活性は、例えば至適条件(至適温度、至適pH)下において、マルトトリオースを基質に酵素を作用させ、1分間に1マイクロモルのマルトースを生成する酵素量を指標とすることができる。本発明においてマルトース生成型アミラーゼの酵素活性は、該酵素量を1単位とする。マルトースの測定は、「還元糖の定量法第2版」(福井作蔵著、学会出版センター)を参照して行うことができる。
本発明の製パン練り込み用油脂組成物中のマルトース生成型アミラーゼの含有量は、好ましくは50〜75000単位/油脂組成物100g、より好ましくは100〜10000単位/油脂組成物100g、さらに好ましくは500〜5000単位/油脂組成物100gとなる量である。上記マルトース生成型アミラーゼの含有量が油脂組成物100gあたり50単位よりも少ないとパン生地への添加量によっては本発明の効果が見られず、また75000単位よりも多いと、最終的に得られるパンの食感が、弾力が強すぎるものとなってしまうおそれがある。
次に、本発明の製パン練り込み用油脂組成物で使用するヘミセルラーゼについて述べる。
ヘミセルラーゼとはヘミセルロースを基質として加水分解する酵素の総称である。
本発明の製パン練り込み用油脂組成物では、上記マルトース生成型アミラーゼに加え、ヘミセルラーゼを併用することで、ソフトで、しとりと口溶けが良好であるパンを生地物性を悪化させることなく安定して得ることができる。
へミセルロースとは、陸上植物細胞の細胞壁を構成する多糖類のうち、セルロースとペクチン以外のものであり、水溶性のものと不溶性のものがあるが、具体的には例えばキシラン、アラビノキシラン、アラビナン、マンナン、ガラクタン、キシログルカン、グルコマンナン等が挙げられる。
そのため、ヘミセルラーゼは具体的には、キシランを分解するキシラナーゼ、アラビノキシランを分解するアラビノキシラナーゼ等に分類することができるが、実態としてはこれらの活性を混合して有するものであることが多く、実際に市販されている酵素製品もこれらの活性を混合して有するものである場合が多い。
本発明では、上記ヘミセルラーゼの中でも、よりべたつきが少ないパン生地が得られる点で、アラビノキシランを主基質とし、且つ、不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性との比(分解活性比:不溶性アラビノキシラン/水溶性アラビノキシラン)が10以上であるヘミセルラーゼを使用することが好ましい。
「アラビノキシランを主基質とする」とは、アラビノキシランを分解する活性が、好ましくは1000単位/g以上、より好ましくは2000単位/g以上、さらに好ましくは3000単位/g以上であることを指すこととする。
尚、1単位とは、1分間につき1μmolのキシロース当量の還元糖を生じる酵素の量として定義されるものとする。
また、不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性との比(分解活性比:不溶性アラビノキシラン/水溶性アラビノキシラン)は10以上であることが好ましいが、より好ましくは15以上、さらに好ましくは20以上である。尚、その上限は好ましくは40以下、より好ましくは35以下、更に好ましくは30以下である。
上記分解活性比が10未満であると、例えば、食パン生地や菓子パン生地等の水分含量の高いパン生地の場合に、生地のべたつきが強くなってしまうことがある。
不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性との比を算出する方法は、例えば下記(1)〜(3)による方法が挙げられる。
(1)不溶性アラビノキシランに対する酵素活性の測定
不溶性アラビノキシラン製剤(XylazymeAX:メガザイム社製)の懸濁液(40mgの試料を8mlの脱イオン水に懸濁)300μlをマイクロプレートに分注し凍結乾燥したものを測定に用いる。このマイクロプレートの各ウェルに酵素液(ウシ血清アルブミン(0.5mg/ml)を含むpH4.6、0.1Mの酢酸ナトリウム緩衝液に、酵素を0〜40単位懸濁したもの)25μlと該緩衝液25μlを分注して酵素反応を開始し、37℃で1時間酵素反応させた後、1%(w/v)トリス緩衝液200μlを添加して酵素反応を停止する。10分間室温でおいた後、遠心分離(3000g、15分)して得た上清について、分光光度計を用いて吸光度を600nmで読み取る。尚、酵素液の代わりに緩衝液を添加したものをブランクとして使用する。
(2)水溶性アラビノキシランに対する酵素活性の測定
水溶性アラビノキシラン溶液(AZOWAX:メガザイム社製)33μlと酵素液(ウシ血清アルブミン(0.5mg/ml)を含むpH4.6、0.1Mの酢酸ナトリウム緩衝液に、酵素を0〜40単位懸濁したもの)33μlをマイクロプレートの各ウェルに分注して酵素反応を開始する。37℃で1時間酵素反応させた後、エタノール140μlを添加して酵素反応を停止する。10分間室温でおいた後、遠心分離(3000g、15分)して得た上清について、分光光度計を用いて吸光度を600nmで読み取る。尚、酵素液の代わりに緩衝液を添加したものをブランクとして使用する。
(3)不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性の比の算出
1つの酵素につき上記(1)と(2)の両方の酵素活性の測定を行い、それらの結果から以下のようにして、「不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性の比」を算出する。
それぞれの吸光度と酵素含量について非線形回帰曲線Y=Ymax×(1−e−K*X)(Yは吸光度、Xは酵素量)をプロットし、その直線性のある部分、好ましくはYの最大値の1/10以下の範囲で、その傾き(S)を下記の式により算出する。
傾き(S)=(Ymax×K)/1.0536
ここで、この傾きの比、すなわちS(不溶性アラビノキシラン)/S(水溶性アラビノキシラン)の値を「不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性の比」とする。
本発明の製パン練り込み用油脂組成物中のヘミセルラーゼの含有量は、アラビノキシランを基質とした場合の活性が、好ましくは25〜10000単位/油脂組成物100g、より好ましくは50〜5000単位/油脂組成物100g、さらに好ましくは250〜2500単位/油脂組成物100gとなる量である。上記ヘミセルラーゼの含有量が油脂組成物100gあたり25単位未満では、パン生地の種類によっては本発明の効果が得られないおそれがある。一方、10000単位超では、パン生地の種類によっては生地のべたつきが感じられ、さらにはねちゃついた食感のパンとなってしまうおそれがある。
また、本発明の製パン練り込み用油脂組成物におけるヘミセルラーゼの含有量は、上記マルトース生成型アミラーゼ1単位に対して、アラビノキシランを基質とした場合のヘミセルラーゼの活性が0.05〜5単位であることが好ましく、0.15〜3単位であることがより好ましく、0.2〜2単位であることが最も好ましい。上記マルトース生成型アミラーゼ1単位に対して、ヘミセルラーゼが0.05〜5単位の範囲から外れた場合、最終的に得られるパンの食感が劣ったものとなる場合があるため好ましくない。
本発明の製パン練り込み用油脂組成物においては、上記マルトース生成型アミラーゼ及びヘミセルラーゼに加え、α−1,4グルコシド結合をランダムに切断するα−アミラーゼを含有することが好ましい。α−アミラーゼを併用することでパンのソフト性をさらに向上させることができる。
α−アミラーゼとしては、特に限定されるものではなく、市販のα−アミラーゼ等を選択することができ、例えばα−アミラーゼ製剤としては、クライスターゼL1、ビオザイム(登録商標)A、(以上アマノエンザイム社製)、ビオテックス(登録商標)L#3000、ビオテックス(登録商標)TS、スピターゼ(登録商標)HS、スピターゼ(登録商標)CP−40FG、スピターゼ(登録商標)CP3、スピターゼ(登録商標)L、スピターゼ(登録商標)XP−404、ネオスピターゼPK−2、T−50(以上、ナガセケムテックス社製)、グリンドアミル(登録商標)A(ダニスコジャパン社製)、BAN、ファンガミル(登録商標)(以上、ノボザイムズジャパン社製)、フクタミラーゼ(登録商標)30、フクタミラーゼ(登録商標)50、フクタミラーゼ(登録商標)10L、リクィファーゼL45(以上、エイチビーアイ社製)、VERON Soft、VERONVERON M4、Sternzyme A6003(以上、樋口商会社製)、ユニアーゼ(登録商標)BM−8(ヤクルト薬品工業社製)、ソフターゲン(登録商標)・3H(タイショウテクノス社製)、ベイクザイムAN301登録商標)、MatL Classic(登録商標)、Mycolase(登録商標)、ベイクザイム(登録商標)P500(DSM社製)、スミチーム AS(登録商標)、スミチームL(登録商標)(以上、新日本化学工業社製)等が挙げられる。
上記α−アミラーゼの酵素活性は、標準の条件(37℃及びpH4.7)下で、1時間当たり5260mgの澱粉を分解する酵素の量(菌類α−アミラーゼ単位・FAUともいう)を指標とすることができる。本発明においてα−アミラーゼの酵素活性は、該酵素量を1単位とする。
本発明の製パン練り込み用油脂組成物中のα−アミラーゼの含有量は、好ましくは10〜12500単位/油脂組成物100g、より好ましくは50〜5000単位/油脂組成物100g、さらに好ましくは100〜1000単位/油脂組成物100gとなる量である。10単位よりも少ないと、最終的に得られるパンの食感の弾力が強すぎるものとなる場合があるため好ましくない。また、12500単位よりも多いとパン生地がべたついたり、ねちゃついたパンとなってしまうおそれがある。
本発明の製パン練り込み用油脂組成物がα−アミラーゼを含有する場合には、その含有量は上記マルトース生成型アミラーゼ1単位に対して、α−アミラーゼが0.01〜5単位であることが好ましく、0.05〜1単位であることがより好ましく、0.1〜0.5単位であることが最も好ましい。上記マルトース生成型アミラーゼ1単位に対して、α−アミラーゼが0.01〜5単位の範囲から外れた場合、最終的に得られるパンの食感が劣ったものとなる場合があるため好ましくない。
本発明の製パン練り込み用油脂組成物に使用する食用油脂は、特に制限されず、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、これらの各種動植物油脂に必要に応じてエステル交換、水素添加、異性化水添、分別等の処理をして得られる加工油脂、脂肪酸及び/又は脂肪酸低級アルコールエステルを用いて製造したエステル交換油が挙げられ、これらのうちの一種又は2種以上を使用することができる。
上記製パン練り込み用油脂組成物は、上記マルトース生成型アミラーゼ、ヘミセルラーゼ、α−アミラーゼ及び食用油脂以外にその他の原材料を含むことができる。
該その他の原料としては、例えば、水、糖類、乳化剤、上記以外の酵素、澱粉類、デキストリン、食物繊維、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、脱脂粉乳・カゼイン・ホエーパウダー・脱脂濃縮乳等の乳や乳製品、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白等の植物蛋白、全卵・卵黄・酵素処理卵黄・卵白・卵蛋白質等の卵及び各種卵加工品、着香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
上記その他の原料は、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、上記製パン練り込み用油脂組成物中、合計で好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下となる範囲で使用することが好ましい。
上記製パン練り込み用油脂組成物の形態としては、油脂を含有する食品、例えばマーガリン・ファットスプレッド・ショートニング・バター等の可塑性油脂組成物や、流動ショートニング、流動状マーガリン、液状油組成物、粉末油脂、純生クリーム、ホイップ用クリーム(コンパウンドクリーム)、植物性ホイップ用クリーム、クリームチーズ、チョコペースト等を挙げることができる。本発明では可塑性油脂組成物の形態であることが好ましい。
本発明の製パン練り込み用油脂組成物が乳化物である場合、その乳化形態は、油中水型、水中油型、及び二重乳化型のいずれでも構わないが、油中水型乳化物の形態であることが好ましい。
本発明の製パン練り込み用油脂組成物中の油脂の含有量は、好ましくは10〜99質量%、より好ましくは50〜95質量%、さらに好ましくは60〜90質量%である。
本発明の製パン練り込み用油脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、最終的にマルトース生成型アミラーゼ及びヘミセルラーゼ、好ましくはさらにα−アミラーゼが油脂組成物中に分散した状態で存在すれば、公知の方法で製造することができるが、例えば可塑性油脂組成物の形態の場合は、可塑性油脂の製造時に油脂中に上述の2種又は3種の酵素を直接分散してから急冷可塑化により可塑性油脂組成物を製造することができ、また、可塑性油脂の製造時の急冷可塑化後に上述の2種又は3種の酵素又は酵素含有水溶液を添加、混合する方法によることもできるが、高い酵素活性を有し、且つ、保存時の酵素活性の低下が防止される点で後者の方法であることが好ましい。
該製造方法の場合、各酵素を順次別個に添加することができ、また上述の2種又は3種の酵素を含有する水溶液を用意してそれを添加することもできる。
また、上記の可塑性油脂組成物の製造工程において、窒素、空気等を含気させても、含気させなくても構わない。
次に、本発明のパンについて述べる。
本発明のパンは、本発明の製パン練り込み用油脂組成物を配合したパンである。本発明のパンにおける製パン練り込み用油脂組成物の含有量は、従来の製パン練り込み用油脂組成物と同様であり、パンの種類によっても異なるが、パン生地に含まれる穀粉類100質量部に対し、好ましくは2〜30質量部、より好ましくは4〜20質量部である。
上記穀粉類としては、小麦粉(薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉)をはじめ、小麦胚芽、全粒粉、小麦ふすま、デュラム粉、大麦粉、米粉、ライ麦粉、ライ麦全粒粉、大豆粉、ハトムギ粉等を挙げることができ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。本発明では、これらの中でも、小麦粉を、穀粉類中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは100質量%使用する。
小麦粉以外の穀粉類を使用する場合、グルテンを別途添加することが好ましい。その添加量は、穀粉類とグルテンをあわせた合計量に対し、タンパク質含量が好ましくは5〜20質量%、より好ましくは10〜18質量%となる量である。
本発明のパンにおいては、必要に応じ、一般の製パン材料として使用することのできるその他の原料を配合することができる。該その他の原料としては、例えば、水、油脂、イースト、糖類や甘味料、増粘安定剤、着色料、酸化防止剤、デキストリン、乳や乳製品、でんぷん類、チーズ類、蒸留酒、醸造酒、各種リキュール、乳化剤、膨張剤、無機塩類、食塩、ベーキングパウダー、イーストフード、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、ハーブ、豆類、蛋白質、保存料、苦味料、酸味料、pH調整剤、日持ち向上剤、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、調味料、香辛料、香料、各種食品素材や食品添加物等を挙げることができる。
上記その他の原料は、本発明の効果を損なわない限り、任意に使用することができるが、水については、上記穀粉類100質量部に対して、好ましくは30〜100質量部、より好ましくは30〜70質量部となる範囲で使用する。また、水以外のその他の原料については、上記穀粉類100質量部に対して、合計で好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下となる範囲で使用する。尚、その他の原料として、水分を含有する原料を使用した場合は、上記の水には、その他の原料に含まれる水分も含めるものとする。
次に、本発明のパンの製造方法について説明する。
本発明のパンは、本発明の製パン練り込み用油脂組成物を生地に練り込んだパン生地を加熱処理することにより得られる。
上記パン生地の製造方法としては、中種法、直捏法、液種法、中麺法、湯種法等、従来製パン法として使用されるあらゆる製パン法を採ることができる。
本発明のパン生地を中種法で製造する場合は、本発明の製パン練り込み用油脂組成物を中種生地及び/又は本捏生地に練り込むことにより製造することができるが、本捏生地に練り込むことが好ましい。
尚、得られたパン生地は、冷蔵、冷凍保存することが可能である。
上記加熱処理としては、パン生地を焼成したり、フライしたり、蒸したり、電子レンジ処理したりすることが挙げられる。また、得られた本発明のパンを、冷蔵、冷凍保存したり、該保存後に電子レンジ加熱することも可能である。
本発明のパンの種類としては、特に制限はないが、例えば食パン、菓子パン、バラエティーブレッド、バターロール、ソフトロール、ハードロール、スイートロール、デニッシュ、ペストリー、フランスパン等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
<製パン練り込み用油脂組成物の製造>
〔実施例1〕
ヨウ素価60のパームスーパーオレインのランダムエステル交換油脂95質量部、パーム油5質量部を60℃に加熱し溶解・混合して得られた油脂配合物99.35質量部を、常法に従って加熱殺菌及び冷却・可塑化した。続いて、高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼ(Novozymes社製・製品名「Novamyl 10000BG」10000単位/g使用、至適温度75〜85℃。以下で使用した高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼも同じ。)0.2質量部、α−アミラーゼ(Novozymes社製・製品名「Fungamyl 2500SG」2500単位/g使用。以下で使用したα−アミラーゼも同じ。)0.15質量部、及び、ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名「ベイクザイムBXP5001BG」)0.3質量部を添加・混合し、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Aを得た。
尚、上記ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名ベイクザイムBXP5001BG)は、アラビノキシランを分解する活性が、5000単位/gであり、アラビノキシランを主基質とするものであった。また不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性の比(分解活性比:不溶性アラビノキシラン/水溶性アラビノキシラン)=23であった。
また、製パン練り込み用油脂組成物A100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、α−アミラーゼは375単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が1500単位となる量であった。
〔実施例2〕
ヨウ素価60のパームスーパーオレインのランダムエステル交換油脂95質量部、パーム油5質量部を60℃に加熱し溶解・混合して得られた油脂配合物83.25質量部に大豆レシチン0.2質量部を混合し油相を調製した。この中へ水からなる水相16質量部を混合し、常法に従って加熱殺菌及び冷却・可塑化を行った。続いて、実施例1で使用した高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼ0.2質量部、実施例1で使用したα−アミラーゼ0.15質量部、及び、実施例1で使用したヘミセルラーゼ0.3質量部を添加・混合し、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Bを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物B100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、α−アミラーゼは375単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が1500単位となる量であった。
〔実施例3〕
ヘミセルラーゼの添加量を0.3質量部から1.5質量部に変更し、水の配合量を16質量部から14.8質量部に変更した以外は実施例2の配合・製法と同様にして、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Cを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物C100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、α−アミラーゼは375単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が7500単位となる量であった。
〔実施例4〕
ヘミセルラーゼの添加量を0.3質量部から0.9質量部に変更し、水の配合量を16質量部から15.4質量部に変更した以外は実施例2の配合・製法と同様にして、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Dを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物D100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、α−アミラーゼは375単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が4500単位となる量であった。
〔実施例5〕
ヘミセルラーゼの添加量を0.3質量部から0.1質量部に変更し、水の配合量を16質量部から16.2質量部に変更した以外は実施例2の配合・製法と同様にして、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Eを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物E100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、α−アミラーゼは375単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が500単位となる量であった。
〔実施例6〕
ヘミセルラーゼの添加量を0.3質量部から0.04質量部に変更し、水の配合量を16質量部から16.26質量部に変更した以外は実施例2の配合・製法と同様にして、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Fを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物F100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、α−アミラーゼは375単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が200単位となる量であった。
〔実施例7〕
ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名ベイクザイムBXP5001BG)0.3質量部に代えて、ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名リアル−X)0.05質量部を使用し、水の配合量を16質量部から16.25質量部に変更した以外は実施例2の配合及び製法と同様にして本発明で使用する製パン練り込み用油脂組成物Gを得た。
尚、上記ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名リアル−X)は、アラビノキシランを分解する活性が、22000単位/gであり、アラビノキシランを主基質とするものであった。また不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性の比(分解活性比:不溶性アラビノキシラン/水溶性アラビノキシラン)=2.5であった。
尚、製パン練り込み用油脂組成物G100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、α−アミラーゼは375単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が1100単位となる量であった。
〔実施例8〕
ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名ベイクザイムBXP5001BG)0.3質量部に代えて、ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名ベイクザイム2000SG)0.4質量部を使用し、水の配合量を16質量部から15.9質量部に変更した以外は実施例2の配合及び製法で本発明で使用する製パン練り込み用油脂組成物Hを得た。
尚、上記ヘミセルラーゼ(DSM社製・製品名ベイクザイム2000SG)は、アラビノキシランを分解する活性が、2000単位/gであり、アラビノキシランを主基質とするものであった。また不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性の比(分解活性比:不溶性アラビノキシラン/水溶性アラビノキシラン)=8であった。
尚、製パン練り込み用油脂組成物H100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、α−アミラーゼは375単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が800単位となる量であった。
〔実施例9〕
α−アミラーゼ0.15質量部を無添加とし、水の配合量を16質量部から16.15質量部に変更した以外は実施例2の配合及び製法で本発明で使用する製パン練り込み用油脂組成物Iを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物I100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が1500単位となる量であった。
〔実施例10〕
α−アミラーゼ0.15質量部を無添加とし、ヘミセルラーゼの添加量を0.3質量部から1.5質量部に変更し、水の配合量を16質量部から13.65質量部に変更した以外は実施例2の配合・製法と同様にして、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Jを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物J100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が7500単位となる量であった。
〔実施例11〕
α−アミラーゼ0.15質量部を無添加とし、ヘミセルラーゼの添加量を0.3質量部から0.04質量部に変更し、水の配合量を16質量部から16.41質量部に変更した以外は実施例2の配合・製法と同様にして、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Kを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物K100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が200単位となる量であった。
〔実施例12〕
高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼの添加量を0.2質量部から0.05質量部に変更し、水の配合量を16質量部から16.15質量部に変更した以外は実施例2の配合・製法と同様にして、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Lを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物L100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは500単位、α−アミラーゼは375単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が1500単位となる量であった。
〔実施例13〕
高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼの添加量を0.2質量部から0.4質量部に変更し、水の配合量を16質量部から15.8質量部に変更した以外は実施例2の配合・製法と同様にして、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Mを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物M100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは4000単位、α−アミラーゼは375単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が1500単位となる量であった。
〔実施例14〕
高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼの添加量を0.2質量部から0.8質量部に変更し、水の配合量を16質量部から15.2質量部に変更した以外は実施例2の配合・製法と同様にして、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Nを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物N100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは8000単位、α−アミラーゼは375単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が1500単位となる量であった。
〔実施例15〕
α−アミラーゼの添加量を0.15質量部から0.05質量部に変更し、水の配合量を16質量部から16.2質量部に変更した以外は実施例2の配合・製法と同様にして、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Oを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物O100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、α−アミラーゼは125単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が1500単位となる量であった。
〔実施例16〕
α−アミラーゼの添加量を0.15質量部から0.3質量部に変更し、水の配合量を16質量部から15.85質量部に変更した以外は実施例2の配合・製法と同様にして、本発明の製パン練り込み用油脂組成物Pを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物P100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは2000単位、α−アミラーゼは750単位、ヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が1500単位となる量であった。
〔比較例1〕
高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼ0.2質量部及びα−アミラーゼ0.15質量部を無添加とし、ヘミセルラーゼの添加量を0.3質量部から0.65質量部に変更した以外は実施例2の配合及び製法で比較例の製パン練り込み用油脂組成物Qを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物Q100gに含まれるヘミセルラーゼはアラビノキシランを基質とした場合の活性が3250単位となる量であった。
〔比較例2〕
α−アミラーゼ0.15質量部及びヘミセルラーゼ0.3質量部を無添加とし、高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼの添加量を0.2質量部から0.65質量部に変更した以外は実施例2の配合及び製法で比較例の製パン練り込み用油脂組成物Rを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物R100gに含まれるマルトース生成型アミラーゼは6500単位となる量であった。
〔比較例3〕
高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼ0.2質量部及びヘミセルラーゼ0.3質量部を無添加とし、α−アミラーゼの添加量を0.15質量部から0.65質量部に変更した以外は実施例2の配合及び製法で比較例の製パン練り込み用油脂組成物Sを得た。
尚、製パン練り込み用油脂組成物S100gに含まれるα−アミラーゼは1625単位となる量であった。
〔比較例4〕
高温耐熱性マルトース生成型アミラーゼ0.2質量部、α−アミラーゼ0.15質量部、及び、ヘミセルラーゼ0.3質量部を無添加とし、水の配合量を16質量部から16.65質量部に変更した以外は実施例2の配合及び製法で比較例の製パン練り込み用油脂組成物Tを得た。
<プルマン型食パンの製造>
得られた上記製パン練り込み用油脂組成物A〜Tを用いて、下記に示す配合及び製法によりプルマン型食パンを製造し、分割・丸目時の生地作業性並びに得られた食パンを20℃にて2日保管した後の風味及び食感(ソフト性、しとり感及び口溶け)について、下記評価基準に従って4段階で評価し、結果を表1に示した。
[プルマン型食パンの配合・製法]
強力粉(商品名「カメリア」:日清製粉製、タンパク質含量11.8%及び灰分0.37%)70質量部、生イースト2質量部、イーストフード0.1質量部及び水40質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で2分、中速で2分混合し、中種生地を得た。捏ね上げ温度は24℃であった。この中種生地を生地ボックスに入れ、温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種醗酵を行なった。終点温度は29℃であった。この中種醗酵の終了した生地を再びミキサーボウルに投入し、更に、強力粉(商品名「イーグル」:日本製粉製)30質量部、上白糖5質量部、脱脂粉乳2質量部、食塩1.5質量部及び水25質量部を添加し、低速で3分、中速で3分本捏ミキシングした。ここで、製パン練り込み用油脂組成物8質量部を投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で3分、高速で1分ミキシングを行ない、食パン生地を得た。得られた食パン生地の捏ね上げ温度は28℃であった。ここで、フロアタイムを20分とった後、230gに分割・丸目を行なった。次いで、ベンチタイムを20分とった後、モルダー成形し、6本をU字にして3斤型プルマン型に入れ、38℃、相対湿度85%で50分ホイロをとった後、200℃に設定した固定窯に入れ40分焼成してプルマン型食パンを得た。
[評価基準]
・生地作業性
◎:べとつきもなく伸展性もよく、極めて良好な作業性であった。
○:良好な作業性であった。
○−:わずかにべとつきが感じられるか又はわずかに伸展性が悪く感じられるが、良好な作業性であった。
△:ややべとつきが感じられるか又はやや伸展性が悪く、作業性が若干劣るものであった。
×:べとつきがあるか又は伸展性が悪く、作業性が劣るものであった。
・風味
◎:極めて良好
○:良好
△:エグ味がありムレ臭がある
×:エグ味がありムレ臭が激しい
・食感(ソフト性)
◎+:極めて良好
◎:良好
○:やや良好
△:やや悪い
×:悪い
・食感(しとり感)
◎+:極めて良好
◎:良好
○:やや良好
△:ややぱさついた感じである
×:乾いた食感である
・食感(口溶け)
◎:歯切れが極めて良好
○:歯切れが良好
△:ややねちゃつく、又は、ややひきが感じられる。
×:ねちゃつきが激しい、又は、ひきが強い。
Figure 0006721392
表1の結果を見るとわかるとおり、マルトース生成型アミラーゼ及びヘミセルラーゼを含有する製パン練り込み用油脂組成物を使用すると、ソフトでしとりと口溶けが良好であるパンを、生地物性を悪化させることなく安定して得ることができることがわかる。
特に上記2種の酵素に加え、α−アミラーゼを加えた3種の酵素を含有する製パン練り込み用油脂組成物を使用した場合は、さらに食感が優れるパンが得られることがわかる。
特に、ヘミセルラーゼは、アラビノキシランを主基質とし、且つ、不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性の比(分解活性比:不溶性アラビノキシラン/水溶性アラビノキシラン)が10以上であるものを使用すると、生地物性が良好になることがわかる。

Claims (4)

  1. マルトース生成型αアミラーゼ及びヘミセルラーゼを含有し、
    上記ヘミセルラーゼが、アラビノキシランを主基質とし、且つ、不溶性アラビノキシランへの基質親和性と水溶性アラビノキシランへの基質親和性の比(分解活性比:不溶性アラビノキシラン/水溶性アラビノキシラン)が10以上である、製パン練り込み用油脂組成物。
  2. さらにα−アミラーゼを含有する、請求項1に記載の製パン練り込み用油脂組成物。
  3. マルトース生成型αアミラーゼの至適温度が65〜95℃である、請求項1又は2に記載の製パン練り込み用油脂組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載の製パン練り込み用油脂組成物を配合したパン。
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