JPH11214382A - 低誘電率絶縁材料、実装回路基板、及び、電気的固体装置 - Google Patents

低誘電率絶縁材料、実装回路基板、及び、電気的固体装置

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JPH11214382A
JPH11214382A JP1658898A JP1658898A JPH11214382A JP H11214382 A JPH11214382 A JP H11214382A JP 1658898 A JP1658898 A JP 1658898A JP 1658898 A JP1658898 A JP 1658898A JP H11214382 A JPH11214382 A JP H11214382A
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insulating material
low dielectric
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constant insulating
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JP1658898A
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Azuma Matsuura
東 松浦
Tomoaki Hayano
智明 早野
Hiroyuki Sato
博之 佐藤
Kishio Yokouchi
貴志男 横内
Shunichi Fukuyama
俊一 福山
Yoshihiro Nakada
義弘 中田
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Fujitsu Ltd
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Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低誘電率絶縁材料、実装回路基板、及び、電
気的固体装置に関し、従来の誘電体材料と同等以下の比
誘電率を有し、且つ、実装プロセスに耐え得る耐熱性等
を有する低誘電率絶縁材料を提供する。 【解決手段】 アダマンタン(C1016)に化学修飾を
施した化合物と絶縁性樹脂とを、化学結合を介して複合
化することによって低誘電率絶縁材料を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低誘電率絶縁材料、
実装回路基板、及び、電気的固体装置に関するものであ
り、特に、半導体装置などの電子デバイスを高密度に実
装し、信号の高速伝播に適した低誘電率絶縁材料、及
び、それを用いた実装回路基板或いは電気的固体装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピュータからハイ
パフォーマンスコンピュータに至るまで、使用されてい
る半導体デバイスの高速化は著しく、相対的に実装回路
基板の配線部における寄生容量に起因する伝送遅延がコ
ンピュータの演算速度を左右するようになってきてい
る。
【0003】その結果、コンピュータのCPU用実装回
路基板の材料として、高密度且つ微細な多層配線に適し
ている樹脂薄配線が適用されるようになってきており、
将来のより高速なコンピュータを実現するためには、高
密度且つ微細な多層配線を活かし、且つ、信号の高速伝
播に適した低誘電率絶縁材料の開発が不可欠である。
【0004】従来より、高速コンピュータに使用されて
いる高密度実装回路基板材料としては、エポキシ樹脂、
ポリイミド樹脂等が使用されているが、最近では、より
低い誘電率を有する樹脂として、オレフィン系やフッ素
系の材料が注目されている。
【0005】この様な凝縮系である樹脂における比誘電
率εs は、局所電場を考慮して、次のクラウジウス−モ
ソッティ(Clausius−Mossotti)の式
で表される。
【数1】 但し、αは樹脂を構成する分子の分極率であり、また、
Nは単位体積当たりの分子数である。
【0006】この式を、比誘電率εs について解き、α
又はNで偏微分すれば分かるように、分極率αが小さい
ほど、また、単位体積当たりの分子数Nが小さいほど比
誘電率εs が小さくなる。
【0007】図2参照 図2は、クラウジウス−モソッティの式を比誘電率εs
について解いた式から、εs とN・αとの関係を示した
ものであり、N・α=0、即ち、分子が存在しない真空
の場合にはεs =1となり、N・αが大きくなるにした
がってεs も大きくなり、N・α=3/4π(≒0.2
387)において無限大となる。
【0008】一方、分極率αは、電場Eにより誘起した
双極子モーメントをμとすると、次の様に表される。
【数2】
【0009】したがって、分極率αは、3×3=9個の
要素を持つことになるが、一般には平均分極率を次の様
に定義してスカラー量として用いる。
【数3】
【0010】そして、上記の電場と誘起双極子との関係
式からは、小さい電場で大きな双極子を生じる材料ほど
分極率が大きくなることが分かり、言い換えると、誘電
体材料内に動きやすい電子が存在するほど分極率αが大
きくなる。
【0011】この様な分極率αを低く押さえるために、
オレフィン系樹脂やフッ素系樹脂の採用が検討されてお
り、これらの樹脂材料は飽和結合が多かったり、電気陰
性度の大きなフッ素が含まれているので、動きやすい電
子が少なくなって比誘電率が小さくなるためである。
【0012】しかし、この様な樹脂材料の比誘電率εs
は2.2〜2.8程度の範囲内で、2を下回らないこと
が知られており、また、これらの樹脂材料は、自己融着
性を有する、即ち、融点が低い、配線層を形成する導体
金属との密着性が悪い、或いは、層間に形成するビアホ
ールの加工性に劣る等の解決すべき多くの問題点が残さ
れている。
【0013】一方、上記のクラウジウス−モソッティの
式から明らかなように、単位体積当たりの分子数Nを小
さくすることによって比誘電率を下げる方法もあり、例
えば、発泡させた材料により比誘電率を下げることも可
能であるが、数μm或いは数十μmオーダーの微細配線
の層間絶縁層としては絶縁耐圧等の点で不適当であるこ
とは明白である。
【0014】また、絶縁層の軽量化或いは低熱膨張率化
を目的として、樹脂材料にガラス繊維や炭素繊維を複合
化することも試みられているが、ガラス繊維を複合化し
た場合には絶縁層の比誘電率が引き上げられるという問
題があり、また、炭素繊維を複合化した場合には絶縁層
の絶縁耐圧が低下するという問題がある。
【0015】さらに、絶縁層を構成する材料において、
分子レベルでの空間を利用して単位体積当たりの分子数
Nを小さくするために、5員環及び6員環からなる多面
体構造の炭素物質であるフラーレン(fulleren
e)や、グラファイト構造を円筒格子状にしたカーボン
ナノチューブ(Carbon nanotube)等を
樹脂に混合することも試みられているので、図3を参照
して説明する。
【0016】図3(a)参照 図3(a)は、典型的フラーレンである60個の炭素原
子11からなるC60の分子構造を示す図であり、全ての
炭素原子11間の結合が単結合からなる6員環及び5員
環によって構成される切頭20面体であるサッカーボー
ル構造を有している。
【0017】図3(b)参照 図3(b)は、C60の中心軸を通る断面図であり、図か
ら明らかなように切頭20面体の内部には炭素原子11
が存在せず、したがって、電子雲12の密度、即ち、電
子の存在確率は内部で著しく低下しているので、この電
子の存在確率の低い内部空間を利用することによって比
誘電率を小さくしようとするものである。
【0018】まず、6−メチル−1,4,5,8−ジメ
タノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒ
ドロナフタレン(MTD)を公知の方法にて開環重合
し、水素添加して得た脂環式ポリオレフィンをテトラヒ
ドロフラン(THF)に溶解して作製した脂環式ポリオ
レフィンの10重量%溶液に、THFに溶解処理したC
60を飽和するまで溶解した飽和溶液を作製し、この飽和
溶液を銅基板上に塗布して、乾燥させたのち、220℃
の温度において5分間の熱処理を行い熱硬化させる。
【0019】次いで、アフターキュアとして、酸素濃度
が10ppm以下の窒素雰囲気中で、200℃の温度に
おける5時間の熱処理を行って樹脂を硬化させて、厚さ
15μmの低誘電率の絶縁膜を形成する。
【0020】この絶縁膜に直径1mmの金電極をマスク
蒸着して、1MHzで比誘電率を測定した結果、このC
60を混入した絶縁膜の比誘電率は2.8であり、また、
熱分解開始温度は300℃であった。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この様なC60
を混入した絶縁膜の比誘電率は2.8であり、比誘電率
の改善はあまり見られず、将来の高速コンピュータ用の
高密度実装基板に用いるためには未だ比誘電率が高いと
いう問題がある。
【0022】これは、C60等は溶解度の関係から限られ
た溶媒に微量しか溶解せず、樹脂に混合しても、相分離
しやすいため複合化が困難であり、したがって、C60
の有する内部空間を十分に有効利用できないためである
と考えられる。
【0023】したがって、本発明は従来の誘電体材料と
同等以下の比誘電率を有し、且つ、実装プロセスに耐え
得る耐熱性等を有する低誘電率絶縁材料を提供すること
を目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】ここで、図1を参照して
本発明における課題を解決するための手段を説明する。 (1)本発明は、低誘電率絶縁材料において、アダマン
タンに化学修飾を施した化合物と絶縁性樹脂とを、化学
結合を介して複合化することを特徴とする。
【0025】図1参照 図1は、本発明の実施の形態に用いるアダマンタン(C
1016)の分子構造を示す図であり、10個の炭素原子
1の全てが隣接する炭素原子1或いは水素原子2と単結
合して、分子内に空間を有する嵩高い構造を有してい
る。
【0026】したがって、このアダマンタンを添加する
ことによって樹脂の単位体積当たりの分子数或いは原子
数を少なくすることができ、それによって低誘電率絶縁
材料の比誘電率を低減することができる。この場合、分
子内の空間を十分に有効活用するためには、アダマンタ
ンの化学結合による複合化を容易にするために、アダマ
ンタンに化学修飾を施すことが必要となる。
【0027】また、このアダマンタンは、炭素原子1が
全て単結合、即ち、飽和結合するダイヤモンド構造を有
するため、耐熱性に優れるという特徴があり、したがっ
て、実装プロセスや成膜プロセスにおける熱処理温度に
耐えることができる。
【0028】(2)また、本発明は、上記(1)におい
て、化学修飾における置換基が、炭素原子1間の二重結
合を有する置換基であることを特徴とする。
【0029】この様に、化学修飾における置換基とし
て、炭素原子1間の二重結合を有する置換基、例えば、
ビニル基(CH2 =CH−)或いはアリル基(CH2
CHCH2 −)等を用いた場合、反応性の高い二重結合
の存在により脂環式ポリオレフィン等の絶縁性樹脂との
反応性を向上させることができ、それによって、絶縁性
樹脂中の空間を大きくすることができるので、単位体積
当たりの分子数が少なくなるので比誘電率が低下する。
【0030】(3)また、本発明は、上記(1)におい
て、化学修飾における置換基が、飽和結合のみからなる
置換基であることを特徴とする。
【0031】この様に、化学修飾における置換基とし
て、飽和結合のみからなる置換基、例えば、アルキル基
を用いることによって、アダマンタンの分子構造をさら
に嵩高くすることができ、また、飽和結合のみからなる
ので動きやすい電子が少なくなり、分極率が小さくなる
ので比誘電率が低下する。
【0032】(4)また、本発明は、上記(1)におい
て、化学修飾における置換基が、酸素原子を含む置換基
であることを特徴とする。
【0033】この様に、化学修飾における置換基とし
て、酸素原子を含む置換基、例えば、エステルを用いる
ことによっても絶縁性樹脂との相溶性を向上させること
ができる。
【0034】(5)また、本発明は、上記(1)におい
て、化学修飾における置換基が、分子骨格の側鎖にフッ
素原子を含む置換基であることを特徴とする。
【0035】この様に、化学修飾における置換基とし
て、分子骨格の側鎖に電子陰性度の大きなフッ素原子を
含む置換基を用いた場合には、フッ素原子の作用によっ
て絶縁性樹脂の比誘電率を低減することができる。
【0036】(6)また、本発明は、上記(1)乃至
(5)のいずれかにおいて、絶縁性樹脂が、脂環式ポリ
オレフィンであることを特徴とする。
【0037】この様に、絶縁性樹脂としては、元々の比
誘電率が低い脂環式ポリオレフィンが好適であり、アダ
マンタンを複合化することによって、さらに比誘電率を
低減することができる。
【0038】(7)また、本発明は、上記(1)乃至
(5)のいずれかにおいて、絶縁性樹脂が、感光性ポリ
イミドであることを特徴とする。
【0039】この様に、絶縁性樹脂としては、元々耐熱
性に優れ、且つ、感光性を有する感光性ポリイミドを用
いることによって、電子部品の実装プロセスにおける熱
条件を緩和することができ、且つ、光硬化プロセスの採
用も可能になり、プロセスの自由度が大きくなる。
【0040】(8)また、本発明は、上記(1)乃至
(5)のいずれかにおいて、絶縁性樹脂が、シリコーン
樹脂であることを特徴とする。
【0041】この様に、絶縁性樹脂としては、元々耐熱
性に優れたシリコーン樹脂を用いても良く、それによっ
て、電子部品の実装プロセスにおける熱条件を緩和する
ことができる。
【0042】(9)また、本発明は、実装回路基板にお
いて、上記(1)乃至(8)のいずれかの低誘電率絶縁
材料を、実装回路基板を構成する絶縁支持部材として用
いたことを特徴とする。
【0043】この様に、化学修飾したアダマンタンを複
合化した低誘電率絶縁材料を実装回路基板を構成する絶
縁支持部材として用いることにより、実装回路基板に設
ける多層配線層間等の寄生容量を低減することができる
ので、実装したCPU等の高速動作が可能になり、且
つ、この様な低誘電率絶縁材料は耐熱性にも優れている
ので、実装プロセスにおける熱条件を緩和することがで
き、電子デバイスの実装が容易になる。
【0044】(10)また、本発明は、電気的固体装置
において、上記(1)乃至(8)のいずれかの低誘電率
絶縁材料を、層間絶縁膜として用いたことを特徴とす
る。
【0045】この様に、化学修飾したアダマンタンを複
合化した低誘電率絶縁材料を電気的固体装置、例えば、
半導体集積回路装置の層間絶縁膜として用いることによ
り、多層配線層間等の寄生容量を低減することができる
ので半導体集積回路装置の動作速度を速めることがで
き、且つ、この様な低誘電率絶縁材料は耐熱性にも優れ
ているので、導電材料の成膜プロセス等における熱条件
を緩和することができる。
【0046】
【発明の実施の形態】ここで、本発明の第1の実施の形
態を説明する。まず、6−メチル−1,4,5,8−ジ
メタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタ
ヒドロナフタレン(MTD)を公知の方法にて開環重合
し、水素添加して得た脂環式ポリオレフィンをテトラヒ
ドロフラン(THF)に溶解して作製した脂環式ポリオ
レフィンの10重量%溶液に、臭化アダマンタン(C10
15Br)とグリニアール試薬CH2 =CHMgBrと
を反応させることによって合成したビニル基を一つ導入
して化学修飾したアダマンタンを飽和するまで溶解した
飽和溶液を作製し、この飽和溶液を銅基板上に塗布し
て、乾燥させたのち、220℃の温度において5分間の
熱処理を行い熱硬化させる。
【0047】次いで、アフターキュアとして、酸素濃度
が10ppm以下の窒素雰囲気中で、200℃の温度に
おける5時間の熱処理を行って樹脂を硬化させて、最終
的に厚さ15μmの低誘電率の絶縁膜を形成する。
【0048】この絶縁膜に直径1mmの金電極をマスク
蒸着して、1MHzで比誘電率を測定した結果、このビ
ニル基を一つ導入して化学修飾したアダマンタンを複合
化した絶縁膜の比誘電率は2.3であり、また、熱分解
開始温度は320℃であった。
【0049】この様に本発明の第1の実施の形態におい
ては、嵩高い分子構造を有するアダマンタンを6−メチ
ル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4
a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン(MTD)
を公知の方法にて開環重合し、水素添加して得た脂環式
ポリオレフィンに複合化しているので、絶縁膜における
単位体積当たりの分子数Nが少なくなり、分子数Nと相
関を有する比誘電率εsが低下する。
【0050】また、化学修飾のための置換基としては炭
素原子の二重結合を有するビニル基を用いているので、
反応性の高い二重結合により上記の脂環式ポリオレフィ
ンとの複合化が容易になり、アダマンタンの飽和量が大
きくなるので絶縁膜における単位体積当たりの分子数N
の低減効果が高まる。
【0051】また、アダマンタン自体は全てが飽和結合
からなるダイヤモンド構造で構成されているので、原子
間の結合が強固であり、したがって、アダマンタンを複
合化した絶縁膜の熱分解開始温度、即ち、耐熱性が向上
する。
【0052】次に、本発明の第2の実施の形態を説明す
る。まず、6−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−
1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナ
フタレン(MTD)を公知の方法にて開環重合し、水素
添加して得た脂環式ポリオレフィンをテトラヒドロフラ
ン(THF)に溶解して作製した脂環式ポリオレフィン
の10重量%溶液に、臭化アダマンタン(C1014Br
2 )とグリニアール試薬CH2 =CHMgBrとを反応
させて合成したビニル基を二つ導入して化学修飾したア
ダマンタンを飽和するまで溶解した飽和溶液を作製し、
この飽和溶液を銅基板上に塗布して、乾燥させたのち、
220℃の温度において5分間の熱処理を行い熱硬化さ
せる。
【0053】この様に、このビニル基を二つ導入して化
学修飾するためには、臭化アダマンタンとして上記の第
1の実施の形態におけるC1015Brの代わりに、C10
14Br2 を用いれば良い。
【0054】次いで、アフターキュアとして、酸素濃度
が10ppm以下の窒素雰囲気中で、200℃の温度に
おける5時間の熱処理を行って樹脂を硬化させて、最終
的に厚さ15μmの低誘電率の絶縁膜を形成する。
【0055】この絶縁膜に直径1mmの金電極をマスク
蒸着して、1MHzで比誘電率を測定した結果、このビ
ニル基を一つ導入して化学修飾したアダマンタンを複合
化した絶縁膜の比誘電率は2.2であり、また、熱分解
開始温度は330℃であった。
【0056】この様に本発明の第2の実施の形態におい
ても、嵩高い分子構造を有するアダマンタンを脂環式ポ
リオレフィンに複合化しているので、絶縁膜における単
位体積当たりの分子数Nが少なくなり、分子数Nと相関
を有する比誘電率εs が低下する。
【0057】また、化学修飾のために炭素原子の二重結
合を有するビニル基を二つ置換基として導入しているの
で、アダマンタンの飽和量がより多くなり、絶縁膜にお
ける単位体積当たりの分子数Nの低減効果が高まると共
に、絶縁膜の熱分解開始温度が高くなる。
【0058】以上、本発明の各実施の形態を説明してき
たが、本発明は、上記の各実施の形態の構成に限られる
ものではなく、例えば、化学修飾に用いる置換基はビニ
ル基に限られるものではなく、ビニル基と同様に炭素原
子の二重結合を有するアリル基を用いても良いものであ
る。
【0059】また、化学修飾に用いる置換基としては、
アルキル基等の飽和結合のみを有する置換基を用いても
良いものであり、この様なアルキル基により化学修飾に
用いることによってアダマンタンの分子構造をさらに嵩
高くすることができ、また、動きやすい電子の少ない飽
和結合のみを有する置換基であるので分極率αを小さく
することができ、それによっても絶縁膜の比誘電率εs
を低下させることができる。
【0060】また、化学修飾に用いる置換基としては、
シリコーン系官能基やエステル等の酸素を含む置換基を
用いても良く、この場合には絶縁性樹脂との相溶性を増
加させることができ、さらに、化学修飾に用いる他の置
換基としては、分子骨格の側鎖にフッ素原子を含む置換
基を用いても良いものであり、この場合には、フッ素に
より共役系の一部を飽和結合にすることができるので絶
縁膜の比誘電率εs を低下させることができる。
【0061】また、上記の各実施の形態の説明において
は、ベースとなる絶縁性樹脂として6−メチル−1,
4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,
8,8a−オクタヒドロナフタレン(MTD)を公知の
方法にて開環重合し、水素添加して得た脂環式ポリオレ
フィンを用いているが、これに限られるものではなく、
6−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,
4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンの代
わりに、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,
4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタ
レン、1,4:5,10:6,9−トリメタノ−1,
2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,1
0a−ドデカヒドロ−2,3−シクロペンタジエノアン
トラセン、1,4−メタノ−1,4,4a,4b,5,
8,8a,9a−オクタヒドロフルオレン、5,8−メ
タノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒ
ドロ−2,3−シクロペンタジエノナフタレン等を用い
ても良いものである。
【0062】また、ベースとなる絶縁性樹脂は脂環式ポ
リオレフィンに限られるものではなく、耐熱性に優れる
ポリイミド樹脂やシリコーン樹脂を用いても良いもので
あり、この場合には、アダマンタンを複合化させた絶縁
膜の耐熱性はさらに改善され、電子部品のアセンブリ工
程における熱条件が緩和され、製品の信頼性が高まる。
【0063】特に、ポリイミド樹脂として感光性ポリイ
ミド樹脂を用いた場合には、多層配線構造の形成に際し
て光硬化プロセスを導入することができ、プロセスの自
由度が高まる。
【0064】また、上記の各実施の形態の説明において
は、説明を簡単にするために単層の低誘電率絶縁材料膜
の製造工程として説明しているが、この低誘電率絶縁材
料膜は、多層配線構造実装回路基板の絶縁性支持部材と
して用いることが好適であり、それによって、多層配線
層間の寄生容量を低減することができるので、多層配線
構造実装回路基板に実装した高速コンピュータの動作速
度の遅延を防止することができる。
【0065】また、この低誘電率絶縁材料膜は、半導体
集積回路装置の層間絶縁膜としても用いることができる
ものであり、多層配線層間の寄生容量を低減することが
できるとともに、導電体膜の成膜工程における熱処理条
件を緩和することができる。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、絶縁性樹脂に分子内に
空間を有し飽和結合からなるアダマンタンを複合化して
いるので、絶縁膜の単位体積当たりの分子数を少なくす
ることができると共に分極率も小さくすることができ、
それによって、実装回路基板等の寄生容量を低減するこ
とができるので、電子部品等の動作速度を高めることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に用いるアダマンタンの分
子構造を示す図である。
【図2】誘電体材料の比誘電率の分子数・分極率依存性
の説明図である。
【図3】C60フラーレンの分子構造を示す図である。
【符号の説明】
1 炭素原子 2 水素原子 11 炭素原子 12 電子雲
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H05K 3/46 H05K 3/46 T (72)発明者 佐藤 博之 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 横内 貴志男 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 福山 俊一 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 中田 義弘 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アダマンタンに化学修飾を施した化合物
    と絶縁性樹脂とを、化学結合を介して複合化することを
    特徴とする低誘電率絶縁材料。
  2. 【請求項2】 上記化学修飾における置換基が、炭素原
    子間の二重結合を有する置換基であることを特徴とする
    請求項1記載の低誘電率絶縁材料。
  3. 【請求項3】 上記化学修飾における置換基が、飽和結
    合のみからなる置換基であることを特徴とする請求項1
    記載の低誘電率絶縁材料。
  4. 【請求項4】 上記化学修飾における置換基が、酸素原
    子を含む置換基であることを特徴とする請求項1記載の
    低誘電率絶縁材料。
  5. 【請求項5】 上記化学修飾における置換基が、分子骨
    格の側鎖にフッ素原子を含む置換基であることを特徴と
    する請求項1記載の低誘電率絶縁材料。
  6. 【請求項6】 上記絶縁性樹脂が、脂環式ポリオレフィ
    ンであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1
    項に記載の低誘電率絶縁材料。
  7. 【請求項7】 上記絶縁性樹脂が、感光性ポリイミドで
    あることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に
    記載の低誘電率絶縁材料。
  8. 【請求項8】 上記絶縁性樹脂が、シリコーン樹脂であ
    ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記
    載の低誘電率絶縁材料。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の
    低誘電率絶縁材料を、実装回路基板を構成する絶縁支持
    部材として用いたことを特徴とする実装回路基板。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至8のいずれか1項に記載
    の低誘電率絶縁材料を、層間絶縁膜として用いたことを
    特徴とする電気的固体装置。
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