JPH11199738A - フッ素樹脂組成物および多層プリント配線板 - Google Patents

フッ素樹脂組成物および多層プリント配線板

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JPH11199738A
JPH11199738A JP662498A JP662498A JPH11199738A JP H11199738 A JPH11199738 A JP H11199738A JP 662498 A JP662498 A JP 662498A JP 662498 A JP662498 A JP 662498A JP H11199738 A JPH11199738 A JP H11199738A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外線レーザで高密度に加工でき、しかも吸
湿性を抑制したフッ素樹脂組成物とこれを用いた多層プ
リント配線板を提案すること。 【解決手段】 ポリアリルスルフォン、芳香族ポリスル
フィドおよび芳香族ポリエーテルの中から選ばれるいず
れか少なくとも1種の熱可塑性樹脂とフッ素樹脂からな
ることを特徴とするフッ素樹脂組成物と、このフッ素樹
脂組成物を層間樹脂絶縁層として用いた多層プリント配
線板を提案する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、フッ素樹脂組成
物および多層プリント配線板に関し、とくに、紫外線レ
ーザにより高速、高精度に加工することができ、かつ吸
水率の低いフッ素樹脂組成物と、これを用いた多層プリ
ント配線板についての提案である。
【0002】
【従来の技術】近年、プリント基板やLSIを実装する
配線板は、電子工業の進歩に伴う電子機器の小型化ある
いは高速化に対応し、ファインパターンによる高密度化
および信頼性の高いものが求められている。
【0003】このような要求を満足した配線板を確実に
得るには、層間樹脂として低誘電率の樹脂を用いること
が必要となってきており、かかる樹脂としてフッ素樹脂
が検討されている。例えば、特開平7−235743号公報で
は、配線板に用いる層間樹脂として、フッ素樹脂と紫外
線吸収剤からなるアブレーション加工用フッ素樹脂組成
物を開示している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この公
報に記載されたフッ素樹脂組成物は、フッ素樹脂と混合
する樹脂として、芳香族ポリアミド、ポリアクリル樹
脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂およびポリイ
ミド樹脂を用いており、これらの樹脂はいずれも、吸湿
性を有するか、あるいは高温多湿条件下で吸湿性を有す
る官能基を生じる。そのため、このような樹脂を用いて
製造した配線板は、高温多湿条件下で使用すると、表面
抵抗値が低下したり、剥離が発生したりするという問題
があった。
【0005】本発明は、従来技術が抱える上述した問題
を解消するためになされたものであり、その主たる目的
は、紫外線レーザを初めとして各種レーザにて高速、高
精度に加工でき、しかも吸湿性を抑制したフッ素樹脂組
成物を提供することにある。また、本発明の他の目的
は、高温多湿条件下でも高い信頼性をもって使用できる
配線板を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記目的の
実現に向け鋭意研究した結果、フッ素樹脂と混合する樹
脂として、ポリアリルスルフォン、芳香族ポリスルフィ
ドおよび芳香族ポリエーテルの中から選ばれるいずれか
少なくとも1種の熱可塑性樹脂を採用することによっ
て、吸湿性を抑制し、上述の問題を有利に解消し得るこ
とを知見した。
【0007】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
のであり、その要旨構成は以下のとおりである。 (1) 本発明のフッ素樹脂組成物は、ポリアリルスルフォ
ン、芳香族ポリスルフィドおよび芳香族ポリエーテルの
中から選ばれるいずれか少なくとも1種の熱可塑性樹脂
とフッ素樹脂からなることを特徴とする。このフッ素樹
脂組成物において、ポリアリルスルフォンは、ポリエー
テルスルフォン(PES)、ポリスルフォン(PS
F)、ポリエーテルエーテルスルフィド(PEES)お
よびポリフェニレンスルフォン(PPES)の中から選
ばれるいずれか少なくとも1種の樹脂であることが好ま
しい。また、芳香族ポリスルフィドは、ポリフェニルス
ルフィド(PPS)であることが好ましく、芳香族ポリ
エーテルは、ポリフェニレンエーテル(PPE)である
ことが好ましい。さらに、このフッ素樹脂組成物は、レ
ーザ、好ましくは紫外線レーザによるアブレーション加
工用フッ素樹脂組成物として好適に用いられる。
【0008】(2) 本発明の多層プリント配線板は、導体
回路と層間樹脂絶縁層が交互に積層形成されてなる多層
プリント配線板において、前記層間樹脂絶縁層が、上記
(1) に記載のフッ素樹脂組成物からなることを特徴とす
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のフッ素樹脂組成物は、フ
ッ素樹脂に混合される樹脂として、ポリアリルスルフォ
ン、芳香族ポリスルフィドおよび芳香族ポリエーテルの
中から選ばれるいずれか少なくとも1種の熱可塑性樹脂
を用いる点に特徴がある。
【0010】このような構成とした本発明のフッ素樹脂
組成物によれば、吸湿性が抑制されて、かかるフッ素樹
脂組成物を用いた本発明の配線板は、高温多湿条件下に
晒しても表面抵抗値が低くならず、しかも、膨張による
剥離やふくれが発生することもない。というのは、本発
明のフッ素樹脂組成物を構成するポリアリルスルフォ
ン、芳香族ポリスルフィドおよび芳香族ポリエーテルは
いずれも、芳香族ポリアミドやポリアクリル樹脂、ポリ
ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミドなどの樹
脂とは異なり、分子中に極性基がなく、しかも、高温多
湿条件下で分解して極性基を生じることもないため、水
分子と水素結合を形成しにくく、吸湿しにくいからであ
る。
【0011】本発明では、フッ素樹脂組成物を構成する
フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ト
リクロロフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−
ヘキサフロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオ
ロライドおよびポリビニルフルオロライドの中から選ば
れるいずれか少なくとも1種の樹脂が好適である。これ
らのフッ素樹脂は、誘電率、誘電正接が低く、また粉末
化して熱溶融混合ができるからである。
【0012】また本発明では、上記フッ素樹脂に混合し
て用いられる熱可塑性樹脂のうち、ポリアリルスルフォ
ンは、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスルフ
ォン(PSF)、ポリエーテルエーテルスルフォン(P
EES)およびポリフェニレンスルフォン(PPES)
の中から選ばれるいずれか少なくとも1種の樹脂である
ことが望ましい。また、芳香族ポリスルフィドは、ポリ
フェニルスルフィド(PPS)であることが望ましく、
芳香族ポリエーテルは、ポリフェニレンエーテル(PP
E)であることが望ましい。これらの樹脂は、耐熱性に
優れ、フッ素樹脂と熱溶融して混合することができるか
らである。
【0013】上記フッ素樹脂と上記熱可塑性樹脂との混
合比率は、重量比で(フッ素樹脂:熱可塑性樹脂)が 1
00:1〜 100:200 となる範囲が望ましい。この理由
は、樹脂の融点を低下させることができ、加熱プレス温
度を下げることができるからである。また、特に、フッ
素樹脂と上記熱可塑性樹脂との混合比率は、重量比で
(フッ素樹脂:熱可塑性樹脂)が 100:50 となる範囲が
好適である。この理由は、熱可塑性樹脂の混合割合がフ
ッ素樹脂に対して1/100 より少なくなると、紫外線レ
ーザによる加工が難しくなり、一方、熱可塑性樹脂の混
合割合がフッ素樹脂に対して50/100 より多くなると、
フッ素樹脂特有の優れた電気特性(低誘電率、低誘電正
接)が抑えられてしまうからである。
【0014】上記フッ素樹脂と上記熱可塑性樹脂との混
合方法としては、次のような方法がある。 .まず、粉末状にした上記フッ素樹脂と上記熱可塑性
樹脂とを、熱可塑性樹脂を溶解し得る分散溶媒中で混合
し、熱可塑性樹脂の溶液中にフッ素樹脂粒子を分散させ
た状態とし、次いで、その分散溶液を昇温して加熱処理
することにより、分散溶媒を除去しながら両者を溶融混
合する、という方法がある。この方法において、分散溶
媒としては、塩化メチレン、DMDG、DMTGなどの
グリコール系溶媒、NMP、熱NMPを用いることが望
ましい。これらは、熱可塑性樹脂を溶解させることがで
きるからである。また溶融温度は、分散溶媒の沸点を超
えた温度が望ましい。この理由は、分散溶媒を十分に除
去することができ、かつ2種の樹脂が完全に混合できる
温度だからである。
【0015】.粉末状にした上記フッ素樹脂と上記熱
可塑性樹脂とをドライブレンドし、次いで、その混合物
を昇温して加熱処理することにより、両者を溶融混合す
る、という方法がある。 .粉末状にした上記フッ素樹脂と上記熱可塑性樹脂と
を溶剤中に分散してブレンドし、次いで、その分散溶液
を昇温して加熱処理することにより、分散溶媒を除去し
ながら両者を溶融混合する、という方法がある。この方
法において、分散溶媒としては、メチルアルコールやエ
チルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコ
ール類、アセトンやジメチルエーテル、ジエチルエーテ
ルなどのエーテル類を用いることが望ましい。
【0016】なお、上記の混合時または、および
の溶融混合時の溶融温度は、上記フッ素樹脂および上記
熱可塑性樹脂の融点を超えた温度とすることが望まし
い。この理由は、巨視的に均一な複合体を形成すること
ができるからである。巨視的に均一とは、フッ素樹脂と
熱可塑性樹脂が相分離し、海−島構造や共連続構造を形
成したとしても、その構造単位がバイアホール径より小
さい状態である。具体的には、その構造単位の大きさ
が、50μm以下であればよい。巨視的に均一であれば、
レーザを照射した場合に、その照射領域がフッ素樹脂の
みにならず、必ず熱可塑性樹脂が存在することになるた
め、アブレーション加工が可能である。
【0017】本発明のフッ素樹脂組成物は、各種レーザ
によりアブレーション加工される。レーザとしては、炭
酸ガスレーザ、紫外線レーザ、エキシマレーザなどが使
用されるが、特に紫外線レーザが好適である。レーザ加
工条件は、特に限定されるものではないが、例えば、A
rF(193nm)、KrF(248nm)、XeCl(308nm)等の
紫外線レーザを使用することができる。
【0018】また、本発明のフッ素樹脂組成物は、導体
回路と層間樹脂絶縁層が交互に積層形成されてなるプリ
ント配線板の前記層間樹脂絶縁層として好適に用いられ
る。本発明のフッ素樹脂組成物からなる層間樹脂絶縁層
は、紫外線レーザによると、100μm未満のバイアホー
ルを容易に形成することができるため有利である。
【0019】次に、本発明のフッ素樹脂組成物を用いて
多層プリント配線板を製造する方法について一例を挙げ
て具体的に説明する。なお、以下に述べる方法は、セミ
アディティブ法による多層プリント配線板の製造方法に
関するものであるが、本発明における多層プリント配線
板の製造方法では、フルアディティブ法やマスラミネー
ション法、ピンラミネーション法を採用することができ
る。
【0020】(1) スルーホールの形成 .まず、コア基板にドリルで貫通孔を明け、貫通孔の
壁面および銅箔表面に無電解めっきを施してスルーホー
ルを形成する。基板としては、ガラスエポキシ基板やポ
リイミド基板、ビスマレイミド−トリアジン樹脂基板、
フッ素樹脂基板などの樹脂基板、あるいはこれらの樹脂
基板の銅張積層板、セラミック基板、金属基板などを用
いることができる。特に、誘電率を考慮する場合は、両
面銅張フッ素樹脂基板を用いることが好ましい。この基
板は、片面が粗化された銅箔をポリテトラフルオロエチ
レン等のフッ素樹脂基板に熱圧着したものである。フッ
素樹脂としては、本発明のフッ素樹脂組成物を使用する
ことができ、このフッ素樹脂組成物をガラスクロスに含
浸させて、積層して基板とすることができる。無電解め
っきとしては銅めっきがよい。フッ素樹脂基板のように
めっきのつきまわりが悪い基板の場合は、有機金属ナト
リウムからなる前処理剤(商品名:潤工社製:テトラエ
ッチ)、プラズマ処理などの表面改質を行う。
【0021】.次に、厚付けのために電解めっきを行
う。この電解めっきとしては銅めっきがよい。 .そしてさらに、スルーホール内壁および電解めっき
膜表面を粗化処理して粗化層を設ける。この粗化層に
は、黒化(酸化)−還元処理によるもの、有機酸と第二
銅錯体の混合水溶液をスプレー処理して形成したもの、
あるいは銅−ニッケル−リン針状合金めっきによるもの
がある。
【0022】(2) 充填材の充填 .前記(1) で形成したスルーホールに充填材を充填す
る。具体的には、充填材は、スルーホール部分に開口を
設けたマスクを載置した基板上に、印刷法にて塗布する
ことによりスルーホールに充填され、充填後、乾燥、硬
化される。この充填材は、金属粒子と、熱可塑性または
熱硬化性の樹脂からなり、必要に応じて溶剤を添加して
もよい。金属粒子としては、銅、金、銀、アルミニウ
ム、ニッケル、スズ/鉛、パラジウム、プラチナ、チタ
ン、クロムなどが使用でき、その粒子径は、 0.1〜50μ
mがよい。また、使用される樹脂としては、エポキシ樹
脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノール樹
脂、、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ビスマレイミドト
リアジン(BT)樹脂、アミド系樹脂、FEP、PF
A、PPS、PEN、PES、ナイロン、アラミド、P
EEK、PETなどが使用できる。溶剤としては、NM
P(ノルマルメチルピロリドン)、DMDG(ジエチレ
ングリコールジメチルエーテル)、グリセリン、水、1
−又は2−又は3−のシクロヘキサノール、シクロヘキ
サノン、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテー
ト、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノー
ルなどが使用できる。
【0023】この充填材には、金属粒子と樹脂の密着力
を上げるために、金属キレート剤などの金属表面改質剤
を添加してもよい。また、その他の添加剤として、アク
リル系消泡剤やシリコン系消泡剤などの消泡剤、シリカ
やアルミナ、タルクなどの無機充填剤を添加してもよ
い。また、金属粒子の表面には、金属キレート剤を付着
させてもよい。
【0024】このような充填材は、例えば、以下の条件
にて印刷される。即ち、テトロン製メッシュ版や金属マ
スクの印刷マスク版と45℃の角スキージを用い、Cuペー
スト粘度: 120Pa・s、スキージ速度:13mm/min 、ス
キージ押込み量:1mmの条件で印刷する。
【0025】.スルーホールからはみ出した充填材お
よび基板の電解めっき膜表面の粗化層を研磨により除去
して、基板表面を平坦化する。研磨は、ベルトサンダー
やバフ研磨がよい。
【0026】(3) 導体層(内層導体回路と充填材を覆う
導体層)の形成 .前記(2) で平坦化した基板の表面に触媒核を付与し
た後、無電解めっき、電解めっきを施し、さらにエッチ
ングレジストを形成し、レジスト非形成部分をエッチン
グすることにより、導体回路部分および充填材を覆う導
体層部分を形成する。そのエッチング液としては、硫酸
−過酸化水素の水溶液、過硫酸アンモニウムや過硫酸ナ
トリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩水溶液、塩化
第二鉄や塩化第二銅の水溶液がよい。
【0027】.そして、エッチングレジストを剥離し
て、独立した導体回路および導体層とした後、その導体
回路および導体層の表面に、粗化層を形成する。導体回
路および充填材を覆う導体層の表面に粗化層を形成する
と、その導体は、層間樹脂絶縁層との密着性に優れるの
で、導体回路および充填材を覆う導体層の側面と樹脂絶
縁層との界面を起点とするクラックが発生しない。また
一方で、充填材を覆う導体層は、電気的に接続されるバ
イアホールとの密着性が改善される。この粗化層の形成
方法は、前述したとおりであり、黒化(酸化)−還元処
理、針状合金めっき、あるいはエッチングして形成する
方法などがある。
【0028】さらに、粗化後に、基板表面の導体層に起
因する凹凸を無くすため、導体回路間に樹脂を塗布して
充填し、これを硬化し、表面を導体が露出するまで研磨
して平滑化してもよい。樹脂としては、ビスフェノール
A型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂な
どのビスフェノール型エポキシ樹脂、イミダゾール硬化
剤および無機粒子からなる樹脂を使用することが望まし
い。ビスフェノール型エポキシ樹脂は、粘度が低く、塗
布しやすいからである。また、ビスフェノールF型エポ
キシ樹脂は、溶剤を使用しなくてもよいため、加熱硬化
時に溶剤が揮発することに起因するクラックや剥離を防
止でき、有利である。そしてさらに、研磨後に導体層表
面に粗化層を設けることが望ましい。
【0029】なお、導体層の形成方法として、以下の工
程を採用することができる。即ち、前記(1),(2) の工程
を終えた基板に触媒を付与し、無電解めっきを施して厚
さ 0.5〜2.0 μm施して、導体層を形成した後、電解め
っきを施し、さらにエッチングレジストを設け、導体回
路および導体層部分を形成する。エッチングには、塩化
第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、硫酸−過酸化水素水
溶液、過硫酸塩水溶液が用いられる。
【0030】(4) 層間樹脂絶縁層の形成 このようにして作製した配線基板の上に、本発明のフッ
素樹脂組成物を使用して層間樹脂絶縁層を形成する。層
間樹脂絶縁層は、本発明のフッ素樹脂組成物を熱溶融し
たまま塗布したり、あるいは、熱溶融したものをフィル
ム状に加工して、このフィルムを積層して加熱し、基板
に圧着させることにより形成される。このときの加熱温
度は、フッ素樹脂組成物を構成するフッ素樹脂および熱
可塑性樹脂の融点を超える温度が望ましい。
【0031】(5) バイアホール用開口の形成 .次に、この層間樹脂絶縁層に被覆されるスルーホー
ルや下層の導体回路との電気的接続を確保するために層
間樹脂絶縁層に開口を設ける。この開口の穿孔は、波長
100〜400nm の紫外線レーザ、エキシマレーザなどによ
り行う。レーザ光にて孔明けした場合は、デスミア処理
を行ってもよい。このデスミア処理は、酸素プラズマや
CF4 ガスと酸素の混合プラズマなどで処理することが
できる。この開口は、直径 100μm未満がよい。高密度
化を実現できるからである。この開口は、後の工程でめ
っき膜が形成されてバイアホールとなる。また、開口を
めっきや導電ペーストで充填してバイアホールとしても
よい。
【0032】.層間樹脂絶縁層に開口を設けた後、必
要に応じてその表面を粗化する。本発明のフッ素樹脂組
成物のように、酸化剤では粗化されないフッ素樹脂など
の樹脂を含む組成物を層間樹脂絶縁層として用いた場合
は、プラズマ処理やテトラエッチなどにより表面を粗化
する。
【0033】(6) 導体回路(バイアホールを含む)の形
成 .次に無電解めっき用の触媒核を付与する。 一般に触媒核は、パラジウム−スズコロイドであり、こ
の溶液に基板を浸漬、乾燥、加熱処理して樹脂表面に触
媒核を固定する。また、金属核をCVD、スパッタ、プ
ラズマにより樹脂表面に打ち込んで触媒核とすることが
できる。この場合、樹脂表面に金属核が埋め込まれるこ
とになり、この金属核を中心にめっきが析出して導体回
路が形成されるため、粗化しにくい樹脂やフッ素樹脂
(ポリテトラフルオロエチレン等)のように樹脂と導体
回路との密着が悪い樹脂でも、密着性を確保できる。こ
の金属核としては、パラジウム、銀、金、白金、チタ
ン、銅およびニッケルから選ばれる少なくとも1種以上
がよい。なお、金属核の量は、20μg/cm2 以下がよ
い。この量を超えると金属核を除去しなければならない
からである。
【0034】.次に、層間樹脂絶縁層の表面に無電解
めっきを施し、全面に無電解めっき膜を形成する。無電
解めっき膜の厚みは 0.1〜5μm、より望ましくは 0.5
〜3μmである。 .そして、無電解めっき膜上にめっきレジストを形成
する。めっきレジストは、感光性のドライフィルムを加
熱プレスしてラミネートし、パターンが描画されたフォ
トマスクフィルム(ガラス製がよい)を載置し、露光し
た後、現像液で現像処理して形成される。 .さらに、電解めっきを行い、導体回路部分を厚付け
する。電解めっき膜は5〜30μmがよい。 .そしてさらに、めっきレジストを剥離した後、その
めっきレジスト下の無電解めっき膜をエッチングにて溶
解除去し、独立した導体回路(バイアホールを含む)を
形成する。 エッチング液としては、硫酸−過酸化水素の水溶液、過
硫酸アンモニウムや過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム
などの過硫酸塩水溶液、塩化第二鉄や塩化第二銅の水溶
液がよい。 以下、実施例をもとに説明する。
【0035】
【実施例】(実施例1)(フッ素樹脂+PES) (1) 厚さ 0.8mmのフッ素樹脂基板1に、基板側の片面
が粗化された18μmの銅箔2がラミネートされてなる銅
張積層板(松下電工製のガラスフッ素樹脂基板、商品
名:R4737)を出発材料とした(図1(a) 参照)。ま
ず、この銅張積層板をドリル削孔し、内壁面を有機酸か
らなる改質剤(潤工社製、商品名:テトラエッチ)で処
理して表面の濡れ性を改善した(図1(b) 参照)。
【0036】次に、パラジウム−スズコロイドを付着さ
せ、下記組成および条件で無電解めっきを施して、基板
全面に2μmの無電解めっき膜を形成した。 〔無電解めっき水溶液〕 EDTA 150 g/l 硫酸銅 20 g/l HCHO 30 ml/l NaOH 40 g/l α、α’−ビピリジル 80 mg/l PEG 0.1 g/l 〔無電解めっき条件〕 70℃の液温度で30分
【0037】さらに、以下の条件で電解銅めっきを施
し、厚さ15μmの電解銅めっき膜を形成した(図1(c)
参照)。 〔電解めっき水溶液〕 硫酸 180 g/l 硫酸銅 80 g/l 添加剤(アトテックジャパン製、商品名:カパラシドGL) 1 ml/l 〔電解めっき条件〕 電流密度 1A/dm2 時間 30分 温度 室温
【0038】(2) 全面に無電解銅めっき膜と電解銅めっ
き膜からなる導体(スルーホール3を含む)を形成した
基板を、水洗いし、乾燥した後、NaOH(10g/l)、Na
ClO2(40g/l)、Na3PO4(6g/l)を酸化浴(黒化
浴)、NaOH(10g/l)、NaBH4 (6g/l)を還元浴
とする酸化還元処理に供し、そのスルーホール3を含む
導体の全表面に粗化層4を設けた(図1(d) 参照)。
【0039】(3) 次に、平均粒径10μmの銅粒子を含む
充填材5(タツタ電線製の非導電性穴埋め銅ペースト、
商品名:DDペースト)を、スルーホール3内にスクリ
ーン印刷によって充填し、 100℃で1時間、 150℃で1
時間の条件で乾燥、硬化させた。そして、導体上面の粗
化層4およびスルーホール3からはみ出した充填材5
を、#600 のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベ
ルトサンダー研磨により除去し、さらにこのベルトサン
ダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行い、基
板表面を平坦化した(図1(e) 参照)。
【0040】(4) 前記(3) で平坦化した基板表面に、パ
ラジウム触媒(アトテック製)を付与し、常法に従って
無電解銅めっきを施すことにより、厚さ 0.6μmの無電
解銅めっき膜6を形成した(図1(f) 参照)。
【0041】(5) ついで、以下の条件で電解銅めっきを
施し、厚さ10μmの電解銅めっき膜7を形成し、導体回
路9となる部分の厚付け、およびスルーホール3に充填
された充填材5を覆う導体層10となる部分を形成した。 〔電解めっき水溶液〕 硫酸 180 g/l 硫酸銅 80 g/l 添加剤(アトテックジャパン製、商品名:カパラシドGL) 1 ml/l 〔電解めっき条件〕 電流密度 1A/dm2 時間 30分 温度 室温
【0042】(6) 導体回路9および導体層10となる部分
を形成した基板の両面に、市販の感光性ドライフィルム
を張り付け、マスク載置して、100 mJ/cm2 で露光、0.
8 %炭酸ナトリウムで現像処理し、厚さ10μmのエッチ
ングレジスト8を形成した(図2(a) 参照)。
【0043】(7) そして、エッチングレジスト8を形成
してない部分のめっき膜を、硫酸と過酸化水素の混合液
を用いるエッチングにて溶解除去し、さらに、エッチン
グレジスト8を5%KOHで剥離除去して、独立した導
体回路9および充填材5を覆う導体層10を形成した(図
2(b) 参照)。さらに、酸化還元処理して導体表面を粗
化処理した。
【0044】〔樹脂充填剤の調製〕 ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル
製、分子量 310、YL983U)100重量部、表面にシランカ
ップリング剤がコーティングされた平均粒径1.6μmのS
iO2 球状粒子(アドマテック製、CRS 1101−CE、ここ
で、最大粒子の大きさは後述する内層銅パターンの厚み
(15μm)以下とする) 170重量部、レベリング剤(サ
ンノプコ製、ペレノールS4)1.5 重量部を3本ロール
にて混練して、その混合物の粘度を23±1℃で45,000〜
49,000cps に調整した。 イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)6.5 重
量部。これらを混合して樹脂充填剤12aを調製した。
【0045】(8) 調製した樹脂充填剤12aを、スクリー
ン印刷を用いることにより、導体回路9または導体層10
の間に充填し、120 ℃, 20分間で乾燥させ、他方の面に
ついても同様にして樹脂充填剤12aを導体回路9または
導体層10の間に充填し、120 ℃,20分間で加熱乾燥させ
た。
【0046】(9) 前記の処理を終えた基盤の片面を、#
600 のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベルトサ
ンダー研磨により、内層銅パターン9,10の表面に樹脂
充填剤12aが残らないように研磨し、次いで、前記ベル
トサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行
った。このような一連の研磨を基板の他方の面について
も同様に行った。次いで、 100℃で1時間、150 ℃で1
時間の加熱処理を行って樹脂充填剤12aを硬化した。
【0047】(10)次に、導体回路9および金属粒子ペー
スト5を覆う導体層10の表面にCu−Ni−P合金からなる
厚さ 2.5μmの粗化層(凹凸層)11を形成し、さらにこ
の粗化層11の表面に厚さ0.05μmのSn層を形成した(図
2(c) 参照、Sn層については図示しない)。その形成方
法は以下のようである。即ち、基板を酸性脱脂してソフ
トエッチングし、次いで、塩化パラジウムと有機酸から
なる触媒溶液で処理して、Pd触媒を付与し、この触媒を
活性化した後、硫酸銅8g/l、硫酸ニッケル 0.6g/
l、クエン酸15g/l、次亜リン酸ナトリウム29g/
l、ホウ酸31g/l、界面活性剤 0.1g/l、pH=9
からなる無電解めっき浴にてめっきを施し、銅導体回路
の全表面にCu−Ni−P合金からなる厚さ 2.5μmの粗化
層11(凹凸層)を形成した。さらに0.1mol/lホウふっ
化スズ−1.0mol/lチオ尿素液からなる無電解スズ置換
めっき浴に50℃で1時間浸漬し、前記粗化層の表面に厚
さ0.05μmのスズ置換めっき層を設けた。
【0048】〔フッ素樹脂組成物とそのフィルムの調
製〕(株) 東洋精機製作所製のラボブラストミルを用い
て、デュポン製テフロンRFEP:70gと三井東圧化学
製PES:7gを、 300℃, 50Torrの条件下で40分間混
練し、フッ素樹脂組成物を得た。次いで、フッ素樹脂組
成物の混練物を冷却した後、取り出し、 (株) 東洋精機
製作所製のミニテストプレスを用いて、 290℃でプレス
し、フッ素樹脂組成物からなる厚さ40μmのフィルムを
調製した。
【0049】(11)調製したフッ素樹脂組成物のフィルム
を、前記(10)の処理を終えた基板の上下面に配置し、次
いで、厚さ12〜18μmの鏡面銅箔で、その基板全体が覆
われるように挟み、温度 290℃、圧力 20kgf/cm2 で5
分間プレスし、FEPとPESからなるフッ素樹脂組成
物の層間樹脂絶縁層12b(厚み20μm)を形成した(図
2(d) 参照)。
【0050】(12)波長355 μmの紫外線レーザ(ESI
製、モデル5100)にて、前記(11)で形成した層間樹脂絶
縁層12bの所定の位置に、25μmφのバイアホール用開
口13を形成した(図2(e) 参照)。なお、バイアホール
となる開口には、粗化層を部分的に露出させる。
【0051】(13)基板表面を水洗して乾燥した後、銅を
ターゲットにしたスパッタリングを、真空度 0.8Pa、温
度80℃、出力4500W、時間6 分45秒の条件で、膜厚 0.5
μmになるように行い、銅核を層間樹脂絶縁層12bの表
面に打ち込んだ。このとき、スパッタリングのための装
置は、日本真空技術製 (株) のSV−4540を使用した。打
ち込まれる銅量は、20μg/cm2 以下とした。この銅量
は、基板を6N塩酸水溶液に浸漬し、溶出した総銅量を
原子吸光法にて測定し、その総銅量を露出面積で除して
求めた。
【0052】(14)前記(13)の処理を終えた基板に対して
前記(1) の無電解めっきを施し、厚さ0.7μmの無電解
めっき膜14を層間樹脂絶縁層12bの表面に形成した(図
3(a)参照)。
【0053】(15)前記(14)で無電解めっき膜14を形成し
た基板の両面に、市販の感光性樹脂フィルム(ドライフ
ィルム)を張り付け、フォトマスクフィルムを載置し
て、 100mJ/cm2 で露光、 0.8%炭酸ナトリウムで現像
処理し、厚さ15μmのめっきレジスト16を設けた(図3
(b) 参照)。
【0054】(16)さらに、前記(1) の電解めっきを施し
て、厚さ15μmの電解めっき膜15を形成し、導体回路9
の部分の厚付け、およびバイアホール17の部分のめっき
充填を行った(図3(c) 参照)。 (17)そしてさらに、めっきレジスト16を5%KOHで剥
離除去した後、そのめっきレジスト16下の無電解めっき
膜14を硫酸と過酸化水素の混合液を用いるエッチングに
て溶解除去し、無電解銅めっき膜14と電解銅めっき膜15
からなる厚さ16μmの導体回路9(バイアホール17を含
む)を形成した(図3(d) 参照)。
【0055】(18)前記(17)で導体回路9(バイアホール
17を含む)を形成した基板を、硫酸銅8g/l、硫酸ニ
ッケル 0.6g/l、クエン酸15g/l、次亜リン酸ナト
リウム29g/l、ホウ酸31g/l、界面活性剤 0.1g/
lからなるpH=9の無電解めっき液に浸漬し、該導体
回路の表面に厚さ3μmの銅−ニッケル−リンからなる
粗化層11を形成した。このとき、粗化層11をEPMA
(蛍光X線分析)で分析したところ、Cu 98mol%、Ni
1.5mol %、P 0.5 mol%の組成比を示した。そしてさ
らに、その基板を水洗いし、0.1mol/lホウふっ化スズ
−1.0mol/lチオ尿素液からなる無電解スズ置換めっき
浴に50℃で1時間浸漬し、前記粗化層11の表面に厚さ0.
05μmのスズ置換めっき層を形成した(但し、スズ置換
めっき層については図示しない)。
【0056】(19)前記 (11) 〜(18)の工程を繰り返すこ
とにより、さらに上層の層間樹脂絶縁層12bと導体回路
9(バイアホール17を含む)を設け、多層配線基板を得
た(図4(a) 参照)。なお、ここでは、導体回路の表面
に銅−ニッケル−リンからなる粗化層11を設けるが、こ
の粗化層表面にはスズ置換めっき層を形成しない。
【0057】(20)一方、DMDGに溶解させた60重量%
のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製)
のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴ
マー(分子量4000)を 46.67重量部、メチルエチルケト
ンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ
樹脂(油化シェル製、商品名:エピコート1001)15.0重
量部、イミダゾール硬化剤(四国化成製、商品名:2E4M
Z-CN)1.6 重量部、感光性モノマーである多価アクリル
モノマー(日本化薬製、商品名:R604 )3重量部、同
じく多価アクリルモノマー(共栄社化学製、商品名:DP
E6A ) 1.5重量部、分散系消泡剤(サンノプコ社製、商
品名:S−65)0.71重量部を混合し、さらにこの混合物
に対して光開始剤としてのベンゾフェノン(関東化学
製)を2重量部、光増感剤としてのミヒラーケトン(関
東化学製)0.2 重量部を加えて、粘度を25℃で 2.0Pa・
sに調整したソルダーレジスト組成物を得た。なお、粘
度測定は、B型粘度計(東京計器、 DVL-B型)で 60rpm
の場合はローターNo.4、6rpm の場合はローターNo.3に
よった。
【0058】(21)前記(19)で得られた多層配線基板の両
面に、上記ソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗
布した。次いで、70℃で20分間、70℃で30分間の乾燥処
理を行った後、クロム層によってソルダーレジスト開口
部の円パターン(マスクパターン)が描画された厚さ5
mmのソーダライムガラス基板を、クロム層が形成され
た側をソルダーレジスト層に密着させて1000mJ/cm2
紫外線で露光し、DMTG現像処理した。さらに、80℃で1
時間、 100℃で1時間、 120℃で1時間、 150℃で3時
間の条件で加熱処理し、はんだパッドの上面、バイアホ
ールおよびランド部分を開口した(開口径 200μm)ソ
ルダーレジストパターン層18(厚み20μm)を形成し
た。
【0059】(22)次に、ソルダーレジストパターン層18
を形成した基板を、塩化ニッケル30g/l、次亜リン酸
ナトリウム10g/l、クエン酸ナトリウム10g/lから
なるpH=5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬し
て、開口部に厚さ5μmのニッケルめっき層19を形成し
た。さらに、その基板を、シアン化金カリウム2g/
l、塩化アンモニウム75g/l、クエン酸ナトリウム50
g/l、次亜リン酸ナトリウム10g/lからなる無電解
金めっき液に93℃の条件で23秒間浸漬して、ニッケルめ
っき層19上に厚さ0.03μmの金めっき層20を形成した。
【0060】(23)そして、ソルダーレジストパターン層
18の開口部に、はんだペーストを印刷して 200℃でリフ
ローすることによりはんだバンプ(はんだ体)21を形成
し、はんだバンプ21を有する多層プリント配線板を製造
した(図4(b) 参照)。
【0061】(実施例2)(フッ素樹脂+PSF) 以下に示すフッ素樹脂組成物のフィルムを使用し、実施
例1の(11)において、プレス条件を温度 310℃、圧力 2
0kgf/cm2 で5分間としたこと以外は、実施例1と同様
にしてはんだバンプを有する多層プリント配線板を製造
した。 〔フッ素樹脂組成物とそのフィルムの調製〕PSF(帝
人・アモコ製、ユーデルR )10gを、10gのジメチルア
セトアミド中に溶かし、得られた溶液中に、2μmのP
FAフィラー50gを添加して混練しフッ素樹脂組成物の
ペーストを得た。次いで、このフッ素樹脂組成物のペー
スト0.5gを、金属治具板の上に載せた銅箔上に適当な
厚さに広げ、真空プレスを用いて、温度 150℃、圧力5
kgf/cm2 で30分間、さらに温度 310℃、圧力 20kgf/
cm2 で1時間の条件でプレスし、冷却した後、銅箔を取
り外し、フッ素樹脂組成物からなる厚さ40μmのフィル
ムを調製した。
【0062】(実施例3)(フッ素樹脂+PPES) 以下に示すフッ素樹脂組成物のフィルムを使用し、実施
例1の(11)において、プレス条件を温度 320℃、圧力 2
0kgf/cm2 で5分間としたこと以外は、実施例1と同様
にしてはんだバンプを有する多層プリント配線板を製造
した。 〔フッ素樹脂組成物とそのフィルムの調製〕PPES
(帝人・アモコ製、ラーデルR )粉末2gとPTFE粉
末50gを、MEK中に懸濁させて混練し、フッ素樹脂組
成物のペーストを得た。次いで、このフッ素樹脂組成物
のペースト 0.5gを、金属治具板の上に載せた銅箔上に
適当な厚さに広げ、真空プレスを用いて、温度 110℃、
圧力5 kgf/cm2 で20分間、さらに温度 320℃、圧力 2
0kgf/cm2 で30分間の条件でプレスし、冷却した後、銅
箔を取り外し、フッ素樹脂組成物からなる厚さ40μmの
フィルムを調製した。
【0063】(実施例4)(フッ素樹脂+PPS) 以下に示すフッ素樹脂組成物のフィルムを使用し、実施
例1の(11)において、プレス条件を温度 320℃、圧力 2
0kgf/cm2 で5分間としたこと以外は、実施例1と同様
にしてはんだバンプを有する多層プリント配線板を製造
した。 〔フッ素樹脂組成物とそのフィルムの調製〕PPS(東
レ製)粉末20gとPTFE粉末70gを、グリセリン20g
とともに混合して混練し、フッ素樹脂組成物のペースト
を得た。次いで、このフッ素樹脂組成物のペースト 0.5
gを、金属治具板の上に載せた銅箔上に適当な厚さに広
げ、真空プレスを用いて、温度 320℃、圧力 20kgf/cm
2 で30分間の条件でプレスし、冷却した後、銅箔を取り
外し、フッ素樹脂組成物からなる厚さ40μmのフィルム
を調製した。
【0064】(比較例1)(フッ素樹脂+芳香族ポリイ
ミド) 実施例2において、PSFの代わりにピロメリット酸と
ジアミノベンゼン(ポリイミド樹脂の前駆体)を用いた
こと以外は、実施例2と同様にしてはんだバンプを有す
る多層プリント配線板を製造した。
【0065】(比較例2)(フッ素樹脂+芳香族ポリア
クリル樹脂) 実施例1において、PESの代わりに芳香族ポリアクリ
ル樹脂の粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にし
てはんだバンプを有する多層プリント配線板を製造し
た。
【0066】(比較例3)(フッ素樹脂+芳香族ポリウ
レタン樹脂) 実施例3において、PPESの代わりに芳香族ポリウレ
タン樹脂の粉末を用いたこと以外は、実施例3と同様に
してはんだバンプを有する多層プリント配線板を製造し
た。
【0067】(比較例4)(フッ素樹脂+芳香族ポリエ
ステル樹脂) 実施例4において、PPSの代わりに芳香族ポリエステ
ル樹脂の粉末を用いたこと以外は、実施例4と同様にし
てはんだバンプを有する多層プリント配線板を製造し
た。
【0068】(比較例5)(フッ素樹脂+芳香族ポリイ
ミド樹脂) 実施例4において、PPSの代わりに芳香族ポリイミド
樹脂の粉末を用いたこと以外は、実施例4と同様にして
はんだバンプを有する多層プリント配線板を製造した。
【0069】このようにして製造した実施例および比較
例の多層プリント配線板について、層間樹脂絶縁層を構
成する各フッ素樹脂組成物の吸湿性を以下の条件にて測
定した。その結果を表1に示す。 〔フッ素樹脂組成物の吸湿性〕他の因子を排除するた
め、実施例および比較例で使用されたものと同一のフッ
素樹脂組成物を温度80℃、相対湿度80%の環境下で12時
間放置し、その前後の重量変化を調べた。表1に示す結
果から明らかなように、ポリアリルスルフォンまたはポ
リアリルスルフィドとフッ素樹脂との複合樹脂の方が吸
湿性が低かった。
【0070】また、上記フッ素樹脂組成物からなる層間
樹脂絶縁層の紫外線レーザによる加工性を、以下の条件
にて評価した。その結果を表1に示す。 〔層間樹脂絶縁層の加工性〕粗化処理した銅張積層板に
実施例および比較例にかかるものと同一のフッ素樹脂組
成フィルムを圧着し、紫外線レーザを照射して20μmの
開口を形成できるか否かで判断した。表1に示す結果か
ら明らかなように、ポリアリルスルフォンまたはポリア
リルスルフィドとフッ素樹脂との複合樹脂と比較例の樹
脂では、紫外線レーザの加工性に差はなかった。
【0071】さらに、熱衝撃試験(TS)、PCT(Pr
essure Cooker Test)試験およびHAST(High Accel
aration Stress Test )試験を以下の条件にて実施し、
多層プリント配線板の信頼性を評価した。これらの結果
を表1に併せて示す。 .熱衝撃試験 配線板を、−55℃の液槽と 125℃の液槽に交互に所定時
間浸漬して実施する。その評価は、層間の剥離、クラッ
ク等の有無で行った。 .PCT試験 温度 121℃、湿度 100%、圧力2気圧の条件下で所定時
間、実施する。その評価は、層間の剥離、クラック等の
有無、初期値1013Ωの絶縁抵抗の低下を測定して行っ
た。 .HAST試験 温度 135℃、湿度85%、 3.3Vの条件下で所定時間、実
施する。その評価は、層間の剥離、クラック等の有無、
初期値1013Ωの絶縁抵抗を測定した行った。
【0072】この表に示す結果から明らかなように、実
施例1〜4で製造した多層プリント配線板は、熱衝撃試
験、PCT試験およびHAST試験において、それぞれ
1000サイクル、 300時間、 200時間まで問題がなかっ
た。これに対し、比較例1で製造した多層プリント配線
板では、HAST試験により、絶縁抵抗が 100時間後に
107Ωまで低下した。比較例2で製造した多層プリント
配線板では、PCT試験により、層間に剥離が見られ
た。比較例3で製造した多層プリント配線板では、HA
ST試験により、絶縁抵抗値が107 Ωまで低下した。比
較例4で製造した多層プリント配線板では、PCT試験
により、絶縁抵抗が 108Ωまで低下した。この低下の原
因は、芳香族ポリエステル由来と思われる有機酸の発生
によるものと考えられる。
【0073】
【表1】
【0074】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、紫
外線レーザで高密度に加工でき、しかも吸湿性を抑制し
たフッ素樹脂組成物を提供することができる。これによ
り、本発明の多層プリント配線板は、高温多湿条件下で
も、表面抵抗値が高く、剥離なども起きにくくなり、高
い信頼性をもって使用できる配線板となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(f) は、本発明の多層プリント配線板を
製造する工程の一部を示す図である。
【図2】(a)〜(e) は、本発明の多層プリント配線板を
製造する工程の一部を示す図である。
【図3】(a)〜(d) は、本発明の多層プリント配線板を
製造する工程の一部を示す図である。
【図4】(a),(b) は、本発明の多層プリント配線板を
製造する工程の一部を示す図である。
【符号の説明】
1 基板 2 銅箔 3 スルーホール 4,11 粗化層 5 充填材 6,14 無電解めっき膜 7,15 電解めっき膜 8 エッチングレジスト 9 導体回路 10 導体層 12a 樹脂充填剤 12b 層間樹脂絶縁層 13 バイアホール用開口 16 めっきレジスト 17 バイアホール 18 ソルダーレジスト層 19 ニッケルめっき層 20 金めっき層 21 はんだバンプ(はんだ体)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H05K 1/03 610 H05K 1/03 610H

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアリルスルフォン、芳香族ポリスル
    フィドおよび芳香族ポリエーテルの中から選ばれるいず
    れか少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂とフッ素樹脂か
    らなることを特徴とするフッ素樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記ポリアリルスルフォンは、ポリエー
    テルスルフォン(PES)、ポリスルフォン(PS
    F)、ポリエーテルエーテルスルフォン(PEES)お
    よびポリフェニレンスルフォン(PPES)の中から選
    ばれるいずれか少なくとも1種の樹脂である請求項1に
    記載のフッ素樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記芳香族ポリスルフィドは、ポリフェ
    ニルスルフィド(PPS)である請求項1に記載のフッ
    素樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記芳香族ポリエーテルは、ポリフェニ
    レンエーテル(PPE)である請求項1に記載のフッ素
    樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 レーザによるアブレーション加工用フッ
    素樹脂組成物として用いられる、請求項1〜4のいずれ
    か1に記載のフッ素樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 紫外線レーザによるアブレーション加工
    用フッ素樹脂組成物として用いられる、請求項1〜5の
    いずれか1に記載のフッ素樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 導体回路と層間樹脂絶縁層が交互に積層
    形成されてなる多層プリント配線板において、 前記層間樹脂絶縁層は、請求項1〜6のいずれか1に記
    載のフッ素樹脂組成物からなることを特徴とする多層プ
    リント配線板。
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